2017年8月29日火曜日

【北ミサイル発射】日本列島通過 北海道襟裳岬沖の東1200キロに落下 「これまでにない深刻かつ重大な脅威」 安倍晋三首相 日米電話首脳会談開催 国連安保理に緊急会合を要請―【私の論評】北朝鮮を放置すれば中国、ロシアのアジアでの覇権を強めることに(゚д゚)!



 菅義偉官房長官は29日午前、緊急記者会見し、北朝鮮が同日午前5時58分ごろ、北朝鮮西岸から弾道ミサイル1発を北東方向に向けて発射し、北海道・襟裳岬上空を通過した後、6時12分ごろ、襟裳岬東方約1180キロメートルの太平洋上に落下したと推定されると発表した。落下地点は日本の排他的経済水域(EEZ)の外側で、日本の領域内での落下物や付近を航行する航空機や船舶などへの被害は確認されていない。政府はミサイルの破壊措置は実施しなかった。

 飛行距離は2700キロ、最高高度は約550キロと推定され、日本海上空で3つに分離した可能性があるという。

 小野寺五典防衛相は防衛省で記者団に対し、今回のミサイルの飛行時間が約14分間だったと明らかにした上で、5月14日に発射された中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性があるとの見方を示した。

 菅氏は緊急記者会見で「繰り返される北朝鮮の度を超した挑発行動を断じて容認できない」と北朝鮮を強く批判。外交ルートを通じて厳重に抗議し、もっとも強い表現で非難したことを明らかにした。

 政府は午前7時過ぎから、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を開き、対応を協議した。

 会合後、安倍晋三首相は記者団に対し「わが国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうものだ」と述べ、国連安全保障理事会に対し緊急会合の開催を要請する考えを示した。

 首相は「政府としてはミサイル発射直後から、ミサイルの動きを完全に把握しており、国民の生命を守るために万全の態勢をとってきた」とも語った。

 さらに安倍首相は午前9時20分過ぎから米国のトランプ大統領と会談し、北朝鮮への対応をめぐって協議した。

 日米韓の3カ国はミサイル発射を受け、国連安全保障理事会の議長国エジプトに、緊急会合の開催を要請した。安保理は米ニューヨークの国連本部で29日午後(現地時間)に開催する方向で調整している。 

 北朝鮮による弾道ミサイルの発射は今年13回目。北朝鮮が発射したミサイルが日本の上空を通過したのは、昨年2月の沖縄県上空通過を含め5回目となる。

【私の論評】北朝鮮を放置すれば中国、ロシアのアジアでの覇権を強めることに(゚д゚)!

今朝は皆さん、結構早起きしたのではないかと思います。私も、携帯電話でJアラートの警告音が聴こえたので、こちらは札幌ということもあるので、もしもに備えてすぐに起き地下に非難しました。本当に腹立たしいことです。

北朝鮮にこれだけ挑発されたのだから、米国はもう実力行使すべきでしょう。なぜ、先制攻撃しないのか不思議です。

トランプ大統領は、「もしグアムになにかあったら、北朝鮮に大変な惨事が起きる」「北朝鮮がグアムやアメリカの領土、同盟国に対して事を起こせば、真に後悔することになる。ただちに後悔するだろう」などと語っていますが、はたしてこれは本気なのでしょうか。

今回のミサイル発射も、もし本当に北がグアム周辺にミサイルを撃ったとしたら、トランプ氏は、北に本気で軍事行動を起こす気があったのでしょうか。

安倍総理はアメリカのトランプ大統領とおよそ40分間電話で
会談し、北朝鮮にさらなる圧力をかけていく方針で一致した 
もし、このままアメリカが北の核・ミサイル開発を無視し続け、オバマ政権の時のように、威勢よく非難はするものの、その他に何もしないとしたら何が起こるのでしょう。そうして、北朝鮮に対する軍事行動を永遠にためらい続け、ついに北がワシントンに届くICBMを完成させ、実戦配備したらどうなるのでしょうか。

それは2年以内になるといわれていますが、本当にそうなったときは、完全に手遅れです。北がいくらSLBMと戦略爆撃機を持っていないないとしても、ある程度の「相互確証破壊」は成立してしまうことになります。

ちなみに「相互確証破壊」とは、核戦略に関する概念・理論・戦略のことです。 核兵器を保有して対立する2か国のどちらか一方が、相手に対し核兵器を使用した場合、もう一方の国が先制核攻撃を受けても核戦力を生残させ核攻撃による報復を行うことです。

そうなると、その先は、何が起ころうとアメリカは北と戦争がかなりしにくくなります。

そうなれば、アメリカの権威は完全に失墜します。アメリカの世界覇権に穴が空き、パックスアメリカーナは消滅。世界中の反米国国はもとより普通の国家まで、北朝鮮がやったことを「学習」することになります。

多くの国が、「この世界は結局力だ。核を持った者が勝つ」と認識することになります。こうして、現在でも有名無実になっているNPT(核兵器の不拡散に関する条約)体制は完全崩壊します。

そうなってしまえば、世界は、まさに弱肉強食の世界になってしまいます。 核保有国の天下となり、世界から「公正」「正義」「自由」「人権」などという価値観はなくなり、「法と秩序」は消滅します。

トランプ大統領には、こうしたことに対する自覚や、これを本気で防ごうという責任感は、あるのでしょうか。

北朝鮮とアメリカに相互確証破壊が成立すると、アメリカは北の核を事実上容認してしまうことになり、日本に対するアメリカの核の傘は自動的に消滅することになります。なにしろ北が核で日本を脅かしても、アメリカはいままで以上に手出しができなくなります。日米同盟は無力化する可能性もあります。

そうなれば、金正恩のやりたい放題です。日本は北朝鮮に土下座外交をするしかなくなります。経済制裁などとんでもないことになります。脅かされてもバックにアメリカがいないのですから、従うしかなくなります。韓国も同じです。

そうなると、中国も北朝鮮と同じ態度をとることになります。尖閣など、あっと言う間に中国領になるでしょう。日本は、尖閣どころか、沖縄本島さらには西日本まで、中国の脅威にさらされることになります。

