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2019年4月14日日曜日

金正恩氏、文政権に「おせっかいな仲裁者ではなく...」 米韓首脳会談も不調、苦しい立場に―【私の論評】朝鮮半島問題の本質を理解しない文在寅は、今のままでは米中露北からまともな扱いを受けられない(゚д゚)!

金正恩氏、文政権に「おせっかいな仲裁者ではなく...」 米韓首脳会談も不調、苦しい立場に

行き詰まる米朝交渉、その打開を目指した韓国・文在寅大統領だが、なかなか思うに任せない。

 2019年4月11日(現地時間)、米ホワイトハウスで行われた米韓首脳会談を受け、韓国メディアでは厳しい論評が相次いだ。さらに北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長からは、「仲裁者」としての立場を改めて否定するような発言まで飛び出した。

トランプ氏とともに笑顔で記者に対応した文氏だったが…(米ホワイトハウス公式FBより)

朝鮮日報は「ノーディール」とバッサリ

 2019年2月27、28日に行われた、ベトナム・ハノイでの第2回米朝首脳会談の「決裂」から、約1か月半。両国の仲裁者を自任する文氏にとっては、ドナルド・トランプ米大統領になんとしても、再び交渉のテーブルに着いてもらうことが、最大のミッションだった。そのために文氏が提案したとされるのが、段階的な非核化・制裁緩和を容認する「グッド・イナフ・ディール(十分に良い取引)」への転換だ。

 しかしトランプ氏は、制裁緩和はあくまで完全な非核化が前提だとする「ビッグ・ディール(大きな取引)」論を曲げなかった。また3回目の米朝首脳会談についても、実施に意欲を見せつつ、「一歩一歩だ」「急げば良い取引にならない」。早期開催を求めた文氏と、考え方の溝を垣間見せた。

 今回の会談に対し、韓国内の採点は総じて辛い。特に、保守系の大手紙・朝鮮日報は、「ハノイに続きワシントンでもノーディール」(引用は日本語ウェブ版より。以下同じ)と切り捨てる。野党・自由韓国党の羅卿ウォン・院内代表も、「(米国に)なぜ行ったのかわからない」「アマチュア外交」と糾弾した(中央日報)。

韓国リベラル派も認める「カード不足」

 もちろん、評価の声もある。リベラル派新聞のハンギョレは、「ひとまず、文大統領が南北首脳会談を推進し、金委員長を説得するための基本動力は作られた」「仲裁者または促進者として文大統領の役割に重ねて信頼を示した」と、会談の成果を強調した。

 だが、そのハンギョレですら、「しかし、金(正恩)委員長を説得するカードが明確でないのが問題だ」「文大統領はトランプ大統領に直接確認した『ビッグ・ディール』と『より明るい経済的未来』という立場を金委員長に伝え、決断を下すよう説得するしかない」と指摘する。つまり、文氏が「仲介役」として双方を説得しようにも、肝心の「カード」がないということだ。とすれば結局、文氏にできることは「説得」しかない。それを、支持層のリベラル派さえ認めざるを得ないわけである。

こうした中で12日、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は最高人民会議での演説で、自ら米国との関係に言及した。国営メディアの朝鮮中央通信によれば、「今年の末までは忍耐力を持って米国の勇断を待ってみる」と期限を切りつつ、米国側に「ビッグ・ディール」からの譲歩を迫ったのである。

金氏、トランプ氏とは「敵対的ではない」 韓国ははしごを...

その演説内容は、
「私とトランプ大統領との個人的関係は両国間の関係のように敵対的ではなく、われわれは相変わらず立派な関係を維持」
「米国が正しい姿勢をもってわれわれと共有できる方法論を探した条件で第3回朝米首脳会談をしようとするなら、われわれとしてももう一度ぐらいは行ってみる用意がある」
「今後、朝米双方の利害関係に等しく合致し、互いに受け付け可能な公正な内容が紙面に書かれれば、私は躊躇(ちゅうちょ)せずその合意文にサインするであろうし、それは全的に米国がどんな姿勢でどんな計算法をもって出てくるかにかかっている」
など、米国の譲歩を前提にしてはいるものの、交渉に対し前向きとも取れるものだ。

一方、韓国側に対しては、
「南朝鮮(韓国)当局は、すう勢を見てためらったり、騒がしい行脚を催促しておせっかいな『仲裁者』『促進者』の振る舞いをするのではなく、民族の一員として気を確かに持って自分が言うべきことは堂々と言いながら、民族の利益を擁護する当事者にならなければならない」
と要求、改めて「仲裁者」としての立場を否定する。韓国としては、はしごを外されたに等しい内容だ。

【私の論評】朝鮮半島問題の本質を理解しない文在寅は、今のままでは米中露北からまともな扱いを受けられない(゚д゚)!

以前このブログで指摘した通り、文在虎も韓国の大多数の政治家も、それに韓国マスコミも、朝鮮半島問題の現状を理解していないようです。

朝鮮問題も当初は、米国・韓国と中露・北朝鮮の対立というところから出発しましたが、朝鮮戦争終了から70年近くたち、随分と様相が変わってしまいました。

韓国は、北との接近をはかりつつ、中国に従属しようとしています。これは明らかに、同盟国米国に対する敵対行為です。

2017年文材寅は中国を訪問したが、驚くほどの冷遇を受けていた

ソ連は崩壊し、ソ連の軍事力や軍事技術を引き継いだロシアは、軍事大国としては相変わらず大国ではありますが、経済規模は縮小し、今やそのGDPは東京都を若干下回る程度しかありません。ちなみにこれは、韓国と同規模です。中国は、経済発展をとげ一人あたりのGDPはまだまだ小さいものの、全体では世界第二位の経済大国になりました。

