2021年1月21日木曜日

バイデン一族の異常な「習近平愛」|石平―【私の論評】エスタブリッシュメントが支配する世界は、日本が終わらせる(゚д゚)!

 バイデン一族の異常な「習近平愛」|石平

バイデン大統領の習近平に対する「偏愛ぶり」は異常だ!オバマ政権時代、副大統領としての8年間に中国とどう付き合ってきたのか――事あるごとに習近平との蜜月ぶりをアピールするばかりか、遂には習近平の暴挙を容認し同盟国日本と国際社会を裏切ってきた。断言する、バイデンは「罪人」である!

中国との癒着ぶり

この原稿を書いている2020年11月14日現在、トランプ大統領側は不正選挙の疑惑を追及して法廷闘争を展開、決着はいまだ付いていない。  

一方で、日本の菅首相を含む各国首脳が続々とバイデン氏に祝電を送ったり祝福の電話をかけたりしている状況からすれば、来年(2021年)1月における「バイデン政権」の誕生はかなりの現実味を帯びてきている。  

ならばわれわれとしては、来年1月からの4年間、「バイデン政権」の下で何が起きるかを一度、真剣に考える必要があろう。  

中国の覇権主義政策が日本を含めたアジア諸国の安全を大いに脅かしているなかで、バイデン氏は一体、中国にどう対処していくのか。これはわれわれが特に関心を持たざるを得ない大問題である。  

バイデン氏の対中姿勢を考えるとき、大統領選挙中の彼の発言からは手がかりを得ることはできない。なぜなら彼は選挙中、中国について多くを語らず、むしろこの話題を意図的に避けてきた感があるからだ。  

時に中国に言及し、厳しい言葉を発したことがあっても、それが本心からなのか、単なる選挙対策なのか定かではなく、バイデン氏の対中姿勢はいまも未知の領域と言える。  

それを解明するためには、バイデン氏が政治家としてこれまで中国といかにかかわってきたかを見る他ない。特に、彼が2009年に誕生したオバマ政権の副大統領となってからの8年間に中国とどう付き合ってきたのか。 それを徹底検証することによって、バイデン氏と中国との癒着ぶり、特に、彼と習近平国家主席との異様な親密ぶりが浮かびあがってくる。

初対面の習近平に



バイデン氏と習近平主席との親交は、9年前の2011年に遡る。この年の8月、バイデン氏は米国副大統領として中国を初訪問した。  

バイデン氏が北京入りしたのは8月17日、同月22日までの6日間、中国に滞在した。大統領と比べれば閑職であるとはいえ、米国副大統領が特定の外国に連続6日間も滞在するのは異例といえる。

その時のバイデン副大統領のカウンターパートこそ、当時、国家副主席の習近平氏だった。この中国訪問も習近平副主席からの招待によるものであり、中国滞在中、習氏は終始バイデン氏のホスト役を務めた。  

バイデン氏が北京に到着した翌18日の午前に、習氏はまず北京人民大会堂において彼のための歓迎式典を執り行った。その式典のあとで2人は早速首脳会談を行い、その日の夜、習氏はバイデン氏のための晩餐会を催している。  

バイデン氏にとって習氏との初会談だったが、新華社通信が報じたところによれば、バイデン氏は会談のなかで次のように発言したという。 「台湾・チベットは中国の核心的利益であることを十分に理解しており、台湾独立は支持しない。チベットが中国の一部であると完全に認める」  

バイデン氏がここで語ったことは当時のオバマ親中政権の基本方針ではあるが、「十分に理解している」 「完全に認める」と強調したバイデン氏の言葉遣いには、彼自身の強い気持ちが窺える。  

つまりバイデン氏は、初対面の習氏に対してできる限りの媚びを売り、「良い関係」のスタートを切ろうとした。当時の習氏は、1年後の2012年秋開催予定の共産党大会において次期最高指導者となることが既定事項であったから、バイデン氏は当然、それを計算に入れて習氏に取り入ろうとしたのであろう。

2人の濃密な時間

バイデン氏訪中の3日目、19日の午前に習近平氏はバイデン氏とともに「米中企業家座談会」に出席し、昼食もともにした。午後からは当時の胡錦濤主席や温家宝首相がバイデン氏との会談に臨んだが、一連の会談には習氏も同席している。  

訪中4日目の20日、北京を離れて四川省成都市を訪問したバイデン氏は、それから成都とその周辺で2泊3日滞在しているが、その間、ほぼ全日程にわたって習氏はバイデン氏と行動をともにしている。  

成都の滞在中、バイデン氏は四川大学で講演したり、市内のレストランで習氏招待の非公式の夕食会に参加したり、習氏の同伴で郊外の都江堰という古代からの水利施設を見学するなど、至るところで習氏の姿が確認されている。この2泊3日の間、2人の「副」指導者は特に濃密な時間を共有した。

バイデン氏の6日間という異例に長い滞在で、両氏の間でかなり親密な個人的関係が結ばれたと考えられよう。

訪中の成果を日本にアピール

実は、これに関して2011年8月25日に日本経済新聞のウェブサイトに掲載された秋田浩之編集委員(当時)の署名記事が、興味深い話を披露している。  

それによると、バイデン氏と習氏との一連の会談について、同行していたホワイトハウス高官は「全くメモなしで、さまざまな話題を縦横無尽に話し合った」と記者団に紹介した。  

そしてバイデン氏は中国訪問を終えて日本に立ち寄った時、当時の菅直人首相との会談で、自ら「米中の対話を深め、習近平国家副主席との関係を深める機会になった」と語って訪中の成果をわざわざ日本側にアピールした、というのである。  

これらはバイデン氏の対中姿勢、とりわけ彼の対習近平姿勢を考えるうえで忘れてはならない点である。

再び濃密な時間を共有

バイデン氏と習氏との親交は、これ以降も継続されている。  2012年2月13日から17日にかけて、今度は習氏が夫人とともに中国国家副主席として訪米した。それもバイデン初訪中と同様、5日間という異例の長さの訪問であった。  

もちろんその時、米国副大統領のバイデン氏は最大の厚遇ぶりで、自分の老朋友(旧友)である習氏の接待に当たっている。習近平夫婦がアメリカに到着した時、バイデン副大統領夫婦はわざわざ空港まで彼らを出迎えた。相手は中国の国家副主席であるとはいえ、米国の副大統領が外国からの訪問客を空港で出迎えるのは異例のことで、バイデン氏は習氏に対する最大限の厚意を示した形だ。  

その後、バイデン夫婦は習近平夫婦を晩餐会に招くなど、家族ぐるみの親交を深め、習氏がワシントンでの訪問日程を終えてアメリカの西海岸を訪問したときも、バイデン氏は当然のように同伴、習氏と終始行動をともにした。2人は再び濃密な時間を共有したわけである。  

2013年12月、バイデン氏が副大統領として2回目の中国訪問を行った時、習氏はすでに中国の国家主席の椅子に座り、最高権力者となっていた。

実は、このバイデン訪中の1カ月前、ある重大な出来事が起っていた。習主席がアジアの安全保障に重大な脅威を与える冒険的行動に打って出たのだ。

習近平の暴挙を容認、同盟国日本と国際社会を裏切る


2013年11月23日、習近平政権の中国は東シナ海の上空で中国の防空識別圏を設定、政権成立後の軍事的冒険の第一歩を踏み出したのである。  

簡単に説明すると、本来どの国の航空機でも自由に飛べる東シナ海上空の空域を、中国は勝手に自分たちの「防空圏だ」と設定し、それを中国軍の監視下に置いたのである。そんな暴挙は当然のことながら、民間機を含めた各国航空機が自由に飛行する権利の侵害であり、脅威であり、許されることではない。   

日本にとってこの問題は特に深刻だった。中国の防空識別圏が設定されている空域は、まさに日本の領空とは隣り合わせで、日本の航空機が頻繁かつ大量に飛ぶ空域でもある。日本と国際社会にとって、習近平政権の暴挙への対策は喫緊の課題となった。  

この中国の防空識別圏設定の10日後、12月3日にバイデン副大統領はアジア歴訪の最初の訪問地として日本の東京を訪れている。  

当時、日本の首相は安倍晋三氏。同盟国である米国の副大統領の来訪は、日本にとってはまさに日米が連携して中国の暴挙を食い止める好機のはずだった。  

そのため、バイデン副大統領との会談で、安倍首相はまず日米が共同して防空識別圏設定の撤回を中国に強く求めようと米国側に働きかけた。しかし案の定というか、意外というのか、バイデン副大統領は安倍首相の提案をきっぱりと拒否して、中国に対して「撤回」を求めない考えを貫いたのだ。  

そこで安倍首相は次善の策として、日米で「防空識別圏設定反対」の共同声明を出して中国を牽制しようとも提案したが、これもバイデン氏によって拒否された。バイデン氏は、中国の防空識別圏設定の危険性を顧みずに、同盟国首相からの懇願も同盟国日本の安全保障を無視する形で、中国を庇うことに徹したのである。  

バイデン氏は一応、米国副大統領として中国の防空識別圏設定に反対の意思を表明したが、中国に対して「撤回」を求めず、事実上、習近平氏の軍事的冒険を容認した。  

同盟国日本の安全が脅かされているこの肝心な時に、そして国際社会が習近平政権の暴走を封じ込めることができるかどうかという重大な時に、バイデン氏はあくまでも中国寄り、習近平寄りの姿勢を取り続け、同盟国日本と国際社会を裏切ったのである。

バイデンは「罪人」である

バイデン・安倍首相会談の翌日の十二月四日、中国国内の各メディアは一斉に日米首脳会談のニュースを報じ、バイデン氏が中国に防空識別圏の撤回を一緒に求めようという安倍首相の提案を拒否したことを嬉々として報じた。同時に、日本では全く報じられてないバイデン氏の重大な発言を報じている。何か──。  

12月3日、安倍首相との会談を終えて、バイデン氏が当時の民主党代表の海江田万里氏と会談した時に、中国に防空識別圏の撤回を求めないことの理由について、海江田氏にこう語ったという。 「習近平主席の仕事はいま軌道に乗っている最中だから、われわれは彼に面倒をかけてはならない」  

私は当時、ネット上で中国メディアが報じたバイデン氏の言葉をみてわが目を疑った。中国メディアに嘘が多いことは周知のとおりだが、さすがに外国首脳、特にアメリカ首脳の発言を捏造することはできまい。  

バイデン氏の言葉が中国で報じられた12月4日は、バイデン氏本人が日本をあとにして中国に向かっている最中だった。中国の各メディアがバイデン氏の発言を捏造したのであれば、アメリカ政府や駐北京の米国大使館もそれを当然看過するわけもなく、中国にとっても米中関係を悪化させる事態になったに違いない。  

ところが、実際にそのようなことは一切起きていない。つまり、バイデン氏が海江田氏に対して行った発言の信憑性は極めて高いといえる。  

習近平氏が国家主席になって九カ月目、バイデン氏の「仕事を軌道に乗せたばかりの習近平主席に面倒をかけてはならない」との言葉からは、バイデン氏が親身になって習氏のために物事を考えているかが明々白々であろう。  

単なる「習近平寄り」を通り越して、まさに習氏の立場に立った習氏のための発言であり、バイデン氏の習氏への「愛情」さえ感じさせる言葉といえる。  

国家主席一年目の習氏からすれば、これによってオバマ政権の足元を見たことだろう。その後、オバマ、バイデン両氏が習氏の暴走に容認の態度を示したこともあり、習氏は南シナ海などでは何の躊躇いもなく軍事的な拡大を進めていった。いまになってはもはや、取り返しのつかないところまで中国の実効支配が強化されているが、事の始まりは中国の防空識別圏の設定に対するオバマ政権の許しがたい弱腰の態度であり、そのなかで重要な役割を果たした人物こそ、習氏に対して異様な「偏愛」を持つバイデン氏その人なのである。  

そういう意味ではバイデン氏は、現代のヒトラーである習近平氏の暴走に加担して大きな罪を犯した「罪人」であると言える。

ハンター・バイデン疑惑

しかしバイデン氏は、はたして単なる自分自身の思い入れから、そこまで習氏の“協力者”になったのだろうか。彼と習近平、そして中国との関係には別の闇もあるのではないか、との疑念を禁じ得ない。  

実は今年(2020年)になって、バイデン氏の中国あるいは習近平氏に対する異様な想い入れの謎の一つが解けそうになってきている。  

バイデン氏の次男、ハンター・バイデン氏が修理店に出したパソコンから、ハンター氏自身のさまざまなスキャンダル・疑惑が露呈したからである。  

10月15日、ニューヨークポスト紙は、ハンター氏のパソコンから発見された彼の中国関連の疑惑を報じた。  

それによると、2017年、ハンター氏は中国の国営企業である「中国華信能源」との間で投資ベンチャーの合弁企業の設立を協議した時、彼自身が新会社の会長か副会長に就任し、「中国華信能源」から多額の報酬を受け取る約束を取り付けた。同時に、新株式の10%を「big guy」(大もの)のために確保する約束をも取り付けたという。  

そこで浮上してきたのが、「big guy」(大もの)が前副大統領のバイデン氏ではないか、という疑惑である。もしそれが真実であれば、次男のハンター氏だけでなくバイデン氏自身もすでに中国側に買収されている、ということになる。  

10月23日、トランプ・バイデン両候補が大統領選の最終討論会に立った時、トランプ大統領がこの一件を取り上げて、「全てのEメール、キミと家族がかき集めた金に関するEメールについて、キミは米国民に説明する必要がある。キミは“大もの”らしいじゃないか。キミの息子は『10%を“大もの”に渡さなければならない』と言った」と、バイデン氏に問い詰めた。  
それに対してバイデン氏は「私は1セントも受け取っていませんよ」と「買収疑惑」を否定したが、次男のハンター氏の「中国による買収疑惑」には一切触れていない。要するに、否定できなかったのだ。  

たとえバイデン氏自身が中国側に買収されていないとしても、彼の息子が中国に買収されているのであれば、バイデン氏の中国に対する考えや政策に大きな影響を与えている可能性は十分にある。肉親の弱みを中国に握られているのであれば、バイデン氏の中国寄り・習近平寄りはより決定的なものとなる。

訪中に同行した若者の正体

さらにあまり知られていないが、ハンター氏と中国側の接点は、まさに父親のバイデン氏によって作られた可能性があるのだ。  

前述のように、2013年12月4日、当時のバイデン副大統領は日本をあとにして2回目の中国訪問のために北京へ向かったが、彼が北京空港で専用機から降りようとした時、そばに付き添っている2人の若者がいた。  

1人は高校生くらいの若い女性、新華社通信の配信した写真の説明によれば、それはバイデン氏と再婚した夫人との間のお嬢さんであるという。そしてもう1人の若くてハンサムな男、誰なのかは新華社通信は報じていなかったが、それがまさにバイデン氏の次男、いまや渦中の人物であるハンター・バイデンその人なのだ。  

2度目の訪中時、ハンター氏は父親と一緒に北京を訪ねていたのである。  

米国の大統領や副大統領が外国を訪問するときに夫人を同伴させることはよくあるが、娘や息子を連れていくことはあまり聞かない。公職についていないハンター氏を、バイデン副大統領は一体何のために中国へ連れていったのか。  

ここで肝心なのは次のことである。 バイデン氏が前述のとおり、防空識別圏の一方的な設定という習近平政権の暴走を容認し、日米で中国に防空識別圏設定の撤回を一緒に求めようという安倍首相の提案を拒否した翌日に北京空港に着いたということである。  

その時に彼が、公務とは全く無関係の息子を北京へ連れていくことの意味は何か。習近平主席を助けて恩を売ったバイデン氏は、この時に習氏に対して「うちの息子を頼んだぜ」と堂々と言ったのではないだろうか。  

これはもちろん、筆者の個人的推測ではあるが、バイデン氏があの時、息子のハンター氏を北京へ連れていったことの意味は重要だ。

悪夢の到来

一つの可能性として考えられるのは、バイデン親子はその時点ですでに中国に買収されていたということだ。あるいは買収がなかったとしても、ハンター氏のことも含めて、その時からバイデン氏と習近平氏の間に、すでに持ちつ持たれつの特別な関係ができていた──。  

あれから7年。もしバイデン氏が来年(2021年)1月からアメリカ大統領となれば、北京の中南海で高笑いが止まらないのは彼の老朋友、習近平主席であることは間違いない。  

もし「バイデン政権」の4年間が、かつての防空識別圏の一件の時と同じように、アメリカが習近平政権の暴走と冒険をひたすら容認するような4年間となれば、またアメリカの政権がひたすら「習近平氏に面倒をかけないこと」をモードとしているような四年間となれば、日本の安全保障とアジアの平和維持にとって、まさに悪夢の到来でしかない。(初出:月刊『Hanada』2021年1月号)

【私の論評】エスタブリッシュメントが支配する世界は、日本が終わらせる(゚д゚)!

