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2019年7月14日日曜日

<輸出規制発動>混乱続く韓国 事実を報道しないマスコミのせいで更なる大混乱に―【私の論評】今後日本政府が対韓国制裁に踏み切るか否かは、まさに今後の韓国政府の行動次第(゚д゚)!

<輸出規制発動>混乱続く韓国 事実を報道しないマスコミのせいで更なる大混乱に

韓国の報道をキャッチしている人ならわかると思いますが、史上空前の大混乱が続いています。

文大統領と 金正恩委員長との「歴史的会談成功」の時ですら、ここまでの報道はありませんでした。しかも、その大量に溢れかえる報道が、ちゃんと事実を報道していません。はっきり言ってメチャクチャな状態です。

■なぜ、韓国国民は責任を日本のせいと考えるのか
「日韓対立「日本の責任」61% 韓国世論調査」 
韓国ギャラップが12日に発表した世論調査結果によると、元徴用工訴訟や輸出規制などを巡る最近の日韓対立について、61%が「日本政府に責任がある」と回答した。「韓国政府の責任」は17%、「両政府の責任」は13%だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47297470S9A710C1EA2000/

韓国の一部には日本製品の不買を推進する運動もある(5日、ソウル)
現在の日韓対立の原因が、日本にあると考える韓国人が6割以上もいるんですね。なんでこんな結果になっているかというと、少なくとも理由が2つあります。

1つは、日本が史上初めて韓国に反撃(の準備)をしたことです。日本側にはちゃんとそうするだけの理由があるのですが、彼らに見えるのは「日本が韓国より上の立場になろうとしている」(韓国を日本の下の立場にしようとしている)ということなんですね。

この辺が日本人には、なかなか理解し難い思考なんですが、ずーっと中国の脅威に晒されてきたせいなのか、韓国人は他国から「立場が下」な扱いされることを、恐ろしく嫌がります。具体的にどんな扱いかというと、以下のようなものを言います。
「「日本がわざと冷遇」会合場所を韓国メディアが批判「おもてなしにほど遠い」」

韓国紙、中央日報(電子版)は、事務用の机や椅子を並べた会場を「みすぼらしい」と表現。日本の「おもてなしとはほど遠く、日本側がわざと冷遇したといえる」と批判的に報じた。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190713/for1907130002-n1.html

普通の課長クラスの会議のはずだが、韓国メディアは・・・

筆者はうっかり電車の中でこの記事を開いて、その写真に「ブフッ」って噴き出してしまい、隣にいたオバサンに、「なんだコイツ」というような冷たい視線を貰ってしまったんですが。

こういう「冷淡な扱い」のことを韓国では、「無視された」と表現します。日本とは「無視」の意味が違うのですね。経産省が韓国の嫌がる形を、こういう分かり易い方法で示したのは、ある意味日本が一番変わったところです。今までの外務省なら無理だったのでは、ないでしょうか。

2つ目は、 韓国のマスコミがこれまでキチンと事実を報道して来なかったことです。文政権が日本の姿勢を本気に捉えて来なかったこともありますが、「日本側が何をどこまで問題にしているか」ということについて、「選挙目当ての安倍首相のパフォーマンスだ」という結論が必ずと言っていいほど、報道に結論として書かれてきました。しかも新聞の論説委員や、大学教授や、外交部関係者など様々な立場の人間が、そういうコメントをしているんですね。お陰で一般国民には、突然日本が輸出規制を始めたように見えているのです。

ただ、たぶん国民性なんでしょうね。反応が脊髄反射のような、よく考えないものなんですよ。
一部の団体が推進する日本製品の不買運動については67%が参加の意向を示し、27%が「参加しない」と答えた。 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47297470S9A710C1EA2000/
 日本製品の不買をするなら、そもそもやり玉に挙がったレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドをまず不買にする必要があるんじゃないですかね。だって日本製なんだから。この辺のことは矛盾を感じないんでしょうか。

■韓国は脊髄反射国家か

今の韓国の大混乱は、「日本に反撃された」「日本が韓国の扱いを下にしようとしている」という理解で、上から下まで脊髄反射していることに理由があります。そのいくつかを見てみましょう。
「輸出優遇除外:戦略物資管理も弁明もでたらめな韓国産業部」(2019年7月11日) 日本の西村康稔官房副長官が「戦略物資会議が開かれていないのは韓国のせいだ」という趣旨の発言をすると、韓国産業部関係者はすぐに「2018年に戦略物資会議が開かれなかったのは、当時の日本側担当局長の座が空席だったからだ」と反論した。すると9日、世耕弘成経済産業相はツイッターで「(日本側担当局長の座が空席だったという)韓国政府の説明は明白な事実誤認だ」と指摘した。経済産業省の石川正樹貿易経済協力局長は2017年から今月5日まで在職していたからだ。韓国産業部は「勘違いだった」と釈明した。 https://news.livedoor.com/article/detail/16756499/ 
「韓国のせいだ」と言われたので、「違う日本のせいだ」って言いたかっただけ、としか考えられません。何でちょっと調べれば判明するような内容を平然と間違うんでしょうか。
「ハ・テギョン議員「北朝鮮にフッ化水素を密輸出した国は日本」」 ハ議員が公開した資料には、日本企業が1996年1月に大阪港に入港中だった北朝鮮船舶にフッ化ナトリウム50キロを、2月には神戸に入港中だった北朝鮮船舶にフッ化水素酸50キロをそれぞれ輸出託送品として船積みし、北朝鮮に不法輸出したという内容が出ている。 2003年4月には直流安定化電源3台をタイを経由して北朝鮮に不法輸出したなどの内容も含まれている。 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/33869.html
フッ化水素摘発のリストが出てことに対する反応です。しかしそもそも、北朝鮮に対する経済制裁は2013年からです。その10年も前の資料を出して、「日本の方が悪い」と言うのは、無理があり過ぎでしょう。

さらに、このフッ化水素不正輸出事件は、北朝鮮の支援団体、朝鮮総連系の企業が関わっており、逮捕者も在日朝鮮人でした。この事件を持ち出した議員は、その背景を全く調べないで「北朝鮮にフッ化水素を不正輸出したのは日本」と言っているのです。ただ反論したいだけ。まさに脊髄反射です。
「専門家が見た韓国不正輸出リストの問題点……韓国政府は悪質企業名の公表を」韓国の産業通商資源省は以下の通り指摘した。

「日本は我が国とは違って総摘発件数も公開しないでいて、一部摘発事例だけを選別して公開している(www.cistec.or.jp)。」
これは誤りである。 
まず、このURLのリンク先は、経済産業省参加の一般財団法人「安全保障貿易センター(CISTEC)」のホームページであり、日本政府の機関ではない。この情報をもとに日本政府を批判するのは、筋違いである。https://www.fnn.jp/posts/00047206HDK/201907121200_KatsuhisaFurukawa_HDK
なんと禁輸資材の取り締まりとは、全然関係ない外郭団体を問題にしてしまいました。やり玉に挙がったCISTECの紹介文は、「1989年4月に設立されたわが国で唯一の輸出管理問題に関する民間の非営利総合推進機関です。」とあり、民間の海外進出をサポートする団体であります。