これについては、中国の経済統計はデタラメで、未だドイツ以下とする識者もいますが、それが事実だとしても、ロシアなどは問題外であるほどに経済が大きくなったのは事実です。しかも、人口はロシアは一億四千万人ですが、中国は十三億人以上です。極東においては今やロシアよりも、中国のほうがはるかに影響力が強大です。

一方の北朝鮮は、中国の干渉を嫌うようになりました。張 成沢氏や金正男氏を殺害したのはそれを阻止するためです。北朝鮮は核ミサイルを開発しました。これについては、ほとんど報道されませんが、北の核ミサイルは、日米にとって脅威であるばかりではなく、中露にとっても脅威です。

北朝鮮にとって、ロシアの影響力は弱まったのですが、中国の影響力は増すばかりで、金正恩は、自らが後継者となった金王朝を守るためには、中国の影響を弱めなければならないと判断したため、核ミサイルの開発により、中国に脅威を与えるとともに、米国との接近を図ろうとしたのです。

そのため、結果として、北朝鮮とその核は、中国の朝鮮半島への浸透を防ぐ役割を果たすようになりました。

ただし、金正恩としても、中国の影響力を削ぎたいのであり、中国と本格的に対立しようなどという意図は毛頭ありません。無論、米国に従属したいとは毛頭考えていません。米国に従属してしまえば、金王朝を守り抜くことは難しくなります。金正恩の本音は、国境を接している中国の北朝鮮への影響を削ぎ、自らと自ら継承した金王朝を守り抜くことです。

だからこそ、米国に接近を図ったのです。そうして、米朝会談にまでこぎつけることができました。

そうして、北朝鮮は、韓国と統一したり、中国・ロシア、米国などと対立する気は毛頭ありません。本当に望んでいるのは、現在の体制をそのまま維持することです。

一方、米国や中国・ロシアも現状維持を望んでいます。米国にとっては、朝鮮半島問題で最悪なのは、半島全体が中国の影響下に収まってしまうことです。一方中国にとっては、北朝鮮が完璧に米国の配下に収まってしまうことです。

これらの状況よりは、現状維持のほうが、米国にとっても中露にとってもはるかに良いのです。これについては、以前のこのブログにも掲載しました。

朝鮮半島において、現状維持が崩壊するような動きがあれば、米中露とも具体的な行動をすることでしょう。

2017年9月6日、ロシア極東ウラジオストクで行われた経済フォーラムで握手するプーチンと文

現状では、ロシアは経済的に半島問題に直接介入する力はありません。米中としても、米中の経済冷戦が勃発した現在、朝鮮半島は現状維持をして、経済戦争に専念したいと考えています。特に、米国は本気で長期にわたる冷戦を挑んでいます。朝鮮半島問題などは、この冷戦で勝利すれば、自動的に解決すると考えています。

ところが、文在寅をはじめとする韓国の政治家やマスコミは、この現状を把握していないようです。だから、以前このブログでも述べたように、文材寅は米中露・北朝鮮が現状維持を望んているにもかかわらず、それを破壊するような行動に出て、一人芝居をしているようなものなのです。

金正恩は、韓国や文在寅に対して、親近感を抱いているわけでも何でもありません。厳しい制裁に対する抜け穴として利用したいと考えているだけです。だから、文在寅に対して良い顔をしておだててきました。

金正恩におだてられた文在寅

そうして、文在寅は、有頂天になり、北制裁の緩和や排除を標榜し、米国に赴き、仲介者の役割を果たそうとしました。

北朝鮮としては、これ自体は悪いことではありませんが、文在寅の一人芝居が過ぎるようになってきたため、それを放置しておけば、自らも米国や中国・ロシアから、現状維持を崩そうとしてみられる危険性を懸念するようになったのでしょう。

だからこそ、韓国の「仲裁者」としての立場を否定してハシゴを外したのでしょう。文在寅はこうした背景を理解しないと、いつも北朝鮮からハシゴを外されるようになるでしょう。

そんなことより、文在寅は、朝鮮半島問題の本質である現状維持(Status quo)を理解したその上で北、米中露へ対応していくべきでしょう。これができないから、一人芝居状態になっているのです。トランプ、習近平、プーチン、金もその点では一致していると思います。

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文大統領“屈辱” 米韓首脳会談たった「2分」 北への制裁解除熱望も成果ゼロ―【私の論評】トランプ大統領は、外交音痴の文に何を話しても無駄と考えた?

2019年4月12日金曜日

文大統領“屈辱” 米韓首脳会談たった「2分」 北への制裁解除熱望も成果ゼロ―【私の論評】トランプ大統領は、外交音痴の文に何を話しても無駄と考えた?


トランプ氏(右)との首脳会談に臨んだ文氏だが、表情はさえなかった

ドナルド・トランプ米大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との首脳会談で「冷淡」姿勢を貫いた。北朝鮮への制裁解除や、南北共同事業再開を熱望する文氏に対し、トランプ氏は否定的見解を示したのだ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との3回目の首脳会談についても、急がない方針を打ち出した。米韓首脳がサシで話した時間はわずか2分程度で、踏み込んだ交渉はできなかったとみられる。「大韓民国臨時政府発足100周年」という重要な記念日に、自国を留守にしてまで訪米した文氏だったが、ほぼ、「成果ゼロ」で終わったようだ。

 「今は適切な時期ではない。(北朝鮮が『完全な非核化』をして)適切な時期を迎えれば、大きな支援が行われるだろう。韓国、日本、多くの国々も支援に手を挙げると考えている」

 トランプ氏は11日午後(日本時間12日未明)、ホワイトハウスで行われた米韓首脳会談の冒頭、こう断言した。報道陣から、南北共同事業である開城(ケソン)工業団地や、金剛山(クムガンサン)観光再開について問われたことに対する回答だった。