米国では、社会を動かしてきたエスタブリッシュメント(既存の支配層)が実質すへでの大統領に対して強い影響力を行使し、実質上操ってきたというのが実体です。米国社会に詳しい人なら、これは周知の事実でしょう。

これに対する反エスタブリッシュメントのマグマはとても強く、その中で「トランプ大統領」が誕生したのです。一方バイデンは、エスタブリッシュメントの利益を代表する、既存の大統領たちと同じとみるべきでしょう。

では、エスタブリッシュメントは中国に対してどのような姿勢なのかを知れば、バイデン大統領の姿勢も見えてくるはずです。しかし、多くの日本人にとって、いや多くの米国人にとっても、エスタブリッシュメントは、飛び抜けた資産家であり、それこそ雲の上のような存在で、日常的に会うこともなく、ましてや報道されることなどありません。

ただ、それを垣間見せるような動画が昨年の11月にYouTube に掲載されました。以下にその関連の動画を掲載します。この動画は昨年かなりの物議を醸しました。


この動画では、直接的にはウォール街のことが語られているますが、無論ウォール街では、いわゆるエスタブリッシュメントの意向が大いに反映されていることを認識した上でこの動画を理解すべきものと思います。

さて、動画に関する解説をします。昨年11月、米国左派メディアが大統領選挙のバイデン候補(民主党)の「当選確実」を宣伝している中、中国の一部学者は、米中関係が再びトランプ氏の大統領就任前の状態に戻る可能性があると期待感を高めていました。中国学者の翟東昇(てき とうしょう)氏は、過去数年間、中国当局はウォール街の金融機関を通して、米政府などを「うまく扱うことができた」と発言しました。

翟氏は、中国人民大学の国際関係学院副院長、同大学中国対外戦略研究センターの副主任兼事務局長、同大学国際貨幣研究所の特別招聘研究員などを務めています。同氏は11月28日、動画配信サイトがライブ配信した討論会で、講演を行った。討論会には、中国人民銀行(中央銀行)国際司の元司長である張之驤氏、国務院発展研究センター世界発展研究所の丁一凡副所長らの当局者も参加しました。

翟氏は講演の中で、中国当局が現在金融市場の開放を推し進めている背景に、様々な政治的かつ戦略的要因があるとしました。1つの要因として「バイデン政権が誕生した」と同氏は挙げました。

同氏は、過去数十年間、中国当局が米政府をうまく扱うことができたのは、「米国の政治権力を支配するウォール街に(中国当局の)友人がいたからだ」「彼らは中国(当局)の味方だった」と話し、しかし、この状況は「トランプ政権の発足で変わった」としました。

「中国に貿易戦を仕掛けたトランプ氏にはお手上げ状態だ。以前、1992~2016年までの間、米中間に起きた様々な問題、すべての危機、例えば大使館爆発事件など外交上の衝突をうまく処理できた。すべての問題は、夫婦ゲンカのようにすぐ仲直りできた。大体2カ月で解決できた」

「なぜだろうか?われわれに味方がいたから。われわれは米国の既存権力者の中に古くからの友人がいたからだ」

この既存権力者こそ、エスタブリッシュメントあるいはディープステートであると見て良いでしょう。

翟氏は、ウォール街は1970年代以降、米国の内政と外交に対して強い影響力を発揮してきたと指摘しました。しかし、2008年以降、ウォール街の影響力が低下し、特に2016年以降は「ウォール街はトランプ氏をうまく操ることができなくなった」といいます。

同氏が得た情報では、米中貿易戦が始まって以来、ウォール街の金融機関は中国のために動いたが、「力不足だった」といいます。

講演の中で、翟氏は「しかし今、バイデン氏が政権を握ることになった。(中略)伝統的なエリート、政界のエリート、建制派(エスタブリッシュメント)はウォール街と密接なつながりがある」と述べました。

また、同氏によれば、2015年に習近平国家主席が訪米前、中国側が米ワシントンDCにある有名書店Politics and Prose Storeで「習近平氏が治国理政を語る(中国語:習近平談治国理政)」と題する新書発表会を企画しました。

しかし、希望した時間帯には、すでに他のイベントの予約が入っていました。このイベントの主催者は中国共産党に反対しているため、時間帯の変更を拒否しました。しかし、あるユダヤ人の女性年配者(翟氏は鼻の大きいお婆さんと形容)が書店に圧力を掛け、予定通り新書発表会を開きました。

この女性は「ウォール街にある金融大手のアジア地域担当責任者だ。中国国籍を持っているし、北京市にも戸籍を持っている。(北京市の)東城区に住宅も保有している」と翟氏は話しました。

翟教授はこの老婦人の名前を明かさなかったのですが、中国共産党と強力なコネを持つ元ウォール街金融機関のトップで、米国籍と中国籍を持ち、中国語はネイティブ並み、北京市の一等地の長安街に四合院の屋敷を持っているというヒントから、一部では投資家のリリアン・ウィレンスではないか、という説が出ています。

習近平の本を見て満面の笑みを浮かべるリリアン・ウィレンス

ウィレンスはロシア系ユダヤ人で、20世紀初頭〜半ばにロシアから上海に亡命した家庭に無国籍状態で生まれました。のちに米国に渡って米国籍を取得し、ウォール街のキーパーソンとして米国と中国のコネクション形成に関与していたといいます。

中国官製メディアの報道では、2015年9月17日、中国のメディアや出版を管理する国家新聞出版広電総局は、同書店で同イベントを行いました。

翟氏が述べたこの事例は、のちにウェブサイトで公開された動画から削除されました。

中国当局がウォール街の金融機関を抱き込み、米政府の政策に影響力を及ぼすのは公然の秘密です。中国経済学者、至清氏は過去、中国企業の米市場上場を通じて、米国の金融機関は膨大な利益を得たと指摘しました。これらの金融機関が利益のために、中国企業の虚偽財務報告を無視したため、米投資家は巨額の損失を被ったといわれています。

しかし、これだけ政治的に敏感な内容が物議を醸すのは、目に見えていたはずです。この講演の中身が、なぜこのタイミングで中国で広く公開されたのでしょうか。

翟教授の“放言”は、今に始まったわけでもない。2019年から2020年にかけて行われている翟教授の断続的なインタビュー番組が、やはりネットで公開されていますが、そこでは、米国の株式バブルの背景や構造を解説しながら、米国を操っているディープステートがどんな存在か、トランプとディープステートの関係などの内幕を語っていました。翟教授はこんな話をしています。

「米国の権力構造は、異なる複数の利益集団の集まりでできている」
「(ウォール街を中心としたグローバリスト集団の)ディープステート(影の政府)がその核心だ」
「冷戦を行ったのも、第2次大戦後の世界秩序そのものを作り上げたのも、この小さなディープステートだ」
「米国の主人公はディープステートであり、大統領ではない。トランプは、ディープステートにとって初めての“外地人(よそもの)”の大統領なのだ」

翟教授は、人民大学の金燦栄教授とならんで、習近平政権の経済・国際関係方面のブレーンとみなされています。特に人民元の国際化に関する提言を主導するのはもっぱら翟教授です。

ディープステートの最大の行動原理は自らの利益の追求なので、金で動きます。中国共産党はチャイナマネーで彼らとのコネクションを形成することができたということです。

それにしても、中国の体制内知識人が、なぜあえてこのタイミングで、こうも赤裸々にこのネタを語ったのでしょぅか。中国ネットメディアで拡散し、炎上を引き起こしてしまったのは、本当に単にうっかりなのか。

中国も実は一枚岩ではないどころか、米国以上の複雑な権力構造をもっています。共産党一党独裁のヒエラルキー構造というのは間違いないのですが、すべての官僚、地方、軍、企業が共産党中央指導部に心の底から従順であるとはいえません。

中国にも「ディープステート」と呼ぶことのできる存在があります。例えば軍、長老政治、メディア、太子党企業利益集団、金融テクノクラート集団、あるいは官僚集団。そうした利益集団にまたがる共産党のキーパーソンたち。

ところが、習近平はそれらの伝統的な権力構造をぶち壊し、すべての権力を自分に集約させるために、軍制改革を行い、長老や太子党、官僚たちの派閥を反腐敗キャンペーンを利用して寸断、潰滅し、メディア・知識分子の言論統制を強化し、鄧小平の打ち立てた共産党ルールを崩壊させることを企てました。

そういう意味では中共の伝統的エリート層にとって習近平も“外地人”いや“外星人”ぐらい理解不能で、扱いにくい存在であることは間違いないないです。そうして翟教授は中共の伝統的エリート層側にいる人物です。

米国の大統領選後、米国の分断が誰の目にも明らかになって、その行方が混とんとしたままだが、実は中国共産党一党体制も同様の分断が起きているのかもしれないです。

民主主義のオープンな国ではなく、選挙もありませんし、言論不自由の恐怖政治の国なので、中国の政権批判の声や、あからさまな対立行動は見えにくいです。だが、翟教授のこうした「うっかりミス」のように見える言動が、なにかしらの意図や影響力の期待を含むという事例は過去にも多々ありました。興味深いのは、最近の中国のそれは、米国メディアや在米華人らの反応とセットにして、米国内と中国内で同時に世論誘導を起こそうとしていることです。

現在世界はコロナ以前から、新たな秩序ができあがる直前にあり、コロナがそれをはやめている状況にあるといえます。第2次大戦後、こうした米エスタブリッシュメントが作り上げた秩序、米中のディープステート双方の関係を軸とした秩序が壊され、新たな秩序ができようとしているのです。

2018年中国の習近平国家主席が、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを宣言しました。この宣言は、当時の米国のトランプ政権の「中国の野望阻止」の政策と正面衝突することになりました。米中両国の理念の対立がついにグローバルな規模にまで高まり、明確な衝突の形をとってきたといえました。

習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(6月24日付)で報道されました。同報道によると、習近平氏は6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したといいます。

当時の米国政府は中国に対してここまでの警戒や懸念を表明していました。これまで習近平政権はその米国の態度に対して、正面から答えることがありませんでしたが、この対外戦略の総括は、その初めての回答とも呼べそうでした。つまり、米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのです。

習近平のいわゆる新たな国際秩序とは、当時は私自身も米国への挑戦のみであると捉えていたのですが、これは中国内部に向けた習近平の中国の米国のそれと結びついた「ディープ・ステート」をぶっ壊すというメッセージでもあったかもしれません。

今回の米国の大統領選挙も、その大きな枠組みでとらえるべきです。こういうときには、様々人が様々な目的で、様々な暴露やフェイクニュースを垂れ流し、世論誘導をして、来る世界を自分たち利益集団の都合のように導こうと蠢き始めるものです。私たちは冷静に身構えながら、こうした奇妙な出来事や情報を精査していくべきでしょう。

中国は、民主化、政治と経済、法治国家化がなされおらず、そのためその時々の政府も元々統治の正当性が低く、「ディープステート」がはびこるのは当然のことです。彼らは、泥沼の権力闘争から逃れられないのは仕方のないことです。

しかし米国は違います。今回の大統領選挙以前から、選挙の不正が囁かれてきていましたが、表面上は民主化、政治と経済の分離、法治国家化が十分になされていて、民主国家であるとみなされています。

しかし、その中で、ディープステートが蠢いてきたのは確かなようです。こうしてみると、トランプは中国の体制とディープステートの両方と戦おうとしたともいえるでしょう。

トランプの退任で語った「我々が始めた運動は始まったばかり」という発言は、まさにこのことを意味しており、トランプが返り咲く、咲かないなどの時限の問題ではなく、世界の新た秩序づくりは、始まったばかりとの宣言とらえるべきです。

この秩序づくりには、当然のことながら、日本も参加すべきでしょう。金融の力弱まりつつあり、それにともない米国の既存の「ディープステート」も衰退していくでしょう。次世代の富の源泉はビッグデータの本格的な活用に移りつつあります。これには、米国の知的財産の剽窃した習近平の中国と、GAFAが先頭を走っています。

しかし、以前にもこのブログで述べたように、ビッグデータ活用に関する新たなイノベーションに必要な周辺技術、基盤技術のほぼ全てを兼ね備えている産業構造を持つ国は日本だけです。中国、韓国、台湾、ドイツはハイテクそのものには投資していながら、その周辺や基盤技術の多くを日本に依存しています。GAFAも例外ではありません。

日本のエレクトロニクス企業群は、このイノベーションブームの到来に際して、最も適切なソリューションを世界の顧客に提案・提供できるという唯一無二の強みを持っているのです。特に、CPUなどの心臓部分では日本は後塵を拝したところがありますが、それ以外の部分、特ビッグデータの入り口には強みを発揮することができます。

GAFAのような少数の企業ではなく、日本の裾野の広い全産業の取り組みが、中国の世界覇権、GAFAの世界市場制覇を抑制して、平和な世界を築く礎になるかもしれません。それができるのは、日本だけです。

それが、世界の新たな秩序形成に大きな役割を果たすことになりそうです。というより、私は中共やGAFAが先頭を走り続けるようであれば、世界はまた、米中の「新たなディープステート」に支配されてしまうのではないかと思います。

米国の戦略家ルトワック氏は技術革新の加速に対し、「私たちはコントロールする術(すべ)を理解できていない」と警鐘を鳴らし、グーグルなど「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米IT大手4社による市場独占への対処など、政治レベルによる技術革新の管理を求めました。

しかし、これも一つの方法だとは思うのですが、自由競争によってなりたってきた経済を今更政治が関与して管理をすれば、これは中国と同じになってしまう可能性があります。それに、それができたにしても、GAFAはそれから逃れるために様々な方法を駆使して逃れると思います。

であればビッグデータの入り口など、大きな一角を日本が占めるようにしたほうが、はるかに「新たなディープステート」の成立を阻止しやすいです。そもそも、日本の「TRON」が世界でもっと使われるようになっていれば、世界はもっと変わっていたかもしれません。

一昔前は、石油メジャーが、その後は金融界が、その後は中国とGAFAが強力な「ディープステート」になるような時代は終わりにすべきです。鼻の大きいお婆さんに、いつまでも操られるべきではないのです。

日本はこのチャンスを逃がすべきではありません。

政府は、そのことをしっかりと認識して、日本産業の発展をサポートすべきでしょう。無論役人がその役割を主導することはできないです。あくまで、政府はここは、黒子に徹するべきなのです。金は気前よく出しても、口は出すべきではないのです。しかも、成功は千三と呼ばれているように、確率が低いということを大前提として金を出すべきでしょう。役人が前面にでれば、すべてぶち壊しになります。特に財務省は必ず全部を緊縮でぶち壊します。財務省はこうした新しい取り組みには禁忌とすべきです。

ここは、日本の若い起業家らに期待したいところです。世界の新たな秩序は、中国でもGAFAでもなく、自分たちが作るのだという気概をもって努力していただきたいです。

安倍やトランプができるのは、中共、GAFAと戦うことですが、新秩序は若い世代が作っていくべきものです。

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2021年1月20日水曜日

トランプ大統領の国民に対する退任演説の言葉―【私の論評】 トランプ氏が始めた運動は始まったばかり、次に何がでてくるのかが楽しみ(゚д゚)!

