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2008年12月24日水曜日

豊田章男氏の社長昇格濃厚 トヨタ、14年ぶり「大政奉還」-トヨタの新しい使命とは?

豊田章男氏

豊田章男氏の社長昇格濃厚 トヨタ、14年ぶり「大政奉還」(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)
トヨタ自動車の渡辺捷昭社長(66)が来年春に退任し、豊田章男副社長(52)が昇格する社長交代が濃厚となったことが、23日分かった。豊田氏はトヨタグループの創業者・豊田佐吉のひ孫で、豊田章一郎・名誉会長(83)の長男。創業家出身の社長は1995年に退任した豊田達郎相談役(79)以来で、14年ぶりの「大政奉還」となりそうだ。

 トヨタは22日、2009年3月期の連結営業利益予想を下方修正し、記録が残る1941年以来初の赤字になると発表したばかり。「かつてない緊急事態」(渡辺社長)を創業家の求心力で乗り越えるのが狙い。豊田家出身の社長は6人目となる。

 章男氏は現在、海外と国内の販売を統括する副社長。早くから将来の社長の有力候補とされ、これまで中国本部長や情報事業本部長を歴任した。社長就任は来年4月が有力。新年度から人事を刷新し、新車販売急落や円高といった逆風に立ち向かう体制をつくるとみられる。

 渡辺社長は05年6月の就任以降、毎年過去最高益を更新し、業績の急拡大を支えてきた。ただ今年に入ってから米国を中心に新車の世界販売が急減速。足元では2カ月足らずの間に2度の業績予想の下方修正に追い込まれた。
2008/12/23 18:23 【共同通信】

リーダーシップ状況論は正しいか?
さて、このリーダーの交代をどうみるべきか。昔からリーダーシップ論というものがあり、資性(特性)論→行動論→状況論のように変遷してきているようです。
最新のリーダーシップ理論である。状況論では直面している問題に対して、フォロワーの自立度に応じて、リーダーは接し方を、「指示」 「助言」 「支持」 と柔軟に使い分けて変えていくという考え方をするそうです。具体的には、直面している問題に対して

①全く自己解決できない依存状態のフォロワーには、
「こうしてみようよ」「ああしてみようよ」と指示をする依存状態のフォロワーとは、全依存型であり、その問題に関して
・全然やったことがない
・全く自身がない
・全く自己解決ができない
という状態にある者で、新入社員などがこれにあたります。

②少しは自己解決できる半依存状態のフォロワーには、
本人の主体性や自律性を少し尊重しながら、「こうしてみたらどうだ」「ああしてみたらどうだ」と助言をする。半依存型のフォロワーには、その問題に関して
・やったことはある(という程度)
・あまり自信はない
・少しは自己解決できる
・自分のやり方についてアドバイス(助言)がほしい
という状態にある者で、経験が浅い社員などがこれにあたります。

また、半自立型にあるフォロワーもおり、その問題に関して
・何度かやったことがある
・そこそこ自身はある
・大部分自己解決できる
・自分のやり方も認めてほしい
という状態にある者で、経験を積んだ中堅社員などがこれにあたります。

③おおよそ自己解決できる半自立状態のフォロワーには、
主体性や自律性をより尊重しながら、本人の考えをうまく引き出して、「そうしてみようよ」 と 支持 をする というものです自立型のフォロワーは、その問題二間して
・いつもやっている
・自信はある
・完全に自己解決できる
・任せて欲しい
というレベルにまで達している者で、経験豊富なベテラン社員などです。いつまでもリーダーが指導者として君臨するのは、フォロワーの自立を妨げてしまいます。フォロワーを支配・統制するのではなく、自立に向けてフォロワーを育てていくというリーダーが求められるようになってきているのです。そのためには「指示する」 「助言する」 「支持する」 を、適切に使い分けていこうというものです。

つまり、相手の自立度に応じてティーチング(指示や助言) と コーチング(自己決定と自己解決の支持) を上手に使い分けながら、徐々に任せていく部分を増やしていくことで、フォロワーの自立を支援していこうというものです。

ただし、このリーダーシップ論には大きな前提があります。それは、リーダーは、フォロワーよりも知識も実務経験も豊富であるということです。そうすると、現在のトヨタが置かれている現状にはこのリーダーシップ論は全くあてはまらないことになります。なぜなら、現在の状況は皆さんご存知のように、社内の誰もが経験もしたことがなく、知識としても習得できない前代未聞のことだからです。

では、私たちは何を基準にしてものを考えていったら良いのでしょうか。ここで、ドラッカーのいうところの、リーダーシップを掲載してみます。

「リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」(『現代の経営』)
リーダーシップとは仕事であるとドラッカーは断言します。リーダーシップの素地として、責任の原則、成果の基準、人と仕事への敬意に優るものはありません。

ドラッカーは、「リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。
リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだ」といって言います。