記事でも指摘していますが、韓国の産業通商資源省が、日本の輸出管理部門がどこにあるのか知らないってことが大問題です。

今の韓国は、こうした脊髄反射の記事で溢れかえっております。「アメリカが日本に警告を与えた」だの、「輸出禁止措置で日本の経済がヤバいので、安倍首相が選挙で敗北する」だの、事実と違う記事がものすごい数飛び交っているのです。

「輸出管理に関する事務的説明会」で、またまた議事内容と韓国政府の発表が違ってましたが、抗議だけで終わらせず、ちゃんと事実確認を行わないと韓国の脊髄反射は止まりません。経産省にはもう少し頑張ってほしいですね。

【私の論評】今後日本政府が対韓国制裁に踏み切るか否かは、まさに今後の韓国政府の行動次第(゚д゚)!

現状では、ブログ冒頭の記事を書いた記者のような反応が一般的なのだと思います。

文春オンラインは「韓国への輸出規制強化に賛成ですか? 反対ですか?」という緊急アンケートを実施しています。その内容を以下に掲載します。

7月5日から10日の6日間で964の回答があり、10代~80代、幅広い年齢層の男女から意見が集まったそうです。早速回答を見ていきます。

 ◆◆◆

結果は、964票中、「賛成」が784票(81.3%)、「反対」が180票(18.7%)と今回の措置に納得している人が圧倒的多数でした。



このアンケートでは、最後に、「日韓当局の事務レベルが12日、この問題で接触したものの、菅義偉官房長官は「あくまでも事実関係を確認したもの。協議ではない」と説明。今後日本からの輸出規制がさらに強化される可能性もある」と締めくくっています。

ブログ冒頭の記事で、大方の韓国人は反応が脊髄反射なのは、韓国政府は日本政府に対して謝ることはなく、事実関係を明らかにする努力もしないとみているからでしょう。今後当然日本からの輸出規制がさらに強化されると認識しているからだと思います。

実際そうだと思います。そうして、日本国内ではこれについて、左派系マスコミが「自由貿易を守れ」などと一斉に頓珍漢な批判をしています。

朝日新聞は「対韓輸出規制 『報復』を即時撤回せよ」と題した3日付の社説で、「自由貿易の原則をねじ曲げる措置」と批判しました。毎日新聞も「通商国家の利益を損ねる」という4日付社説で「日本が重視してきた自由貿易の原則をゆがめるものだ」と指摘しました。

しかし、韓国政府は慰安婦問題では日韓両国が合意して設立した「和解・癒やし財団」を韓国は一方的に解散しました。自衛隊機に対するレーダー照射事件では、言い逃れに終始しました。いわゆる「元徴用工」の異常判決でも、文政権は日韓請求権協定を無視して、日本企業への賠償要求を事実上、容認したままです。

さらに、文政権の北朝鮮への宥和姿勢は、目にあまるものがあります。韓国は表向き「非核化」を求めているようですが、海上自衛隊は韓国籍の船が北朝鮮のタンカーに横付けした現場を確認しています。韓国は北朝鮮に原油を供給する瀬取りに積極的に加担している疑いが強いです。

韓国は日本に敵対するだけでなく、日本を脅かす北朝鮮を支援しているのです。 今回、日本政府は「韓国側の輸出管理に不備があり、『不適切事案』が複数発生した」と指摘しています。具体的中身は明らかにしていないですが、韓国は3品目を北朝鮮に横流している可能性があります。いずれも軍事転用が可能です。

今回の措置は「日本の国益と安全保障をどう守るか」という観点からなされたものです。世界貿易機関(WTO)の貿易ルールは、安全保障を理由にした禁輸措置を認めています。

WTOのロゴ

今回の「韓国に対する輸出規制」に関しては、メディアは朝日新聞のような報道をしたり、『半導体材料を“事実上の禁輸”』『対韓輸出規制を発動』などと、勇ましく報道しています。それと同時に、記事では、『自由貿易を掲げてきた日本へ各国から批判が集まる懸念もある』『各国に恣意的なルール変更ともとられかねない』といった頓珍漢な指摘もしています。果たしてそうなのでしょうか。

日本政府は3品目を禁輸していません。韓国の貿易管理体制が信頼できないので、3品目を含めて包括的に認めてきた韓国向け輸出を個別契約ごとの審査に切り替えただけです。

日本は包括的認可の対象国を「ホワイト国」として扱っています。しかし、相手が信頼できないならリストから除外し、元の個別認可に戻るのは当然です。そうしなければ、日本の貿易管理体制に疑問が生じてしまいます。

もちろん個別審査の結果、輸出を許可しない事例も出てくるでしょう。「不適切事案」があったなら、それまた当然です。軍用品に転用可能な素材である以上、それなりに厳格に管理してもらわなければならないです。

それでも「韓国への報復ではないか」という議論はあるでしょう。私もそう思いますし、報復すべきだとも思います。事実このブログでは、"Economic Statecraft(経済的な国策)
"を発動すべきとしています。実際その可能性は否定できません。これがうまくいけば、中国やロシアにも発動するかもしれません。

しかし、現状では政治論と貿易手続き論は別次元の話です。左派マスコミが「自由貿易を守れ」などとピンぼけ批判を繰り返しても、日本政府は痛くも痒くもありません。ルールに沿って運用しているだけだからです。

むしろ、これで明らかになったのは、安倍晋三政権を批判するためなら、韓国擁護も躊躇しない「左派マスコミの政治的体質」です。それと韓国内では、韓国の半導体産業が日本の支えがないと成り立たないという現実です。

韓国 このまま行けば、8月上司に半導体、液晶、有機EL生産停止、8月中旬には自動車や機械関連生産停止 します。停止しても在庫がありますから、1ヶ月ぐらいはなんとかなると思いますが、その後はどうするのでしょうか。

上にも示したように、韓国向けの輸出規制に80%以上もの人が賛成している現状では、韓国を擁護するような日本の左派マスコミはますます、多くの人々から信頼されなくなることでしょう。

そうして、現在の措置から日本政府が対韓国"Economic Statecraft"に踏み切るか否かは、まさに今後の韓国政府の行動にかかっています。今のまま何も変えないで、ただ騒ぎまくるというのであれば、いずれ発動されてしまうことになるでしょう。

たとえば、日本は韓国に対して安保上の理由でいつでも送金停止の処置ができます。韓国の銀行は既に米国で送金できなくなっています。日本の銀行が送金を停止すれば、韓国の金融取引は止まり、輸出入ができなくなります。その結果、韓国は金融危機に陥ることになります。

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2019年3月19日火曜日

混乱招いた著作権法改正案 見送りは政治的に当然だが…海賊版サイト対策も急務だ ―【私の論評】国内だけではなく、中国の知的財産権の侵害にも歯止めを(゚д゚)!