 トランプ大統領の国民に対する退任演説の言葉

<引用元:ホワイトハウス 2021.1.19

大統領:アメリカ人同胞のみなさん。4年前、我々は国を再建し、その精神を新たにし、この政府の忠誠を市民に対して取り戻すための偉大な国家的取り組みに着手しました。手短に言えば、アメリカを再び偉大にするための使命に乗り出したのです―アメリカ人全員のために。

第45代合衆国大統領としての任期を終えるにあたり、みなさんの前で我々が共に達成してきたことを心から誇りに思います。我々はここに来て行うべきことを行いました―またそれ以上のことも。

今週新政権が発足しますが、新政権がアメリカを安全に豊かに保つことに成功することを祈ります。我々は成功を祈るとともに、幸運―とても重要な言葉です―に恵まれることを願います。

私はまず、我々の並外れた道のりを可能にしたわずか数名の素晴らしい人々に感謝したいと思います。

最初に華々しいファーストレディ、メラニアの愛と支援に圧倒的な感謝の意を述べさせてください。また、娘のイバンカ、義理の息子のジャレッドに、それからバロン、ドン、エリック、ティファニー、そしてララにも心からの感謝を伝えさせてください。あなたたちは私の世界を光と喜びで満たしてくれました。

またマイク・ペンス副大統領、その素晴らしい妻のカレン、そしてペンス一家全員にも感謝したいと思います。

マーク・メドウズ首席補佐官、ホワイトハウス職員と閣僚の献身的なメンバー、それからアメリカのための戦いに全身全霊を注ぎ込んだ政権の驚くべき人々全員にも感謝いたします。

また、全く並外れた一団の人々、合衆国シークレットサービスにも取り急ぎ感謝したいと思います。家族と私は、みなさんに永久の借りがあります。ホワイトハウス警護室の全員、マリーンワンとエアフォースワンのチーム、軍隊の全員、そして全国の州と地方の法執行機関にも心から感謝しています。

とりわけ私は、アメリカ国民に感謝したいと思います。大統領としての務めを果たすことは筆舌に尽くしがたい名誉でした。この類まれな恩恵に感謝いたします。そして本当にその通りです―偉大な恩恵であり偉大な名誉です。

アメリカ人は常に意見の相違がある一方で、我々は、国が繁栄・発展し大きく成功して良くなることを全員が願う、途方もなく礼儀正しく誠実で平和を愛する市民の国であることを忘れてはなりません。本当に高尚な国です。

アメリカ人全員が議事堂への襲撃に恐怖を覚えました。政治的暴力は我々がアメリカ人として大事にする全てに対する攻撃です。決して容認することはできません。

今我々は、かつてないほどに、共通の価値観を中心に団結し、党派的な敵意を乗り越え、運命共同体を築かなければなりません。

4年前私は、これまでで唯一全くの部外者として大統領の座を勝ち取った者としてワシントンにやってきました。私は政治家としての経歴はなく、建設者として開かれた地平線を見つめ、無限の可能性を想像してきました。私が大統領選に出馬したのは、アメリカにはまだ大きく伸びるのを待っているだけの高くそびえる新しい頂点があると知っていたからです。私は、アメリカを第1に置く限り国の可能性は無限だと知っていました。

ですから私はこれまでの半生を置き去りにして、とても困難ではあっても、適切に行えばあらゆる可能性を持つ活動の舞台に足を踏み入れたのです。アメリカは私に非常に多くの物を与えてくれましたので、何かお返しをしたかったのです。

この国の各地の何百万人もの勤勉な愛国者とともに、我々は国の歴史上で最も偉大な政治運動を築きました。また、世界の歴史上で最も偉大な経済を築きました。我々全員がアメリカを再び偉大にしたかったため「アメリカ・ファースト」が必要でした。我々は、国は市民に仕えるために存在するのだという原則を取り戻しました。我々の議題には右や左は関係なく、共和党や民主党も関係なく、国の利益が目的でした。つまり国全体のことです。

アメリカ国民の支持と祈りによって、我々は誰もが可能だと考える以上のことを成し遂げました。我々が近づくことすらできると考えた人は誰もいませんでした。

我々はアメリカ史上で最大の減税と改革の法案を成立させました。雇用を損なう規制を、かつてどの政権が行ったよりも多く廃止しました。壊れた貿易協定を修復し、最悪の環太平洋戦略的経済連携協定とあり得ないパリ気候条約から離脱し、一方的だった韓国との協定を再交渉し、NAFTAを画期的なUSMCA―メキシコとカナダのことですが―という、非常にうまく機能する協定に置き換えました。

またとても重要なこととして、我々は中国に歴史的で画期的な関税を課し、中国と新しい偉大な協定を結びました。しかし署名から間もないうちに、我々と世界は中国ウイルスの打撃を受けました。貿易関係は急速に変わっており、アメリカに何十億ドルも流れ込んでいましたが、ウイルスのために我々は別の方向に行くことを強いられました。

全世界が被害を被りましたが、アメリカは驚くべき経済と我々が築いた経済のために経済的に他国をしのいでいました。基盤と足場がなければ、このような結果は出なかったでしょう。我々はこれまでで最高の数字の一部を果たしていなかったでしょう。

また我々は、エネルギー資源を解き放ち、群を抜いて世界第1位の石油と天然ガス生産国となりました。こうした政策を原動力に、我々は世界の歴史上で最高の経済を築きました。アメリカの雇用創出を再燃させ、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、アジア系アメリカ人、女性―ほとんど全員―で過去最低の失業率を達成しました。

所得は急上昇し、賃金は高騰し、アメリカン・ドリームは復帰し、わずか数年で何百万人もの人が貧困から脱出しました。奇跡でした。株式市場は次から次へと新記録を出してこの短期間で148回の最高値を記録し、全国の勤勉な市民の退職金と年金が増加しました。401(K)はかつてないレベルに達しています。このような数字を見たことがありませんが、それはパンデミック前とパンデミック後のことです。

我々はアメリカの製造業基盤を再建し、何千もの新工場を新設し、「メイドインUSA」という美しい言葉を取り戻しました。

労働者の家庭の生活を改善するために、我々は児童税額控除を2倍にし、過去最高の育児・発達のための支援拡大に署名しました。我々は将来の雇用のために1600万人以上のアメリカ人労働者を訓練するという約束を守るため、民間企業と協力しました。

国が悲惨なパンデミックに見舞われた時、我々は記録的なスピードで1つではなく2つのワクチンを作り出しましたが、すぐにもっと増えるでしょう。不可能だと言われましたが、我々は行いました。「医学上の奇跡」というのですが、そういう理由で彼らは今「医学上の奇跡」と呼んでいます。

別の政権ならワクチン開発に3,4,5年、ことによると10年も掛かっていたかもしれません。我々は9カ月でやりました。

失われた全ての命を悼み、彼らのことを忘れずにこの恐ろしいパンデミックを今回限りで一掃することを誓います。

このウイルスが世界の経済に厳しい損害を出した時、我々はこれまで経験した中で最速の経済回復に着手しました。経済支援に約4兆ドルを可決し、5,000万人以上の雇用を救済または支援し、失業率を半分に削減しました。これらはこの国でこれまになかった数字です。

我々は医療における選択と透明性を生み出し、特に最恵国約款を追加しようという取り組みにおいて、非常に多くの方法で製薬大手に対して立ち向かいましたので、やがて世界のどの国よりも安価な処方薬価格が実現するでしょう。

我々はVA Choice法、VA Accountability法、Right to Try法、そして画期的な刑事司法改革を成立させました。

我々は合衆国最高裁判所の3人の新裁判官を承認しました。憲法を書かれたとおりに解釈する約300人の連邦裁判官を任命しました。

長年、アメリカ国民はワシントンが国境を最終的に保護するよう求めて来ました。我々がその願いに答えて歴史上で最も安全な国境を実現したといえることを嬉しく思います。我々は、国境警備員と勇敢なICE職員が、これまで以上に職務を果たし、法を執行してアメリカを安全に守るために必要な道具を提供しました。

我々は、これまでで最も強く堅固な国境安全策が導入された状態を次期政権に引き継ぐことを誇りに思います。これには450マイルの強力な新しい壁に加えて、メキシコ、グアテマラ、ホンデュラス、エルサルバドルとの歴史的な合意も含まれています。

我々は国内でアメリカの力を、海外でアメリカのリーダーシップを取り戻しました。世界は我々を再び尊敬しています。その尊敬を失わないでください。

我々は国連でアメリカのために立ち上がり、決して我々の利益にならなかった一方的な世界協定から離脱することで、主権を取り戻しました。そしてNATO加盟国は今、私が数年前に到着した時より何千億ドルも負担しています。とても不公平でした。我々は世界のために費用を負担していました。今世界は我々を助けてくれています。

そしておそらく全ての中で最も重要なこととして、約3兆ドルで、我々はアメリカ軍を完全に再建しました―すべてUSA製です。我々は75年来で初めて新しい合衆国軍を立ち上げました。宇宙軍です。そして昨年の春、私はフロリダ州のケネディー宇宙センターに立ち、長年の間で初めてアメリカの宇宙飛行士がアメリカのロケットで宇宙に復帰するのを見守りました。

我々はかつてないほどに、中国に立ち向かうために同盟国を活性化させ、世界の国々を再結集させました。

我々はISISのカリフ国家を全滅させ、その創設者で指導者であるアル・バグダディの惨めな人生を終わらせました。イランの圧政的政権に立ち向かい、世界の代表的テロリストでイランの殺戮者であるカセム・ソレイマニを殺しました。

我々はエルサレムをイスラエルの首都として認め、ゴラン高原についてイスラエルの主権を認めました。

大胆な外交と原則に沿った現実主義の結果、我々は中東における一連の和平協定を達成しました。誰もが現実になるとは思いませんでした。アブラハム合意は、暴力と流血ではなく、平和と調和の未来への道を開きました。新たな中東の夜明けであり、我々は兵士たちを帰国させています。

私は特に、ここ数十年で新たな戦争を全く開始しなかった初めての大統領となったことを誇りに思います。

何よりも我々は、アメリカにおいて、政府は国民に答えるものだという神聖な考えを再び主張しました。我々の導きの光、北極星、揺るぎない信念は、我々はアメリカの高潔な一般市民に仕えるためにここにいるのだというものでした。我々の忠誠は、特定の利益団体、企業、あるいは国際機関に対するものではありません。子供たち、市民、そして国そのものに対するものです。

大統領として、私の最優先事項、不変の関心事は常に、アメリカの労働者とアメリカの家庭の利益を最優先させることでした。私は最も容易な道を追求しませんでした。実際間違いなく、最も困難でした。私は最も批判されることのない道を追求しませんでした。私は大変な戦い、最も厳しい戦い、最も困難な選択を引き受けました。それが、みなさんが私を選出して行わせようとしたことだったからです。みなさんのニーズが、私の最初で最後の揺るぎない焦点でした。

これが我々の最大の遺産となることを願います。ともに我々は、アメリカ国民が再び国を任されるようにしました。我々は自治を取り戻しました。我々はアメリカでは誰も忘れ去られることはないという考えを取り戻しました。なぜなら全ての人が重要であり、全ての人に発言権があるからです。我々は、全ての人が神によって平等に造られたために、全ての市民には平等な尊厳、平等な待遇、平等な権利の資格があるという原則のために戦いました。全ての人は尊敬を持って扱われ、意見を聞いてもらい、政府に話を聞いてもらう資格を持っています。みなさんは国に忠実ですが、私の政権は常にみなさんに忠実でした。

我々は、全ての市民が素晴らしい仕事を見つけて、素晴らしい家族を支えることのできる国を築くために努力しました。我々は、全てのアメリカ人が安全に暮らせるコミュニティと、全ての子供たちが学ぶことのできる学校のために戦いました。法律が守られ、英雄が尊敬され、歴史が守られ、法を順守する市民が気に掛けられないことのない文化を推進しました。アメリカ人は、我々がともに達成したこと全てにこの上なく満足を覚えるべきです。信じがたいほど素晴らしいことです。

さて私はホワイトハウスを去りますが、私は我々全員が共有するとても貴重な遺産を脅かす危険について思案してきました。世界で最も強力な国として、アメリカは常に海外からの脅威と課題に直面しています。しかし、我々が直面する最大の危険は、我々自身が自信を失うことであり、国の偉大さに自信を失うことです。国の強さはその精神と同じ程度にしかなりません。活力は自尊心と同じ程度にしかなりません。我々は、人々の心の中で脈打つ信念と同じ程度にしか活気に満ち溢れることはないのです。

価値観、歴史、英雄に対する信頼を失う国は、長く繁栄することはできません。というのも、これらがまさに団結と活力の源だからです。

アメリカが常に過去の大きな課題を克服して勝利することができたのは、国の高潔さと歴史上の固有の目的に対する揺るぎなく臆することのない信念のおかげでした。我々は決したこの信念を失ってはなりません。我々はアメリカに対する信念を決して捨ててはなりません。

国の偉大さの鍵は、国共通のアイデンティティを維持し植え付けることにあります。つまり、我々が共通して持っている物に集中するということです。それは全員が共有する遺産です。

この遺産を中心にあるのは、自由な表現、自由な言論、そして開かれた議論に対する断固とした信念でもあります。自分たちが誰であり、どうやってここに到達したのかを忘れる場合にのみ、政治的な検閲とブラックリスト化がアメリカで起こるのを許すことも起こり得ます。想像することもできないことです。自由でオープンな議論を締め出すことは、我々の核心的な価値と最も揺るぎない伝統を汚すものです。

アメリカでは、絶対的な一致を強く要求したり、柔軟性に欠ける正統性と過酷な言論規約を強制したりしません。我々はとにかくそのようなことはしません。アメリカは、同意しない人から守られ、保護される必要のある従順な人の臆病な国ではありません。我々はそのような者ではありません。我々はそのようになることはありません。

約250年間、あらゆる課題に直面して、アメリカ人は常に比類のない勇気・自信、断固とした独立心を奮い起こしてきました。これらは、かつて何百万人もの平凡な市民が、荒れ果てた大陸の各地に旅立ち、偉大な西部で新生活を切り開くことにつながった驚くべき特質です。それは、兵士たちを戦場に向かわせ宇宙飛行士を宇宙に向かわせたのと同じ、神から与えられた自由に対する深い愛でした。

この4年間を振り返ると、とりわけ1つのイメージが心に浮かびます。私が車列で道を移動するといつも、何千人ものたくさんの人たちがいました。彼らは家族と一緒に来て、我々が通過する時に立って、誇らしげに偉大なアメリカの国旗を振っていました。私が深く感銘を受けなかったことはありませんでした。彼らは単に私への支持を示すために来たのではないと知っています。彼らが来たのは、国に対する支持と愛を私に示すためでした。

ここは、アメリカは歴史上ずっと偉大な国であるという共通の確信によって団結した誇りある市民の共和国です。我々は、全世界に対して希望、光、栄光の国であり、常にそうでなければなりません。これは我々が事あるごとに守らなければならない貴重な財産です。

この4年間、私はただそのために取り組んできました。リャドのイスラム教指導者の大集会場から、ワルシャワのポーランドの方々の大きな広場に至るまで、韓国の議会議場から国連総会の演壇に至るまで、そして北京の紫禁城からラシュモア山の麓に至るまで、私はみなさんのために戦い、みなさんの家族のために戦い、国のために戦いました。とりわけ私はアメリカとアメリカが支持する全てのために戦いました―それは安全で、強く、誇りある、自由なものです。

さて私は、20日の正午に新政権に引き継ぐ用意をする中で、我々が始めた運動は始まったばかりなのだということを知って欲しいと思います。そのようなものはこれまでありませんでした。国は市民に仕えなければならないという信念は、縮小するのではなく日に日に強く高まっていくしかないでしょう。

アメリカ国民が国に対する深く熱心な愛情を心に持つ限り、この国が成し遂げられないことはありません。コミュニティは繁栄するでしょう。国民は豊かになるでしょう。伝統は大事にされるでしょう。信仰は強くなるでしょう。そして未来はこれまでよりも明るくなるでしょう。

私は忠誠心と喜びに満ちた心、楽観的な精神、そして国にとって、子供たちにとって、最高なことが起きるのはまだこれからだという最高の確信をもって、この雄大な場所から出発します。

ありがとう、そしてさようなら。みなさんに神の祝福がありますように。アメリカ合衆国に神の祝福がありますように。

【私の論評】 トランプ氏が始めた運動は始まったばかり!次に何がでてくるのかが楽しみ(゚д゚)!

