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2014年5月31日土曜日

「交わすべきは言葉」 安倍首相、南シナ海での中国を批判 アジア安保会議―【私の論評】今や中国に対して直截にものを語るのは、世界で安部首相のみ!国内の反安倍勢力を駆逐することがアジアの平和と安定を確かなものにする(゚д゚)!

「交わすべきは言葉」 安倍首相、南シナ海での中国を批判 アジア安保会議

アジア安全保障会議」に日本の首相として初めて
出席し、講演する安倍首相=30日、シンガポール

安倍晋三首相は30日夜、シンガポールで同日開幕したアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席、基調講演した。首相は「法の支配」の順守を強調し、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)、パラセル(同・西沙)両諸島での領有権争いをめぐりフィリピンやベトナムの行動を支持、「既成事実を積み重ね現状の変化を固定しようとする動きだ。強い非難の対象とならざるを得ない」と中国を批判した。

首相は、「海における法の支配」について「国家は法に基づいて主張する」「力や威圧を用いない」「紛争解決には平和的収拾を徹底すべし」との3原則を示し、「当たり前のことであり、人間社会の基本だ」と訴えた。

その上で「最も望まないことは、威圧と威嚇が、ルールと法に取って代わり、不測の事態が起きないかと恐れなければならないことだ」と指摘した。

南シナ海で中国がベトナムやフィリピンと領有権をめぐり対立していることや、日中間の連絡メカニズムが運用に結びついていないことを挙げて、中国に対し「交わすべきは言葉だ」と交渉のテーブルにつくよう促した。

また、「米国との同盟を基盤に、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を重んじながら、地域の安定、平和、繁栄を確固たるものとしていく」と述べ、日米同盟を基軸としたASEAN地域の安全保障に貢献する姿勢を表明。空や海などの国際公共財を重視する姿勢を打ち出し、ASEAN各国に「航行、飛行の自由を保全しようとする努力に支援を惜しまない」と約束した。

日本が戦後70年近くにわたり平和国家として歩み続けてきた実績を踏まえ、世界平和に貢献する「積極的平和主義」に基づく取り組みを強化する姿勢を打ち出した。さらに「もっと世界の平和に貢献したい」と訴え、首相が目指す集団的自衛権の行使容認や国連平和維持活動(PKO)について政府・与党内で検討を進めていることを説明し、各国の理解を求めた。

【私の論評】今や中国に対して直截にものを語るのは、世界で安部首相のみ!国内の反安部勢力を駆逐することがアジアの平和と安定を確かなものにする(゚д゚)!



「アジア安全保障会議」において、安倍首相は(1)国際法に基づき主張(2)武力や恫喝を使わない(3)紛争は平和的に解決する――という「法の支配3原則」を打ち出し、「既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動きは断じて非難されなければならない」と宣言しわけですが、これは本当に成就するのでしょうか。

私は、成就する可能性は十分にあると思います。かつての首相など、いろいろ提言などしましたが、そもそも総理在任期間があまりに短すぎるため、単なるリップサービスになることがほとんどでした。

在任期間があまりに短いということから、日本の首相の発言など、現在の米国のオバマ大統領の言葉のように、実効性のない言葉と受け取られ勝ちでした。

しかし、最近は動きが変わっています。まずは、先日北朝鮮が、拉致被害者の調査を実施すると約束したことがあげられます。北朝鮮そのもが信用できるとかできないとか、北朝鮮のこの約束が本当に守られる、守られないとかは全く別次元の問題として、北朝鮮がこのような対応を示したということは、安倍政権が安定した長期政権になると見込んでいるに他ならないです。


日本国内でも、安部総理以外に総理大臣として適任はいないという世論が盛り上がっています。マスコミなどが安部総理に対する様々な批判キャンペーンを繰り返してきましたが、さりとてその次の総理大臣は誰かと具体的に考えた場合、残念ながら相応しい人はいません。無論、自民党の麻生、石破また石原氏も無理です。自民党以外も、対象外です。それは、安全保障会議参加メンバーも安部総理の積極的な全方位外交が過去とはかなり異質であり、この異質さはかなり理解されているのではないかと思います。

こうしたことからも、安部首相の三原則は本当にアジア地域における実効性のあるドクトリンとなり得る可能性が高くなってきました。日本のリーダーシップのもとこれが実現する可能性が高まっています。

それに、ここでは詳細は、示しませんが中国のあからさまな海洋進出によって、特にロシアなど国境を接する国々は脅威を感じ、対中国対策を本気で考えるようになってきました。この対策には、日本の援助などは欠かせないものになると思います。これは、日本の対中国対策にとって追い風となります。これに関しては、最近のブログでも掲載しましたので、詳細は、そちらをご覧になって下さい。

そうして、安部総理が総理になる直前に発表した安全保障のダイヤモンド構想や、この構想にそって繰り広げてきた実行性のある全方位外交などが、アジア安全保障会議において、花を開いたということだと思います。

この会議で、安部総理は、自身の靖国神社参拝について「国のために戦った方に手を合わせる、冥福を祈るのは世界共通のリーダーの姿勢だ」などと語り、会場が拍手に包まれる一幕がありました。

講演後の質疑で、出席者の中国人男性が昨年の首相の靖国神社参拝について「先の大戦で日本軍に中国人は殺された。その魂にどう説明するのか」と質問したのに答えました。

首相は「法を順守する日本をつくっていくことに誇りを感じている。ひたすら平和国家としての歩みを進めてきたし、これからも歩みを進めていく。これは、はっきり宣言したい」とも述べました。

まさに、現在の日本は、戦後長きにわたって、戦争などしてきませんでした。この事実を安部総理は高らかに誇らしく語ったわけです。この中国人男性もこの言葉には、ぐうの根もでなかったでしょう。もう、アジアは数年前のアジアとは異なるのです。

一方、小野寺五典(いつのり)防衛相は同会議の夕食会で、中国の王冠中・人民解放軍副総参謀長と約5分間、会話しました。

小野寺氏は、東シナ海上空で中国軍機が自衛隊機に異常接近した問題を踏まえ、海上での偶発的衝突の防止に向けた連絡体制の早期運用に応じるよう求めた。王氏は「日中間のさまざまな問題が解決しないと難しい」と答えました。

アジア安全保障会議においては、中国は一方的に劣勢に立たされ、敗北しました。

中国側は、まさに安部総理に翻弄されています。アメリカのオバマは、優柔不断で、それが間接的に中国の海洋進出を誘引してしまいました。ロシアのプーチンは強面ですが、このブロクででも指摘したように、ルトワック氏に氷の微笑と指摘されながらも、表面上は中国に接近の姿勢をみせています。イギリス、ドイツは中国に擦り寄りの姿勢を見せています。

そうした最中、ここまではっきりと中国に直截にものを語れるのは、今や世界でも安部総理のみです。このような日本の首相は過去には存在しておらず、中国側は今後どうしたものよら考えあぐねパニックに至っていると思います。

その兆候は随分前から見られていました。それについては、このブログに過去に掲載しましたので、そのURLを以下に掲載します。
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詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年12月のものですが、中国側の焦りを掲載しました。現状では、中国国内では大規模な、中国政府による官製反日デモはできない状況になっています。それに、経済が不振で、とんでもない状況になりつつあります。

これに対して中国ができるのは、海外からの投資の呼び込みですが、これもままならない状況になりつつあり、中国核心的利益を得るための海洋進出の安部総理により阻まれようとしています。

当時の彼らの焦りを示す部分だけ以下にコピペさせていただきます。
安倍政権は東中国海の向こうでステップを踏み、中国をそのステップに合わせて踊らせようとしている。そうなれば中国は疲労困憊し、馬鹿げて見えることだろう。中国の正確な手法は「傍観者」になることだ。せいぜい安倍政権には踊らせておこうじゃないか。我々はひまわりの種をつまみながらお茶を飲み、彼らが踊りに疲れて全身汗だらけになる様子を楽しめば良いのだ。  
中日の外交対立は、徐々にこのような情勢に向かいつつある。安倍首相は就任以来、中国に対して数えきれないほどさまざまな、硬軟織り交ぜた呼びかけをした。中国の指導者は一言もこれに応じず、中国側の回答はすべて外交部の報道官が代わりに行った。表面的には日本側が絶えず積極的に攻めに出ているように見えるが、実際には中国側はこれを静観し日本に対する心理的な強みを蓄積している。これは中日の外交対立にとって有利であり、中国社会の対日心理の調整にとっても極めて重要である。
この状況は、安倍政権ではなく、まさに中国当時の状況を指し示しています。そうして、現状はもっと厳しく、まさしく、安部総理はステッフを踏み、中国はそのステッフに合わせ踊っています。それに対して、安部総理は対話を呼びかけてはいるものの、まともな対話にのってこない中国に対して、まさに現在「傍観者」決め込んでいます。

