2011年12月22日木曜日

中国が北朝鮮を「我が国の省」として扱う可能性を示唆―米紙―【私の論評】そう簡単に事は済むのか?!



中国が北朝鮮を「我が国の省」として扱う可能性を示唆―米紙


金正日逝去から2日後の19日、北朝鮮当局が対外的に公式発表すると、すぐに中国共産党、中国全国人民代表大会常務委員会、中国国務院、中共中央解放軍委員会は合同で北朝鮮の朝鮮労働党と人民軍に対して弔電を打った。「金正日同志はご逝去されたが、彼は永遠に朝鮮人民の胸中に生き続ける。朝鮮人民は金正日同志の遺志を継承し、朝鮮労働党を囲んでしっかりと団結し、金正恩同志の指導の下、悲しみを力に代え、社会主義強国の建設のため、朝鮮半島の恒久平和を推進し続けていくことを望む」との文言がつづられていたという。


この一連の動きに対し、米メディアは「中国が北朝鮮を中国の一部、新たな省として扱おうとしているのではないか」という疑いを持っている。米紙ニューヨーク・タイムズは19日、金総書記の逝去について「最悪のタイミング。北朝鮮は現在、経済も人心も荒廃しており、政治的には孤立している。後継の金正恩氏は兵役に就いた経験がなく、軍の掌握も難しいことから、政権の交代は混乱が予想される」と報道。さらに、米国の北朝鮮政権に対する影響力はやはり中国ほど深くないと指摘し、「米国は中国の出方を見るべきである」と論じた。中国政府は朝鮮半島の分裂状態を維持し、北朝鮮の権力が平和裏に委譲されることを望んでいる。だが、中国政府内でも北朝鮮への関与については意見が分かれていることから、状況はまだ不透明だ。

中国紙・環球時報は、「若年で経験不足の金正恩氏にとって一国の安定は重荷であり、中国の後ろ盾は不可欠だ」と指摘。中国にとって、来年は習近平(シー・ジンピン)副主席が政権を握る大きな節目の年となる。そして外交政策では、北朝鮮を1つの省のように扱うようになるとみられている。そうなれば、中国はおそらく北朝鮮に対し、条件付の経済改革を迫るだろう。中国が支持を表明し、北朝鮮をバックアップすることで、朝鮮半島情勢のリスクが軽減されるのは間違いないが、韓国・中国・米国、この3国の対話の行方に注目が集まっている。

【私の論評】そう簡単に事は済むのか?!

上記の記事では、中国の一省という扱いのことが掲載されていますが、実際にそんなに簡単にいくのでしょうか。北朝鮮内にも、中国に飲み込まれるくらいなら、韓国と統一したほうが良いという派閥もあるでしょうし、それに北朝鮮はロシアに国境を接していることを忘れてはならないと思います。北朝鮮内部にも親ロ派がいることを忘れてはなりません。それに無論のこと、韓国や、米国のことを忘れるわけにはいきません。