ホワイト・ハウスのサイトから以下に、原文を掲載します。

THE PRESIDENT: My fellow Americans: Four years ago, we launched a great national effort to rebuild our country, to renew its spirit, and to restore the allegiance of this government to its citizens. In short, we embarked on a mission to make America great again — for all Americans.

As I conclude my term as the 45th President of the United States, I stand before you truly proud of what we have achieved together. We did what we came here to do — and so much more.

This week, we inaugurate a new administration and pray for its success in keeping America safe and prosperous. We extend our best wishes, and we also want them to have luck — a very important word.

I’d like to begin by thanking just a few of the amazing people who made our remarkable journey possible.

First, let me express my overwhelming gratitude for the love and support of our spectacular First Lady, Melania. Let me also share my deepest appreciation to my daughter Ivanka, my son-in-law Jared, and to Barron, Don, Eric, Tiffany, and Lara. You fill my world with light and with joy.

I also want to thank Vice President Mike Pence, his wonderful wife Karen, and the entire Pence family.

Thank you as well to my Chief of Staff, Mark Meadows; the dedicated members of the White House Staff and the Cabinet; and all the incredible people across our administration who poured out their heart and soul to fight for America.

I also want to take a moment to thank a truly exceptional group of people: the United States Secret Service. My family and I will forever be in your debt. My profound gratitude as well to everyone in the White House Military Office, the teams of Marine One and Air Force One, every member of the Armed Forces, and state and local law enforcement all across our country.

Most of all, I want to thank the American people. To serve as your President has been an honor beyond description. Thank you for this extraordinary privilege. And that’s what it is — a great privilege and a great honor.

We must never forget that while Americans will always have our disagreements, we are a nation of incredible, decent, faithful, and peace-loving citizens who all want our country to thrive and flourish and be very, very successful and good. We are a truly magnificent nation.

All Americans were horrified by the assault on our Capitol. Political violence is an attack on everything we cherish as Americans. It can never be tolerated.

Now more than ever, we must unify around our shared values and rise above the partisan rancor, and forge our common destiny.

Four years ago, I came to Washington as the only true outsider ever to win the presidency. I had not spent my career as a politician, but as a builder looking at open skylines and imagining infinite possibilities. I ran for President because I knew there were towering new summits for America just waiting to be scaled. I knew the potential for our nation was boundless as long as we put America first.

So I left behind my former life and stepped into a very difficult arena, but an arena nevertheless, with all sorts of potential if properly done. America had given me so much, and I wanted to give something back.

Together with millions of hardworking patriots across this land, we built the greatest political movement in the history of our country. We also built the greatest economy in the history of the world. It was about “America First” because we all wanted to make America great again. We restored the principle that a nation exists to serve its citizens. Our agenda was not about right or left, it wasn’t about Republican or Democrat, but about the good of a nation, and that means the whole nation.

With the support and prayers of the American people, we achieved more than anyone thought possible. Nobody thought we could even come close.

We passed the largest package of tax cuts and reforms in American history. We slashed more job-killing regulations than any administration had ever done before. We fixed our broken trade deals, withdrew from the horrible Trans-Pacific Partnership and the impossible Paris Climate Accord, renegotiated the one-sided South Korea deal, and we replaced NAFTA with the groundbreaking USMCA — that’s Mexico and Canada — a deal that’s worked out very, very well.

Also, and very importantly, we imposed historic and monumental tariffs on China; made a great new deal with China. But before the ink was even dry, we and the whole world got hit with the China virus. Our trade relationship was rapidly changing, billions and billions of dollars were pouring into the U.S., but the virus forced us to go in a different direction.

The whole world suffered, but America outperformed other countries economically because of our incredible economy and the economy that we built. Without the foundations and footings, it wouldn’t have worked out this way. We wouldn’t have some of the best numbers we’ve ever had.

We also unlocked our energy resources and became the world’s number-one producer of oil and natural gas by far. Powered by these policies, we built the greatest economy in the history of the world. We reignited America’s job creation and achieved record-low unemployment for African Americans, Hispanic Americans, Asian Americans, women — almost everyone.

Incomes soared, wages boomed, the American Dream was restored, and millions were lifted from poverty in just a few short years. It was a miracle. The stock market set one record after another, with 148 stock market highs during this short period of time, and boosted the retirements and pensions of hardworking citizens all across our nation. 401(k)s are at a level they’ve never been at before. We’ve never seen numbers like we’ve seen, and that’s before the pandemic and after the pandemic.

We rebuilt the American manufacturing base, opened up thousands of new factories, and brought back the beautiful phrase: “Made in the USA.”

To make life better for working families, we doubled the child tax credit and signed the largest-ever expansion of funding for childcare and development. We joined with the private sector to secure commitments to train more than 16 million American workers for the jobs of tomorrow.

When our nation was hit with the terrible pandemic, we produced not one, but two vaccines with record-breaking speed, and more will quickly follow. They said it couldn’t be done but we did it. They call it a “medical miracle,” and that’s what they’re calling it right now: a “medical miracle.”

Another administration would have taken 3, 4, 5, maybe even up to 10 years to develop a vaccine. We did in nine months.

We grieve for every life lost, and we pledge in their memory to wipe out this horrible pandemic once and for all.

When the virus took its brutal toll on the world’s economy, we launched the fastest economic recovery our country has ever seen. We passed nearly $4 trillion in economic relief, saved or supported over 50 million jobs, and slashed the unemployment rate in half. These are numbers that our country has never seen before.

We created choice and transparency in healthcare, stood up to big pharma in so many ways, but especially in our effort to get favored-nations clauses added, which will give us the lowest prescription drug prices anywhere in the world.

We passed VA Choice, VA Accountability, Right to Try, and landmark criminal justice reform.

We confirmed three new justices of the United States Supreme Court. We appointed nearly 300 federal judges to interpret our Constitution as written.

For years, the American people pleaded with Washington to finally secure the nation’s borders. I am pleased to say we answered that plea and achieved the most secure border in U.S. history. We have given our brave border agents and heroic ICE officers the tools they need to do their jobs better than they have ever done before, and to enforce our laws and keep America safe.

We proudly leave the next administration with the strongest and most robust border security measures ever put into place. This includes historic agreements with Mexico, Guatemala, Honduras, and El Salvador, along with more than 450 miles of powerful new wall.

We restored American strength at home and American leadership abroad. The world respects us again. Please don’t lose that respect.

We reclaimed our sovereignty by standing up for America at the United Nations and withdrawing from the one-sided global deals that never served our interests. And NATO countries are now paying hundreds of billions of dollars more than when I arrived just a few years ago. It was very unfair. We were paying the cost for the world. Now the world is helping us.

And perhaps most importantly of all, with nearly $3 trillion, we fully rebuilt the American military — all made in the USA. We launched the first new branch of the United States Armed Forces in 75 years: the Space Force. And last spring, I stood at Kennedy Space Center in Florida and watched as American astronauts returned to space on American rockets for the first time in many, many years.

We revitalized our alliances and rallied the nations of the world to stand up to China like never before.

We obliterated the ISIS caliphate and ended the wretched life of its founder and leader, al Baghdadi. We stood up to the oppressive Iranian regime and killed the world’s top terrorist, Iranian butcher Qasem Soleimani.

We recognized Jerusalem as the capital of Israel and recognized Israeli sovereignty over the Golan Heights.

As a result of our bold diplomacy and principled realism, we achieved a series of historic peace deals in the Middle East. Nobody believed it could happen. The Abraham Accords opened the doors to a future of peace and harmony, not violence and bloodshed. It is the dawn of a new Middle East, and we are bringing our soldiers home.

I am especially proud to be the first President in decades who has started no new wars.

Above all, we have reasserted the sacred idea that, in America, the government answers to the people. Our guiding light, our North Star, our unwavering conviction has been that we are here to serve the noble everyday citizens of America. Our allegiance is not to the special interests, corporations, or global entities; it’s to our children, our citizens, and to our nation itself.

As President, my top priority, my constant concern, has always been the best interests of American workers and American families. I did not seek the easiest course; by far, it was actually the most difficult. I did not seek the path that would get the least criticism. I took on the tough battles, the hardest fights, the most difficult choices because that’s what you elected me to do. Your needs were my first and last unyielding focus.

This, I hope, will be our greatest legacy: Together, we put the American people back in charge of our country. We restored self-government. We restored the idea that in America no one is forgotten, because everyone matters and everyone has a voice. We fought for the principle that every citizen is entitled to equal dignity, equal treatment, and equal rights because we are all made equal by God. Everyone is entitled to be treated with respect, to have their voice heard, and to have their government listen. You are loyal to your country, and my administration was always loyal to you.

We worked to build a country in which every citizen could find a great job and support their wonderful families. We fought for the communities where every American could be safe and schools where every child could learn. We promoted a culture where our laws would be upheld, our heroes honored, our history preserved, and law-abiding citizens are never taken for granted. Americans should take tremendous satisfaction in all that we have achieved together. It’s incredible.

Now, as I leave the White House, I have been reflecting on the dangers that threaten the priceless inheritance we all share. As the world’s most powerful nation, America faces constant threats and challenges from abroad. But the greatest danger we face is a loss of confidence in ourselves, a loss of confidence in our national greatness. A nation is only as strong as its spirit. We are only as dynamic as our pride. We are only as vibrant as the faith that beats in the hearts of our people.

No nation can long thrive that loses faith in its own values, history, and heroes, for these are the very sources of our unity and our vitality.

What has always allowed America to prevail and triumph over the great challenges of the past has been an unyielding and unashamed conviction in the nobility of our country and its unique purpose in history. We must never lose this conviction. We must never forsake our belief in America.

The key to national greatness lies in sustaining and instilling our shared national identity. That means focusing on what we have in common: the heritage that we all share.

At the center of this heritage is also a robust belief in free expression, free speech, and open debate. Only if we forget who we are, and how we got here, could we ever allow political censorship and blacklisting to take place in America. It’s not even thinkable. Shutting down free and open debate violates our core values and most enduring traditions.
In America, we don’t insist on absolute conformity or enforce rigid orthodoxies and punitive speech codes. We just don’t do that. America is not a timid nation of tame souls who need to be sheltered and protected from those with whom we disagree. That’s not who we are. It will never be who we are.

For nearly 250 years, in the face of every challenge, Americans have always summoned our unmatched courage, confidence, and fierce independence. These are the miraculous traits that once led millions of everyday citizens to set out across a wild continent and carve out a new life in the great West. It was the same profound love of our God-given freedom that willed our soldiers into battle and our astronauts into space.

As I think back on the past four years, one image rises in my mind above all others. Whenever I traveled all along the motorcade route, there were thousands and thousands of people. They came out with their families so that they could stand as we passed, and proudly wave our great American flag. It never failed to deeply move me. I knew that they did not just come out to show their support of me; they came out to show me their support and love for our country.

This is a republic of proud citizens who are united by our common conviction that America is the greatest nation in all of history. We are, and must always be, a land of hope, of light, and of glory to all the world. This is the precious inheritance that we must safeguard at every single turn.

For the past four years, I have worked to do just that. From a great hall of Muslim leaders in Riyadh to a great square of Polish people in Warsaw; from the floor of the Korean Assembly to the podium at the United Nations General Assembly; and from the Forbidden City in Beijing to the shadow of Mount Rushmore, I fought for you, I fought for your family, I fought for our country. Above all, I fought for America and all it stands for — and that is safe, strong, proud, and free.

Now, as I prepare to hand power over to a new administration at noon on Wednesday, I want you to know that the movement we started is only just beginning. There’s never been anything like it. The belief that a nation must serve its citizens will not dwindle but instead only grow stronger by the day.

As long as the American people hold in their hearts deep and devoted love of country, then there is nothing that this nation cannot achieve. Our communities will flourish. Our people will be prosperous. Our traditions will be cherished. Our faith will be strong. And our future will be brighter than ever before.

I go from this majestic place with a loyal and joyful heart, an optimistic spirit, and a supreme confidence that for our country and for our children, the best is yet to come.

Thank you, and farewell. God bless you. God bless the United States of America.

END
上の文章を見ると、トランプ政権の大きな功績はすべて網羅されていると思います。他にもいろいろ功績はありますが、私がその中で最も大きいのは、トランプ政権が新たな戦争をしなかったことだと思います。

トランプ政権はアメリカを新たな戦争に巻き込みませんでした。これは実に数十年ぶりのことです。レーガン、ブッシュ(父)、クリントン、ブッシュ(息子)、オバマはすべて大統領就任中に新たな戦争を起こしています。無論、トランプ氏もすでに戦争をしている国に対してはミサイルを打ち込むなどのことをしていますが、新たな戦争は起こしていません。


それともう一つは、第一期トランプ政権の最大の置き土産の一つともいえるものです。米政府は中国共産党のウイグル人への弾圧を虐殺と認定しました。これについては、このブログでも15日にその可能性を指摘しましたが、とうとう認定されたのです。

ポンペオ米国務長官は19日、中国による新疆ウイグル自治区のウイグル族などのイスラム教徒少数民族に対する弾圧に関し、国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」および「人道に対する罪」であると認定しました。

米国は、ジェノサイドを防止し処罰することを定めた「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)」の締約国で、バイデン新政権は中国に対して何らかの措置をとることを迫られることになります。

ポンペオ氏は声明で、中国共産党の指導・管理下にある中国政府が遅くとも2017年3月以降、自治区で100万人以上を恣意(しい)的に投獄または過酷に拘束し、その大半を拷問にかけ、強制的に不妊手術をさせていると指摘しました。

また、強制労働が横行し、信教の自由や表現の自由、移動の自由が厳格に制限されているとし、第二次大戦後のニュルンベルク国際軍事裁判において「人道に対する罪」で裁かれたナチス・ドイツ高官らが実行したのと同様の犯罪行為が自治区で行われていると非難しました。

ジェノサイドについては「中国共産党体制による組織的な取り組みであり、現在も実行されている」との見方を示しました。

ポンペオ氏はその上で、中国政府に拘束中のウイグル族ら全員の即時釈放と、強制収容施設の全面閉鎖、自宅軟禁や強制労働、強制的な人口抑制策の全面廃止などを要求。「私たちは決して沈黙しない」とも指摘し、中国の非人道的行為を徹底的に追及していく立場を打ち出しました。

ブリンケン元国務副長官

バイデン新大統領が国務長官に指名したブリンケン元国務副長官は19日の上院外交委員会での公聴会で、トランプ政権によるジェノサイド認定に「同意する」と述べました。

米次期財務長官に指名されたイエレン連邦準備制度理事会(FRB)前議長は19日、上院財政委員会の公聴会で「中国はおぞましい人権侵害を犯している」と述べた。新疆ウイグル自治区での抑圧行為などを念頭に中国を批判。

中国の不公正貿易などに対抗するため「すべての手段を使う用意がある」と強調した。ちなみに、イエレン氏はRFBではまともな金融政策を行っていました。この人が財務長官になれば、米国の財政政策はまともに行われると見て良いです。

イエレン連邦準備制度理事会(FRB)前議長

これに関しては、もうバイデンでもハリスでもペロシでも否定はできません。すでにウイグル人権法が定められている今日、トランプ政権はなぜこのようなことをしたのでしょうか。これは、以前のブログでも掲載したように、トランプ政権がバイデン政権に突きつけた踏み絵でもあります。

ジェノサイド認定され、ウイグル人権法がすでに存在する現在、バイデン政権が何らかの厳しい措置をとらなければ、中国共産党とあらかじめ結びついている米民主党勢力が存在することを示すことになります。民主党の主流派には、ブリンケン氏やイエレン氏のようなまともな人物も多いです。彼らの活躍に期待したいところです。

日本政府にも見識が問われています。日本のウイグル議連の動きを活性化すべきです。チベット亡命政府の首相選挙も現在実施中です、亡命政府との関係を強めていくべきです。

             日本ウイグル国会議員連盟の総会で発言する古屋圭司会長。後方は
             日本ウイグル協会のメンバーら=昨年11月18日午後、国会内

山田宏自民党参議院議員は、「今日のJPAC(対中政策に関する日本国会議員連盟)幹事会では、日本版マグニッキー法(人権侵害制裁法)の制定促進と、日本版「ウィグル人権法」の検討を確認した」とツイートしていましだか、確認ではなく自民党には成立に向けて具体的に動いてほしいものです。

さて、トランプ大統領の演説の中にある「さて私は、20日の正午に新政権に引き継ぐ用意をする中で、我々が始めた運動は始まったばかりなのだということを知って欲しいと思います」という言葉はいったいどういう意味なのか、これは、徐々に明らかにされていくものと思います。今から楽しみです。私は、トランプ氏は転んでもただでは起きない男であることを信じています。

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2021年1月19日火曜日

中国、粗悪品コロナワクチンを途上国へ援助の真の狙い…低い有効率、強い副反応の懸念―【私の論評】中共が国内外で粗悪品ワクチンを用いれば、国内外で人々の信頼を失い統治の正当性を失う(゚д゚)!