沖縄本島を中国が手にしてしまえば、さっそく弾圧が始まります。とくに、沖縄基地運動に反対してきた連中は、権力に反逆するものとして、真っ先に弾圧され、拘束されることになります。そうして、沖縄では永遠に反基地運動などやりたくてもできなくなります。沖縄地方二紙もあっという間に廃刊です。

金正恩と習近平は、韓国からのアメリカ軍の撤退を要求することになるでしょう。韓国は、北の支配下に入ると見て間違いないです。そうして、次の段階では、北と中国が、日本から米軍が撤退することを要求することになります。

北と中国の覇権がアジアに全域に及ぶ状況が予想されることになれば、ロシアも黙ってはいないでしょう。ロシアも何らかの形で、アジアに進出してくる可能性もあります。朝鮮半島は、中国、ロシア、北朝鮮によって分割統治されることになるでしょう。日本は北方領土どころか、ロシアに道東を実行支配されることになるかもしれません。

満州国の版図
まさに、大東亜戦争においては、日本は満州国を設立して、当時のソ連と対峙していたのですが、なぜか米国と戦争をすることになってしまい、戦争に負け、日本はソ連との対峙の拠点である満州を手放す以外に選択肢はありませんでした。

マッカーサーは、朝鮮戦争のときに、自ら現地を調査し、日本がなぜあのようなことをしていたのかを理解し、後に米国の公聴会で「彼らの戦争は防衛戦争だった」と証言しています。第二次世界大戦後当時のソ連はさらに覇権を強めようとして、米国と対立して世界は冷戦に突入しました。

アメリカ上院軍事外交合同委員会の公聴会にて~1951年5月3日 ダグラス・マッカーサー~
その冷戦に勝利して、ソ連は崩壊しました。そうして、ソ連は現在のロシアにとってかわりました。しかし、このロシアも未だにソ連的な力の均衡理論によりプーチンに統治されています。ただし、現在のロシアは経済的にはかなり小さくなり、軍事的にもソ連時代には全く及びません。だからこそ、圧倒的に強い米国が存在しているうちは、さほど問題にはなりませんでした。

しかし、米国がアジアから撤退すれば、状況は違ってきます。ロシアは、アジアで中国が思うかがままに、覇権を追求することを黙って見過ごすことはありません。ソ連最盛期と比較すれば、小さくはなりましたが、軍事力ではまだまだ、中国にはひけを取りません。

朝鮮半島おいても、日本に対しても覇権を強め、なるべく実行支配できる地域を広げることになるでしょう。そうして、中国・ロシアが日本を実行支配下におき日本の進んだ、技術力を手にいれれば、それこそ、アメリカを追い越すような経済力や、軍事力を手に入れることになるかもしれません。そうして、日本人は彼らに高度な技術を駆使して働かされる一方富を簒奪されて、とてつもなく貧乏になります。

そうして、いずれ米国はアジアから確実に、全面撤退を余儀なくされることでしょう。そうして、アジアは日本も含めて、中国・ロシアが支配することになります。北朝鮮はその先兵になることでしょう。南シナ海、東シナ海は当然のことながら、中国の内海になります。オホーツク海、北極は完全にロシアの支配下となります。

そんな状況を、私たちは断じて容認できません。

北や中国、ロシアの要求がいくら理不尽であろうと、従う以外の選択肢はなくなるのです。それが嫌なら、私たちも核武装して、北・中国・ソ連との間で相互確証破壊を独自で成立させるほかなくなります。これをアメリカが止めることなどできなくなります。なにしろ、アメリカは、時間切れで、北の核を事実上容認してしまったのですから。

というわけで、このようなことを防ぐためにも、一刻も早く、アメリカに北朝鮮攻撃に踏み切ってほしいです。これが、日本の国益にもっともかなうことです。現状を見る限り、もう対話は意味がないです。たとえ、日本が北の攻撃を受けたとしても、それで将来中国・ロシア・北朝鮮のいいなりになることを防ぐことができれば、それで良しとしなければならないでしょう。いまの状況であれば、主戦論こそが正しいです。

サウスカロライナ選出のリンゼー・グラム共和党上院議員は言っています。

「北朝鮮の核ミサイル開発を阻止するために戦争が起きるとすれば、現地で起きる。何千人死んだとしても向こうで死ぬわけで、こちらで死者は出ない」

リンゼー・グラム共和党上院議員
また、

「北朝鮮の核計画と北朝鮮そのものを崩壊させる軍事的選択肢は存在する」と主張。その上で、「北朝鮮が(行動を)変更しなければ(軍事的選択肢は)避けられない。北朝鮮は、大統領に地域の安定と米本土の安定のどちらを選ぶのか選択を迫っている」と強調していました。

彼が言う「向こう」には、日本も含まれるかもしれないのですが、その犠牲を覚悟しなければ、私たちの未来は悪夢意外の何者でもなくなってしまうのは必定です。

米国が、結局北朝鮮を攻撃しないというのなら、日本がそれをできる体制を整えるべきです。核兵器が無理というのなら、先日もこのブログに掲載したように、強力なレーザー兵器を開発し、デス・スターのような人工衛星に積んで、打ち上げるべきです。

東京にある世界最強のレーザー施設
それも、一つではなく、最低2つを打ち上げ地球を完全カパーして、何か日本やアジアにとって危機が迫った場合、外科手術のようにその脅威をすぐに取り除ける体制をとるべきです。

座したまま、北朝鮮、中国、ロシアの軍門に下るよりは、このようなことを実行に移すべく今から計画を立案し、実行すべきです。これが実現する前は、核武装も視野にいれるべきです。

北朝鮮を今のまま放置しておくということは、これほど危険なことであるということだけは、日本人たるものは自覚すべきです。

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2017年8月28日月曜日

習政権、朝日新聞見捨てたか 「新チャイナセブン」読売スクープ報道の深層 河添恵子氏が緊急リポート―【私の論評】日本には中国と本気で対峙しなければならない時が間近に迫っている(゚д゚)!