 昨年6月と今年2月に続く、正恩氏との3回目の米朝首脳会談についても、トランプ氏は「可能性はあるが、急ぐつもりはない」といい、米国の求めるビッグディールは「核兵器を取り除くことだ」と明言した。

 「従北」の文氏には、「ゼロ回答」に等しい通告だった。

 以前から、文氏は世界各国を訪問して、北朝鮮に対する制裁解除を呼びかけてきた。今年1月の年頭記者会見では、開城工業団地と金剛山観光の再開に意欲を見せていた。

 同盟国の韓国に対し、「冷たすぎる」ようにも見えるトランプ氏の対応は、会談時間にも表れていた。

 韓国・聯合ニュースによると、トランプ氏と文氏の2人きりの会談は29分間行われたが、報道陣との質疑応答が27分間続き、実際の会談は2分程度だったのだ。

 決して、トランプ氏に時間がなかったわけではない。報道陣とのやり取りでは、ゴルフのマスターズ・トーナメントについて「誰が勝つと思うか?」と聞かれ、タイガー・ウッズなど有力選手の名前まで挙げて冗舌に答えていた。

 トランプ氏の米韓首脳会談での態度について、米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「事実上、『韓国との首脳会談を拒否した』といってもいいぐらいの対応といえる。2分というのは、通訳の時間を入れたらゼロに近い。文氏は首脳会談前、マイク・ポンペオ国務長官や、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会っている。トランプ氏としては『文氏に伝えるべきことは2人を通じて言ってあるので、首脳会談では具体的なことを話す必要はない』ということではないか」と説明した。

 韓国サイドでも開催前から、首脳会談の行方を心配する意見があった。

 首脳会談の席には両大統領に加え、メラニア夫人と金正淑(キム・ジョンスク)夫人の姿があった。1泊3日の実務訪問に夫人を同行させることも、夫人同伴の首脳会談も極めて異例といえる。

 この形式について、韓国紙、朝鮮日報(日本語版)は11日、社説で「北朝鮮制裁の緩和を望む文大統領と実質的な話し合いをするつもりはないからだとの印象を与える」として、「今回の韓米首脳会談が韓米同盟の決裂を防ぐ機会になることを祈るばかりだ」と指摘していた。

 そもそも、今回の会談日程は、文氏には厳しいものだった。

 11日は、日本統治下の1919年に、中国・上海で独立運動家らによる「大韓民国臨時政府」が設立されてから100周年にあたるのだ。過激な「反日」言動を続ける文氏にとって、ソウルで11日夜に行われる記念式典は晴れの舞台になるはずだった。

 韓国情勢に精通するジャーナリスト、室谷克実氏は「トランプ政権が、会談日として11日を提示したのは意図的だ。文氏に対して『無理に来なくていい』というメッセージだったのではないか」と分析する。

 案の定、トランプ政権に「冷遇」された文氏は、ほとんど成果のないまま帰国することになった。今後、米韓関係はどうなりそうか。

 前出の島田氏は「北朝鮮による瀬取り取り締まりのため、米国は3月、沿岸警備隊の大型警備艦を朝鮮半島沖に派遣した。『韓国船舶が北朝鮮に協力している』との情報があり、派遣には『韓国の監視』という意味もある。米韓両軍の大規模軍事演習も3つすべてが中止されており、事実上、米韓同盟は空洞化したといっていい」と話した。

【私の論評】トランプ大統領は、外交音痴の文に何を話しても無駄と考えた?

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が大恥をかきました。重要行事を放り出して米国まで行ったのに、トランプ大統領から「北朝鮮への制裁は緩和しない」と言い渡されてしまったのです。

4月11日にワシントンで開かれた米韓首脳会談は異例づくめでした。通常は首脳だけで膝を突き合わせる「首脳の単独会談」に何と、両国のファーストレディも参加したからです。

文在寅政権に批判的な保守系紙の朝鮮日報は会談当日に掲載した社説「『夫婦同伴の韓米首脳会談』だなんて」(4月11日、韓国語版)で以下のように疑念を表しました。
●(韓国)大統領府は首脳会談が2時間以上にわたり「単独会談」→「スタッフが同席しての小規模の会談」→「昼食兼拡大会談」の順で開かれると発表した。
●ところがこの単独会談に双方の夫人が同席するという。1日3泊の実務訪問に大統領夫人が同行するのも異例だが、首脳会談を夫婦同伴でするのもほぼ前例がない。
●通訳の時間を除けば事実上、挨拶を一言交わせば終わってしまう短い時間であり、実質的な単独会談はないも同然だ。「スタッフが同席しての小規模の会談」がそれなりの議論の機会にも見えるが、それだってすぐに昼食会に移ってしまう。
●韓米首脳が同席者なしで北朝鮮の核、韓米同盟など重要な案件に関し深い会話を交わす時間は実質的にない。この形式は米国側が提案したという。
実際、4月11日の米韓首脳会談は朝鮮日報が危惧したように首脳が膝を突き合わせて話し合う機会はありませんでした。両大統領と記者とのやりとりに時間が使われ、「夫婦同伴の首脳会談」でさえ2分間に終わったと冒頭の記事にもあるように、韓国各紙は報じました。それどころか会談自体が、記者団を前に文在寅大統領の要求をトランプ大統領がことごとく打ち砕いて見せる場となったのです。

大統領執務室での首脳会談の冒頭、韓国が望んでいる北朝鮮への制裁緩和について記者が聞くと、トランプ大統領は「制裁を続ける。それを強化する選択肢だってある。今の水準が適切と思うが」と答えました。

「文大統領が言う『小さな取引』に応じる気はないか」との問いには「いろいろな『小さな取引』もあり得る。一歩一歩、部分的に解決もし得る。だが、現時点では(完全な非核化を求める)『大きな取引』を話し合っている。それにより(北朝鮮の)核を取り除かねばならない」と真っ向から否定しました。

