2016年6月12日日曜日

次の消費増税にむけて財務省が打った「布石」〜「給付型奨学金」をめぐる唐突な態度変更の理由―【私の論評】負けたふりの安倍総理!年内衆院解散でデフレ根絶か?

次の消費増税にむけて財務省が打った「布石」〜「給付型奨学金」をめぐる唐突な態度変更の理由

日本は奨学金制度も、財政・金融政策も遅れている、この3つを解消しないと根本的解決にはならない
図、写真はブログ管理人挿入。以下同じ。

 財務官僚は国民を見ていない!?

先送りから一転、「給付型奨学金」を導入する方針が決まった。

これまで日本の大学には、返済が義務づけられている「貸与型奨学金」しかなかったが、政府は返済が不要である「給付型奨学金」を、早ければ2017年度にも創設するという。

奨学金制度を所管する文部科学省は、4月中旬、給付型奨学金について財務省との協議に着手。ただ、給付型には一定の恒久財源が必要になることから、財務省は難色を示していた。それを受け、政府も導入に関する結論を先送りする方針を固めていた。

それがなぜ、一転導入へと変わったのか。政府関係者は「財務省の態度が軟化したため」とするが、そうだとすれば、財務省が態度を変えたのはなぜか。

これには、消費増税の見送りが深く関係していると、私は読んでいる。

伊勢志摩サミットが終わった5月28日夜、安倍晋三首相は消費増税見送りの方針を示した。するとすぐさま、財務省は麻生太郎財務相を通じて、見送り反対の意向を発表した。

財務省が消費増税見送りに反対するやり方はいつも同じで、「消費増税なしでは社会保障費がまかなえず、予算が組めない」という脅しである。

財務省がこの脅しをできるのは、そもそも消費税が、「社会保障目的税」とされているからだ。そのため、社会保障関係者は、この理屈を持ちだされると、消費増税に賛成せざるを得なかった。

消費増税の先送りが決まったことで、財務省による来年度予算での社会保障関係費の締め付けは、間違いなく厳しくなるだろう。

 増税こそ財務省の悲願

ただし、'15年10月に予定されていた消費増税を先送りされた時も、やはり社会保障関係費の締め付けはあった。だが、何とか社会保障関係費の激減は免れた。景気が回復していたため、税収も増加し、予算編成はそれほど苦しくなかったからだ。

つまり、消費増税が先送りされても、社会保障関係費は何とか賄えるという結果が、すでに出ているのだ。

言わずもがな、消費増税を悲願とする財務省にとって、この事実は非常に都合が悪い。そこで財務省は、返済不要の給付型奨学金の創設を飲み、文科省に気前のいいところを見せたわけだ。恩を売ることで、文科省を消費増税の応援団にしようとしたのである。

「給付型奨学金を容認してもいい」と財務省が文科省に伝えたのは、安倍首相が意向を固めた5月28日の前である。ここにも、財務省の計算が見て取れる。

消費増税の延期は、これから参院選の公約となって、参院選後に正式に政府方針となる。そのときには、2017年度の予算編成方針も決まる。

だが、消費増税の先送りが決まったため、予算は抑制されることになり、給付型奨学金もご破算になる可能性は高い。そこで財務省は、給付型奨学金を導入したいならば、やはり消費増税が必要であるという、文科省関係者の意見を引き出すつもりだろう。

来年4月の消費増税は難しくなった。だが財務省としては、「その次」の際は、何としても先送りをさせたくない。そこで今回、奨学金問題でその布石を打ったわけだ。財務省の長期戦略は侮れない。

【私の論評】負けたふりの安倍総理!年内衆院解散でデフレ根絶か?

まずは、上に記事で日本には「給付型奨学金」がないというのは間違いです。ブログ冒頭に掲載したグラフでは、ゼロになっていますが、これは違います。「給付型奨学金」は存在します。ただし、一部の本当に優秀な学生にしか給付されません。実際私が学生だったときに、私の先輩の大学院生が「給付型奨学金」を受けていました。

確か、月十数万程度だったと思います。ただし、その方はかなり優秀でした。大学院卒業と同時に、アメリカに数年公費留学しました。今はどうされているかわかりませんが、そのまま研究室に残っていたとすれば、いずれ母校か、いずれかの大学の教授になられたのではないかと思います。
返さなくていい給付型奨学金をくれる団体
先のは、大学院生の例ですが、経済的に恵まれていなくて、かなり優秀な学生(大学・高校)についても昔から、そうして今も「給付型奨学金」があります。ただし、並の学生は、対象になりません。優秀でないともらえません。だから、上のグラフは、並の学生がもらえる「給付型奨学金」のことを指しているのだと思います。

優秀な人で経済的に恵まれていない人は、このようなところに問い合わせてみるべきです。というより、本当に優秀であれば、学校の先生などが黙っていても教えてくれるのではないかと思います。


さて、ブログ冒頭の記事にもあった、日本の「貸与型奨学金」の惨状について、NHKクローズアップ現代で、報道をしていました。その内容を元にして以下に簡単にまとめます。
『奨学金破産』の衝撃 若者が...家族が...
奨学金が返済できずに自己破産するケースが、累計で1万件になりました。大学は出たが、非正規の仕事で収入が少なく、滞納、督促、裁判所命令と追い込まれて、累が家族にまで及ぶケースもあるといいます。昔はこんな話はあまり聞いたことがありません。どこかがおかしいです。

仙台で自己破産した29歳の保育士の女性は、母子家庭で、高校、大学と奨学金を受け残債は約600万円ありました。非正規のため月収は14万円前後で、生活費を差し引くと月5万円の返済ができませんでした。「自力でやっていけると思っていたのですが、返せず、延滞金がついて、このままでは一生払い続けないといけないと思ったのです」。

自己破産は苦渋の決断でした。「迷惑をかけたくない」と婚約も解消しました。悲惨です。彼女が何か悪いことをしたのかと言いたくなります。

自己破産を申請中の愛知県の20代の女性は正社員で4年働いたのですが、昨年失業して返済ができなくなりました。借りた奨学金はまだ407万円あります。自己破産で女性の支払いは免除されるのですが、請求は身元保証人の60代の父親に行きます。毎月2万2000円を払って15年かかります。「共倒れになりそうで怖い」。 
子どもは自己破産。保証人の老親に数百万円の督促
奨学金は経済に余裕のない家庭の子が仕送りやアルバイトで足らない分を補うものですが、大学の授業料は私立でいま86万円、国立で53万円です。親の仕送り額は2015年の平均は8万6700円と最低を更新しました。学生の2人に1人が奨学金を借りています。それに伴って返済の滞納は14年は32万人で増えつつあります。

日本学生支援機構はこの数年、回収を強化しています。返済予定日を過ぎると5%の延滞金、3か月続くと個人信用情報機関に登録、さらに債権回収専門会社の督促が始まり、自宅訪問や会社に電話がきます。9か月後には一括支払いの督促が裁判所からきます。まるでサラ金です。2014年、裁判所からの督促は8400件、10年で40倍になりました。

大阪の62歳の男性は4人の子供を育て上げ、いまは離婚して独り暮らし。老後のため中古マンションをローンで購入した直後、次男の奨学金の一括返済の督促状が届きました。次男は大学院に進学して、850万円の奨学金を受けていました。非正規のカウンセラーをしているのですが収入が少なく返済できませんでした。父も住宅ローンがあります。民事再生で200万円に減額して分割払いとしましたが、残り600万円の請求が、もう1人の保証人である別れた妻にいきました。元妻は自己破産するしかありませんでた。

東京大の小林雅之教授は「終身雇用制なら安定して返済できたんでしょうが、非正規だとこれができない。社会全体の問題です」といいます。 
授業料高く給付型支援少ない日本!「教育の公的負担」先進国で最低
日本は先進国の中でも教育の公的支援が非常に少ない国です。北欧やドイツは私的負担はありません。アメリカ、イギリス、カナダは授業料は高いですが、給付型の補助が多いです。フランス、イタリアなどは授業料が安く、給付型の補助があります。授業料が高く、給付型が少ないのは日本くらいのものです。

教育評論家の尾木直樹さんは「これが僕が育った国なのかとショックです」といいます。日本学生支援機構の仕組みを「金融機関の教育ローンと同じ。スカラーシップの精神がまったくない。サラ金より酷い」といいます。

支援機構は日本育英会から奨学金事業を引き継いだのですが、焦げ付きの解消が命題でした。「自己責任」を前面に出して回収強化となりました。「次の世代のための奨学金の原資を作らないといけない」といいます。その結果がサラ金化です。

政府は2日(2016年6月)に一億総活躍プランを決定して、給付型奨学金の創設に向けて議論を進めるとしました。これに尾木さんは「非常識な国家なんです」と手厳しいです。国際人権A規約では高等教育は無償となっていますが、日本はこの条項を外して1996年に批准しました。2012年にようやくこれを受け入れたのですが、「この4年間何もしてなかった」(尾木さん)

親に負担をかけまいと借りた奨学金が老後の親を苦しめる。そうして取り立てた資金が次の奨学金になり、新たな破産予備軍を作り出すという構図です。「未来への投資」どころか、「未来を潰す」奨学金とは何なのか。根本から考え直す必要があります。