習政権、朝日新聞見捨てたか 「新チャイナセブン」読売スクープ報道の深層 河添恵子氏が緊急リポート

胡錦濤(左)と習近平(右)
 中国共産党最高指導部「チャイナセブン」(中央政治局常務委員7人)が大幅に入れ替わる、5年に一度の党大会が今年秋、開催される。習近平国家主席への権力掌握が注目されるが、読売新聞は24日朝刊で「中国次期指導部リスト判明」と、驚くべきスクープを放った。この顔ぶれが事実なら、習一派と胡錦濤前国家主席派が、江沢民元国家主席率いる「上海閥」を葬り、今後、北朝鮮とつながる党幹部を粛清しそうだという。東アジア情勢に精通するノンフィクション作家、河添恵子氏が緊急リポートする。

 中国の次期最高指導部リストが、8月下旬に報道されるのは異例中の異例だ。河北省の避暑地で例年行う「北戴河会議」が終わったとはいえ、この時期に報じられた理由を推測すると、いくつかの背景が浮かび上がる。

 まず、このリストは、筆者(河添)含む、世界のチャイナウォッチャーにとって、おそらく意外な人物はいない。


 北朝鮮の「核・ミサイル開発」をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領と、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が一触即発で対峙(たいじ)するなか、金王朝と近い“江沢民派の一掃”を誇示したかったのだろう。

 習氏は、金王朝に何ら影響力を持っていない。

 このため、習氏らが4月に米国を訪問(命乞い?)すると、北朝鮮は翌月、中国を「敵」と吠えた。トランプ氏が出した「宿題」通りに、習一派が北朝鮮と密接な北部戦区(旧瀋陽軍区)の江一派を一網打尽にすれば、北朝鮮のミサイルで北京・中南海(中国共産党中枢)が火の海になる可能性も捨てきれなかった。

 習氏はこれを防ぐため、7月に北朝鮮に隠然たる力を持つロシアを訪問し、プーチン大統領と数回会談した。多額の経済援助も用意した。必死だった。

 読売新聞のリストの6番目に入っている栗戦書・党中央弁公庁主任は、習氏とプーチン氏との特別な関係を、ここ数年、下支えしてきた。第2期習政権にとっても、プーチン氏との関係をより深めることが、政権の“命綱”になるためだ。

 3番目に入っている汪洋副首相は、栗氏と同様、習氏の4月訪米に同行した“渡航組”の1人だ。彼の対面はレックス・ティラーソン国務長官だった。汪氏は「米国対応の要」になるのだろう。

 習氏が提唱する「一帯一路」構想の起点は重慶市である。7番目に入った陳敏爾・重慶市党委書記は習一派で、孫政才・前重慶市党委書記が今年夏に失脚した後に後任となった。「一帯一路」構想を維持発展させるためのロケット出世といえそうだ。

 習体制発足から5年、習氏が「一強」の体制固めに邁進(まいしん)してきたことは、多くの識者が指摘している。そのうえで、結論から言うと、この新リストが暗示するのは2期目指導部は「習近平-胡錦濤体制」になるということだ。

 胡前主席は、総書記と、中央軍事委員会主席、国家主席でありながら、江沢民元主席によるかいらい政権のまま2期10年間、悶々(もんもん)としてきた。

 中国の一部メディアにも「習-胡連盟の流れが加速している」との記述が散見していた。胡氏が、息子の胡海峰(浙江省嘉興市市長)のロケット出世を願って、習氏と手を組んだと考えてもおかしくはない。

 香港の雑誌『争鳴』6月号にも、興味深い内容が記されていた。

 「5月10日から11日、中国共産党中央政治局常務委員拡大生活大会が中南海で行われた。胡錦濤、朱鎔基、宋平、李瑞環、呉邦国、温家宝、賈慶林、李嵐清ら退職した中央政治局常務委員が参加し、江沢民、李鵬、曽慶紅、賀国強は欠席した」

 「胡錦濤は、腐敗キャンペーンを進める習近平を高く評価」「胡錦濤は、自身の“科学的発展観”を代価とし、江沢民の“三つの代表”を削除するよう提出。犠牲的に江沢民を攻撃する習近平を助けると発言した」

 この報道が事実なら、胡氏は「共産主義青年団派」(共青団派=団派)のドンとして、習一派らが果敢に繰り広げる江一派の粛清を「大歓迎」していることが分かる。

 最近、重要な会合や葬儀にも江氏の姿はない。「入院中で心臓が動いているだけの状態」という噂も流れている。胡氏にとっても「本格的リベンジ」の時なのではないか。

 ほかにも、リスト公表を早めた理由が考えられる。

 依然として影響力を持つ曽慶紅元国家副主席(別名『江派2号』)や、北朝鮮と直結する江一派の大物を一刻も早く粛清したいためではないか。

 もう1つ、読売新聞が、このリストを「世界初」で入手したとすれば、そのことにも意味がありそうだ。実は、中国は日本メディアの影響力をよく理解している。朝日新聞が慰安婦問題の大誤報などで、読者の信頼を失い、不買運動も広がっている。

 習政権が、朝日新聞を見捨てて、「読売新聞に乗り換える」というサインなのかもしれない。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)、『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)など。

【私の論評】日本には中国と本気で対峙しなければならない時が間近に迫っている(゚д゚)!