混乱招いた著作権法改正案 見送りは政治的に当然だが…海賊版サイト対策も急務だ 




 自民党が、違法ダウンロード規制を強化する著作権法改正案の今国会への提出見送りを決めた。改正案をめぐっては静止画やスクリーンショットなども対象になるとして問題視されていた。

 現在の著作権法では、音楽・映像について、違法に公開されたものと分かっていながらダウンロードする行為は違法である。これは2009年の著作権法改正によって10年1月から施行されている。12年の著作権法改正を受けて、同年10月から違法ダウンロードの刑事罰化が施行されている。

 今回見送られた法案は、著作権法を改正し、違法ダウンロードの対象を漫画、小説、雑誌などインターネット上のコンテンツに拡大する方向だった。刑事罰対象は悪質性の強いものに限定する方針のようだった。

 こうした政府・与党内での動きに対して、海賊版の被害者であるはずの一部の漫画家から、静止画やスクリーンショットなども対象にするのは問題だとの異論が出た。この動きが広がり、日本漫画家協会や日本建築学会などクリエイター団体や、法律の専門家などから反対意見が出た結果、著作権改正案の国会提出は見送りとなった。

 そもそもこの問題は、違法な海賊版サイト「漫画村」が発端だ。日本漫画家協会も、海賊版サイトは創作努力なしで利益をむさぼっていると批判していた。「漫画村」による被害は3000億円以上だという。

そこで政府は対策を求められた。18年4月、緊急措置としてプロバイダーが接続を遮断するサイトブロッキングが浮かび上がったが、憲法上の「通信の秘密」を侵害する恐れが指摘され、それに代わるものとして、著作権法改正が浮かび上がってきたというのが背景だ。

 法技術的には、適用対象を広く定めて、その中で刑事罰を限定的に絞るのは、役人経験のある筆者にはよく分かる。違法といっても罰則がないなら、訓示的に「違法」というだけで、一般人には実害はない。

 しかし、今回のように、静止画やスクリーンショットまで「違法」とされると、多くの人は過剰反応してしまうだろう。

 結果として、著作権法改正に対して日本漫画家協会から反対意見が出てくるに至っては、漫画家の権利保護のために改正するはずだったのに、誰のための改正なのか分からなくなる。このため、法案の国会提出の見送りは、政治的には当然だろう。

 しかし、今回の見送りによって、違法な海賊版サイトの問題は全く解決されていない。

 著作権法の適用対象や刑罰対象をもっと限定的にして著作権法改正をやり直すか、損害賠償をやりやすくするなどの別の方策を考えるのか、いずれにしても出直しである。

 重要なのは、創作している漫画家の権利保護であって、創作していない海賊版サイトが不当な利得を得てはいけない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】国内だけではなく、中国の知的財産権の侵害にも歯止めを(゚д゚)!

政府・与党が海賊版の被害者であるはずの一部の漫画家などの声に応える形で改正案の提出見送りを決めたことには、さまざまな立場の専門家や関係者から評価の声が上がっています。

ただ今回の提出見送りで、ダウンロード違法化と並ぶもう一つの海賊版対策も先送りされることになりました。その中でも、リーチサイトに対する対策です。

3月13日、自民党の古屋圭司・衆院議員はブログに次のように書き込みました。

自民党の古屋圭司・衆院議員

今朝の自民党幹部会にて、ダウンロード対象範囲拡大(投網で大魚だけでなく小魚も一網打尽してしまう懸念)など、まだ関係者の理解を得られていないばかりか、国民の間でも疑問が沸き起こっていることから、今国会での法案提出は見送り。 
次期国会までに関係者へのヒアリングなど丁寧な対応を行い、皆が納得できる法律にブラッシュアップして提出することを決定。 
これこそ自民党の奥深さと良識だ。
古屋氏はマンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟(MANGA議連)の会長を務めており、自民党内では今回の法改正について慎重派の中心だったとされます。

今回、異論の強い法案を数の力で押し切らなかった点で、確かに与党は「良識」を示したといえます。

ただ、冒頭の記事にもあように、今回の著作権法改正は2018年春以降さまざまな案が検討されてきた海賊版対策の柱として浮上したものです。いまも被害が続く海賊版に対して実効性のある策は示されていません。

コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は13日、後藤健郎・代表理事の名義で、
著作権法改正案について、今国会への提出が見送られたことは、大変遺憾です。海賊版サイト問題はますます深刻化し、文字通り喫緊の課題です。そのなかのひとつの対策であるダウンロード違法化問題に関し、私的使用目的以外の複製との混同や、対象となる行為への誤解もあったようであり、理解が得られず残念です。
と、遺憾の意を表明した。

今回、政府が提案を目指していた著作権法の改正案にはリーチサイトへの規制が盛り込まれていました。

リーチサイト運営者は、サイトに海賊版のマンガをアップロードせず、海外のストレージサイトなどへのリンクを書き込みます。

海賊版のマンガをウェブサイトにアップロードするのはすでに違法行為ですが、アップロードそのものには関与せず、「リンクを貼る」ことで規制の回避を狙ったものとみられます。

コンピュータソフトウェア著作権協会によれば、最大級のリーチサイト「はるか夢の址」(閉鎖)による被害額は、2016年7月から2017年6月までの1年間で、731億円にのぼったとされます。

私自身は、こうした国内の違法ダウンロード規制も重要だと思いますが、それ以外にも中国による日本の知的財産権の侵害などについても規制をかけるべきと思います。

ワシントンでは中国に関して「統一戦線」という用語が頻繁に語られています。中国共産党の「統一戦線工作部」という意味です。本来、共産党が主敵を倒すために第三の勢力に正体をも隠して浸透し連合組織を作ろうとする工作部門でした。

中国にはすでに、日本工作ののための工作要領がある

習近平政権は米国の対中態度を変えようと統一戦線方式を取り始めました。多様な組織を使い、米国の官民に多方向から働きかけるのです。

そんな統一戦線方式とも呼べる中国側の対米工作の特定部分がワシントンの半官半民のシンクタンク「ウィルソン・センター」から昨年9月上旬に学術研究の報告書として発表されました。米国全体の対中姿勢が激変したからこそ堂々と出たような内容でした。
米国の主要大学は長年、中国政府工作員によって中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきた。
こんなショッキングな総括でした。

これについては、すでにこのブログでも過去にとりあげました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【古森義久のあめりかノート】中国の「統一戦線工作」が浮き彫りに―【私の論評】米国ではトランプ大統領が中共の化けの皮を剥がしはじめた!日本もこれに続け(゚д゚)!



詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
中国共産党は長年外国に対して統一戦線工作を仕掛けてきましたが、中国共産党はこれを決して公にしてきませんでした。いま、米国政府は公式報告書で中国共産党の統一戦線工作を系統的に暴露し、その化けの皮をはがしています。同時にこれは、他国を転覆しようと画策する中国共産党の不道徳な国際戦略に対し、米国が照準を向けたことをも意味します。 
過去数十年に渡り、中国共産党は不公平な貿易によって自身の経済規模を拡充してきました。また、非合法的な技術の取得による自身の先端科学産業を発展させてきました。そして非人道的な低賃金・人権無視の戦略を用いて外資企業を誘致しました。

その極みとして、不道徳的な統一戦線工作を通して外国の世論や政策を操り、もって他国の政権や民主主義社会の転覆を目論んだのです。 
中国共産党の正体を暴いた同報告書はトランプ政権の大きな実績です。中国共産党の各種不道徳な行為は、トランプ政権によって次々と暴露され始めています。これからも、さらに中国の異形のおぞましい姿が次々に晒されていくと思います。 
なお、この『中国共産党の海外における統一戦線工作』に書かれていことは、以前から知られていることです。多くの筋からそのような内容は、多くの人々に知られていました。その一旦は、このブログにも過去にも数多く掲載しています。 
とはいいながら、このような内容が、米国議会の「米中経済安全審査委員会(USCC)」において、8月24日に『中国共産党の海外における統一戦線工作』という報告書によって正式に公表されたという事実は大きいです。
中国による統一工作の対象は無論米国だけではありません、日本を含めた他国も工作しています。沖縄が中国によって、工作されているのも間違いないでしょう。日本の場合はスパイ保護法がないため、このような工作はもちろんのこと、産業界でも様々な工作により、知的財産が中国によって奪われているのは、確実です。

このようなことは、様々なところから漏れ聞こえてきますが、米国のように日本国内での工作が報告書によって報告されることがないので、一般にはあまり報道されることもなく、多くの国民はあまり知らないようです。そのため、いわゆる反日勢力はそのようなこはないとか、あり得ないとしていることが多いです。

日本でも一刻もはやく、様々な実体を調査し、まずは国会で報告させるような体制を整え、スパイ防止法立法への道筋をつけるべきです。

そのまま放置すれば、日本の知的財産権は侵害されつづけることになります。それだけでも大きな被害なのですが、中国の知的財産の侵害に神経を尖らせている米国は、日本経由で米国の知的財産が漏れているとか、米国製ではないものの、それと同等や類似した日本の技術の中国への漏洩が米国にとって不利益と判断した場合は、日本に対しても制裁を発動するかもしれません。

それは、個人に対するものかもしれません、あるいは企業に対するものかもしれませんし、あるいは日本国政府に対するものになるかもしれません。

米国は、トランプ政権はもとより、議会も、司法当局も中国への対決の姿勢を顕にしています。トランプ大統領がたとえ、ある程度のところで幕引きを図ったとしても、議会や司法当局はその動きはトランプ大統領も止めることはできません。米国は本気です。中国と対決するためには、あらゆる方策を実行し、可能性を探ります。そのことを忘れるべきではありません。

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2019年1月9日水曜日

欧州の混乱とトランプの米国第一主義、世界は混迷の時代へ―【私の論評】TPP11が世界を変える一里塚となる(゚д゚)!

岡崎研究所 

 12月13日付のProject Syndicateのサイトで、米外交問題評議会のリチャード・ハース会長が、欧州の混乱について、米国の助けが当てにできない以上、欧州は自力で対処する他ないと述べているので、以下に紹介する。

ポーランドの画家、ズジスワフ・ベクシンスキー(1929年 - 2005年、享年75歳)の作品 タイトルなし

 欧州が混乱している。パリの一部は炎上し、英国は、Brexit に疲労し分断されている。イタリアは、EUの予算ルールに抵抗する厄介な左派・右派連立政権である。ドイツは政治的再編と格闘している。ハンガリーとポーランドは非自由主義的政権を擁している。

 フランスと欧州中の極右が、第二次大戦後の政治的秩序を脅かすために経済的・文化的ポピュリズムを利用している。イタリアの左右ポピュリスト連立はまさにそれである。英国とEUとの関係は、亀裂が入ったままであろう。一方、プーチンがウクライナ等への攻撃で満足するか、全く定かではない。さらに、不平等、暴力、気候変動が悪化している世界にあって、移民による圧力は増大するだろう。グローバルな競争が強まり、多くの職を奪う新技術が 生まれている世界において、経済的再編は不可避であろう。

 欧州の民主主義、繁栄、平和の将来は、不確実になってきている。こうした展開は、単一の理由では説明できない。フランスのデモは新税を拒否する左派のポピュリズムである。これは、欧州中で極右の台頭を促している要因とは異なる。EUはあまりに官僚的でエリートによる指導が続き過ぎた。一方、ロシアによる新たな侵略は、プーチンが更なる行動で失うものはないと判断したことを反映しているのかもしれない。    

 欧州は、民主国家の最大の集合体である。20世紀、欧州大陸の秩序崩壊のコストが一度ならず示された。欧州の混乱を説明できる理由は一つではないのだから、答えも一つではない。しかし、助けになる政策は存在する。安全保障、人権、経済的競争力とバランスの取れた包括的な移民戦略は、そうした政策の一つである。どれだけのお金が必要かに焦点を当てた防衛政策は、欧州の安全保障を強化する。さらに、NATOとウクライナの防衛強化により、抑止力を高めるべきである。欧州がロシアの天然ガスから離れること、すなわちノルドストリーム2計画を止めることは、意味がある。そして、グローバル化とオートメーション化で職が失われる労働者を再訓練することが必要である。

 これらの政策課題の多くは、米国の関与と支援があれば有益である。米国が EUを敵視しNATOをタダ乗りするものと見るのを止めれば、助けになる。欧州には、ロシアの侵略抑止、グローバルな貿易・投資の枠組みへの西側の利益に沿った形での中国の取り込み、気候変動の軽減、サイ バー空間のルール作り等について米国と協働する用意のある国々がある。しかし、こうしたアプローチは、近い将来トランプからは出てきそうにない。欧州は、自力で混乱と戦うしかない。

出典:Richard N. Haass,‘Europe in Disarray’,(Project Syndicate, December 13, 2018)
https://www.project-syndicate.org/commentary/growing-threats-to-europe-democracy-security-by-richard-n--haass-2018-12

 欧州が混乱しているのは事実である。その要因はいろいろあるが、その中でも移民問題の影響が大きい。EUを指導してきたメルケルの地位を危うくしたのは移民問題であった。Brexitの要因の一つも移民問題であった。欧州諸国での極右の台頭の背景にも反移民の世論があった。

 移民問題が発生したのは、シリアの内戦、リビアの政治的混乱など、主として中東、北アフリカの政治、社会の混乱のためであり、欧州の責任ではないが、それが欧州に混乱をもたらした大きな要因であったことは間違いない。

