2017年5月10日水曜日

【韓国新政権】文在寅政権の最重要課題は経済や外交 韓国メディア「対日政策、全般的に見直し」と展望―【私の論評】雇用を創出できない文在寅もスキャンダルに塗れて自滅する(゚д゚)!


文在寅(ムン・ジェイン)韓国新大統領
韓国の大統領選から一夜明けた10日、韓国メディアは文在寅(ムン・ジェイン)氏の当選をトップニュースで伝えるとともに、新政権の課題として経済や外交を挙げた。

 朝鮮日報は、元閣僚や識者らの話を紹介する形で、膨れ上がる個人債務や改善しない雇用問題の解決が急務であると指摘した。また、労働・教育を中心とした構造改革に取り組み、経済再生のきっかけを整えるべきだと新政権に求めた。

 外交・安全保障面では、米韓同盟を最も重要とし、北朝鮮の核問題の解決や、中国との協力関係強化による朝鮮半島の安定が最優先との見方を示した。

 聯合ニュースは、日韓関係について「当分は調整局面を迎える」と展望。「新政権では外交・安保ルートを構築しつつ、対日政策も全般的に見直すとみられる」とした。

 その上で、北朝鮮の核・ミサイルへの対応には日韓の協力が必要で、文政権と安倍政権の連携のきっかけになるとの見方を示した。

 一方で、慰安婦問題をめぐる日韓合意を「両国関係改善の障害物の代表例」として挙げ、文氏が選挙期間中、合意の再交渉を主張してきた点に触れた。

【私の論評】雇用を創出できない文在寅もスキャンダルに塗れて自滅する(゚д゚)!

本日は、文在寅新大統領の、経済対策について論評します。

文在寅新大統領の経済対策

韓国経済の現状を省みると、第19代韓国大統領に当選した文在寅(ムン・ジェイン)氏には準備期間はありません。すぐに手を打たなければとんでもないことになるでしょう。目の前の経済懸案を文氏が率いる新政権がどのように解決していくのか、以下にその公約を点検します。

文氏の大統領当選とともに10兆ウォン(約1兆円)規模の補正予算がカウントダウンに入ります。補正予算の表札は「雇用」に定められています。7日に文氏側の選挙対策委員会(選対委)は、政府が年初に発表した「2017年度公務員採用計画」に加え、1万2000人の公務員を追加で採用すると明らかにしました。

ユン・ホジュン選対委政策本部長は「追加採用と教育訓練に必要な予算を雇用補正予算に、人件費と法定負担金は『2018年度本予算』に反映する」と説明しました。公共雇用81万人創出は文氏の核心公約の一つです。問題は財源です。

文氏の公約には増税案もあります。文氏は先月19日のテレビ討論で「富裕層と財閥大企業中心に増税をするべき」と明らかにしました。公約集によると、利益(課税標準)500億ウォン超過企業に対する法人税の最高税率が22%から25%に上がります。大企業の大株主が株式譲渡過程で得た利益(株式譲渡差益)に適用する税率も20%から25%に引き上げられます。

高所得者に対する税金も強化され、5億ウォン超過で40%の所得税最高税率が3億ウォン超過で42%に調整されます。高額資産家に対する相続・贈与申告税額控除率は7%から3%に引き下げられます。

キム・カプスン東国大経営大教授は「税目と引き上げ率、対象と目的を明確にした後、国民を十分に説得する過程がなければいけない」とし「法人税引き上げも企業が労働者の賃金や家計など他の部分に税負担を転嫁しないよう厳密な設計が必要だ」と助言しました。

法人税引き上げ計画が国際的な流れに逆行するという懸念も新政権は考慮しなければいけないようです。財閥改革と経済民主化も文氏の経済公約の核心です。文氏は過去の調査局のような大企業担当部署を公正取引委員会に拡大・設置すると公約しました。その代わり公取委が独占している専属告発権を廃止する予定だそうです。

文氏の通商公約は他の経済公約に比べ細部が不足するという評価を受けました。通商組織を産業通商資源部から外交部に移管して東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、韓日中自由貿易協定(FTA)を締結するという方向だけを提示しました。トランプ米大統領が「韓米FTA再交渉または終了」を主張していますが、文氏は「軍事同盟とFTAを基礎に韓米間の戦略的関係を強化する」という原則だけを明らかにした状態です。

LG経済研究院のキム・ヒョンジュ研究委員は「サービス収支まで考慮すれば韓米FTAは米国に決して不利ではない協定という点をトランプ政権と米議会に十分に説得していく必要がある」と注文しました。

過去の韓国経済

朴槿恵前大統領
さて、ここで韓国の過去の経済と、2013年2月25日発足した、朴槿恵大統領の経済政策を振り返ります。以下は、当時の日本国内での一般的な見方を掲載します。

韓国は米国や日本をベンチマークとするキャッチアップ型発展を違げてきました。韓国企業は米国や日本などが開発した技術にいち早く適応しそれをベースに製品開発を進めるアァストアォロワー戦略で競争力を高め2000年代に入るとサムスン電子や現代自動車を筆順にグローバル市場で存在感をたかめました。

しかし韓国企粟がグローパル市場で躍進する方で国内軽済に目を転じると家計部門をに問題が生じていました。まず企葉が非正規雇用を増やす対応を採ったたことなどを背景に労働分配率が低下し 家計所得が伸び悩むようになりました。また青年者失業が増加するなど人的資源が十分に話用されていない状況 が生じています。韓国では2000年代に雇用総出力が低下し、どのように雇用の拡大を図っていくかが課題となっていました。

こうした課題に対し2月25日発足した朴価恵(パククネ)政権は「創造経済」の名の下にICT(情 報通信技術)と科学技術をペースに新しい製品サービスを削出する中で雇用を拡大していく方針でした。「創造経済」の実現は、韓国自らが産粟を創出あるいは市場を先導することを意味しキャッチアップ 型発展からの転換を図るものとする予定でした。

韓国企業を取り巻く環境をみると李明博(イミョンバク)政権下で採られたウォン安政策の是正や低位に抑えられた電気料金の値上げなど価格面での優位性を支えてきた状況に変化が生じていました。そうして中国企業などの追い上げが子想される中韓国企業は価格競争力に依拠するキャッチアップ型の成長パ ターンから脱却し独自柱術に基づく製品開発カに注力する必要に迫られています。

 韓国企業の中には、既にサムスン電子のように液晶、半導体といった分野で独自柱術の開発に成功しそれを購争カの源泉としている企業もありました。また大企業を中心に行われている研究開発(R&D)投資は 世界上位に位置し韓国は技術力強化に注カしている姿が見て取れましたい。

独自技術や胆品開発カの強化は 一朝一タに成し遂げられるものではないのですが「創造軽済」実現に向けた政策的なパックアップの下競争力強化に取り組み始めた韓国企業はこれまで以上に手ごわい競争相手となる可能性がある点を日本企業は認識する必要があると見られていました。

過去と現在の比較

2016年7月21日、「創造経済」の拠点板橋創造
経済バレー(京畿道城南市)を訪れた朴槿恵大統領
朴槿恵大統領の経済対策は、結局のところ「創造経済」の名の下にICT(情 報通信技術)と科学技術をペースに新しい製品サービスを削出する中で雇用を拡大していく方針のみのようでした。

そうして、この「創造経済」は失敗しました。現在の韓国の経済の状況は、朴槿恵政権発足の頃と比較して良くなることはありませんでした。それは、当たり前といえば、当たり前でした。

朴槿恵政権というか、世界中のどこの国の政府でも、IT産業に力を入れたからといってその産業を興隆させることなどできません。それは、民間企業が競争し互いに切磋琢磨しながら築き上げていくものです。政府にはできるものではありません。

政府としてできるのは、インフラを整備するくらいなものです。そのインフラの上で、民間企業が競い合ってはじめて、イノベーションが生まれます。そうして、IT産業に限らず、一つの産業が国に大きな富をもたらすまでに興隆するには、かなりうまくいって5年、通常は10年から20年かかるのが普通です。

そうして、これは日本で昔言われていた「構造改革」と同じです。日本でも、失われた20年に入る直前から言われだしましたが、結局のところ「構造改革」は掛け声だけに終わりました。

それに、政府主導すなわち官僚主導で、IT産業を興隆させるということができるというのなら、官僚主導の計画経済を実施した共産主義だってうまくいっていたはずです。しかし、これは、皆さんがご存知のようにことごとく失敗しました。朴槿恵大統領の「創造経済」は残念ながら当初から失敗することが、方向付けられていたようなものです。

過去において、計画経済の共産主義はことごとく大失敗した!!
さて、これに比較すれば、文在寅新大統領の経済対策は、朴槿恵大統領のものよりはいくぶんまともなようです。

なぜなら、景気循環的対策である、財政政策を実行しようとしているからです。とりあえず、雇用対策として10兆ウォン(約1兆円)規模の補正予算を組むとしています。

しかし、これはいったいどの程度の規模なのか、何しろ韓国なのでそれが見えません。2015年の韓国の名目GDPは1兆3779億ドル(約138兆円)で、世界11位を記録しました。 日本は、4兆1233億ドルでした。割り算をすれば、日本は韓国の大体三倍の規模ということになります。

では、韓国で10兆ウォン(約1兆円)の経済対策をするとしたら、日本でいえばどの程度のものになるかといえば、約3兆円ということになると思います。しかし、これでは、十分とはいえないと思います。

日本でも過去にこの程度の補正予算は、組んでいろいろ対策を行いましたが、あまり良い結果を生むに至ってはいません。やはり、日本では10兆円以上できれば、20兆円の対策を打つべきでした。

これを韓国に換算すると、6〜7兆円(60兆ウォンから70兆ウォン)の対策をすべきということになります。さらに、財源が増税ということですから、現状の韓国の経済を考えた場合、残念ながら、ほとんど成果を期待できないです。いくら富裕層や、企業に対して増税するとはいっても増税は増税です。これは、悪い影響が出るのは必定です。

現に経済状況が悪いわけですから、本来だと国債発行などで賄うべきものだと思います。国債というと、日本ではなぜか悪者扱いで、将来世代へのつけを回すものと認識されているようですが、それは全く異なります。国債は逆に世代間の不公平を平準化するものです。

韓国を例にとれば、雇用を創出するために、増税すれば、現在の世代ばかりに負担がかかるものになってしまいます。しかし、国債ならば雇用が長期的に確保されるのであれば、将来世代もその恩恵にあずかることができるので、平準化できるのです。増税で雇用を長期的に安定された場合、将来世代は何の負担もすることなく、タダ乗りということになります。悪く言えば、親のスネをかじり続ける極道息子のようなものです。

そうして、朴槿恵前大統領も、文在寅新大統領も、財政政策以外のもう一つの景気循環的対策である、金融政策は頭に思い浮かばないようです。

文在寅(ムン・ジェイン)新大統領も、「雇用」を謳っておきながら、金融緩和には思いも至らないようです。普通は、雇用といえば、まずは金融緩和です。このブログにも過去に掲載したように、インフレ率と雇用の間には密接な関係があります。

米国や日本のような国であれば、物価が数%あがればその途端、他は何もしなくてもたちどこに雇用が数百万も発生します。これは、経験則として広く知られている事実です。そうして、それはこのブログにも以前掲載したように、最近の日本でも実証されていることです。

韓国も、雇用を改善するというのなら、まずは金融緩和をすべきなのです。しかし、このようなことを言うと、韓国の経済は遅れているし、腐敗がまかり通っているから無理だとか、はなはだしくは、金融緩和するとキャピタル・フライトが起こるなどという人もいます。