このような酷い状況は、従来はあまりありませんでした。少なくとも20年くらいまえまでは・・・・。なぜそういうことになったのかといえば、日本はいわゆるデフレ気味になってから、20年近くにもなるからです。最近では、もうデフレとは言えない状況になっていますが、それても過去のデフレの悪影響が色濃く残っています。まずは、このことを忘れるべきではありません。

過去の日本は深刻なデフレ・スパイラルのどん底に沈んでいた

そうして、デフレの元凶はなんであったかといえば、それは官僚です。特に、財務省の官僚は、景気が悪かろうが、なんであろうが、お構いなしに、とにかく増税を推進してきました。これが、日本をデフレ・スパイラルのどん底に陥れました。

その他にもありとあらゆる手段を講じて国民に対しては、緊縮財政を強いる一方、自分たちは、金を貯めこみ、その貯めこんだ金を特別予算につみあげたり、官僚の天下り先である外郭団体などに大量に貸し付けました。

何のためにそうしたかといえば、財務省などの官僚の引退後の天下り生活をハッピーライフにするためです。そうして、その体質は今も続いています。そのため、GDPの60%を占める個人消費が低迷して、GDPは下がる一方でした。しかし、財務省は国民生活など二の次にして、財務省の省益を一番に優先して、今でも増税体質を変えていません。

一方、デフレの元凶は、少し前までの日銀の官僚もそうでした。不況であろうがなんであろうが、とにかく何かといえば、金融引き締めをくりかえし、日本がデフレになりかけても、金融緩和をすることなく、さらに引き締めをし、日本が完璧にデフレスパイラルのどん底に入った後でも、それを繰り返しました。そのため、雇用環境がかなり悪化して、非正規雇用が増え、失業率も増えました。

しかし、日銀は2013年から金融緩和に転じ、それ以降緩和を継続して今日に至っています。そのために、雇用環境が改善して、正規雇用の人数も増えましたし、大卒・高卒の就職も最高水準にまで達し、今日に至っています。

雇用状況が劇的に改善された日本、ただし過去のデフレの悪影響は色濃く残っている
クローズアップ現代の酷い事例の数々は、過去の日銀の政策があまりにも悪い結果によるものです。今後も、現状のまま推移すれば、このような酷い事例はなくなるはずです。ただし、これにはいくつかの条件をクリアしての話です。

その条件とは、まずは日銀が日本経済がデフレから完璧に脱却し、経済が順調に推移するようになりまで、金融緩和を継続することです。それと、財務省が、日本経済が順調に推移するようになるまで、増税などは止めて、できれば積極財政をすることです。

この条件がクリアできなければ、またまた、クローズアップ現代のような酷い事例が発生することになります。そうして、日本経済がデフレから完璧脱却できなければ、たとえ給付型の奨学金が増えたにしても、根本的には問題は解消されないことになります。

折角デフレが解消しかけている今の日本で、増税を実施すれば、デフレからなかなか脱却できないばかりか、せっかく金融緩和で良くなった雇用環境もいずれ悪化することになります。

現状増税をするとせっかく金融緩和で良くなった雇用も悪化するおそれがある!
そうすると、どういうことになるかといえば、せっかく給付型奨学金をもらい、大学や大学院を卒業したとしても、就職先がないということになります。そうなると、奨学金の返済がない分は、楽なのですが、非正規雇用などに甘じたり、場合によっては、それさえも得られないような人たちが大勢でてくることになります。そうなると、とんでもないことになります。

大学や大学院を卒業しても、正規雇用がないということになれば、当然のことながら給料が少ないわけですから、多くの人々が消費を控えることになります。そうなるとどうなるかといえば、税収が減ります。そうなると、どうなるかといえば、財務省はまたまた増税キャンペーンを行うことになります。

そうして、増税が実施されると、個人消費が減り、税収が減ります、そうなるとまた財務省は増税キャンペーンを行うことになります。結局どういうことになるかといえば、いつまでも増税が繰り返されることになり、増税の無限ループになってしまいます。

平成14年度からの8%増税が大失敗だったことは明白

しかし、そうすることによって、財務省の省益はますます堅固なものになり、官僚のハッピーライフはより確かなものになります。そうして、これにさらに日銀が金融引き締めに走れば、日本は再びデフレ・スパイラルのどん底に沈むことになります。

そうなると、大学や大学院を給付型奨学金で金銭的には楽に卒業できたとしても、雇用環境がかなり悪化して、そもそも正規雇用の道がかなり閉ざされ、ほんの一部の人しか正社員になれなくなります。

運良く正社員になったとしても、いつリストラされるのかわからいな状況に陥ります。そうなれば、また増税しなければならなくなり、当然のことながら、いつまでもこのようなことは繰り返すことはできないので、いずれ財務省の増税路線も頓挫して、特別会計の資金や、外郭団体などに貸しつけた資金を使わざるを得なくなります。

しかし、それでもデフレは継続し、政府の使えるお金にも限度があるので、役所の人間をリストラするか、給料を少なくせざるを得なくなります。そうなると、官僚の定年後のハッピーライフどころではなくなります。増税路線を堅持するにしても、いずれ限界がくるのは明らかです。

こんな馬鹿げたことを防ぐには、結局のところ、日本経済がデフレから完璧に脱却して、経済が加熱気味で完璧にインフレ傾向になるまで、日銀は金融緩和を継続し、財務省は減税、給付金、公共工事などの積極財政をすることです。

それによって、日本はデフレから完璧に脱却し、成長軌道にのります、そうすると経済成長ができるようになり、そうなると無論のこと税収も増えます。税収が増えると、それだけで、給付型奨学金の財源も増えるわけです。

一部の経済学者など、日本は成長しないという人もいますが、これ暴論です。過去の日本がデフレでないにもかかわらず、経済成長しなかったのなら、この話も理解できまが、デフレのまっただ中では、成長しないのが当たり前です。

いずれの道を選ぶべきかといえば、当然のことながら、本当は財務省にとっても、景気が上向くまで、積極財政を実行することです。

しかし、現在の財務省はそんなことはおかまいなしに、とにかく何が何でも増税するという姿勢は崩していません。


そのことは、安倍総理の「増税見送り」という言葉にも現れています、結局のところ未だ財務省は全面敗北はしていないので、「増税凍結」とはならなかったのです。ただし、これは実質的には、「凍結」と同じです。安倍総理は、「負けたふり」をしているのです。

なぜなら、増税予定だった17年4月から2年半後の2019年10月といえば、安倍首相の自民党総裁任期である18年9月を過ぎてしまいます。実務的にも19年10月から増税しようとすれば、ぎりぎり19年3月ごろまでに決断すれば良いことになります。

いずれにせよ安倍首相の任期が終わった時点なので、10%への増税をするかどうか本当に決めるのは、安倍総裁の任期が延長され首相に留任しないかぎり、次の首相という話になります。次の首相が誰になるか分からないのに加えて、次期首相が安倍首相の約束を守るかどうかもわかりません。

いまの衆院議員の任期は18年12月です。それまでに衆院選があればもちろんですが、任期満了で総選挙になったとしても、選挙結果次第で、最終決断する19年3月時点では自民党政権が続いているかどうかさえも分かりません。

つまり2年半後の政権が決まっていないのだから、増税がどうなるかは当然、分かりません。結局、はっきりしているのは「いまの安倍政権が続いている間は増税しません」という話だけなのです。

延期というなら、次は実施できる条件がそろっていなくてはならないはずですが、そんな条件はいま安倍政権の手元にはありません。だから、これは再延期というより実質的には「安倍政権による凍結」というべきです。
自民党「屋台村」、被災地名物に舌鼓 谷垣コック、牛タンカレー振る舞う。牛たんカレーをよそって配る
谷垣禎一幹事長(右)と稲田朋美政調会長(左から2人目)3月12日日午後、東京・永田町の自民党本部
増税推進派の麻生太郎財務相や谷垣禎一自民党幹事長、稲田朋美政調会長らが「増税を延期するなら解散を」と求めていました。

財務省は負けたふりがうまいです。そもそも、10%への消費増税は選挙を経ずに決めたのに、増税延期には国民の信を問わなければいけないということははまさに、「民主主義に対する官僚支配の構図」以外の何ものでもありません。「衆参同日選挙で消費増税の延期」という発想自体が財務省の「わな」です。

しかし、今回安倍総理は「衆院解散総選挙」で国民の信を問うということをせずに、増税延期を決めました。しかも、言葉では「増税延期」という言葉をつかいましたが、実質的には上記で説明したように「増税凍結」です。だから、私は先程、安倍総理は「負けたふり」をしていると掲載したのです。

このように実質的に財務省に対して、勝利をしている安倍総理ですが、以前のこのブロクにも掲載したように、過去の例では、サミット議長国の年は、ほとんどが衆院を解散して、総選挙を実施しています。

今年も、その例外ではないかもしれません。そうして、増税凍結を決めた参院選の後に、年内に衆院の解散総選挙を実施するかもしれません。

そのときの、争点は、以前のブログにも掲載したように、機動的財政・金融政策の実施の宣言ということになるかもしれません。

機動的財政政策とは、景気が悪すぎれば、減税などの積極財政を行い、景気が良すぎれば、増税などの積極財政を行うように財政政策を変えること、そうして財政政策の目標は無論のこと政府が定めます。財務省は、政府の目標に従い専門的な立場から、その目標を達成するための手段を自由に選ぶことができるようにします。