 ハースは、フランスの最近の混乱をもたらしたのは新税を拒否する左派のポピュリズムであると言っている。イエロー・ベスト運動の暴徒化は、経済的困窮を訴える労働者、市民に一部の過激派が便乗して起こされたものである。マクロンの譲歩で小康状態にあるが、強く要求すれば政府が譲歩するという前例を作ってしまったようなものであり、今後再び運動が活発化する恐れがある。

フランスのデモ

 英国はBrexitで動きが取れないが、Brexitがどのような結果に終わろうと、英国の混乱は続くだろう。 ハンガリーやポーランドは、かつてソ連圏にあったこともあり、民主主義の定着には時間がかかるであろう。

 ハースは欧州の混乱の事態は好転すると考えるべきではないと言っているが、その通りだろう。 欧州の混乱とトランプのアメリカ第一主義が同時に起きていることが問題である。 民主主義、自由貿易体制、法の秩序といった戦後世界秩序を担ってきたのは、米国と欧州であった。米国はトランプの下、最早そのような担い手の責任を負い続けることに関心が無いようであり、欧州は混乱が続き、責任の一端を担うことが困難になっている。

 これまで世界は覇権国が秩序を保ってきた。第一次大戦までは英国の主導するパックス・ブリタニカであり、第二次大戦以降は米国の主導するパックス・アメリカーナであった。トランプは米国が世界を主導することを止め、欧州が米国を補完出来なくなった。

 世界は混迷の時代に入ったと見なければならないかもしれない。 このような状況の下で、日本は何をなすべきかを真剣に考えなければならない。取りあえず経済面で、TPP の実施、日欧経済連携の強化、ASEANなどとの協力強化等を図るなど、戦後日本が裨益してきた世界秩序を少しでも支えるようリーダーシップを発揮すべきだろう。

【私の論評】TPP11が世界を変える一里塚となる(゚д゚)!

私は、現行の世界経済秩序は、国際金融が主導する弱肉強食型の原始資本主義であると考えており、こうした考え方の基盤には更に、“覇権主義=Hegemonyがあり、力の有る者が人間界の標準を作り、波及させ、その下で世の中を安定させていくほうが世の中は相対的に安定化するという意識があり、現行の世界はこうした意識の下で動いていると見ています。

つまり、力のある人=強者が弱者をリードするというような世界の構築を選好しているものと思われ、そしてその中で、強者になりたいという欲を持つ人の間で対立が出てくると、その過渡期では世界は大混乱する可能性が高まる、そして現在の世界は正にそうした時期へと突入していこうとしていると考えています

そして、このような「国際金融が主導する弱肉強食型の原始資本主義」を生む背景として覇権主義では、普通、強者となるリーダーたちは,「人々が生きていく為に必要なものをコントロールしようとします。つまり、水、食糧、原材料、エネルギー資源のコントロール権拡大に走るのです。

そうして、貨幣経済の下、これらを経済的に支配する通貨によって、更に強く支配するのです。ここに国際金融の大きな役割があり、現在、その力が強大化してきていると考えます。

そうしてまた、こうした意識の下で、強者が,このような世界を守るために作った法と制度・仕組みの下では、平和裏には強者の立場は決して揺るがないのです。

即ち、これに逆らおうとする者が、強者の作った法や制度、仕組みによって「違法」や「不法」などと判断されれば、法令遵守の違反ともなるのです。現行のビジネス社会がComplianceを殊更に強調するのもこうしたことが背景にあると私は見ます。

しかし、弱者の中に本能がふつふつと芽生え、強者に対して反発してこようとすると、究極は自らが強者となるしかないと、究極の力である武力を以って立ち上がるのです。

これをまた、既存の強者は、武力を以って押さえようとするのです。

従って、既存の強者は、自らが強者であるうちに、万一の際に備えて、“軍事力”を強化、その結果として、上述したような国際金融によって束ねられた、水、食糧、原材料、エネルギーの世界を、軍によってコントロールされる軍事力によって、護衛できれば世界は安定するとの意識の中で現行の世界を運営していこうとするのです。

しかしまた現行の世界では、それに対する反発の動きもまた、顕在化してきています。私達は今、そうした世界の中で生きてきているのではないかというと私は考えます。

そして、こうした世界情勢を最近になり、更に深めている背景には、2017年、アメリカ合衆国にトランプ大統領率いるトランプ政権が登場したことから、昨年は米中の対立が本格化、顕在化しました。
昨年暮イラクを電撃訪問したトランプ大統領

2019年は、この「米中対立の行方」に加えて、BREXITをはじめとする、ドイツやフランス、イタリアの不安に見られる欧州情勢の先行き、イランやシリア問題を背景とする中東情勢の不安定などが既に懸念され、国際金融市場も昨年末より不穏なスタートとなっています。

さて日本としては、こうした混迷の世界の中で、北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題は、包括的解決を進めなければならない課題です。拉致問題だけに脚光を当てるのは、かえって拉致問題の解決も難しくしてしまうでしょう。拉致問題と併せ北朝鮮の非核化に向けて役割を果たしていくべきですが、しかし、そのような動きはまだ見えないです。
ロシアとの関係についても危うさが存在します。
安倍首相とプーチン大統領との会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約を締結する方針が確認されました。
ところが、ロシア側は、北方領土は戦争によって合法的に取得されたことを日本は認めるべきだとか、同宣言では主権の引き渡しとは言っておらず引き渡しの条件は交渉事項だとか、どんどん交渉のハードルを上げる発言をしています。
政府は4島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶという従来の方針に変わりはないと説明しますが、2島を対象として交渉を進める結果になれば、日本国内の強い反発が出ると予想されます。
中国との関係については、ここ1年、雰囲気は改善し、安倍首相の訪中により大きく前進したようにもみえます。
米中関係が対立の度を深める結果、習近平国家主席は日本との関係改善にかじを切ったようですが、日本は米中関係の推移に流されないような明確なビジョンを持って中国との関係を考える必要があります。
中国が将来も、対日関係改善の姿勢を維持するのかどうか、不透明な面があるなかでは、抑止力として日米同盟関係は今後とも極めて重要です。
対中関与を弱めつつ、中国を変えていく努力は必要ですが、過去の経緯と、中国国内の体制が根本的に何かわっておらす、これでは中国は変われないし、変わるつもりもないのは、はっきりしています。
日本としては、「TPP11」の拡大をはかり、この地域における自由貿易の拡大やルールの尊重に日本が旗を振っていくことが、米中との関係でも望ましいです。そうして、いずれは、トランプ大統領もしくは次の大統領のときに米国にもTPPに復帰してもらうのです。
これは、覇権主義によらない最初の貿易協定になるかもしれません。なぜなら、当初言い出したのは米国ですが、その後米国は抜け出し、その後日本が旗振り役となり、TPP11の発効にまでこぎつけました。
TPP11の署名式に集まった11カ国の首脳や閣僚(3月8日、サンティアゴ)

