2011年12月26日月曜日

もしドラ著者が「本は購入者の所有物ではない」と発言 / マジかよ!? 出版社と大手書店に聞いてみた―【私の論評】本は、購入した人の所有物でもあるし、所有物でもない?



もしドラ著者が「本は購入者の所有物ではない」と発言 / マジかよ!? 出版社と大手書店に聞いてみた:

人気書籍『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』(以下:もしドラ)などで知られる人気作家・岩崎夏海先生が、自身のブログで次のように発言し話題となっている。
岩崎夏海氏
「本は購入した人の所有物ではありません」。これは漫画家・佐藤秀峰先生の自炊(書籍や雑誌を裁断・スキャンしてデジタルデータに変換する行為)に対する考え方を批判する内容として、岩崎先生が発言したもの。

『ブラックジャックによろしく』全巻無料公開したことで知られる佐藤秀峰氏
えっ!? 著作権が著者や出版社にあるのは理解できるが、本そのものの所有権は購入者にあるんじゃないの? 私たちの常識から考えるとそうなるのだが、もし本当に「本は購入した人の所有物ではありません」というのであれば、買ってもそれは自分の本じゃないということになるが……。

記者は『もしドラ』が大好きで、いろんな書店で4冊ほど買って人にプレゼントしたほどである。このことについて気になったので、個人的に大手書店に問い合わせて聞いてみた。

■岩崎夏海氏「本は購入者の所有物ではない」について大手書店のコメント

大手書店A社 「そういうこと(購入者の所有物じゃないということ)はないと思います」

大手書店B社 「購入いただいたお客さまのものと理解しています。『もしドラ』をお買い上げいただいたお客さまの所有物です」

大手書店C社 「お買い上げいただいた『もしドラ』は、もちろん購入していただいた方のものです(苦笑)」

書店としては「本は買った人のもの」という認識らしく、ちょっと一安心した。でもまだ不安だったので、個人的にダイヤモンド社に問い合わせてみたのだが、折り返し編集担当者が電話をしてくださるとのことだったが、結局、約束の時間になっても電話はこず、回答は得られなかった(年末で忙しいと思うので仕方がない)。

とにかく、今の段階で書店は「本は買った人のもの」という認識らしいので、『もしドラ』を買った人は「これって私のものじゃないの!?」と不安に思わなくていいかもしれない!? あなたは岩崎先生の「本は購入した人の所有物ではありません」という発言について、どのようにお考えになっただろうか。そして、漫画家・佐藤先生の意見も大変気になるところである。

参照元: 佐藤秀峰さんの本やマンガへの考え方について

【私の論評】本は、購入した人の所有物でもあるし、所有物でもない?

これは、結局いわゆる書籍の自炊を意識した発言だと思います。これは、無論電子書籍に関する、自炊です。これに関しては、wikipediaでは、以下のように掲載されています。
電子書籍に関する自炊(じすい)とは、書籍や雑誌を裁断機で切断しイメージスキャナ使ってデジタルデータに変換する行為を指す言葉。 また、自分では器材を揃えず書籍電子化を他人である業者に依頼することを「自炊代行」、「スキャン代行」と呼ぶ。
もともとはP2Pソフトウェアで不特定多数に配布(当然著作権侵害となる)目的で書籍を自身でスキャニングするというネットスラングだった。
日本では、電子書籍がまだまだ、販売されておらず、私など、日本の電子書籍サイトなどみても、読みたいと思うような本がないので、ほとんど購入したことがありません。ところが、アメリカのアマゾンドットコムでは、無論今のところ、英語の書籍しかないのですが、これは、結構購入しています。

私は、基本的に、電子書籍のまともな配信が日本でなされ、しかも、電子書籍の価格が、文庫本より少し高い程度であれば、この問題はほとんどなくなると思います。

せっかく、パソコンや、スマホ、iPadを含むタブレット端末や、電子書籍リーダーがあるにもかからず、それに対応する電子書籍がないこと、あったにしても、内容があまりにお粗末であることが根本的な原因だと思います。

普通に売られるようになれば、この問題はいずれ、姿を消すことになると思います。今、日本国内は過渡期にあるのだと思います。

誰もが、電子書籍の便利さを味わってしまえば、普通の書籍に戻るのは難しいかもしれません。なにせ、いずれのデバイスにせよ、電子書籍は本当に持ち運びが楽です。何回も読んだからといって、痛むことはありません。それに、従来の書籍のように場所をとらないというのが、最大のメリットだと思います。


岩崎さんは、書籍は、個人の所有物ではないとしてますが、私は、この見解には反対です。きちんと、対価を払って、書籍を購入しているなら、従来の書籍であろうと、電子書籍であろうと、それは、個人の所有物であることには、変わりないと思います。だから、基本的には、個人の裁量で、捨てても、焼いても、人に貸しても何も問題はないと思います。

このことと、著作権は全く別の事だと思います。個人の所有物であるとしても、それを勝手にコピーして、自分で読んだり、人に貸す以外に、配布することなどは、やってはいけないことだと思います。これは、中国などでは、当たり前のように行われていて、本当に唖然とすることがあります。

