検索キーワード「プーチン ソ連」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示
検索キーワード「プーチン ソ連」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示

2024年4月5日金曜日

半導体リスク、懸念払拭に腐心 TSMC「防災能力十分」 台湾―【私の論評】台湾の半導体産業の強みから学ぶ ウクライナ IT 産業復興の可能性

半導体リスク、懸念払拭に腐心 TSMC「防災能力十分」 台湾

まとめ
  • 台湾で3発生した大規模地震が、台湾の半導体製造大手TSMCにどのような影響を及ぼすか注目されている。
  • 経済安全保障の観点から、重要な半導体製造が台湾に集中していることのリスクが指摘されており、TSMCと台湾政府は対応に腐心している。
  • TSMCは地震の影響を概ね7割以上が復旧したと説明し、対応能力に自信を示したが、海外メディアは、地震多発で地政学的緊張地域にある台湾に半導体製造が集中することのリスクを指摘。
  • TSMCは世界シェアの6割を占め、台湾に生産能力の9割以上を集中させている。各国は台湾への依存低減を目指し、TSMCの海外展開を後押ししている。
  • 台湾政府関係者は、台湾への「一極集中」を疎む見方に対し、台湾の存在感を示す機会にもなっていると複雑な心境を吐露している。

地震の被害にあった台湾の書店

 台湾で3日に発生した大規模地震を受けて、世界をリードする半導体製造大手TSMCの影響が注目されている。台湾に半導体製造が集中していることのリスクが、経済安全保障の観点から以前から指摘されていたが、今回の地震を受けてさらに注目が集まることとなった。

 TSMCは地震の影響について7割以上が復旧したと説明し、対応能力に自信を見せた。しかし、海外メディアからは、地震多発で地政学的緊張の高い台湾に半導体製造が集中していることのリスクが指摘された。TSMC は世界シェアの6割を占め、台湾内に生産能力の9割以上を置いているため、各国は台湾への依存を低減するべく、TSMCの海外展開を後押ししている。

 一方、台湾政府関係者は、台湾への「一極集中」を疎む見方に対して、台湾が国際社会で存在感を示し、中国からの統一圧力に対峙できている面もあると、複雑な心境を示した。

【私の論評】台湾の半導体産業の強みから学ぶ ウクライナ IT 産業復興の可能性

まとめ

  • 台湾の半導体産業、特に世界をリードするTSMCの存在が、地震の影響を受けて注目を集めている。
  • 台湾への半導体製造の集中は、自然災害や地政学的リスクの観点から経済安全保障上の課題となっている。
  • しかし台湾政府関係者は、台湾への半導体集中を疎外する見方に対し、台湾の国際的地位確立の機会ともなっていると主張している。
  • 台湾の半導体製造能力は、台湾自身の経済的自立と繁栄に不可欠であり、同時に台湾を支持する国々の地政学的利益にも深くかかわっている。
  • 台湾の半導体産業の強靭性は、ウクライナの IT 産業復興にも参考になる可能性がある。
先日の台湾東部での大地震に遭われた方々に、心よりお悔やみ申し上げます。犠牲となられた方々のご冥福をお祈りいたします。地震の影響で被害にあわれた方々が一日も早く日常の生活を取り戻せますよう、心からお祈りしております。

さて、今回の地震は台湾の半導体産業にも大きな影響を及ぼしたようです。台湾は世界の半導体生産の中心地となっており、特に台湾積体電路製造(TSMC)の存在は極めて重要です。今回の出来事を契機に、台湾の地政学的な位置づけや、経済安全保障上の課題などについて考えてみたいと思います。

台湾国旗

経済安全保障の観点から、重要な半導体製造が台湾に集中していることのリスクは以下のようなことが考えられます。

第一に、地震や自然災害のリスクが高い台湾に半導体製造が集中していることです。今回の地震で一時的な生産停止を余儀なくされたTSMCの例が示すように、自然災害による供給途絶のリスクが高まります。

第二に、台湾をめぐる地政学的な緊張が高まっていることです。中国による台湾への圧力が高まる中で、半導体供給の寸断などが懸念されます。経済活動に不可欠な半導体の供給が滞るリスクがあります。

第三に、台湾への依存度が高すぎることで、サプライチェーンの多様化が進まないことです。特定の地域への過度の集中は、予期せぬ事態への脆弱性を高める可能性があります。

以上のように、台湾への半導体製造の集中は、自然災害や地政学的リスクの観点から、経済安全保障上の課題をはらんでいると指摘できます。

ただし、上は海外の先進国などから見た視点であり、台湾と台湾を支援する国々からの視点を考えてみると、これとは異なる見方が可能です。

台湾の半導体製造能力が台湾自身や台湾を支援する国にとって、国益につながるということがいえます。

まず、台湾にとって、半導体産業は経済の中核を成す極めて重要な産業です。TSMCをはじめとする台湾企業は世界をリードする高度な半導体技術を持ち、台湾の経済成長と国際的地位の確立に大きく貢献してきました。したがって、この半導体製造拠点を維持し続けることは、台湾の経済的自立と繁栄にとって不可欠なのです。

一方で、中国による台湾統一への圧力が高まる中、台湾の半導体製造能力は戦略的にも極めて重要な意味を持っています。台湾は中国に対抗し、独自の地位を確保する上で、この技術優位性を活かすことができるのです。

そのため、台湾の半導体製造拠点を支援し、台湾の地位を守ることは、日米をはじめとする台湾支援国にとっても重要な国益につながっています。台湾の半導体技術を掌握することで、これらの国々は中国に対する地政学的影響力を維持・強化することができるのです。


つまり、台湾の半導体製造能力の維持は、台湾自身の経済的自立と、台湾を支持する国々の地政学的利益の両方に深くかかわっているのが実情なのです。これこそが、台湾の半導体製造拠点が持つ極めて重要な国益となる理由なのです。

台湾は、TSMCをはじめとする企業の先端的な半導体技術力により、世界の半導体生産の中心的役割を担ってきました。この技術力は台湾の経済的地位の確立に不可欠であるだけでなく、自由主義陣営の技術優位性を示す象徴的な存在でもあります。

ところが、中国がこの台湾の半導体製造能力を手に入れれば、中国は強大な経済的・軍事的な優位性を得ることができます。そうなれば、現在の自由主義秩序に基づく世界経済体制が根底から揺らぐ可能性すらあります。

つまり、台湾の半導体産業を中国に渡すことは、単なる経済的な問題にとどまらず、世界の政治・安全保障秩序に関わる極めて重大な問題なのです。

したがって、台湾の半導体製造能力を自由主義陣営が確保し続けることは、世界の平和と安定を維持する上で不可欠な課題だと言えるでしょう。これこそが、台湾の半導体産業の持つ、より大きな地政学的意義なのです。

TSMCは4日夜の声明で、工場設備の復旧率はすでに80%を超え、このうち世界最先端の半導体の量産を行っている新工場では完全復旧する見通しだと明らかにしました。そうしてTSMCが迅速に立ち直れたことは、台湾半導体産業の強靭性を示す証左だと言えます。

台湾の半導体産業その中でも、世界最戦隊の半導体工場が、自然災害からの影響を短期間で乗り越えられたことは、極めて重要な意味を持っています。

第一に、これは台湾半導体産業の高い技術力と危機管理能力を示しています。台湾メーカーが自然災害への備えを十分に行い、素早い復旧を実現できたことは、台湾の産業競争力の高さを証明するものです。

第二に、この迅速な復旧は、台湾半導体産業の戦略的価値をも示すものと言えます。たとえ中国などの攻撃によりダメージを受けたとしても、台湾は短期間で生産を再開できる能力を持っているのです。これは台湾の安全保障にも直結する重要な強みといえるでしょう。

つまり、今回の地震からの復旧の早さは、台湾半導体産業の強靭性と戦略的価値を如実に示すものだと評価できます。これは台湾の存在意義を改めて示す好機となったと言えるでしょう。

そうして、こうした台湾の事例は、我が国日本にも非常に参考になると思います。

台湾のTSMCがここまで迅速に地震の影響から立ち直れたことは、日本の産業にとっても参考となる事例です。台湾の危機管理体制や、サプライチェーンの強靭性を学ぶことで、日本企業の競争力向上につなげられるかもしれません。

また、台湾の半導体産業が持つ地政学的な重要性については、日本もまた同様の戦略的意義を有していると言えます。中国の脅威に直面する日本にとっても、自国の産業基盤を守り抜くことは重要な国家的課題なのです。

したがって、台湾の経験は日本の産業政策を考える上で、大変参考になると評価できるでしょう。日台両国が協力し、半導体産業の強靭性を高めていくことが、双方にとって重要な戦略的意義を持つと言えます。

さらに、台湾のTSMCが蓄積してきた半導体の高度な製造技術は、ウクライナの復興にも参考になる可能性があると考えられます。

ウクライナ国旗

ウクライナは、ロシアによる侵攻で深刻な被害を受けていますが、復興に向けた取り組みが進められています。その中で、特に注目されるのがウクライナの IT 産業の将来的な発展です。

ウクライナは、ソ連時代から優れたエンジニアを多く輩出してきた国であり、IT 分野での高い技術力を持っています。これまでも IT 企業の進出が相次ぐなど、ウクライナはIT産業の新興拠点としても注目されてきました。この点、ウクライナは他の発展途上国とは明らかに異なります。