機動的金融政策とは、景気が悪すぎれば、金融緩和を行い、景気が良すぎれば、金融引き締め策ができるように金融政策を変えること、そうして金融政策の目標は政府が定めます。日銀は、専門家的な立場から、その目標を達成するための手段を自由に選ぶことができるようにします。

これが本当の意味で、中央銀行の独立性です。今の日銀法では、日銀の政策決定委員会で日本国の金融政策を決定するという、世界的にみても不可思議な決定方法になっています。これを是正するには、当然のことながら、日銀法の改正が必要です。

要するに、わざわざ選挙で国民の信を問うなどといことをしなくても、政府が財政・金融政策の目標を決定できるようにするという、世界の中では当たり前のことをできるようにするということです。

私は、これを機動的財政・金融政策であると解釈しています。そうして、安倍総理が伊勢志摩サミットで共同宣言に盛り込んだ、「機動的財政政策」とは当然のことながら、私の解釈と同じものであると思います。

もう国民も、デフレには飽々しており、一刻もはやくデフレから脱却したいと考えていると思います。無論安倍総理もそのように考えています。そうして、デフレから完全脱却できる方法が、政府による機動的な財政・金融政策です。安倍総理としては、これを国民にわかりやすく説明して、本当に機動的な財政・金融政策ができるようにして、デフレからの早期脱却を実現していただきたいものです。

それが実現できないうちに、給付型寄付金だけを導入しても、問題の根本的な解決にはなりません。「給付型寄付金+デフレから脱却、ならびにデフレに陥らない経済対策、デフレに陥っても素早く脱却できる機動的な財政、金融政策」を目指し、NHKクローズアップ現代のような事例などこれから起こらないように根絶していただきたいです。

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2016年6月11日土曜日

【編集日誌】中国軍艦侵入にもだんまり…翁長沖縄県知事、発言なしですか―【私の論評】何か語れば保守派に利用されることを極度に恐れている翁長知事(゚д゚)!

【編集日誌】中国軍艦侵入にもだんまり…翁長沖縄県知事、発言なしですか

尖閣諸島 画像はブログ管理人挿入 以下同じ
中国海軍の艦艇が尖閣諸島周辺の接続水域に初めて侵入したことに、沖縄県石垣市の中山義隆市長は「非常に強い危機感を持っている」と述べました。尖閣を行政区域に抱える市政トップとして当然の反応でしょう。対照的に何もコメントしなかったのが翁長雄志知事でした。

翁長氏は昨年5月の外国特派員協会での会見で「私も尖閣は日本固有の領土だと思っている」と明言しました。ならば即座にメッセージを発してもよかったはずです。共産党の志位和夫委員長も「軍艦侵入は軍事的緊張を高めるだけ」と批判したのですから。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を訴える翁長氏として、中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念したのでしょうか。それとも翁長氏には危機感がないのでしょうか。

【私の論評】何か語れば保守派に利用されることを極度に恐れている翁長知事(゚д゚)!

このニュースは、産経新聞などは号外で報道したほどの大ニュースです。過去一週間では、他のニュースなどはこれに比較すると霞んでしまうようなものです。

中国海軍の艦艇が、とうとう尖閣の接続水域に入ったことについて、沖縄地元2紙は以下のように伝えています。

まずは、「沖縄タイムス」は以下ように伝えています。
社説[尖閣沖に中国軍艦]緊張高める行動は慎め


中国海軍の艦船が9日未明、尖閣諸島・久場島周辺の接続水域に入り、2時間以上にわたり航行したことが確認された。 
» 国は「毅然とした対応を」 中国軍艦の尖閣水域侵入で石垣市長 

中国は尖閣の領有権を主張しており、「他国にとやかく言う権利はない」との姿勢だが、予期せぬ衝突を招きかねない。腕力を誇示して相手国をけん制するようなやり方は、地域の緊張を高めるだけであり、厳に慎むべきだ。 
 これまで尖閣の接続水域では、海上保安庁に相当する中国海警局の船が相次いで航行してきたが、軍艦の進入は初めてである。 
 中国海軍の行動の背景に何があるのか。 
 中国政府が最近の安倍政権の「対中けん制」や「対中包囲網形成」の動きに、いら立ちを募らせているのは確かである。 
 先月、日本で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言では、「東シナ海・南シナ海の状況を懸念する」と中国への強い姿勢が打ち出された。 
 今月初めシンガポールであったアジア安全保障会議では、中谷元・防衛相、カーター米国防長官が、そろって南シナ海の軍事拠点化を進める中国を非難した。 
 海自と米国、インド両軍の共同訓練も10日、沖縄周辺海域などを舞台に始まった。 
 南シナ海問題にも積極的に関与し始めた日本への不満が、東シナ海での挑発行動と強硬姿勢につながったといえる。尖閣の領有権をあらためてアピールしようとの思惑も見て取れる。 
接続水域に入ったとされる中国のジャンカイI級フリゲート艦 
■    ■ 
 今回、ほぼ同時刻にロシア軍艦も現場海域を航行している。接続水域を通過すること自体は国際法上問題がなく、日本政府も尖閣の領有権を主張する中国とは区別しているが、日米に対抗した中露連携の動きとの見方もある。 
 仮に中国の軍艦が接続水域から領海に入ったらどうなっていたか。 
 防衛省制服組トップの河野克俊統合幕僚長は「相応の対応」を示しており、自衛隊法に基づく海上警備行動が発令され、海自艦と中国艦がにらみ合う一触即発の状態が生まれたかもしれない。 
 尖閣や南シナ海を巡る不信と対立で、日中双方は安全保障のジレンマに陥っている。抑止力を高めようと軍備強化を図れば、相手も対抗措置を強化し、偶発的衝突の可能性が増し、ジレンマは深まる。 
 平和的解決に向けて日本も冷静な対応が求められている。高まる緊張緩和へは、日中双方の努力が必要だ。 
■    ■ 
 2007年、安倍晋三首相と温家宝首相の会談で一致したのが、東シナ海での偶発的な衝突を回避する防衛当局間の「海上連絡メカニズム」の構築だった。14年の日中首脳会談でも早期運用開始に向けての方針が確認されたのに、設置が進んでいない。 
 ちょっとした不注意や偶発的出来事が予期せぬ衝突につながる。危機管理の仕組みづくりが急務だ。 
 日中間に横たわる問題は複雑で根深く、一気に改善できるものではない。それでも粘り強く話し合いを重ね、負の連鎖を断たねばならない。
手短にまとめると、「中国が安倍政権にいら立ちを募らせている。平和解決に冷静な対応が求められる」ということです。まるで寝言のようです。平和解決に冷静な対応をすべきは、中国です。
<社説>中国軍艦尖閣航行 話し合いでの解決提案を
2016年6月11日 06:01
 中国海軍のフリゲート艦1隻が尖閣諸島の久場島周辺の接続水域を航行した。日中両国の緊張をエスカレートさせかねない行為であり、断じて容認できない。一方で、日本側も今回の事態に乗じて今後、中国の脅威を喧伝(けんでん)することは厳に慎むべきである。日中両政府は話し合いでの尖閣問題解決を急ぐべきだ。 
 日本の領海幅は12カイリ(約22キロ)で、その外側約22キロの範囲に接続水域が設けられ、通関や出入国管理など自国の法律を適用できる。接続水域は原則として自由な航行が認められており、中国海軍艦が航行しても国際法上問題はない。 
 だが、中国は尖閣の領有権を主張している。2012年に日本政府が尖閣を国有化して以降、中国は尖閣周辺で「中国領海のパトロール」を名目にした海警局の公船による日本の領海侵犯を常態化させている。 
 ただでさえ緊張状態にある中での中国海軍艦の接続水域航行である。挑発的な行為と受け取られても仕方なかろう。 
 ロシア海軍駆逐艦も同時間帯に接続水域を航行しており、中国海軍艦はそれに対応して接続水域に入った可能性が指摘されている。そうだとしても、その背景には沖縄県の一部である尖閣を自国の領土とする一方的な主張があり、看過することはできない。 
接続水域に入ったとされるロシアのウダロイI級ミサイル駆逐艦 
 中国国防省は「中国の軍艦がわが国の管轄海域を航行するのは理にかなっており、合法的だ。他国にとやかく言う権利はない」としている。あまりに乱暴過ぎる。 
 中国がこのようなことを繰り返せば、日本国内の中国脅威論に火を付けかねない。中国がそのような愚を犯すことがあってはならない。憲法改正が現実のものとなれば、日中の緊張はさらに高まる。日中双方にとってマイナスしかもたらさない。 
 それだけではない。日米両政府が在沖米軍基地強化の口実にする恐れがある。そうなれば、中国までもが「新基地ノー」の沖縄の民意を結果的に踏みにじることになる。安倍政権の新基地建設推進を後押しすることは、中国も本望ではないはずだ。

中国は国連安全保障理事会の常任理事国である。世界の平和と安全の維持に大きな責任がある。東アジアの緊張を高める行為は直ちにやめるべきだ。それが常任理事国の在り方である。
これも、簡単にまとめてしまうと、「接続水域は原則として、中国軍艦が航行しても国際法上問題はない。 日米両政府が在沖米軍基地強化の口実にする恐れがある」というもので、ふざけるなと言いたい内容です。

しかし、両紙とも、この大ニュースを伝えないわけにはいかないと考えたと見えて、内容に偏りがあるものの報道はしています。2紙とも、社説で日付は本日付けです。しかし、翁長知事は今日にいたるも何らコメントをしていません。これには、やはり、ブログ冒頭の記事にもあるように「中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念」しているからでしょう。