中国は安部総理のステップに合わせて疲労困憊するまで踊り続けている

今回の「アジア安全保障会議」における、安部総理のパフォーマンスは素晴らしいものでした。それも、単なるバフォーマンスではなく、全方位外交などによる、行動の裏付けのある実効的なパフォーマンスでした。これで、アジアでの日本のプレゼンスはかなり高まりました。中国は、この会議でも安部総理のステップにあわせて、良く踊ってくれたようです。

しかし、油断は禁物です。日本には、中国を後ろ盾とした、反安倍のマスコミや、政治家などがたくさんいます。いつ寝首をかかれるかわかりません。今や、安部総理にとって危険なのは、中国や北朝鮮より日本国内の中国の傭兵どもです。

彼らは、現代中国がこれからも勢いを増し、大きくなっていくという幻想を頑なに信じています。そうして、親中的な生き方をするのが日本の進む正しい道であると信じています。一方では、超大帝国米国の勢いがいつまでも続くと頑なに信奉している人たちがいます。

実は、日本国内では、こうした中国と米国の代理戦争が繰り広げられているというのが真実です。ソ連が存在したときには、ソ連と米国の代理戦争だったのですが、池田総理の国民所得倍増計画などで、経済的に日本が潤った結果、ソ連の影響力はどんどん薄くなり、ソ連崩壊とともに完全に消えてなくなりました。

ソ連崩壊は、日本とってはある意味大きなチャンスだったのですが、そのチャンスを生かし切れなかった日本は、中国の台頭により、ソ連なき現在、日本国内では中国と米国の代理戦争を繰り広げるという最悪の道を歩むことになりました。

この流れを変えようとしているのが、安部総理です。もう分裂崩壊間近の中国や、米国の代理戦争をするなどという愚かな生き方はやめて、一日でもはやく日本独自の歩みができるようにしようとしています。

安部総理は、日本独自安全保障のため、これからも尽力するでしょう。最早、安部総理にとっては経済が崩壊し、分裂しつつある中国は大きな敵ではなくなりつつあります。しかし、国内の敵はなかなか一掃されません。

私たちが、これからも特に留意すべきは、こうした内なる敵への対処です。


内なる敵は、選挙で葬ったり、世論形成で対応するしかありません。あるいは、ザル法に過ぎない、特定秘密保護法を中国や中国のスパイたちが困るもっと実効性のあるものにしたり、スパイ防止法を制定する必要があります。

最近の、日本の優位性も、安倍政権が短命に終わってしまえば、それこそ、中国の思う壺で水泡に帰してしまうと思います。来年10%増税ともなれば、日本のデフレからの回復は遠退き、中国にとって有利状況になります。もう、先のない中国共産党中央政府はなりふりかまわず、安倍退陣を画策して、実行に移すことでしょう。彼らの術中にはまることがないよう、国内メディアや媚中政治家などをしっかり監視して、批判すべきは徹底して糾弾すべきと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月9日日曜日

増税先送りなら解散、年内にも総選挙…首相検討―【私の論評】安倍総理は国内では「解散」風を吹かせつつ海外メディアを活用して増税見送り機運を醸成し、長期政権を目指すことになるだろう(゚д゚)!

読売新聞
2012年11月6日 前回の衆院解散

 安倍首相が、来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを先送りする場合、今国会で衆院解散・総選挙に踏み切る方向で検討していることが8日、分かった。

 17日に発表される7~9月期の国内総生産(GDP)などの経済指標を踏まえて増税の可否を決め、解散についても最終判断する方向だ。首相は、こうした考えを公明党幹部に伝えたとみられる。年内に解散する場合、衆院選は「12月2日公示・14日投開票」か「9日公示・21日投開票」とする案が有力だ。

 複数の政府・与党幹部が明らかにした。首相側近議員は8日、「選挙の争点はアベノミクスへの評価だ」と語った。

 消費税は、2012年8月に成立した社会保障・税一体改革関連法で、〈1〉14年4月に8%〈2〉15年10月に10%――とすることが決まっている。経済情勢が悪い場合、増税を見送ることはできるが、法改正が必要だ。

【私の論評】安倍総理は国内では「解散」風を吹かせつつ海外メディアを活用して増税見送り機運を醸成し、長期政権を目指すことになるだろう(゚д゚)!

解散は、十分あり得る話になってきました。

7日の、読売新聞には、以下のような記事も掲載されています。
<永田町>解散風にざわつく 想定3シナリオ
詳細は、この記事をご覧いたたくものとして、今後の政治日程と「早期解散」シナリオをまとめた、表を以下に掲載します。


早けれは、年内にも衆院解散ということもあり得る状況になってきました。

私は、これらのどのシナリオになるのかはわかりませんが、いずれにせよ、衆院解散は十分あり得ることであると判断しています。

その論拠として、昨年の8%増税のときの直前の新聞の報道姿勢を掲載します。
消費税増税決定と報道したマスコミの梯子を華麗に外す菅官房長官―【私の論評】外国勢に嫌われようと、増税派に嫌われようと、安倍総理はまた優雅に梯子を外せ(゚д゚)!
結局昨年は、マスコミの梯子を華麗外すことはできなかったが、今年は・・・・・?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、昨年はほぼすべての新聞が、安倍総理が増税の決断を公表する前から、さも安倍総理が増税を決断したかのように執拗に報道していました。これは、特に直前が酷かったです。

これは、無論財務省の必死の増税キャンペーンによるものであったと考えられます。それにしても、とんでもない状況でした。政治家もほとんどの人が増税一辺倒であり、反増税派の人々も、安倍総理増税決断の直前には、自民党内でも増税派に寝返ってしまった人々も多数でてしまいました。

これでは、安倍総理も本来は増税は国民にとっても、政府にとっても、そうして特に安倍政権にとっても、良くないことであることは重々承知ながらも、安倍長期政権を目指すためには、増税もやむ無しという判断をせざるをえなかったでしょう。

しかし、今年は違います。かなり増税派の勢いが強いようではありますが、首相が増税をパスして解散するかもしれないという記事をブログ冒頭の読売の記事のように、新聞各社が掲載しています。
消費税にらみ「解散いつ?」 増税延期し年内/実施前の来夏 朝日新聞
再増税延期はマーケットの朗報か 日経新聞
詳細は、これらの記事をご覧いただくものとして、読売新聞、朝日新聞、日経新聞とも、昨年は「首相増税」決断と、首相の増税表明前から、報道していたのとは全くの様変わりです。

安倍総理昨年は、政権が成立したばかりなので、「解散」を言い出すことはできませんでしたが、今年は、できます。特に、支持率が落ちている現在は言い出しやすい環境が整っています。増税に大賛成の新聞も、まさか「解散」に関わることに関して、報道しないわけにはいきません。

しかも、その「解散」が増税見送り解散ということにでもなれば、安倍総理が増税見送りをするかもしれないということについて、全く報道しないわけにはいきません。

これは、安倍総理の意図して、意識した戦略によって、「解散」をちらつかせていることは明らかだと思います。

また、安倍総理はこと増税に関しての自らの見解は、日本のマスコミにはほとんど言わず、海外のメディアを利用するように方針を変えています。実際に海外のメディアにより、安倍総理の増税に関する報道がなされるようになりました。このブログにも、それに関する記事を掲載していますので、その記事URLを以下に掲載します。
消費再増税、アベノミクス成功のため冷静に判断=安倍首相―【私の論評】安倍総理は、長期政権樹立のため増税パスの政治的な賭けを実行する可能性が高まってきた!しかし、日本のマスコミはこれをスクープできないだろう(・・;)
 この記事の元記事はロイターによるものです。
安倍首相が消費増税の延期示唆、経済への影響踏まえ判断=FT―【私の論評】安倍総理は、外国の新聞社には増税見送りの示唆をするが、殺人マシーンと化した財務省に諜略された日経・朝日新聞をはじめとする大手新聞にはそのようなことはしない。しかし、本当にそんな事で良いのだろうか(゚д゚)!
この記事の元記事は、イギリスフィナンシャル・タイムズによる安部首相へのインタビューをロイターが転載したものです。
焦点:首相周辺で消費増税延期が優勢、景気腰折れ懸念―【私の論評】恥ずかしくはないかい!日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者諸君!安倍総理に愛想づかしをされ、本音で話すのは外国のメディアのみになってしまったことを(゚д゚)!
ロイター本社