そこで、台湾のTSMCが培ってきた半導体の最終工程における高度な製造技術は、ウクライナにとって非常に参考になるのではないでしょうか。 ウクライナがIT等の一定の分野でこれに匹敵するような技術力を身につければ、自国の IT 産業を強化し、経済復興につなげていくことができるかもしれません。

その結果、ウクライナが経済発展し、このブログでも以前指摘したように、ウクライナの一人あたりのGDPが、韓国なみになれば、ウクライナのGDPは、開戦前のロシアのGDPと同程度になります。

もちろん、ウクライナと台湾では国情が大きく異なるため、単純に当てはめることはできません。しかし、両国が抱える課題の共通点もあり、お互いの経験を活かし合えるポテンシャルは十分にあると考えられます。

ウクライナの IT 産業の復興と発展に向けて、台湾の半導体技術が一石を投じることができるかもしれません。これは両国にとって大きな意義を持つ可能性があるといえるでしょう。また、日本にとっても大きな意義をもつことになるかもしれません。

【関連記事】

<独自>NATO首脳会議に岸田首相を招待 米政府調整、出席なら3年連続―【私の論評】岸田首相をNATO首脳会議に招待するバイデン政権の狙い:ウクライナ支援を含めた岸田政権の継続の可能性

2024年3月23日土曜日

モスクワ郊外コンサートホール銃撃 60人以上死亡 テロ攻撃か―【私の論評】モスクワ テロ事件が意味するプーチン体制の危機的状況

モスクワ郊外コンサートホール銃撃 60人以上死亡 テロ攻撃か

まとめ
  • ロシア・モスクワ郊外の大規模コンサートホールで22日夜に銃撃テロ事件が発生し、これまでに60人以上が死亡、115人以上がけがを負った。ISの関連組織が犯行声明を出した。
  • 事件の詳細は、コンサート開始前に複数の人物が建物に侵入し銃撃を開始、最大6200人が館内にいた可能性があり、目撃者は「多くの人が死傷した」と証言した。
  • 1週間前、在ロシア米大使館がモスクワでの大規模集会に対するテロの恐れを注意喚起していた。ISはシリア・イラクを支配し各地でテロを重ねてきた過激組織。
  • ロシアでは1990年代以降、モスクワや南部で同様のテロ事件が多発し、過去には爆破や人質事件などで数百人が犠牲となっていた。
  • ウクライナ側とロシア人義勇兵組織は関与を否定、米政府も「ウクライナの関与を示す情報はない」と述べた。
襲撃されたコンサートホール X投稿より

 22日夜、ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで銃撃が発生し、建物に火災が起きた深刻な事件となった。ロシア当局によると、これまでに60人以上が死亡し、115人以上がけがを負っている。

 過激派組織IS(イスラミック・ステート)と関係の深い「アマーク通信」は、ISの戦闘員がキリスト教徒の群衆を襲撃し、数百人に被害を与えたと主張する犯行声明を出した。事件の経緯として、コンサートが始まる前に複数の人物が建物に侵入し、銃撃を開始したという。

 当時、最大で6200人がホール内にいた可能性があり、目撃者は「多くの人が死傷した」と証言している。注目すべきは、在ロシア米大使館がこの事件の1週間前に、過激派がモスクワの大規模集会を標的にする計画があるとの情報を受け、注意を呼びかけていたことである。

 ISはかつて、シリアとイラクにまたがる広大な地域を支配下に置き、各地でテロを重ねてきた。ロシアでも1990年代以降、モスクワや南部地域で同様のテロ事件が多発しており、過去には爆破や人質事件、自爆テロなどで数百人の犠牲者が出ている。

 ソチオリンピックの前年にもテロが発生するなど、政府の警戒が続いていた。一方、ウクライナ側とロシア人義勇兵組織は今回の事件への関与を否定した。米政府も「ウクライナの関与を示す情報はない」と述べている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】モスクワ テロ事件が意味するプーチン体制の危機的状況

まとめ
  • 首都近郊でのテロは、治安維持の失敗を示し、プーチン体制の権威と統治力の低下を物語る。
  • 一般市民の不安感が高まれば、反体制運動が活性化するリスクがある。
  • ロシアの対外的信頼性の低下は避けられず、国際社会からの締め付けを招きかねない。
  • プーチン体制が適切な対策を取れなければ、体制不安定化につながる深刻な事態となる。
  • プーチン政権にとって、求心力の早期回復が最重要課題となった。


今回の深刻なテロ事件は、プーチン体制の求心力の低下を示す重大な徴候と考えられます。首都近郊で無差別テロが発生したことは、治安維持の失敗を露呈し、権威主義体制の弱体化を物語っています。

一般市民の間に不安が広がれば、反体制運動が活性化するリスクも高まります。さらに、国際社会からのプーチン政権への信頼感の低下も避けられないでしょう。適切な対策が取られなければ、体制不安定化にもつながりかねない深刻な事態と言えます。プーチン政権にとって、求心力回復が喫緊の課題となったといえます。

上の記事にもあるように、在ロシア米国大使館は、モスクワでの銃撃事件の1週間前、過激派がモスクワの大規模集会を標的にする計画があるとの情報を受け、注意を呼びかけていました。しかし、カービー大統領補佐官は、この注意情報は今回の特定の攻撃とは関係なかったと述べました。

カービー補佐官はさらに、今回の攻撃について事前に情報があったことは承知していないと説明しました。また、ウクライナやウクライナ人の関与を示す情報はないと述べた。一方で、犠牲者に対する哀悼の意を示しました。

カービー補佐官の発言を、そのまま受け取れば、他にも大規模なテロがある可能性もあります。

在ロシア米大使館が広範なテロの可能性を危惧して注意を促していたこと、過去のロシアにおける大規模テロの歴史、ISなどの過激組織の残存能力、ウクライナ情勢をめぐる地政学的緊張から、今回に限らずロシアで追加の大規模テロが起こりうる可能性は否定しきれません。

カービー補佐官

今回のモスクワ郊外の銃撃事件の地政学的な意味合いについて、より詳しく解説します。

ロシア国内の治安と統治への脅威 
この事件はロシアの首都圏で発生した重大な無差別テロであり、プーチン政権の治安維持能力に大きな疑問を投げかけています。テロリストが首都に近接した場所で自在に行動できたことは、治安当局の重大な失態を示しています。このことは、国内におけるプーチン体制の統治力の低下を物語り、権威主義体制の根幹を揺るがす可能性があります。
過激組織の残存能力とグローバルな脅威
ISなどの過激組織が実行犯だったとされれば、中東から撤退した後も、彼らがグローバルにテロ能力を維持していることが改めて示されます。ロシアは標的化できる的であり続けているということです。これは単にロシアのみならず、世界各国の安全保障上の重大な脅威となります。
ウクライナ情勢への影響 
ウクライナ側は関与を否定していますが、ロシア国内でのこのようなテロは、ウクライナ戦線の泥沼化と相まって、プーチン政権に対する重大な打撃となります。国内での反発を招き、対ウクライナ政策の見直しを迫られる可能性があります。ウクライナ側の優位に働く可能性もあります。
中東情勢への影響 
もしISなどが実行犯だった場合、中東の過激組織の動きが改めてクローズアップされることになります。シリア、アフガニスタンなどの情勢が有事の際に国際テロの前線基地となるリスクが高まります。ロシアは中東に軍事的に介入しているだけに、この地域への影響は大きくなります。
プーチンとバイデン

米露対立と情報戦の影響 
可能性としては低いですが、米国が事前に何らかの情報を把握していたことから、米露の対立構図の中で、米側がテロ組織を操ってロシアに打撃を与えた可能性も完全には排除できません。 
冷戦時代に米国がアフガンのムジャヒディーンを支援した前例があり、現在の米露対立が極端な事態に発展すれば通常を越えた対応がなされる可能性や、米国内の過激派勢力が政府の関与なしにロシアを攻撃する可能性があることから、この問題における米国の関与を完全に否定することはできません。
一方、ロシア政府関与の可能性も低いものの否定しきれいないということもいえます。体制の求心力を維持したり、ウクライナ情勢を活用して国を戦時体制に持ち込んだり、過激派を味方につけるため、ロシア政府がテロを自作自演した可能性は完全には排除できないものの、これらはあくまで憶測に過ぎず、一般市民を巻き添えにするリスクは極めて高いため、現状ではロシア政府関与の可能性は低いと考えられます。 
しかし、今後の客観的な情報次第では、権力側の介入の有無が判明する可能性は否定できません。
少なくとも、世界各国の情報筋はその可能性について認識しているでしょう。
また、ロシア側はこの事件を米国の陰謀であるかのように印象操作、米国側もロシアの陰謀であるかのように印象操作する可能性も考えられ、両国の対立が一層激化する恐れがあります。
このように、今回の事件は単なる一過性のテロ事件ではなく、ロシア国内のみならず、ウクライナ情勢、米露の対立、中東の過激組織の動きなど、広範な地政学的なリスクを孕んでいます。

プーチン体制の求心力の低下は、さまざまな地政学的火種を噴き出す可能性があり、国際情勢に大きな影響を及ぼすでしょう。

【関連記事】

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること―【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!

プーチン大統領が〝孤立〟 旧ソ連カザフスタンなど離脱、周辺からも支持失う  「反ロシア・反プーチン連合も」 中村逸郎氏が指摘―【私の論評】ウクライナ戦争が旧ソ連地域におけるロシアの立場を弱め、その影響力を維持することをより困難にした(゚д゚)!

