野田とうとう“袋小路”1月国会“大荒れ”で一気に政局へ
また、野田首相は消費増税について、年内に民主党の素案をまとめたうえで、早ければ年明けから野党との協議に臨みたい考えだが、問責を無視すれば「こちらの言い分は聞かず、都合のいいときだけ協力してほしいというのはありえない」(自民党中堅議員)として野党が協議に応じないのは確実である。
消費増税をめぐっては、民主党内にも小沢一郎元代表ら反対勢力が勢いを強めており、亀裂が深まりつつある。
一方で、内閣改造で2閣僚を外す案も根強い。菅直人首相(当時)が昨年11月に問責決議を受けた仙谷由人官房長官らを今年1月に交代させたのと同様の手法だ。
しかし、政局の安定化に効果があるかは不透明だ。民主党中堅議員は「外された仙谷氏はこの後、自民党との大連立を模索するなど菅降ろしに走った。野党からの追及も収まらず支持率下落は続いた。一川、山岡両氏は小沢元代表に近いだけに、外せば消費税増税に反対する小沢系のいやがらせが加速する。守るも地獄、斬るも地獄だ」と話しており、政権運営は厳しくなるばかりだ。
【私の論評】だらしないぞ自民党、こんな弱体政権も潰せないとは!!
政府には景気を回復させるという重大な使命もあります。円高やデフレの退治も必要です。ところが財務省に洗脳された野田首相は、財政再建を最優先にして増税路線を突き進もうとしています。
いまのような経済状況で、1年先に増税なんてことになれば、景気はますますおかしくなります。野田首相は、経済全体を俯瞰して政策を決めることができないのです。確かに欧州危機は他人事ではないし、野放図に国債を大量発行し続けるのがいいわけではないでしょう。
しかし、日本の国債は安定的に消化されています。国債の金利があがる気配は全くみられていません。それに円高基調です。日本がすぐにも、財政破綻するというのなら、これは、ギリシャのように円安になるのがあたりまえです。それに、国債の金利もあがるのが普通です。1500兆円近い個人金融資産もあります。さらに、日本の対外金融資産(日本が外国に貸しているお金)は、260兆です。
それに、日本の政治家や、新聞は、日本が財政破綻の淵にあるなどということを語っていますが、世界は、そうはみていません。
一国の財政が破綻の危機に瀕しているのかどうかは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のレート(保証料)を見ればわかります。破綻する可能性が高ければ、レートは上昇します。
しかし、G7の中で日本(1.1%)はアメリカ(0.5%)、英国(0.9%)、ドイツ(1%)に次いで4番目に低く、フランス(1.7%)より上位にあります。日本政府は借金(それもほとんどが自国民の国債によるもの)もやく1000兆と多いですが、一方で巨額の資産(約650兆円)を持っていますから、財政破綻は心配されていないのです。正味の借金は、このこれらの差額350兆円であり、これは、GDPを超える水準にはなっていません。この基準で言えばギリシャはCDSは、約50%で、それだけのレートがついてしまう破産状態の国です。日本は全く異なります。
それにもかかわらず、日本がこのまま緊縮財政、金融引き締め、増税、といったデフレ政策を続けるなら、各国が通貨安競争で輸出を増やし、経済を立て直そうとしている一方で日本だけ円高がさらに進み、日本の企業・経済は弱体化していくことになります。
もうデフレ状況が20年も続いています。こうした状況を踏まえれば、いかにして経済を活性化するかに知恵を絞らなくても、特にここ数年の短期でやるべきことは、決まっていまっています。これは、もう、いわずもがななのですが、やるべきことは、緊縮財政をやめて、積極財政に打ってでることです。そうして、日銀には、大幅な金融緩和をしてもらうことです。特に、日銀には、ただでさえ震災で円の需要が高まっているにもかかわらず、あいも変わらず、増刷の拒否の姿勢を堅持していますが、これを改めるべきです。そうして、それさえやれば、今よりもずっと良くなることははっきりしています。
それに、国民も、もうデフレにどっぷりと20年間もつかってしまって、なにやら、デフレが当たり前のようになってしまっているのかもしれません。まさに、茹で蛙状況になっているのかもしれません。それが、証拠に、デフレを加速させる、増税に異議を唱えないどころか、「やむなし」とする人も増えています。しかし、デフレは、経済の癌ですから、まずは、これを克服しない限り、何も良くはなりません。雇用対策でも、デフレが克服されなければ、結局何をやっても、良くはなりません。年金の問題でも、社会福祉の問題でも、医療の問題も、教育の問題なども、デフレを克服しないうちに何かをやっても、どこかが良くなれば、どこかが悪くなるといった具合で、もぐら叩きになるだけです。