以下に、まずは現在のチャイナセブンを示す表と、その下に新チャイナセブンのリストをならべて掲載します。



この表を比較すると、新チャイナセブンからは、江沢民派は完璧に姿を消しています。大子党は習派であり、共青団派は、胡錦濤派であることから、現状のチャナセブンの習派3人、胡錦濤派1人、江沢民は3人から、新チャイナセブンでは、習派4人、胡錦濤派3人、江沢民派0人であり、これは習・胡錦濤派の大勝利です。

今月15日付の産経新聞が報じたように、今秋開かれる中国共産党大会で、習近平総書記の思想・理念が「習近平思想」として党規約に明記される可能性が高まっていました。そうして、この新チャイナセブンのリストをみると、その可能性はほぼ100%と見て間違いないです。

中国共産党史上、指導者個人の思想が党の指導思想として認定された前例には「毛沢東思想」があります。1936年に党の主導権を握った毛沢東は、それから9年間をかけて権力基盤を固めたのち、45年開催の共産党第7回党大会で「毛沢東思想」を党規約に盛り込むことに成功しました。

「毛沢東思想」をコンパクトにまとめた『毛沢東語録』
これで毛沢東は、党の政治的指導者の地位だけでなく、党の思想的「教祖」としての権威も手に入れました。その時からわずか4年後の49年、「教祖」となった毛沢東の指導の下で、中国共産党は国民党政府との内戦で奇跡的な勝利を収め、天下を取って中華人民共和国を建国しました。

そうして76年の毛沢東の死去まで、毛沢東思想が至高のイデオロギーとして党と全国人民を完全支配するようになっていました。一個人の思想がそれほど権威を持った背景には当然、中国共産党を内戦の勝利へと導いて国を開いた毛沢東の「偉業」がありました。

毛沢東思想を広める先兵となった紅衛兵の少女たち 「毛沢東語録」を読み上げている
毛沢東の死後、次の最高指導者となった鄧小平は、改革・開放路線を推し進めて中国経済を成長路線に乗せ、かつての貧困国家・中国を世界第2の経済大国へ変貌させました。この歴史的業績をもって、彼の死後の97年、「鄧小平理論」が党規約に明記されることになりましたが、それは毛沢東思想よりは一段格が下の「理論」にとどまりました。

それに対し、総書記になってからわずか5年、これといった業績もない習近平氏が、建国の父の毛沢東と肩を並べて自らの「思想」を党規約に盛り込もうとしているのです。

党規約に「習近平思想」を記載するのは簡単ですが、「習近平思想」が本物の指導思想として自らの絶対的権威を確立させていくのはかなり困難なことです。毛沢東思想や鄧小平理論の権威確立は、この2人の政治指導者の歴史的業績によって裏付けられたものであり、今の習近平氏にはそれがありません。

したがって秋の党大会以後、自らの「思想」の権威確立のために、習氏はかつての毛沢東や鄧小平と比肩するほどの業績を作っていかなければならないことになります。しかし今の中国には、指導者が内政の面において毛沢東の建国や鄧小平の改革開放に匹敵するほどの業績を立てる余地はもはやありません。これからの習氏にとって、歴史的業績を作り上げるための新天地は、「国の外」にしかありません。

1978年10月22日日本を訪れた鄧小平氏(一番手前)
つまり、習近平は、毛沢東と鄧小平が夢見ていてついに達成できなかった、アジアと世界における中国の覇権樹立という「偉業」を、成し遂げることによって初めて彼の「思想」は本物の「指導思想」となって習近平の統治の正当性を主張できることになります。そのとき初めて、習近平は毛沢東や鄧小平を超える「教祖」として中国に君臨することができることになります。

そうなると、今秋の党大会において「習近平思想」を首尾よく党規約に明記させた後、2期目からの習近平政権は不退転の決意を持って南シナ海と東シナ海に対する軍事的支配と、「一帯一路」の展開による世界への経済支配を両輪とする世界制覇戦略を全面的に推し進めていくこととなるでしょう。

今後、中国の海洋進出や一帯一路による世界のブラック化はさらに加速されることになるどころか、とどまるところを知らなくなります。

「教祖」になろうとする中国共産党独裁者の野望はこうして、アジアと世界に災いをもたらすことになります。その野望を打ち砕き、アジアの平和と安定を守るため、日米はより同盟関係を強める必要があります。さらに、他国の強力を得て、中国包囲網をさらに堅固なものにする必要があります。

さらに、日本は中国と対峙するためにも、憲法改正等急ぎ、少なくとも防衛戦争ができる国にならなければなりません。

なぜなら、今の日本は習近平からみれば、最も与し易い体制だし、日本を屈服させ、属国にでもすれば、「習近平思想」は、絶対のものとなり、習近平の中国内での、統治の正当性は盤石のものになるからです。

7月17日、青森県の艫作崎沖の領海に中国海警局の船2隻が相次いで侵入したり、中国の爆撃機6機が24日、沖縄本島と宮古島の間の上空を通過して紀伊半島沖まで飛行したことは、その前触れです。これから、このようなことが頻繁に起こることになります。

日本には北朝鮮どころか、その数十倍の中国と本気で対峙しなければならない時が間近に迫っています。

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2017年8月27日日曜日

なぜ日銀の金融政策では、AIをうまく活用できないのか―【私の論評】AIは2013年以前の日銀がいかに愚かだったかをより鮮明にする(゚д゚)!

なぜ日銀の金融政策では、AIをうまく活用できないのか

問題は「不透明さ」と「常識の欠如」

最近人間はチェスではAIに負けている
 日銀の政策決定は「不透明」

日本銀行の金融政策を分析・予測するために、AI(人工知能)を用いる試みが、行き詰まっているとの報道があった。AI分析の一例としては、黒田東彦総裁の記者会見や日銀の出す「金融経済統計月報」をAIが読み込み、その特徴から追加緩和などの可能性を予測するものなどが考えられていた。

クレディ・スイス証券もAI分析を取り入れた「日銀テキストインデックス」なるものを公表していたが、計画が行き詰まり2016年に公表を取りやめている。だが、はたして本当に日銀の金融政策をAIで予測することは不可能なのだろうか。

まず、そもそもクレディ・スイス証券が開発したのは「テキストマイニング」というもので、「AI」というと少し大げさだ。経済学におけるテキストマイニングとは、もとはと言えば様々なニュースから株価を予測するモデルのことを指す。

具体的には、黒田総裁の会見など、日銀のテキストから物価に対する見方を数量化して、実際の金融政策と照らし合わせるというもの。「AI」と聞くと最新技術かと思うが、実は古くから採られてきた手法である。