この記事の元記事もロイターによるものです。 特に、この元記事では、ルー米財務長官が増税に懸念を示していることを掲載しています。

このように外国のメディアなどに増税のことに関して、話をしたり情報を提供するということは理にかなっています。安倍総理から見れば、もともと日本のマスコミはどこかネジがずれているのですが、昨年の安倍総理が決断もしていないうちから、何度も執拗に「安倍総理増税決断」と報道されたので、日本のメディア信用ならないということもありますが、日本のメディアは相手にしないという方針を固めたのだと思います。

考えてみると、安倍総理の「安全保障のダイヤモンド構想」についても、マスコミはほとんど報道しませんでした。しかし、安倍総理は日本国内ではほとんどこれを議論せずに、直接外国の首脳に会うことにより、これを推進して大きく前進しました。

これについては、このブログにも以前掲載しましたので、その記事のURLを以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
安倍晋三首相とインドのモディ首相
この記事では、鳩山元首相の『東アジア共同体構想』は報道しても、安倍総理の『安全保障のダイヤモンド』については、ほとんど報道しない日本のメデイアを批判しました。

しかし、考えてみると、マスコミが安倍総理の『安全保障のダイヤモンド』をほとんど報道しなかったおかげで、これは見事に早期に完成間近までもっていけたのだと思います。

もし、これが日本のマスコミが大報道して、それを糾弾したり、安倍総理が国内で論議をしてコンセンサスを得てから、実行に移すなどのことをしていたとしたら、100年たっても何も進まなかったかもしれません。

しかし、安倍総理自身がこれを直接外国首脳を対象に推進したため、今日大きな成果につながっています。

増税に関しても、日本国内で自らが語っても、報道もされないどころか、印象操作をされて、昨年の新聞各社による「首相増税決断」などと報道されてしまいかねません。

であれば、「安全保障のダイヤモンド」で自らが直接外国の首脳に働きかけたように、日本のメディアなどはスルーして、外国のメディアに働きかけるというように方針を変えたのだと思います。

増税は、安全保障の問題とはまた異なり、国内事情がほとんどですが、だからこそ「解散」風を吹かせて、増税見送りの意図を日本のメディアに拡散させ、外国メディアを活用して、自らの意図を間接的にではあれ、正確に日本国内にも知らしめるという戦略をとっているのだと思います。

消費税増税をしても、税収は増えません。税収が増えないと、財政再建も、その他の政策にも支障をきたします。結局、消費が低迷して、税収の源泉である国民所得が減るからです。こんなことは、過去15年以上も続いたデフレで、見事に示されていることです。

安倍総理自身は、そのことを良く理解しています。もし増税すれば、安倍長期政権は期待できなくなります。安倍総理の天秤では、昨年は、増税見送りリスクのほうが、重かったのですが、現在は、増税見送りリクスと増税実行リスクが拮抗しています。

さあ、どうでるのか。年末には答えがでます。

そうして、私自身は、今回は安倍総理は、解散しても増税はパスすると思います。なぜなら、追加金融緩和を実行した現在、増税を実行してしまえば、経済はまた悪化して、安倍政権の支持率は地に堕ちて、安倍おろしの嵐が吹き荒れることになります。その時に、解散総選挙などすれば、それこそ、麻生政権の二の舞を舞うことになるだけだからです。

第一次安倍政権で、失敗した安倍総理です、その二の轍を踏むとは、私にはにわかには信じがたいからです。

皆さんは、どう思われますか?

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消費税日記〜検証 増税786日の攻防〜

2023年7月14日金曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ  岸田首相は「一発かますべきだった」 NATO東京事務所に仏大統領反対も...「食らいつく」べき理由―【私の論評】NATOは未だ東京事務所設置を諦めていない、岸田首相はマクロン大統領を説得すべき(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ  岸田首相は「一発かますべきだった」 NATO東京事務所に仏大統領反対も...「食らいつく」べき理由

バイデン米大統領 NATO首脳会議にて

 岸田文雄首相は、NATO首脳会議でジョー・バイデン米大統領からベタ褒めされました。しかし、フランスのエマニュエル・マクロン大統領からNATO東京連絡事務所の設置計画について、「インド太平洋は北大西洋ではない」といわれ、はっきり反対されました。その結果、NATOの決定は全会一致が原則でフランスが反対したため、今回のNATO首脳会議での東京連絡事務所の設置案は見送られました。

 ここで、岸田首相は、外交の岸田を世界にアピールしたいなら、一発かますべきでした。というのは、NATO事務局は中国を「体制上の挑戦」と位置づけているからです。中国は近年インターネット上のサイバー攻撃や偽情報の拡散、宇宙での安全保障での影響力拡大に関わっています。こうしたサイバー攻撃などは地理的な制約がないので、NATOの活動にも悪影響が出かねない。いずれにしても、NATOは中国に対し警戒感をあらわにしています。

 NATOは、日本を非常に緊密かつ重要なパートナーとしてとらえ、日本に加え、韓国、オーストラリア、ニュージーランドとの連携を広げようとしています。東京での事務所をその足がかりに、というのがアメリカやイェンス・ストルテンベルグ事務総長の構想だった。

 これは、日本にとっても、中国の影響力拡大に警戒を強めるなか、NATOが自由で開かれたインド太平洋地域の安全保障に貢献しようとするのは歓迎です。

 いずれにしても、サイバー攻撃などを考えると、今は安全保障は地域問題にとどまらず、世界規模の問題ととらえたほうがいい。この程度のことは、岸田首相も表の記者会見などではっきりとすべきだった。

 フランスの本音は、中国への配慮です。実際中国はNATOの東京事務所に猛烈に反対している。フランスは中国がエアバスを購入するので懐柔されたともいわれている。

 裏では、岸田首相はマクロン大統領に、日本はエアバスとワインを買うくらいの話をしてもいいだろう。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談が流れたのは仕方ない。なにしろウクライナにとっては日本と会談しても武器が手に入らないからだ。

 それなら、岸田首相は、日韓首脳会談などやらずにマクロン大統領に食らいついて、NATO東京連絡事務所について色よい返事をもらわないといけない。事務方がせっかくいいところまで作ってきたのだから、最後の一押しをするのは政治家にしかできない役目だ。

【私の論評】NATOは未だ東京事務所設置を諦めていない、岸田首相はマクロン大統領を説得すべき(゚д゚)!

歴史上、ある国の指導者が、他国の指導者の反対に応じて行動を起こしたり、声明を出したりした例はあります。しかし、国と国との外交関係や相互作用は複雑であり、特定の結果を一国の指導者の行動のみに帰することは必ずしも容易ではないことに留意する必要があります。さらに、「食い下がる」という言葉は主観的なものであり、さまざまな反応を包含する可能性があります。

過去の例としては、1962年のキューバ危機における米国のジョン・F・ケネディ大統領とソ連のニキータ・フルシチョフ首相のケースがあります。米国は、ソ連がキューバに核ミサイルを設置していることを発見し、米国の安全保障に重大な脅威をもたらしました。

ケネディ大統領

ケネディ大統領はこれに対し、この発見を公に発表し、さらなる輸送を防ぐためにキューバ周辺に海上封鎖を敷きました。この危機は2つの超大国間の緊張をエスカレートさせ、ケネディはフルシチョフの行動に断固として反対しました。

最終的にフルシチョフは、アメリカがキューバを侵略しないという公約と、トルコからアメリカのミサイルを撤去するという密約と引き換えに、ミサイルの撤去に同意しました。この危機の解決は、ケネディの毅然とした態度がフルシチョフの反対運動の撤回につながった例と見ることができます。