 中国、粗悪品コロナワクチンを途上国へ援助の真の狙い…低い有効率、強い副反応の懸念

文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー



 新型コロナウイルス(以下、コロナ)による全世界の死者数が1月15日、累計で200万人を超えた。変異種の出現が感染拡大を加速させるとの警戒感から、「新型コロナウイルス用のワクチンを一刻も早く手に入れたい」との声が各国で高まっているが、このような状況下で「ワクチン外交」を大々的に展開しているのが中国である。

 フィリピンを訪問中の中国の王毅外相は16日、「中国製のコロナワクチンを50万回分寄付する」ことを表明した。中国がワクチンを提供したのはフィリピンだけではない。ミャンマーに対しても30万回分、カンボジアに対しても100万回分のワクチン提供を申し出ている。

 インドネシアでは13日、中国製のコロナワクチン接種が始まった。ジョコ大統領が最初に接種を受け、国民に安全性を強調した。マレーシアやタイ、香港、ブラジルも中国製のコロナワクチンの購入契約を結んでいる。東南アジア以外ではトルコで14日、中国製コロナワクチン接種が医療従事者らを対象に始まった。中国はアフリカ諸国に対してもコロナワクチンの提供をアピールしている。

 中国のワクチン外交には「健康のシルクロード」という呼び名がある。中国は「一帯一路」のスローガンを掲げ、国際的なインフラ投資計画を繰り広げているが、資金力の弱い国が建設費の返済ができなくなると、中国がインフラそのものを差し押さえるという事例が相次いでいる。ワクチンの提供についてもその見返りとして、中国が今後受け入れ国に対して外交的な圧力を強める狙いがあると懸念の声が上がっている。

 中国側の狙いはわかるものの、こんなにもワクチンを大盤振る舞いできる余裕があるのだろうか。中国でもコロナワクチン接種が始まっているが、国民全員に行き渡らせるためには28億回分のワクチンが必要である。

中国シノバック製のコロナワクチン

 中国政府が外交カードに利用しているワクチンを提供しているのは、中国製薬大手のシノバックである。シノバックは13日、「コロナワクチンの生産能力を2月までに2倍へ拡大し、年間10億回分にすることが可能である」との見方を示したが、現在に至るまで中国政府はこのワクチンを正式に承認していない。

 シノバックが提供するワクチンの有効性についても疑義が生じている。約1万3000人が参加したブラジルの後期臨床試験での有効率が50.38%にとどまったからである。世界保健機関(WHO)が定める50%以上の基準を満たしているものの、米ファイザーや米モデルナが開発したメッセンジャーRNA型のワクチンの有効率(90%を大きく上回る)と比べると、明らかに見劣りする。

 シノバックが開発したワクチンは、不活化ワクチンである。熱や化学物質(アンモニアなど)で不活化したウイルスを体内に投与して抗体をつくるという従来の製造方法である。この手法はインフルエンザワクチンなどで使用されていることから信頼性が高いとされている半面、効果が弱いとの指摘がある。インフルエンザウイルスに比べて新型コロナウイルスの増殖のスピードが遅いことから、体内で発生する抗原が少なく、抗体ができにくいとされているからである。

 中国では多くの人々がワクチン接種の臨床試験に参加しているが、「接種後に深刻な副反応に苦しみ、病院で治療を受けている」との噂が後を絶たない。ワクチン接種後の副反応で最も懸念されているのは「ADE(抗体依存性感染増強現象)」である。ワクチン接種によりつくられた抗体がウイルスの細胞への侵入を防ぐのではなく、逆に細胞への侵入を助長する現象のことである。ADEが生じれば重症化するリスクが高くなる。

 新型コロナウイルスと遺伝子情報がほぼ同じであるSARSウイルスの不活化ワクチン開発の際にADEが生じたことから、「コロナの不活化ワクチンでも同様の問題が起きる」ことを懸念する専門家は少なくない。

 中国製ワクチンを購入する国々にとっての期待は「感染防止」だが、ワクチンは「重症化防止」には効果があっても、「感染防止」にはつながらないとの見解が一般的である。中国産ワクチンの接種は、「感染防止」に役立たないばかりか、ADEのリスクに曝されるという極めて危険なものであり、「百害あって一利なし」である。

独ビオンテックからコロナワクチン1億回分購入

 ワクチン供給大国を自負する中国に目を転じると、意外な動きが生じていることに気づかされる。中国医薬品大手の上海復星医薬集団が昨年12月中旬、「政府からの使用許可を条件に独ビオンテックからコロナワクチンを少なくとも1億回分購入する契約を結んだ」と発表した。

ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)

 12月下旬には国営メディアは「人民解放軍の軍事科学院らがメッセンジャーRNA型のコロナワクチンの製造施設の建設を開始した」ことを報じた。臨床試験の初期段階にあるが、8カ月以内に利用可能になるとしている。製造施設の第1期の年間生産能力は1億2000万回分になる見通しとのことだが、中国はこの技術を自主開発したのだろうか。昨年7月30日付ロイターが「中国政府とつながりのあるハッカーらがコロナワクチンを開発している米モデルナを標的としていた」と報じていたことが気になるところである。

 ここから先は筆者の憶測にすぎないが、中国のワクチン外交の真の狙いは「国内でメッセンジャーRNA型のワクチン開発に目途が立ったことで、邪魔になった粗悪品(不活化ワクチン)を一掃するため」ではないだろうか。そうだとすれば、粗悪品と知らずにワクチン接種を行う国々からすればたまったものではないだろう。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

【私の論評】中共が国内外で粗悪品ワクチンを用いれば、国内外で人々の信頼を失い統治の正当性を失う(゚д゚)!

中国というと、マスク外交の大失敗は、まだ記憶に新しいです。

中国当局が初期対応を誤ったために武漢市で感染が拡大した新型コロナは世界中に拡散しました。中国に付いてしまったそんなマイナスのイメージを、「世界に手を差し伸べる責任ある大国」というプラスのイメージに転換するのがマスク外交の狙いでした。

中国が重点的に支援したイタリア、インドネシア、マレーシア、パキスタン、スリランカといった国々を眺めると、ある共通点が浮かび上がります。その多くは「一帯一路」の参加国です。

一帯一路は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が2013年に打ち出した広域経済圏構想でした。中国から中央アジアを通って欧州に至る陸路の「一帯」と、海路で東南アジア、インド、東アフリカ、中東、欧州に至る「一路」からなる。沿線国に資金を貸し付けて道路や港湾、鉄道、ダムなどのインフラを整備。人と物の交流を促進して親中の経済圏を構築するという壮大な計画です。

中国は一帯一路に未参加のフランスやオランダ、スペインなどにも医療支援の手を差し伸べており、「責任ある大国」との好印象を与えることで、参加に向けた下地作りを進めているようにも見えました。中国が医療支援した国は全部で150にも及びました。一帯一路を通じて中国の勢力圏を拡大し、米国を凌駕する超大国としての地位を獲得するという野望が透けていました。

中国遼寧省から韓国に贈られる医療用マスク=2020年3月16日、遼寧省瀋陽市

しかし、習氏の肝いりで始めたマスク外交は世界から反感を買うことになりました。医療支援を通じて国家イメージを高めようとする一方で、「戦狼(せんろう)外交」と呼ばれる強硬な外交姿勢で他国を威圧するという、矛盾した行動の結果です。

マスク外交が失敗した原因は、ほかにもある。例えば、中国にはまともな品質管理システムがないため、世界各国に輸出したマスクや検査キットの多くは、適切な基準を満たしていない欠陥品だったのです。また、中国の外交官たちは、世界各地で中国政府のあからさまなプロパガンダを売り込もうとして、かえって容赦ない批判を浴びることになりました。

在仏中国大使館はウェブサイトで「欧米は中国での感染が分かってから2カ月間、何をしていたのか」と皮肉り、「フランスの介護施設では飢えと病気で死ぬまで高齢者を放置している」などと不正確な情報を基にこき下ろしました。

新型コロナの発生源の独自調査を求めたオーストラリアには激怒して、同国からの農畜産物の輸入を制限し、自国民に留学や渡航の禁止を勧告。中国外務省の副報道局長は、「米軍が感染症を武漢に持ち込んだかもしれない」との陰謀論をツイートしました。

これら数々の不可解な言動は世界中に報じられ、不信感を生みました。

主要7カ国(G7)で唯一、一帯一路に参加し、中国からマスク外交で大きな恩恵を受けたはずのイタリアですら「悪化」が37%に達し、「改善」の21%をしのぎました。

不用意に諸外国の猜疑(さいぎ)心をあおる習氏は、鄧小平が唱えた国際協調路線を放棄したようだ。中国は1990年代以降、鄧小平が唱えた「韜光養晦(とうこうようかい、強くなるまで爪を隠す)」を外交の基本としてきました。米国をはじめとする各国と協調することで対外的に平和を保ち、国内の経済発展に専念する環境を整える意図がありました。

その一方で、鄧小平ら当時の共産党指導部は並行して愛国主義教育を強化しました。89年の天安門事件のような動乱を繰り返さないためにも、国民に共産党による統治の正当性を教育で植え付ける必要あると痛感したためです。

愛国主義教育の結果、ナショナリズムが高揚されました。やがて国民は民族の誇りをかき立てるような政策を希求するようになります。それに応えることで求心力を高めようとしているのが現在の習政権です。

習氏は2012年に総書記に就任した直後に、「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」の実現を国家目標に掲げました。

現在、米アジア・ソサエティー政策研究所の副所長を務め、13~17年に東アジア・太平洋担当の米国務次官補を担ったダニエル・ラッセル氏は、「どの国もそうだが、社会が豊かになって中流層が厚くなると、政府への要求が増えてくる。中国国内でも、一昨年ごろから一帯一路を疑問視する声が増えていた」と語っています。

ラッセル氏は「中国が植民地化されていた1840年のアヘン戦争から第2次世界大戦が終結する1945年までの『屈辱の100年』は終わった。もう誰にも踏みにじられず、皆からリスペクトされる強国に生まれ変わったと習氏は国民に訴えており、そのストーリーに沿うかたちで進める政策の1つが戦狼外交だ」と話しています。

中国政府が親中を世界に広げようと一帯一路やマスク外交に莫大な資金を投じる端から、威圧的な姿勢で帳消しにしてしまう背景には、間もなく「中国の夢」が実現するのだという国民の高揚感がありました。こうした覇権主義に通じる言動は、他国の警戒心を呼び覚ましています。中国と経済的な距離が近かった欧州でも対中政策の見直しが始まるなど、経済発展の阻害要因になりつつあります。

米クレアモント・マッケナ大学教授で政治学者のミンシン・ペイ氏は、「中国政府内には傍から見て奇妙と思えるような政治理論が存在し、無謀で逆効果となるような行為がイデオロギー的に正しく、政治的に有効と判断されることがある。誰も政策に異論が挟めない独裁的で中央集権的な体制下においては、しばしばこのようなことが起きる」と解説しています。

「中国の夢」を追いかけているようで、実は遠ざかっているのです。そのことに気がついていないという事実が、一党独裁体制の限界を示しています。

その中国が、現在は世界の富裕国が供給量に限りのある大手製薬会社の新型コロナウイルスワクチン確保に奔走する中で、中国は積極的に、資金力の弱い国々に中国製ワクチンの提供を申し出ています。中国政府が求めているのは外交上の長期的な見返りです。

 
  中国・北京にある製薬会社シノバック・バイオテックの新型コロナウイルスワクチン
  製造施設で、ワクチンを検査するスタッフ(2020年9月24日


この戦略には、新型コロナ流行初期の中国政府の対応への怒りや批判をかわし、中国のバイオテクノロジー企業の知名度を上げ、アジア内外での中国の影響力を強化・拡大するなど、複数のメリットがあります。

中国が、悪化したイメージの回復を図ってワクチン外交を展開しているのは間違いないです。中国は、ワクチン外交を、中国の世界的影響力を増大し、地政学的な諸問題を解消するツールとして用いようとしています。

中国は、低・中所得国のワクチン市場のわずか15%を獲得しただけで約28億ドル(約2900億円)の純利益を見込めると、香港の安信証券は試算しています。

全世界でワクチン接種を推進するためには、超低温での輸送を可能にする低温物流網(コールドチェーン)や保管施設の整備も必要だが、CFRのカーク・ランカスター氏はこれらの事業について、習氏が1兆ドル(約103兆円)を投じて推進する巨大経済圏構想「一帯一路」にうまく調和すると指摘しています。

すでに電子商取引(EC)大手アリババ(阿里巴巴)は、アフリカ・中東へのワクチン供給拠点となる倉庫をエチオピアとアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイに建設した。また、中国政府はブラジル、モロッコ、インドネシアなどにワクチン製造施設を建設しているほか、中南米諸国に10億ドル(約1030億円)規模の資金提供を約束しています。これらのインフラを、中国企業はコロナ後に利用できます。

こうした試みは『健康のシルクロード』と銘打たれ、中国の国際的な評判を回復しつつ、中国企業向けの新たな市場を開拓することにつながっています。

ただ、「マスク外交」で失敗した中国は「ワクチン外交」でも失敗する可能性が大です。上の記事で、藤氏は、中国のワクチン外交の真の狙いは「国内でメッセンジャーRNA型のワクチン開発に目途が立ったことで、邪魔になった粗悪品(不活化ワクチン)を一掃するため」かもししれないとしていますが、まさに粗悪品を「健康のシルクロード」に利用しているのだと思います。

それどころか私は、中国共産党は、自分たちや富裕層には独ビオンテック社のコロナワクチンを用い、それ以外のその他大勢には粗悪品ワクチンを用いようと目論んでいるのではないかとさえ思います。

中国が国内外で粗悪品ワクチンを用いれば、「マスク外交」で失敗したよりも、さらに多くの諸外国の猜疑心をあおる結果に終わるでしょう。それどころか、中共は国内外で統治の正当性を失うことになるでしょう。

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2021年1月18日月曜日

空白の対台湾政策、黙るバイデンに焦る日台―【私の論評】日台の安全保証上の最大の脅威は、中国でもコロナでもなくバイデンか(゚д゚)!