翁長知事
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を訴える翁長知事としては、尖閣問題を強調すると中国の脅威や米軍基地の重要性を認めざるを得なくなり、移設反対の論拠が弱まりかねないです。このため、知事や反基地派は尖閣問題を無視するか、「尖閣有事でも、米軍が出動することはない」「普天間飛行場の米海兵隊は抑止力にならない」などと反論していました。

しかし、尖閣に日米安保が適用されることはオバマ米大統領が明言しています。米軍が抑止力であることを否定する主張は日米安保の否定にもつながり、保守派の共感を得にくいです。現在、翁長知事を含めた辺野古移設反対派にとって「尖閣」は極力触れたくないキーワードになっています。

さらに、翁長知事は、自らの発言が安倍総理に利用されることを懸念している可能性もあります。

青山繁晴さんが翁長知事が、安倍総理の術中にはまったと暴露しています。伊勢志摩サミットの直前に安倍総理に会った翁長知事がオバマ大統領に面談したことなどを利用して、オバマ大統領との交渉を有利にもっていったことを暴露しています。

これについては、以下の動画をご覧になってください。


翁長知事は、こういうこともあったので、中国海軍の艦艇が接続水域に入ったことに関しては何か発言すれば、また保守派等にその発言を利用されてしまうかもしれないと懸念している可能性が大きいです。

翁長知事など、安倍政権反対派の口数が最近減ったように思います。しかし、これは無理もないです。安保法制にも辺野古移転にも反対、特に米軍人には、熊本地震の救援に向かうオスプレイまで思い切り反対運動でヘイトスピーチを浴びせていましたから、今さら自衛隊、米軍頼むなんて言えませんし、そんなことを言えば、米軍基地の存在

今後も口数が少なければ良いと思いますが、また何か語れば、それを思いきり利用して、保守派に有利にもっていける可能性が増えました。

沖縄の基地反対派には痛手です。中国は、さらに本性をむき出しすると良いと思います。そうすれば、するほど沖縄の基地反対派は痛手を蒙ります。

中国海軍を脅威に感じる人もいますが、このブログにも掲載してきたように、中国は海軍力では日本にはるかに及びません。それについては、以下の記事をご覧になると良くお分かりになると思います。
自滅への一歩を踏み出した中国 尖閣で軍事衝突なら「1週間で全滅」の指摘も

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、「1週間で全滅」としていますが、私自身は趨勢が決まるのは半日だと思います。もし米軍と戦えば、2〜3時間で趨勢が決まると思います。その根拠は、ここで説明すると長くなってしまうので、このブログの一番最後の【関連記事】にそれに関する記事をあげておきます。

趨勢が決まると、その時点で勝敗がはっきりするということです。どうみても、日本側が勝ち、中国側は惨敗ということがはっきりするということです。この時点で、中国軍は敗走して中国の港に逃げ帰るか、敗北を認めて現地で降伏するしか道がなくなります。

中国軍の艦艇が、領海を侵犯すれば、日本側も否応なしにこれを撃退するしかなくなります。実際、以前北朝鮮の工作船を追い詰め、銃撃し、工作船は自爆しました。自爆せずに徹底抗戦すれば、撃沈していたことでしょう。

今回の中国軍の艦艇の侵入で、翁長知事をはじめ基地反対派が、ものを語りにくい状況なったので、これからはかなり世論も変わると思います。本当に中国は良い時に、接続水域に入ってくれました。

今回のこの出来事より以降、沖縄の基地反対運動も下火になっていくと思います。将来ふりかえると、中国軍の艦艇が接続水域に入った日がターニング・ポイントになっているのではないかと思います。

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2016年6月10日金曜日

【書評】寄らば大樹の陰。朝鮮内部抗争に振り回された日本の歴史―【私の論評】過去の歴史に学び朝鮮半島とのつきあいは、拉致問題などの例外は除きほどほどにすべき(゚д゚)!


戦争が起こるたびに、巻き込まれた多くの人たちが傷つき涙することになります。無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、我が国からも多くの犠牲者を出した日清戦争、日露戦争の発端が「韓民族の内部抗争」だったという説を唱える石平(せき へい)さんの新著を紹介。「この本を読まずして、北朝鮮や韓国に関する歴史も外交も議論できない事になる」と大絶賛しています。

 東アジアのトラブルメーカー
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

石平氏の最新著『韓民族こそ歴史の加害者である』が面白い。タイトルこそセンセーショナルだが、冷静な筆致で史実を丹念に辿り、その上で、このタイトル通りの結論を引き出している。

「目から鱗(うろこ)」という使い古された表現があるが、この本はまさに、今まで我々の目を覆っていた「韓民族は日本帝国主義の被害者だった」という鱗を取り除き、韓民族の真の姿をはっきりと見せつけてくれる。今後、この本を読まずして、北朝鮮や韓国に関する歴史も外交も議論できない事になるだろう。

前置きが長くなったが、本書は、韓民族が内部抗争に勝つために周辺諸国を戦争に引きずり込んだ、というパターンが、7世紀初頭の高句麗・百済・新羅の三国統一戦争から、20世紀の朝鮮戦争まで繰り返されたという史実を克明に描いている。

その中で、日本が巻き込まれたのが、西暦661年の白村江の戦い、1274(文永11)年、1281(弘安4)年の元寇、そして近代の日清戦争、日露戦争である。特に元寇では、高麗国王が自らの生き残りのために、日本征伐をフビライに提案する経緯が生々しく描かれていて、「そうだったのか」と思わせる。

本稿では、このうちの近代における日清、日露、朝鮮戦争の部分のさわりを紹介して、同書への誘(いざな)いとしたい。

 政府側とクーデター側がそれぞれが外国軍を引き込んだ

日清戦争の発端は、朝鮮王朝の第26代国王・高宗の実父・大院君と、王妃・閔妃(びんひ)一派の抗争だった。閔妃一派は、1873年に大院君を失脚させ、日本と日朝修好条約を結んで、近代化路線をとった。その一環として、日本から軍事教官を招いて、軍の近代化を図った。

閔妃
これに不満を抱いた旧式軍の軍人たちが、1882年、閔妃一族の高官の屋敷を襲った後、大院君の許に逃げ込んで、助けを求めた。大院君は、これを権力奪回のチャンスと見て、閔妃一族の殺害、日本公使館と日本人教官の襲撃を命じた。彼等はその指示通り、日本人13人を虐殺した。

閔妃は宮殿から逃げ出したが、高宗に密書を送って、起死回生の秘策を授ける。それは密使を清国に送って、軍勢を派遣して貰うよう依頼することだった。それに応えて、清は3,000人を朝鮮半島に送り込み、反乱を起こした韓国軍兵士たちを鎮圧した。

これを機に、清国は3,000人の軍勢をそのまま半島に駐留させ、朝鮮を完全な属国とした。大院君は捕らえられ、清国に拉致された。

この状況に反発したのが、金玉均(きんぎょくきん)率いる若手官僚グループであった。金玉均は日本とのパイプを持ち、漢城(現在のソウル)に駐留していた日本軍の力を借りて、閔氏一族を一掃し、高宗を担いで政権を掌握しようとした。当時、多数の邦人を殺された日本は、邦人保護のために、朝鮮政府の許可を得て、数百人規模の兵力を漢城に置いていたのである。

金玉均が、日本の明治維新をお手本として朝鮮の近代化を目指し、日・中・朝鮮の3国の同盟でアジアの衰運を挽回すべきという「三和主義」は、福沢諭吉など日本の朝野の支持を集めていた。

金玉均ら50名は日本軍150名とともに、1884年にクーデターを起こし、一時は新政府樹立を宣言したが、清国軍1,500人と朝鮮政府軍の反撃で、衆寡敵せず、わずか3日で鎮圧された。金玉均は日本公使・竹添進一郎とともに海路日本に脱出したが、約30人の日本人が殺害され、さらに多くの朝鮮人が処刑された。

 日本を清国と戦わせて独立を宣言

1889年、「東学党の乱」と呼ばれる農民一揆が起こり、1894年には数万人規模となった農民軍が一地方を占拠した。朝鮮政府は、東学党鎮圧のための出兵を清国政府に要請した。清国は2隻の軍艦を仁川に派遣し、2,800人の兵を上陸させた。

これに対抗して、日本は公使館と居留邦人保護という名目で約6,000人を派兵した。10年前の乱の際に、日本は清国と「天津条約」を結び、どちらかが朝鮮に派兵した際には、通告すると約束していたのである。

石平氏は、こう語る。

近代朝鮮が自立した独立国家として、南下する大陸国家との緩衝地帯になってくれず、清国の大軍を半島に招き入れて植民地支配を受け入れたことが、日本の安全保障に重大な脅威を与えていた以上、日本はもはや戦わざるを得なかった。
(『韓民族こそ歴史の加害者である』 p156)

7月23日、大鳥公使は、清国から送還されて謹慎中だった大院君を擁立し、その命を受ける形で、日本軍は王宮を占拠し、親清派の閔氏勢力を一掃した。ここに日清戦争が始まったのである。

機を見るに敏な高宗は、1895年1月、まだ日本軍が清国と戦っている最中にも関わらず、世子や王族・各大臣を引き連れて、清国との宗族関係を破棄したとする独立誓告文を宗廟に奉告し、全国に宣布した。戦い続けている日本と清国こそ、いい面の皮である。

