現在の金融危機は2003年からすでに予測されていた!!
最近のサブプライム問題とか、金融システムの崩壊など、マスコミで盛んに報道されていますが、多くの日本人にとっては、その真の意味が分かりにくいと思います。なんで「月収40万の人が月々25万円支払わなければならないローンを組めるのか、あるいは、組めるとしてもなぜそのような馬鹿げたことをするの」とか、「金融安定化法案に対してなぜ反対する有権者が多い」のかなど、なかなか理解できない面があると思います。これは、言葉で語ったり、文書で読むよりも、上のビデオを見ていただいたほうが分かりやすいです。現在のマスコミ報道のものは、「金融」にばかり目が向いていて、かえって状況を分かりにくくしています。この過去のビデオ、NHKはさほど意識していないようですが、アーカイブとして現在見てみると非常にインパクトがあります。
上記のビデオをご覧になると、上記の疑問が解けます。もうすでに2003年当時から今回のような金融危機が起こることは完全に予知されていたと思います。グリーンスパンがこの動画の最後の方で、「リファイナンスを含めた住宅ローンは去年の第四四半期にピークに達していたようです。この勢いが今後も続くとは考えにくいでしょう。つまり住宅市場にはかつての力強さは期待できないということです」とはっきり語っています。
ここでは、上のビデオを見てもらえばわかることなので、詳細は記載しませんが、アメリカ経済の良さは昔から個人消費に支えられてきたという面がありました。ここ数年のアメリカは、ミニマム・ペイメント(借金全体の2%を支払えば、次の月まで借金の支払いを持ち越すことができる仕組み。カードには限度額があるが、限度額を超えれば新しいカードをつくり、さらに借金を重ね続けて、実収入以上のライフスタイルを送ってきたアメリカ人が大勢いる)などで、消費者が消費することを煽りに煽ってきたという経緯があります。
このビデオでも最後の方で、「個人に無理な借金をさせてまで、消費をうながし、この半世紀繁栄してきたアメリカ。しかし、このシステムを支えてきた個人の側から悲鳴が上がり始めています」と言っていますが、現在の状況は、この時点では個人の破綻で済んでいたのが、アメリカ金融システムの破綻にまで発展したということです。いわゆる現在いわれている「サブプライム・ローン問題」は今回の金融システム破綻の引き金を引いたにすぎません、背景には上記のような「個人による無理な借金、それを支える金融システム」という背景があったということです。
真の原因は、誤った個人主義であり、いまこそ社会変革が必要だ!!
さて、背景はこういったものですが、真の原因にまでさかのぼればやはり「誤った個人主義」ということに尽きるのではないかと思います。自分さえ楽して、好きなことができれば、あとはどうでもいい、実収入以上の生活を送り将来のことは考えずに、今を楽しめるだけ楽しむ。また、こういった考えを支える金融システム。これらが、今日の金融システムの破綻を招いたのです。当然の報いともいうべきものです。
しかし、アメリカは奥行きのある国です。以前の不況のときにも、不況のさなかにありながら、次の産業であるIT産業や、バイオ産業が芽吹いていました。不況が終焉するとともにこれが、経済の牽引役として力強い躍動を始めました。しかし、この金融破綻や実体経済の落ち込み、今までのように金融的な措置だけ、あるいは新たな産業の勃興のみで是正できるはずはありません。
しかし、アメリカでは10年ほどまえから、すでにアメリカの良心ともいえる人々による新たな思想が芽吹いています。最初は経営学として「情報よりコミュニケーション」の重要性をうったえていました。そうして、その後は共同体(コミュニティー)の重要性を強調していまます。そうして、健全な社会の重要性を訴えています。
そうです。私の言いたいのは、かの偉大な経営学者「ピーター・F・ドラッカー」とその思想を受け継いだ人たち(ピーター・F・ドラッカー財団など)のことを言いたいのです。
ドラッカー氏は、2006年になくなりましたが、確か最後の書籍として出版された著作は経営や経済に関するものではなく「ネクスト・ソサエティー」というものでした。今日考えると本当に象徴的です。あのドラッカー氏の最後の著作が経済・経営に関わるものではなく、社会に関わるものだったということです。
まさしく、現在本当に必要なのは、社会の変革だと思います。誤った個人主義が跋扈するような社会では経済も、金融システムもまともにならないのです。今こそ社会変革が必要です。現在は応急処置的に、金融システムへのてこ入れを行いつつ、さらには実体経済への手当てを行い、先行き不安を解消するために社会変革をしていく必要があります。ここでは、社会変革の中身にまでは触れません。いずれ機会を改めて述べたいと思います。ただし、今のような誤った個人主義はやめて、新たな共同体の大儀を作り出し、その大儀を重んじるような社会を形成していくということです。