偉大な経営学者ピーター・ドラッカーは、外交交渉において以下のことが重要であると述べています。以下に安倍外交と対比しながら述べます。

人間関係を築くこと。これは相手とその利害関係を知ることを意味します。また、信頼関係を築くことも重要です。これに関しては、安倍元総理は、米国のトランプ米大統領や、インドのモディ首相とも良い人間関係を築いていたと思います。

目標を明確にすること。交渉で何を達成したいのか。明確な目標を持つことで、集中力を維持し、より良い決断を下すことができます。
安倍元首相は、安全保証のダイヤモンドや、インド太平洋戦略などの概念を生み出し、これらに基づき、その時々で外交を展開していました。そのため、目標は明確だったと思います。

妥協する覚悟を持つ。完璧な交渉はあり得ません。見返りを得るためには、何かを諦める覚悟が必要です。これは、外交の基本です。ただし、妥協においても正しい妥協と、正しくない妥協があります。これはまた後で述べます。

忍耐強く。交渉は長く、難しいものです。目標を達成するためには、忍耐強く、粘り強く取り組むことが大切です。

これらの原則は、ドラッカーの著書『The Effective Executive』に概説されています。

以下は、外交交渉に関するドラッカーの補足です。

パワー・ダイナミクスを意識すること。交渉の中で最も力を持っているのは誰か?その力をどう使えば有利になるのか?

説得力と影響力を使え。すべての交渉が力によって勝利するわけではありません。多くの場合、説得力と影響力を行使して自分の望むものを手に入れる必要があります。

文化的背景を意識する。文化が異なれば、交渉スタイルも異なります。こうした違いを認識し、それに応じてアプローチを調整することが重要です。

外交交渉は複雑で難しいものです。しかし、これらの原則に従うことで、成功の可能性を高めることができます。

外交にも妥協は必要です。上の記事で、「裏では、岸田首相はマクロン大統領に、日本はエアバスとワインを買うくらいの話をしてもいいだろう」としていますが、まさにこれが妥協というものでしょう。

ただ、妥協にも正しい妥協と正しくない妥協があります。これは、先日意思決定に関して述べたばかりです。外交でも同じことだと思います。当該記事のリンクを以下に掲載します。
「ゼロリスク」思考の落とし穴 処理水やマイナンバー問題も…世の中に100%安全なし、身近な「確率」と比較すべき―【私の論評】まともな過程を通じて意思決定する習慣をもたなければ、重要な意思決定ができなくなる(゚д゚)!

外交においては、「ゼロリスク」思考は、考えるまでもなく全くありえないと思いますので、こちらには言及しません。そもそも、「ゼロリスク」思考で物事を考える人には、外交に携わることなどできないでょう。

この記事から、一部を引用します。
ドラッカーは、正しい妥協をすることがリーダーの重要なスキルであると主張しました。リーダーには、さまざまな利害関係者のニーズのバランスをとり、誰にとってもうまくいく解決策を見出す能力が求められます。正しい妥協をすることで、リーダーは信頼と協力を築き、目標を達成することができます。

ドラッカーは『エフェクティブ・エグゼクティブ』の中で「リスクゼロを目指す経営者は、成果もゼロだ。計算されたリスクを取ることを厭わない経営者は、大きな成果を上げるだろう。そうして、適切な妥協を厭わない経営者は、永続的な成果を達成する」と述べています。
詳細は、この記事を読んでいただくとして、妥協の事例として、ドラッカーはソロモン王の裁定を例に出しています。「半分のパン」は食用になるが、「半分の赤ん坊」は意味がないという有名な事例です。

「半分のパン」のような妥協ならしても良いですが、「半分の赤ん坊」のような妥協ならすべきではないということです。しかし、多くの人はしてはならない妥協をすることも多いです。これは、外交においては致命的なミスになるでしょう。

「NATO東京連絡事務所」に関して、NATOはすぐにこれを諦めるということないでしょう。NATOは、マクロン大統領を説得するでしょうが、 一方の当事者でもある、岸田首相も率先して説得すべきです。

NATOは2023年6月、NATO東京連絡事務所を設置する意向を発表しました。この事務所はNATOと日本およびアジア太平洋地域の他のパートナーとの関係を強化することを任務とします。

同事務所の意図は以下の通りです。

アジア太平洋地域に対するNATOの関与を強化すること。NATOは伝統的に欧州の安全保障に重点を置いてきたが、中国の台頭により新たなパートナーをアジア太平洋に求めるようになっている。東京リエゾンオフィス(連絡事務所)は、NATOが日本やその他の地域諸国との関係を深めるための手段となります。

安全保障問題での日本との調整。日本は米国の緊密な同盟国であり、NATOは安全保障問題でよりよい連携をとるために日本との関係強化に努めてきました。東京リエゾンオフィスはNATOと日本が情報を共有し、共通の課題に対して協力するための手段となります。

非伝統的な安全保障上の脅威に関する協力を促進する。東京リエゾンオフィスはまた、テロやサイバー犯罪といった非伝統的な安全保障上の脅威に関する協力を推進することも任務となります。これらは国境を越えた脅威であり、NATOと日本は協力して対処する必要があります。

しかし、NATO東京連絡事務所の設置決定には反対意見もあります。中国は、この事務所は「冷戦の遺物」となり、「地域の平和と安定を損なう」と警告しています。フランスのマクロン大統領はこれに配慮して、連絡事務所の開設に反対したのでしょう。また、日本の政治家の中にも、NATO東京連絡事務所について懸念を表明する者もいます。

2023年7月現在、NATO東京連絡事務所の設置決定は延期されています。7月12日NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、NATOはこの問題について "まだ議論中 "であり、"いずれ決定する "と述べました。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長

マクロン大統領への具体的な反論をいくつか挙げます。

NATO東京事務所は、フランスの緊密な同盟国であり友好国である日本とNATOの関係を強化するのに役立つでしょう。

NATO東京事務所は、テロやサイバー犯罪といった非伝統的な安全保障上の脅威に対するNATOと日本の協力促進に役立ちます。

この事務所は、アジア太平洋地域における中国の攻撃的な行動を抑止するのに役立つでしょうが、同時に同事務所は軍事基地ではなく、中国を脅かすものでもありません。

この事務所は、マクロン自身の大西洋主義へのコミットメントに沿うものです。

このような議論は、マクロン大統領の特定の懸念に合わせることが重要でしょう。しかし、NATO東京事務所の利点を強く訴えることで、反対を撤回させることができるかもしれないです。

岸田首相は、仏マクロン大統領の説得にあたるべきです。岸田首相は、外交では安倍元総理の政策を継承しているようですが、ここが踏ん張り時と思います。マクロンを説得できれば、安倍外交と並び岸田外交も高く評価されることになるでしょう。

意外とこういうところから、国内政治への転機も生まれてくるのではないかと思います。

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2015年9月9日水曜日

大新聞 安保法制反対デモは報じるが世界の賛成の声は報じず―【私の論評】中国のため日本国内で報道統制をする習近平応援メデイアには、もううんざり(゚д゚)!

大新聞 安保法制反対デモは報じるが世界の賛成の声は報じず

表および写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 この国のメディアでは、時として不思議なことが起こる。政府が9月中旬までの法案成立を目指し、参議院で大詰めの審議を迎えている安全保障法案に関する報道だ。8月下旬、安保法案に反対するデモが全国で行われると、一斉にこう報じられた。

 〈安保法案 一斉「NO」〉〈「ウォッチ安保国会」若者発デモ、悩んで学んで〉(ともに朝日新聞8月24日付朝刊)

 〈黙っていたら「戦争法案」採決される 全国一斉デモ 64カ所〉(毎日新聞8月24日付朝刊)

 さらに、各地の地方版でも、〈学生ら安保法案反対訴える〉(朝日新聞同日付、宮城県版) 〈安保法案「9条を壊すな」1100人参加し集会 岐阜〉(毎日新聞同日付、岐阜県版)などと、反対の声が報じられた。

 デモが行われたことは確かにニュースではある。だが、朝日の8月の世論調査では30%、読売調査では31%いるはずの「賛成」派の声は、ほとんど聞こえてこない。

 報道が持つ役割の一つに「権力の監視」があることは論を俟たない。だからといって「反対」の声ばかりが取り上げられ、3人に1人はいるはずの「賛成」の声が黙殺されているのは不可思議だ。普段は「少数派の声」を取り上げるのが得意な朝日が、今回に限ってどうしてそれを無視するのか。

