昨年11月に閣議決定された「包括的経済連携に関する基本方針」には「センシティブ品目について配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉対象とし、交渉を通じて高いレベルの経済連携を目指す」と書かれている。首相は「方針の中に書かれていることを、米国なりの解釈で書いた」との見方を示したうえで「私の言ったことではなかったことを(米側が)認めた」と答弁。山本氏が米政府に訂正を申し入れないのかをただしたのに対し、首相は「米国も認めたことを共有すればそれでいい」と訂正は求めない考えを示した。
【私の論評】野田首相は、普天間と同じ轍を踏むか?!
この野田首相の言葉、皆さんは、どうお感じになったでしょうか。アメリカ側が、間違えて受け取ったとは考えにくいですし、仮に間違っていたとすれば、訂正を求めない野田氏に問題があるということになります。
そうして、思い出すのが、あの鳩山さんの普天間問題に関する対応の大失敗です。あの煮え切らない態度で、最後は、「勉強すればするほど、沖縄における海兵隊の重要性がわかってきた」というとんでもない発言です。
野田さんは、そうは思いたくないないですが、やはり、鳩山さんの普天間のように、勉強が足りていないうちに、アメリカ側に結論めいたことを言ってしまったのではないでしようか。このような会談では、包括的な話しかしないですし、はっきりNOといわない限り、相手はYESと受け取るのが当たり前ですから、勉強不足の野田さんは、自分ではそうとは気付かずオバマに都合よくとられる発言をしてしまってのではないかと思います。
そう、考えるとなんとなく辻褄が合うようなきがします。私は、実務にあたる官僚などが勉強しなくてはならない細かいことまで勉強する必要はないとは思いますが、少なくともTPPを受け入れた場合日本の経済や社会にどのような影響がでてくるかくらいのことは勉強しておくべきと思います。
民主党の総理大臣や、閣僚などみていると、本当に勉強不足であることがわかります。たとえば、安住財務大臣は、マクロ経済が全くわかっていません。というより、これは、安住さん以外でも、民主党の閣僚のほとんどが理解していないと思います。安住さんの国会の答弁など聴いていると、ほんとうにそんな風に思ってしまいます。
そもそも、政府の借金をかなり大変なことと受け取っているようですが、これが、個人であれば、借金があるということは良いことではありませんが、それと政府とを同じように考えてしまうのは完全に間違いです。でも、安住さんや、他の閣僚もこのように考えているように受け取れる発言が多いです。
政府には、ある程度恒常的に借金があるのは当たり前のことです。また、そうではなければ、政府の仕事など全くできません。もし、政府の借金がゼロなんてことになれば、それこそ大変なことになってしまいます。それこそ、今回の大地震の復興も全くできなくなってしまうことでしょう。どこの国でも、政府の借金がゼロ(ということは、政府が借金ができないくらい、信用がないということ)なら、おそらく何もできなくて、発展途上国なみになってしまうことでしょう。
どこの国にも借金はあります。ギリシャなど額とすれば、経済の大きな日本などからくらべれば、ゴミのような借金であのようなことになっています。しかし、借金すること自体は何も悪いことではありません。それも、特に、国民から借金をしているうちは良いですし、国民からの借金も、度を過ぎなければ良いのですが、ギリシャの場合国民の資産があまりに少ないため、国民からあまり借金をできなかったため、外国から多額の借金(ギリシャ国債による)をしてあのような状況になっているのです。日本が本当に財政破綻するというのなら、いわゆるPIGS諸国の中に入っているはずです。Jを入れると、豚ちゃんにならないから?そんな馬鹿な!!
PIGS NATIONSのうちの一つのギリシャ |
しかし、日本の場合は、政府が借金をしているとともに、金融資産もかなり持っているということ、政府の借金(100兆円)など、家計(1400兆円)から比較すれば、1/10以下の水準にあるから、バランスを欠くほどの水準にはなっていません。政府の借金は、それが、バランスを徹底的に欠いて、家計などをはるかに超えてしまう水準になってしまえば、それは、大変まずいことです。しかし、日本の政府財務内容は、それほどバランスを欠いているわけではないので、そんなに大騒ぎする必要はないわけです。
日本の財政破綻を憂慮する愚かな雑誌から転載 |
これは、企業についてもあてはまることで、現在の不況の要因は、バブル崩壊後、大多数の企業が不良債権処理に走って、借金を帳消しすることのみに専念したため、多くの企業で、借金がなくなり、しばらくの間積極的に借金をしようとしなかったことにより、設備投資も何もできず、企業活動が停滞してしまったことにも大きな原因があります。この不況は、今まで歴史上みられなかったものであり、これをバランス・シート不況と呼びます。すべての企業が借金をしなければ、企業活動が停滞して、経済活動も不振になってしまうわけです。
そりゃそうですね。企業がお金を借りるのは、何か目的があるためであって、それこそ、設備投資や、人材やその他のいわゆる見えざる資産(財務諸表にのっていない資産)への投資のためにするところも多いわけですから、借金をしないというのであれば、本当に一部の儲けの大きい企業しか、これをしないというわけですから、経済活動も停滞するわけです。
野田さんは、おそらく、企業活動における借金の意味も、マクロ的に捉えることはできないのだと重います。財政に関してこのような一方的な見方しかできない人が、複雑な多国間のTPPなどの本質を理解できないのは当然のことと思います。
しかし、野田さん、どうせ政権を長くは担当していられないから、TPPが発効して、その影響が国民に重くのしかかっているころには、100%総理大臣でいることないですから。おそらく、鳩山さんも普天間問題に関してそう思っていたかもしれません。
それにしても、今の段階ですでにアメリカ側と食い違いを見せているということは、何か鳩山さんの普天間対応を思い起こさせます。やっぱり、野田さんも、普天間と同じ徹を踏むということでしょうか?私は、おそらくそうなると思います。そうして、野田政権も、鳩山政権と同じように、短命政権になると思います。野田さん、TPPに参加するなら、その前に勉強をして、その内容を把握し、自分の意見をはっきり決めて、その結果TPPに参加するというのなら、それを国民に説明し、その上で国民の信を問うくらいのことはすべきでした。この手続きを欠いた、野田さんは、結局鳩山さんと同じ徹を踏むことになるでしょう。
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2 件のコメント:
要は昨年11月閣議決定された基本方針の文言の「センシティブ云々」が主か、「全ての品目云々」が主か、という問題でしょう。
文章の意味からすれば、「全ての品目云々」が主だと受けとめられても仕方ないですね。もし野田氏が言うように「センシティブ云々」が主ならば、文の順序を入れ替えて「全ての品目を交渉対象とするものの、センシティブな品目には妥協しない」とはっきり述べるべきでした。
何も考えないで以前の閣議決定を引用したバチです。国際交渉とは日本の得意の「玉虫色の文言」が通用する場ではないです。
かせっち様、コメント有り難うございます。全くおっしやる通りです。今時、玉虫色なんて日本の企業関係でも通用しないのに、多くの政治家は、まだ通用すると思っているようです。困ったものです。
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