日清戦争に勝利した日本は、清国と日清講和条約(下関条約)を結ぶが、その第一条は「清国は朝鮮国が完全無欠なる独立自主の国であることを確認し、独立自主を損害するような朝鮮国から清国に対する貢・献上・典礼等は永遠に廃止する」となっている。

まさに朝鮮は、日本の力によって、「自主独立」の地位を得たのである。

 今度はロシアに急接近

日本は下関条約で、台湾と遼東半島を得たが、これに待ったをかけたのが、ロシアだった。ロシアはドイツ、フランスと謀って、遼東半島を清国に返還するよう要求した。三国を敵に回す力のない日本は、やむなくこの三国干渉に従った。

これを見て、高宗と閔妃は手のひらを返すように、ロシアに急接近した。ロシア公使のウェーバーと共謀して、内閣の親日改革派を追い落とす。

このままでは朝鮮半島をロシアに握られ、日本にとっても一大危機となると、三浦梧楼公使と日本の浪人たちが、朝鮮の王宮に乱入し、閔妃を斬殺した。この蛮行で、国際社会と朝鮮国内の日本の立場は悪くなり、親露派が勢いを増した。

1896年2月、親露派はウェーバーと共謀して、ロシア軍艦から120名の将兵を漢城に呼び出し、彼等に護送される形で、高宗と世子をロシア公使館に移した。高宗は親政を宣言し、内閣の大臣5人を逆賊として逮捕殺令を布告した。

こうして朝鮮国王がロシア公使館から「親政」を行うという世界史上でも類例のない珍事が1年以上にわたって続いた。親政といっても、ロシア人の将校と財政顧問がそれぞれ軍事と財政を握った属国政治である。

こうして、日本は日清戦争を戦って、清国の覇権を排除したのもつかの間、今度はさらに強大なロシアが半島に居座ってしまったのである。日本の独立が再び脅かされる事態となり、今度は日露戦争を戦わざるをえなくなった。

何とか、日露戦争に勝って、ロシアと結んだポーツマス条約の第一条では、「ロシアは大韓帝国における日本の政治上・軍事上および経済上の利益を認め、日本の韓国に対する指導、保護および監督に対し、干渉しないこと」と約した。まさに清国相手の下関条約の繰り返しだった。

 日韓合邦への熱烈な大衆運動

ロシア勢力を駆逐した後、日本は日韓合邦に進むが、その動機を石平氏はこう解説する。

韓国を放っておけば、悪夢のような歴史がまた繰り返されるかもしれない。日本にとって、「朝鮮問題」の完全かつ最終的な解決は、韓国そのものの併合以外にはないというのが、当時の帝国主義や植民地主義、弱肉強食の世界秩序の中で、安全保障を手に入れる鉄則だったのである。
(同 p167)

しかし、奇妙なことに、朝鮮側でも、日韓合邦を熱望した一派がいた。自称100万、実態は20数万人の、当時としては最大規模の民間団体「一進会」である。一進会は「外交権を日本政府に委託し、日本の指導保護を受け、朝鮮の独立、安定を維持せよ」という宣言書を発表した。さらに会の幹部は、1909(明治42)年2月、桂太郎首相に、両国の「合邦」を提言した。

日本政府が日韓合邦を進める上で、こういう韓国内の声が大きな後押しとなった。日本との合邦を決めた韓国の閣議でも、一人を除く全閣僚が賛成した。

ある民族がその大衆運動によって、自国の独立を進んで犠牲にしてまで隣国への吸収合併を望むというのは、世界史上の奇観である。アメリカの朝鮮史家グレゴリー・ヘンダーソンは、一進会の動きを評し、「事実それは、政治史上、自分の民族に対して行われた反民族主義的大衆運動として、今までになかった唯一の例である」と述べている。

もちろん、日本に習って自分たちの近代化を進めようと努力した人々もいたが、やはり朝鮮の伝統的な事大主義、すなわち「寄らば大樹の陰」という心情が一般大衆の中に根づいていなければ、ここまでの熱烈な大衆運動は起こりえなかっただろう。

併合期間中に、日本政府は朝鮮半島に近代化のための膨大な資本投下を行い、30余年間で農業生産も人口も2倍以上に増加するという高度成長を実現した。しかし、その平和と繁栄も、日本の敗戦によって終止符が打たれる。

 内部抗争から始まった朝鮮戦争

日本の降伏後、米ソは38度線を境にして、それぞれ南北を占領した。米ソ英は5年間の信託統治期間の後、朝鮮の独立と統一政権の樹立を図るという「モスクワ協定」を結んだが、肝心の韓民族自身が、例の如く内部闘争に明け暮れて、統一政権どころではなかった。

結局、ソ連を背景とした金日成と、アメリカから戻った李承晩が、それぞれ北朝鮮と韓国の政権を樹立した。それだけでなく、彼等は、それぞれ相手国を打倒して、自らが朝鮮の統一政権になることを目指していた。

最初に仕掛けたのは金日成だった。当時は日本の産業施設が多く残っていた北朝鮮の方が、農業中心の韓国よりも、圧倒的に国力は上だった。金日成はソ連のスターリンに南進の許可を求めた。邪悪な政略の天才スターリンは、もしアメリカとの戦争になったら、中国を矢面に立たせようと、毛沢東の支援を得るよう指示した。

中華人民共和国を建国したばかりの毛沢東は慎重で、38度線を越えてアメリカが攻め込んできたら、自国の国境が脅かされるので参戦をする、と消極的な支持を表明した。これをもとに、北朝鮮は1950年6月25日、38度線を越えて、韓国内に侵攻した。

 3ヶ月で済んでいたはずの朝鮮戦争が…

北朝鮮は2ヶ月後の8月末には南朝鮮の90%以上の領土を占拠したが、ここで米軍を中心とした国連軍が救援に入り、わずか1ヶ月でソウルを奪還した。米軍も国連軍も、38度線まで奪還すれば、そこで戦闘を止める計画だった。その通りに事が運んでいたら、朝鮮戦争は3ヶ月で停戦を迎えていたはずだった。

しかし、ここで李承晩は一気に北朝鮮を打倒して統一政府を作ろうと、韓国軍に38度線を突破させた。これに引きずられる形で、国連軍も38度線を越えて進撃し、ついには中国国境沿いにまで近づいた。ここで毛沢東はやむなく中国共産党軍を投入したのである。

こうして米中の激突となった朝鮮戦争はさらに2年9ヶ月以上も続き、結局、38度線の振り出しに戻って、停戦を迎えた。金日成なくば、そもそも朝鮮戦争は起こらずに済んだかも知れないし、李承晩がいなければ、3ヶ月で終わって、その後の600万の犠牲者の大部分は失われずに済んだろう。

結局、韓民族の内部抗争と外部勢力の引きずり込みという伝統的な宿痾で、米中ともに何の益もない戦争に巻き込まれたのである。

 活用し損ねた歴史の叡知

こうして朝鮮半島の歴史を通観して見ると、日清、日露、朝鮮戦争という3つの戦争とも、同じ構造をしていることが明らかになる。韓民族が内部抗争に勝つために、それぞれ周辺諸国を戦争に引きずり込むというパターンである。

通常の民族のように、韓民族が一つにまとまって独立統一国家を作っていれば、中国、ロシア、日本の緩衝地帯となり、東アジアの平和が保たれていた可能性もある。そう考えると、韓民族は「東アジアのトラブルメーカー」だ、という石平氏の指摘は説得力を持つ。

韓民族が内部抗争という宿痾を自ら克服できないなら、今のように南北でせめぎ合い、結果として日米中ソの緩衝地帯になっている方が良い、というのは、冷酷な地政学的戦略から言えば、合理性がある。米中とも、現在はその戦略をとっているのだろう。だから、北朝鮮で膨大な餓死者が出ようと、各国は手は出さないのである。これが冷厳な国際社会の実態である。

「半島とは一定の距離をおいて、韓民族内部の紛争にできるだけ関与しないようにするのが、もっとも賢明な道」とは石平氏の結論であるが、この本で半島の歴史を丹念に辿ってみれば、頷くしかない結論である。

この結論は、日清戦争前に金玉均が残忍な方法で処刑された後、彼を支援していた福沢諭吉が『脱亜論』で「我れは心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」と語ったのと同じである。この叡知を当時から活用していれば、我が国の近代史もまた別の形になったであろう。我々は歴史の叡知を活用し損ねたようだ。

文責:伊勢雅臣

【私の論評】過去の歴史に学び朝鮮半島とのつきあいは、拉致問題などの例外は除きほどほどにすべき(゚д゚)!