これは、韓国内だけではなく、日本でもそのような見方をする人がいるようです。しかし、これは間違いです。

いくら韓国の経済活動には不合理なことがまかりとおっていたにしても、構造改革をしてそれが効果をあらわすまでには、先に述べたように、最低でも5年、長ければ10から20年もかかる場合もあります。しかし、現状の経済がとんでもない状況にあるわけですから、構造改革はするなとはいいませんが、その前にまずは景気循環的対策を十分に行うべきです。

さらにキャピタルフライトに関しては現在の韓国は起こりにくい状況にあります。なぜかといえば、それは我が国と同じく、韓国は変動相場制の国であるからです。

通常変動相場制の国であれば、 金融緩和をすれば自国通貨安になり、外貨流出を抑えることになります。さらには、変動相場制の国であれば、政府の外貨準備は通常市場とは直接関係しません。したがってキャピタルフライトは固定相場制の国とは違って発生しません。なぜなら極端な通貨安に振れる理由がないからです。

現に1997年のアジア通貨危機では被害国は固定相場でした。韓国は、80年から変動相場制への移行をはじめ、97年アジア通貨危機後に完全変動相場制になりました。現在では完全変動相場制です。

無論、変動相場制の国の場合でも、キャピタルフライトは起こり得る場合もあります。それは、まずユーロなどの共通貨幣を用いている国ではあり得ることです。しかし、韓国は共通通貨を用いている国ではありません。

さらに、変動相場制の国でもキャピタルフライトがおこる可能性もあります。それは、対外債務が極端に多い場合です。しかし、韓国の現在の対外債務はキャピタル・フライトがおこるような水準ではありません。

であれば、本来は真っ先に大規模な、金融緩和を行うべきです。それなしに、韓国の経済を立ち直らせることはできません。

朴槿恵大統領退任要求の大規模デモ。主催者推定10万人を超える人数が集まり収拾付かなくなった。

文在寅も、このまま韓国経済を立ち直らせることができなければ、結局国民の不満が高まり、朴槿恵前大統領と同じような道を辿ることになります。

もうすでに、朴槿恵元大統領のときのスキャンダルのようなものが囁かれ始めています。

それは、文在寅氏の息子のムンジュニョンさん不正就職事件です。これは、10年前の2007年のことです。

ジュニョンさんは、韓国雇用情報院に採用されて就職をしました。その就職に関して、ムンジュニョンさんが、韓国雇用情報院の5級一般職の試験で、優遇を受けて入社したというのです。

これについては、ここではあまり詳細は触れません。詳細を知りたいかたは、ネットで調べて下さい。

文在寅大統領が、反日や親北に地道をあげて、金融緩和策を実行せず、韓国の雇用を改善できない場合、韓国民は最初のうちは大人しいかもしれませんが、いずれ朴槿恵元大統領を退陣に追い込んだような、嵐が吹き荒れることになります。そうして、任期は全うできず、様々なスキャンダルが暴かれ、文在寅もスキャンダルに塗れて自滅することになるでしょう。

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2017年5月9日火曜日

【参院予算委】安倍晋三首相が民進党に改憲案提出を要求 蓮舫代表は答えず… 首相批判に終始―【私の論評】土台が狂った日本国憲法典の字面を変えてもまともな憲法はできない(゚д゚)!

【参院予算委】安倍晋三首相が民進党に改憲案提出を要求 蓮舫代表は答えず… 首相批判に終始


 安倍晋三首相は9日午後の参院予算委員会で、民進党の蓮舫代表と対決した。首相は「将来に向かって日本がどういう国を目指すのか、具体的な提案を憲法審査会に提案していただきたい」と述べ、国会に憲法改正の具体的な提案を出すよう求めた。

 首相は「憲法審査会で各党が提案を持ち寄って議論を深めるべきだ」とした上で「自民党内の議論を加速して党としての憲法審査会への提案を、いかに苦しくてもまとめ上げる決意だ」と強調。民進党の細野豪志前代表代行が改憲私案を発表したことを引き合いに「アイデアを持っている方もいる。代表としてしっかりとりまとめを行い、立派な提案をしてほしい」と蓮舫氏を諭した。しかし蓮舫氏は答えず、首相への批判に終始した。

参院予算委員会の集中審議で、質問する民進党の
蓮舫代表=9日午後、国会・参院第1委員会室
首相は改憲項目に関し「今、まずやるべきは自衛隊についてだ。憲法学者の7、8割が違憲と言っている。それを変えていくのは私たちの世代の責任だ」と述べ、9条改正を優先させる必要があるとの認識を示した。

 自民党が野党だった平成24年に発表した改憲草案とは異なるが、首相は「残念ながらこの案のままでは(改憲発議に必要な衆参両院での)3分の2の多数は得られない。批判を受け止める責任感を持ちながら、リーダーとして結果を出したい」と強調した。

 改憲の2020年施行を目指すとした理由については「東京五輪・パラリンピックも予定されている。まさに新しい日本を始めようという機運がみなぎっている」と述べた。

【私の論評】土台が狂った日本国憲法典の字面を変えてもまともな憲法はできない(゚д゚)!

民進党の蓮舫代表は、「首相」と「内閣総理大臣」と「総裁」の違いを理解していないようです。代表がこの有様ですから、他の民進党の議員もほとんど理解していないとは考えられますので、「教育」の意味も含めて以下に掲載しておきます。

「首相」と「内閣総理大臣」と「総裁」の違い

日本の行政権の長を表す正式な呼称は「内閣総理大臣」。

「総理」や「総理大臣」は、「内閣総理大臣」の略称です。

「首相」は、「内閣総理大臣」の通称。


外務大臣を「外相(外務相)」、財務大臣を「財相(財務相)」と呼ぶように、「相」は「大臣」のことで、首相は「内閣の首席大臣」を表します。

法律上の正式名称は「内閣総理大臣」であるため、法令で「首相」を使うことはありません。

しかし、「内閣総理大臣」は日本固有の官職名であるため、海外のメディアでは、英語で「Prime minister」、つまり「首相」と呼ばれます。

他の国にもそれぞれ固有の官職名ですが、議院内閣制をとっている国の政治の最高責任者を表す際は、基本的に「Prime minister(首相)」で、一般的な呼称はどちらかといえば、「内閣総理大臣」よりも「首相」の方です。

正式名称を必要としない場面では、「首相」に統一しても良さそうですが、新聞やニュースの文字では「首相」、ニュースの読みでは「総理大臣」や「総理」と使い分けられていることが多いです。

「首相」と「総理大臣」「総理」で使い分けられている理由は、聞き間違いをなくすためです。

財務大臣を「財務相」、外務大臣を「外務相」と読んだ場合、「財務省」や「外務省」と区別がつかないことから、官僚の呼称は「大臣」で統一されました。

それに合わせて「首相」も「総理大臣」や「総理」と呼ぶようになったことから、文字には一般的な「首相」を使い、読みには「総理大臣」や「総理」と使い分けられるようになったのです。

「総裁」も「首相」や「内閣総理大臣」と同義語に思われがちですが、「総裁」と「首相」「内閣総理大臣」は大きく異なります。

日本銀行のトップを「日銀総裁」と呼ぶように、「総裁」は組織や団体の長として全体を取りまとめる職務のことで、内閣に「総裁」という職名があるわけではありません。

日本では自民党が政権を握っている期間が長く、自民党の党首名が「総裁」で、党首が内閣総理大臣を務めることが多かったことから、「総裁=内閣総理大臣」となり、「総理総裁」とも呼ばれたのです。

ここのところを蓮舫代表は全く理解していないのです。本来は、総裁≠内閣総理大臣なのです。

自民党総裁としての立場で、ビデオメッセージで憲法改正に関する意見を述べた安倍晋三氏
しかし、他の党の党首名は「総裁」とは限らないため、他党が第一党で過半数を獲得していたり、連立で過半数を獲得していれば、「総裁=内閣総理大臣」ではなくなります。

また、自民党が第一党で過半数を獲得していたとしても、内閣総理大臣は国会議員であればよく、党首がなる必要はないため、必ずしも、「総裁=内閣総理大臣」になるとは限らないのです。

以上のことことから、安倍晋三氏が総裁としての立場でものを語るときと、内閣総理大臣の立場でものを語るときは、同じ場合もありますが、違い場合もあるわけです。

そうして、憲法改正に関して安倍晋三氏が「総裁」の立場で語ったということは、自民党の長として全体を取りまとめる立場から語ったということです。

そうして、自民党の長という立場で、他党にも憲法改正に関して、関与を促すことを表明したということです。

蓮舫代表はこのことを理解していなので、国会での論議でもチグハグになっています。

蓮舫代表をはじめ民進党の議員は、まずは、これを理解すべきです。こんなこともわからないのかと理解に苦しみます。

さらに、憲法論議もかなり幼稚です。安倍総理が、国会で民進党に改憲案提出を要求したにもかかわらず、蓮舫代表はこれには全く答えず首相批判に終始しました。

これは、民進党は故意に出さないのか、あるいは出せないのかもわかりません。私としては、出せないのだと理解します。

私自身は、現在の憲法論議そのものには、いわゆるリベラル・左派や左翼の方々が言う問題とは全く異なる別な面で問題があると思っています。それは、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!
沖縄の基地反対運動
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では保守派の中にも、「憲法典(文字で書かれた憲法のこと)」の字面を変えれば、すべてが変わると単純に思っている人も多いようですが、それは間違いであることを掲載しました。

憲法とは、国の成り立ちや、国柄、長い時間をかけて様々な論議が重ねられた結果できるものであり、それが成文化されて憲法典になるべきであって、最初に憲法典の改変ありきではないのです。そのことを忘れている人が多いようです。

そのような単純な思い込みは、ある意味護憲派が憲法典を金科玉条のごとく一字一句守り続けることが絶対善であると信じ込むのと同じようなものであり、それでは本当の意味でのまともな憲法などできあがりはしません。

そうして、この記事では、現在の自衛隊のフアーストエイド・キットがお粗末なことや、トイレットペーパーが自前であること、陸自の隊員が米国の軍楽隊以下の実弾訓練しかできていないことなどを例にあげて、憲法改正の前に地道にできることは、するべきであることを主張しました。

この憲法改正以前にできることもしないようでは、憲法改正などできないと思いますし、仮にできたとしても有名無実になる可能性すらあると思います。

そうして、この記事には掲載しきれなかったことを以下に掲載します。

憲法改正は日本国憲法ではなく大日本帝国憲法を土台にせよ

それは、私たちは現行の日本国憲法を元に憲法改正をするというのではなく、大日本帝国憲法に立ち返りそこから、新たなに現在の憲法を考え出すべきだということです。

憲法論議に関して明治時代にまで遡ると、当時日本が生き残るために必要だったのは、西欧の人々が納得するような憲法や法体系でした。

憲法がなければ、不平等条約も改正できず、西欧に伍することもできなかったからです。そこで伊藤博文らが、西欧のサル真似ではなく、日本の歴史、文化、伝統に則りながら、西欧をも凌駕するような気概で作ったのが大日本帝国憲法でした。

日本古来よりある十七条憲法と五箇条の御誓文から『古事記』『日本書紀』までを徹底的に研究し、たとえば、議会制民主主義は『孝徳天皇や天智天皇のころよりから日本は話し合いで政治をやってきた、天皇が臣下と相談せずに物事を進めるという伝統は我が国にはない』というふうに解釈し解説書を著しました。

西欧の流儀を取り入れつつも、日本の伝統には則る。変わりゆく伝統のなかで歴史を紡ぐことを決意したのです。帝国憲法に書かれている国家観は『日本は天皇の国である』という一言に尽きます。これまでの日本は天皇によって統治されてきたことを条文で定めるのではなく、改めて『確認する』という内容になっています。

伊藤博文らは10年近くもの時間をかけて、伝統と国益が両立する憲法を作りあげました。一方の日本国憲法はマッカーサーの落書きをもとに素人が1週間で書き上げてものだと言われています。