さらに第3回米朝首脳会談について「可能性はある。ステップ・バイ・ステップでね。すぐに始まりはしない。私がそうなると言及したことはない」「私はずうっと言ってきたが、早めれば良い取引にはならない」と急がない姿勢も明確にしました。

これに先立ち、文在寅大統領が記者団に「対話の機運を維持し、第3回朝米首脳会談が近く開かれるとの見通しを国際社会に示すことが重要だ」と語ったのを、またもや明確に否定しました。

一連のやり取りはホワイトハウスの「Remarks by President Trump and President Moon Jae-in of the Republic of Korea Before Bilateral Meeting」(4月11日)で読めます。

同盟国のトップを呼びつけておいて、万座の中でこれほど徹底的にその意向を否定して恥をかかせるのも珍しいです。

「首脳だけで顔合わせする時間はなし」という異例の設定も、文在寅の話などに耳を傾けず、トランプ大統領が一方的に説教する構図を世界に見せつけるのが目的だったのでしょう。

なお、4月11日は文在寅政権が肝入りで開く大韓民国臨時政府の発足100年記念式典の当日でした。ワシントンに向かった文在寅大統領は参加できず、代わりに李洛淵(イ・ナギョン)首相が出席しました。

4月11に挙行された大韓民国臨時政府の発足100年記念式典

米韓首脳会談の開催をどちらの国が言い出したかは不明ですが、この記念式典から勘案すると、4月11日という設定は米国が決めたのは確実です。

米国の政界は「文在寅政権は金正恩(キム・ジョンウン)政権の使い走りだ」と見なしています。2月27〜28日にハノイで開かれた米朝首脳会談で「非核化せずに制裁解除だけ狙う」北朝鮮の姿勢が確認できました。

というのに3月1日、文在寅大統領が「開城工業団地と金剛山観光事業の再開」を言い出し、制裁の解除に動いたからです(デイリー新潮「米国にケンカ売る文在寅、北朝鮮とは運命共同体で韓国が突き進む“地獄の一丁目”」[19年3月20日掲載]参照)。

北朝鮮も韓国の尻を叩いています。3月15日、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は各国の外交官やメディアを集めた席で「韓国は米国の同盟国であるため『プレイヤー』であって『仲介者』ではない」と言い放ったのです。

「米朝の仲介者」のイメージを演出することで国民の支持を集めてきた文在寅政権に対し、「仲介者」の称号を剥奪すると脅し、自分の側に引きつけようとしたのです。効果はすぐに出ました。

4月4日、韓国外交部で北朝鮮の非核化問題を担当する李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長がソウルで講演し「制裁では北朝鮮の核問題は根本的に解決できない」と語りました。

同じ席で、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官も「(北朝鮮がすでに廃棄したと主張する)核施設への査察を認めれば米国も制裁緩和など相応の措置が可能だ」と述べ、開城工業団地の再開などを米国に要求しました。

いずれの発言も、米国に対し「制裁を緩和せよ」と要求する一方、その姿勢を北朝鮮に見てほしいという文在寅政権の願いがこもっていたのでしょう。

北朝鮮も援護射撃に出た。4月10日、金正恩委員長は党中央委員会総会に出席し「自力更生の旗を高く掲げて社会主義建設を粘り強く前進させる」「制裁で我々を屈服させられると誤断している敵対勢力に深刻な打撃を与えるべきだ」と述べました。

もちろんトランプ政権はこんな小細工に動じませんでした。それどころか北朝鮮を忖度して動く韓国にお仕置きをしてみせたのです。

金正恩委員長の顔色を常に窺う文在寅大統領も、トランプ大統領に面と向かって「制裁を緩和してくれ」と言い出す勇気はなかったのでしょう。

米国は韓国が裏切るたびに「通貨」を使って韓国に警告を発してきました。

ことに今、韓国の貿易収支が悪化し、通貨危機に陥りやすくなっている(デイリー新潮「韓国、輸出急減で通貨危機の足音 日米に見放されたらジ・エンド?」[19年2月1日掲載]参照)。

赤っ恥をかかされた文在寅大統領は今後どうするのでしょうか。とりあえずは「韓米首脳会談は成功だった」と言い張るつもりでしょう。

左派系紙で政府に近いハンギョレはこの会談を報じた記事の見出しを「韓米首脳、第3回朝米会談に共感帯…トランプ『引き続き対話するのが望ましい』」(4月12日、韓国語版)と付けました。

読者をミス・リードする見出しです。確かに、次の米朝首脳会談の開催に関しトランプ大統領は否定していないです。だが、はっきりと「急げば失敗する」と言っているのです。

どうせ保守派は「赤っ恥をかいた文在寅」と大笑いするでしょう。だったらせめて、支持してくれる左派からの称賛は得ておこうとの計算でしょう。左派はハンギョレなど左派系紙しか読まないのです。

会談後、青瓦台(大統領府)高官は韓国メディアに「文大統領はトランプ大統領に南北首脳会談の開催方針を伝え、肯定的な返事を得た」と明かしました。これも「米韓首脳会談がうまくいった」とのイメージ作りです。

今回の首脳会談を材料に保守勢力が文在寅政権批判を強めるのは間違いないです。そもそも政策の失敗により韓国経済は苦境に陥っている(デイリー新潮「文在寅の“ピンボケ政策”で苦しむ韓国経済、米韓関係も破綻で着々と近づく破滅の日」[19年4月5日掲載]参照)。

ここで政権を責め立てれば、2020年の国会議員選挙で保守派が圧勝できます。保守の中には「もし3分の2の議席を確保すれば、文在寅弾劾も夢ではない」と語る人もいます。韓国の次の注目点は、国をも滅ぼす激しい左右対立です。

それにしても、文在寅大統領は無論のこと、韓国の政治家のほとんどは外交の素人のようです。日本も似たりよったりのところがありますが、それにしても安倍総理はそこまでは外交音痴ではありません。

朝鮮半島問題に関して、文在寅は素人?