これに米国が加入し、独裁国家である中国、ロシア、北朝鮮そうして韓国が入らない状態で運用し、域内を繁栄させるのです。
そうして、この繁栄をみてこれらの独裁国家がTPPに加入したいと考えるようになったときが、チャンス到来です。
これらの独裁国家が、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をするように迫るのです。どうしてもできないというのなら、まずは自由貿易ができる程度にはこれらをすすめてもらうのです。
それができれば、いずれこれらの国々も構造転換をして、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめるようになると考えらます。なぜなら、それ以外に、国を本当に富ませる手段はないからです。日本をはじめとする先進国が歩んできた道です。中国は例外であるようにみえましたが、そうではないことが、米中冷戦で明らかになりつつあります。
そうして、いずれTPPを世界共通の貿易協定にまで高めるのです。そのためには、覇権主義によるルールづくりではなく、あくまで世界中の国々が自由な取引をするためのルールづくりとするのです。そうなれば、世界は変わるでしょう。
むろん、貿易だけで世界が変わるわけではないです、しかし、それを一里塚として、いずれは、他の分野にまで覇権主義に基づくルールづくりに変わるものを構築していくのです。

そのときはじめて国際金融が主導する弱肉強食型の原始資本主義が終焉し覇権主義も終焉するのです。

私は現在のように世界が混沌とするときは、世界が次のシステムや規範を求めているときなのだと思います。人々はもう古い社会や政治システムには何の期待もしていないし、希望も持っていません。にもかかわらず、新しい世界の次のシステムや規範が示されないから、世界は混沌とするのです。
こうした時こそ、我々は、真理を求めて考え、すべきことを粛々としていかなければならないのです。

本年もよろしくお願い申し上げます。

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2017年3月25日土曜日

【トランプ政権】オバマケア代替法案を撤回 最重要公約、政権に大打撃―【私の論評】元々米国では大統領が思うがままに政権を運営できるわけではない(゚д゚)!


オバマケア代替法案の撤回を受けホワイトハウスで対応するトランプ米大統領
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
ライアン米下院議長は24日、本会議での採決を予定していた医療保険制度改革(オバマケア)の改廃法案を撤回すると発表した。可決に必要な賛成票を固められなかったためで、オバマケアは当面存続する。オバマケア改廃は大統領選挙での最重要公約だっただけに、就任早々に大打撃を受けた形だ。

 ライアン氏は24日、記者会見で「残念な日になった」と述べて失望を表明。オバマケアの制度が一部で維持されることに不満を示してきた党内強硬派から十分な賛成を引き出せなかったことを認め、「近い将来はオバマケアは存続する」と述べた。

 一方、トランプ氏もホワイトハウスで記者会見し、保険料が上昇傾向にあるオバマケアは「自壊させておけばいい」と述べ、その責任は民主党にあると強調した。また今後は「税制改革に向かうだろう」とした。

 トランプ氏は選挙戦でオバマケア改廃を最重要公約とし、ビジネスで培った「交渉術」で実現させると宣言。改廃法案発表後はライアン氏のほか、下院議員の経験が長いペンス副大統領やプライス厚生長官らも総動員して票固めに躍起となった。しかし賛成票は可決に必要な216人に10人程度届かなかった模様で、共和党議員237人から多くの造反者が出たようだ。

 改廃法案撤回は就任後に目立った成果を残せていないトランプ氏にとって手痛い失敗。さらに共和党もホワイトハウスと上下両院を握りながら悲願のオバマケア改廃を実現できず、統治能力不足を露呈する結果になった。トランプ氏が思うままに政権を運営できるわけではないことが明らかになった形で、今後、支持層のトランプ離れが進む恐れがある。

【私の論評】元々米国では大統領が思うがままに政権を運営できるわけではない(゚д゚)!

オバマケア代替法案は撤回される運びとなりました。オバマケア改廃に関しては、日本ではトランプ大統領が最重要公約としたことと、議会では共和党が僅差とはいえ多数派となっていることから、日本では議会を通るだろうし、通らなければトランプ大統領にとっては、大きな失点でブログ冒頭の記事にもあるとおり、支持層のトランプ離れが進むことを予期した人も多いのではないかと思います。


しかし、私はこれは完璧に間違いであると思っています。まずは、改廃法案の撤回直後の現状はどうなっているのか見てみましょう。

以下にロイターの記事を引用します。
オバマケア代替法案撤回:識者はこうみる
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
●減税など実行可能な案件に着手可能
<ウェルズ・ファーゴ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニアポートフォリオマネジャー、マーガレット・パテル氏>
市場ではトランプ政権が医療保健問題に完全に手足を縛られ、身動きできなくなるのではないかとの懸念が出ていた。医療保健問題がこうした形でクリアされたことで、規制改革や減税などそれほど複雑ではなく実行可能な案件に着手できると、市場では楽観的な見方が出ているのではないか。
これほど複雑で大きな費用が絡む案件が棚上げにされたことはプラス方向の動きのように見える。今後、減税のようにそれほど難しくない案件に歩を進めることができる。 
●議会はトランプ氏の思い通りには動かず
<DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライアン氏>
最も重要なのは、トランプ米大統領と議会の関係に関する見方を変えるという点だ。過去数カ月は、議会はトランプ大統領が求めることは何でもやるといった印象があった。しかし、明らかにこうした状況ではなくなるだろう。
以下は、項目だけあげておきます。 
●株価への影響は限定的に

●次の焦点は税制改革、市場は前進好感

●市場反応前向き、道筋明確化に期待
今回の件は、市場関係者らはあまり大きな影響があるとは思っていないようです。しかし、どうしてこのようなことが言えるのでしょうか。それは、市場関係者などなら当然知っているというか常識的なことで、日本では意外と知られいないことがあります。本日はそれについて掲載します。

まずは第一点目として、アメリカの政治は二大政党制であり、今回のように政権交代があったとき、前政権と現政権の政治があまりにも異なった場合、とてつもなく混乱することになります。そのような混乱を避けるため、アメリカの政治では継続性の原則が貫かれています。


継続性の原則とは、たとえ政権交代したとしても、現政権は前政権の政策を6割〜7割は引き継ぎ、後の4割から3割で、新政権の色を出すというような政治手法のことをいいます。

この継続性の原則から、オバマケアはオバマ政権の最重要政策であり、これが政治の継続性の原則から、たとえ政権交代したとても、そのまま引き継がれるのは、不自然なことではありません。むしろ、オバマケアに賛成した人々も多数存在したことから、政権交代したからといつて、すぐに廃止されたのでは、いたずらに混乱を助長することになったかもしれません。

当面は、オバマケアを実施し、はっきりと不都合なことが起こった場合、再度国民に十分に説明をしてコンセンサスを得た上で、オバマケアの改廃案を議会に諮るというというようにしたほうが、混乱を避けることができると思います。