かけた労力もさることながら、両者の最大の違いを端的に言えば、日本国憲法は、有事を想定していないことにあります。日本人が本当の意味で天皇を必要とするのは、『いざ』という有事です。

有事とは国家事変、戦争、天災の三つで、これらが起こったとき、大日本帝国憲法では天皇は日本の中心となって、国を滅亡から救う役割が求められるのです。たとえば、その典型は二・二六事件ですが、クーデターによって内閣がなくなったとき、反乱軍討伐の方針を示したのは昭和天皇でした。

帝国憲法では、『いざ』というときに日本国の本来の持ち主として、天皇は麻痺した政府機能を回復する役割を担っているのです。

これは、東日本大震災で菅直人首相が右往左往するなか、米軍が日本国内で日本国政府の承認を得ることもなく、自由に動き回っていた現在とはまるで様相が違います。実は、これがトモダチ作戦の現実です。

トモダチ作戦のためロナルド・レーガンから降り立った兵士ら

ところで、東日本大震災で自衛隊が大活躍したのは周知の事実ですが、あの震災時、米軍がいわゆるトモダチ作戦を実行しましたが、その米軍は武装解除はしていませんでした。武器は携帯するか身近な所に保管していたのです。

それは考えて見れば当然のことでしょう。軍隊が出動しなければならないほどの大規模災害が起きた場合、その地域の警察組織は寸断され機能しない状態になっていると考えられます。であれば暴徒に襲われる可能性があります。さらには住民は略奪されているかもしれません。

それを救うためには武器の携行は不可欠です。日本以外の国々では、軍隊が災害派遣される場合は治安出動も兼ねているのが普通です

しかし、陸上自衛隊は違いました。全兵力の3分の2近くを災害派遣に振り向けたのですが、災害派遣では基本的に武装をしていません。もし震災地に北朝鮮がゲリラ部隊を侵入させていたら陸自は住民の命を守れないどころか自らの身さえ危なかったのです。

陸自隊員の大半は非武装で作業をしていたわけですから、日本を原発テロ等から守ったのはまぎれもなく米軍でした。

震 災 地 で 救助 活動 を 展開 した 日本 の 自衛隊
東日本大震災での自衛隊の活動には、称賛の声もある一方、信じがたいことに震災後三日間で手持ちの食糧が尽きたために、コンビニで買ったレトルト食品で飢えをしのいだとか、震災派遣などで使用する専用の地図が自衛隊の派遣部隊になく、ゼンリンの地図で被災地に行けという無理難題の命令が出され、無理やり行かされたものの、軍用手袋も足りていない悲惨な状況であったという批判もあります。

自衛隊は、実は自己完結できる組織でなく、災害派遣の用意すらしていなかったことを証明することとなったのです。

自衛隊が派遣されるということは、武装組織が派遣されるということで、非武装で活動していたのであれば、普段から自衛隊が団体行動をとって一つにまとまって動けるということ以外では、全国から警察官や消防士を掻き集めて作業をするのとあまり変わりなかったともいえます。

災害派遣に於て、自衛官は武器を携帯することは出来ないのでしょうか。自衛隊法第87条には「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる」とあります。

ゲリラやテロを警戒するのであらば、それは治安出動(第78条)に当たります。その際に警察官と同様の活動が出来る(第89条第1項)から、当然武器の携帯が認められるはずです。しかし、その使用には正当防衛及び緊急避難の外には指揮官の命令がなければならない(同2項)から、むしろ警察官よりも要件が厳しくなっています。これでは自衛隊を派遣する意味がありません。

せめて第89条第2項を削除して、最低でも警察と同じ活動が出来るようにすべきです。例えば火事場泥棒が銃器を持って逃走している場合、自衛官は指揮官の命令が無ければ、彼に発砲することすらできません。

現行法では、少なくとも現実では、自衛隊が災害派遣されても、自衛官に治安を維持する能力はなく、自分の身を守ることさえ出来ないのです。

マッカーサーは日本を奴隷化するために、日本国憲法に『いざ』というときの文言をわざと入れなかったからこそ、このような馬鹿げた事態を招いてしまったのです。


以上のように厳然たる事実として、自衛隊は国を守るにはあまりにも脆弱です。正規軍、予備役合わせても、同じ島国で日本より領土が小さい台湾の兵力を大きく下回っており、東アジアの中だけでも完全に“戦力外通告”を受けたようなものです。

このような現実を招いている理由は簡単で、軍隊を持つか持たないかで国としての合意がないからです。そんな国が日本以外のどこにあるというのでしょうか。大半の国では『持つ』という合意があり、一部にはバチカンみたいに『持たない』という国もあります。

あるいはコスタリカのように、軍隊を廃止するかわりに有事には全国民が民兵として戦うという国もあります。その議論を経ずに、憲法の条文で自衛隊の名前を国防軍に変えただけで、“軍隊”になるわけがもありません。

戦後生まれの日本人にとっては当たり前の日常ですが、本当にいまのままで良いのでしょうか?そう言うと、70年間も日本国憲法をありがたく奉ってきた世代の思いはどうなるのか!と怒り出す人がいるようですが、それは民進党の蓮舫代表の国会での戯言と同じで何の意味もなしません。

実際、蓮舫代表はもとより、リベラル・左派、左翼の憲法論議はまるで意味をなしていません。まともな批判にも何にもなっていません。あまりに低次元です。

現行憲法を後生大事にしているから、今になって様々な矛盾が一気に噴出しているのです。日本という国を真剣に考えて作られたのは帝国憲法です。帝国憲法どころか、憲法改正を口にするだけでも、アジア近隣諸国の顔色をうかがわなければならないなど、日本は本当に独立国なのでしょうか。政治家に圧力がかかるなら、国民が力を結集すべきです。

日本が敗戦国のままでいることによって利益を得ている勢力がいる限り、憲法の見直しはなかなか進まないでしょう。だからこそ、帝国憲法を土台に、戦後70年の変化も踏まえて、新たな憲法を作り出す必要があるのです。

土台が元々狂っている日本国憲法典の字面を変えただけでは、まともな日本の憲法はできないのです。

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2017年5月8日月曜日

【痛快!テキサス親父】「反日」韓国人訪日増加のナゼ 日本人は世界で評価も、フランス人や中国人は人気がない―【私の論評】エリートではない一般の日本人の底力(゚д゚)!

【痛快!テキサス親父】「反日」韓国人訪日増加のナゼ 日本人は世界で評価も、フランス人や中国人は人気がない

京都・金閣寺。訪日した外国人の多くは、日本と日本人の素晴らしさを実感する
ハ~イ! みなさん。

 世界のホテル従業員が選ぶ「ベストツーリスト」(最高の旅行客)や、世界中をカバーしている大手旅行代理店が出しているアンケート結果で、常に「好まれる旅行客」のトップは日本人だ。日本人が世界に与えている良い影響は、一度でも日本に行ったことがある人なら納得できるぜ。(夕刊フジ)

 俺が初めて日本に行ったとき、街にゴミが落ちていないことに驚いた。そこで、「なぜ、ゴミ箱がないのに、日本の道路にはゴミが落ちていないんだ?」って聞いてみた。実に、面白い答えが返ってきた。

 「日本では、小学校から授業が終わったら児童が掃除をするからです」っていうんだ。つまり、日本では「汚したら、片付けるのは自分」という教育をしているわけだ。日本人が外国に行っても、他人に迷惑をかけず、誠実な対応をする理由が納得できたぜ。

 一方、世界で人気がないのは、フランス人や中国人のようだ。

 俺は中国には行ったことがないが、フランスには何度か行ったことがある。フランス人は、パリでもそれ以外でも、ゴミ箱にゴミを捨てない。「道路にポイ!」なんだぜ。おまけに街中を歩くときには、犬の糞(ふん)を除けながら歩かなければならない。そんな国の人々が海外に行けば、渡航先が同様の状況になるのは理解できるよな。

 さて、日本ではいよいよ大型連休(ゴールデンウイーク)らしいな。日本の友人によると、海外旅行に出かける人の渡航先の一番人気は「台湾」だという。台湾には「親日」というイメージがあるよな。

 これに対し、韓国への旅行者は2012年から減少傾向だと聞いたぜ。慰安婦問題などで、あれだけ一方的な「日本たたき」をしているうえ、お隣の北朝鮮が「核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射」を示唆しているから、当然といえば当然だ。俺が日本人なら絶対に行かない。「1社で3000~4000人減少した」という旅行会社もあるそうだ。

 反対に、韓国からの日本への旅行客は3月で約48万8400人と、昨年の同時期に比べて30・6%も増加したそうだ。旅行会社によっては「8割増」だという。

 韓国は世界有数の「反日」国家で、歴代大統領が「日本たたき」をやってきたのに、なぜ、日本への旅行客が増加しているんだ? 円安の影響だけとは言えないよな。自らの国を「ヘル朝鮮」(地獄の朝鮮)と呼ぶ人々だけに、実は、日本に大きな憧れを抱いているのかもしれないぜ。

 親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。韓国人は日本を恨むことに力を注ぐのではなく、日本人が世界から好まれている理由をしっかり学んだ方がいいぜ。

 では、また会おう!


 ■トニー・マラーノ 評論家。1949年生まれ。テキサス州在住のイタリア系米国人。サラリーマンを定年退職後、動画サイト「ユーチューブ」などで連日、評論活動を行っている。世界のあらゆる“悪”と戦う「プロパガンダ・バスター」でもある。大変な親日家であり、日本でも圧倒的ファンを獲得している。自著・共著に『テキサス親父の「怒れ! 罠にかかった日本人」』(青林堂)、『日本は、世界の悪を撃退できる』(産経新聞出版)など。

【私の論評】エリートではない一般の日本人の底力(゚д゚)!

日本人の公共性や協調性の高さは、訪日外国人たちに感心されています。

しかし、それは国内に留まらず、海外でもいかんなく発揮されており、とても高い評価を受けているのです。

フログ冒頭のテキサス親父の記事にもあるように、以前、世界最大級の旅行サイトであるエクスペディアが、ヨーロッパの1万5000以上のホテルを対象に「ベストツーリスト」のアンケートを行ったところ、2位のアメリカを大きく引き離して、日本が見事1位に輝いているほどです。

日本人観光客の何が評価されたのかというと、マナーのよさ、礼儀正しさ、そして不平不満をいわないところ、だそうです。

また、部屋をきれいに使う、という点も高評価を得ています。

これらは、日本人の国民性ともいえる、個人よりも和を重んじる心が根づいているからにほかなりません。

「個性がない」「自分の意見をいえない国民性」と揶揄(やゆ)されることもありますが、世界の多くの人々からは好意的に見られているわけですから、変える必要はないでしょう。

この高評価は、パスポートの強さという部分にも表れています。

日本人観光客の礼儀のよさは古くから評価されており、
それが現在のパスポートの強さに反映されたのだ。
ビザなしで行ける国の多さで順位づけされるランキングの2015年版ではアジア1位の座を韓国と分け合い、総合では3位タイの172カ国。

今、世界で観光客の奪い合いが起こっている中国が45カ国で83というのを見ると、日本の順位がいかにすごいかがわかります。

さらに、入国審査では他国に比べてかなりスムーズ、かつ親切な対応を受けられるのは、日本が経済大国だということ以外に、とてもマナーがいいと歓迎される立場にあるからなのです。

本日は、テキサス親父の語る日本の凄さの他に、意外と当日本人もあまり気づいていない2つの事柄を以下に掲載します。

美容室&理容室の数は、じつに36万軒以上

国の規模や文化によって、美容院であったり床屋だったり、はたまた露天の散髪屋だったりという違いはあったとしても、「髪を切る」という習慣は万国共通のものです。


代金は世界的に見ても高額ですが、コストパフォーマンスも高いと評判。海外に進出する店舗も増えています。

ご存じのように、日本も理髪産業はとても盛んで、全国にある美容室&理容室の数は、合わせてじつに36万軒以上。

コンビニの総店舗数が5万ちょっとですから、この数字がいかに多いかがわかります。

そんな理髪大国の日本ですが、海外からは「理髪天国」として熱い視線が送られているのをご存じでしょうか。

その理由として、理髪技術が高いことも挙げられますが、外国人がとくに高い評価を与えているのが、理髪以外のサービスが多く、しかもクオリティが高いという点です。

なかでも美容室ならばシャンプー、理容室ならばシェービングが、大絶賛されているのです。

また、衛生管理もしっかりされていて、終始細やかな気配りのある接客も、外国人からは驚きと賞賛の声が上がっています。

このように、日本が理髪天国となったのは、相手の気持ちに配慮し、おもてなしの心で接するという国民性によるところが大きいのですが、理髪に関しては、江戸時代からこのような形態で行われてきたようなのです。

当時は「髪結い」と呼ばれ、理髪だけでなく、髭を剃り眉を整え耳掃除をするところまでがワンセットとされており、それが現在のおもてなしにつながっているではないかと思われます。

現代日本は人口が減少傾向にあり、理髪業界も苦しくなっているようですが、外国人をうまく取り込んでいくことができれば、再び成長産業へと転換できるでしょう。

「新幹線劇場」ともいわれる車内清掃!!