さらに、「リーダーと似非リーダーとの違いは目標にある。リーダーといえども、妥協が必要になることがある。しかし、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まる。私は、多くの一流のリーダーたちを目にしてきた。外交的な人も内省的な人もいた。多弁な人も寡黙な人もいた。陽気な人もいたし、静かな人もいた。様々な人々がおり、特にどのような資質がリーダーにとって必要だというものは存在しなかった。

リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」と語っています。(『プロフェッショナルの条件』)

まさにその通りだと思います。トヨタの新しい社長が真のリーダーになるためには、「トヨタの使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立すること。そうして、その使命を遂行するために目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持しなければならないということです。新社長といえども、妥協が必要となることもありうるが、その妥協が使命と目的に沿っていれば、新社長はリーダーの仕事をまっとうできていることになる」ということだと思います。

トヨタの使命とはなんでしょうか?
経営理念や、豊田綱領などありますが、これだけみていては良くわかりません。
そこで、2007年の社長の挨拶からビジョン・理念を読み取ると「トヨタは創業以来、「自動車を通じて豊かな社会づくり」に貢献することを基本理念として、事業活動を営んでまいりました。創立70周年を機に、原点に立ち返り、持続可能な社会に向けて、今、我々ができることを改めて考えました。それが、「研究開発」「モノづくり」「社会貢献」からなる、「3つのサステイナビリティ」というコンセプトです」ということが掲載されていました。

2007年度念頭では、経営理念などにもとづき、通常の車づくりと、この「3つのサスティナビリティ」というコンセプトが、当面のトヨタの使命だったと思います。

しかし、この使命では、今回の金融危機に引き続く、世界同時不況は乗り切れなかったということだと思います。そうして、これからも無理であり、何か新しい使命を見つけ出さなければならないということだと思います。

トヨタの新しい使命とは?
最近の輸出産業などの不振をみていて、つくづく思うのは、日本のお家芸だった、高付加価値のモノづくりが非常に不振だということです。世界中でモノが売れないということが、今回のトヨタや、ソニーの大不振の原因になっているわけですが、今後日本国内の内需拡大も期待できることから、当面モノづくりを全くやめる必要はないとは思いますが、モノづくり分野以外のことをしなけばいけないことは間違いのないことだと思います。

特に、上記でいうモノづくりといつた場合、最終消費者向けのモノづくりがほとんどだったと思います。今後は、モノ以外さらには、最終消費者向け以外のモノをつくるということが重要になってくると思います。

そうすると、「自動車を通じて豊かな社会づくり」に貢献することを基本理念からみえているものが、あると思います。それは、たとえば、航空宇宙産業に関わることであったり、自動車という一つの製品を一つの部品のような考えた、交通システムや運輸システムのようなものです。今までとは、全く異なった社会基盤やシステムを形成するというものです。

それこそ、映画「マイノリティー・レポート」にも出てきたような、車でありながら、公共交通のようなものでもある乗り物の開拓なども良いかもしれません。街中では、電車のようにリニア・モーター・カーのように走り運転もしないですむが、郊外に行くと車としても単体で走れるような車とか。しかも、街中では、いままでだと全く個人の思いつきで走っていたのが、全体の経済合理性にもとづいた運用ができるようになっているとか。

これを実現するために、月々街中の運用のための使用料を個々の顧客から聴取し、全体の都合に合わせると使用量が安くなり、個人の都合を優先すると使用量が高くなるなどの運用システムを構築し、全体としてエネルギーを効率を飛躍的に高めながらも、個人の考えをも反映できるようなシステムを構築するなどです。エコ・カーを個人個人で活用するよりも、もっと全体のことを考慮して、はるかにエネルギー効率を良くするシステムを構築するのです。今までだと、スーパーに買い物にいくのも、消費者の好きな時間に行って帰ってくるとか、頻度も消費者まかせでしたが、全体の都合を考え、少しずらしただけで交通渋滞や無駄を省くことが出来ると思います。

これは、単にに素人の私が思いついただけのものですが、トヨタの素晴らしい頭脳を結集すれば、もっと素晴らしいものも開発できるでしょう。考えてみれば、私たちの車社会は、相当昔から変化していません、今こそ変化をするチャンスなのかもしれません。

また、こうしたシステムだと受注してから完成するまで、かなり時間がかかるものですから、当面の利益をあげるために、宇宙で乗り物を開発するだとか、ナノテクノロジーにより、人体の中をマイクロマシンが運行するシステムをつくるなどいろいろ考えられると思います。

いずれにせよ、今までのように車だけを作り続ける、性能の良い車、燃費の良い車、エコカーなど作り続けるだけでは、おそらく現在のビッグスリーのようになってしまうと思います。抜本的な改革が必要であり、そのためにはトヨタの使命そのものを考え直さなければならない時だと思います。そうして、トヨタならきっとやってくれると思います。そうして、先進国の自動車メーカーの模範になっていただきたいものです。


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