2013年1月6日日曜日

【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 「インフレ目標」だけでは不十分―【私の論評】政治家は日銀を中央銀行として捉え日銀はしばしお金供給マシンに徹すべし!

【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 「インフレ目標」だけでは不十分:

銀行にカネを預けると金利がつくし、借金すると金利を払うことが当たり前になっている。ここで言う金利とは、プラスの数値である。ならば貸し手が金利を払い、借り手が金利をもらえるマイナスの金利があってもよい。


【私の論評】政治家は日銀を中央銀行として捉え日銀はしばしお金供給マシンに徹すべし!!


マイナス金利とは英語ではNegative Interest Rates

上の記事では、デンマークのマイナス金利政策の話を掲載していました。私も、この記事を書いた田村氏が主張しているように、日銀は、マイナス金利政策を含むありとあらゆる、マネーサプライの増加措置をとるべきと考えます。

ゼロ金利政策というと、金利を限りなくゼロに近づけていくという政策です。しかし、マイナス金利政策というと、多くの人かと惑いを感じてしまうかもしれません。日銀を民間銀行のように考えていると、この政策は何なのかわからなくなってしまいます。

なにせ、普通の銀行は、金利で儲けているわけですから、マイナス金利とは、銀行がお金を民間企業に貸し付けたとすると、お金が民間企業にわたりますが、金利分は毎年銀行に払わなければならないのが普通ですが、そうではなくて、金利を逆に銀行からいただけるということになります。銀行からすれば、金利を貰って儲けるどころか、儲けであるはずの、金利を民間企業にさらに提供するというとんでもないことになります。儲がなくなるどころか、そらに損をしてしまうということになります。

しかし、日銀は、別に市中銀行にお金を貸して金利を得ることを生業としているわけでないですから、こんなこともできるわけです。そうして、市中銀行への貸し出しをマイナス金利にすれば、市中銀行から、民間企業に貸し付ける際の金利も下がるということです。

マクロ経済を理解しないで、日銀を民間企業のように考えてしまえば、これはとんでもないことのように思えます。しかし、このように単純に考えるべきではありません。日銀というと、日本銀行ですし、また、日本でいう日銀の役割をする各国の金融機関の総称が、これまた中央銀行と、銀行という名称がつきますから、これも理解しにくくなる原因ともなっているかもしれません。

FRB長官 バーナンキ
しかし、アメリカの中央銀行は、日本のようにアメリカ銀行とは呼びません。Bank of America(通称:バンカメ)という銀行もありますが、これは、純然たる民間銀行であり、中央銀行ではありません。それは、ご存知FRBです。日本語では、連邦順制度理事会と呼びます。日銀も、FRBも中央銀行です。

ちなみに、中央銀行(ちゅうおうぎんこう、英: Central bank)とは、国家や、国家連合、国家的地域、事実上独立している地域などの金融機構の中核となる機関で、銀行券(通貨(紙幣))を発行し、市中銀行を相手に資金を貸し出す業務を行うものです。

国債を売買し、国へも資金の提供を行います。また、通貨価値の安定化などの金融政策もつかさどるため「通貨の番人」とも呼ばれます。「発券銀行」「政府の銀行」であると共に、最後の貸し手として「銀行の銀行」としての役割を果たします。


それから、FRBは上場企業でもあります。連邦準備制度理事会は株式を発行していませんが、その下部組織である連邦準備銀行は株式を発行しています。しかし、合衆国政府は連邦準備銀行の株式を所有しておらず、各連邦準備銀行によって管轄される個別金融機関が出資(=株式の所有)義務を負っています]。また、個人や非金融機関の法人は連邦準備銀行の株式を所有できません。

個別金融機関すなわち、銀行、投資銀行(日本でいえば、証券会社)などが、出資し所有義務を負っています。政府は、出資しておらず、大手民間金融機関が出資をしているということで、このことがしばしば問題視されることがあります。

日本銀行初の女性支店長 白川貧乏神よりよほどいいかもしれない?