空白の対台湾政策、黙るバイデンに焦る日台

岡崎研究所

 米国のバイデン新大統領は、これまで台湾防衛について語ったことがない。たしかに「同盟の回復」については強調しているが、台湾防衛の部分は欠落している。



 ウォールストリート・ジャーナル紙の12月28日付け社説‘Japan’s Biden Jitters’は、日本の中山防衛副大臣の発言を引用しながら、台湾がアジア・太平洋において占める重要性について論じている。社説は、以下の諸点を指摘する。

・中山副大臣は、ロイターの記者に対し、「バイデンの対台湾政策を早く知りたい」、「そうすれば、相応の準備をすることが出来る」、「もし中国が一線を越えた時、バイデン氏は如何に対処するのか」と問題提起した。

・北京の強硬派は民主主義下の台湾を「分裂主義者の省」として、なんとか自分たちの統治下におきたがっているが、台湾世論の大きな動向は、中国による「統一」に反対であり、特に香港情勢を見てその傾向は一層強まっている。

・バイデン政権下において、中国共産党が台湾海峡を越えて軍事行動をしかけることもあり得ないことではない。 

・万一、台湾の独立が失われるようなことになれば、太平洋における力のバランスは大きく崩れ、中国側に決定的に有利に働くようになる。米国の目標は何よりも「抑止」である。米国はまず台湾の防衛を支援し、中国が台湾の島々を攻撃することが、いかに高くつくか、中国に知らしめる必要がある。

 その上で社説は、もしバイデンがアジア諸国の「同盟国」を安心させようというのなら、台湾防衛の目標をはっきり打ち出すべきだ、という。

 この社説は、時宜を得た良い社説である。台湾の蔡英文政権は、トランプ政権との関係緊密化を謀ってきたが、バイデン政権になっても変わらず、米台関係が緊密であることを熱望していることにかわりはない。台湾の世論調査等からもはっきりしていることは、米国が中国の圧力などにより、オバマ政権時代の対中「融和路線」に回帰することがないかを台湾としては危惧しているということだろう。

 トランプ大統領個人の資質については毀誉褒貶があるが、台湾の防衛という点については、トランプ政権下でいくつかの際立った進展が見られた。米国国内法である「台湾関係法」に基づく台湾への武器輸出の増大、米国関係閣僚のはじめての台湾訪問、総統就任直後のトランプ・蔡英文電話会談など、いずれも中国の強い反対のなかで実施された。ペンス副大統領、ポンペオ国務長官による、中国への「関与政策」終了の発言などは、最近の中国の強まる全体主義への警戒心と直結している。任期切れ間際にも、米台関係を強化する措置を打ち出した。1月9日、ポンペオ国務長官は、米国の外交官や軍人を含む当局者が台湾の当局者らと接触することを制限してきた国務省の内規を全面的に撤廃すると発表した。バイデン政権がこれらのトランプ政権時代の対中・対台湾政策をどこまで継承しようとするのか、大いなる注目点だ。

 バイデン氏は、意図的なことなのか分からないが、「自由で開かれたインド太平洋」という表現に変えて、「安全で繁栄したインド太平洋」という言葉を使用している。前者の言葉は、安倍政権、そしてトランプ政権も使用してきた。そこには、事実上、中国を仮想の脅威と見る前提が秘められている。新しい表現を使うところに、バイデン政権の対中融和路線の兆しが見えるという識者もいるが、いずれにせよ注意深く観察する必要があろう。

 バイデン氏の子息ハンターをめぐり、中国企業との不適切な関係が報道されたことがある。これらは単なる根も葉もないデマなのかあるいは、バイデン政権がそのうち中国から何らかの圧力や牽制を受けることもありうる類の話なのか、判然としない。

【私の論評】日台の安全保証上の最大の脅威は、中国でもコロナでもなくバイデンか(゚д゚)!

昨日述べたように、台湾は、自国で高性能潜水艦を開発し、最終的には8隻の潜水艦隊を持つ予定です。これは、中国に対してはかなりの抑止力になります。

なぜなら、もし台湾が日本の潜水艦のようにステルス性(静寂性)の高い潜水艦を開発できた場合、対潜哨戒能力が極端に劣る中国海軍はこれを発見できず、台湾側は中国の潜水艦を容易に発見できるため、海洋戦においては、中国は台湾に勝てなくなるからです。

ただ、現在は台湾の潜水艦は、計画段階であり台湾海軍が8隻の新型潜水艦隊を持っているわけではありません。現行は第二次世界大戦中に制作された、米国の旧式の潜水艦が4隻あるだけです。

台湾が高性能潜水艦を所有すれば海洋の軍事バランスが崩れ中国には不利

ただし、中国が台湾に侵攻することがあれば、米軍の攻撃力に優れた原潜と静寂性に優れた日本の潜水艦隊が情報収集にあたれば、中国軍が台湾への上陸を防ぐか、防ぎきれなくても、潜水艦隊で包囲して補給を絶ってしまえば、中国軍はお手上げになるだけです。

だから、台湾についてはさほど、心配するには及ばなかったのですが、バイデンが大統領になれば、どうなるかはわかりません。

米国はトランプ大統領の下で台湾への軍事支援を大幅に拡大し、関係強化にいそしんできました。そのトランプ氏に選挙で勝利したバイデン氏の次期政権が、こうした外交方針を受け継ぐかどうか、台湾側は不安な気持ちで見守っているところです。

国防総省のヘルビー次官補代行(東アジア担当)は10月の講演で、米国が台湾に対し、できるだけ多くの沿岸防衛の巡航ミサイルのほか、地雷、移動砲、最先端の監視装置も購入するよう促していると明かしました。その取り組みこそが、「絶対に敗北が許されないたった1回の戦闘」に勝利する可能性を最大化してくれると力説しました。

武器の提供はこれだけで終わりませんでした。トランプ政権は10月、台湾が要望していた対艦ミサイル「ハープーン」400基と発射・運搬装置、レーダーシステムの売却を承認。これにより軍艦や海陸両用部隊からの攻撃に対する対処能力が向上します。台湾空軍向けに空中発射式の新型巡航ミサイル135基を売却することも同月承認しました。

こうしたミサイルは、中国との軍事衝突が起きた場合には、台湾による中国艦艇、あるいは中国本土沿岸の重要拠点を攻撃する力を増強します。台湾は自前で製造する高性能の対艦、防空、対地攻撃の各種ミサイル開発も加速しています。

中国政府はトランプ政権が推進した「親台湾」政策に相当な不快感を抱いているようです。米国には直ちに台湾への武器売却と軍事的交流をやめもらいたいというのが、中国側の主張です。国務院台湾事務弁公室は声明で、台湾は中国の内政問題であると強調し、台湾への武器売却は中国に対する政治的挑発であり、「台湾分離独立」勢力を増長させるだけでなく台湾海峡の平和と安全を損なうと訴えました。

一方台湾国防部はロイターに、台湾の防衛力強化は米国内で長年、超党派から支持されていると説明した上で、米国が最近承認した武器売却に触れて、「次期米政権はこれに関する約束を履行し続けるだろう」と期待を示しました。

バイデン氏の政権移行チームはこの記事内容についてコメントを拒否しました。

台湾を不安にさせているのは、バイデン氏の過去の発言です。

例えば2001年、当時上院議員だったバイデン氏は、ジョージ・W・ブッシュ大統領(子)が台湾防衛を米国の「責務」だと表明したことを批判し、米国が中国と国交正常化した後に米台関係を規定した「台湾関係法」に基づけば、そうした義務はないと論じました。

もっともこの発言は、中国がアジア太平洋地域の米国の覇権にとって、重大な脅威として台頭するずっと前の話です。今年の大統領選中には、バイデン氏は台湾や「志を同じくする民主主義国家」とのきずなを深めるべきだと訴えていました。

バイデン氏の側近で外交に携わる人々の多くも、中国が強権的な姿勢を先鋭化し、さまざまな国際機関を都合の良いように変革させようとするようになったことで、米国が果たすべき責務は変わったと認めています。

バイデン氏が国家安全保障担当の大統領補佐官に指名したジェイク・サリバン氏はコメント要請に応じなかったものの、5月の外交専門誌フォーリン・ポリシーに共同執筆した記事で、台湾問題の核心に鋭く切り込んでいます。「中国人民解放軍は、台湾を支配下に置くために必要な兵力投射能力を築きつつある事実を隠そうとしていない。(中国の台湾制圧は)一夜にして地域の勢力バランスを覆し、西太平洋における米国の残りのコミットメントに疑念を生じさせてしまう」と論評しました。

バイデン親子

バイデン前副大統領の息子ハンター氏について、司法当局が捜査していることが9日、明らかになりましたた。ハンター氏が発表しました。税金にからむ内容が捜査項目になっています。家族のスキャンダルは次期政権の発足へ準備を進めるバイデン氏に痛手となりかねないです。

ハンター氏の声明によると東部デラウェア州の連邦地検が先月8日、ハンター氏の弁護士に「税金をめぐる事項」を捜査していると通知しました。ハンター氏は「とても重く受け止めている。ただ専門的かつ客観的な検証によって私が税務の専門家の助けを得ながら問題に合法的で適切に対処したことが証明されると確信している」と指摘。違法行為はないとの認識を示しました。

ハンター氏をめぐる詳しい捜査内容は明らかになっていないですが、バイデン氏に対する不信感が国民に広がっています。バイデン氏はトランプ氏について、2016年と17年に支払った所得税がそれぞれ750ドルにすぎなかったとの報道を引用し、過少だと批判したこともありました。

いずれにしても、最初の数ヶ月のバイデン政権の挙動をみていれば、バイデン政権がそのうち中国から何らかの圧力や牽制を受けることもありうるかはっきりするでしょう。

ただ、それに関しては日本も座して、バイデンの行方を見ているだけではなく、台湾の危機は、日本の危機という観点から、対処すべきでしょう。

米国があてにできないということになれば、日米豪印(クアッド)の連携を強め、台湾の安全保障に積極的にかかわっていくべきでしょう。そうして、日豪印によって、米国バイデン政権が台湾の安保に無関心であったり、及び腰であった場合には、徹底的に追求すべぎです。

2021年の国際的な最大リスク(危険)は、米国46代目の大統領となるジョセフ・バイデン氏だ――。こんな予測を国際的に著名な米国の政治学者イアン・ブレマー氏が1月冒頭に打ち出しています。同氏が代表を務める国際情勢分析機関「ユーラシア・グループ」が、「2021年のトップリスク」という報告書で発表しました。

イアン・ブレマー氏

この予測では、新しい年の国際リスクが1位から10位まで挙げられ、そのトップが「第46代アメリカ大統領」と明記されていた。ちなみに2位は「新型コロナウイルス」、3位は「気候変動」、4位は「米中緊迫の拡大」、以下は「サイバーの混乱」や「中東の低油価危機」「メルケル首相後の欧州」などと続いていました。

ブレマー氏はこの報告書で以下の骨子を指摘していました。
・もはや化石のように固まった米国内の政治的分断と国際的な米国の地位や指導力の低下によって、バイデン大統領は手足を縛られた状態となり、バイデン氏自身の能力や活力の限界によって統治は大幅に制約される。

・バイデン氏自身は国際情勢に対して指導力を発揮しようと試みるだろうが、まず米国が新型コロナウイルスの世界最大の感染に効果的に対処できないという現実が、国際的な信頼度を激しく低下させるだろう。

・中国の無法な行動を非難し、抑止するというバイデン政権の基本方針は、共和党と一致する部分も多い。だが、ヨーロッパがつい最近、中国との投資の包括的な合意を成立させたように、国際的には、米国の強固な対中政策を阻む要因も多い。
ブレマー氏は、2021年の最大のリスク要因は、コロナでも中国でもなくバイデン大統領であるとしているのです。

私達も認識を改めるべきでしょう。日台の安全保証上の脅威は、中国でもコロナでもなく、バイデンであると認識すべぎでしょう。

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2021年1月17日日曜日

台湾が建造開始の潜水艦隊、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性―【私の論評】中国の侵攻を数十年阻止できる国が台湾の直ぐ傍にある!それは我が国日本(゚д゚)!

 台湾が建造開始の潜水艦隊、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性

自前の潜水艦の着工式に出席した蔡英文総統=2020年11月24日、高雄市

香港(CNN) 台湾が防衛力の強化を目指し、最新鋭の潜水艦隊の建造に着手した。この動きについて専門家は、中国軍による台湾侵攻や海上封鎖の計画を複雑化させる可能性があると指摘している。

新造艦8隻のうち最初の艦の建造は昨年11月、南部の港湾都市・高雄の施設で開始された。同艦の試験航行は2025年に始まるとみられている。台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統は着工式で、建造計画を「台湾の強い意思を世界に示す歴史的な節目」と呼んだ。

台湾と中国は過去70年以上にわたり別々の政府によって統治されてきたが、中国政府は台湾に対する完全な主権を主張している。

中国の習近平(シーチンピン)国家主席は台湾独立を決して容認しないと言明し、必要なら武力行使も排除しないと主張。一方の蔡氏も屈しない姿勢を示し、台湾はアジアで「権威主義体制による侵略から民主主義を守る」取り組みの先頭にいると述べた。

中国の人民解放軍(PLA)はここ数カ月、台湾に対する軍事的圧力を強めており、台湾の防空識別圏に軍用機を派遣したり、付近の島で軍事演習を強化したりしている。台湾政府に対する威嚇との見方が多い。

ただ、侵攻を試みるPLAの艦隊はいずれも、台湾と中国本土を隔てる狭い台湾海峡を通過する必要がある。

専門家によれば、まさにこの場所において、台湾が建造を計画する潜水艦は大きな違いを生む可能性がある。新造艦は第2次世界大戦にさかのぼる現有4艦の後継となる。



隠密性の高い兵器プラットフォーム

潜水艦は今なお世界屈指の隠密性を誇る兵器プラットフォームで、相手がどのような艦隊であっても大打撃を与えることができる。

台湾の潜水艦にはディーゼル・エレクトリック方式が採用される見通し。水上ではディーゼルエンジンを動力源とする一方、潜航中は寿命の長いリチウムイオン電池で駆動する超静粛な電気モーターを使用するという。

米海軍や中国が配備を進める原子力潜水艦ではなく、ディーゼル・エレクトリック艦を選んだのは、台湾政府にとって簡単な選択だった。ディーゼル・エレクトリック艦は建造がより容易で、コストも低い。潜航時の騒音も電気モーターのほうが原子炉より少ない。

専門家は、こうした静かな潜水艦なら中国軍の対潜戦(ASW)部隊による探知が難しいとの見方を示す。台湾海峡の海底付近にひそみ、そこから浮上して台湾に向かう中国の兵員輸送艦を狙い撃ちにできる可能性もある。

新造艦にどんな技術が搭載されるのか正確なところはまだ不明だが、米政府は昨年、台湾にMk48魚雷の取得を許可した。

「大型の兵員輸送艦に魚雷が命中した場合、特にそれが米国のMk48のような現代型の魚雷であれば、侵攻する軍は1個大隊を失うことになる。従って、潜水艦がいないことを確信できるまでは、いかなる国も台湾海峡に強襲揚陸艦を派遣しないだろう」。元米海軍大佐で、現在はハワイ太平洋大学のアナリストを務めるカール・シュスター氏はそう指摘する。

未知の領域

台湾が大型潜水艦(排水量は2500~3000トンとなる見通し)の建造に乗り出すのは初めて。専門家の間では、台湾の造船産業にその能力があるか現時点では未知数との見方もある。

台湾は海外の供給業者を確保しようとしたものの奏功せず、台湾の造船企業「台湾国際造船(CSBC)」と自前潜水艦の開発契約を結ぶことになった。

「もし台湾がこうした潜水艦の建造に成功すれば、非常に先進的で有効な艦隊になる可能性がある。ただ、台湾に先進的な潜水艦の製造経験が全くないことを踏まえると、これが大きな『もし』であることは確かだ」(米シンクタンク「ランド研究所」の上級国際防衛研究員を務めるティモシー・ヒース氏)

シュスター氏は、台湾はまだ潜水艦建造技術を学習途上だと説明。8隻全てを実戦投入できるのは2030年以降になる可能性もある。

ただ、潜水艦の開発に失敗したり遅れが出たりしても、台湾には中国の軍事行動に対抗する重要な防衛手段が他にもあると専門家は指摘する。

英ロンドンの王立防衛安全保障研究所で海軍力を研究するシドハース・カウシャル氏によれば、台湾は米国製の「ハープーン」を含む各種の対艦ミサイルや機雷、特殊潜航艇を保有しているという。

パワーバランスでは中国が依然有利

専門家によると、長期的に見れば中国はまだ軍事面で優位を保っている。紛争になった場合、中国は潜水艦や水上艦、地上発射ミサイル、空軍の爆撃機および攻撃機を大量投入できる。

たとえば米国防省は中国の潜水艦隊について、近い将来に65~70隻規模になるとの見通しを示す。

その上、中国は猛烈なペースで軍備増強を進めており、すでに世界最大の規模を誇る艦隊に絶えず戦力を追加している。

この点を強調するように、台湾の潜水艦計画が高雄で始動したわずか1週間後、中国は潜水艦への対抗手段を見せつけた。

中国の環球時報は「PLAの対潜戦用航空機が爆雷攻撃演習を実施、台湾分離主義者への抑止力になるとの見方」という見出しで報道。記事の上にはY8対潜哨戒機が演習中に爆雷を投下する写真も掲載した。中国の対潜戦能力について報道が出るのは「異例」という。

【私の論評】中国の侵攻を数十年阻止できる国が台湾の直ぐ傍にある!それは我が国日本(゚д゚)!