2024年1月31日水曜日

「北方領土への日本の感情 何とも思わない」 露メドベージェフ氏、岸田首相演説に反発―【私の論評】メドベージェフの日本人侮辱発言を受け、プーチン政権の牽制に向けて日本はどう対応すべきか

「北方領土への日本の感情 何とも思わない」 露メドベージェフ氏、岸田首相演説に反発

まとめ
  • メドベージェフ氏は、岸田首相の北方領土問題の解決後に日露平和条約を結ぶ方針に反発し、北方領土はロシア領であり、領土問題は既に存在しないと主張した。
  • メドベージェフ氏は、さらに「つらい思いをしたサムライは日本の伝統的なやり方で命を絶つのがよい。切腹するのだ」と発言した。
メドベージェフ氏

 ロシアのメドベージェフ国家安全保障会議副議長は30日、岸田文雄首相が施政方針演説で対露制裁の維持や北方領土問題の解決後に日露平和条約を結ぶ方針を堅持する姿勢を示したことに対し、「いわゆる『北方領土』は協議対象の土地ではなく、ロシア領だ」「われわれは日本人の『北方領土に対する感情』など何とも思わない」などと交流サイト(SNS)に投稿し、反発した。

 メドベージェフ氏は平和条約締結の条件として、領土問題は既に存在せず、ロシアが新兵器配備を含むクリール諸島(北方領土と千島列島の露側呼称)の開発を進めていることを日本側が理解することが必要だと主張した。

 その上で「つらい思いをしたサムライは日本の伝統的なやり方で命を絶つのがよい。切腹するのだ」などとも言い放った。

【私の論評】メドベージェフの日本人侮辱発言を受け、プーチン政権の牽制に向けて日本はどう対応すべきか

まとめ
  • メドベージェフの発言は日本国民の感情を傷つける挑発的な内容である
  • ロシアはウクライナ侵攻で北方領土の守備が手薄となり、日本の優勢を懸念している可能性がある
  • 日本は安保関係の強化、軍事力増強、ロシアへの対抗、国際的圧力の結集、価値観の強調などの対応が必要
  • ロシアの経済力は日本の約3分の1にすぎず、日本の軍事費倍増はロシアにとって脅威となる
  • メドベージェフの発言はその牽制の可能性もあるが、日本は正しい立場に基づきロシアに対峙すべき
  • 岸田首相は米国訪問時、ロシアへの牽制策を主張するリーダーシップの機会とすべき

アンドレイ・ナザレンコ氏

ウクライナのハルキウ出身の政治評論家、外交評論家、著作家、元英語教師、国際貿易従事者。日本のナショナリスト団体である日本会議、およびウクライナのナショナリスト政党である国民軍団の活動にも参画しているアンドリー・イーホロヴィチ・ナザレンコ氏は、メドベージェフの発言について以下のように発言しています。
メドベージェフ氏のツイートは、非常に挑発的な内容であり、日本国民の感情を傷つけるものであると言えます。

しかし、なぜこのような発言をするのか、それには裏がありそうです。

現在ロシアは現在ウクライ侵攻をしており、北方領土にある軍隊や兵器をウクライナに移動しており、この地域の守備がかなり手薄になっています。その結果として、日本がこの地域で優勢になりつつあることをかなり懸念しているのではないかということです。

日本は以下のようなことを実行すべきです。

1.安全保障関係を強化し、情報面で緊密に協力し、アメリカやインド、オーストラリアなどの同盟国と頻繁に合同軍事演習を行うべきです。

2. 日本の軍事力を増強し、柔軟にすべきです。防衛費を大幅に増やし、ミサイル防衛や新たな海・空軍施設を配備し、オホーツク海などでの軍事演習を通じて強さのメッセージを発信する。日本が強くなればなるほど、ロシアは挑発する勇気をなくすでしょう。

3. ロシアの秘密戦術に積極的に対抗すべきです。ロシアのプロパガンダを弱体化させ、インフラを守り、ハッキングやサイバー作戦で対抗すべきです。防衛だけでなく攻撃も行うべきです。日本はまた、いかなる攻撃に対しても公に責任を負わせ、ロシアにコストを課すべきです。

4. 協調的な国際的圧力を結集すべぎてす。民主主義諸国と協力してさらにロシアを外交的に孤立させ、主要なオリガルヒ/産業をグローバル金融から切り離す制裁を課し、ロシアの侵略と帝国主義に対して統一的な動きをすべきです。

5. 長期的な繁栄と価値に焦点を合わせるべきです。ロシアに対抗する一方で、日本は経済成長、社会的結束の維持、次世代の民主的価値観の育成を見失うべきではありません。ソフトパワーと道徳的権威が鍵となるでしょう。

6. 民主主義モデルと権威主義モデルのギャップを強調すべきです。開かれた、公正で繁栄した同盟国として繁栄することで、日本はロシア市民と世界に、それに比べてプーチンの権威主義体制の弱さを示すべきです。あらゆる場面で民主主義と自由を推進すべきです。

日本は、同盟関係を強化し、軍事力を強化し、あらゆる分野でロシアに対抗し、同盟国との協調行動を結集し、繁栄と価値観の基本に焦点を当て、統治モデル間の格差を広げるようにすべきです。

クレムリン

日本は、もはや弱小国に陥りかけているロシアを抑止するために強者の立場から、緊張も挑発も避けるべきではありますが、その目的はロシアの帝国的野心に挑戦することであり、単に開戦を回避することではないことを自覚すべきです。

ロシアが今も大国であるとの認識は大間違いです。2023年のIMF(国際通貨基金)の推計によると、ロシアのGDPは1.7兆ドル、日本のGDPは5.1兆ドルです。したがって、ロシアのGDPは日本の約33%です。

一人当たりGDPでは、ロシアは2023年で1万ドル、日本は4万ドルです。したがって、ロシアの一人当たりGDPは日本の約25%です。

つまり、ロシアのGDPは日本の約3分の1、一人当たりGDPは日本の約4分の1ということになります。この経済力で、あれだけ広大な地域を守備しなければならないのです。しかも、守備といった場合、広大な国境を持つロシア連邦は外国からの侵入から守るだけではなく、多民族国家であるロシア連邦内の他民族の造反からロシア人を守らなければならないという宿命も負っています。

一昔前は、領土が大きいほうが、軍事的にも経済的にも強国であることの証となりましたが、現在のロシアは、領土が広大すぎることが軍事的にも経済的に足かせになっています。

日本が軍事費を倍増すると、2023年のSIPRIの調査によれば、日本の軍事費は約920億ドルとなります。これは、現状のロシアの軍事費(863億ドル)を上回ることになります。無論単純比較はできず、ロシアは、旧ソ連の核や軍事技術を継承する国であり、決して侮ることはできません。

しかし、ロシアに対する日本の抑止力は大きく高まります。また、米国との同盟関係に基づき、日本と米国の連合軍の軍事力は、世界でもトップクラスに位置づけられることになります。

なお、ロシアのGDPは、現状では落ち込んではいませんが、それは戦争、特に総力戦に入った国家にはよく見られることであり、兵器等の軍事物資の生産などがGDPに反映されるためです。しかし、ロシア経済はあいかわらず、インフレ傾向です。経済制裁の影響で引き続き実質経済は低迷する見通しです。ロシアにとってこれは、日本の軍事費倍増は、大きな脅威です。これに対する牽制が上のメドベージェフによる発言である可能性もあります。

このような状況であるにもかかわらず、メドベージェフなどの脅しに屈して、開戦を回避するためだけに、ロシアに過度に譲歩したり宥和的に接すれば、プーチンに日米や同盟国の免罪符を得たと勘違いさせるだけです。

日本と同盟国は、正しい立場(人を殺すべきではないという倫理的立場)にあるからこそ、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、さらなる経済制裁を科すべきです。


このブログでは、昨日岸田首相が、今年の4月に訪米した際に、日本や他の同盟国が米国の対イラン政策に期待する立場を声高に具体的に主張することで、リーダーシップを発揮する機会を得ることになるとしました。

岸田首相は、米国訪問時にバイデンに対して、ロシアに対する牽制も声高に具体的に主張していただきたいものです。

【関連記事】

バイデン大統領に高まる圧力、米兵死亡でイランとの対決求める動き―【私の論評】イランの脅威に立ち向かうため、岸田首相は4月の訪米時にバイデン大統領に強硬策を訴えよ


2024年1月13日土曜日

ウクライナ・イスラエルでのバイデンの苦境 ―背景に民主党の分裂―【私の論評】ウクライがロシアのGDPを凌駕するロードマップを描け

 アメリカ現状モニター

ウクライナ・イスラエルでのバイデンの苦境
―背景に民主党の分裂
 

渡部 恒雄
笹川平和財団上席研究員

まとめ
  • ニューヨーク・タイムズとシエナ大学の共同世論調査により、イスラエル・パレスチナ衝突におけるバイデン政権の支持が33%、不支持が57%となり、トランプとの比較でもトランプが優位とされた。
  • 同調査では大統領候補としての支持でもトランプが優位であり、共和党優位の選挙人団制度を考慮すると、バイデン陣営にとって厳しい状況となった。
  • ウクライナ支援に関しても共和党との交渉が難航し、ウクライナ支援の予算に対する民主党左派の反発が生じている。
  • イスラエル情勢においても左派が政権に圧力をかけ、外交政策での難航が左派の不満の対象となっている。
  • バイデン政権がこれらの矛盾を脱却し、支持を得るためには、イスラエル・パレスチナ紛争とウクライナ戦争に対する左派と有権者の認識を変える必要がある。
バイデン