 賛成派がなぜ安保法案を必要と考えているのか、あるいは賛成でも反対でもない人々が法案や国会審議をどう見ているのかをすくい上げ、国民的議論にすることが必要であるはずだ。

 その意味でさらに不可解なのは、新聞各紙が海外の安保法案賛成の声をほとんど伝えていないことである。

 目の前の南シナ海で中国の脅威を肌で感じているフィリピンのアキノ大統領は、6月に参院で演説し、「日本との関係は地域の自由を確保するための最前線にある」「日本は平和維持のため、国際社会に責任を果たす上でより積極的な立場を取っている」と安保法案を評価した。やはり南シナ海で中国の攻勢に晒されているベトナム、マレーシアも、「日本の平和への貢献を歓迎」すると表明している。

 ほかにもアメリカはもちろん、イギリス、フランス、オーストラリアなど先進国各国が安保法案に賛成の立場を示しており、ドイツのメルケル首相は「国際社会の平和に積極的に貢献していこうとする姿勢を100%支持する」とまで述べている。

 5月に開かれた日EU定期首脳協議の共同声明では、〈「積極的平和主義」に示された世界の平和と安全の促進と維持における取組を歓迎し、支持する〉との評価が盛り込まれた。そうした国々をはじめ、世界40か国以上が安保法案や日本が掲げた「積極的平和主義」を支持するとしている。

 アキノ大統領の参院演説についてはさすがに朝日や毎日も報じたが、日本各地の反対デモを逐一報じるように、「世界の賛成の声」を詳細に報じた記事は見当たらない。

 本誌は、憲法を形骸化させる安倍政権の手法には賛成できない。憲法を都合良く解釈し、小手先の法改正で国を守るあり方を変えようする強引な姿勢は、日本の針路を危うくするものだと考える。

 ただ、だからこそ今、日本国内の声とともに、法案に賛成している国はどのような理由で賛成しているのか、そして、日本に期待されている国際的な役割は何なのかを海外の声からすくい上げ、議論の材料にすることが必要なのではないか。それがないまま議論を進めても、いつまでもイデオロギー対立を繰り返すばかりだ。

【私の論評】中国のため日本国内で報道統制をする習近平応援メデイアには、もううんざり(゚д゚)!


最近、参院で審議中の憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む安保法制に関しては、国内でも多くの議論がなされましたが、おおむね国外(とくにASEAN諸国)では「支持」「歓迎」の声が数多く聞かれます。ブログ冒頭の表にはありませんがイギリスでも「支持」が表明されており、一部に懸念する声もあるものの、世界的な安全保障に対する日本への期待は大きいです。

国内の世論調査では、「憲法改正した上で集団的自衛権の一部行使容認すべき」という声がもっとも多く、その気持ちもよく分からなくはありません。でも、今回各国から「支持」の声を引き出せた背景には憲法改正ではなく、解釈の変更によって進められたものだからこそという側面もあることを忘れてはならないはずです。いずれにしても、日本はやっと普通の国になろうとしているというのが海外の多くの見方であり、今後の日本の世界に対する行動がその評価を決めていくことになるでしょう。

以上について、新聞はもとより、テレビなどのメディアもほとんど報道しません。

このような世界情勢をほとんど報道しないメディアによって、現在多くの人々が誤った認識に基づき、安保法制の成立に反対しています。

このことに及ばず、マスコミは安保問題に関しては、明らかに一つの意図にもとづき、報道統制をしています。

マスコミが安保法制に関して重要なことで、ほとんど報道しないことは他にもあります。それは、あげればきりがないほど、多数に及びます。それを全部とりあげていては、膨大なものとなるので、ここでは、安全保障に関するものだけあげます。

これらはこのブログでも過去に掲載してきたことですが、まとめて掲載したことはなのです、簡単に以下にまとめておきます。

憲法9条に関する憲法学における京都学派の見解

まずは、日本では憲法学者のほとんどが、安保法案を違憲としていますが、別の見方もあります。それは憲法学でも、京都学派に属する憲法学者らの見方です。

佐々木惣一氏は憲法第九条の条文そのものに即して以下のように詳述しました。

佐々木惣一氏
憲法によれば、国家は、戦力、武力による威嚇及び武力の行使については国家が国際紛争を解決する手段としてする、というものという標準を設け、かかる戦争、武力による威嚇及び武力の行使を放棄している。 
故に、国際紛争を解決する手段としてではなく、戦争をし、武力による威嚇をし、武力を行使することは、憲法はこれを放棄していない。即ち禁じているのではない。このことは、前示憲法第9条第一項の規定を素直に考究すれば、明瞭である。 
同条項によりて、国家は、戦争、武力による威嚇及び武力の行使の三者を放棄する。換言すれば、してはならぬ、と定めている。が、併し、これらの行動を全般的に放棄しているのではなく、その行動を、国際紛争を解決する手段として、することを放棄する、のである。 
故に、国際紛争を、解決する手段以外の手段として、戦争することは、憲法により禁ぜられているのではない。国際紛争を解決する手段以外の手段として、戦争をする、という場合としては、例えば、わが国が突如他国の侵略を受けることがあって、わが国を防衛するために、その他国に武力を以て対抗して、戦争をするが如きは、明らかにこれに属する。(略)故に、いわゆる自衛戦争は憲法の禁ずるところではない。(佐々木惣一『憲法論文選(三)』)
この見解は、現在全く顧みられることもなく、そうしてマスコミもほとんど報道しません。

憲法解釈による集団的自衛権の行使に関する誤解

さて、次には、メディアでは、「戦後一貫した憲法解釈を守ってきた内閣法制局」と「それを変えようとしている安倍内閣」との構図で報道されています。しかし、これはそもそも大嘘です。

それどころか、岸信介・池田勇人内閣では核武装まで容認し、集団的自衛権の行使など自明でした。そもそも、日米安保条約など、集団的自衛権を行使するための条約であるという理解が当たり前でした。

そうして、現実には、日本はアメリカの基地を日本に置くということで、集団的自衛権を行使しています。アメリカ軍の基地を日本国内に設置することそのものが、すでに集団的自衛権の行使であることを日本のマスコミはほんど報道しません。

日本に米軍基地が存在すことそのものが、集団的自衛権の行使である
朝鮮戦争勃発から池田内閣までの解釈をすべてひっくり返したのは佐藤栄作内閣の高辻正己法制局長官です。法制局がのたまう「戦後一貫した憲法解釈」など、せいぜい佐藤内閣・高辻長官以来の話にほかなりません。

佐藤栄作政権期に境に集団的自衛権の解釈は明らかに変わっています。佐藤内閣以前の「(集団的自衛権を)持っているから行使できる(あるいはその都度考慮する)」から、「持っているが行使はできない」への変化が始まりました。

この時代には、ベトナム戦争がありました。日本に集団的自衛権はあるが、米国のために他国に自衛隊を派兵することはできないということで、社会党との国会運営をめぐる調整で、佐藤政権が妥協したためこのような妥協が行われました。

集団的自衛権の行使ができないなどという見解は、単なる妥協の産物に過ぎないのですが、今のマスコミはまるで日本が終戦直後から集団的自衛権に関しては、「日本は行使できない」という考え方を貫き通してきたような報道ぶりで、これを正しく伝えません。

そのため、日本では多くの人々が、憲法解釈による集団的自衛権の行使に関して正しい認識を持っていません。

さらにまだあります。

安倍総理の「アジアの安全保障のダイヤモンド」

それは、安倍総理の独自の構想である、「アジアの安全保障のダイヤモンド」です。これについてもほとんど報道されていません。これについては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その中の一つのリンクを以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
昨年会談した安倍晋三首相とインドのモディ首相
安倍総理は、民主党からの政権交代により、自民党政権が成立する直前の衆院選挙後に、この構想を海外のサイトに海洋安全保障強化を図るための、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ「安全保障ダイヤモンド構想」を提唱していました。

安倍総理は、この構想を発表するだけではなく、政権発足後から、外遊をかさねて、各国のリーダーたちに対して、この構想を実現するための努力を継続してきました。

このような外交の努力があったからこそ、このブログの冒頭に掲載されているように、安倍政権による安保法案が、海外から高い評価を得ているのです。もし、この構想や安倍総理の外交がなければ、このような高評価を得ることはできなかったでしょう。

憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む、安全保障法制の成立は、「アジアの安全保障のダイヤモンド」の実行を担保するものでもあるのです。

国連憲章と、他国憲法等に関して

マスコミが報道しないことは、まだあります。それは、国連憲章の第51条にはすべての国が、自国
を防衛する手段として、自然権としての集団・個別の両方を含む自衛権を行使できる旨の条文が定められています。

さらに、他国の憲法では、集団的自衛権に関しては、あまりのも当然の権利であり、それをわざわざ憲法の条文にしていない国々が多いです。

ドイツの集団的自衛権について

集団的自衛権とは、同盟に属するほかの国が攻撃された場合、自国が攻撃されたことと同等にみなして、他国を防衛するために戦う権利です。

例えば、ドイツが加盟している北大西洋条約機構(NATO)は、典型的な集団的自衛組織です。もしポーランドが外国から攻撃された場合、ドイツはほかのNATO加盟国とともに、ポーランドを防衛するために戦う義務を負います。その代わり、ドイツが他国に攻撃された場合は他国の防衛援助を受けられます。

ドイツ連邦軍のヴィーゼル空挺戦闘車
このようにしておけば、ポーランドも、ドイツもロシアなどから攻撃される確率はかなり低くなります。もし、ロシアがポーランドを攻撃しようと企てたとして、実際に攻撃をはじめれば、ロシアがポーランドのみを攻撃するつもりであっても、これはNATOに属する国々全部を相手にすることになるわけですから、余程のことがない限りこのような冒険はしません。だから、戦争の抑止になるのてす。

このように集団的自衛権とは、元々は、戦争を抑止するためのものです。現在世界では、過去のように、ロシア(当時はソ連)がポーランドを攻撃するようなことは考えられませんが、さりとて、そのような状況が未来永劫にわたって続くとは限らないので、抑止力としての集団的自衛権を行使することが安全という考えかたです。

それから、ドイツは個別的自衛権を認められていません。ドイツには、ドイツ独自の軍隊であるドイツ連邦軍もありますが、基本的にはNATOの指揮下でしか動けません。 そのた、個別的自衛権行使出来ません。

これは、根底には、個別的自衛権の方危険だという考えがあります。個別的自衛権の行使は、当外国の判断だけで、実施することができるので、戦争になりやすいという理屈です。

集団的自衛権の場合は、周りの同盟国が、ある国が戦争をしようとしたとしても、それが同盟国の利益に相反する場合など、戦争を思いとどまらせるという行動に出ることが、考えられますから、集団的自衛権のほうが安全という理屈で、ドイツは個別的自衛権を行使しないようにしているのです。 

以上全部で6つの論点は、日本の安全保障を考える上で、不可欠であり必ず理解しておくべき事柄です。これらの、論点を知らなければ、まともに議論することはできません。

この重要な論点をマスコミはほとんど報道しません。これでは、多くの国民がまともに安全保障を語ることができないのが当たり前です。

そうして、マスコミにだけにおよばず、多く野党もこの論点を欠いています。そのため、国会の審議もまったく見当外れの不毛な時間の無駄遣いになっています。

このような重要な論点を全く報道しないということは、ある意味報道統制と同じです。これは、一体どこの国のための報道統制でしょうか。

とう考えても、日本国民や、日本政府のための報道統制とはいえないです。これは、安保法制が成立しなかった場合誰が一番得をするかを考えてみれば、すぐに理解できます。

一番、得するのは、中国です。そうして、このブログにも過去に掲載してきたように、中国は現在権力闘争のまっただ中です。習近平は苦しい立場に追い込まれています。中国の現体制は崩壊する可能性もあります。

そんな最中に、日本で安保法制が成立しなかった場合、中国はますます南シナ海や、東シナ海で暴虐の限りを尽くすことが簡単になります。そうなると、習近平にとっては、願ったりかなったりです。海外に対して、強く出て、中国の権益を増加させ、国内でも地盤を強化できます。

日本のメディアは、習近平応援メディア
何のことはない、結局日本のマスコミは、習近平応援のため、日本国内で情報統制をしているのです。その情報統制により、重要な論点を知らず、今回の安保法制を「戦争法案」として反対しデモをする人だちは、習近平応援デモをしているだけです。

こんなマスコミもういりません。本当に、ほとほと愛想が尽きました。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月30日土曜日

両陛下、インドへご出発 53年ぶり公式訪問―【私の論評】陛下の深謀遠慮のご訪問日程には天も味方した!中国の暴挙直後に、安倍総理の外交に楔を打ち込むベスト・タイミング!及び腰オバマなどあてにはできない!

両陛下、インドへご出発 53年ぶり公式訪問



 天皇、皇后両陛下は30日午前、日本との国交樹立60周年を昨年迎えたインドの公式訪問のため、羽田発の政府専用機で出発された。現地時間同日夕(日本時間同日夜)にニューデリーに到着される予定。12月6日に帰国される。首席随員は日印協会会長の森喜朗元首相。


 両陛下は羽田空港で、皇太子ご夫妻や秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方や、安倍晋三首相ら三権の長らの見送りを受けられた。陛下は「この度の私どもの訪問が、国交樹立60周年を迎えた両国の相互理解と友好関係のさらなる増進に資するよう願っております」とお言葉を述べられた。



 両陛下の海外ご訪問は平成24年5月の英国以来で、同年2月の陛下の心臓ご手術後2度目。インドへはお立ち寄りも含めると4度目だが、公式訪問は皇太子・同妃時代の昭和35年に昭和天皇のご名代で赴かれて以来、53年ぶりとなる。

 今回は首都ニューデリーと南部のチェンナイ(旧マドラス)をご訪問。ニューデリーでは大統領官邸での国賓の公式歓迎式典のほか、「インド独立の父」と呼ばれるガンジーが火葬された「ラージ・ガート」への供花、定礎式に参列した「インド国際センター」の約半世紀ぶり再訪などに臨まれる。チェンナイでは、伝統舞踊の学校や障害者協会を訪問される予定。

【私の論評】陛下の深謀遠慮のご訪問日程には天も味方した!中国の暴挙直後に、安倍総理の外交に楔を打ち込むベスト・タイミング!及び腰オバマなどあてにはできない!

天皇皇后陛下のインド訪問日程などどのように決まるのかは、私は知りませんが、最終的には天皇陛下の判断によるものと思います。このご訪問は、前から決まっていたと思います。そうして、特に今年のインドへの公式訪問には、格別のご配慮があったものと考えます。

それは、最近の安倍外交の成果です。このブログにも掲載してきたように安全保障のダイヤモンドを構築するという安倍総理大臣の構想は、安倍総理自身が実際にインドやASEAN諸国に実際に訪問することにより、着々と成果をあげつつあります。

これについては、以前このブログにも掲載したことがありまので、そのURLを以下に掲載します。
安倍首相を東南アジアの各メディアが“援護”、「太陽が再び日本から昇る」「中国の挑発を受けて立とうとしている」―中国紙―【私の論評】中国の共産党機関紙ですら伝える安倍首相の快挙を伝えないどころか、麻生発言偽装までするニッポンマスコミの反日ぶり!ただ大醜態を国民に見破られただけか(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、安倍総理が着々と、ASEAN諸国に訪問し、相手方にも好印象をもって迎えられていることが、ASEAN地域の新聞はもとより、中国の中国共産党機関紙である環球時報にも掲載されているのに日本のマスコミではほとんど報道をしていなかったことを掲載しました。そうして、この期間にマスコミが報道していたのは、現状ではほとんど忘れ去られている麻生大臣による「ナチス発言」でした。マスコミが反日的であることを示す典型例の一つでありました。本当に情けないことです。

中国共産党の機関紙ですら報道した日本の総理の快挙が、日本国内のメディアではほとんど報道されませんでした。

そうした最中での、天皇皇后両陛下のインド訪問です。インドは親日国でもあり、中国と国境を接する国でもあります。また、安倍総理の構想する安全保障のダイヤモンドにも含まれている国としては、最も遠い国です。これによって、安倍総理の外交の成果に対してさらに大きな楔を打ち込むという絶大な効果を発揮することになります。