しかし、日本銀行も実は、上場企業でもあります。これは、意外と知られていないようです。日本銀行は、政府から独立した法人とされ、公的資本と民間資本により存立しています。資本金は1億円で、そのうち政府が55%の5500万円を出資し、残り45%にあたる約4500万円を政府以外の者が出資します。

出資者には出資口数を証した「出資証券」が発行されますが、出資証券はジャスダックに上場され、株式に準じて取引されています(ただし、一般の上場株式とは違い、一部の証券会社では日銀出資証券を取り扱っていない場合があります)。

証券コードは8301。取引の1単元は100株(便宜上の呼称で、正しくは100口)。2010年(平成22年)3月末日時点における政府以外の出資者の内訳は、個人35.9%、金融機関2.4%、公共団体等0.2%、証券会社-%、その他法人6.5%となっています。

株式会社と異なり、出資者は経営に関与することはできず、役員選任権等の共益権はありません。自益権に相当する剰余金の配当は、払込出資金額(1株の額面金額に相当、1口あたり100円)に対して年5分(5%)以内に制限されています。もし、日本銀行が解散を決議した場合でも残余財産の分配は出資者にはなく、日本銀行法によりすべて国に財産は帰属することになっています(第9章 第60条2項)。なお、売買価格は株式市場における実勢価格であり、「額面の出資金額」とは異なります。売買単位は100口ではあるが、100口券を1口券100枚に分割可能であること及び、100口未満(1 - 99口)の買取請求が出来ないことから、単元は1口と考えます。

少し、中央銀行や、日銀の説明が長くなってしまいましたので、本題に戻ります。日銀はこのように、民間企業の体裁を整えていますが、そうはいっても、民間企業でなく、あくまで、政府の下部機関でもあります。そもそも、日銀の職員は、国家公務員であり、民間銀行のように、民間企業にお金を貸して、その金利で収益をあげたり、利益をあげる存在ではありません。職員の給与は、税金によって賄われています。

だからこそ、先に述べたようなマイナス金利政策ができるどころか、民間金融機関では絶対にできない、貨幣を増刷・鋳造することもできます。その点、日本銀行は、民間企業や市中銀行とはまったく、異なるわけです。

しかし、このあたりの実情がわかっていなければ、先のマイナス金利政策も良く理解できないということになってしまいます。しかし、こんなこと、当たり前だなんて言っては、おられないかもしれません。なぜなら、前の民主党政権の閣僚や政治家、もしかすると、その前の自民党政権の閣僚や政治家も良くわかっていなかったかもしれません。なぜなら、20年近くも、デフレを容認し続け、日銀の金融引き締め政策を容認しつづけてきたからです。当たり前に、考えれば、こんなことを容認すること自体がおかしなことです。

史上最低最悪の復興税?気が触れているとしか思えない!!

特に、民主党政権時代は、おかしかったと思います。東日本大震災の復興に復興税で対処しようとか、デフレの最中に、増税しようとか、これは、それこそ、自民党(特に当時の谷垣総裁)も含めておかしかったと思います。このおかしさ程度どの程度のおかしさかといえば、上に私が掲載したように、日銀を中央銀行としてとらえるではなく、民間銀行と同じように捉えてしまうのと、大同小異だと思います。古今東西、大規模な自然災害への復興に税で対処するような国などありません。日本の建設国債もしくは、それと同等のもので対処するのが当たり前のど真ん中です。そうでなければ、震災を受けた世代だけに負担が重くなります。まるで馬鹿な政策です。

とにかく、日銀はここ20年ばかり、実質上金融引き締め政策をやってきたわけですから、ここしばらくは、根本的に考え方を変えて、上で田村氏が主張している、マイナス金利政策も含めて、ありとあらゆる本格的金融緩和に転ずるべきです。自分たちの役割は、お金供給マシンであると自認すべきです。それに、日銀と民間銀行とを同じように考えてしまうような政治家の悪癖も、昨年限りでおしまいにすべきと思います。皆さんは、どう思われますか?

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