東北・上越・北陸・北海道新幹線などが発着するJR東日本の東京駅で、日本人からは「すごい!」「神業!」、外国人から「ソークール!」と賞賛され、毎日行われているのが新幹線の車内清掃です。

折り返し時間は12分。降車に2分、乗車に3分かかるので、清掃に費やせる時間はわずか7分間。

この7分間に清掃員たちが完璧な清掃を行い、それはまるでパフォーマンスを見るかのようで「新幹線劇場」ともいわれています。

 主人公はJR東日本テクニカルハートTESSEI(テッセイ)の車内清掃スタッフたちです。

10分足らずの猛スピードで進められる清掃作業(作業中に撮影した写真17枚を合成=7月30日
新幹線が速いのは、技術力だけではありません。東京駅のホームにいるピンク色の制服を身にまとった清掃員も、重要な役割を担っているのです。

ホームに滑り込んできた車両が、折り返し新大阪方面に向けて出発するまで平均16分程度。車内清掃はこの間、「超特急」並みのスピードでこなさなければならないのです。

ドアが開くと同時に車内に駆け込むと、ものすごい勢いで座席のほこりを掃き、窓やテーブルを拭き、座席カバーを取り換えます。手には、電動クリーナーやゴミ袋。10分足らずですべての車両をピカピカにすると、ホームで乗車を待つ乗客に一礼。作業終了後の一礼では、ホームで乗車を待つ乗客へ「お待たせしました」と礼を尽くします。

これは「お客さまに気持ちよく新幹線をご利用いただいてほしい」というスタッフ一同の気持ちの表れです。そうして風のように去っていきます。

ホームで乗車を待つ乗客に一礼するアロハシャツ姿の清掃スタッフ
清掃員は東海道新幹線だけでなく各地の新幹線にも広がっています。JR東日本が運行する東北新幹線などを担当する清掃員は利用客に「魅せる清掃」を楽しんでもらおうと、アロハシャツや浴衣、冬はサンタクロースの衣装などをまといます。

車内清掃のことをJRでは「新幹線劇場」と呼ぶほどです。米CNNなど海外メディアから「奇跡の7分間」などと紹介され、米ハーバード大のビジネススクールで、新幹線の車内清掃が必修科目で取り上げられることになりました。

ただ、一番の栄誉は、新幹線と速度競争を繰り広げ、「技術力では負けない」と自負する欧州の高速鉄道TGVからのこんな言葉でしょう。TGVを運行するフランス国鉄総裁も視察に訪れてすっかり脱帽し、こんな言葉を残している。
「これだけはかなわない。清掃員を連れて帰りたい」

日本では、どこの街角にもある理髪店や、美容院、それに日本で旅をするには欠かせない新幹線。日頃当たり前に思って使っているものです。

しかし、これらに従事する人たちの心意気が素晴らしいです。今度利用するときには、彼らの心意気に感謝して「ありがとう」と大きな声で応えたいものです。昨年は、函館から新幹線で仙台まで行きましたが、やはり清掃の方々が素早く清掃をしていらっしゃいました。そうしてもちろん清掃が終わった後に「ありがとうございます」と声をかけさせていただきました。

それにしても、これは他国にはとても真似出来ないことではないかと思います。日本では、いわゆるエリートといわれる人ではなく、このような人たちが日本を支えているのです。それが、日本の底力です。

いくらエリートが檄を飛ばして、外国からの人々へのおもてなしを良くしなさいと叫んだにしても、外国から来るお客様と直接接してサービスを提供するのは一般の人々です。一般の人々のレベルが高いからこそ、日本は世界に誇るサービスを提供できるのです。

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2017年5月7日日曜日

北朝鮮への武器輸送支援、67歳邦人野放し ミグ21戦闘機や大量ロケット弾…国内法整備追いつかず、制裁「本気度」問われる政府―【私の論評】憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化したつけがまわってきた(゚д゚)!

北朝鮮への武器輸送支援、67歳邦人野放し ミグ21戦闘機や大量ロケット弾…国内法整備追いつかず、制裁「本気度」問われる政府

 核・弾道ミサイルの開発に絡み、北朝鮮が求める巨額の外貨や物資、技術者の移動阻止が世界的課題となる中、日本の対北制裁への取り組みについて専門家から厳しい見方が出ている。国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会専門家パネルが、北朝鮮の制裁違反を繰り返し幇助(ほうじょ)したと断じた企業の日本人経営者の男(67)についても、国内法の未整備もあり制裁措置は取られていない。安保理決議には法的拘束力がある。違反を放置すれば日本の対北制裁への“本気度”を疑われかねない。(加藤達也)


 2013年7月、パナマ政府によって北朝鮮貨物船「チョンチョンガン」が拿捕(だほ)された事件が契機となり、北朝鮮海運事業に関与する香港企業が浮上した。

パナマで拿捕された北朝鮮貨物船「チョンチョンガン」 
 拿捕された船舶は北朝鮮の海運大手「オーシャン・マリタイム・マネジメント(OMM)」(本社・平壌)の所有で、キューバから北朝鮮へ向けミグ21戦闘機の胴体など大量の武器を運搬していた。

「中核的存在だった」

 調査の過程で、OMMと密接に連携する香港企業の経営者である日本人の男の存在が判明。一方、専門家パネルは安保理決議違反で14年7月、OMMを制裁対象に指定し、船舶の移動も禁じた。ところが、香港企業が複数の船舶をOMMに代わって運航、制裁は骨抜きになっていた。

 パネルは香港企業が同年12月、貨物船「グレート・ホープ」を中国から北朝鮮に移動させた事例などをつかみ、制裁違反に加担したとして香港企業を制裁対象に追加した。

 パネル報告書などによると、男は1990年代、OMMの前身の頃から北朝鮮の海運に関与。事実上のOMM東京事務所の所在地と同じ東京・新橋駅前の雑居ビルの一室に海運会社を登記していた。少なくとも香港で北朝鮮のフロント企業11社を運営し、中国人と協力して多数の船舶を動員。「海運分野で北朝鮮の制裁違反を手助けするネットワークの中核的存在だった」(海事関係者)

 ネットワークは制裁で身動きが取れない北朝鮮海運のため船舶を融通し、武器輸送などで暗躍。昨年8月、エジプトで大量の携行式ロケット弾が押収された事件にも関与していた。

法整備が追いつかず

 香港企業を経営していた日本人の男について、パネル報告書は実名を記載。日本政府関係者によると、男は現在、活動を休止しているとみられる。ただ、日本政府が安保理制裁決議違反だとして制裁や法的措置を科した形跡は見られない。

 対北安保理決議(1718、2094)は制裁違反を行った個人に対して、渡航禁止措置を科すことを加盟国に義務づける。

 ただ、日本政府は現在、在日外国人の核・ミサイル技術者や一部の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部らについて訪朝後の再入国を認めないとの措置にとどまっている。国内法の整備などが追いついておらず、今後も類似事例で制裁を科すことは困難な状況だ。

 元パネル委員の古川勝久氏は「日本は取り組みが遅れている」と指摘した上で、「国連制裁は複雑化し、専門的な技術や法的知識を要する。米国や英国のように日本政府内にも制裁専門の組織が必要だ」と話した。


文世光事件 残した教訓

 重大な犯罪に関与した北朝鮮協力者に対する捜査や取り締まり、制裁について、これまでにも日本の姿勢が消極的だと指摘されたことはあった。韓国で1974年8月15日に起きた朴正煕大統領暗殺未遂(文世光)事件は代表例といえる。

 在日本韓国居留民団(当時)の団員で大阪市出身の文世光元死刑囚=当時(22)=は73年11月、朝鮮総連の大阪地方幹部の男にそそのかされ、資金提供や射撃訓練などを受けて朴大統領暗殺を決意した。

 文元死刑囚は74年5月、大阪停泊中の北朝鮮船「万景峰号」内で思想教育を受け、7月には大阪府警の交番から実弾入りの拳銃を盗み出し、8月に渡韓。日本統治からの独立を祝う式典壇上にいた朴大統領を銃撃したが失敗し、近くの陸英修夫人を射殺した。

朴正煕大統領暗殺未遂事件
 韓国当局は、朝鮮総連(北朝鮮側)の差し金で首脳殺害を企てたテロ事件とみて、日本国内での背後関係解明も視野に捜査。朝鮮総連の指令や支援のもとに行われた犯行と断定し、「対韓国テロの拠点」である朝鮮総連への捜査や、文元死刑囚を犯行に仕向けた男の身柄引き渡しを要請した。

 一方で日本側は、初動で文元死刑囚の渡航に協力した日本人女性を逮捕したものの、朝鮮総連の関与などについて解明できないまま捜査を終結させた。共犯とみられた男の身柄引き渡しにも応じなかった。

 朴大統領は「日本は赤化工作の基地だ」と指弾。日本政府の姿勢に不満を抱いた韓国民が在韓国日本大使館に乱入するなど、日韓関係は国交正常化後、最悪の状況となった。

 事件について、北朝鮮の対日工作に詳しい西岡力麗澤大客員教授は「日本がテロの基地になっていたことを示す事例だ」とし、「北朝鮮のテロに対して日韓がともに戦う体制が構築できず、結果として70年代後半に多くの日本人が北朝鮮に拉致されたといえる。テロと戦わないと必ず新たなテロが起きるという教訓を残した事件だ」と総括している。


【用語解説】国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会専門家パネル

 安保理制裁委の下で対北朝鮮制裁決議違反を調べる組織。北朝鮮の核実験を受けて2009年に設置され、定員は8人。調査は国連憲章7条により加盟国への法的拘束力がある安保理決議に基づいており、加盟国は調査への協力義務がある。調査結果は毎年、報告書にまとめられ、決議案にも勧告する。

【私の論評】憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化したつけがまわってきた(゚д゚)!