そうして、この訪問をする直前になって、あの中国の暴挙てある、中国防空識別圏の設定です。これにより、中国の暴虐ぶりがますますあきらかになりました。

これに関しては、いろいろなメディアが批判しています。たとえば、以下のようなものもあります。
習近平政権の防空識別圏設定は致命的失敗 権威維持に“暴走”の危険性も
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、習近平は、日本を恫喝するため、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したが、米国の逆鱗に触れて、日米同盟を強化させてしまったとしています。これにより、習の地位は、大きく揺ららいだとしています。国際社会の猛烈な批判を浴びるなか、習主席は自滅への口火を切ったのかもしれないとしています。

国会で中国防空識別圏撤回要求し「領海領空を断固守り抜く」と発言した安倍首相

この出来事により、陛下のインドご訪問は、さらに大きな意味を持つことになりました。安倍首相は、先日もこのブログで述べたように、中国の防衛識別圏の設定に関して、国会の答弁の中できわめて迅速にしかも毅然として、その不当性を表明しました。これに対して、オバマ大統領は今に至るまで声明を発表していません。

そもそも、オバマ大統領は、例のレーダー照射があったあたりで、本来ならば「尖閣諸島は日本の領土」とはっきりと声明を発表するべきでした。このようにはっきり意思表示すれば、尖閣問題は下火になっていた可能性もあります。しかし、煮え切らない態度で、お茶を濁したため、かえってそれが中国をつけあがらせて、今日の防空識別圏設定につながつた面は否めません。中国は、米国にも挑戦しているのです。

中国に対して及び腰のオバマ

オバマの及び腰は、まだ尾を引いているようです。それを示すような新聞報道が今日もありました。その新聞記事のURLを以下に掲載します。
米、民間各社に中国へ飛行計画通告促す NYタイムズ 
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は29日、米政府が米航空各社に、米民間航空機が東シナ海上空に中国が設定した防空識別圏を通過する際、飛行計画の事前通告など中国側の要求に従うよう要請する方針を決めたと報じた。日本政府はこれとは逆の要請を航空各社にしており、報道が事実だとすれば、日米の足並みを乱すことになり、米政府の対応が疑問視される。 
 同紙は政府筋の話として伝えた。同筋は偶発的な不測の事態が発生し、民間人の乗客を危険にさらしかねないとの懸念から、民間航空機については中国側の要請に従う措置をとるとしている。 
 米政府はこれまで、B52爆撃機が防空識別圏内を飛行するなど、(1)防空識別圏を認めない(2)飛行計画の事前通告や無線の開放など、中国側が要求する措置には応じない(3)米軍の軍事行動に一切変更はない-との方針を明確にしてきた。 
 政府は米軍機については今後も、こうした方針を堅持するとしている。だが、民間機を例外とすれば事実上、米政府の原則の一角が崩れるうえ、日米の結束にも大きな影響を与えることになる。 
 日本政府は、中国側に飛行計画を提出し始めた全日本空輸、日本航空などの国内航空各社に対し、提出を中止するよう要請した経緯がある。このため、ニューヨーク・タイムズ紙も「米国の決定は、東京(日本政府)をいらだたせるかもしれない」と指摘している。
アメリカの民間航空各社の飛行計画書の事前通告など、日本の対応とは正反対です。これも、オバマの及び腰のなせる業です。こんな及び腰では、かえって危機を招くだけです。オバマの対応は、まるで、日本の民主党政権のときの中国対応とそっくりです。こんなことでは、鳩山をルーピーと揶揄することはできません。オバマは、自らが襟を正し、中国に対して安倍総理大臣のように毅然とした態度で臨むべきです。

中国に対する及び腰姿勢で尖閣問題を複雑にした民主党

こうした、最中にあり、安倍首相の対中国に対する毅然とした態度、そうして、これまでの安全保障のダイヤモンド構築の布石により、対中国封じ込め策はかなり功を奏しつつあります。

そうして今回は、安全保障のダイヤモンドの範囲の中で、最も遠い国である天皇皇后両陛下の公式ご訪問です。

弱腰オバマとは対照的に中国の傍若無人な態度に毅然とした態度で臨んだ安倍総理の行動はインドにも伝わっているはずです、それに間髪をいれず、今度は日本国の国家元首である天皇陛下と皇后陛下のご訪問です。無論天皇陛下は、安倍総理のように安全保障のダイヤモンドなどに直接関係するようなことは一切口にはされないでしょうが、陛下がお出ましになるということで、インドでは日本に対する信頼がますます深まり、両国の親睦もさらに深まります。

まさに、今回の天皇皇后両陛下のインド公式ご訪問は、時宜を得た素晴らしいタイミングで執り行われることとなりました。

アジアの中の日本

私は、これでますます、アジアにおける日本の地位と威信が高まることになったと思います。中国の地位と威信は地に落ちました。今や、ただ駄々をこね社会のルールを守らない子供大人のような存在に成り果てました。しかし、オバマが中国に対して及び腰であっても、安部総理はそうではありません。アメリカが煮え切らない態度であっても、アジアの秩序は日本が守ることになります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年6月6日月曜日

南シナ海、フランス主導でEUに海軍艦艇派遣案 暴走中国に対抗へ―【私の論評】国際法無視で、いずれ一敗地に塗れる中国(゚д゚)!

南シナ海、フランス主導でEUに海軍艦艇派遣案 暴走中国に対抗へ

手を携える日米韓の防衛相
中国人民解放軍の幹部が国際会議で激高した。南シナ海で軍事的覇権を強める同国に対し、米国の国防長官や日本の防衛相が警告を発したところ、「南シナ海は中国のもの」「中国は黙っていない」などと恫喝(どうかつ)してきたのだ。常設仲裁裁判所の判決も拒絶するような無法ぶりに、ついにフランスの主導で欧州連合(EU)各国の海軍艦艇による派遣案が急浮上した。

中国の孫建国連合参謀部副参謀長が5日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で行った演説や質疑応答は突出していた。

カーター米国防長官や中谷元(げん)防衛相は前日の会議で、中国による南シナ海での人工島の軍事基地化について、「自らを孤立させる万里の長城(を築く結果になる)」「原則に基づく海洋秩序を著しく逸脱している」と警告したが、これに猛反発したのだ。

孫氏は南シナ海情勢について、「南シナ海は昔から中国のものだ」と自説を繰り返し、「一部の国が問題を過熱させている」「ある国は『航行の自由』を都合良く解釈して武力をひけらかし、徒党を組んで中国に対抗している」と、強い調子で米国などを牽制(けんせい)した。


さらに、南シナ海の全域を中国の管轄下とする主張は不当だとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴したフィリピンも批判し、近く示される判断も「受け入れない」とした。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は5日、孫氏が三村亨防衛審議官との会談(4日)で、以下のように発言したと報じた。

「日米両国が南シナ海でパトロール航行などを合同で実施すれば、中国側は黙っていない」「改善しつつある中日関係に多くの不確定要素を生むだけでなく、大きな損害をもたらす」

唯我独尊、国際秩序を無視して、他国を軍事力で脅す姿勢といえる。これには地理的に南シナ海に関心の薄かったEU諸国も立ち上がった。

共同電によると、フランスのルドリアン国防相は5日、EU各国に対し、南シナ海の公海に海軍艦艇を派遣し、定期的に航行するよう近く呼び掛ける考えを同会議で明らかにした。ルドリアン氏は、EUは「航行の自由」によって経済的利益を得ているとし、南シナ海情勢を懸念していると主張した。中国は、孤立への道から引き返せるのか。

【私の論評】国際法無視で、いずれ一敗地に塗れる中国(゚д゚)!