12月10日から14日にかけて行われたニューヨーク・タイムズとシエナ大学の共同世論調査によると、イスラエル・パレスチナ衝突におけるバイデン政権の政策に対する支持は33%で、不支持が57%となった。トランプとの比較では、イスラエル・パレスチナ衝突をどちらがうまく処理できるかについて、バイデン38%、トランプ46%となり、トランプが優位だった。また、大統領候補としての支持もトランプが49%、バイデンが43%で、共和党候補が優位とされている。これが共和党優位の選挙人団制度を考慮すると、バイデン陣営にとっては艱難な状況となっている。

同調査によれば、回答者の44%はガザの死者が既に2万人を超えている状況で、イスラエルはハマスに対する軍事作戦を停止すべきだと考えており、48%はイスラエル軍が十分な配慮をしていないと回答している。

バイデン政権はウクライナ支援のために共和党議会の支持を得ようとしているが、ウクライナ支援の予算に対する厳しい交渉が続いている。ウクライナ大統領のゼレンスキー氏はバイデン大統領や議員らと面会し、ウクライナへの支援継続を訴えた。一方で、共和党はウクライナ支援の条件として国境対策を求め、これが民主党左派の反発を招いている。

中東政策でもトランプ支持が増え、特にイスラエル情勢においては左派が政権に圧力をかけている。これにより、バイデン政権は外交政策での難航が左派の不満の対象となり、米国内外のストロングマンたちが優位に立つ状況となっている。これらの矛盾から脱却するためには、バイデン政権がイスラエル・パレスチナ紛争とウクライナ戦争に対する左派と有権者の認識を変え、支持を獲得する必要がある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】ウクライがロシアのGDPを凌駕するロードマップを描け

まとめ
  •  共和党と民主党内の左派がウクライナ支援に反対していると報じられ、トランプ政権成立時には支援の削減が懸念されている。
  • 大統領が誰になっても、ウクライナへの強力な支援が必要。ウクライナの主権支持や、プーチンのロシアに対抗する必要性が党派を超えたものである。
  •  ウクライナが戦後復興やEU加盟により経済的に大きく成長する可能性があり、ロシアを経済的に凌駕することもあり得る。
  • ウクライナが過去に経済成長できなかったのは、ソビエト連邦崩壊後の腐敗した民営化や、中央集権的統制の影響、汚職との腐敗の蔓延によるものである。
  •  ウクライナがEUに加盟することができれば、脅威の経済発展しロシアを凌駕することも夢ではなく、これをウクライナと支援国がロードマップに描くべき

ウクライナ支援に関しては、共和党も民主党内の左派も反対なようですが、もしトランプ政権が成立した場合、トランプ氏はウクライナへの支援を減らすか取りやめる可能性も取りざたされています。

私自身は、誰が大統領になったとしても、ウクライナへの強力な支援を維持してほしいです。プーチンのロシアに立ち向かい、ウクライナの主権を支持することは党派を超えて行われるべきだと思います。

ウクライナの自由と民主主義は米国の国益にかなうものです。米国はウクライナに対する見方を変えるべきと思います。

現状のウクライナに対する、共和党や民主党内の左派の見方は、民主主義の砦を守るための費用という見方しかしていないと思われます。しかし、これを費用としてだけとらえるのではなく、投資として見方を変えるべきと思います。現在は、発展途上国なみのウクライナですが、見方を変えれば、ウクライナには大きな洗剤可能性があります。

ウクライナ経済がロシア経済を凌駕する可能性

ウクライナの自由と民主主義が維持発展されれば、ウクライナはかなりの経済発展をする可能性があります。その根拠は、以下の表をご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。なお、以下の表は2021年のウクライナ戦争開戦の前年のデータです。

戦争中のデータは、特殊であるのと、正確性にも欠ける場合もあるので、2021年のデータを用いています。

まずは、一人当たりのGDPです。
GDP(ドル)一人当たりのGDP(ドル)
ウクライナ1,557億ドル3,745ドル
ロシア連邦1.7兆ドル10,610ドル
ウクライナのGDPは、ロシアの約10分の1であり、一人当たりのGDPも約3分の1でした。ウクライナは、ロシアに比べて経済規模が小さく、経済水準も低い国でした。これは、発展途上国の部類に入ると言って良い水準です。しかし、これは逆にいえば、かなりの伸びしろがあるということです。

次は、人口です。
人口
ウクライナ4,159万人(クリミア半島を除く)
ロシア連邦1億4,623万人

ロシア連邦と比較すれば、ウクライナの人口はロシアの1/3しかありません。それに、中国、インドの人口は14億人で、ロシア連邦の10倍です。このような国と比較すれば、確かにしウクライナの人口は少ないです。

しかし、ヨーロッパの他国と比較すれば、この人口は少ないとはいえません。また、モスクワ周辺に位置する、ロシア共和国の人口は、1000万人程度です。これを考えると、ロシアとウクライナの人口差は、絶望的に異なるという次元ではありません。

一人当たりのGDPと、人口から、ウクライナがロシア連邦のGDPを超えるには、一人当たりのGDPをどの程度にすれば良いのかを計算します。

2021年のウクライナとロシア連邦の人口は、ウクライナが約4,400万人、ロシア連邦が約1億4,600万人でした。

この人口差を考慮した計算式は、以下のようになります。
(ロシア連邦のGDP) / (ウクライナの人口) = 一人当たりのGDP

これを計算すると、以下のようになります。
1.7兆ドル / 4,400万人 = 38,636ドル

つまり、ウクライナがロシア連邦のGDPを追い越すためには、一人当たりのGDPが38,636ドル以上になる必要があります。

一人あたりの、GDPが38,636ドル付近の国を以下にあげます。比較の対象として日本、米国、ロシアも含めます。
一人当たりのGDP(ドル)
韓国38,740
台湾39,030
ポーランド32,250
スロバキア31,830
ロシア11,370
日本42,820
米国63,540

この表から、ウクライナは、一人当たりのGDPが韓国並になれば、ロシアのGDPと並ぶ水準になり、台湾並になれば、ロシアのGDPを追い越すことになることがわかります。

無論、これは戦争前の比較ですから、ウクライナが戦後復興して、それからの経済成長によりこうなるということになりますが、それにしても、一人あたりのGDPが台湾位の水準になれば、ロシアの GDPを完璧に追い越すというのですから、これはまったく不可能であり得ないということとは言えません。

もし、これが、日本やドイツ、フランス並とか、それ以上というなら、かなり難しいです。さらに、人口面でも、ウクライナとロシアの人口が、10倍以上もあれば、これもかなり難しいです。

しかし、ロシアとウクライナとの比較ということであれば、これは全く不可能とはいいきれないです。

ただし、これは数年ではなく数十年のスパンで達成できるということになると思います。ただ、日本の高度成長のような成長が可能となれば、10年くらいで達成できるかもしれません。

そのような目でみると、なぜウクライナは過去には経済発展できなかったのかという疑問がわきます。

ウクライナはなせ経済成長できなかったのか

ウクライナが過去に経済成長できなかった理由はいくつあります。

まず、ソビエト連邦の崩壊は、ウクライナの工業生産高、特に鉄鋼や鉱業のような重工業の急激な減少につながりました。これは雇用、輸出、全体的な経済成長に大きな影響を与えました。

ソ連時代には他の部門を犠牲にして重工業に重点を置いたため、ウクライナの産業基盤は時代遅れで硬直化し、変化する世界的な需要に対応するのに苦労しました。その結果、経済の多様化と競争力の欠如を招いてしまいました。

ソビエト連邦崩壊

次に、ウクライナがロシアの干渉を受け続けてきたことです。ロシアはウクライナの政治に関与してきた長い歴史があり、しばしば影響力を行使し、ウクライナの軌道を形成しようとしてきました。これには、クリミア併合やウクライナ東部で進行中の紛争に見られるように、特定の政治派閥を支援したり、誤った情報キャンペーンを行ったり、さらには軍事介入に訴えたりすることも含まれます。

ウクライナの犠牲の上にロシアが利益を得ているとされる不公正な貿易慣行や資源操作への懸念が提起され、経済的搾取への非難もあります。さらに、ソ連時代のホロドモール飢饉のような歴史的な出来事は、ロシア国家による意図的な搾取の例とみなされています。

さらに、ウクライナ国内の汚職や腐敗です。ソビエト体制は、ウクライナの社会とビジネスの多くの側面に浸透し続けているビジネス主体に対する後援と縁故主義の文化を育みました。これが公正な競争を妨げ、外国からの投資を抑制し、生産活動から資源を遠ざけています。

インフォーマルなネットワークと官僚主義 複雑な官僚制度を利用した経験から、ビジネスを行うための複雑なインフォーマル・ネットワークが発達してしまったのです。こうしたネットワークは近道を提供してくれるかもしれないですが、法的枠組みの外で運営されていることが多く、不透明で不公正なビジネス環境を助長しています。

1990年代の民営化 ソビエト連邦崩壊後、ウクライナは国有資産の大規模な民営化を実施しました。しかし、このプロセスは汚職にまみれ、価値ある企業が政治的につながりのある人物に割安な価格で売却されました。その結果、富と経済力が一部の人間に集中し、経済全体が投資と競争の欠如に苦しむことになりました。