中央銀行の金融政策決定に関する研究は、有名なものではスタンフォード大教授のジョン・テイラー氏が1993年に示した「テイラールール」がある。

このルールに基づくと、政策金利は、現実のインフレ率が目標インフレ率を上回るほど、また実質GDP成長率が潜在GDP成長率を上回るほど引き上げられ、反対に下回れば引き下げられる。このルールに基づいて分析を試みれば、実際の金融政策は9割方予想できると言われている。

もっとも、このルールは、FRB(米連邦準備制度理事会)では有効だが、日銀では通用しない。というのも、日銀がどのようなセオリーで金融政策決定をしているか、不透明なところが多いからだ。クレディ・スイス証券の分析が上手く機能しなかったのも、それが理由として考えられる。

 日銀の金融政策は「常識」が欠けていた

実際、日銀の金融政策はほかの先進国のそれとは大きな違いがある。たとえば他の先進国では、金融政策は物価の安定と雇用の確保のために行うというのが「常識」とされている。このため、インフレ率と失業率が、望ましい値から乖離しないように金融政策が行われている。

ところが、日銀のこれまでの金融政策には、「雇用の確保」が重要な目的であるという「常識」が欠けていた。だから、海外の予測モデルは日銀の金融政策に適用できなかったのだ。

しかも日銀の公表文書は基本的に日銀事務方が書いているが、これはずっと金融政策の「常識」を反映しない従来の日銀スタイルで書かれてきた。クレディ・スイス証券がそうした文書を分析しても、金融政策をうまく予測できなかったのは仕方ないだろう。

この7月、民主党時代からの日銀審議委員2名が退任した。これをきっかけに潮目が変わり、欧米的な経済モデルを取り入れようと意識改革が行われるかもしれない。

そうして金融政策の方法論さえしっかりしていけば、政策予測は決して難しいことではなくなる。筆者の感覚では、自動車の完全自動運転か日銀の自動金融政策の完成か、どちらが早いかというところだ。

【私の論評】AIは2013年以前の日銀がいかに愚かだったかをより鮮明にする(゚д゚)!

私はAIというと、あの名画『2001年宇宙の旅』のHAL9000を思い出してしまいます。以下のこの映画から、HAL9000が人に対して反乱を起こす場面の動画を掲載します。


この、今でいう人工知能でもある、HAL9000。何故HALは反乱を起こし、人間を殺害するに至ったのでしょうか。

これは一般的には「正確な情報を正確に処理する事を義務づけられた人工知能であるHALは、乗組員にはモノリスの情報を隠しながらも、同時にモノリスと地球外知的生命体の調査は行うように命令されていたため、何も知らされていない乗組員と共同生活の中でその矛盾に苦しみ、一種の精神疾患のような状態に陥った」、「挙動不審なHALの状態に乗組員は危機感を憶え、高度な論理回路だけ切断するという検討を始めた。それを自身の死刑宣告だと判断したHALは人間を排除し、知的生命体の調査は自身の能力だけでするしかない、と考え実行に移した」とされているようです。

この説明を納得するか否か、また他の説明が可能か等はここでは検証しません。個人的には十分納得できるレベルだと思います。

そうして、日本銀行の金融政策を分析・予測するために、AI(人工知能)を用いる試みが、行き詰まるのもこれと同じ理由です。

映画『2001年宇宙の旅』の監督スタンリー・キューブリック氏
正確な情報を正確に処理する事を義務づけられたAIが、方やマクロ経済の常識ともいわれる理論に従ってインフレ率と失業率が、望ましい値から乖離しないように構築されているのにもかかわらず、日銀のこれまでの金融政策には、「雇用の確保」が重要な目的であるという「常識」が欠けていて、とんでもない政策をとってきたからです。

この日銀の政策を正しいものとして、インプットすればAIは自己矛盾を起こし、制御不能となります。これでは、AI(人工知能)を用いる試みが、行き詰まってしまうのも無理はありせん。過去の日銀の政策をみると、景気が落ち込み本来緩和すべきときに引き締めを行い、それで景気が悪くなってもさらに引き締めを行い、それがためにデフレになっても、引き締めるか緩和はしないというものでした。

このAI他のシステムと結びついてはいないで、直接害を及ぼすことはありませんが、もし銀行のシステムなどと結びついたとしたら、大変なことになるかもしれません。それこそ、とんでもない金融政策を打ち出し、それがために大勢の人が苦境においこまれ、途端の苦しみに追いやられら、自殺する人もでるかもしれません。

実際、日銀の間違った金融政策が是正された2013年あたりから、それまで自殺者が3万人台だったのが、2万人台に減っています。これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
“安倍辞めろ”の先にある「失われた20年」とデフレの再来 雇用悪化で社会不安も高まる―【私の論評】安倍首相が辞めたら、あなたは自ら死を選ぶことになるかも(゚д゚)!
自民党候補の応援演説を行った安倍晋三首相=7月1日午後東京都千代田区

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より失業者と自殺者の推移のグラフとその説明のみを以下に引用します。

ところで、自殺者数と景気は相関が高いことが知られていますが、この数年間の経済状況の改善と、さらに自殺対策にここ数年経費を増加させていく方針を採用していることもあり最近は自殺者数が減っています。類似の事例はホームレス対策にもいえ、ホームレス数は景気要因に関わらず対策費の増加に合わせて減少しています。 
自殺者数の減少については、マクロ(景気)とミクロ(自殺対策関連予算の増加スタンス)の両方が功を奏していると考えられます。 
自殺対策関連予算の推移はまとまったデータがないので拾い集めてみると
平成19年 247億円 平成20年 144億円 平成21年 136億 平成22年 140億 平成23年 150億 平成24年 326億 平成25年 340億 平成26年 361億 となってます。 
日本がデフレに突入した、97年あたりからそれまで、2万台であった自殺者数が、一挙に3万人台になっています。このグラフをみただけでも、経済政策の失敗は自殺者数を増やすということがいえそうです。
再度「2001年宇宙の旅」に戻ります、私がかねてから、疑問に思っていたのは、「どうしてキューブリックとクラークは人工知能が反乱を起こして、クルーを殺すという設定を持ち出して来たのか?」ということです。