そもそも、朝鮮半島がどのような状況にあるのか、文在寅や韓国の政治家は理解していないようです。何やら、韓国は北朝鮮のすぐ隣にあり、韓国も北朝鮮も民族的には同じであり、元々気脈が通じており、さらに文大統領は北朝鮮を訪問したことがあり、自分たちは半島問題を掌握していると思いこんでいるようてすが、実際はそうではありません。

私自身は、彼らの朝鮮半島理解は、日本のお花畑の政治家や、マスコミと大した違いはないと思います。ただし、韓国の政治家の半島理解の程度ひ著しく低いにもかかわらず、さも自分たちは他国の政治家よりも良く知っていると思い込んでいるところが、傲慢で始末に負えないと思います。

これについては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮『4・15ミサイル発射』に現実味!? 「絶対に許さない」米は警告も…強行なら“戦争”リスク―【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!
金正恩氏は東倉里から“人工衛星”を発射するのか

朝鮮半島の状況を考える上で、まずは正確に現状はどうなるっているかを把握しなければなりません。その上で、関係諸国がそれを維持したがっているのか、はたまた破壊したがっているのかを理解するのは重要なことです。では、この記事より現状に関する部分のみを引用します。
北朝鮮の望みは、体制維持です。金正恩とその取り巻きの独裁体制の維持、労働党幹部が贅沢できる程度の最小限度の経済力、対外的に主体性を主張できるだけの軍事力。米国に届く核ミサイルの開発により、大統領のトランプを交渉の席に引きずり出しました。間違っても、戦争など望んでいません。 

この立場は、北朝鮮の後ろ盾の中国やロシアも同じです。習近平やウラジーミル・プーチンは生意気なこと極まりない金一族など、どうでも良いのです。ただし、朝鮮半島を敵対勢力(つまり米国)に渡すことは容認できないのです。
だから、後ろ盾になっているのです。結束して米国の半島への介入を阻止し、軍事的、経済的、外交的、その他あらゆる手段を用いて北朝鮮の体制維持を支えるのです。 

ただし、絶頂期を過ぎたとはいえ、米国の国力は世界最大です。ちなみに、ロシアの軍事力は現在でも侮れないですが、その経済力は、GDPでみると東京都を若干下回る程度です。 

ロシアも中国も現状打破の時期とは思っていません。たとえば、在韓米軍がいる間、南進など考えるはずはないです。長期的にはともかく、こと半島問題に関しては、現状維持を望んでいるのです。少なくとも、今この瞬間はそうなのです。 

では、米国のほうはどうでしょうか。韓国の文在寅政権は、すべてが信用できないです。ならば、どこを基地にして北朝鮮を攻撃するのでしょうか。さらに、北の背後には中露両国が控えています。そんな状況で朝鮮戦争の再開など考えられないです。 

しかも、文在寅は在韓米軍の撤退を本気で考えています。そうなれば、朝鮮半島が大陸(とその手下の北朝鮮)の勢力下に落ちます。ならば、少しでも韓国陥落を遅らせるのが現実的であって、38度線の北側の現状変更など妄想です。 
しかも、以前からこのブログにも掲載しているように、現状をさらに米国側から検証してみると、北朝鮮およびその核が、朝鮮半島全体に中国の覇権が及ぶことを阻止しているのです。北の核は、日米にとって脅威であるばかりではなく、中国やロシアにとっても脅威なのです。 
さらに、韓国は中国に従属しようとしてるのですが、韓国は中国と直接国境を接しておらず、北朝鮮をはさんで接しています。そうして、北朝鮮は中国の干渉を嫌っています。そのため、韓国は米国にとってあてにはならないのですが、かといって完璧に中国に従属しているわけでもなく、その意味では韓国自体が安全保障上の空き地のような状態になっています。 
この状況は米国にとって決して悪い状態ではないです。この状況が長く続いても、米国が失うものは何もありません。最悪の自体は、中国が朝鮮半島全体を自らの覇権の及ぶ地域にすることです。これは、米国にとっても我が国にとっても最悪です。
このように、米国・中国・ロシア・北朝鮮ともに、現状を破壊することは望んではいないのです。現状維持(英語の外交用語で"Status quo")が当面これらの国々にとってベストな選択なのです。 その中で、韓国だけが、制裁で大変な北朝鮮にうまく利用されて、勘違いして、現状を変更しようとしているのです。

米国・中国・ロシアにとって、北朝鮮と韓国が統一するのかどうかなど二義的な問題にすぎません。統一朝鮮が米国側につけば、中国・ロシアの負けです。統一朝鮮が、中露側につけば米国の負けです。

そのようなことになる前には、当然かなりの紆余曲折があり、中米露とも失うものが大きい可能性があります。そのようなことになるよりは、現状維持がはるかに良いのです。

北朝鮮は、南北統一を望んでいません。統一すれば、金王朝が危うくなるだけです。平和的な統一に必要な妥協を受け入れる動機が、同氏にはほとんどありません。

そこにきて、韓国の文在寅は、現状を破壊する方向に向かおうとしています。これでは、文在寅は、周辺国からは単なる秩序破壊者であり、単に一人芝居をしているようにしかみえません。

これが、文がマスコミ関係者というのなら、それはそれで良いかもしれませんが、到底朝鮮半島の未来を背負って立つ人材ではありません。トランプ大統領もこの程度の人物にまともに話をしても時間の無駄と判断したのでしょう。

金正恩は、中国の干渉を嫌っています。この干渉から逃れるため、核を開発して、米国のトランプ大統領を交渉のテーブルに引き出したのです。これが、トランプ大統領が金正恩をある程度評価する真の理由です。