ウクライナでは汚職との戦いが続いており、近年はさまざまな改革やイニシアチブが実施されています。

計画経済から市場システムへの移行は、法的・制度的枠組みの不備により困難なものとなっています。このことが企業や投資家に不確実性をもたらし、リスクの増大と経済活動の低下を招いています。

 数十年にわたる中央集権的な統制が、個人の自発性やリスクテイクを抑制し、起業家精神の欠如を助長し、活力ある民間セクターの発展を妨げてきました。

しかし、この複雑な問題に完全に対処し、ウクライナの経済的潜在力を最大限に引き出すには、まだ多くの課題が残されています。

ウクライナのソ連時代からの負の遺産は、根深いものがあるのです。こうした負の遺産を解消すれば、ウクライナの経済がのびる余地はかなりあります。

ウクライナ

計り知れないウクライの急速な経済発展の可能性

戦争終結、汚職撲滅、EU加盟などの条件が満たされれば、ウクライナの急速な経済発展の可能性は計り知れないです。

強固な基盤

ウクライナは、強固な基盤(インフラ)を持っており、これは他の発展途上国等にはないものです。

多様な産業基盤: ウクライナには、農業、鉱業、冶金、化学、機械、IT、宇宙、軍事など、確立された産業部門があります。宇宙産業に関しては、ロシアがウクライナから部品を輸入しており、これが絶たれると、ロシアの宇宙開発に支障がでるかもしれないとい割れるほどの水準にあります。また、これはあまり知られていませんが、中国の軍事技術の母体となったのは、ウクライナの技術です。 

この多様な基盤は、さらなる経済成長と新市場への進出を可能にする強力な土台となります。

高学歴の労働力: ウクライナは識字率99.4%という高い教育水準を誇っています。ヨーロッパの大学教育の統一基準・水準は、「バチェラー・マスター・ドクター(Bologna Process)」と呼ばれています。これは、1999年にイタリアのボローニャで開催された欧州高等教育会議で採択された「ボローニャ宣言」に基づき、欧州の大学教育の質と国際競争力を向上させるために制定されたものです。

ウクライナの大学・院にもBologna Processが適用されています。ウクライナは教育という面でヨーロッパと変わらず、物価も安いということから、戦前は、中国人の手頃な留学先として人気がありました。

また、人口あたりのエンジニアの数は、世界でトップクラスにあります。工学、科学、技術などさまざまな分野に長けた人材が容易に確保できることは、海外からの投資を誘致し、イノベーションを促進する上で貴重な資産となります。

戦略的立地: EUとロシアの間に位置し、中東のトルコと黒海を経て接するウクライナは、重要な貿易・中継拠点となりうる地理的優位性を享受しています。インフラとロジスティクスの改善により、この優位性を活かして市場を結びつけ、地域の経済活動を活性化させることができます。

これらの基盤は、他の発展途上国等には見られないものであり、ウクライナの高い潜在可能性を示しています。 

EU加盟

単一市場へのアクセス: EUに加盟すれば、4億5,000万人以上の消費者を抱える世界最大の単一市場へのシームレスなアクセスがウクライナにもたらされます。これにより、ウクライナの企業が商品やサービスを輸出する機会が大きく広がり、海外からの投資を呼び込み、経済成長を促すことができます。

金融・技術支援: EU加盟には、インフラ整備、制度改革、事業開発を目的とした多額の資金・技術支援プログラムが付随しています。これらの資源は、ウクライナの経済的進歩と近代化を加速させる上で有益です。

ガバナンスと法の支配の改善: EUの基準に合わせるためには、制度を強化し、法の支配を堅持し、腐敗と闘うことが必要である。これにより、より予測可能で透明性の高いビジネス環境が構築され、信頼が醸成され、海外からの投資が誘致されるでしょう。

その他の要因

豊富な天然資源: ウクライナは肥沃な農地、鉱物資源、黒海へのアクセスに恵まれています。これらの資源を持続的に管理することで、環境を保全しながら大きな経済的利益を生み出すことができます。

起業家精神: ウクライナ人は回復力があり、機知に富み、起業家精神に富むことで知られています。こうした資質は、長年のロシアの軛から開放され、支援的な環境と相まって、イノベーションと新規事業の創出を促進し、経済のダイナミズムに貢献することができます。

技術的潜在力: ウクライナには、熟練した労働力と活発な新興企業エコシステムを擁する成長著しいIT分野があります。このセクターを育成し、AIや再生可能エネルギーなどの新興技術への投資を呼び込むことで、ウクライナ経済を将来に向けて推進することができます。

もちろん、現在はロシアの侵攻を受けており、様々なインフラが破壊されていますし、先にあげたような課題も残っています。しかし、潜在的な見返りは大きいです。戦争が終わり、適切な条件と継続的な決意さえあれば、ウクライナは独自の強みと戦略的優位性を活かして急速な経済発展を遂げ、豊かで繁栄する国家としての地位を確立することができるでしょう。そうして、それはEU諸国にとって、ロシアの隣国にEUの味方である、強力な国ができあがることを意味します。これは、EUの安全保障にとっても良いことです。

そうした観点で、ウクライナ支援をとらえるべきです。ウクライナ支援はこうしたことを見据えて行うべきですし、ウクライナ側もこうした視点を支援国に示すべきです。

米国、日本、EUもウクライナと協同で、叡智を絞り、ウクライナがいずれロシアのGDPを追い越し、経済発展をつづけ、西側諸国とともに栄えるパートナーとなり、ロシアに対する強力な防波堤になることをロードマップに落とし込み、その上で支援をするようにすべきです。

これによって、米国は誰が、大統領になっても支援はやりやすくなるでしょう。それは、日本もふくむ、西側諸国も同じです。

イスラエルに関しても、イスラエル、ガザ地区(パレスチナ)の双方が経済発展し、テロリストを一掃し、安全保障での中東の要となれるようなロードマップを描くべきです。

日本こそ、このようなことに関してリーダーシップを発揮すべきと思います。

【関連記事】

EUのウクライナ支援を阻む「オルバン問題」―【私の論評】EUのウクライナ支援をめぐるオルバン首相の反対論点 - ハンガリーの国益優先かEUの団結損なうか

“ロシア勝利”なら米負担「天文学的」 米戦争研究所が分析…ウクライナ全土の占領「不可能ではない」―【私の論評】ウクライナ戦争、西側諸国は支援を継続すべきか?ISWの報告書が示唆するもの


2024年1月7日日曜日

「軍事ケインズ主義」進めるプーチン 2024年のロシア経済―【私の論評】ウクライナ侵攻で揺れるロシア経済 物価高騰、財政赤字、軍事費増大の3つのリスク

「軍事ケインズ主義」進めるプーチン 2024年のロシア経済

服部倫卓 (北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授)

まとめ
  • ウクライナ侵攻と国際的な制裁にもかかわらず、ロシア経済は2023年もプラス成長を記録した。
  • 軍事費の大幅増を背景に、軍需産業は好調で、GDPの3分の2を占めるまでになった。
  • 一方、物価高騰やガソリン不足などの問題も顕在化し、国民生活への影響も出始めている。
  • プーチン大統領は2024年3月の大統領選への再選を目指しており、国民の支持率を維持するために、公共料金の値上げを抑制するなど、配慮を欠かさない。
  • 住宅市場では、優遇ローンによる融資拡大を背景に、バブル的な過熱が進んでいる。この状況が今後、金融市場の混乱や経済の停滞につながるリスクがある。
ロシア軍女性兵士

2023年のロシア経済は、ウクライナ侵攻や国際的な制裁にもかかわらず、予想以上に持ちこたえた。GDPは3%前後の成長を記録し、失業率は記録的に低い水準にとどまった。

ロシア経済の成長率が予想以上に堅調となった要因は、以下の3つが挙げられる。

石油・ガスなどの資源価格の高騰
ウクライナ侵攻の影響で、国際的なエネルギー価格が高騰した。
ロシアは石油・ガスの輸出大国であり、この恩恵を受けた。
2023年の原油価格は、前年比で約60%上昇し、天然ガス価格は約100%上昇した。これにより、ロシアの貿易収入は大幅に増加した。
軍事ケインズ主義
ロシアは、ウクライナ侵攻に伴い、軍事費を大幅に増大させた。2024年の国防費はGDPの6%に達する見通しであり、これは、2022年までの3%から倍増する。

軍事費の増大は、財政赤字の拡大とインフレの進行をもたらす。しかし、短期的には、GDPを押し上げる効果もある。
西側諸国からの制裁に耐えられる経済基盤
ロシアは、石油・ガスなどの資源に依存した経済構造を有している。そのため、西側諸国からの制裁の影響は限定的であった。

また、ロシア政府は、制裁への対応として、輸入代替や国内消費の拡大を推進した。
軍事ケインズ主義とは、戦争や軍事支出を景気対策として活用する経済政策である。ロシアは、ウクライナ侵攻を契機に、軍事費を大幅に増大させ、これを経済成長のエンジンと位置づけている。