実はその裏話の一部始終がクラークの著書『失われた宇宙の旅2001』で語られています。当初はクルー全員が無事に木星圏にたどり着き、ビック・ブラザー(巨大なモノリス)の詳細な調査が行われる予定でした。その後、スペース・ポッドに乗り単独でビックブラザーの調査に向かったボーマンが変化したモノリスに飲み込まれる、という流れになっていました。

最終的にこの案はボツになり、ボーマンだけが生き残る事になりました。その理由は明確ではありませんが、木星探査のプロセスを映像化するには予算が足りない、または当時のSFX技術で映像化するにはハードルが高すぎる(実際木星を映像化するだけでも悪戦苦闘していました)など理由はいくらでもありそうですが、クラークは「そもそもオデッセウスも唯一の生存者だから」と説明しています。つまり神話との共通性を示唆したかってのでしょう。

『2001年宇宙の旅』の原作者アーサー・C・クラーク氏
ではどうやってボーマン以外の乗組員を殺害するのか?当初は「ホワイトヘッド(映画ではプールに名前が変更)のポッドが故障により暴走しアンテナと衝突、ホワイトヘッドは回収不可能になりアンテナも失われる。その後人工冬眠中のクルーも蘇生に失敗する」というものでした。

これは「偶然にも事故が連発する」という説得力のないもので、当然のようにボツになりますが、同時にヒントももたらされました。上記の原案の中には「ボーマンがアンテナ回収のためポッドで離船しようとした際、人工知能HAL9000(この時はアテーナという名前でした)にそれを断られる」というシーンがあります。これをふくらませて「全システムを管理する人工知能が反乱を起こしクルーを殺害する」という案に落ち着きました。

つまり「HALの反乱」はボーマン一人を生き残らせるための後付けの設定でしかなかったのです。当然先に述べたその原因も後付けです。でもこれによって興味深い偶然が起こります。

つまり「人間と人工知能、同じく知性を持った二つの種のどちらが未来を勝ち取るかという生存競争」という側面がこの物語に付加されたのです。これにはキューブリックもクラークも「しめた」と思ったに違いありません。クラークはこの解釈を効果的に続編『2010年宇宙の旅』(これ以降も)に取り込み、キューブリックは『A.I.』で正面からこの問題に取り組む予定でした。

こんな裏事情を知ってしまうと「な~んだ」となってしまうかも知れません。クラークは「意図したものもあれば、偶然そうなったものもある」と語っています。その偶然がどの部分を指すのかはともかく、この素晴らしいアイデアは、彼らが繰り広げた「際限のないブレーンストーミング」の結果呼び込み事のできた偶然ではない「必然」だったいえるでしょう。

いずれにせよ、中央銀行による金融政策は、HAL9000が担当した、木星探査のための宇宙船全システムの制御という膨大で、複雑なものと比較すれば、極めて単純です。

システムの定義から、定量的なものは完璧に無視して、定性的なものだけとりあげれば日銀のシステムは、以下のようになります。

「不景気になりそうになった場合は適当な時期に金融を緩和する。デフレのときはただちに金融緩和をする。景気が過熱しそうな場合は、適当な時期に金融引締めをする。ハイパーインフレなら、ただちに金融引締めを行う。判断のための指標としては、貨幣の通貨量、物価と雇用状況を用いる」

という具合に、非常にシンプルなものです。無論、定量的なものまであらわすとなるとかなり複雑になります。

HAL9000の心臓部 メモリバンク
一方HAL9000の場合は、「木星まで、行って無事帰還する」などのように定義したとしたら、これは定義などとはいえず、単なる全システムの目的に過ぎません。日銀のシステムの目的は「日本国の金融政策を適正に定める」ということになるでしょう。

システムの定義を定めるのでも、HAL9000は、宇宙船そのものの制御、冬眠を含む乗組員のための環境制御、その他モノリス探査の制御なども含みより複雑です。定義を定めるためだけでも、A4用紙数枚になりそうです。日銀のシステムよりははるかに複雑になります。定量的なことまで含めると、さらにとんでもなく複雑なものになります。

このようなことを考えると、私は意外と、自動車の完全自動運転より単純ではないかと思います。このようなことを考えると、旧日銀はこのような単純なことすらまともにできなかったということが暴露されてしまったと思います。

これから、まともな金融政策をやりはじめてからのデータをもとにして、日本銀行の金融政策を分析・予測するために、AI(人)を作成すれば意外と短期でできあがることになるかもしれません。

そうして、これが成功したあかつきには、少なくともAIは、中央銀行が行う金融政策に関して、定量的なものはともかく定性的には間違うことはないと思います。デフレのときに金融引締めを行う、インフレのときに金融緩和を行うなどという馬鹿なことはしないでしょう。

そうして、いまでも明らかになっているのですが、2013年以前までの日銀がいかに愚かだったかをより浮き彫りにすると思います。

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2017年8月26日土曜日

【米海軍の新兵器】見えず音もなし…正確無比で無限に撃てるレーザー 1発わずか1ドル驚異の経済性―【私の論評】日本は世界最大高出力レーザーで核を無力化できる(゚д゚)!

【米海軍の新兵器】見えず音もなし…正確無比で無限に撃てるレーザー 1発わずか1ドル驚異の経済性

輸送揚陸艦ポンスに備えられたレーザー兵器システム「LaWS」
「スター・ウォーズ」などSFではおなじみのレーザー兵器。それがもう夢ではなくなっている。音もなく、目にも見えないが、ドローンを正確に打ち落とす。そしてコストも低い。米海軍の新兵器は、これまでの兵器の概念を大きく変える「革命」を予感させるものだ。

 まるでテレビゲーム

 「LaWS」(レーザー兵器システム)と呼ばれる新兵器は、ペルシャ湾に展開する輸送揚陸艦ポンスに配備されている。見た目は望遠鏡のようで“武器らしい”威圧感はない。

 米海軍が行った試射の様子を独占取材した米CNNテレビ(電子版、7月18日)の映像では、海上に飛ばしたドローンにレーザーが照射されると、翼から突如炎が上がって打ち落とされた。レーザーは目に見えず、音らしい音もない。担当者がモニターを見ながらコントローラーを操作する様子は、まるでテレビゲームのようだ。