第二点目としては、米大統領は平時には、世界最弱の権力者であるという事実です。この事実は以前から米国内では周知の事実であり、そのため今回のように議会の反対にあって、欠局オバマケア代替法案を撤回せざるをえなくなっても、それですぐに、支持者から統治能力不足などと認識されるわけではありません。

米国の大統領は平時には、世界最弱の権力者であることについては以前このブログでも何度か掲載しました。その記事の一つのリンクを以下に掲載します。
米国議会で高まってきた「日本は憲法改正せよ」の声―【私の論評】米国大統領は平時には世界“最弱”の権力者である理由とは?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
では米国の大統領は、あらゆる権力を行使できる万能のリーダーなのかというとそうではありません。米国は、厳格な三権分立制度を採用しており、行政、立法、司法の権限が完全に分離しています。行政府の長である大統領は選挙によって国民から選ばれますから、議会に対して責任を負うことなく大統領としての職務を遂行できます。しかし、立法に関する権限は一切持っておらず、大統領は議会が作った法律に従って行政権を行使するしかありません(拒否権を発動することは可能)。 
これに対して日本や英国は議院内閣制を採用しており、首相は国会議員の中から選ばれ、内閣は国会に対して責任を負っています。日本の場合には毎年の予算について、行政府が予算案を提出し、議会はそれを審議するという立場ですが、米国の場合、行政府に予算の提出権はありません。大統領は予算教書という形で要望を議会に告げるだけで、実際の予算に関する権限は議会が握っています。 
また、戦争を遂行する権利も実は大統領は保有していません。米国の大統領は軍隊の最高指揮官ですが、宣戦布告を行う権利は議会に付与されており、大統領が戦争を遂行するには、議会からの「授権」が必要です。このように米国では、三権分立が明確になされてまいす。 
残念なことに、我が国では小学校から大学まで、三権分立が近代法治国家に共通する普遍的な憲法上の原理」であるかのように教えています。それは間違った常識です。
三権分立とは、モンテスキューというフランスの哲学者が、ジョージ3世(在位1760~1820年)時代のイギリスを「おお、三権分立だ、すばらしい!」と勘違いして発明してしまった概念です。
モンテスキュー
本人は「発見」したと思い込んでいましたが、それはモンテスキューの頭の中で作り上げられた妄想に過ぎませんでした。 
三権分立をまともに実行してしまっている国は、世界の文明国の中でアメリカ合衆国ただ1国です。そうして、いつまでたってもモンテスキューの母国でもあるフランスを含む、他の文明国がアメリカの真似をしないのは、三権分立が欠陥制度だからです。 
そうして、アメリカ大統領は「世界“最弱”の権力者」とも言われています。アメリカ大統領が最弱、特に平時には最弱であることは世界の比較憲法学の常識です。ただし、議会が戦争をすることを受け入れた場合には、戦争を遂行するために権限が大統領に集中するようになっています。 
そのため、日本などでは多くの人が戦争時の米国大統領のように、平時でも大統領に強力な権限が集中していると考えるのだと思います。でも現実は違います。米国大統領は、平時には世界で最弱の権力者なのです。ただし、これは米国自体の国力などとは別問題です。あくまで、米国の大統領は、他国と権力者と比較すれば、相対的に権力が弱いということです。
以上のように、モンテスキューの妄想である、三権分立を現在でも信奉してその通りにしている米国では大統領は平時においては、世界最弱権力者なのです。そうして、このような米国でも、平時において最も権力が強いのは司法だといわれています。このような仕組みは、一見良いことばかりのように見えますが、その実平時における変革期などには、足かせになることも多いです。

さらに第三点目としては、米国では大統領選挙の公約をそれも重点公約を全部実行しなくても、さほど避難されることもないという事実があるからです。

たとえば、TPPですが、トランプ氏はTPPを離脱することを公約にあげました。そうして、それを実行しました。しかし、たとえこれを実行しなかったとしても、あまり問題にはならなかったたでしょう。

なぜなら、過去に大統領選においてFTAやEPAに関して、大統領選のときには反対の意思を表明しておきながら、大統領になったらこれを批准した大統領などいくらでも存在するからです。実際、アメリカの大統領選挙の公約は守られないことが、しばしばありますし。だからといって、大きな問題になったこともありません。

以上の三点から、もともと米国では政権交代をしたからといって、極端に変わるということはないのです。もし、政権交代するたびに極端に変わってしまったら、確かに国内は混乱してしまうでしょう。

今回オバマケア代替法案は撤回されましたが、もともと米国では大統領が思うがままに政権を運営できるわけではないので、これだけをもって、トランプ大統領の統治能力が低いとみなすことはできません。また、これは多くの米国民が知っていることです。

そうして、今後はどうなるかといえば、外交や安全保証については、オバマ氏が大統領就任中には、失敗に失敗を重ねてきたことはあまりに明白なので、議会側もあの大失敗を繰り返さないためにも、トランプ大統領に賛成する率が高いです。

オバマ氏の八年間の変化
さらに、オバマの経済対策については、確かに金融政策は成功しましたが、それでも国民の不満はつのり、これは最悪期からの回復が均等に起こらなかったことと関係ありそうです。暴落した株式や不動産の急回復で富裕層の資産価値や所得は大きく好転しました。半面、多数の一般の人々は、V字回復から取り残されました。求職活動そのものをあきらめてしまった人、二度と持ち家に住めなくなった人も少なくありません。

オバマ氏自身、さよなら演説で認めたように、回復から取り残された人々は、政府は強者しか相手にしない、と不信感を募らせたのでしょう。

そのため、議会も経済面においてもトランプ大統領に期待するところが大きいと思います。特に減税には、大きな期待を寄せているようですから、きっとこの政策には賛同すると思います。

以上から考えれば、オバマケア代替法案の撤回をもって、トランプ大統領の統治能力不足を懸念するには、全くあたらないと思います。もっと長い目で見る必要があります。

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2017年2月5日日曜日

在日支那人「反アパホテル」デモ 対抗団体も登場、休日の新宿が混乱―【私の論評】支那はコントロールしてはならないものをし続けやがて衰退する(゚д゚)!