北朝鮮の武器輸出に関しても、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会で制裁違反を調べる専門家パネルがまとめた最新報告書の概要が2月8日に発表されています。

この報告書では、エジプトに昨年寄港した船舶から大量の北朝鮮製武器が見つかり、同国の弾薬類の押収量としては過去最多だとしています。北朝鮮が制裁逃れの手法を駆使して大規模な武器取引を続けている実態が浮き彫りとなりました。

最終目的地や具体的な押収量は明らかになっていません。北朝鮮による武器輸出は過去の安保理制裁決議で全面禁止されているのですが、核・ミサイル開発の資金源の一つとなっている可能性が高いです。

複数の外交筋によると、船舶から押収された武器には携行式ロケット弾なども含まれていました。エジプト政府関係者は、こうした武器が隠されていたコンテナの最終目的地はエジプトではなく、取引にも関与していないと主張しているといいます。

エジプトのほか、北朝鮮と軍事協力してきたシリアやアフリカに向けられたものだった可能性もあります。北朝鮮の武器取引を巡っては2009年、バンコクの空港に着陸した貨物機から携行式地対空ミサイルや対戦車ロケット砲など総重量約35トンが押収された例があります。

2009年12月、バンコクのドンムアン空港で、大量の北朝鮮製武器を積んでいるのが見つかった貨物機
共同通信が入手した報告書の要約は、北朝鮮による制裁逃れの手法が「より巧みになっており、規模や範囲も増している」と指摘しました。北朝鮮の制裁対象団体や銀行は海外の代理人を使って活動を続けており、世界有数の金融センターを通じて送金するなど国際的な銀行システムへのアクセスも維持しているとしました。

原則として取引を禁じられた石炭などの鉱物資源の輸出も続けています。

北朝鮮は昨年2回の核実験を強行、弾道ミサイル発射を繰り返し、安保理は2度にわたる決議採択で制裁を強化したのですが、専門家パネルは「制裁履行が不十分で一貫性がない」と指摘、加盟国の「政治的意思」が欠けていると厳しく批判しました。

北に対する制裁は、結局のところあまり効果が無いようです。

以上のように闇ルートで北朝鮮の武器が世界中に販売されたり、北朝鮮が求める巨額の外貨や物資、技術者の移動がなされている実体を見ると、危惧されるのは、テロリストへの武器の流出です。

テロリストばかりではなく、工作活動に従事する各国の諜報機関も、非合法な武器の調達のため、実は北朝鮮を便利に利用しているのではないでしょうか。

北朝鮮が核開発を強力に推進している現実を見れば、現在の脅威は深刻です。北朝鮮の核兵器がテロリストの手に渡る可能性さえあります。
ISなどと協力し、北朝鮮が表に姿を現さず核テロを起こすこともあながちないともいえません。

とすれば北朝鮮は、既に東京でもワシントンでも、或いはモスクワや北京さえも、テログループにより核爆弾で吹き飛ばす能力を保持しているといえなくもありません。そのような計画がないとしても、少なくとも、そうした潜在能力を秘めているのは確かです。

これは、世界の安全保障に対する深刻な脅威です。日本国内にはなぜか、親北系組織が多いです。朝鮮総連、朝鮮学校、朝鮮出身者によるパチンコ等を一掃すべきです。北朝鮮の工作組織が、日本を活動拠点の一つにするのは、何としても阻止しなければなりません。

北朝鮮の制裁違反を繰り返し幇助(ほうじょ)した企業の日本人経営者の男(67)についても、国内法の未整備もあり制裁措置は取られていません。このままだと、北朝鮮の日本への脅威を自ら真似ていしまっているというこの事実が、日本にとって有害であるばかりではなく、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねません。

これらを排除することは、現在の日本国憲法の枠組みでも十分にできるはずです。

先日は、このブログで憲法典が変われば何もかもがすぐに変わると思い込むのファンタジーに過ぎないことを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。 
【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では自衛隊のトイレットペーパーが自前であることや、陸自の国内のフアーストエイドキットがあまりにもお粗末なこと、陸自の自衛官の実弾訓練が米国の軍楽隊以下であることなどを例にとって、これらの事柄は憲法典を変えなくても十分できるはずのものなのに、できていないことを批判しました。

そうして、憲法典が変わればすべてが変わる単純に思い込むことはファンタジーに過ぎないことを主張しました。

本日は、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねない状況であることを指摘しましたが、この事実からしても、現憲法下でもできるはずの、北朝鮮への制裁が法整備の不十分でできない現状からみても、やはり憲法典が変わればすべてが変わると思い込むのはファンタジーに過ぎないことが良く理解できます。

世の中には憲法典のないまともな法治国家も存在します。それはイギリスです。


グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、通称はイギリス)における憲法とは、議会決議や裁判所の判例、国際条約、慣習等のうち、国家の性格を規定するものの集合体です。憲法典が存在しないことは、憲法が存在しないことを意味するわけではないのです。

憲法典としては制定されていないため、不文憲法または不成典憲法であるといわれています。憲法を構成する大部分は成文法(憲法的法規、law of the constitution)であり、議会によって改正・改革が行われる軟性憲法であるのですが、慣習に基づき、伝統的に憲法を構成するとされる法典が、その他の法律のようにむやみに改廃されることはありません。

成文法の他、様々な慣習法(憲法的習律、conventions of the constitution)に基づく権力(国王など)の権能の制限、貴族の権限及び儀礼の様式なども、「イギリスの憲法」を構成する要素に含まれています。

議会主権を基礎とすることから、通常の手続に従って議会が法律を制定することにより、憲法的事項を制定、変更することが可能です。

そうして、憲法典のないイギリスでは、イギリスという国の成り立ちや、国柄、法典制定の過程で論議されて生まれてきた国家に関する基本的考え方を憲法としているのです。

この考え方からすれば、憲法典の文字面を多少変えたからといって、すぐに何もかもが急に変わるというわけではないことがご理解いただけるものと思います。

もし日本国憲法に「人間の命は永遠である」と書いた途端に日本人が不死身になったり、そこまでいかなくても日本人の多くが長寿にはならないということです。

日本の対北制裁への取り組みについて、真剣に考えれば、日本という国の成り立ちや国柄、その他日本国に関する基本的な考え方も議論されなければならないはずです。そのようなことを真剣に考えてこなかったのが今までの日本です。

だからこそ今日北朝鮮への制裁が十分にできないどころか、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねない状況を招いてしまっているのです。これは、与党にも野党にも重大な責任があります。

憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化して、議論してきたつけがまわってきたのです。

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2017年5月6日土曜日

【メガプレミアム】もはや危険水域か、韓国庶民の「家計」…富める者に向けられる「国民感情」―【私の論評】安全保障の面から日米は韓国に強力に金融緩和を迫るべき(゚д゚)!


グラフ、写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 韓国庶民の家計が“爆発寸前”になっているという。韓国銀行(中央銀行)が発表した昨年末の家計負債が、1344兆3千億ウォン(約133兆円)に上り、前年末比11.7%増と関連統計を取り始めて以来で最大規模となったのだ。さらに、家計の実質所得は7年ぶりに減っており、韓国メディアは「水があごまで上がってきた」と表現している。朴槿恵(パク・クネ)大統領の疑惑では政経癒着がやり玉に挙がっているが、韓国で法律よりも優先されるといわれる国民感情にも影響しているとみられる。

 尋常でない増加速度

 韓国紙・中央日報(日本語電子版)によると、韓国銀行が2月に「2016年第4四半期の家計信用」を発表し、家計の金融機関からの借り入れとクレジットカードの使用残高が昨年12月末で1344兆3千億ウォンで、1人当たりで換算すると約2600万ウォン(約259万円)を超えた。

 これに対し、ハンギョレ新聞(同)は社説で「昨年の家計負債の増加速度からして驚異的」と問題提起した。家計貸付金残高は、過去1年間で11.7%増となり、増加率は経済成長率の3倍近く、統計を取り始めた2002年以来の最高値だった。

 同時にこの社説は「家計の質が悪くなったことが、特に大きな関心事だ」と強調した。昨年の家計向け銀行融資残高が9.5%増加する間に、利率が極めて高い第2金融圏(ノンバンク系)の融資残高が17.1%も増加。政府の家計融資抑制対策が銀行だけに集中したため、ノンバンク系への風船効果になった。

 つまり、銀行からの借金増に歯止めをかけるため、銀行の与信審査を強化した結果、銀行融資の敷居が高くなった人たちが高金利のノンバンク系へと流れたという。

 中央日報(同)によると銀行圏の家計融資は、昨年7~9月期に17兆2千億ウォンから同10~12月に13兆5千億ウォンに失速。一方で、保険会社や相互貯蓄銀行など第2金融圏と貸付業者の家計融資は、同じ期間に19兆8千億ウォンから29兆4千億ウォンへと大幅に増えている。

 同紙は「低所得・脆弱階層が償還延滞に陥るなど困難にぶつかる可能性がある」と警鐘を鳴らす専門家の声を掲載した。

 実質所得は減少

 一方、韓国では昨年、世界的な金融危機の余波が深刻化した2009年以降で7年ぶりに初めて実質所得が減少している。

 ハンギョレ新聞(同)によると、韓国統計庁が2月24日に発表した「2016年第4四半期および年間家計動向」では、昨年の世帯当たり月平均所得が439万9千ウォン(約43万円)と、前年の0.6%増に終わったことが分かった。

 物価上昇分を差し引いた実質所得基準でみれば0.4%減となった。とくに低所得層ほど体感苦痛は大きくなるとみられ、所得下位20%世帯の月平均所得は144万7千ウォン(14万4千円)で前年より5.6%減と史上最大幅の減少を記録している。所得下位20~40%世帯も291万4千ウォン(29万円)で0.8%減だった。

 ところが、所得上位20%世帯の所得は、834万8千ウォン(83万円)で2.1%増となっており、貧富格差が鮮明になっている。

 富める者に厳しくなる世論
 こうした家計の逼迫(ひっぱく)状況が韓国銀行の金融政策の選択肢を限定的にしている。

 聯合ニュース(同)によると、韓国銀行は2月23日に政策金利を年1.25%を据え置くことを決めた。急増し、過去最高水準となっている家計負債が重荷となり、利下げは家計に新たな借金に踏み切らせる要因となる。逆に利上げすれば借金の負担が大きい世帯が破綻しかねないからだ。

 ハンギョレ新聞(同)は社説で「今後金利が上がれば、限界家計の破産が急増せざるを得ない」と指摘する。

 朴氏の友人で女性実業家の崔順実(チェ・スンシル)被告らをめぐる一連の疑惑が国家を揺るがす事態となっている韓国。最大財閥、サムスングループの経営トップである李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の逮捕を認めた地裁の判断も、政経癒着を批判する世論に配慮した側面があるといわれる。

 韓国の国内総生産(GDP)と輸出額のそれぞれ約20%を占めるといわれるサムスングループの総帥の逮捕をも迫る世論は、韓国の庶民が直面する生活苦が影響し、既得権を持つ富める者に厳しくあたるように形成されているのかもしれない。(3月16日掲載)



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【私の論評】安全保障の面から日米は韓国に強力に金融緩和を迫るべき(゚д゚)!