このデフレを解消しないうちに、新成長戦略など実施したとしても、すぐに効果はでてきません。新成長戦略が軌道にのって、それが経済に反映してくるのは、早くても10年後、遅ければ、20年後になります。その間、ずっとデフレですごすということになれば、日本の経済はおちるところまで、落ちてしまいます。まずは、短期でデフレ克服をしなければなりません。
この20年間日本がデフレに浸っているうちに、他の先進国はいずれも、国民の賃金が倍になっています。ただし、インフレもともなっていたので、賃金が倍になったわけではないのですが、それにしても、20年前の水準からは随分あがっているのは間違いありません。日本だけが、20年前とあまり変わっていません。
公共工事すなわち、ハコモノ行政、すなわち、悪という単純図式が日本国内で、定着し、実際にここ20年間で、GDP比でみれば、先進国中最低水準となっています。これは、公共工事を控えているという水準ではなく、やらなさ過ぎという水準です。そのためでしょうか、もう少しすると、耐用年数が過ぎた、橋、トンネル、道路などがたくさんでてきます。そうなれば、我国も、中国の高速鉄道の事故や、橋崩落などを対岸の火事とみなすことはできなくなります。
なぜ、財務省や日銀が、デフレ政策を堅持するかといえば、インフレがこわいからです。デフレは、かなり深刻化しても、余程のことがない限り、物価は、せいぜい2%くらいしか下落しません。ところが、インフレに関しては、上限がないからです。それこそ、100%はおろか、過去においては、天文学的な数字になった国もあります。こうなると、制御するのはかなり難しく、お金など一夜にして、紙切れになってしまいます。
はっきりいえば、デフレであっても、インフレに比較すれば、あまり酷いことにならずにすむので、多少のデフレであれば、政府や日銀としては制御しやすく頭も使わずに、楽をしていられるのです。しかし、これだけ長くデフレが続けば、かなり悪影響がでてきています。これは、政府や日銀に頭を使っていただかなくては、困ります。政府だって、そうです。この20年間緊縮財政をやめて、積極財政を行ったのは、小渕政権と、麻生政権だけです。しかも、この20年間、積極財政と金融緩和を同時に実施したことは一度もありません。こんな馬鹿なことが通用するのは、世界でも日本だけです。
それなのに野田首相からは、前向きな政策がひとつも出てきません。どれも暗い未来を予想させるものばかりです。全く、一国のリーダーにふさわしい器ではありません。
しかし、だからといって、自民党が良いかといえば、そんなこともありません。特に、今の自民党は、やるべきことをやろうとしていません。それに、谷垣氏も、経済に関しては、全く暗愚といってよいほど、わからない人です。それは、谷垣氏が、増税論者であることをみてもはっきりしています。経済に関しては、野田、谷垣氏とも、たいした差はないのです。そうして、両方とも、財政再建優先派です。これでは、自民も、民主も大差がありません。
私は、おそらく、自民党の中堅幹部は“谷垣総裁”で総選挙に突入したくないと思っているのだと思います。地味で人気がないから、1回目は“敵失”で勝ったとしても、その次はまた負ける公算が大きいです。そうなると、石原幹事長や石破前政調会長といった世代がポスト谷垣を射止めるのは、下野後になりかねません。今の谷垣総裁と同じ立場。単なる野党のリーダーになってしまうと考えているのだと思います。
だから、早期の解散・総選挙を敬遠しているのです。本気で追い込む気があるのなら、一川、山岡両大臣の問責は今週のアタマには出していたはずです。さっさと可決して審議拒否すれば、野田首相を立ち往生させられたはずです。それを会期末まで引き延ばしたのは、野田首相に致命傷を負わせないため、わざわざ逃げ道を用意してあげたという以外に考えられません。
今の自民党は、国民のことなど、まるで眼中にないようです。問責カードを切るのは、あくまでも自分たちのため、党利党略、私利私欲だけで判断しているようです。復興にも積極的ではなく、自民党はすっかり高みの見物を決め込んでいるようです。全くだらしないの一言です。
自民党も、民主党もこんな有様になっているその理由は、明らかです。自民党は、政策集団ではなく、単なる選挙互助会グループだからです。そうして、民主党も基本的には、自民党の仕組みを焼きなおした、選挙互助会グループで、コピーした分だけ劣化しているというのが実態です。
もうすでに、私をはじめ多くの人が、すでに、民主党も、自民党見放しているのではないかと思います。そう、思うのは私だけでしょうか?
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