在日支那人「反アパホテル」デモ 対抗団体も登場、休日の新宿が混乱

アパホテルに向けて行進する在日支那人の団体=5日午後、東京都新宿区
ホテルチェーンのアパホテルが「南京大虐殺」などを否定する書籍を客室に備えているとして、支那当局が猛反発している問題で、日本在住の支那人らが5日、東京都新宿区で同ホテルへの抗議デモを実施した。現場周辺にはデモに抗議する団体メンバーも多数詰めかけ、休日の新宿は混乱した。

 デモを行ったのは、このデモのために結成された日本で生活している支那人企業経営者、会社員らで作る「中日民間友好委員会」。約300人(主催者発表)の参加者が午後3時から、新宿中央公園から新宿御苑に近い同ホテル周辺まで行進した。「中日友好」「民族の尊厳を守る」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げながら道路を歩いたが、シュプレヒコールを上げることはなかった。

 デモには抗議する右翼団体の構成員らが併走。「JAPANが好きだ」と書かれた横断幕を奪い取ろうとしたほか、デモに飛びかかろうとして、警戒に当たっていた警察官に静止される場面が何度も見られた。

 デモを主催した来日10年になるという支那人女性は「(周囲の)みなさんにはご迷惑をおかけした。今回声を上げたのは勇気ある支那人だ」などとコメント。年齢や名前などは明らかにしなかった。

【私の論評】支那はコントロールしてはならないものをし続けやがて衰退する(゚д゚)!

アパホテルに向けて行進する支那人団体
この在日支那人らによるデモは、あっけないほどに淡々としたものだったようです。このデモには支那政府が関与しているものと考えられますが、さすがに支那政府にも最近の世論調査の内容が影響しているものと考えられます。

内閣府が昨年3月12日付で発表した「外交に関する世論調査」によると、支那に「親しみを感じない」と答えた人が前年比0.1ポイント増の83.2%に達し、昭和53年以降で過去最高となりました。やはり、尖閣諸島(沖縄県石垣市)など東シナ海での高圧的な海洋進出、南シナ海での傍若無人な振る舞いなどを背景に支那への不信感は頂点に達しています。

主要国への親近感推移(「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計)
また、習近平が主席になって以来、支那国内では反日デモがほとんど起こらなくなりましたが、なぜそのようなことになったかといえば、反日デモを放置しておくとほとんどの場合いつの間にか反政府デモになってしまうという現象が続いたからです。

いわゆる支那の反日デモ多くは、官製デモであることが多かったのですが、官製デモにも多くの一般人民が参加して、加熱するといつの間にか反政府デモになってしまうという現象も続きました。そのため、政府がいわゆる反日デモ規制したため、反日デモが影を潜めてしまったのです。

2010年より以前には、支那国内にはかなり多くの反日サイトがありましたが、これも放置しおくと、いつの間にか反政府的書き込みが増え、反政府サイトのようになってしまうという現象が続いたにので、2010年以降から政府が規制するようになったので、現在支那にはいわゆる反日サイトがなくなってしまいしまた。

日本在住の支那人による北京オリンピックの聖火リレー応援
これは、国威発揚のため支那政府が行ったもの
支那政府としても、北京オリンピックの長野での聖火リレー応援のような、大量の人員を集合させ、支那の旗を大勢が振り回すようなことをすれば、日本国民の支那に対する感情がさらに悪化するおそれがあることと、日本国内でも大掛かりなデモをすれば、これがいつの間にか反支那政府デモになってしまうことも恐れたのだと思います。

日本などの外国で支那人が反政府デモを行えば、支那の威信にも大きく傷がつく可能性もあります。それを支那政府がおそれたため、あまり過激なものにはしなかったのでしょう。

しかし、たとえそうであったとしても、支那人による「アパホテル抗議デモ」を 容認した警察、法務省や関係各省を我々日本人は平然と見過ごしてはいけないです。 ここは「日本国」です。 反日プロパガンダによるデモを 公然と許すべきではないのです。 

今回このデモを主催した「中日民間友好委員会」なる団体は、デモの届けをして許可されているのです(下写真が許可書)。これは外国人主導による、一企業へのデモが許可されたということです。このような前例が出来たら、今後恐ろしいことになる可能性もあります。


それにしても、警察はなぜ許可したのでしょう。本来許可すべきではないのでしょうが、 今回の許可によって、国内に潜む危ない支那人、及びそのシンパの日本人をおびき寄せて顔写真付きのリスト化ができます。おそらく公安警察はこのチャンスを捉えてそのようなことを密かに行っているものと思います。それに、支那人の危険性を日本人に啓蒙する事にもなると思います。

1民間企業の経営者の書いた書籍がその経営者の経営しているホテルに置かれていることを問題だとして、仮に一国の政府が批判し、それに加えてこのようなデモも開催するというのですから、本当に支那は狂っています。

日本をはじめとする、まともな先進国ではさすがにここまでのことはしません。やはり、支那は常識が欠けているのです。本来外国の一民間企業の行動などコントロールすべきではないし、そもそもしようと思ってもできません。

支那政府はコントロールしてはならないものをコントロールしたことによって過去に何度も失敗しています。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
【お金は知っている】支那 止まらぬ資金流出、人民元の下落 習政権の慢心が自滅招く―【私の論評】行き着く先は超元安とハイパーインフレしかない支那経済(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より以下に一部を引用します。
支那政府は、農民から収奪した土地を工業団地や商業地などに転換して不動産バブルを演出したにもかかわらず、供給が需要を大きく上回ってマンションやショッピングセンターが「鬼城(ゴーストタウン)」だらけになってしまいました。そこで習近平政権は投機の受け皿を不動産から株にシフトし、株投資を煽って株高に誘導しました。不動産の次は株の官製バブルを演出しました。
ところが、それは元々政府のやるべき仕事ではありません。株価は、将来得られるであろう企業収益の現在価値です。本来企業の業績が良くならない限り、株価は上がらないのです。その本質を支那政府は理解せず、株式市場にカネを突っ込んで、なりふり構わぬPKO(株価維持策)を続けました。しかし、支那企業の業績は伸びていないのですから、当然の結果として株価は2015年夏から下落し始めました。
すると今度は大量保有株主の株式売却を半年間禁止し、違法売買の摘発を強化しはじめました。しかし、株価が下がっている時に株を売れないことほど株主にとってストレスになることはありません。そのため、大量保有株主の株式売却解禁と同時に株価は大幅に下落しました。株価の急変時に取引を停止する「サーキットブレーカー」制度を新設後5日間で2回も発動したのですが、それがまた呼び水となって、さらに株価は下落するという悪循環に陥ってしまいました。
突然の株価下落で唖然とする上海市民
これら一連の動きから、世界中から支那政府は資本主義経済を全く理解してないという事実が露呈ししてしまったので、現在世界中がある種のパニック状態に陥っています。支那政府は欧洲がやっているような感じのつもりで上へ下へと支那経済をコントロールしようとしてきたつもりなのですが、いまやヨーヨーの紐が伸びきったように何をもってしてもコントロール不能になってしまったのです。
考えてみれば、そもそも、南シナ海を埋め立てて支那の軍事基地にするという発想も、領土問題など存在しないのに日本の固有の領土である尖閣諸島を自国の領土であると主張したりすることも、本来コントロールしてはならいないものをコントロールしようとしているということです。

アパホテルに対する批判もこれと同じです。しかし、懲りない支那です。これからも、コントロールしてはならないものをコントロールしようとして、何度も失敗して反省することもなく、やがて衰えて消えていくのでしょう。

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