冒頭の記事て、米シンクタンク「ランド研究所」の上級国際防衛研究員を務めるティモシー・ヒース氏の以下の発言が取り上げられています。

「もし台湾がこうした潜水艦の建造に成功すれば、非常に先進的で有効な艦隊になる可能性がある。ただ、台湾に先進的な潜水艦の製造経験が全くないことを踏まえると、これが大きな『もし』であることは確かだ」

シュスター氏は、台湾はまだ潜水艦建造技術を学習途上だと説明。8隻全てを実戦投入できるのは2030年以降になる可能性もあることも指摘しています。

米シンクタンク「ランド研究所」の上級国際防衛研究員を務めるティモシー・ヒース氏

ところが、このような潜水艦、いやおそらく技術的にはさらに上であろう潜水艦をすでに20隻以上も所有する国が台湾のすぐ近くにあります。それは、無論我が国日本です。

上の記事では、台湾が8隻の優れた潜水艦を持つことができれば、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性を指摘しています。

しかし、それはなぜなのかについては、あまり詳しく解説していません。そのため、この記事の内容を多くの人が理解しにくくしています。

今回は、それを明快に説明しようと思います。このブログの読者であれば、もうすでにお分かりだと思います。

そうです。台湾の現在の技術水準を考えると、対潜水艦哨戒能力の低い中国には、探索することができない潜水艦を制作することが可能であると考えられるからです。

中国の対潜水艦哨戒能力は、元々はロシアから輸入したものです。そうして、ロシアの対潜哨戒能力は日米に比較すると現在でも極端に低く、中国も同程度以下であるからです。これから、数十年も同じ状況が続くこどか考えれます。

そこで、台湾がある程度静寂性に優れ、ある程度以上の攻撃量を備えた潜水艦の建造に成功し、8隻程度配備することができれば、中国の侵攻を数十年にわたって封じる可能性がでてくるということです。

もし、8隻の潜水艦を配備できたとして、どのようなことが想定されるのか、以下に述べます。

中国人民解放軍が台湾に進行しようとして、空母、強襲揚陸艦、その他の艦艇を台湾に派遣したとします。そうすると、これらの艦艇はすべて台湾の潜水艦に撃沈されることになります。

なぜなら、中国海軍の対潜水艦哨戒能力は低いので、台湾の潜水艦は自由に台湾付近の海域を航行して、逐次中国艦艇を狙い打ちできるからです。これに対して、中国の艦艇は、潜水艦も含め台湾の潜水艦は容易に探知できるからです。

ほとんどの艦艇は、台湾に人民解放軍を送り込む前に、撃沈されることになります。それでも、中国人民解放軍が多大な犠牲を払ってでも、むりやり、台湾に人民解放軍を上陸させたにしても、今度は台湾の潜水艦が台湾を包囲して、台湾に上陸した中国人民解放軍への補給を絶てば、人民解放軍はお手上げになります。

一方台湾軍は、台湾潜水艦の護衛により、自由に補給ができることになり、これでは人民解放軍お手上げになり、餓死するか降伏するしかなくなります。

中国人民解放軍が台湾に上陸すれば、餓死するか降伏するしかなくなる・・・

これは、同時に何を意味するかといえば、台湾が想定している静寂性に優れた、ある程度の攻撃力を有する潜水艦をすでに20隻以上配備している日本は、尖閣諸島や沖縄を含め、日本の領土を奪取することはできないということになります。それも今後数十年できません。

無論中国の対潜哨戒能力が向上すれば、別ですが、その見込はここ数十年はたたないようです。

これに似たようなことを以前のブログに掲載したところ、ツイッターで「中国が大量にドローンを派遣してきたらどうなのか」等と質問してきた人もいましたが、その人には「中国がいくらドローンを大量に派遣してきても、潜水艦を発見できなければ、攻撃のしようがない」と応えました。

そうです。仮に中国が超音速ミサイル発射したり、宇宙から攻撃ができるようになったとしても、発見できない敵に対しては、攻撃しようがないので、無意味ということになります。

ただ、現在は台湾は新型潜水艦を作成中であるということであり、現在それを所有していないわけですから、現状は危険といえば、危険ですが、それにしても米軍の原潜は無論日本の潜水艦も当然のことながら、台湾付近の海域に潜航し、中国の動向をうかがっていることでしょう。

中国人民解放軍が不穏な動きをみせれば、日本の潜水艦は静寂性を活かし情報収集にあたり、攻撃力の高い米軍原潜は、中国艦艇に攻撃をすることになるでしょう。それによって、中国人民解放軍の艦艇の大半は撃沈されるか、上陸したとしても、補給を絶たれお手上げになり餓死するか、降伏するしかなくなります。

そのことが、十分わかっているから、中国は思い通りの海洋進出が未だにできていないのです。中国海軍のロードマップによれば、2020年には、第二列島線を確保することになっていますが、現実には台湾・尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できていません。これからも、できないでしょう。

それにしても、台湾は良いところに目をつけました。空母や他の艦艇を大量建造するよりも、数隻の潜水艦のほうが中国抑止のためには、コストパフォーマンスがかなり高いです。心理的にも中国をかなり抑制できます。誰だって、目に見えない敵から攻撃を受けるのは恐ろしいです。

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2021年1月16日土曜日

SNSが先導、選挙不正問題に蓋、米国で現代の魔女狩りが始まった―【私の論評】バイデン政権が成立しても最初からレームダックになり、米民主党は日本の民主党のように分裂し万年野党になる(゚д゚)!

SNSが先導、選挙不正問題に蓋、米国で現代の魔女狩りが始まった

メルケル、マクロンも危惧を表明


 「公正な選挙」が「権力の集中」を防ぐ

今回の史上まれに見る混乱ぶりを考えれば、米国の大統領選挙史上唯一順守されてきたと言ってよい、1月20日の大統領就任式ですら当日まで気を抜くことができないであろう。


例えば、最近知られるようになってきた「1876年の大統領選挙」においては、大統領就任式の翌年3月4日直前の3月2日まで合衆国議会が選んだ15人の委員からなる選挙委員会が20票の票の行方をめぐって紛糾した。

詳細は昨年12月17日の記事「トランプが敗北しても『真の敗北者は民主党』であるワケ」3ページ目を参照いただきたいが、大統領就任式以外のものは絶対ではないし、初代大統領ジョージ・ワシントンが就任したのは1789年4月30日であり、1797年3月4日に勇退したことから3月4日が大統領就任式との慣例が続いた。

ちなみに、大統領が2期4年というのも、ジョージ・ワシントンが望めば十分3選可能であったところ、「権力の集中を排除する」ため勇退したことから慣例化した。

1947年のアメリカ合衆国憲法修正第22条で法制化されたのは、この慣例を無視するという暴挙で、民主党のフランクリン・ルーズベルトが1933年から1945年まで大統領職にとどまったからである。つまり、ルーズベルトが行った「権力の集中」に米国民は最終的にノーを突き付けたけたのだ。

反日と評価されるルーズベルトが、「第2次世界大戦参戦の口実をつくるために日本を苛め抜いて真珠湾を攻撃させた」とはよく言われることだ。ルーズベルトが1941年に3期目の大統領職についていなければ「12月8日」はどうなっていたのだろうかとつい考えてしまう。

また、4期目が始まった直後にルーズベルトが急死し、副大統領から大統領に昇格したハリー・トルーマンが「日本への原爆投下」という人類史上最大級の「人道への罪」を犯した。

その他、過去民主党が行ってきた日本(日系人)への非道な行いは、昨年8月7日の記事「もし米国に『日本にとって悪夢』の民主党政権が誕生したら?」で詳しく述べた。南北戦争で奴隷制度を支持し、前記の「権力の集中」という暴挙を行い、さらには「日系人(だけ)強制収容」というあからさまな人種差別を行ってきた、民主党の本質は「全体主義」だと考えられる。

日本にはメディア総出で誕生させた「悪夢の民主党政権時代」が存在するが、それがどのような時代であったのか、日本国民はよく知っている。

米国も「悪夢の民主党政権時代」がやってくるのか? 悪夢ならまだしも、ナチス・ドイツのファシズムや、中国に代表される共産主義のような全体主義が米国を支配するようになったら「地獄」である。

まだ今のところ、共産主義中国よりはましな状況だと思うが、すでに米国が「香港化」しているようにも思える。

当然、日本の民主主義も危機にさらされるから、日本国民も座視している場合ではないと思う。

「民意」はどこにある?

2020年大統領選挙の争点は、バイデン(民主党)とトランプ(共和党)の戦いととらえるべきではない。

A:「不正選挙問題を無視し、バイデン氏をごり押し当選させたい」勢力
B:「不正選挙問題を解明し、公正な選挙によってトランプ氏を当選させたい」勢力

の激突である。

不正選挙の「確実な証拠」については、1月10日の記事「それでも『臭いものにふたをすれば民主主義の危機だ』と叫びたい」の3ページ目で多数の参考資料を示したので、ここでは繰り返さない。

しかし、それらの「確実な証拠」に対して「見てみぬふり」をして、司法や議会の多数を占める金権議員が、自らの保身と既得権益を守るAの立場であることは、これまで読者が目撃してきたとおりだ。

もちろん、不正選挙があったと断定するわけではないが、これだけの「確実な証拠」がそろっているのだから、Bが主張するように少なくとも「国民的議論」は行うべきだということである。

実際、「1月6日の事件のトランプ氏の責任」に対して、米国民が憤っているのか?というとそうではないようである。

世論調査会社ラスムセンが調べた1月5日のトランプ大統領の支持率は47%だったが、事件後の1月8日の支持率は48%と、むしろ上がっているのである(朝香豊氏ブログ「絶体絶命のトランプに打つ手はあるのか」参照)

1%というのはごくわずかな数字だが、オールドメディアはもちろん大手SNSも「あからさまなトランプたたき」へ舵を切っている中で、支持率が下がらないというのは驚異的現象である。

「反民主主義勢力」による少なくとも香港並みと考えられる言論弾圧の中でも、「米国人の良心」が指し示すものは変わらないと言える。

ドイツもフランスも危機を感じている……

メルケル首相とトランプ大統領は「犬猿の仲」だと言われる。また、メルケル氏は媚中派だとされることは、昨年9月21日の記事「メルケル独裁16年間のつけ、中国がこけたらドイツもこけるのか?」で述べたとおりだ。

また、バイデン氏の「当選確実」に対する祝辞もいち早く述べている。

しかし、そのメルケル氏でさえツイッターの行動を糾弾している。ドイツ政府のザイベルト報道官は1月11日、ツイッターが「トランプ米大統領のアカウントを永久停止した」ことについて、メルケル首相が懸念していると明らかにし、民間企業が言論の自由の制限を決定するべきではないとの考えを示している。

また、トランプ大統領との関係が良好ではないマクロン首相率いるフランスのルメール経済・財務相も、1月11日、ラジオで「巨大IT企業に対する規制は、業界の寡占企業自らが行うことではない」と発言した。Twitter上で発信される偽情報や扇動発言には、国や裁判所が対応すべきだということである。

こうなると「選挙不正問題」だけではなく、問題が「言論の自由」や「民主主義」そのものに広がってきたと言わざるを得ない。ドイツもフランスも全体主義的傾向の強い国だが、その両国でさえ「米国の香港化」には脅威を感じ警鐘を鳴らしているのだ。

その点、先進民主主義国家のひとつであるはずの日本において、菅義偉首相の動きは鈍すぎる……

まさか、ファシズムや共産主義などの「全体主義」を支持しているとは思えないが、その疑念を抱かせる態度である。もっとも、1月15日公開の「大丈夫? 二階俊博の顔を見すぎる菅首相、それでも他にいないのか」で述べたように、単に決断ができないだけなのかもしれないが……

日本国民も米国の「言論弾圧」の状況を対岸の火事として眺めていると、わが身に降りかかってくることになる。

SNSの検閲は中国共産党並みだ

前記の問題以外にも大手SNSの暴挙は続く。昨年11月2日の記事「グーグル提訴の世界史的な意味…GAFAは人類の敵か味方か考えろ!」に対する答えは「敵」であり、ジョージ・オーウェルの「1984」に登場する「ビッグブラザー」の支配がすでに始まっているように感じられる。

象徴的な例が、1月11日、フェイスブックが「ストップ・ザ・スティール(選挙泥棒を止めろ)」に言及する全てのコンテンツを削除すると発表したことである。

もし、オールドメディアや大手SNSが飽きもせず棒読みするように「選挙不正は無かった。トランプ氏のたわごとだ」というのなら、その「確実な証拠」が無いたわごとは早晩消えていく。エイブラハム・リンカ―ンが述べるように「すべての人々を永遠にだます」ことはできないからである。

逆に言えば、「禁句」を設定して人々の目に触れさせないようにするのは、その「禁句」が事実だからとも言える。

例えば「天安門事件」は共産主義中国における「禁句」である。しかし、中国政府が主張するように「民間人の死者が存在しない平和的な集会であった」などと信じる良識ある人々はごくわずかであろう。

本当に、中国共産党が述べるような平和的な行動であったのならば「禁句」にする必要など無い。恐ろしいのは、共産主義中国の国民の多くが「天安門事件」が起こった歴史さえ知らないことである。

多くの中国人は、米国人や日本人などの外国人から事件の存在を知らされて腰を抜かすほど驚く。教科書や歴史資料から抹殺されているのだからある意味当然と言える。

「選挙泥棒を止めろ」という言葉を禁句にする背景に「天安門事件」を禁句にするのと同じ問題があるのだと考えざるを得ない。

米国人が「選挙不正問題」を外国人から教えられて腰を抜かすほど驚くなどと言うことが起こってはならないのは言うまでもないいことだ。

1月20日以降も続く

一時期、共産主義中国で「くまのプーさん」という言葉が「禁句」になったことが話題になった。習近平氏を名指しで批判すると「監視員」によってすぐに記事を削除されたり、場合によっては逮捕・投獄・処刑されるので、中国人の間で習近平氏が似ているとされる「くまのプーさん」が隠語として使われていたからだ。

恐怖を感じるのは、最近日本でも「トランプ=虎さん」や「バイデン=梅田」のような隠語が広く使われるようになってきたことである。もちろん、削除やアカウント凍結を避けるためである。

独裁権力と闘うレジスタンスの方々の便宜のために私のブログで「独立系」のSNSを紹介した。このうちパーラーは、アマゾンの一方的なサーバー使用禁止措置により、運営の危機に瀕しているのは報道されている通りだ。

状況は危機的だが、「米国の良心」によって、昨年10月27日の記事「第2次南北戦争も―選挙結果がどうなっても米国の分断は避けられない」で述べた、第2次南北戦争のような惨劇が未然に防がれることを願う。

トランプ氏や支持者は「非暴力不服従」での戦いを続けるはずだ。マハトマ・ガンジー、キング牧師のように「非暴力・不服従」こそが、最良の解決策であると考える。

公民県運動で「虐げられていた黒人の地位を劇的に向上させた」キング牧師の言葉で締めくくりたい。

「最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である」

【私の論評】バイデン政権が成立しても最初からレームダックになり、米民主党は日本の民主党のように分裂し万年野党になる(゚д゚)!