石平氏の最新著『韓民族こそ歴史の加害者である』はまだ読んでいませんが、近々読んでみようと思っています。

ブログ冒頭の記事を読んでいて、思いだしたのは、先日このブログで以下のようなことを述べたことです。
今日の世界では、国連が国連軍を組織して、紛争地に国連軍などを送ることができますが、日露戦争前後には無論そんな組織はないし、大東亜戦争直前にも、国際連盟はありましたが、その国際連盟には米国は加盟しておらず、また当時の国際連盟には今日の国連軍のような組織を作ることはできませんでした。 
現在の国連は、決議に従わない国に対しては、武力による制裁もできますが、当時の国際連盟では決議に従わない国に対しては勧告や経済制裁しか行えませんでした。 
だから、紛争地帯などに各国が自国の裁量で当該国の了承などにもとづき軍隊を派遣するのは当たり前のことで、これを侵略とはいいません。だから、朝鮮半島や、満州に当時日本の軍隊がいたからといって、当時の状況ではそれが即侵略とは受け取られることはありませんでした。 
もし、日本を侵略国家とするならば、世界のすべての先進国も侵略国家ということになってしまいます。 
その日本も、後に国際連盟から脱退し、その後から他国の日本に対する評価は変わってきました。ただし、マッカーサーはこの地域の実情を知り、上記のような証言をしたわけです。これについては本日の話の本題ではないので、その話はまた別の機会に掲載しようと思います。
この記事とブログ冒頭の記事をご覧いただければ、日本の軍隊が朝鮮半島に駐屯していたからといって、それが侵略とはいえないことは、良くご理解いただけるものと思います。

詳細は、この記事のリンクを以下に掲載しますので、こちらをご覧になってください。
韓国が共同訓練閉幕式で海自艦の入港拒否 「日本軍国主義の象徴」旭日旗にメディアが猛反発―【私の論評】正しい歴史認識のできない中韓・北朝鮮には嫌われる勇気を持て(゚д゚)!
 

この記事で述べたように、当時は紛争地帯などに各国が自国の裁量で当該国の了承などにもとづき軍隊を派遣するのは当たり前のことで、これを侵略とはいいません。当時の朝鮮の要請にもとづいて日本は、軍隊を赴かせたのですから、それを侵略というのは筋違いです。

この記事にも掲載した、日露戦争関連の地図を以下に掲載します。


現在の朝鮮半島の地図を以下に掲載します。



この両者を見比べていただくと、日露戦争の主戦場はほとんどが、現在の南北朝鮮ならびに現在の中国の東北地方(満州)で行われていたことがわかります。

そうして、その後も朝鮮半島に日本軍が駐屯していたのも、当時の朝鮮が望んだためであり、日本が侵略した結果ではないことがわかります。実際当時の日本軍は、清國やロシアの軍隊とは戦ったことはありましたが、朝鮮の軍隊とは交戦していません。ましてや、朝鮮の軍隊と戦って、侵略したなどはありません。これが、史実です。

それにしても、当時の朝鮮も今日のように、どうしてこのような煮え切らない態度ばかりとったのか、理解に苦しみます。

その原因に関してヒントとなるのが、呉善花氏の以下の記事です。
韓国の執拗な日本攻撃の原因は植民地支配より深い根がある
呉善花氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、その原因とみられる部分のみをこの記事から以下に引用します。
 韓国人は「反日主義」や「反日感情」以前に伝統的な「侮日観」を抱いている。侮日のルーツは「中華思想」だ。14世紀末に成立した李氏朝鮮(李朝)は明の皇帝に冊封を仰ぎ、中華秩序に組み入れられた。李朝は明にならって“中国化”を進め、やがて自らを中国と文化的同質性をもった「小中華」だと意識するようになった。 
 彼らにとって地理的・文化的に中国から離れた日本は野蛮な夷族の地であり、なおかつ日本人は文化的に程度が低く侵略的で、蔑視すべき民族だと考えていた。実際、近代以前から朝鮮半島では日本人を「倭人」「蛮酋」などと蔑み、現代でも「日本奴」(イルボンノム=日本野郎)、「猪足」(チョッパリ=豚の足のような足袋を履く日本人)といった差別用語を日常的に使っている。 
 国土の狭い朝鮮で本家・中国よりも「純化」された小中華主義により、李朝の日本蔑視はさらに強化された。同時に善と悪を明確に区別する朱子学により、野蛮な日本の行動をすべて「悪・不正義・侵略」とみなす考え方が浸透した。 
 同時期の日本では文化の多様性が育まれたのに対し、朱子学のみを信仰する李朝は中央集権化を推し進め、言論や思想は硬直化した。オバマ氏の広島訪問に、韓国メディアが判で押したような主張をするのも、李朝以来の“伝統”といえる。
 李朝500余年で培われた侮日観を背景にして、戦後に反日教育が盛んになると、幼い子供まで「日本をいくらバカにしても構わない」と思うようになった。

侮日=民族の誇りであり、韓国のアイデンティティであるがゆえ、日本蔑視は決して消えない。個人的には親日でも、こと歴史問題や慰安婦問題が絡むと侮日意識が唐突に蘇り、同じ人間が反日となる。一人の人間に親日と反日が同居するのが韓国人の複雑さだ。 
 今後も日韓関係は予断を許さない。日本ではあまり報じられないが、多くの韓国人は昨年末の日韓合意に反発し、世論は反日で沸騰している。今後も慰安婦の世界遺産登録など、韓国の反日行動が続くだろう。

日本は歴史に基づく韓国の日本蔑視を十分に理解して、韓国と向き合う必要がある。中途半端な理解で深入りすれば、日本が受ける傷が大きくなるばかりだ。
結局のところ、中国やロシアには媚びても、日本は侮日ということで、日本は古くから朝鮮半島に引っ掻き回されてきたということです。古くは、といえば、元寇のときに日本に攻めてきた、モンゴル軍を多くの日本人は、未だにモンゴル人が大半であったと考えているようですが、それは違います。モンゴル軍の大半は、朝鮮人でした。このくらい古くから、日本は、朝鮮半島に引っ掻き回されてきたのです。

もうこんな半島に引っ掻き回されるのは御免です。先のこのブログからの引用記事にも書いたのですが、侮日感に凝り固まり正しい歴史認識ができない韓国などとは、何やら歴史修正をしたときには、徹底的に論破して水掛け論に持っていき、後は、冠婚葬祭程度のつきあいにとどめることが正しいつきあい方です。

下手につき合うと、また北朝鮮、中国、ロシアなどとともども、紛争などに巻き込まれてしまう可能性が大きいです。

過去の経験に学び、朝鮮半島とのつきあいは、拉致被害者問題に関してなどの例外は別にして、ほどほどにすべきです。

【関連記事】

韓国が共同訓練閉幕式で海自艦の入港拒否 「日本軍国主義の象徴」旭日旗にメディアが猛反発―【私の論評】正しい歴史認識のできない中韓・北朝鮮には嫌われる勇気を持て(゚д゚)!



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2016年6月9日木曜日

政府 中国軍艦艇の接続水域入り受けNSC開催へ―【私の論評】日本の南西諸島付近の日米印演習「マラバール」に対する牽制か?

政府 中国軍艦艇の接続水域入り受けNSC開催へ

本日の産経新聞の号外 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

政府は、中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に初めて入ったことを受けて、9日夜、NSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開き、情報の分析結果などについて報告を受けたうえで、警戒・監視に万全を期すことなどを確認する見通しです。

9日午前0時50分ごろから午前3時10分ごろにかけて、沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で、中国海軍のフリゲート艦1隻が日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入ったほか、ロシア海軍の駆逐艦など3隻も8日夜から9日未明にかけて付近の接続水域に入りました。

尖閣諸島の領有権を主張する中国の軍の艦艇が接続水域に入るのは初めてで、政府は、安倍総理大臣が訪問先の山形県から戻りしだい、午後7時ごろからNSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開くことを決めました。会合では、外務省や防衛省から、中国海軍の艦艇が接続水域に入った状況や、日本側がとった対応などに加えて、これまでに入っている情報の分析結果などについて報告を受け、情報の共有を図ることにしています。そして、会合では、安倍総理大臣の指示を踏まえ、アメリカなどと緊密に連携して、不測の事態に備え警戒・監視に万全を期すことなどを確認する見通しです。

中国国防省 「合法」と主張

中国の国防省は9日午後、中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことについてコメントを発表しました。この中で、尖閣諸島について「中国固有の領土だ」としたうえで、「中国軍の艦艇が自国の管轄海域を航行することは、合理的かつ合法であり、ほかの国がとやかく言う権利はない」と主張しました。

中国政府は、今回の航行の目的など詳しいことは明らかにしていません。ただ、中国政府は、南シナ海での急速な海洋進出を日本がアメリカと共に強く批判していることなどにいらだちを募らせており、今回、尖閣諸島周辺の接続水域内に海軍の艦艇を派遣することでこの海域への自国の主張を強め、日本をけん制するねらいがあった可能性があります。

東シナ海の上空では7日に、中国軍の殲10戦闘機2機が、アメリカ海軍の偵察機RC135の飛行を妨害し、このうち1機が急接近したとして、アメリカ軍が中国側に危険な行為だと抗議しています。

ロシア大使館「中国と関係ない」

ロシア海軍の駆逐艦など3隻が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことについて、東京にあるロシア大使館はツイッター上で、「誤解がある」としてコメントを出しました。この中で、「当海域では、中国と関係なく、ロシア海軍が定例の演習を行い、日本の領海に入ることは当然ない」と説明しています。そのうえで、「ほかの諸国、ならびに日本とアメリカも主張する『航海の自由』の原則どおりで、心配はない」として、中国が実効支配を強める南シナ海にアメリカ軍の艦艇を派遣する「航行の自由」作戦を引き合いに出して、ロシア海軍による航行には問題ないと主張しています。

中ロの艦艇は以前にも日本周辺を航行

今回、尖閣諸島沖の接続水域を航行した艦艇は、以前にも、日本周辺海域での航行が確認されています。

このうち中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦は、去年12月、沖縄本島と宮古島の間の公海上を東シナ海から太平洋に向けて航行しているのが確認されています。