 大量の陽子が光速で照射され、その速さは大陸間弾道ミサイル(ICBM)の5万倍になるという。射程5500キロ以上のICBMは再突入時の速度がマッハ24とされている。

輸送揚陸艦ポンス  写真はブログ管理人挿入
 低コストで低リスク

 LaWSを担当するカール・ヒューズ大尉はCNNに、「風、射程などを気にする必要はない。オートフォーカスなので、目標を定めるだけでターゲットを無力化できる。ビームも見えないし、音もしない」などと説明。悪条件下でも極めて正確な攻撃が可能で、米海軍は、二次的な被害を抑えることができるとしている。

 経済性も驚きだ。システム全体は4000万ドル(約44億4000万円)だが、1発当たりの費用はわずか1ドル。必要なのは小さな発電機で供給される電気と、わずか3人の乗員だけだという。ちなみに、4月に米軍が実験したICBM「ミニットマン」は1発当たり約700万ドルとされている。

 2020年代初めまでに配備拡大

 現時点では、過激派組織など対テロリスト戦で、車や船で近づく敵をピンポイント攻撃することを想定しているとみられるが、その用途は拡大しそうだ。

 CNNの報道を元に同兵器について報じた米国政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」(7月19日、電子版)によると、米海軍は2020年代初めまでに他の艦艇にも追加配備する計画で、さらにミサイルなどを標的とする技術を開発しているとしている。

 米防衛大手ロッキード・マーチン社は、複数のレーザーを組み合わせて強力なビームを照射できる出力60キロワットのシステムを開発中で、複数のドローンやミサイルを同時に迎撃することも可能になるという。

 同社のホームページは、「レーザー兵器は繰り返し何度も撃てる。基本的には無限に尽きない弾倉のようなものだ」としており、砲弾やミサイルを使わない攻撃の有効性をアピールする。

 米国以外でも開発が進んでいる。英国は1月、英軍が欧州の防衛企業とレーザー兵器の試作品を造る3900万ドルの契約を結んだと発表した。

 各国で着々と開発、配備が進むレーザー兵器。米海軍専門紙「ネイビー・タイムス」(電子版、7月19日)が表現したように、「もはや単なるスター・ウォーズのファンタジーではない」のだ。

【私の論評】日本は世界最大高出力レーザーで核を無効化できる(゚д゚)!

CNNがこの「LaWS」を報道した動画を以下に掲載しておきます。


過去長年わたり研究開発が続けられながら、高出力レーザー兵器の実用化が進まなかった最大の原因は、大気中でレーザー光が散乱し伝達されるエネルギーが減衰することにあったといいます。

大気の影響を最小化する目的で、ボーイング747に空中発射型のレーザー兵器を開発していたこともあるのですが、レーザーの威力は最大数十キロしか届かず、その範囲にミサイルが通過する前提で防衛網を築くことは非経済的で開発が滞っていました。

しかし、近年そのレーザー光を約12×10-15秒という極めて短いレーザー・パルス状で生成し、その短時間にエネルギーが集約されて100億キロワットに相当するものが開発されました。

この高エネルギー故に衝突する大気中の原資が瞬時にイオン化されてプラズマ状になり、これが大気中でのエネルギーの分散を防ぎ、かなり遠くまで到達可能となりました。

このレーザー兵器を用いれば、航空機や衛星上に搭載する必要もなく、幾何学的に見通しがつく範囲なら地上からのミサイル迎撃が可能になります。

しかも、迎撃の成功失敗は一瞬で判断できる上、相手のミサイルの速度に依存して迎撃確率が変わるミサイル防衛よりも遥かに精度は高く、ミサイルの軌道さえ正確に把握できればほぼ確実に核弾頭の起爆前に破壊して、被害を最小化することができます。

この技術は核抑止力を概ね無効化する技術であり、現在の核保有による軍事バランス崩れることになるでしょう。また更に、戦争の様相も大きく変わることになります。

大型の飛翔兵器であるミサイル、砲弾などはこのレーザー兵器での破壊が可能となり、無意味なものになってしまいます。大型の戦闘機も、戦闘機対戦闘機などの空中戦になる以前にレーザーで破壊可能ですし、携帯式小型レーザーが出来れば、戦車などもあまり意味がなくなるでしょう。

この兵器の登場により、攻撃する側には不利に働き、防衛側には有利に働くようになります。敵を特定できれば勝負はつくので、ゲリラ戦や接近戦など、古典的、アナログ的な戦争が再び主流になるかも知れません。

その際、大規模な軍隊ではなく小規模な戦闘やゲリラ戦、テロ等が実質的な脅威となるでいしょう。生物・化学兵器の重要性が、高まるかもしれません。これらの戦闘は、従来の大規模な戦闘と異なり規模が小規模化するので、交戦開始のハードルは下がり、局所戦の発生確率は高まるかも知れないです。

たとえレーザー兵器の登場によって戦争の方式が変わったとしても、日本の場合は四方を海で囲まれているために陸続きで隣国と接する欧州などよりもかなり有利なことになるでしょう。

この防衛網を破り攻撃するためには、おそらく、潜水艦で日本の沿岸まで深く侵入し、隙を突いて核ミサイルで攻撃するというスタイルが予想されます。ところが潜水艦のステルス能力は日本はずば抜けて高い上に、中国等諸外国の潜水艦はステルス性が低くて探知が容易なのですから、敵潜水艦の接近を防ぐことは比較的容易です。しかも、日本の対潜哨戒能力世界トップクラスとなります。

その上に、上記のようレーザー兵器を日本が持っていれば、かなり日本の防衛はしやすくなります。すでに、防衛省はこの実験などにとりかかっています。

さらに、日本のレーザー技術もかなり進んでいます。2015年には、大阪大学の研究グループが、世界最強のレーザーの生成に成功したことを、主要各紙が報じていました。この「LFEXレーザー」は、全長100メートルほどの巨大装置で生成され、2ペタワット(1000兆ワット)の出力を誇ります。