 ブログ冒頭の記事は、3月16日のものです。現状も経済状況はほとんど変わらないでしょう。本日韓国の経済に関するニュースを検索すると、朝鮮日報に以下のような記事が掲載されていました。
たんす預金急増、日本と同じ道歩む韓国
 韓国中部・大田市の有名飲食店の経営者Nさんは先月、現金8億4500万ウォン(約8300万円)を自宅のたんすに保管していて、盗難被害に遭った。全て最高額紙幣の5万ウォン札ばかり1万6900枚だった。Nさんは5万ウォン札を100枚ずつゴムで束ね、10束ずつ新聞紙に包んでいたという。泥棒は米袋2枚に現金を詰めて持ち去った。重さは20キログラムあった。 
 クレジットカードの利用が決済額全体の半分を超え、「キャッシュレス社会」を迎える中、巨額の現金をたんすに積み上げていたのはなぜか。Nさんは「現金を集める楽しみで自宅に保管していた」と警察に説明したが、果たして本当だろうか。 
 韓国よりも先に超低金利時代を迎えた日本では、そうした現金を「たんす預金」と呼ぶ。たんす預金は韓国にどれだけあるのか。また、たんす預金は経済にどんな影響を与えるのか。 
■家計の保有現金6.7兆円 
 韓国銀行(中央銀行)によれば、昨年末現在で韓国の家計が保有する金融資産のうち現金は68兆2610億ウォン(約6兆7000億円)だった。預金、保険、債券、株式、投資信託などに入れた資金を除き、純粋な現金だけを計算した額だ。 
 家計の現金資産は年々増えている。2013年の39兆ウォンから14年には47兆ウォン、15年には58兆ウォン、昨年には68兆ウォン台となり、年間10兆ウォン前後のペースで膨らんでいる。家計の現金資産が金融資産全体に占める割合は同じ期間に1.4%から2%台へと上昇した。 
 保管の便利さを考えると、家計が保有する現金の大半は5万ウォン札だとみられる。現在流通している紙幣で最高額の5万ウォン札は2009年に発行された。昨年末までに韓銀が発行した5万ウォン札は総額135兆ウォンで、発行以来韓銀に戻ってきた5万ウォン札は60兆ウォン足らずだ。つまり、市中に75兆ウォン以上の5万ウォン札が流通していることになる。
■個人用金庫の販売15%増 
 自宅での現金の保管方法はさまざまだ。国政介入事件の中心人物、崔順実(チェ・スンシル)氏はトイレットペーパーの芯に5万ウォン札を300万ウォンずつ挿してあるのを取り出して使っていたという。ただ、個人用金庫に現金を保管するケースが多いはずだ。崔氏も自宅に金庫2個を置いていた。

 韓国の金庫市場で70%以上のシェアを占めるソンイル金庫の今年1-3月の金庫販売は前年同期を15%上回った。昨年の年間伸び率(12%)に比べると、最近金庫の売れ行きが好調なことが分かる。同社関係者は「金庫販売が増えているが、容量が大きい金庫が売れるようになっている」と述べた。金庫の中に何かを詰め込んでいることの証だ。

 ソウル市の江南地区に住む主婦(45)は「金庫に現金、金塊、結婚時の記念品、高級腕時計など高価なものを保管する近所の人が増えている。米トランプ政権発足で北朝鮮リスクが浮上し、不安感が高まり、金融商品よりも現金を保有する傾向が高まったのではないか」と話した。

■日本式のたんす預金 
 日本のたんす預金は銀行など金融機関には預けず、自分で保管する現金という意味だ。日本のたんす預金は昨年末現在で43兆2000億円を超えた。高額紙幣の1万円札の需要も急増した。マイナス金利、徴税強化、資産関連の情報公開拡大、今後の景気に対する不安感が現金人気の主因と言える。

 韓国でも似たような現象が起きている。40代の弁護士Kさんは100万ウォンを超える決済も必ず現金払いにしている。なじみの飲食店では月末に代金を現金で一括払いする。Kさんは「預金金利や投資収益がいくらにもならないのに、あえて課税収入を明らかにする理由はない」と話す。ソウルの有名百貨店の地下にあるスーパーマーケットでは、数十万ウォン相当の買い物をして、現金で支払う人が珍しくない。朴槿恵(パク・クンヘ)政権の発足後、地下経済に対する課税が強化され、5万ウォン紙幣の回収率が60%台から20%台にまで低下した。

 延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「日本では中産階級の消費縮小に伴いたんす預金が増えた。韓国でも家計が現金保管が消費低迷を伴えば、経済全体にマイナスの影響を与えかねない」と懸念した。

琴元燮(クム・ウォンソプ)記者
この記事によれば、韓国銀行(韓国の中央銀行、日本の日本銀行にあたる)政策金利を年1.25%に据え置くということで、これは確かに低金利ですが、未だ日本の水準には及んでいません。日本の政策金利は、0.1です。

日本の場合、あまりにも長い間経済が低迷したため、このような結果を招いてしまいました。

韓国も日本ほどではありませんが、日本と似たようなところがあります。ブログ冒頭の記事のように、これだけ景気が悪いのですから、これは常識的に考えればすぐにでも大規模な金融緩和をすべきなのでしょうが、なぜか金融緩和をせよという声は起こらず、なぜか構造改革論ばかりが叫ばれています。

これは、日本で失われた20年の直前から日本でも構造改革が叫ばれていたのと似たような状況です。日本では、ご存知のように構造改革ばかりが叫ばれ、景気循環的対策である金融緩和が実行されなかったため、強烈なデフレを招いてしまいました。

韓国も似たような状況にあります。ただし、韓国ではデフレ状況ではないですが、それにしても、もう数年前から雇用環境は最悪で、特に若者の雇用がとんでもない状況になっていました、このような状況になれば、まずは大規模な金融緩和をすべきです。

しかし、このブログでも一昨年あたりから、韓国は大規模な金融緩和に踏み切るべきという内容の記事を掲載したのですが、これには以下のような反論を述べる人がいました。

まずは、韓国の経済は腐敗がまかり通っていて、金融緩和しても経済は良くならない。そうして、金融緩和するとキャピタルフライトが発生するというものです。

ちなみに、キャピタルフライトとは国内から海外へ資本が一斉に流出する資本逃避のことです。

私は、いくら韓国の経済活動には不合理なことがまかりとおっていたにしても、構造改革をしてそれが効果をあらわすまでには、最低でも5年、長ければ10から20年もかかる場合もあります。しかし、現状の経済がブログ冒頭の記事にもあるようにとんでもない状況にあるわけですから、構造改革はするなとはいいませんが、その前にまずは金融緩和をすべきです。

それに、金融緩和をして、ある程度経済が上向けば、構造改革も実行しやすいはずです。日本でも、かつて、構造改革至上主義のようなものがあり、遅れた経済構造のまま、金融緩和をしても効果がないとか、もっと極端な例では金融緩和をすれば構造改革を妨げるから、すべきではないという主張もありました。

民主党から自民党への政権交代の直前に当時の安倍晋三氏が政権交代後に金融緩和政策を実行する旨を公表したときに同じようなことが言われていました。

しかし、現実には、目立った構造改革の成果もないまま、2013年から金融緩和に踏み切り、その結果は間違いなく成功し、そのような主張はことごとく外れています。その成功については、このブログでもつい先日掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出―【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

アベノミクスは、特に雇用において、完璧に成功しています。個人消費もこれから伸びていくことが予想されます。詳細は、この記事をご覧になって下さい。

さらに、現在の韓国経済は確かに遅れた面がありますが、それにしても韓国ではキャピタルフライトは起こりにくいはずなので、やはり大規模な金融緩和をなるべく早く実行すべきです。

なぜ韓国において、キャピタルフライトがおきにくいかといえば、それは我が国と同じく、韓国は変動相場制の国であるからです。

通常変動相場制の国であれば、 金融緩和をすれば自国通貨安になり、外貨流出を抑えることになります。さらには、高金利政策をとりキャピタルフライトをおきにくい状況にすることもできます。変動相場制の国であれば、政府の外貨準備は通常市場とは直接関係しません。したがってキャピタルフライトは固定相場制の国とは違って発生しません。なぜなら極端な通貨安に振れる理由がないからです。

現に1997年のアジア通貨危機では被害国は固定相場でした。韓国は、80年から変動相場制への移行をはじめ、97年アジア通貨危機後に完全変動相場制になりました。現在では完全変動相場制です。

無論、変動相場制の国の場合でも、キャピタルフライトは起こり得る場合もあります。それは、まずユーロなどの共通貨幣を用いている国ではあり得ることです。しかし、韓国は共通通貨を用いている国ではありません。

さらに、変動相場制の国でもキャピタルフライトがおこる可能性もあります。それは、対外債務が極端に多い場合です。

「キャピタルフライト(capital flight)」の代表例は、2008年の世界金融危機前後のアイスランドが挙げられます。

人口約32万人にすぎないアイスランドは外国資本に大きく依存し、銀行を中心とした金融業を中心に発展してきました。しかし2008年にサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機と前後して外国資本が"資本逃避"を開始しました。

通貨クローナの価値は急落し、銀行もGDP(国内総生産)の10倍にも膨らんだ対外債務の返済に窮すなど、アイスランドは国家破綻の危機に見舞われました。

当時のアイスランドの財政状況は、政府の財政だけをみていると日本財政破綻論者が夢に見るような理想的な状況にあったのにもかかわらず、アイスランドは破綻しました。

その秘密はアイスランドの経常収支赤字にあります。


このグラフはアイスランドの経常収支対GDP比の推移ですが、破綻した2008年までにアイスランドは実にGDP比で15%以上の赤字を計上していました。

ただし、勘違いしないで下さい。経常収支の赤字がすべて悪いというわけではありません。ただし、アイスランドの場合は経常収支のマイナスのほとんどが対外債務だったのです。以前から、このブログでは経常収支が赤だからといって、必ずしも悪いというわけではないということを主張してきました。

経常収支の赤字は分析してみないと、それが当該国にとって良いことなのか、悪いことなのか、ただ赤字だから、黒字だからといって良い悪いということはいえません。ただし、アイスランドの場合は、赤字のほとんどが対外債務だったので、これは典型的な悪い例です。

これを日本に当てはめてみますと、GDPが500兆円としてその15%はなんと75兆円です。つまりアイスランドは日本に換算すると、毎年75兆円もの対外債務を積み上げていたことになります。

以下に当時の新聞から引用します。
アイスランド:外貨建て債務再編交渉、数週間以内の開始準備-WSJhttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-K9YHPR0UQVIT01.html 
11月7日(ブルームバーグ):米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、オンライン版)は7日、アイスランド政府当局者が、総額750億ドル(約7兆3000億円)近くに上る同国金融機関の外貨建て債務の再編を目指し、債権者との交渉を今後数週間以内に開始する準備を進めていると報じた。関係者の話を引用して伝えた。 
RBCドミニオン・セキュリティーズのリサーチノートによれば、アイスランドの金融サービス機構(FSA)が設立した委員会のアドバイザーとして、大手会計事務所デロイト・アンド・トウシュが採用されたという。750億ドルの外貨建て債務は、アイスランドの国内総生産(GDP)の700%を上回る規模であり、永久に完済されない可能性があると同紙は指摘している。
なんと、アイスランドは実にGDP比で700%もの外貨建ての借金をしておりました。しかし、当時のアイスランドの政府債務対GDP比は29%しかありません。この700%もの債務は一体誰が負っていたのでしょうか。

アイスランド政府の借金でないのであれば、あとは民間しかありません。この膨大な対外の外貨建て債務は国内の金融機関が負っていた負債です。

このような国であれば、当然のことながらキャピタルフライとは起こりえます。そうして、実際アイスランドではそれが起こったのです。

では、韓国の対外債務はどうなっているのでしょうか。韓国銀行は2月22日、韓国の対外債権が前年比638億ドル増の7843億ドルとなったのに対し、対外債務は151億ドル減の3809億ドルだったと発表しました。

対外債務では長期対外債務が160億ドル減少し、短期対外債務は8億ドル増えました。外貨準備高(3711億ドル)に占める短期対外債務(1052億ドル)の割合は28.3%で前年と同じでした。同割合は2013年の32.3%、14年の32.0%、15年の28.3%と年々低下してきました。1997年の通貨危機当時(283.1%)、2008年の金融危機当時(79.3%)に比べるとはるかに低い水準です。

この程度の対外債務であれば、どう考えても金融緩和したからといって、キャピタルフライトが起こるということは考えられません。

以上のことから、韓国はすみやかに大規模な金融緩和をすべきです。

もう、数年前から行うべきでした。もし数年前から大規模な金融緩和を行っていれば、今頃韓国はまずは、現在の日本と同じように、雇用それも若者雇用がかなり良くなっていたことでしょう。