冒頭の大原氏の記事には、"日本にはメディア総出で誕生させた「悪夢の民主党政権時代」が存在するが、それがどのような時代であったのか、日本国民はよく知っている"と述べていますが、私自身は現在の米国の状況は先日もこのブログで述べたように、まさに日本おける民主党政権誕生前夜に非常に似ていると思います。

ただし、米国と日本は選挙制度や日本は大統領制ではなく、議院内閣制であることもあり様々な違いがあり、表面的には全く異なるようにみえて、根底では似ているところがあります。

それは、日米ともに、民主党政権のときにそれまでも存在した社会の分断が大きくなり、それが新たな政権を生み出したということです。

米国ではオバマ政権のときに、それまでもあった社会の分断がさらに大きくなり、その後トランプ政権が誕生しています。

2017年トランプ大統領就任式

日本では、民主党政権が誕生して、それまでもあった社会の分断が大きくなり、その後安倍政権が誕生しています。

分断が大きくなった直後に登場したリーダーとしては、トランプ氏も安倍氏も共通しています。そうして、その分断はこのリーダーたちが登場する直前に大きくなっていることでも共通しています。

日本と米国では社会の分断や規模の違いもあります。日本でも、社会の分断は進んだのですが、それにしても民主党政権が崩壊してからは、社会の分断は米国ほどには大きくはないです。それは、野党の支持率がかなり低いことで示されています。

ただし、報道や芸能関係や、労働組合、学術会議が問題が暴いた大学等比較的影響力の大きいところが、未だリベラル左派に占められています。リベラル左派は本当は、少数派なのですが、メディアがこれらの声を増幅するので、いかにも大きいように見えるだけです。

菅政権の支持率は下がっていますが、民主党から継承された、立憲民主党や国民民主党などの支持率は今でも低迷し続けています。自民党への支持率は変わりありません。そのため、現在でも選挙をすれば、自民党が勝つのは間違いないでしょう。菅政権を継続するか否かは、自民党の判断に委ねられることになります。

米国でも、これに似たような動きになっていくものと思われます。日々の大統領のツイッターなどで振り回された4年間のトランプ政権の混乱後、バイデン政権は政策に一貫性を取り戻し、表面上は米国政治が落ち着きを取り戻したように見えるかもしれません。

しかし、バイデン氏は、同氏が不正選挙で選ばれたと考える多くのトランプ支持者、さらには民主党左派といったさまざまな抵抗勢力に対応せねばならないです。危機対応においては幅広い国民からの支持が欠かせません。バイデン氏の政権発足後のハネムーン期間は短いものとなりそうです。

民主党内で最も勢いを増している左派は、中道の政策を望んでバイデン氏を支持したわけではありません。民主党を統一させる効果を発揮したのはバイデン氏の掲げる政策ではなく、トランプ氏の存在と同大統領の危機対応についての懸念でした。 

1月5日、ジョージア州上院決選投票で民主党候補2人がともに勝利したことで大統領府、上下両院の3つすべてを握る「トライフェクタ(三冠)」を民主党は実現しました。 

上院で共和党が多数派を維持していたとしたら、バイデン政権が成立を願う法案は共和党ミッチ・マコネル上院院内総務によって阻止される運命にありました。

ところが、上院奪還により民主党チャック・シューマー上院院内総務が議題を決定できることになります。またバイデン政権の閣僚など政府高官も上院で承認が容易になります。より大規模な対コロナ経済支援策、インフラ整備法案の可決なども可能性が高まります。バイデン政権にとっては公約実現のうえで、トライフェクタは朗報です。

ところが、次回選挙を考慮すると必ずしもバイデン氏は喜べないかもしれないです。共和党が上院多数派を維持していた時には、左派が望むグリーン・ニュー・ディール、オバマケアの大幅な改革をはじめ左寄りの政策に関わる法案を議会で可決できないことについて、バイデン氏は共和党に責任を転嫁できました。

しかし、トライフェクタでは左寄りの政策の法案可決に期待が高まり、政権に対する左派からの圧力が強まることになります。

ところが、上院では財政調整法を利用した一部の法案を除き、フィリバスター(議事妨害)を廃止しない限り、採決に入るためには60票の賛成票が必要です。つまり、引き続き穏健派を含む民主党上院議員の50票すべてと共和党上院議員10票が必要となります。

また、下院でも民主党の過半数確保はギリギリの状態(民主党222議席、共和党211議席、空席2議席)です。民主党提出の法案にすべての共和党議員が反対した場合、民主党6人が造反すれば可決できません。

日米の民主党の違いはまさにここにあります。日本の民主党の場合は、確かに左派、左翼なども内包していましたが、共産党や社民党は別であり、日本の民主党は共産党・社民党とは別であり、あくまでリベラルと捉えらていました。

だからこそ、政権交代ができたのです。米国の民主党のように、共産主義・左翼が内包されていれば、そもそも政権交代そのものができなかったでしょう。

ただし、日本の民主党の政策はこのブログでも主張していたように、最初から政策があまりにお粗末であり、民主党政権下では、経済でも、安全保障でも、外交もうまくいかず、さらには重要なことはほとんど何も決定できず、3年半漂流していたというのが、実態でした。

米国の民主党の場合は、左翼が内部に存在しているのです。副大統領になる予定のカマラ・ハリスも掲げる政策をみると左翼です。そうなると、左翼は左翼の望む法案を成立させたいと思うのは当然ですし。

大統領選から撤退した、サンダース氏は米メディアの取材に「格差改善へ最低賃金の引き上げが急務だ」と強調していたように、新政権に左派政策を積極的に取り入れるよう圧力を強めることは必至です。

サンダース氏

しかし、この政策は韓国で文在寅大統領が実行して、大失敗して雇用が激減して、とんでもないことになっています。最近の文在寅大統領の支持率の低下は、マクロ経済に疎いとみえて、韓国でも日本でも報道されていませんが、金融緩和しないで最低賃金をあげてしまえば、雇用が激減するのは当然のことです。これは、当初から十分予想できたことです。

本来賃金は、金融緩和をしつつ雇用を安定化させ、その上で様子をみながら上げていくべきです。日本でもそうでしたし、世界共通のことですが、大規模な金融緩和をすれば、雇用は増えるのですが、最小はアルバイト・パートや正社員でも若年層の雇用が優先するので、実質賃金は下がります。

それでも、さらに緩和しつづけると、もっと上の層の雇用が促進するとともに、賃金が上がっていきます。マクロ経済に疎い日本の野党などは、安倍政権発足時に日銀が包括的金融緩和をしたばかりのころ、予定通りに雇用が上向き、実質賃金が下がったことに対して「実質賃金がー」と無知丸出しの批判を繰り返していました。枝野氏など旧民主党の幹部の中には、民主党政権のほうが雇用政策は良かったなどと、頓珍漢な批判を繰り返しています。

いわゆる左翼といわれる人達は、文在寅氏、米国のサンダース氏をはじめとする左翼、日本では枝野氏をはじめとするリベラル・左翼の方々もほとんど理解しいないようです。これはなぜか、リベラル左派・左翼の特徴のようです。これに対して、トランプ氏も安倍元総理大臣も雇用においてはかなり良い成果をあげています。
単純に最低賃金を上げる政策に関しては、当然のことながら、民主党主流派も共和党も反対するわけですから、これらの法律はことごとく成立しなくなります。

これでは、左翼の不満は募ることになります。その不満が募った果にどうなるかといえば、米国の民主党も日本の民主党のように、何も重要なことが決められなくなり、漂流することになりそうです。そうして、米民主党の分裂が起こる可能性が高くなると考えらます。

米国の民主党には左翼が多く存在していて、かつての日本の民主党よりも党内での存在感は強いですし、米民主党の主流派とは全く違います。

日本の民主党の場合は、マスコミの加勢もあって、政権交代の時の選挙では圧倒的な勝利を治め、これは明らかに「自民党にお灸をすえる」とか、「民主党政権に試しにやらせてみる」と考えた有権者の間違いであったことは確かです。

米国では今回の大統領選挙でも、上院議員選挙でも、マスコミの加勢やSNSのかなりの加勢があっても、伯仲していましたし、米国民の多くも不正選挙があったと信じています。それは、上の記事にもある、ラスムセンが調べた1月5日のトランプ大統領の支持率は47%だったが、事件後の1月8日の支持率は48%と、むしろ上がっていることが如実に示しています。

不正選挙に関しては、日本では「不正選挙はあったが、大統領選挙の結果を覆すほどのものではなかった」とされていますが、米国のロイター通信は先月18日、米大統領選で共和党支持者の52%が「正当な勝者はトランプ大統領」と答えたとする世論調査結果を公表しました。証拠を示さず「不正によって勝利を盗まれた」と訴えるトランプ氏の主張に、支持者の多くが賛同していることが明らかになっています。

回答者全体でも、今回の大統領選の結果が「合法的で正確」と答えたのは55%で、16年大統領選から7ポイント減。逆に「違法または不正」と考える人は12ポイント増の28%で、選挙プロセス自体への不信感が広がっていることを示しています。

トランプ陣営の弁護士ジュリアーニ氏は、ミシガン州の220人の宣誓供述書やペンシルベニア州の宣誓供述書の一部を明らかにしています。これらの宣誓供述は、なぜか最高裁で争われることはなかったのですが、これからも格好の攻撃材料にされることでしょう。

この状況だと、米国では政権交代して民主党が政権与党となっても、日本の民主党以上に、混乱を極め、漂流することになりそうです。

挙げ句の果に、日本の民主党のように分裂して、万年野党になってしまう可能性も極めて高いです。

日本は、米民主党がかつての日本の民主党のように、漂流することを前提に様々な政策を推進していくべきです。

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2021年1月15日金曜日

中国・新疆ウイグル自治区で「ジェノサイドの可能性」 米報告書―【私の論評】ウイグル問題は、トランプ政権がバイデン政権に突きつけた踏み絵(゚д゚)!

 中国・新疆ウイグル自治区で「ジェノサイドの可能性」 米報告書

北京で2018年4月

 米国の中国問題に関する超党派の連邦議会・行政府委員会(CECC)は14日に公表した2020年の年次報告書で、中国当局が新疆(しんきょう)ウイグル自治区のウイグル族などのイスラム教徒少数民族に対し、国際法上の犯罪である「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を実施している可能性があると指摘した。

 報告書は、この1年間で自治区での大量虐殺を含む「人道に対する罪の証拠」が浮上したと指摘し、米政府に対して自治区でのウイグル族などへの弾圧をジェノサイドであると公式に認定するよう促した。

 国務省は、ポンペオ国務長官の指示でジェノサイド認定するかどうかについて検討を進めているとされ、トランプ大統領の任期が切れる20日までに認定に踏み切るかが注目される。

 報告書によると、自治区ではウイグル族やカザフ族、キルギス族などの少数民族や約180万人が「広範かつ組織的」に施設に収容され、強制労働に加え、拷問や政治教化を受けている。また、外部に流出した中国政府の文書によると、強制収容システムが中国共産党の最高幹部の指令によって構築されたことが一層裏付けられたとした。

 さらに、中国当局がウイグル族らに対し、「家族や文化、宗教的信仰心の破壊」を目的に避妊手術や産児制限を組織的な政策として強制している証拠が新たに浮上したと指摘した。

 報告書はその上で、米政府に対し、ジェノサイド認定に加え、自治区の住民の監視に利用される顔認証システムや人工知能(AI)技術に関する新た輸出規制を設けるよう要請した。

【私の論評】ウイグル問題は、トランプ政権がバイデン政権に突きつけた踏み絵(゚д゚)!

米共和・民主両党の上院議員は昨年10月27日、中国がウイグル人をはじめとするチュルク語系少数民族に対するジェノサイド(大量虐殺)を行っていると宣言する決議案を提出しましたた。

昨年ドイツ人研究者によるウイグル自治区“強制不妊リポート” 中国が真っ向反論したが・・・

上院では来週の大統領選後まで審議が行われないため、すぐに採決されることはありませんでしたが、これらの少数民族100万人以上が強制収容されているとされる問題で中国への圧力が強まる可能性があることが指摘されていました。

決議案は、中国が「新疆ウイグル自治区でウイグル人、カザフ人、キルギス人、その他のイスラム教徒の少数民族に行っている」活動は、「ジェノサイド」に当たるとしています。

 ジョン・コーニン上院議員(共和党)は、「決議案は中国の行為を犯罪と認め、中国にその極悪非道な行為の責任を取らせる第一歩だ」と述べました。

 ジェフ・マークリー上院議員(民主党)は、決議は米国が「黙っていられない」ことを示すだろうと語り、「監視の強化、強制収容、拷問、強制的な『再教育キャンプ』といった、ウイグル人やその他のイスラム教徒の少数民族に対する中国の攻撃はジェノサイドだ。単純明快だ」と話しました。

決議案の発起人には、外交政策でドナルド・トランプ大統領に近いマルコ・ルビオ上院議員(共和党)や、上院外交委員会の民主党のトップ、ロバート・メネンデス上院議員も名を連ねています。

マイク・ポンペオ国務長官は27日、訪問先のインドでニュースサイト、ザ・プリントのインタビューに応じ、「(中国の行動は)1930年代にドイツで起きたことを想起させる」と述べました。

マイク・ポンペオ米国務長官

米大統領選の世論調査でトランプ氏より優勢になっている民主党のジョー・バイデン前副大統領の陣営も、中国の行動をジェノサイドと呼び、対応を強化する方針を示してきました。

昨年12月24日には、対中強硬派のポンペオ国務長官が検討作業を指示されていることが、米当局者が明らかにしました。米政府が認定すれば、中国の強い反発が予想されます。

国務省で国際刑事司法問題を担当するタン大使が検討作業を取りまとめ、ポンペオ氏に報告する予定だといいますが、報告の時期は不明でした。その報告書が今回、提出されたのです。ジェノサイドに認定した場合、中国に対する何らかの制裁措置を求める声が高まるのは確実とみられます。

バイデン政権が、一部の識者が言うように対中強硬姿勢を崩さず、ウイグル問題でもトランプ氏と同じような対応をとる可能性もあり、そうであることを強く期待しています。

しかし、大統領になる以前に、そのような意向を表明することと、実際大統領として中国に対峙し、ウィグル問題でも譲歩しないかどうかは別問題です。

バイデン政権が、米国が中国との平和と安全を、人権を尊重する日本や台湾、他の先進国との共通の価値観よりも優先するように変わっていくのならば、日本は今度こそきちんと憲法と国防の議論を行い、この米国依存体質から脱却する方法を考えるときかもしれないです。

そうして、昨日も述べたように、安倍・トランプ両氏の置き土産である日米豪印(クアッド)の中国包囲網を強化すべきでしょう。

ウイグル問題はバイデン政権の踏み絵・・・・・

そういう意味では、トランプ大統領の任期が切れる20日までに認定に踏み切るにしても、バイデン政権に委ねられるにしても、これはバイデン政権の試金石になることは間違いありません。これはトランプ政権による踏み絵と見ても良いと思います。

ウイグル人権法がすでに施行されている現在、この法律に沿ってバイデンがどのような具体的な行動を起こすかが注目されます。宥和的な政策をとれば、共和党による批判攻撃は強まり、今回の選挙でも明らかになった、米国の人口のおよそ半分を占める保守層の国民の反発も強まるでしょう。

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