フランスがなぜ、この南シナ海に艦艇を派遣するのか、不思議に思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは突飛でも何でもないです。

フランスは南シナ海に近い、南太平洋に未だに領地を持っています。そうです、フランス領ポリネシアです。

地図で位置の確認をします。以下の世界地図をご覧ください。


赤い印のあるあたりです。このあたりを拡大したのが、以下の地図です。


上の地図で、フランス領ポリネシアとして赤い線で囲まれている地域のすべての島が、フランス領です。

そうして、フランス領ということから、当然のことながらフランス軍が駐留しています。

その規模など以下に掲載します。

ポリネシア駐屯フランス軍は高等司令官の責任下に置かれ、高等司令官はフランス統合参謀総長の直轄下にあります。高等司令官は地域を担当する高等弁務官に対し軍事的助言を行う軍事顧問として機能し、さらに海軍太平洋管区司令官(ALPACI)および太平洋実験センター長(COMCEP)を指揮下に置きます。駐屯部隊は異なる軍種の混成(陸軍、海軍、空軍、国家憲兵隊、適応軍役制度)で構成されています。三軍将兵は約1,500人から成り、主にタヒチ島パペーテに配置されています。

陸軍部隊
陸軍は1個部隊が駐屯している。連隊は本部をタヒチ島に置くが、2個中隊は4ヶ月毎の輪番勤務で常設中隊については4個中隊はマルキーズ諸島、トゥブアイ諸島、トゥアモトゥ諸島に分屯しています。このほかにファーウン(fr:Faaone)に演習場が、パペリ(fr:Papeari)には弾薬庫があります。
太平洋ポリネシア海兵歩兵連隊 在タヒチ島、パペーテ
海軍部隊
海軍はパペーテに基地を置き、約600人が配置されています。
フロレアル級フリゲート × 1隻
P400級哨戒艇 × 2隻
シャンプラン級戦車揚陸艦 × 1隻
給油曳船 × 1隻
沿岸港内曳船 × 2隻
フュージリア海兵作戦コマンド分遣隊
海上憲兵隊の巡視艇 × 1隻
第25F海軍航空隊
仏領タヒチに駐屯する、フロレアル級フリゲート艦艇
「プレリアル」2014年6月9日晴海に寄稿したときの写真

空軍部隊
空軍は第190タヒチ=フアア空軍基地(パペーテ・タヒチ国際空港)が配置されています。
CASA CN-235戦術輸送機 × 2機
ユーロコプター フェネック汎用ヘリコプターとAS 332シュペルプーマ汎用ヘリコプター 
国家憲兵隊部隊
フランス領ポリネシアには約760人の憲兵を展開させ、機動憲兵隊が4個中隊と2機のヘリコプターを配備しています。
適応軍役制度兵
適応軍役制度に基づきフランス領ポリネシアには陸軍所属として太平洋適応軍役群(GSMA-Pf)が編成され、1989年にはマルキーズ諸島にも配置されています。これは現地出身である若者の統合を目的としてます。
任務
領土・領域については主権と安全保障の維持、国益のためにフランス領ニューカレドニア駐屯部隊司令官と連携して太平洋地域ダイアローグへの参加や、フランス本土から約18,000km離れたポリネシアの5諸島、118に及ぶ島を含む南北2,200km、東西2,100km、排他的経済水域500万平方メートルを範囲とする恒久責任地帯(la zone de responsabilité permanente:ZRP)内での介入能力の維持、災害救助や人道支援など緊急時の貢献、海上ではZRP内での違法漁業の取締り、海難救助のほかフランス=オセアニア・サミットでの申し合わせに基づき各種取締りの強化がなされています。航空分野については住民援助が主たる任務となっています。
さて、以上で仏領ポリネシアのフランス軍の規模はおわかりになったものと思います。おそらく、フランスが南シナ海に艦艇を派遣するというのなら、わざわフランス本土から派遣するのではなく、当然仏領ポリネシアの艦船を用いるものと思います。おそらく、フリゲート艦の「プレリアル」を派遣することになるでしょう。

そうして、この話降って湧いたように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。中国囲い込みにフランスも加勢してもらうという構想は前からありました。

そうです。安倍総理の構想した安全保障のダイヤモンドには、もともとフランスも数のうちに入れてありました。

それについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
安倍晋三首相とインドのモディ首相
この記事は、2014年9月2日のものです。この記事では、安倍晋三首相とインドのモディ首相との会談により、安倍首相の構想である、安全保障のダイヤモンドが完成に近づきつつあることを掲載しまた。

安全保障のダイヤモンドについては、なぜかほとんどのマスコミが現在でも報道しないため、知らない方もいらしゃるかもしれません。簡単にいえば、南シナ海の近隣諸国などが結束して、力による海洋進出を続行する、中国を封じ込めようというものです。

これについては、詳細についてもこの記事に掲載していますので、ご存知のない方は、この記事の詳細を是非ご覧になってください。

安全保証のダイヤモンド構想は、もともとプラハに本拠を置く国際NPO団体「プロジェクトシンジケート」のウェブサイトに、2012年12月27日付けで安倍晋三首相の英語論文が掲載されたものです。

さて、この論文の中にすでに、フランスのことが記載されています。その部分のみを以下に引用させていただきます。(赤字はブログ管理人が施したもの)
 私はアジアのセキュリティを強化するため、イギリスやフランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、小規模な軍事演習にも加わらせたい。タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、いずれ重要性を大いに増してくるであろう。
安倍総理の頭の中には、南シナ海の東隣りに位置する南太平洋のフランス領タヒチや、そこに駐屯するフランス軍のことが頭にあったのです。フランスがここに艦艇を派遣するとなると、イギリスも派遣することになるかもしれません。

それにしても、安倍総理は着々と、安全保障のダイヤモンドの構築を進めています。この構想は、すでに何ヵ国も歴訪して、多くの国々から賛同を得ています。そうして、とうとうEUからの艦艇派遣というところまでこぎつけたということです。

いまのところ、中国は南シナ海で手一杯というところですが、これもそのうち一段落すれば、さらに東を目指すかもしれません。

そうして、東の南太平洋には仏領タヒチがあります。この地域は、下の地図をご覧いただいてもおわかりになるように、レアアースの産地であります。他にも有用な地下資源も見込まれ、当然のことながら、中国もこれに大きな関心を示しています。


それに、フランス領タヒチは、無論のこと観光地でもあります。以下にフランス領タヒチの海の写真を掲載します。



このような美しい海が、中国によって南シナ海のように埋め立てられたりするのは、何が何でも防がなければなりません。

現在の中国の力ずくの海洋進出をそのまま放置すれば、いずれ太平洋のあらゆる方向に進出してくることは明らかです。

この上は、中国に対する最後通告として、南シナ海の中国の埋立地のすぐそばで、ASEAN諸国全部と、オーストラリアその他日米仏英も含めたような、大演習をすべきです。

この大演習の後、中国が環礁の実行支配をやめないというのなら、各国の艦艇で、島を包囲して、補給を断つと良いと思います。この包囲を破ろうとする中国艦艇はすべて撃沈、航空機はすべて撃墜すれば良いと思います。こんなことできないと思ったら大間違いです。

中国は南シナ海の全域を中国の管轄下とする主張は不当だとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴したフィリピンも批判し、近く示される判断も「受け入れない」としています。

仲裁裁判所の裁定は、無論のこと、国際法の原則にもとづいて行われることになります。そうしてその原則として、当事国の一方がそれを破れば他方は守る義務がないことになります。

国際法には「法」という字がついていますが、日常生活で「法律」という言葉からイメージするものとは大きな違いがあります。

民事や刑事の訴訟などで使われる法律は国内法です。国内法は主権を持った統一政府によって強制される法なので、「強制法」といいます。国内では、警察などの法執行機関が法律を破った人を取り締まるわけです。

一方、国際社会には警察のような強制力を持った組織はありません。国際法はあくまで主権国家同士の合意によって成り立っているものなので、「合意法」といいます。当事国のどれか一国が仲裁裁判所の裁定を破った場合は、その他の国は守る義務はありません。

これを前提として考えると、仲裁裁判所の裁定は、中国にとってかなり厳しいものとなることが予想できます。そうして、中国は最初から守る気がないことを表明しています。そうなると、中国画一方的に裁定守らないわけですから、他国が中国にこの裁定を力ずくで守らせるため、原状回復を図ったとしても国際法違反にはならないことになります。

そうなると、先ほど掲載した事例も十分成り立つわけです。中国は、もともと他国はおかまいなしに、国内の都合で動く国です。それでも、中国が大陸内で動いているうちは、国際法などとは全く関係なく動くことができました。

しかし、海洋は違います。さすがの中国もいずれ必ず、国際法を無視して動けば大変なことになることに気付かされると思います。それも、一敗地に塗れる屈辱的な方法によって、はじめて気付くことになると思います。

今回のフランスを中心とするEUによる南シナ海への艦艇の派遣案ですが、案に終わらせず必ず実行していただきたいものです。

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