そうして、もし韓国が日本のように金融緩和実行後、まだその影響があまり出ていないうちに増税するなどという、マクロ経済的に見て悪手中悪手を行なわなければ、家計債務も減っていた可能性が十分にあります。減らなくて、少なくと増加はしなかったと考えられます。

そのような状況であれば、赤化勢力もあまり台頭することもなく、国民の不満もあまりなく、朴槿恵政権も続いていたかもしれません。

文在寅氏が大統領なら「赤化統一」
しかし、今後も金融緩和をすることなく、構造改革一辺倒で、経済の悪化を放置しておけば、韓国の赤化に拍車がかかることになります。

現在の北朝鮮の脅威が迫っている中での韓国の有様を見て、正気の沙汰ではないと批判する人々も大勢います。私も、到底納得できないこともあります。

しかし、考えてみて下さい。日本が現在の韓国のような状況であれば、どのようなことになるでしょうか。現在の韓国の状況は、日本がデフレ・スパイラルの底に沈んでいたことろよりももっと酷い状況にあります。そんな状況に追い込まれたら、いかなる国の国民も、何をするにも八方塞がりで、正気の沙汰とはいえない行動に出るかもしれません。

ちなみに、日本がデフレスパイラルのどん底に沈んでいた頃ですら、家計負債が極端に増えるということはありませんでした。

2012年6月時点では、地方を含む一般政府の金融負債は4.2%増の1123兆9187億円と過去最高となったにもかかわらず、家計金融資産は、現・預金が当時過去最高の844兆円となっていました。やはり、日本は韓国と違ってかなり経済的にはかなり底力があるのです。

韓国の場合は、本格的なデフレに至っていなくても、元々の経済の脆弱性から、ブログ冒頭のような様相を呈しています。

日本では、池田内閣の所得倍増計画が成功して、本当に所得が倍増した頃から、日本国内におけるソ連の影響がほとんどなくなりました。経済が良くなったので、わざわざソ連のプロパガンダにのる必要性がなくなったからです。やはり、経済が良くなければ、どの国の国民だって、容易に扇動されやすくなるのです。

今後、韓国経済がデフレになり、デフレが進化していけばとんでもないことになります。それこそ、赤化どころか、北に統一すべきという過激な意見も出てくる可能性も高いです。

そのようなことを防ぐためにも、韓国は速やかに金融緩和に踏み切るべきです。これは、安全保障の観点からも、日米は韓国に強力に迫るべきです。そうして、金融緩和が功を奏するまでには、タイムラグがあります。だから、日米はしばらく、韓国に緩和を迫り続けるべきです。安全保障は武力だけで成就できるわけではありません。今の韓国では、強力な金融緩和を実行することが、安全保障につながることになるのは確かです。

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2017年5月5日金曜日

ルペン氏、偽ニュースも利用=挽回に必死―仏大統領選―【私の論評】ローマ帝国が瓦解したように、EUもいずれ崩壊する(゚д゚)!

ルペン氏、偽ニュースも利用=挽回に必死―仏大統領選

国民戦線のルペン候補
 フランス大統領選の決選投票が7日に迫っている。

 世論調査では中道系独立候補のマクロン前経済相(39)が優勢を保ち、極右政党・国民戦線(FN)のルペン候補(48)は足踏みが続く。挽回に必死のルペン氏は、偽ニュースさえ利用してマクロン氏を批判したり、事実に基づかない主張を繰り返したりするなど、なりふり構わない姿が目立っている。

 「あなたが租税回避地に口座を持っていると後で判明しないことを願う」。ルペン氏は3日のテレビ討論で、金融機関勤務時代に巨額の報酬を得たマクロン氏の「税逃れ疑惑」に言及した。マクロン氏は「中傷だ」と直ちに否定している。

 仏メディアによると、ルペン氏がこの発言のために参照したのは、トランプ米大統領の支持者とみられる人々が3日に英語で配信した偽ニュースとされる。この記事は「マクロン氏脱税か」と題し、同氏の偽造サインが書かれた租税回避地の口座運用に関する偽の契約書まで掲載していた。

 親ロシア的な考えを持つルペン氏の当選を狙い、ロシアが情報操作を仕掛けた可能性も取り沙汰される。マクロン氏は4日、虚偽情報流布の疑いで当局に被害届を出し、検察が予備捜査に着手している。

 また、ルペン氏は3日の討論で「ユーロ導入を機に物価が上昇した」と主張した。しかし、仏紙ルモンドは「ユーロ導入以前から物価上昇は始まっている」と反論。同紙は、事実誤認に基づくルペン氏の発言が19に上ったと指摘した上で、昨年の米大統領選で誇張や放言を繰り返したトランプ氏の手法と類似していると分析した。

 ルペン氏は自国通貨復活や移民受け入れ制限を通じ景気や治安を改善すると主張。失業やテロの不安におびえる人々の支持を集める。しかし、ルペン氏の思想は排他的だとして危険視する層も多い。仏紙レゼコーが4日発表した世論調査結果では、マクロン氏が61%の支持を得て39%のルペン氏を引き離している。

【私の論評】ローマ帝国が瓦解したように、EUもいずれ崩壊する(゚д゚)!

独立候補のマクロン前経済相
上の記事を読んでもわかるように、相変わらず日本のマスコミの報道は浅薄です。このブログでは、もっと根本に遡り、EUが今後どうなるのか、私の考えを掲載させていただきます。

マクロン氏もルペン氏も既存政党出身ではないという共通点があり、それが選挙の帰趨をわかりにくいものにしています。そうして、両者の経済政策は好対照です。マクロン氏は、欧州連合(EU)や単一通貨ユーロの枠組みを堅持し、合法的な移民についても受け入れるとしています。内政では、公務員・議員定数削減を行いつつ、法人税減税や失業保険創設などを訴えています。

他方、ルペン氏は、自国優先主義を主張しています。具体的には、ユーロからの離脱と旧通貨フランの復活、外国人を雇用する企業への追加課税、輸入品への3%関税-といった政策を掲げています。

両者の違いは、フランスの「失業率10%」をどう見るかで異なってきます。フランスの失業率は、1970年代初めは3%台を切る水準でした。それが急速に上昇し、9%台がほぼ定位置になってしまいました。そうして、最近では10%の水準です。

フランスの失業率の推移
隣国ドイツはの失業率は、3・9%です。ドイツにとっては、失業率を下げるための金融緩和は不要であり、フランスの高失業率は構造失業率が高いためで、構造改革して失業率を下げるべきだという理屈になります。

しかしフランスにとっては、金融緩和すれば10%の高失業率を下げる余地がまだあるのに、フランスは単一通貨のユーロ圏でもあるので、金融政策は自国の自由にはならず、ドイツの事情をくむ必要があるため実施できません。そこでユーロを離脱してフランスの事情だけで金融緩和できるようにすれば雇用を確保できることになります。

さらに、財政政策についても問題があります。フランス経済は簡単にいえば、より積極的な財政政策を必要としていることは明白です。しかし、EUの中心国であるドイツは相変わらず財政規律を重視するスタンスを崩していません。また積極的な財政政策もEUの制約に服さなければいけません。マクロ経済政策的には金融政策も財政政策も自由度がかなり限られているのです。

そうしてやっかいなことに、ドイツにはもともと財政規律を重んじる土壌があります。この秩序(オルド)を重んじる経済思想の風土は、戦後のドイツ経済思想の根幹といって良いものです。

このオルド自由主義は、ルペン氏や米国のトランプ政権を支えているようなポピュリズム的傾向を否定しています。例えば、大衆消費、大衆向きの生産が拡大し、それが産業の独占化を招き、経済を閉塞(へいそく)してしまう、というのがオルド自由主義の見方です。全く理解に苦しむ、謎と言っても良い理論です。

オルド自由主義は、20世紀ドイツで生まれた社会思想で、自由主義思想の一つです。オルドー自由主義、秩序自由主義ともいいます。オルド自由主義に基づいて社会的市場経済がつくられた。また、新自由主義の源流の一つとされる。独占・寡占を導く古典的自由主義(自由放任主義)と計画経済はともに全体主義や経済の破綻を導くと批判し、消費者主権の経済を主張しました。そのため再分配を支持し、カルテルやコンツェルンを否定している。

オルド自由主義の創始者ヴァルター・オイケン
このオルド自由主義は、債務(政府の借金)を否定的にとらえている倫理的な価値判断も強く、そのため積極的な財政政策を嫌い、財政的な秩序を重んじる傾向にあります。簡単にいうと、大衆の欲求よりも、道徳的な秩序を最優先に考えるものです。このオルド自由主義の経済思想が、ドイツの経済政策や世論さえも拘束しています。

このように、国内の雇用確保で考えればルペン氏の政策のほうが分がいいです。しかし、対外関係重視だとマクロン氏の政策にも一理あり、これはフランス国民の選択に委ねられることになります。

ルペン氏が勝利すると、短期的にはユーロの動揺が起こることでしょう。これはギリシャ危機の時に、ユーロがかなり混乱したことの二の舞いです。

もっとも、長期的にみれば、ユーロという単一通貨で複数の国を縛り付けておき、さらにはオルド自由主義により他国の財政政策を縛り付け、結果としてドイツだけが独り勝ちになるというデメリットよりも、複数通貨によって各国で最適な金融政策と財政政策をするメリットの方が上回ります。

マクロン氏が勝利すれば、今の体制が維持されるので、短期的には大きな混乱はないはずです。しかし、フランス国内の高い失業率を下げるのは容易ではないです。しかも移民受け入れにも支障が出て、長期的には問題含みになることは必定です。

私自身は、EUはいずれ破綻するものと思っています。人為的にたとえ一つの経済圏を作ったとしても、それを構成している各国の経済レベルがあまりにも違います。少し考えれば判ることですが、ポルトガルとスゥエーデンの経済はかなり異なります。ポルトガルの経済は未だ労働集約的ですが、イギリス、ドイツ、イタリアなどの先進国では資本集約的な経済になっています。

そのため、EU圏内で、不振対策をしようということになると、ごく標準的なものにならざるを得ず、一旦不況に陥れば、回復するまで結構時間がかかります。

EUのように、ヨーロッパ全体が団結して、大きな影響力を持とうという試みは、大昔からありました。その起源はローマ帝国にまで遡ります。ローマ帝国が栄えていたころは、現在のイギリス、スペイン、フランス、ドイツなど現代のEU圏にある経済大国がすべてローマ帝国の版図に編入されていました。

だから、ヨーロッパの人たちには、大昔からローマ帝国への憧憬の念や、憧れの念がありました。そのため、ローマ帝国滅亡より、機会があれば一致団結しようとしました。これは、古くは神聖ローマ帝国にまで遡ります。

ナポレオンのヨーロッパ征服、ヒトラーのナチスドイツによるヨーロッパ征服なども、ことごとく失敗しました。

おそらく、これからも無理だと思います。だから、私は、EUも結局は成功しないと思います。長い間には必ず失敗し没落していくものと思います。

過去のローマ帝国は、強力なローマ軍団による他国に抜きん出た軍事力があったからこそあれだけ版図を広げて、維持することができたのであり、現代では過去のローマ帝国の再現など単なる幻想に過ぎません。

それと、 現在のEUは過去のローマ帝国とは違い、意思決定にあまりにも時間がかかりすぎます。ローマ帝国の意思決定は、ローマ帝国の元老院(皇帝による場合もあった)によって行われました。しかし、現在のEUは欧州会議によるものです。元々は別の国だった数々の国の代表者からなる会議を運営するのは至難の技です。