ただし、日本では、かなり前から、コピー機など、だれでも、どこでも簡単に使えるので、こうしたコピー防ぐことはできませんでした。だから、コピー機をレンタルなどすると、コピーをすると、何枚コピーしたかなど、カウントされ、その枚数に応じて、一定割合で、レンタル料などに含めて徴収する仕組みができています。


無論、それらは、著作権協会に入ることになっています。そうして、細かな仕組みは知りませんが、そこから、書籍の作家などにも、著作権料が入る仕組みになっていたと思います。

ただし、電子書籍や、自炊に関しては、そのような仕組みはなかったはずです。電子書籍については、コピーできない仕組みを作ればよいですし、実際そうなっていると思います。しかし、自炊には、そういう仕組みがないのでそれが問題となっているということです。

アメリカの電子書籍がペーパーの5~7割の安値(無料も多い)で販売されています。そのためでしょうか、自炊は、ほとんど行われていないようです。これは、過去の苦い経験もあったので、最初からこのようにしているのだと思います。

その苦い経験とは、たとえば、音楽・映画など、従来結構CDやDVDなどのメディアの価格が高かったものを、ある時期からかなり安くしました。そうすることによって、違法コピーを根絶したのです。ユーザーからすれば、確かに、違法コピーなどすれば、安くはすむのですが、違法コピーは常にリスクが伴うものであり、多少高くても、正規で購入したほうが、そのようなリスクがないということで、今では、従来のように違法リスクが横行することはほとんどなくりました。

これは、日本でも似たようなことがありました。20年ほど前までは、、パソコン用のソフトは目の玉が飛び出るほど高い時期がありました。私も、記憶があるのですが、私が、はじめて、表計算ソフト(Lotus 1-2-3)を購入したときの価格は、数万で、確か、5万円前後だったと思います。そうして、これに対するちょっとしたアドオンソフトを購入するのにも、数千円しました。だから、いつも、ソフトを購入ということになれば、そのたびに清水の舞台から飛び降りるような心持がしたものです。

企業ユースの場合も、個人ユースよりは、安かったものの、今の感覚からすれば、かなり高く、会社全体でまともに入れると、かなりの価格なりました。そのためでしょうか、企業ユースでも、半分違法コピーで使うが当たり前のようになっていた時期がありました。


しかし、これにも変化がありました。たとえば、私の記憶しているものでは、大学教授がアップルのスライド作成用のソフトを違法コピーして、それでスライドを作成し学会で発表するのにつかっていたところ、それが、アップル側に摘発され、多大な損害賠償を支払わせられたなどという事件が発生しました。その頃から、特に大企業に対する摘発が激しくなったと思います。とは、いいながら、世の中には、中小企業など星の数ほどありましたから、根絶することは不可能でした。

しかし、ある時期から、ソフトの価格が劇的に安くなりました。これは、意図的にそうしたのだと思います。それ以来、従来のような違法コピーは影をひそめたと思います。それに、現在では、Googleなどで、さまざまな機能を無料で配信するようになってので、今では、馬鹿高いソフトを販売しても誰も買わないでしょう。この状況は、無論アメリカでは、日本より一歩先んじて実現されていました。

最近では、iPhoneやiPad用のアプリなら、昔なら、数万もしたと思われるようなものが、数百円、数千円もしたと思われるようなものが、数十円で販売されていたりします。この状況では、最早、知恵を絞って違法コピーしようとする人はほとんどいないと思います。

私は、電子書籍もこのように、比較的安い価格設定をし、内容も、幅広く、奥行きも深く品揃えすれば、自炊など誰もしなくなると思います。そうして、アメリカで実際に、自炊もほとんどされていない事実から、日本もできないはずはないと思います。自炊に関しては、自分の書籍を自分でコピーして使うというのなら、業者もありで良いと思います。ただし、不特定多数に配布するというのなら、新たに取り締まる法律を策定し、取り締まれば良いと思います。

ただし、コピー機を取り締まったように、スキャナーでスキャンしたものに対して著作物使用料を徴収する仕組みまでは導入しなくても良いと思います。日本は、電子書籍に移行する過渡期にあることから、いずれ、自炊は黙っていても、ビジネスとしては成り立たなくなり、消滅し、ユーザーが個人的に個人目的に実施するだけの存在になると思います。

最近は自炊機器のレンタルスペースまであるようになった
今のような状況で、電子書籍を高い価格設定にすれば、過去のパソコン用ソフトのような状況になり、出版業界にとっても、ユーザーにとっても良いことはないと思います。現在では、自炊のための機器(スキャナー、裁断機など)を設置してあるスペースをレンタルできるようになり、誰もが簡単にできるようになっています。このままだと、いつまでも、自炊、それも明らかに違法な自炊がはびこるようになると思います。

そうして、最終結論として、書籍は購入した書籍をユーザーが自分のために使うという範囲でなら、それは、ユーザーの所有物です。しかし、購入した書籍をユーザーが自分のためだけではなく、何らかの手段でコピーして、不特定多数の人に配布することまで、所有権の中に含めるなら、それは、違うと思います。この定義は書籍でなくても、音楽でも、動画でも、ソフトでも、何でも、ファッションでも、有料で販売されるもので著作権があるものにはすべて当てはまると思います。

皆さんは、どう思われますか?

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