軍事ケインズ主義は、短期的には経済成長を促す効果がある。しかし、財政赤字やインフレの拡大などのリスクも伴う。

ロシア経済は、今後も軍事ケインズ主義を継続すると予想される。そのため、財政赤字とインフレは、今後もロシア経済の課題となると考えられる。

なお、ロシア経済の成長には、以下の課題もある。

物価高騰
ロシアでは、ウクライナ侵攻や制裁の影響で、物価高騰が進んでいる。特に、卵は59%値上がりした。

物価高騰は、国民生活の重圧となり、社会不安の要因となる可能性がある。
輸出入の減少
ロシアの輸出入は、制裁の影響で減少している。特に、西側諸国への輸出が大幅に減少した。

輸出入の減少は、経済の成長にマイナスの影響を与える。また、ガソリン不足や為替安定の対策に追われるなど、さまざまな問題も発生している。
住宅市場の過熱
ロシアの住宅市場は、優遇ローンの利用条件が段階的に厳格化される見通しとなり、ルーブル下落が進み、市場金利が急上昇したため、急速に過熱している。

優遇ローンの利用条件が厳格化されたため、新築住宅の購入を希望する層は、頭金を消費者金融で借りるなどして、無理な借金を重ねるケースも出てきている。

住宅バブルが崩壊すれば、金融システムの混乱や経済の停滞につながる恐れがある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。 

【私の論評】ウクライナ侵攻で揺れるロシア経済 物価高騰、財政赤字、軍事費増大の3つのリスク

まとめ
  • 2023年のロシア経済は、ウクライナ侵攻や国際的な制裁にもかかわらず、GDPは前年比でマイナス4.2%と、予想以上に持ちこたえた。
  • ロシアの物価上昇率は、2023年に前年比17.0%と、1998年の金融危機以来の高水準となった。
  • 戦争中、軍事費の増大は、経済に短期的な刺激を与え、景気回復につながる可能性がある。ドラッカー氏は、数字だけを見れば、第二次世界大戦は、単なる好景気だったように見えるだろうと語る。
  • 軍事費の増大は、財政赤字やインフレなどの問題を引き起こす可能性があり、長期的には経済の持続的な成長を阻害する可能性がある。
  • ウクライナ侵攻が長期化する中で、ロシアと西側諸国との軍事衝突が拡大する可能性があり、ロシアが崩壊する可能性も否定できない。
上の記事の冒頭で、「2023年のロシア経済は、ウクライナ侵攻や国際的な制裁にもかかわらず、予想以上に持ちこたえた」というのは、予め予想できたことです。これについては、以前もこのブログに述べたことがありますが、戦時経済は通常の経済とは全く異なるからです。

戦争、特に総力戦等の大きな戦争が始まる前と、戦中、戦後の復興にかけて、GDPはかなり上がることになります。戦前は、戦争に備えるため、武器・弾薬等を大量に備えることと戦時経済を想定して様々な物品の備蓄をします。戦中も戦争を継続するため、同様に大量に製造し続けます。さらに、戦後は復興のために、壊れたインフラを整備しなおすためなどでGDP自体はあがることになります。

そのため、私は以前のブログで、ロシアの経済の現状を見るには、GDPではなく物価を見るべきではないかと以前のブログで主張しました。以下に直近の、ロシアの物価上昇率と今年の見通しの表を挿入します。
消費者物価上昇率(前年比)
2022年12.5%
2023年17.0%
2024年(見通し)15.0%
物価上昇率は、今年も比較的高い水準で推移しそうです。2023年の消費者物価上昇率は、前年比で約17%と、1998年の金融危機以来の高水準となりました。これは、ウクライナ侵攻に伴う国際的な制裁の影響、ルーブル安、軍事費の増大などが主な要因と考えられます。

2024年の消費者物価上昇率は、ウクライナ情勢の長期化や、西側諸国からのさらなる制裁が物価に与える影響次第では、さらに高騰する可能性もあります。

このようなことから、総力戦や現在のロシアのように大掛かりな戦争をする国々では、戦争前、戦中は軍事ケインズ主義を意図して意識して実行するというよりは、そうなるざるを得ないのです。現在のロシアも例外ではありません。

そうして、わたしたちが注目しなくてはならないのは、多くの専門家が、数字をみただけでは、後の歴史家は、第二次世界大戦が起こったことを認識できないかもしれないと語っていることとです。現在戦争中のロシア経済についても同様のことがいえるかもしれません。

たとえば、経営学の大家ドラッカー氏は、第二次世界大戦中の経済について、以下の発言をしています。
数字だけを見れば、第二次世界大戦は、単なる好景気だったように見えるだろう。
これは、第二次世界大戦中、多くの国が軍事費を増大させたことで、経済成長を遂げたという事実に基づいています。例えば、米国では、第二次世界大戦中のGNPは、戦前の約2倍にまで増加しました。これは、軍需産業の急速な発展によるものです。

第二次世界大戦中、日本も、軍事費を大幅に増大させ、軍需産業の急速な発展を促しました。その結果、日本の経済は、戦前の約2倍にまで成長しました。

1930年代から1940年代にかけて、日本は戦争に伴う軍事費の増大や、戦時体制の導入により、経済成長を遂げました。また、国民生活の面でも、食糧や衣料などの物資の配給が徹底され、国民の生活水準は維持されていました。

本当に窮乏化したのは、1944年以降であり、連合国軍の空襲が本格化し、米軍による通商破壊がすすみ、日本各地で大きな被害が発生し、国民生活は困窮化しました。

日本の戦時中のポスター

しかし、これはあくまでも表面的な現象であり、戦争の悲惨さを覆い隠すことはできません。
ドラッカー氏は、この事実を踏まえて、経済の数字だけを見て、第二次世界大戦を理解しようとすると、誤った結論に至る可能性があると警告しています。第二次世界大戦は、単なる好景気ではなく、人類史上最も悲惨な戦争の一つでした。

その本質を理解するためには、経済の数字だけでなく、戦争の背景や、戦争によって引き起こされた人々の苦難など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

なお、ドラッカー氏は、この発言を、1950年に出版された著書『「経済人」の終わり──全体主義はなぜ生まれたか』の中でしています。この著書の中で、ドラッカー氏は、第二次世界大戦の原因を、経済主義の行き過ぎにあると分析しています。

つまり、経済の数字だけを追い求め、人間の尊厳や社会の調和を無視するような経済主義が、全体主義の台頭を招いたというのです。

ドラッカー氏の発言は、第二次世界大戦の歴史を理解する上で、重要な示唆を与えるものと言えるでしょう。

ドラッカー氏

プーチンが推進する軍事ケインズ主義の末路は、以下の3つの可能性があると考えられるでしょう。

1. 短期的な景気回復と軍事力の増強に成功する

プーチンは、ウクライナ侵攻によって、軍事費を大幅に増大させています。この軍事費の増大は、ロシアの経済に短期的な刺激を与え、景気回復につながる可能性があります。また、軍事技術の開発や軍事力の強化によって、ロシアの安全保障が向上する可能性があります。

この場合、プーチンの軍事ケインズ主義は、ある程度の成功を収めると言えるでしょう。しかし、軍事費の増大は、財政赤字やインフレなどの問題を引き起こす可能性があり、長期的には経済の持続的な成長を阻害する可能性があります。

2. 長期的な経済停滞と軍事力の衰退に陥る

軍事費の増大が続けば、財政赤字が拡大し、インフレ率が上昇する可能性があります。また、軍需産業への依存度が高まるため、民間部門の活力が低下し、経済成長が鈍化する可能性があります。

この場合、プーチンの軍事ケインズ主義は、失敗に終わると言えるでしょう。ロシアは、経済的にも軍事的にも衰退していく可能性があります。

3. 軍事衝突の拡大によって、ロシアの崩壊につながる

ウクライナ侵攻が長期化する中で、ロシアと西側諸国との軍事衝突が拡大する可能性があります。この場合、ロシアは、経済制裁や軍事攻撃によって、深刻な打撃を受ける可能性があります。

この場合、プーチンの軍事ケインズ主義は、ロシアの崩壊につながる可能性があります。ロシアは、国家として存続できなくなる可能性があります。

現時点では、プーチンの軍事ケインズ主義の末路は、まだ不透明です。しかし、長期的な経済停滞や軍事力の衰退、軍事衝突の拡大によって、ロシアが崩壊する可能性も否定できません。

【関連記事】

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること―【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!

対ロシア経済制裁、効果は限定的…昨年GDPは予想より小幅の2・1%減―【私の論評】効果は限定的等というのは、戦時経済の実体を知らない者の戯言(゚д゚)!

プーチン氏の威信失墜 カギ握る国際社会の協力―【私の論評】今回の「子供連れ去り」の件での逮捕状は国内法でいえば別件逮捕のようなもの、本命は"武力行使そのもの"の判断(゚д゚)!

対露経済制裁は効果出ている 3年続けばソ連崩壊級の打撃も…短期的な戦争遂行不能は期待薄―【私の論評】制裁でロシア経済がソ連崩壊時並みになるのは3年後だが、経済的尺度からいえばこれは長い期間ではない(゚д゚)!

ロシアの欧州逆制裁とプーチンの思惑―【私の論評】ウクライナを経済発展させることが、中露への強い牽制とともに途上国への強力なメッセージとなる(゚д゚)!

2023年11月22日水曜日

膠着状態のウクライナ戦争 カギはテクノロジーの革新―【私の論評】ウクライナ戦争、反転攻勢は膠着状態? 2~3年で占領地奪還の可能性も!