そうして、当のローマ帝国も瓦解しているわけですから、EUが将来どうなるかなど、推して知るべきです。

ローマ帝国の重装歩兵
さらに、経済対策も、EUの経済対策は、必ずしも個々の国にとって良いことばかりではありません。EU全体の経済という考え方で行うため、この経済対策では経済が良くならない国には、不満が鬱積することになります。

EUは、いずれ滅ぶでしょうが、最近その予兆として、イギリスの国民投票によるEU離脱の表明、今回のルペン氏の躍進など様々な綻びが目立って来ているのだと思います。

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2017年5月4日木曜日

アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出―【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出

官邸ホームページより 
 2012年12月に始まったアベノミクス景気が、バブル期を超えて戦後3番目の長さになった。現在の景気は、安倍政権の経済政策が功を奏しているのか。

 これについて日本経済新聞は、景気回復の実感が乏しいとして、その理由に潜在成長率の低下を挙げている。マクロ経済分析の問題であるにもかかわらず、金融緩和に触れていないのは不思議だ。

 景気の動向は、内閣府が作成する景気動向指数によってみることができる。景気動向指数の一致系列指数によって、景気が改善または悪化しているかにより、回復期か後退期なのかが判定されている。

 景気動向指数の一致系列指数としては、以下が挙げられる。
・生産指数(鉱工業)
・鉱工業用生産財出荷指数
・耐久消費財出荷指数
・所定外労働時間指数(調査産業計)
・投資財出荷指数(除輸送機械)
・商業販売額(小売業、前年同月比)
・商業販売額(卸売業、前年同月比)
・営業利益(全産業)
・有効求人倍率(除学卒)

 これらをみてもわかるが、幅広い経済部門から経済指標が選ばれている。

 一致系列で指数は、生産面に重点が置かれている。筆者は経済を分析する際、第一に雇用、第二に所得をみる。つまり、雇用が確保されていれば経済政策は及第点であり、その上で所得が高ければ、さらに満点に近くなる。それ以外の指数、例えば輸出や各産業別の景気分析、所得の不平等などは、人それぞれの価値判断が入るので、評価の対象外にする。経済をシンプルに考えているので、景気判断に必須な経済指標としては、失業率(または有効求人倍率、就業者数)とGDP統計でだいたいの用は足りる。

 こうした筆者の立場から見ると、景気動向指数の一致系列指数は、生産面の指標が重複し、雇用統計が足りないと考える。今の失業率2.8%はバブル景気以来なので、及第点を与えられる。ただし、14年の消費増税以降は消費が伸び悩み、GDPはそれほどでもないので満点とはいえない。

 前出の日経新聞のように雇用を重視しない解説をみていると、経済がわからなくなってしまう。同紙読者は大企業正規雇用者が多いと考えられるので、雇用など確保されていて当然というスタンスなのかもしれない。その立場からみれば、雇用政策たる金融政策には関心がなく、金融市場に影響を与える金融政策にしか興味がないのかもしれない。

 雇用を経済政策のミニマムラインとする筆者からみれば、アベノミクス景気は実感できる。筆者の勤務する大学はいわゆる一流校ではなく、そのときどきの「景気」によって、就職率が大きく変化する。4、5年前には卒業生の就職率が芳しくなく、なんとか学生を就職させるのに四苦八苦だった。ところが、今や就職で苦労することはかなり少なくなった。この間、学生の質が向上したとはいえないにもかかわらずだ。これは、アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したことの恩恵である。

アベノミクスの勝利
 以上は経済的な分析であるが、アベノミクスの成否は政治的には決着済みである。どのように野党が批判しようが、アベノミクスの勝利である。経済的には、「景気がいいのはアベノミクスと無関係」という方便も使えなくもない。しかし、政権交代とともに景気回復が始まり、その後、野党は国政選挙で惨敗が続いているので、政治的には勝負ありだ。

 名目経済成長率について、IMFデータによって1980年代、90年代、2000年代、10年代の平均の世界ランキングをみてみよう。日本のランキングは、以下のとおり。

・1980年代:138国中下から28位
・90年代:150国中最下位
・2000年代:188国中最下位
・10年代:190国中下から15位
 日本の場合、下から20位くらいであれば十分にやっていける。名目経済成長率は、マネー供給量の伸び率と7割程度の強い相関がある。この伸び率は人為的に動かせるので、マネー供給量を増やせば名目経済成長できるといってもいい。ちなみに、1990年代、2000年代の日本のマネー伸び率は世界で最下位だった。これが失われた20年の原因である。

 アベノミクスによって、日本は失われた20年からようやく脱出しようとしている。これこそが、野党がなんだかんだと批判しても、打ち破れない真理である。
(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

以下に直近の経済指標について、詳細に踏み込んで検証します。

1-3月期GDPでは、ついに消費主体の経済成長が実現しそうです。消費は、今期は高めの伸びが期待でき、ここ3期をならした速度は年率1.6%となることでしょう。それは、消費増税の大打撃の前の2012~13年の伸びと同レベルであり、日本経済の復調を意味することになります。失われた10期を超え、16兆円もの大損害を残しつつも、成長は戻ってきたのです。今後は、雇用数の増加に見合う年率2.0%成長へ更に加速できるかが焦点となります。

3月の商業動態の小売業は前月比+0.2であり、CPIの財が-0.3であったことを踏まえると、実質では、これを上回る伸びとなるでしょう。したがって、3月の日銀・消費活動指数は、若干のプラスが見込まれ、1-3月期の前期比が+0.8まで高まる可能性があります。前期が低迷した反動も含まれますが、ここ3期をならしても+0.6という高さになります。消費の復調と加速をうかがわせるのに十分な数字です。

また、3月の家計調査は、相変わらず不安定な動きを見せ、消費水準指数(除く住居等)が前月比-2.0もの低下となったものの、1,2月の「貯金」で、前期比は+0.2に収まりました。GDPの消費を占う内閣府・消費総合指数は、3月がそれなりの低下となるでしょうが、前期比で+0.7程を確保できそうです。ここ3期の平均は、先述の活動指数より下がるにせよ、+0.4くらいになると考えられます。

+0.4というのは、2012~13年にかけての民間消費の伸びと同レベルです。その後、消費増税による大打撃に対処するため慌てて日銀が異次元緩和第二弾を打ったのですが、輸入物価高で苦しめただけで、2015~16年は+0.1へと沈みました。そのため、増税前のトレンドとの差は広がり、今や16兆円に及びます。8兆円の税収を得るのに、2倍の消費を潰したのだから、度を過ぎた財政再建の愚かしさが分かるというものです。+0.4への復調は、この傷口が広がらなくなったことを示しています。


今後の焦点は、成長の基礎体力である消費がさらなる加速を見せるかいなかにかかっています。その可能性は十分にあります。なぜなら、毎月勤労統計の常用雇用は、消費増税後も、コンスタントに前期比+0.5~+0.6を保ってきたからです。雇用が堅調でも、消費が低迷したのは、消費増税や輸入物価高で実質賃金が低下したことによるものです。ここに来て、パート増による平均賃金や労働時間の押し下げにも歯止めがかかり、雇用増がストレートに所得と消費の増加に反映される環境が整ってきています。

3月の新規求人倍率は、除くパートが+0.06の1.87倍と、12月の1.90倍に次ぐ高水準になりました。他方、パートの求人は一服し、人手不足の現状ではパートでは人員を確保しがたくなってきたので、正社員を集めようとする形へ変化しているようですは。こうした形はバブル期にも見られました。求人は、医療・福祉が多いのは当然ながら、1-3月期は、建設、製造、運輸という、賃金が高めで男性の雇用に結びつく求人が加速しました。

他方、3月の労働力調査では、就業者数が前月比+13万人、雇用者数が+1万人でした。プラスではあるものの、1-3月期の増加には、やや陰りが見られます。完全失業率は、男性が3か月続けて低下して2.8%となり、女性は2.7%が続いています。一時的かもしれないのですが、次第に人材の供給力に制約が現れてきています。雇用量の動向については、連休明け公表の3月毎勤でも確かめたいところです。

先月参議院の来年度予算案審議でアベノミクスの成果を強調する安倍首相
景気の先行きについては、輸出は拡大トレンドを維持しており、住宅は小康を保ち、公共は底を打っています。これらで構成される追加的需要は、12月頃に下ブレしたものの、それを取り戻すように推移しています。鉱工業生産は、3月が前月比-2.1となり、1-3月期の前期比が+0.1にとどまったのですが、4、5月の予測指数は、+8.9、-3.7と非常に高水準であり、景気の加速を予感させる内容となっています。

鉱工業指数に関しては、設備投資の指標である資本財(除く輸送機械)の出荷は、1-3月期の前期比が、前期の急拡大の反動もあって-2.9となりました。建設投資の目安となる建設材出荷も、同様に-1.0にとどまりました。それでも、GDPの設備投資については、輸送用機械が堅調で、企業の建設投資が盛んだったため、寄与度0.0~-0.1と見られます。また、住宅と公共の建設投資の寄与度は、ほぼゼロでしょう。

GDPの在庫の寄与度は、7-9月期が-0.3、10-12月期が-0.2と成長率を下げてきたのですが、1-3月期は、プラスとなりそうです。鉱工業指数で分かるように、製品在庫はプラス、流通在庫は変わらず、原材料在庫の仮置きがマイナスというところで、寄与度は0.1弱と見られます。また、GDPの外需については、ニッセイ研の斎藤太郎さんによれば、寄与度0.1強のようです。以上を踏まえるなら、1-3月期GDPの成長率は2.0%前後が妥当でしょう。

一部に「今の景気の回復ぶりからすれば、この4月からの消費増税は可能だった」との声もありますが、それをしていれば、増税幅と同じ5兆円の消費減に見舞われた上、失速状態が更に長く続いたでしょう。経験には学ばねばならいです。そうして、この半年の回復局面は、財政出動も、金融緩和も、成長戦略も、大してないまま達成されています。つまり、角な緊縮財政をしなければ、放っておいても日本経済は成長する。まさに8%増税は、百害あって一利なしの悪手中の悪手だったことがわかります。

以上ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事とあわせて、ご覧いただければ、アベノミクスの金融緩和策は大成功、一方8%増税は大失敗でしたが、相対的には成功していることがご理解いただけると思います。

昨年夏の参院選で民主党(現民進党)代表岡田氏が掲げた公約
高橋洋一氏は、「アベノミクスの成否は政治的には決着済み」としています。それは、昨年7月10日の参院選ではアベノミクスが最大の争点となり結局与党側が勝利したことを指しています。無論のその前の衆院選でもアベノミクスの継続をあげた与党が勝利しています。

野党側が「アベノミクスが限界にぶち当たっており、新しい経済政策を展開しなければならない」(岡田克也民進党代表=当時)などと批判したのに対し、安倍晋三首相は熊本県熊本市での第一声で「問われているのは、(現在の)経済政策を前に進めるか、低迷した時代に逆戻りするかだ」と反論しました。野党側はアベノミクスの現状を一時的に大企業の業績を回復させたものの、国民の所得増につながらず、失敗に終わったと考えました。

これに対し、与党側は長年、デフレ下にあった日本経済を回復へ向かわせているとみたわけです。選挙戦は与党側の勝利に終わり、アベノミクスが国民の信任を得た形になりました。そうして、その当時はこの与党側の主張が正しいのか否かは、予測としては正しいとはいえたものの、まだ経済統計などでははっきりとはしていない状況でした。

しかし、直近の数字を見ていると、明らかにこの国民の審判が正しかったことが理解できます。野党よりも、国民の目のほうが確かだったわけです。

民進党などの野党は、与党どころか国民に追いつかなければ正しい経済状況の認識ができなくなったのです。情けない限りです。

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