しかし、米国とて北朝鮮に過度に肩入れすれば、現状を破壊してまうことになりかねません。それに北の核は米国にとっても相変わらず脅威であることには変わりありません。

トランプ政権というか米国は、朝鮮半島は現状維持したうえで、中国と対峙し、かなりの時間をかけても、中国の体制を変えるか、あるいは、中国経済を弱体化させ、周辺諸国に対して影響力を行使できないまでに弱体化させようとしています。

もし、これが成就すれば、朝鮮半島問題などほとんど何もしなくても、自動的に解決するでしょう。その中にあって、現状を変更させようとする文在寅は邪魔な存在以外の何ものでもありません。

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2018年5月23日水曜日

米韓首脳会談、文氏「仲介」は完全失敗 トランプ氏は中朝会談に「失望」怒り押し殺し…米朝会談中止も―【私の論評】米国は北攻撃準備を完璧に終え機会をうかがっている(゚д゚)!


文大統領(左)と会談したトランプ大統領(右)。金正恩氏の勝手にはさせない

 ドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、米国の条件に応じなければ米朝首脳会談(6月12日)を中止すると通告した。ホワイトハウスで22日(米国時間)に行われた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との首脳会談で明言した。文氏は「米朝の仲介役」として米国に乗り込んだが、完全失敗に終わった。

 「われわれは一定の条件を求めている。それがなければ、(米朝首脳)会談は行われないだろう。会談は北朝鮮と世界にとって素晴らしい機会になる。行われなければ、会談は延期され、別の機会に行われるのではないか」

 米韓首脳会談の冒頭、トランプ氏は記者団にこう述べた。

 北朝鮮は16日、トランプ政権が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を理由に、米朝首脳会談中止を示唆した。得意とする「揺さぶり外交」の一貫だが、トランプ氏は改めて、北朝鮮に「完全非核化」を突きつけた。

 トランプ氏の批判は、北朝鮮に急接近している中国にも及んだ。

 今月7、8日に中国・大連で行われた習近平国家主席と正恩氏による2回目の中朝首脳会談について、トランプ氏は「少し失望している。なぜなら、正恩氏の態度に変化があったからだ」と怒りを押し殺した。

 大連会談で、正恩氏は「関係各国が責任をもって段階的かつ同時並行的な措置を講じ、最終的に朝鮮半島の非核化を実現させることを希望する」と主張した。習氏は、米朝首脳会談で非核化合意に達した場合、中国が段階的支援に乗り出すことが可能との考えを示したとも報じられている。

 トランプ政権は、経済、軍事両面で「最大限の圧力」をかけ、正恩氏を対話に応じさせた。その努力を中国が台無しにしようとしているとするなら大問題だ。

 中国という「後ろ盾」を得て再び、米国への反発に転じた北朝鮮に対し、マイク・ペンス副大統領はクギを刺した。21日に出演した米FOXニュースの報道番組で、「北朝鮮は守る気のない約束で、米国から譲歩を引き出すようなまねはしない方がいい」と述べ、軍事的選択肢を行使する可能性を「一切排除していない」と語ったのだ。

 米国、北朝鮮、中国による駆け引きが続くなか、「米朝の仲介役」を自認し、米国に乗り込んだ文氏の存在感はまるでない。北朝鮮にも会談をキャンセルされるなど、「韓国パッシング」に見舞われている。

【私の論評】米国は北攻撃準備を完璧に終え機会をうかがっている(゚д゚)!

昨年米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」伝えるテレビの画面

米軍が北朝鮮を先制攻撃した場合、最新資料では北朝鮮は1日で壊滅するといわれています。その根拠となるのは、2017年12月4~8日に実施された米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」です。

日本では戦闘機や偵察機など米韓両軍で230機が参加したと伝えられていましたが、11月29日に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星15」発射したことを受けて260機に増強され、史上最大規模の軍事訓練となりました。

詳細はこれまで明らかにされてこなかったのですが、訓練内容を分析した文書を見ると本当に実戦さながらでした。米軍が本当に先制攻撃を仕掛けた場合、その攻撃力は想像を絶します。北朝鮮は報復攻撃さえできずに、早ければ1日で壊滅すると考えられます。

これまで米国が北朝鮮に対して先制攻撃を実行した場合、全面戦争に発展するのは避けられず、北朝鮮の報復攻撃によって日米韓は甚大な被害を受けることが予想されました。

特に非武装地帯(DMZ)の北方に配置された北朝鮮の多連装ロケット砲や長距離砲がいっせいに火を噴き、付近に展開している米陸軍第2歩兵師団が標的になるばかりか、ソウルが“火の海”に化す悲劇も現実味を帯びていました。

北朝鮮の長距離砲

過去、米国はクリントン政権時代の1994年に北朝鮮の核施設への空爆を検討したことがありました。北朝鮮は93年に核拡散防止条約(NPT)を脱退した後、核実験と弾道ミサイル「ノドン1号」の発射を強行していたからです。

しかし、米国が空爆を実行すれば、朝鮮戦争の再開が危惧されました。開戦から90日で米軍の死者5万2千人、韓国軍の死者49万人、韓国の民間人の死者は100万人以上に達するという衝撃のシミュレーション結果を、当時の在韓米軍司令官がホワイトハウスに報告し、攻撃を中止したという経緯がありました。