 膠着状態のウクライナ戦争 カギはテクノロジーの革新

岡崎研究所

まとめ
  • ウクライナのザルジニー総司令官は、戦争は膠着状態に陥っていると主張。
  • その原因は、双方のテクノロジーの水準が同じ水準に達したこと。
  • ウクライナが勝利するためには、ドローンや電子戦などの分野でテクノロジーの革新が必要。
  • 西側諸国はウクライナへの支援を継続する必要がある。
  • 米国の支援が減少すれば、ウクライナの勝利が遠のく。
ウクライナの攻撃型ドローン「バックファイア」

ウクライナ戦争は、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻したことで始まった。当初は、ウクライナ軍がロシア軍を撃退し、首都キーウの奪還に成功するなど、ウクライナが優勢に進んでいた。しかし、その後、ロシア軍は反撃に転じ、東部・南部で攻勢を開始した。

ウクライナ戦争は、現在も膠着状態が続いている。両軍とも大きな損害を被っており、戦況は大きく動いていない。

ウクライナ戦争の膠着状態の主な原因は、双方のテクノロジーの水準が同じ水準に達したことにあると分析されている。

具体的には、ドローンや電子戦などの分野で、両軍の技術は急速に進歩した。そのため、両軍とも有効な打撃を与えることができず、泥沼の戦いが続いている。

ウクライナが勝利するためには、ドローン、電子戦、砲撃制圧、地雷除去の4つの分野でテクノロジーの革新が必要だと、ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は主張している。

ドローン

ウクライナ軍は、ドローンを使ってロシア軍の戦車や部隊を攻撃している。しかし、ロシア軍もドローン対策を強化しており、ウクライナ軍のドローンも撃墜されるケースが増えている。

電子戦

電子戦とは、敵の通信やレーダーを妨害する技術です。ウクライナ軍は、電子戦を使ってロシア軍の砲撃を妨害している。しかし、ロシア軍も電子戦能力を強化しており、ウクライナ軍の電子戦も効果が薄れつつある。

砲撃制圧

砲撃制圧とは、敵の陣地や戦力を砲撃によって無力化することである。ウクライナ軍は、砲撃制圧を使ってロシア軍の進撃を阻止しようとしている。しかし、ロシア軍は地雷や防御陣地を強化しており、ウクライナ軍の砲撃も効果が薄れつつある。

地雷除去

ウクライナには、ロシア軍が敷設した地雷が数十万個あると推定されている。これらの地雷は、民間人やウクライナ軍兵士の生命を脅かしている。

ウクライナが地雷を除去するためには、最新の技術や機材が必要となる。

西側諸国の支援

西側諸国は、ウクライナへの支援を継続している。しかし、ウクライナが要求する最新のテクノロジーや兵器を供給することには慎重だ。

特に、米国は、ウクライナが敗北しないよう、しかし米国がロシアとの対決に引きずり込まれないよう確保することに目的を定めている。そのため、ウクライナへの支援を慎重に検討している。

【私の論評】ウクライナ戦争、反転攻勢は膠着状態? 2~3年で占領地奪還の可能性も(゚д゚)!

まとめ
  • ウクライナの反転攻勢は、当初から2~3年かかると予想されていた。
  • ウクライナ軍は、ロシア軍の占領地を分断し、弱い方を攻める戦略をとっているようだ。
  • 反転攻勢に成功すれば、2~3年以内に占領された土地を奪還できる可能性があると考えられた。
  • 反転攻勢に失敗した場合は、5年以上、下手をすると10年膠着状態が続く可能性がある。
  • ウクライナは、2024年前半までに占領地を分断し、戦況を有利に導こうとしている。
現在のウクライの反転攻勢を膠着しているとみるのは、まだ時期尚早です。私は、もともとウクライナの反転攻勢は時間がかかるとみていました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ウクライナ、反攻で「破滅的」損失 プーチン氏―【私の論評】今回の反転攻勢が成功すると、2~3年以内に占領された土地を奪還できるかも!戦争はまだ続く(゚д゚)!

ダム決壊で発生した水害

 ウクライナでダムが決壊したのは、テレビ報道などで皆さんご存知でしょう。決壊したのは2023年6月6日です。ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムが、ロシア軍の攻撃によって決壊されたとされています。このダムは、ドニプロ川に建設されており、貯水池の水量は日本の琵琶湖の約3分の2に相当します。ダムの決壊により、洪水が発生し、少なくとも21人が死亡しました。また、広範囲にわたる農地や住宅が浸水し、深刻な被害をもたらしました。

この直前から、それまで散発的だったウクライナ反攻が、組織的に体系的に行われるようになったとされています。それが本当かどうかは、軍事機密なので、未だに明らかにされていません。真相は戦後に公表されるでしょう。ただ、大方の軍事筋はこの前後で、ウクライナの本格的反攻が始まったのは間違いないものとしています。

この事実をもとに、当時の私の分析では、この時点から2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻によって奪われた土地を奪い返すのに、2〜3年はかかるだろうとこの記事に掲載しました。現在は、この時からまだ5ヶ月が経過したばかりです。

この記事より、予測の元となった根拠の部分をあげます。
今後の見通しとしては 、 今回の反転攻勢によりロシアの占領地の分断に成功すれば かなり有利になります 。

ただ 、分断すると 、今度は突破した部分が挟み撃ちに遭うので 、逆にウクライナ側は挟み撃ちから守りきる陣地をつくらなければなりません 。

これを秋冬の地面がぬかるむ時期にまでに できれば 、 分断されたロシア軍の弱い方を来年 ( 2024年 ) 攻めることになるでしょう 。 つまり 、 ドンバス地方かクリミアのどちらか弱い方を攻めて 、 再来年にもう片方残った方を攻める形になるでしょう 。

今回の反転攻勢が成功すると 、 2 ~ 3年以内には占領された土地を奪還できるかも知れないです 。 無論奪還しても戦争が終わるとは限りませんが 、 少なくとも見通しは立ちます 。

一方で反転攻勢に失敗し 、 投入された12旅団が磨り潰されるようなことになると、組織的な反転攻勢は今後 、 難しくなります 。 そうなると5年以上 、 下手をすると10年ぐらい膠着状態が続くかもしれません。いずれにせよ、現在の反転攻勢が成功したとしても、すぐに戦争が終わるとはみるべきではないです。

結論を言うと、反転攻勢がうまくいったとして、2〜3年でロシアに今回ロシアに占領された地域を取り返すことができる、失敗した場合は、5年以上、下手をすると10年かかる可能性があるということです。そうして、クリミア奪還などはその後ということになります。

ウクライナ軍女性兵士 実写写真

このように時間がかかることは、多くの現代人がなかなか理解しにくいところがあると思います。現代人は、何をするにしてもスイツチ一つですぐにできます。部屋を温めたり、風呂に入るにしても、一昔前はそれなりに時間と労力がかかりましたが現在ではすぐにできます。

ただ、これは第二次世界大戦を振り返ると、理解できるかもしれません。

連合軍がノルマンディー上陸をしたのは1944年6月6日です。ヨーロッパでの戦争が完全集結したのは1945年5月8日です。したがって、ノルマンディー上陸からヨーロッパでの戦争が完全集結するまで、1年11ヶ月かかりました。

具体的には、ノルマンディー上陸から1年後の1945年6月6日には、連合軍がベルリンに進攻し、ドイツ軍の抵抗が激化しました。その後、ソ連軍が東から、連合軍が西からドイツに迫り、1945年5月8日にドイツは降伏しました。

物量では圧倒的に有利で、制空権、制海権を完全掌握していた連合軍がノルマンディーに上陸したという時点で、すでに戦争の帰趨は決まり、ドイツの敗北は決定的だったといえます。しかし、実際に 連合軍が勝利を手にするには、それから2年近くの歳月を要したのです。

これを考えれば、兵器弾薬は西側諸国がウクライナに供与しているものの、戦っているのはほぼウクライナ軍のみであり、しかも地上戦が主戦場ですから、最終的な勝利を得るためには、戦況の不利、有利にかかわらず、ある程度時間がかかるとみるべきものと思います。

地上戦であれば、兵員輸送車などはありますが、それでも移動手段の多くは、歩兵の歩行ということになります。しかも、歩兵は敵と戦闘しながら歩きますし、さらに弾薬や食料などの重装備を背負っての移動ということになります。

そうなると、一日では最大で10km、現実的には数キロと考えて良いでしょう。このようなことを考えれば、通常の移動からみれば、はるかに時間がかかることは、理解できると思います。

ノルマンディー上陸作戦

現時点で、膠着状態かどうかは、はっきりとはわかりません。そのため、現状の膠着状態は、当初から予想されたものなのかどうか、見極める必要があります。ただ、これはウクライナ、ロシア双方とも、情報戦を展開していることから、現時点では正しく判断するのは難しいです。正しく判断できるようになるのは、これも戦後でしょう。

ただ、ワレリー・ザルジニー総司令官が「膠着状態」であると強調することには、それなりの理由があると考えられます。

ウクライナは、2024年アメリカの大統領選を前に、西側諸国からの支援を維持するために、冬季にも攻勢を続けることを決めたようです。

その理由の一つは、2024年以降は、米国に共和党の大統領が登場した場合、米国の支援が減少する可能性があるため、なるべく目に見える戦果を挙げて米国の支持を取り付けたいのでしょう。

もう一つは、前回の反攻作戦で、ロシア軍に地雷原を敷設される時間を与えてしまった反省から、冬季でも攻勢を継続して、地雷を敷設する時間を奪いたいからとみられます。

もちろん、冬季攻勢にはリスクもあります。しかし、ウクライナは、ドローンなどによる上空からの支援を計算したうえで、決断したようです。

ウクライナは、2024年前半までに、初期に想定された戦果である、南部から東部に広がるロシアの占領地の分断をしなければならないという悲壮な決意を持って戦いを継続しているとみられます。無論、分断に成功したとしても、それだけでは決着はつかず、戦争は継続します。しかし、2024年の前半までに、分断しなければ、戦況はかなり不利になる可能性もあります。

ただ、戦闘は不確実なものであり、当初の目論見どおりになる可能性は低いとみておくべきです。

ウクライナ側は、こうした状況を、支障のない限りにおいて、西側諸国に伝え、西側諸国は、短気を起こさず、気長にウクライナに対して支援を継続すべきでしょう。

【関連記事】

ウクライナ、反攻で「破滅的」損失 プーチン氏―【私の論評】今回の反転攻勢が成功すると、2~3年以内に占領された土地を奪還できるかも!戦争はまだ続く(゚д゚)!