ドラッカーの思想を受け継ぐ「ピーター・F・ドラッカー財団」では、1999年に「未来社会への変革」という書籍を出版しています。このブログの中でも何回か紹介してきたと思います。この書籍にはいろいろ書かれてありますが、特に印象に残ったのは、「西洋型個人主義には、限界がある。共同体の大儀をつくりだし、共同体の大儀のために生きるべきだ。個人だけの喜びでは、その喜びには限界がある。共同体の喜びはさらに大きい。世の中には、個人をはるかに超えたものがあるのだ」という内容です。
この考え何か、一昔前の日本のようではあませんか?日本から共同体というものが姿をほとんど消してから久しいです。日本の場合、特に若い人々になるべく他の人に関わりあいたくないという考えや行動が顕著になりつつりあります。しかし、人に関心を持つ、社会に関心を持つ、社会を構成している共同体に関心を持つことなしにまともな生活は営めません。人は結局自分などと言っていては、まともな社会が構築できず、実体経済にも影響が及びます。それは、個人にはね返ってきます。いや、もうすでに「格差社会」という形ではね返ってきているのかもしれません。
ドラッカー自身も、随分前から、NPOの重要性を説いてきました。これは、NPOを通じて、健全な社会を築くことを意味していることは、いうまでもありません。今のアメリカを立ちなおさせるために、NPOの働き(アメリカでは、NPOの歳入は国家予算に匹敵するほどの規模)は多きいものがあります。少し考えただけでも、家をなくした人々の住居の提供、こうした人々に対する職業訓練や教育。家をなくした人々の子供に対する医療・教育の機会均等の保障。それよりもなによりも、誤った個人主義やライフスタイルを是正するための、教育・啓蒙など。そうして、こうした活動には巨大な資金を必要とすることはいうまでもありません。良き意図があっただけでは、家もたてられず、教育・訓練もできません。これを実現するためには、巨大な経済活動が必要です。いまこそ、社会変革に関わる大きな社会事業が必要です。
アメリカの政府筋も、それから民間企業も、実態経済を立ち直らせるためには、健全な社会を取り戻すことが肝要であるということを再認識して、これらNPOが活動しやすい環境づくり(この中には、厳しさも含まれる、使命を達成できないNPOには消えてもらうことなども勿論含みます)に努力すべき時と思います。そうして、これを良い機会として新たな健全な社会を築いていただきたいものです。
現在全世界的に株価が下落したり、円高基調に触れたり、いろいろ動いています。しかし、この動きもいずれ収束します。日本は、サブプライムの影響をあまり受けていないという意味で、世界各国の退避場所となる可能性が大です。円高であれば、輸出産業には痛手ですが、原油価格は下落しています。いずれ、日本に対して世界各国からのかなり投資がまた盛んになると思います。現在のアメリカ金融システムの動向に一喜一憂することなく、長期的にものを考えていく必要があります。
私たちは、この数ヶ月で非常に良い教訓を得たと思います。アメリカ型の消費型個人主義の破綻です。ITバブルの崩壊、株価の低迷、最後の頼みの綱の個人消費まで絶たれたアメリカ。これから、健全な社会作りのほうに目が向いていくのか、これから注意深く見守りたいところです。そうして、日本でも、変革をすべきであることは言うまでもありません。
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金融安定化法案下院を通りましたね。でも、アメリカの金融システムが安定するまでには、多くの吸収・合併・提携などが行われ、実質的に金融馬 鹿(サブプラム・ローンなどの金融商品を開発した金融機関の経営者)、賭博師(サブプライムローンを大々的に売り出すきっかけを作り出した金融機関の経営 者)が市場から退場するまで、安定化しないことと思います。安定化には3年から5年かかります。実体経済の回復は、8年~10年もかかるかもしれません。 そうなると、他の国々も相当影響を受けます。日本としては、独自の路線を歩まなければなりません。私のブログでは、日本の独自路線のヒントなど掲載してみ ました。(アメリカも同じことだと思いますただし、現状では余力がなさすぎか・・・)。
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