いま、ICBMの完成を目前にして、核弾頭の実戦配置も終了したと考えられる、北朝鮮の“脅威”は当時の比ではありません。当然、米国本土も無傷では済まないはずです。

ところが、この想定は米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」によって覆されました。米韓両軍が先制攻撃で遂行する作戦とは、一体いかなるものなのか、公開されている資料などから以下にまとめます。
攻撃は段階的に行われますが、最初に出動するのは3機の電子戦機『EA‐18G』です。電波を発射して北朝鮮のレーダー網を完全に麻痺させ、さらに対レーダーミサイルで通信基地を破壊する攻撃機です。実際、訓練中にも北朝鮮のレーダー網を麻痺させてしまったようです。このため、北朝鮮は演習内容をまったく把握できなかったといわれています。 
北朝鮮の通信網を無力化し、制空権を完全に奪ったところで、ステルス戦闘機のF35AやF22が出動。迎え撃つ北朝鮮の空軍を相手にすることもなく、ミサイル基地や生物兵器、大量破壊兵器関連施設など最優先のターゲットを次々と精密爆撃します。 
F35A
むろん、ソウルを照準にしたDMZ周辺の長距離砲陣地も完全に叩きます。反撃能力を潰えさせた後、ステルス機能のないF-15、F-16戦闘機、B-1B爆撃機が残る主要軍事施設を思うがまま絨毯爆撃するという手順です。
B-1B爆撃機
開戦となれば、金正恩朝鮮労働党委員長は要塞化された地下作戦部に身を潜めることになるでしょう。ところが、通信衛星で金氏の動きは捕捉され、バンカーバスター(地中貫通爆弾)を搭載したF-35Aが“斬首作戦”を実行します。
さらに驚くのは、260機もの戦闘機の上空で早期警戒管制機『E-8ジョイント・スターズ』という航空機が展開することです。1度に600カ所の目標物をレーダーで探知し、優先順位を決めて、すべての戦闘機に攻撃の指揮、管制をします。 
E-8ジョイント・スターズ 
おまえはこの基地を撃て、おまえはあそこを撃てというふうに、設定された軍事目標を一気呵成にしらみ潰しにしていくのです。その指示作業を確認する訓練も行われました。もはや、作戦は完璧に組み立てられています。もちろん、撃ち漏らしはあるでしょうが、開戦となれば、これまで考えられていたような反撃能力が北朝鮮に残っているとは考えにくいです。
仮に、北朝鮮が同時多発的な攻撃を企てたとしても、ほとんどのミサイルが液体燃料のため注入に1~2日かかります。その動向がキャッチされると戦争準備と認められ、米国にとってみれば先制攻撃の口実になります。
やる気になれば、米軍は韓国や日本に従来考えられていたほどの壊滅的な打撃を受けさせることなく、北朝鮮を蹂躙できるわけです。

金正恩として、金王朝存続のためトランプ大統領に北朝鮮の核保有を認めさせたいのでしょうが、トランプ大統領のほうはその気は全くありません。

米国は、北の完璧な核放棄がない限り、いずれ北に攻撃を仕掛けることになるでしょう。現在は、攻撃するにしても、どの規模で、どれくらいの期間攻撃するかを決めるため機会をうかがっているとみるべきでしょう。それでも、金正恩が核放棄に応じれば、別の道を用意する心づもりもあることでしょう。

いずれにせよ、金正恩が過去1年間で恐喝、融和、手のひら返しのような様々な策を弄しているうちに、米軍は目的、目標、期間、規模、効果の観点からありとあらゆる方式で北朝鮮を攻撃する方法をシミレーションならびに演習を通じて実行できる体制を整えているのは間違いないです。軍はすぐにでも行動に移せる状態になっていることでしょう。

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2015年10月17日土曜日

【米韓首脳会談】韓国トホホ… TPP参加にオバマ大統領から言及なし 朴氏は「緊密協力」―【私の論評】中韓は、個人消費をないがしろにする愚かな経済劣等生、TPP加入は全く無理(゚д゚)!


16日、ホワイトハウスで記者会見する韓国の朴槿恵大統領(左)とオバマ米大統領

韓国の朴槿恵大統領は16日、オバマ米大統領との首脳会談後の記者会見で、交渉が大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)への韓国の参加問題について「(米韓は)今後緊密に協力していくことにした」と述べた。ただ、オバマ氏は記者会見で韓国の参加問題には言及しなかった。

韓国では日本との輸出競争上の危機感から、5日の大筋合意直後から参加を急ぐべきだとの論調が目立ち、政府も積極姿勢を示してきた。一方で韓国メディアは、議会での批准手続きが残っていることを理由に、米国がすぐには韓国と本格的な論議に入れないとの姿勢を見せていると報じている。

朴氏は米韓が「既に高い水準の自由貿易協定(FTA)を締結している」と述べ、TPPでも米韓が「自然にパートナーになれる」と主張した。

【私の論評】中韓は、個人消費をないがしろにする愚かな経済劣等生、TPP加入は全く無理(゚д゚)!

米国は、韓国だけではなく、中国に関してもTPPに加入させるつもりは全くありません。それは、下の記事をご覧いただければ、お分かりいただけるものと思います。
中国のTPP参加「基準達成に長い道のり」「時期尚早」 フロマン米通商代表
内閣府でフロマン米通商代表部代表(左)を迎える甘利明内閣府特命担当大臣
 米通商代表部(USTR)のフロマン代表は15日の電話会見で、交渉が大筋合意に達した環太平洋連携協定(TPP)に中国が参加するのは時期尚早との認識を示した。「TPPが求める貿易や投資の高い自由化水準を中国が満たすには長い道のりが必要だ」と述べた。 
 フロマン氏は「TPP参加を望む国は、高い水準を受け入れることができると証明しなければならない」と強調。米中で交渉中の投資協定の成否が、中国のTPP参加資格の有無を測る「絶好の試金石になる」と述べた。米国は投資協定交渉で、TPPに匹敵する自由化を迫っているが、中国が難色を示し、協議は難航している。 
 フロマン氏は、TPPはオバマ政権が掲げる「アジア重視戦略」の要だと説明。「米議会のメンバーもTPPの重要性をよく分かっている」と述べ、協定発効に必要な議会の承認獲得に自信を示した。(共同)
米国は、なぜ中韓をTPPに入れなかったのか、そうして時期尚早としたのでしょうか。それに対するはっきりとした声明などありませんが、私のわかる範囲で分析してみます。