ジャンカイI級フリゲート艦
また、ロシア海軍の艦艇のうち1隻はウダロイI級ミサイル駆逐艦で、ことし3月、対馬海峡を南下し、日本海から東シナ海に向けて航行しているのが確認されています。

ウダロイI級ミサイル駆逐艦
中ロ艦艇の航行目的は

尖閣諸島を巡っては、中国側が領有権を主張しているのに対し、ロシア側は領有権を主張していないため、防衛省は、中国とロシアの艦艇では、接続水域を航行することの意味は異なるとしています。

防衛省によりますと、ロシア海軍の艦艇は、過去にも尖閣諸島の沖合の接続水域を通過したことがあるということです。

一方、今回、中国海軍の艦艇は、ロシア海軍の艦艇の動きに対応して接続水域を航行した可能性もあるとみられ、尖閣諸島の領有権を主張する中国側が、今回、どのような目的で艦艇を航行させたのかについて分析を進めています。

統合幕僚長「事態のエスカレーション避けたい」

自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は9日の定例の記者会見で、「事態をエスカレーションさせることは避けたい」と述べました。

会見で、河野統合幕僚長は「今回のことは、緊張を高める一方的な行動であり、深刻な懸念を持っている」と述べました。一方で、河野統合幕僚長は「中国側が、日本側の今回の抗議を真剣に受け止めることを期待している。外交ルートで解決するのがベストであり、自衛隊として、事態をエスカレーションさせることは避けたい」と述べました。

元海将 日米のリアクション

今回のケースについて、金沢工業大学虎ノ門大学院の教授で、海上自衛隊で呉地方総監を務めた伊藤俊幸元海将は、「海軍の艦艇を航行させており、国家としての意思を反映したものと言える。中国の海洋政策に対し、日米が『間違っている』と主張していることに対するリアクションとも受け取れる。中国当局の船による領海への侵入にとどまらず、今後、軍艦による航行へと既成事実を積み重ねながら、仮に中国側が事態をエスカレーションさせていくとすれば非常に危険なことだ」と指摘しました。

一方で、今後の対応について、「国際法上は問題のない海域での航行なので、冷静に対応すべきだ。同時に、中国側は、日米がどのような反応を示すのかを見ており、日本はアメリカをはじめ広く国際社会に、今回のような中国側の行動が受け入れらないものであると訴え、事態のさらなるエスカレーションを中国側に踏みとどまらせる必要がある」と話しています。

【私の論評】日本の南西諸島付近の日米印演習「マラバール」に対する牽制か?

さて、この中国の軍艦の動き、そうしてもしかするとロシアの軍艦の動きも、先日このブログでも掲載した、今月の10日から17日まで、日本の南西諸島付近で行う、日米印で行う演習である「マラバール」と関係しているのではないかと思います。

「マラバール」に関連した今月7日のこのブログの記事のリンクを以下に掲載します。
海自が米・インドと共同訓練、中国にらみ沖縄の東方で―【私の論評】南西諸島における海自による「航行の自由作戦」の予兆か(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、海上自衛隊は7日、米国、インドの海軍と沖縄本島の東方海域で共同訓練を行うと発表したことを掲載しました。これは、10日から17日まで、昨年10月のインド洋に続き、日本の南西諸島周辺で3カ国が共同訓練「マラバール」をすることで、海洋進出を強める中国をけん制をするというものです。さらにこの記事では、昨年までの「マラバール」についても詳細を解説しました。

中国側からすれば、今回の「マラバール」が尖閣列島も含まれる南西諸島周辺で行われること、さらには昨年の「マラバール」の直後には、米国は南シナ海で「航行の自由作戦」を開始しているという事実もあり、当然のことながらこの演習には神経を尖らせているはずです。

ブログ冒頭の記事には、掲載されていませんが、日本政府が中国軍の艦艇がこの水域に入ったことに神経を尖らすには、それなりの理由があります。

その理由とは、その部分をこの記事から以下に引用します。
さて、尖閣といえば、読売新聞は今年の1月12日付で、日本政府が、中国軍艦が尖閣諸島周辺の12海里(22キロメートル)以内の領海に侵入することに備える新たな措置として、国際法上許容されている無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針を決めたことが確認されたと報じました。今後、中国軍艦が尖閣諸島周辺12海里以内へ侵犯すれば、海上自衛隊がすぐに現場に投入され、即刻退去を要求することになります。 
現行の国際海洋法条約によると、軍艦を含むすべての船は、その国の平和、安全、秩序などを脅かさない限り、他国の領海を自由に航行できる無害通航権が認められていますが、日本は中国の軍艦に対してこれを認めないことにしたのです。日本政府関係者は、「中国が無害通航権を主張することは、日本の尖閣諸島領有を認めることと同義になる」とし、中国がこれに対して抗議する可能性はないと見ています。 
日本政府がこのような方針転換に乗り出したのは、昨年11月に中国海軍の情報収集船が尖閣諸島周辺の接続水域(陸から24海里以内)を一日かけて東西方向に反復航行するなど、最近になって中国海軍の不審な動きが急激に増えたからです。海上警備行動が発令されると、自衛隊は正当防衛に当たる場合などには、武器を使用できるようになっており、日中海軍間の偶発的な衝突が発生する可能性もあります。日本でこれまで海上警備行動が発令されたのは、1999年に北朝鮮の工作船と推定される船が日本の海岸に姿を現した場合など、3回しかありません。
菅義偉・官房長官は12日の定例記者会見で、「昨年5月に閣議決定している。日本領海で無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処に関し、海上警備行動を発令し、自衛隊の部隊により退去要求と措置を行うことを基本としている。昨年11月に中国海軍の情報収集艦が尖閣諸島周辺を反復航行した際には、外交ルートを通じた関心を表明をした。具体的な内容については(言及を)控えたい」と述べました。
このように、日本政府は、中国軍艦が尖閣諸島周辺の12海里(22キロメートル)以内の領海に侵入することに備える新たな措置として、国際法上許容されている無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針を決めたことと、今月10日から尖閣列島を含む、南西諸島付近で「マラバール」を実行するわけですから、これは中国にとって脅威です。

その直前に中国軍の艦船が、尖閣諸島周辺の接続水域に初めて入ったわけですから、これは当然のことながら、中国側の牽制とみるのが自然です。

ロシアに関しては、情報が少ないので何ともいえませんが、少ない情報の中から考えられることは、かつては旧ソ連との関係が強かったインドが、最近ではアメリカとの関係を強化、さらに日本とも強化し、日米印の共同訓練「マラバール」を日本の南西諸島付近で実行するというのですから、それに対する牽制という意味があるのかもしれません。

さらに、中国は、実際に接続水域に中国の軍艦が入った場合、日本がどのような行動をするのか、試しているというところがあると思います。接続水域に軍艦を派遣しても、日本が抗議をするだけで、実行動を起こさなければ、さらに何度も軍艦を派遣して、いずれ軍艦を派遣するのは当たり前であるかのような状況をつくりだそうとしているのかもしれません。

しかし、現状でも尖閣付近領海を侵犯はしていません。ここを侵犯すれば、中国の艦船が待っているのは、2001年に北朝鮮の工作船が領海侵犯ときのような運命をたどることでしょう。この工作船は、ご存知のように、海上保安庁の船に追跡され、銃撃され最終的には逃げきれないと判断して自爆しました。以下にそのときの顛末が掲載された動画を掲載します。



この時は、相手が不審船であり、軍艦ではなかったので、海上保安庁の巡視船が不審船に対して銃撃をしました。今回は中国は、公船ではなく、軍艦を派遣してきているわけですから、これは当然のことながら、海上自衛隊が対峙することになります。

もし中国が軍艦の派遣を繰り返すなら、当然のことながら、日本も海上自衛隊の護衛艦および潜水艦や対潜哨戒機も派遣することになります。

そうなると、中国は海軍力では日本にはかなり劣っているので、中国側はなす術がなくなります。特に潜水艦の能力と、対潜哨戒能力は日本に比較するとかなり劣っています。もし、領海を侵犯すれば、間違いなく撃沈ということになります。

日本側としては、中国側が領海を1mmでも侵犯したら、すぐに撃沈すべきでしょう。この記事でも、掲載したのですが、中国の軍艦が接続水域を頻繁に航行するようになれば、日本もこれに対抗せざるを得ないことになるでしょう。

いずれにせよ、中国にとっては、このような状況は最も避けたかったことでしょう。中国にとって、一番忌避したいのは、安倍総理が軍事力によって、この海域から中国軍を排除することです。

今後の中国の動きに注目したいです。今後も頻繁に接続水域などに軍艦を派遣するならば、日本の海上自衛隊による南西諸島付近での、「航行の自由作戦」が実行されるようになることでしょう。「マラバール」実施中に、中国が接続水域に軍艦を派遣するようなことでもあれば、海上自衛隊による定期的なパトロールは必ず実施すべきです。

我が国としては、尖閣列島などを中国に実行支配され、南シナ海の環礁のように軍事基地化され、沖縄侵攻のための前進基地などにされてはたまったものではありません。絶対阻止です。

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2016年6月8日水曜日

続投に強い意欲の舛添知事に進退問う質問相次ぐ 都議会総務委で集中審議へ―【私の論評】舛添知事の都市間外交の成果は朝鮮人学校の生徒を韓国人学校に分捕ることだけ?