プーチン大統領「アイヌはロシアの先住民族」差別理由に北海道侵攻!? 幕府の「蝦夷地」防衛の歴史を国民共有の知識に―【私の論評】北海道の歴史誤解とアイヌ文化、縄文時代からの起源と差別的言葉の歴史(゚д゚)!

戦争ドミノに入った世界情勢 いかに秩序を守るか―【私の論評】自由世界の守護者としてのトランプ:米国第一主義が拓く新たな世界秩序再編(゚д゚)!

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること―【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!

イスラエル「40年の戦史」が予言する終戦のタイミング―【私の論評】イスラエルの軍事行動、日本の平和主義に何を問う(゚д゚)!

2023年11月14日火曜日

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること―【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること

服部倫卓 (北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授)

まとめ
  • ウクライナ侵攻後、ロシアの貿易統計は非公開となったが、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの図書館で2022年版の貿易統計集が発見された。
  • この統計集によると、ロシアの貿易は、欧米日などの「非友好国」から、中国やインドなどの「友好国」に大きくシフトした。
  • 特に石油輸出では、中国とインドが急増し、2023年第1四半期には、ロシアの原油輸出の73.3%が中印向けとなった。
  • 半導体輸入については、先進国からの輸入が減少したものの、中国からの輸入は減少せず、ロシアの半導体不足は解消されていない。
  • ロシアの対外貿易では、中国が圧倒的なシェアを占めており、2023年には、露中貿易が往復で2200億ドルに達する見込みである。

 ウクライナ侵攻後、ロシアの貿易統計は非公開となったが、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの図書館で、2022年の貿易統計集が発見された。

 この統計集によると、ロシアの貿易は、欧米日などの「非友好国」から、中国やインドなどの「友好国」に大きくシフトした。

 特に石油輸出では、中国とインドが急増し、2023年第1四半期には、ロシアの原油輸出の73.3%が中印向けとなった。

また、半導体輸入については、先進国からの輸入が減少したものの、中国からの輸入は減少しなかった。

さらに、ロシアの貿易相手国では、中国が圧倒的なシェアを占めており、2023年には、露中貿易が往復2200億ドルに達する見込みである。

この結果、ロシアは、中国への依存度を高め、中国のジュニアパートナー化まっしぐらと言える状況となった。

なお、ロシアは、貿易統計を非公開とした理由について、国際的な制裁によるダメージを避けるためと説明している。

しかし、ロシアが貿易統計を隠したことによって、かえって、ロシアの経済状況の悪化を世界に知らしめることとなった。

【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!

まとめ
  • 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターは、旧ソ連・東欧地域の総合的・学際的研究を行う国内唯一の研究所である。
  • センターは、ロシアは中国のジュニア・パートナーになりつつあることを指摘。ウクライナ戦争でロシア最終的に敗北することになるだろう。
  • ロシアの敗北は、プーチン政権の存続にも影響を与える可能性がある。
  • ロシアの敗北は、中国の台頭をさらに加速させ、ユーラシア大陸の安全保障に大きな影響を及ぼすだろう。
  • 理想的な結末は、プーチンが失脚し、ロシアが西側諸国との関係を回復することである。


北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターは、旧ソ連・東欧地域の総合的・学際的研究を行う研究所です。国内唯一のセンターで、専任研究員11名、客員研究員20名、研究生20名が在籍しています。

研究テーマは、政治、経済、社会、文化、歴史など多岐にわたります。地域比較研究にも力を入れています。

研究成果は、学術論文や著書、報告書などの形で発表されており、国内外の学界で高い評価を受けています。政府や企業などの政策立案にも活用されており、旧ソ連・東欧地域の総合的な研究で国内外で高い評価を受けています。

私は、上の記事のロシアが中国のジュニア・パートナーになりつつあるという評価に賛成です。貿易統計がそれを裏付けています。ロシアが石油輸出を中国に依存していることは特に問題です。そのことについては、前から言う人もいましたが、今回それが数字で明確に確認されたといえます。

もし中国がロシアの石油の輸入を減らすことになれば、ロシア経済に壊滅的な打撃を与えるでしょう。そうして、現状ではそのようなことはないでしょうが、その可能性は完全に否定できません。そうしてこのような脅威があるからこそ、ロシアが中国のジュニア・パートナー化はますます避けられなくなるでしょう。半導体に関しても同じことがいえると思います。 ウクライナ戦争でロシアが勝つと信じている人は、欧米にはみられません。ほとんどの専門家は、ロシアはいずれ敗北すると考えていますが、それがいつになるかはわからないです。ただ、長期的には敗北するだろうと見る人が大勢を占めているように見えます。 日本では、ロシアのプロパガンダに影響されてロシアが勝つと信じている人もいるようですが、現実にはロシアは戦争に負けています。ロシアは多くの犠牲者を出し、経済はボロボロです。


米国、欧州、日本はウクライナに軍事・財政援助を行っています。この援助は、ウクライナが自国を守り、ロシア軍を押し返すのに役立っています。 ただロシアが核保有国であることを忘れるべきではありません。戦争が続けば核がエスカレートする危険性があるということです。しかし私は、ロシアが核兵器を使用するよりも、通常兵器で敗北する可能性の方が高いと考えます。 結論として、ロシアは中国のジュニア・パートナーになりつつあり、最終的にはウクライナでの戦争に敗北することになるでしょう。

そうして、ロシアの無謀なウクライナ侵攻が敗北に終われば、プーチン政権にどれほどのダメージを与えるかわからないです。モスクワの街頭での抗議行動から、明白な政権交代まで、何が起こるかわからないです。

ロシアはすでに侵略と人権侵害で西側諸国から孤立しています。そして中国は、世界的な影響力を拡大するために、ロシアの弱みにつけ込もうとしているようです。ウクライナで敗れたロシアが中国への依存を強めれば、中国がユーラシア大陸を支配し、海外における日米とその同盟国の利益を脅かすことになりかねないです。

これは保守派にとっては耐え難いことです。理想的な結末は、プーチンが失脚し、その後、西側諸国との関係を回復し、中国の手先になることを避ける新たな指導者が誕生することです。

自由で民主的なロシアが西側諸国の仲間入りをする。これは容易なことではないでしょうが、自由と民主主義はこれまでも長い困難を乗り越えてきました。さらに、中国経済はかつてないほど疲弊しています。強さと勇気と信念があれば、米国とその同盟国はロシアを共産主義中国の牙城から引き離すことができでしょう。

ウクライナ戦争の行方により、中国陣営と自由世界がロシアの引き抜き合戦を行い、その結果により世界秩序の再編が起こることなるでしょう。

【関連記事】

中国の属国と化すロシア 「戦後」も依存は続くのか―【私の論評】西側諸国は、中露はかつての中ソ国境紛争のように互いに争う可能性もあることを念頭におくべき(゚д゚)!

中露艦艇が沖縄本島と宮古島間を初めて同時通過 防衛省「重大な懸念」―【私の論評】中露艦隊の行動は、国内向けの虚勢とプロパガンダの発露か(゚д゚)!

ロシアが北朝鮮に頼るワケ 制裁と原油価格低下で苦境 「タマに使うタマがないのがタマに傷」日本の自衛隊も深刻、切羽詰まる防衛省―【私の論評】中国がロシアを最後まで支持して運命を共にすることはない(゚д゚)!

中国〝豹変〟プーチン氏を見限り!? 「漁夫の利」ない…本音は「重荷」 ロシアの敗色が濃厚、軍事支援なら米欧を完全に敵に回す―【私の論評】ウクライナと結びつきが深い中国には、ロシアにだけに一方的に肩入れできない事情が(゚д゚)!

中国の属国へと陥りつつあるロシア―【私の論評】ロシアの中国に対する憤怒のマグマは蓄積される一方であり、いずれ、中国に向かって大きく噴出する(゚д゚)!

「X国の独裁者の親族」米国防総省、30代女性を「機密」資格で失格に 金正恩氏と血縁か―【私の論評】日本で早急にセキュリティークリアランス制度を導入すべき理由

「X国の独裁者の親族」米国防総省、30代女性を「機密」資格で失格に 金正恩氏と血縁か まとめ 米国防総省のセキュリティークリアランス審査で、30代の女性が北朝鮮の指導者と血縁関係にあるとして最高機密レベルの資格を拒否された その女性は、北朝鮮の金正恩総書記の伯母の娘である可能性が...