おそらく、以下の二点において、アメリカは中韓はふさわしくないと考えているのだと思います。

中国はなぜ加入できないのか

まずは、中国の個人消費がGDPに占める割合は、35%に過ぎないということです。これは異常に低いです。日本などの先進国では60%前後というのが普通です。アメリカは、70%台です。個人消費が低いということは、本来の意味ではそれだけ経済があまり発展していないことを意味します。

中国のGDPのほとんどは、インフラ投資によるものであり、個人消費は、2000年くらいまでは、もともと低いものの40%くらいはあったのが、GDPが伸びても消費は伸びなかったので、35%程度にまで落ちています。

中国では大規模インフラ投資案件がなくなれば、GDPもかなり小さくなるということです。実際、昨年あたりから不動産バブルが崩壊し、実体経済がかなり悪くなっています。政府は、7%成長を新常態として、これを守るといっていますが、中国の経済統計はそもそもデタラメなので、イギリスのある調査会社では、マイナス成長だったのではという推計をだしているくらいです。

中国は、個人消費をなおざりにして、インフラ投資ばかり繰り返し、それがおしまいになると、経済は悪化するばかりです。

韓国も中国ほど低くはないですが、これもかなり低いです。50%台です。これは、ロシアと同程度です。

この程度では、あまりに他国と水準が異なり過ぎます。これでは、TPP加入はかなり無理であるといわざるをえません。

韓国はなぜTPPに加入できないのか

さらに、輸出がGDPに占める割合を平成14年度の数字でみてみると、韓国は43.87%、中国は韓国ほどではないですが、22.28%です。興味のあるかたは、世界の輸出依存国別ランキングをご覧になってください。

これに比較すると、米国は9.32%です。日本は、15.24%です。日本より、輸出の低い国は米国くらいなものです。

個人消費が少ない、輸出が多いということは何を示すかといえば、経済の脆弱であるということです。個人消費が少なければ、実体経済もかなり問題があることは容易におわかりになると思います。

輸出に関しては、何やら輸出が多ければ良いことのようにとらえている人もいますが、実体はそうではありません。GDPに占める輸出の割合が多いということは、外国の情勢に大きく左右されるということです。個人消費が多くて、内需が大きいということは、外国経済に左右されにくいということです。

まさに、韓国は輸出にあまりにも大きく頼りすぎていて、外国で何かあれば、途端にとんでもないことになります。実際、日本が2013年から金融緩和に踏み切ったところ、それまで、ウォン安、円高だったのですが、今や逆転してしまい、韓国の経済はすっかりおかしくなってしまいました。

韓国といえば、とにかくグローバル化戦略などとして、輸出を振興してきましたが、内需を高める努力は怠りました。それがアダとなって、今では経済が悪化しています。

結局中韓は個人消費をないがしろにしている

韓国も、個人消費はなおざりにして、インフラ整備やグローバル化ばかり繰り返し、外国の影響をもろにかぶる体質になってしまい、今や元は本来高くしなければならないのですが、それをしないため中国はインフレ、韓国はウォン高で苦しんでいます。

TPP 加盟国のうち、経済があまり良くない国もありますが、経済の規模にもよりますが、いずれにしても中韓のようにこれだけ、個人消費を犠牲にして偏った経済の国はありません。

そんなことから、中韓のTPP加入はまだまだ時期尚早です。

中韓の経済を良くする処方箋はあるのだが・・・・・

中韓の経済をまともにする処方箋は決まりきっています。両国とも、中間層をもっと増やしそれらが、社会・経済活動を活発にできるようにすれば良いのです。

中国であれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めれば、中間層が増えて、社会経済活動も活発化します。今までが、今までだったので、少しでもこの方向に進めば、実体経済は必ず良くなります。

韓国の場合は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化に関しては、中国よりは進んでいますが、それでも先進国から比較すれば、遅れているので、それを推進すべきです。それとともに、グローバル化の推進一辺倒から、内需を拡大する方向に舵を切り直すべきです。

サムスンなどのグローバル企業ばかり育成しようとしても、結局は脆弱な経済になるだけです。まずは、内需を拡大させるべきです。そのための方策はいくらでもあるはずです。

しかし、両国の首脳も、政府もこのようなことは、わかりきったことなのに、この方向に向かっての動きはまったくしようとしません。習近平は、反日とインフラ投資、朴槿恵は反日とグローバル化とりわけ、中国接近を馬鹿の一つ覚えのように繰り返すばかりです。愚かとしか言いようがありません。

であれば、中韓がTPPに参加すれば、とにかく韓国は、自国民を犠牲にしても、安い製品で他国から儲けることばかり考え、中国は外国へのインフラ投資をすることで儲けようとし、それを繰り返し、結局中韓もダメになり、他の国も悪影響を及ぼしてしまいます。

結局、両国ともその方向性は異なりますが、結局のところ個人消費をなおざりにしています。両国とも、一般国民の社会・経済活動はなおざりにして、経済がひどく偏り、今や破綻の一歩手前です。であれば、米国が中国や韓国をTPPに受け入れないのは当然のことです。

中韓をみていれば、内需をなおざりにする国は、一時経済が良くなったようにみえても、いずれ萎んでしまいます。

米国のように、個人消費を煽りに煽って、サブプライム・ローン問題のような過ちを犯すこともありますが、それにしても、こういう過ちさえ防ぐことができれば、強力な経済を維持することができます。

日本も、過去の酷いデフレなどもありますから、偉そうなこともいえないですが、それでも個人消費はGDPの60%前後をずっと維持してきていますから、中韓とは根本的に経済の構造が異なります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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