2008年8月25日月曜日

北京オリンピック開催中にもう一つの中国で-金門島砲撃50年 文革発動の導火線に

【金門砲撃50年】文革発動の導火線
2008.8.25 20:56

北京オリンピック昨日閉会しました。さて、オリンピックや、グルジア問題の影にかくれて、ほとんど報道されていませんが、もう一つの中国である台湾では、金門砲撃50年の式典が行われました。

1958年8月23日夕、中国沿 岸部から約340門の火砲が一斉に火を噴き、台湾が支配する金門島に砲弾の雨を降らせた。中国共産党の毛沢東主席が台湾に逃れた中国国民党の蒋介石軍に仕 掛けたこの局地戦は、米国とソ連を巻き込んだ第2次台湾海峡危機へと発展し、やがて「プロレタリア文化大革命」の導火線となる。あれから半世紀。かつて米 国が「反共のとりで」と位置付けた軍事最前線の地は、「両岸和平の懸け橋」に生まれ変わろうとしている。


大きな地図で見る
上は、金門島のグーグル・マッブです。地図上Aが金門島です。私も再確認しました。こんなに中国本土から近いですから当時でも大砲を撃てば届くはずだと納得できます。

「両岸は同じ過ちを繰り返すことなく、平和な未来を築いていかなければならない」。「中華民国」(台湾)の7人目の総統に5月に就任した馬英九氏は、「金門砲撃」の50周年式典でこう切り出した。

大小12の島嶼(とうしよ)で構成される金門県は、行政区分上は中国の福建省に属する。「大陸反攻」を夢見た初代総統の蒋介石にとり、金門の統治は中国唯 一の正統政権を主張する根拠でもあった。国民党の馬総統が、この地から中国に和平を呼びかけたこと自体、中台両岸の時代の変化を物語っている。
 
式典の会場となったのは、蒋介石が花崗岩をくり抜いて建設した地下講堂「●天廳(けいてんちょう)」である。蒋介石の揮毫による深紅の文字の下で、台湾支 援の任務についた米軍の退役軍人とその家族ら30人余りに、馬総統は両手を広げ「アイ・ラブ・ユー」と歓迎した。退役軍人の一人はしっかりとした中国語で 「中華民国万歳」と応じ、歴史に根ざす米台の軍事協力の絆(きずな)を確認するかのように、固い握手を交わした。

(●は「敬」の下に「手」)
















蒋介石(左)と毛沢東(右)


金門砲撃の直前、アイゼンハワー政権は、中国による台湾制圧を阻止しようと中国への戦術核兵器投下を計画していた。米統合参謀本部は、台湾砲撃の前線都市アモイとしていた目標を、戦況しだいで上海などにも広げることも検討していた。この計画はしかし、最終局面で大統領の決断により見送られる。

金門砲撃を受け米国は第7艦隊を急派し、補給路の確保や台湾艦艇の護衛など強力な支援に動き、ソ連の支援を受けた中国と対峙した。

「おまえ、こんなに多くの砲弾を浴びせて、米国人を殺すことにはならないか?」。毛沢東は砲撃開始2日前の8月21日、共産党幹部の夏の保養地として知られる河北省北戴河に、金門砲撃を指揮する福州軍区の葉飛政治委員を呼んで問いただしたと、香港紙・文匯報などは伝えている。

 毛沢東にとり米国は「祖国統一」の障壁であるのだが、全面対決は避けたい。米国は53年の朝鮮戦争休戦協定締結の後、台湾を「反共のとりで」にしようと蒋介石政権と「米華相互防衛条約」を結んでいる。だが、金門・馬祖地域は条約の対象に含まれてはいない。金門島をたたいてみれば、台湾をどこまで防衛しようとするのか米国の出方と真意を探ることができる。ソ連とは反米路線で共闘し、核開発での協力を引き出したい-。

 毛沢東が金門砲撃を決意した背景には、こうした狙いがあったと多くの専門家はみる。台湾当局直属の中央研究院欧美研究所の林正義研究員は「台湾海峡有事により、中共が進めていた『三面紅旗』(社会主義建設総路線、大躍進、人民公社)への大陸内部の不満を転換させる狙いもあった」と指摘する。人民の目を外に向けさせ、国内の団結を図ろうとしたのだ。

 米国の台湾への武器供与で金門攻略は失敗するが、「全民武装」によって再び求心力を高めていく毛沢東は8年後の66年、プロレタリア文化大革命ののろしを上げることになる。 
(金門島 長谷川周人)



 金門砲撃 

1958年8月23日、中国(共産党)軍が台湾(国民党)軍に加えた攻撃で、激しい砲撃が44日間続いた。撃ち込まれた砲弾は計47万発におよんだが、台湾に米国が供与した8インチりゅう弾砲が投入されると戦況は一転。砲撃は徐々に収束に向かい79年1月、中国側が一方的に停戦を発表し約20年におよぶ戦闘は終結した。台湾では砲撃開始日をとり「8・23砲戦」と呼ばれる。