都議会で質問を受ける舛添要一東京都知事=7日午後、東京都新宿区
東京都の舛添要一知事の政治資金流用疑惑を巡り、都議会の一般質問が8日あり、各会派の都議から進退を問う声が相次いだ。知事は続投の意志を強く示し、これまでと同様の説明に終始した。各会派は反発を強めており、総務委員会に知事の出席を求め、集中審議でさらに追及する構えだ。

 総務委は9日に理事会を開き、集中審議の日程を協議する。来週にも開催する方向で調整するとみられる。

 一般質問で公明党の斉藤泰宏都議は「辞職を求める都民の声はますます広がっている。いかなる理由で知事にとどまろうとするのか」と指摘。知事は「厳しい状況にあることは自覚している。公表した(弁護士の)調査結果を基に反省を胸に刻み、地道に都民や都議会の理解を得たい」と、従来の主張を繰り返した。

【私の論評】舛添知事の都市間外交の成果は朝鮮人学校の生徒を韓国人学校に分捕ることだけ?

舛添知事に対する東京都議会での、追求はとどまるところを知りません。都議会での追求もさりながら、週刊文春がまた新たなスッパ抜きをしています。

それは、都庁内で湯河原の別荘通いよりも問題視されている舛添氏が奥さん同伴で、年末にNHKホールで開かれる“NHK交響楽団(N響)”の「ベートーヴェン『第9』コンサート」に公用車で出かけている事実です。昨年の年末にも行ってますが、この日は天皇誕生日で休日。当然、公務ではなく、公用車の私的利用に他なりません。どうやら、随分前からこれも年末の恒例行事のようになっていたようです。

詳細については、以下をご覧ください。
舛添都知事に新疑惑! 休日に公用車で「N響『第9』コンサート」へ
昨年2015年12月22日のN響「第九演奏会」
それにしても、次から次へと、いろいろでてきます。私自身としては、もう舛添都知事は政治資金や公用車の使い方など、無頓着に使っていたことはもうはっきりしていたので、あまり驚きません。それにしても、週刊文春の記者たちは、虎視眈々と何かないかとうかがっていたのでしょう。そうして、都職員などからこのようなことを聞き出したのだと思います。

なにやら、このような政治資金や、公用車の使い方などに関しては、不正があればそれを暴くというのも良いですが、何やら肝心かなめのことが忘れ去られているようで、気になります。

その肝心要のこととは、他でもない、都有地の韓国学校への貸出の件です。最近、この話題はまるでなきがごとしで、どこも報道しません。一体どうなっているのか、調べてみました。

まず一番最近(今年5月19日)の国内のものでは、夕刊フジの報道がありました。その記事のリンクを以下に掲載します。
舛添都知事“韓国優遇”内部資料 都有地貸し出しで新事実 夕刊フジ独自入手 
夕刊フジが独自に入手した都の内部資料。
韓国人学校の「充足率」は100%を切っていた

 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
東京都の舛添要一知事(67)が、旧都立高校を韓国人学校増設のために韓国政府に貸し出す方針を決めた問題で、注目すべき新事実が明らかになった。都の外国人学校に関する資料を夕刊フジで独自入手したところ、韓国人学校の充足率は100%未満だが、英国人学校など3校が定員を大きくオーバーしていたのだ。「政治とカネ」の疑惑だけでなく、舛添氏に「韓国優遇」との批判が高まる可能性がありそうだ。
舛添氏が、韓国人学校に旧都立高校(新宿区、約6100平方メートル)を貸し出すために動き出したのは、14年7月の訪韓がきっかけ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談した際、朴氏から協力要請を受け、舛添氏は「全力で対応したい」と即答した。
舛添氏の疑惑を徹底追及している無所属の音喜多駿(おときた・しゅん)都議は「これまで何度も、韓国人学校への都有地貸し出しの数値的根拠を問いただしてきたが、都側からまともな回答は得られなかった。韓国人学校の充足率が分かると不都合なので、公表を控えたとしか思えない。結局、『舛添氏が朴大統領に約束した』という政治的パフォーマンスを優先したのではないか。政治資金をめぐる『公私混同』疑惑に象徴されるように、舛添氏は都有財産さえも私物化していると言わざるを得ない。舛添氏が知事を続ければ都政は停滞する。すみやかに辞職して、7月の参院選との同日選を実施すべきだ」と語っている。
上の記事で、気になった舛添氏の14年7月の訪韓に関する記事を調べてみました。すると以下の様な記事がみつかりました。この記事は、2014年12月21日のDaily NKのものです。
朝鮮学校 韓流に押され「存亡の危機」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
東京の朝鮮学校が、「存亡の危機」に立たされている。北朝鮮系の民族団体・朝鮮総連が運営する朝鮮学校は、東京都には小学校から大学まで11校が所在するが、そのいずれもが深刻な生徒数の減少に悩んでいる。 
近年ではさらに、強力な「ライバル」の台頭にも悩まされるようになった。
11月28日に行われた東京韓国学校(新宿区)の新入生抽選会には、約170名の児童が応募した。来年度の新小学校1年生の定員は120名のため、50名近い児童が枠から漏れてしまったことになる。1954年、韓国民団の主導で開校した同校は、朝鮮学校とは逆に、生徒数が年々増加。スタート時わずか26名だった生徒数は、現在では小・中・高を合わせて約700名に達している。 
生徒数が増えている最大の理由は、近年になって新たに来日して定住する韓国人が増えていることにあるが、朝鮮学校の再編が進まないことも大きな要因となっているようだ。 
朴槿恵を訪問した舛添知事 
しかし、再編によって朝鮮学校を復活させるための時間的余裕は、あまり残っていない。7月に韓国を訪問した舛添要一都知事に対し、朴槿恵(パク・クネ)大統領は首都圏で「第2韓国学校」をつくるための用地確保に協力を要請した。民団関係者によれば、「すでに建設費用は本国から送られてきており、土地さえあればいつでもつくれる状態」だという。 
「第2韓国学校」が開校すれば、入学希望者の多くが受け入れられることになり、朝鮮学校からの流入にも拍車がかかる可能性が高い。
東京韓国人学校
さて、この状況、2016年の今日一体どうなったのでしょうか。2014年の時点では、上にあるように、入学希望者のほうが超過していたのですが、2016年の時点ではそうではないようです。

ただし、都内に第二韓国人学校ができた場合、朝鮮人学校から流入することも考えられるのでしょうか。現時点でも、間に合っているのですから、新しい学校ができたからといって、急激に増えるということは考えにくいと思います。

このあたりが全く報道されていません。ただし、これがどうなろうと、舛添知事の政治資金問題や公用車の使いみちが出鱈目であったことには変わりないですが、それにしても、全く報道しないというのも考えものです。

それにしても、舛添知事の都市間外交ですが、成果といえば、ひよっとしたら、朝鮮人学校の生徒を韓国人学校にぶんどることに加勢したことくらいというのであれば、あまりに情けないです。その他に何か舛添知事の都市間外交で成果があるというのなら、教えてほしいものです。

韓国人学校の定員が現在のところ、足りているというのであれば、やはり、最初に都が構想していたように、保育園などにするのが筋であると思いますが、それでも韓国人学校にするというのなら、舛添知事はその理由を公表すべきです。

結局のところ、舛添知事は都政を預かって2年が経過したのですが、明確な成果と呼べるものはないです。国に先駆けてディーゼル規制や認証保育所など、独自の政策を実現した石原都政に比べれば明らかに見劣りします。東京五輪という話題を抱えているにも関わらず、メディアへの露出や影響力は低下する一方です。

なんとしても目に見える実績を出したい舛添知事は、都市外交の一貫で貴重な都有地を韓国政府に貸し出し、韓国人学校の用地とすることを独断で決定してしまったのでしょう。

舛添知事は都有地である旧市ヶ谷商業高校跡地を韓国人学校に貸し出すと言うのだが・・・・
現在東京都で待機児童問題は深刻化の一途を辿っており、保育園に必要な用地はいくらあっても足りないです。加えて障がい者向けの特別支援学校や、高齢者向けの特養など、土地がなくて「順番待ち」をしている都民のための福祉施設は目白押しです。そんな中でどうして都市外交が、外国人学校の設立が優先されるのか。舛添知事の「政治パフォーマンス」と受け取られるのもやむを得ないでしょう。

最近の舛添知事に対する追求をみていると、政治資金の使いみちや、公用車の使いみちなどがほとんどで、本筋ともいうべき、都市間外交の是非、その象徴的な出来事でもある、舛添知事の独断による、韓国人学校への都有地の貸与など全く追求されません。本当に異様です。

最初は、高圧的で、公用車の使い方や、別荘通いなど、批判されても意に介さなかった舛添知事ですが、最近はそれを改める姿勢を見せています。

しかし、都有地の韓国人学校に対する貸付に関しては、全く追求されないので、今のままだといずれ本当に韓国人学校に貸与され、建物が建築されてしまうかもしれません。今のところ、今年度末まではこの都有地は、改築中の区立小学校の仮校舎として利用されています。しかし、来年からはこの小学校の改築も終わり、今のままでは来年は韓国人学校が建設されることになります。

この問題、このまま放置しておいて良いはずがありません。様々な事実を明確にして、決着をつけるべきです。

【関連記事】

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