以下に世界が見ている北朝鮮の今後の内容を掲載しておきます。
(1)集団指導体制=最も可能性が大きいシナリオ
米ブルッキングス研究所北東アジア政策センターのブッシュ所長は、「金正日の健康が好転し金正恩後継作業のスピードを遅らせたのが北朝鮮としては問題。『白頭(ペクトゥ)血統』である金正恩を前面に出し党と軍部、内閣が後見する集団指導体制で定着する可能性が大きい」との見方を示した。  
張成沢(チャン・ソンテク)
 後見核心勢力は金正恩の叔母の夫の張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長が挙げられる。外交安保研究院のユン・ドクミン教授は、「北朝鮮社会の特性上、金正恩1人体制に進む可能性はあるが、米国などが金正恩体制の安着を誘導している雰囲気を考慮すれば張成沢中心の集団指導体制も可能だろう。段階的な北朝鮮開放の可能性も慎重に期待できる」と話した。それとともに、「金日成-金正日-金正恩とつながる『遺訓統治』を通じて内部安定化と対外政策を維持していくようだ」と付け加えた。しかし今後権力の離合集散過程で新しい権力と既得権勢力が衝突し内部不安定を引き起こす可能性もある。 
(2)金正恩1人体制=安着しやすいだけではない場合 
世襲によって権力掌握はしたが安定性は金正恩の能力にかかっているということだ。統一研究院のチョン・ヒョンジュン専任研究委員は、「金正日時代のパワーエリートが当分金正恩体制の安着に努力するだろう。しかし経済問題と米朝関係、南北関係などをどのように解決していくかがエリートらの忠誠度を維持するカギだ」と話した。 
金正恩と金正日に対する北朝鮮住民らの尊敬心の違いも核心だ。市場と携帯電話を通じて開放の味を味わった住民たちの大規模離脱の可能性も排除することはできない。ロシア国際経済・国際関係研究所(IMEMO)アジア太平洋研究室のペドロフスキー所長は、「スターリン死亡後に形式上の指導者としてマレンコフが指名されたが、実際の権力者はフルシチョフだった」とした。  
(3)開放派と強硬派の葛藤=最も暗いシナリオ 
軍部の強硬派が金正恩を牽制し新しい権力を創り出そうとする場合だ。開放派に分類される張成沢勢力と金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部長ら強硬派の衝突があり得る。マカオに滞在中の金正恩の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)を擁立する人たちが「兄弟の乱」をそそのかす可能性も想定できる。こうした内部の不安定さが対南軍事挑発と住民の大量脱北事態に広がるならば、韓半島は手のつけられない混乱に陥ることになる。 
金永春(キム・ヨンチュン)
最悪の場合、米国と中国など国際社会が介入する状況が訪れることもあるという分析だ。米外交協会(CFR)のスナイダー研究員は、「最悪の状況は権力掌握のための派閥間闘争や無政府状態がもたらされるだろう。だが、北朝鮮の核心指導層は分裂して体制が崩れた場合には生存代案がないという点をよくわかっているというのが金正恩には幸運だ」と話した。
朝鮮民主主義共和国人民解放軍
わたしは、しばらく実質集団指導体制が続き、その後本格的な権力抗争が発生すると思います。おそらく、今から5年後くらいから、権力抗争が激しくなると思います。なぜ、そんなことがいえるかといえば、今のところ、どれも傑出した存在がないからです。いずれにせよ、東欧では終わった冷戦構造が、アジアではそのまま継続しています。なぜ、残ったかといえば、当事者であるはずの日本が、これに対して何もしてこなかったことにも要因があったと思います。

もうそろそろ、日本も、こうした世界の流れに翻弄されだけではなく、自ら進むべき道を選べるようにすべき時期に来ているのではないでしょうか?そうでなけば、拉致問題はいつまでたっても解消できないでしょうし、これからも、世界の流れに翻弄されるだけの存在となることでしよう。

世界特にアジアの国々は、過去のこの地域における日本の貢献を忘れてはならないと思います。日本が日露戦争に勝利したからこそ、朝鮮半島はロシアの傘下に収まることもありませんでした。その後も日本が中国にとどまったことにより、ロシアの浸食はありませんでした。

もし、日本が、極東の一小国であり続けていたなら、朝鮮半島ならび、中国の満州いや、もっと広い中国の版図の一部もロシア領になっていた可能性があります。

いやそれどころか、今頃日本などは存在せず、当時のソ連の傘下に収まっており、私たちは、公用語としてロシア語を日々語っていたかもしれません。いや、最悪は、関東以北がロシア領、以南が日本というように、今の朝鮮半島のように二分されていたかもしれません。そんなことになっていれば、今頃、このような、冷戦構造がなかったか、あるいはもっと酷い状況になっていたかもしれません。


それから、多くの人々が知らない歴史の事実があります。それは、現在北朝鮮は、疲弊していますが、第二次世界大戦直後には、北は工業国であり、南は農業国でした。なぜかといえば、日本が、北朝鮮に、東洋一のダムを築いたり、工場を築いたため、それを引き継いだ北朝鮮のほうが、豊だったのです。この状況は、1970年代まで続いてました。

さすがに、1970年代からは、韓国のほうが経済発展し、今にいたっています。今では、こんな歴史もほんどとの人が覚えていません。ひよっとしたら、今でも、北朝鮮という国があり続けるため、あるいは、朝鮮半島南北統一のためには、本当は日本という国の力が必要なのかも知れません。そのことをこれらの国の人々も、日本人も忘れてしまったのかもしれません。

とはいいながら、私は、民主党と北朝鮮との怪しげな関係を認めるわけではありません。民主党と北朝鮮の関係は、国民国家とは全く関係なく、個々の政治家の利権の問題です。これは、国民の利益と合致するわけではありません。私は、日本国とアジアの関係を語っているのです。大東亜の理想のため、払った多くの国民の多大の犠牲の上に、今の国際秩序があるということを言いたいのです。そうして、その国際秩序に今後日本が関与しなければ、東アジアの安定した新秩序は生まれないであろうことを言いたいのです。

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