中台関係は、中国の動向を見つめる上で重要?
最近では、北京オリンピック一色でしたが、昨日のブログにも書いたように、中国国内の諸問題は根本的には解決されないままになっているというのが実態です。

大きくいうと、オリンピック開催により特「民族問題の矛盾、地方政府の腐敗、経済の未曾有の危機」が明確になってきました。

昨日のブログでは、中国の分裂は必至であること、これを防ぐためには「民主化、政治と経済の分離、法治国家化」の三点セットの導入しかないことをお伝えしました。しかし、この導入はうまくいかないこと、そのため、中国には革命が起こるしかないことをお伝えしました。そうして、何か異変があれば、このブログでもお伝えする旨をお知らせしました。

中国には、いろいろな問題や見方がありますが、私は中台関係がいま最も今後の中国の動向を見つめる上で重要だと思います。

それは、金門島砲撃を推進した毛沢東の意図にもあったように、台湾に対して何らかの行動をした場合、その反応を確かめることができるからです。無論、アメリカ、ロシア、韓国、日本などの反応を確かめられるからです。

これは、昔から変わらず、今も当てはまる真理だと思います。それと、崩壊寸前の中国共産党は、破れかぶれの行動にでるかもしれません。そうしたときに、台湾は、格好の標的になるかもしれません。人民の目を国外に向ける、しかも、軍事行動などもできうる範囲内にもある。これが、日本や、韓国だと、背後にアメリカの影がはっきりしています。台湾の場合、いまでも背後にアメリカの影があるのは間違いないですが、それも最近は薄れつつあります。どの程度薄れているのかを確かめるためにも、台湾は格好の標的です。

最近は、台湾のことなどほとんど報道されないですが、中国の動向を占うためにも、これからも台湾ウォッチングをしていくことは重要だと思います。

以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。

■ベルリンオリンピックの後にナチス第三帝国は滅亡-北京オリンピックは、共産中国の壮大なレクイエムの序曲か?
■北京五輪体操選手の年齢詐称疑惑-ストリート・ビューも偽装か?
■景気 強まる「中国頼み」 日本最大の輸出先に-リスク分散のためにも、他のアジア諸国にも注目すべき!
■北京オリンピックがいよいよ開幕!!快進撃を続ける中国IT企業-快進撃はもう続かない?
■四川大地震、6万9225人の死者が確認-オリンピック開催後に大異変が起こる?!
■中国新人類「80後(バーリン・ホー)研究会」発足-2億人を一緒に語ることはできない?
■Lenovoの4月~6月期は65%増益-華やかな五輪の裏でインドの下請けになる道をひたすら走る中国?(面子を重んじる中国人が読むと必ず激怒する人気記事です(笑)!中国の現在の経済の停滞要因に迫っています!!)

■「IOCは中国のネット・アクセス規制を断じて容認しない」とロゲ会長が断言-北京は欧米の陰謀にはまったか?
■IOC、中国は環境問題の約束を果たせると確信-人民の煮えたぎるマグマはどうするのか?
■北京オリンピック開催に向け警戒感高まる-終了後の方が、テロ、暴動が頻発する?
■中国:五輪の祭典が北京市民の生活を圧迫-オリンピック開催後を予感させる連続爆破事件?

■「ちゃいな.COM」中国総局長 伊藤正 「80後」は中国を変えるかは正しくない-正確には「80後」の一部、それも少数派が中国を変える。

■中国で暴動は日常茶飯事-この事態改善されない限り中国はまともにならない!

■貴州省の暴動に見る壊れた中国の実態

■燃えろアタック-排球女将

■中国海軍の日本に対する傍若無人な態度は何を意味するのか?-中国の軍隊は脆弱?

■<北京五輪>空からのテロに備え、地対空ミサイルを配備か-異常行動の中国?

■厳戒のラサで聖火リレー-チベット暴動から3ヶ月-中国の五重苦をどう解消するつもりなのか?

■「おから工事」批判で国家政権転覆罪-確定した中国分裂の筋書き?
■「80後」は車を買うべきか?-世代をひとくくりにする愚かさ?
■中国核爆発か-高まる情報開示の圧力
■自衛隊機の中国派遣見送り、アジア安全保障会議でも話題に―結果的には日本外交の勝利か?


■自衛隊機派遣を見送り、世論配慮の中国側が受け入れ難色-幻の日本軍支援は歴史上の転換点?
■四川大地震:自衛隊機、中国派遣へ・・・政府要請受け入れ―歴史上の転換点になるか?
■自主的に救援活動をする中国の若者たち-80後世代と一つにくくるのは間違い?!

■不可解な中国の報道二題-やらせ義捐金とノーベル平和賞
■中国携帯電話事情-80後世代分類のツールともなるか?

■中国四川省大地震―核施設、ダムは大丈夫か?
■現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋
■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの
■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?
■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水
■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?
■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?
■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?
■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄
■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?
■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択
■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権
■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々
■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?
■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩
■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実
■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない
■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史
■中国"義歯"から鉛「安全に問題」
■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名
■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?
■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情

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