2ペタワット(1000兆ワット)の出力を誇る「LFFXレーザー」
国際エネルギー機関によると、2012年度に全世界が一秒間に消費したエネルギーは約18テラワット(1.8兆ワット)である。そのため、阪大のレーザーはこの500~1000倍の出力を持つことになります。

なぜここまで高い出力を得ることが可能なのだろうか。阪大のレーザーは、電子レンジ2台を2分間作動させたエネルギーを、1兆分の1秒という短い時間内に放出できるのです。同じエネルギーを、より短い時間で放出すれば、瞬間的な出力を上げることができるというわけです。

それまでレーザー出力の記録を保持していた米テキサス大学のレーザーに比べて、出力は倍、エネルギーでは100倍であり、名実ともに世界最強のレーザーです。

ちなみに米軍が、5万ワットのレーザーによって1マイル(約1609メートル)の距離から無人機を撃墜させる実験に成功していますが、その無人機を撃墜させた5万ワットのレーザーのパワーは、大阪大学が成功したレーザーの100億分の1しかないものでした。日本はすでにスターウォーズのデス・スター搭載の、スーパーレーザー」を開発できる能力を有していると言っても過言ではないのです。

デス・スターのスーパーレーザー

このように考えると、20年後の世界は今とはがらりと変わっているかもしれません。日本の技術力は中国や北朝鮮に対しては圧倒的に有利であるのは間違いないです。日本は世界最大の高出力レーザーで核を無力化できるのです。それまでの年月をどう乗り切るのかが日本の課題となるかもしれません。

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2017年8月25日金曜日

北海道が「中国の省の1つに?」 中国資本が北海道を狙う理由=中国報道―【私の論評】父祖が開拓した国土を徒や疎かに扱うべきではない(゚д゚)!

北海道が「中国の省の1つに?」 中国資本が北海道を狙う理由=中国報道

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中国人にとって憧れの地でもある北海道
経済発展が続く中国では、人びとの購買意欲は止まるところを知らない。日本国内でも中国人投資家がマンションを購入するなどの事例は多く聞かれるが、中国メディアの今日頭条はこのほど、中国資本が北海道の不動産を購入していることを伝えつつ、「北海道が中国の省の1つになってしまうほど」の勢いだと伝えている。

 記事は、中国資本が北海道の自然の価値に目を付けていることについて、日本国内では「北海道はいずれ中国の北海省になってしまうのでは」と危惧する声があるとした。中国では「北海道」は映画のロケ地として使用されたことなどから、ブランドとして高い認知度を誇りる。また、年間を通じて観光資源が豊かという現実的な魅力もある。

 日本人だけでなく中国人にとっても北海道は「いつかは訪れたい観光地」であり、中国では北海道という言葉を商品に記載すれば売れるほど、「自然が豊かで、食べ物は安全で美味しい」というイメージが根付いている。

 記事は、中国資本が北海道の不動産や山林を購入していることに、日本では危機感を示す声があるとしながらも、「日本の不動産会社も買い手のいない土地を持て余すより、中国企業によって運用してもらうことを望んでいる」と主張。実際に中国企業が購入した温泉宿泊施設が日本の文化を体験したい富裕層の間で流行している例もあると主張し、中国資本が北海道の価値に目を付けたのは、中国における北海道人気に便乗し、利益を得るためだと論じた。

 農林水産省が2017年4月に発表した「外国資本による森林買収に関する調査の結果」によれば、2016年に外国資本が買収した日本の森林面積は202ヘクタールに及び、前年の約3倍になった。買収された森林の多くが北海道にあり、外国資本のうち8割が中国企業や中国資本だった。中国資本による買収に対し、日本では危惧の声があがっているが、購入の際に日本人の名前や架空の会社の名前を用いる中国企業が存在するために対策は難しいようだ。

【私の論評】父祖が開拓した国土を徒や疎かに扱うべきではない(゚д゚)!

北海道の土地の買い占めについては、このブログでも過去に掲載したことがあります。最近は、またその動きが顕著になっているので、本日はその話題について掲載します。

これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
防衛施設周辺で外国資本の土地取得規制に向け調査可能に 自民が通常国会に法案提出へ―【私の論評】オホーツク海を支那原潜の聖域にさせるな(゚д゚)!
以下に長いですが、支那資本による買い占めの実体を引用します。
こちらは、北海道の札幌市です。北海道というと、近年起きている最も由々しき事態は、外国資本、とくに支那系資本による不動産の買収です。支那の領土をめぐる問題といえば、尖閣諸島沖の活動がマスコミで取り上げられるので、国民はそちらにぱかり目を奪われていますが、その間、北海道では支那人たちが着々と土地を取得し、実質的な侵食が確実に進んでいます。
2016102202

海外資本による水源地の買収状況
森林や水源地の買収については、やっと外国資本の買収を監視・制限する条例を北海道が制定しましたが、今も支那系資本の動きは止んでいません。支那と関係のある日本企業が買収しているケースや、支那企業が日本企業を買収し、そのまま所有権を引き継ぐケースもあり、実態把握が困難なのが実情んのです。

支那の土地買収問題はさらに厄介な方向に進んでいます。今、道内ではおもにバブル期にニーズも考えずに建設されたリゾート施設やゴルフ場が、次々と支那系資本に買収されているのです。 
具体的な例を上げると、2003年、594億円の負債を抱えて民事再生法の適用を受けたゴルフ場が、2011年に香港を本拠とする投資会社BOAOに買収されました。このコースは、元々、東京のマンション業者が開発したゴルフ場でしたが、そこが2003年に民事再生法を申請したため、オープンには至らず、休眠状態となっていました。その後、香港、支那の投資家が出資してこのコースとその周辺の計210ヘクタールを約30億円を投じて取得、クラブハウスの建て替えとコース改修など開発を進め、「一達国際プライベートゴルフクラブ」と改名し、2014年にオープンしました。
「一達国際プライベートゴルフクラブ」のコース
買収した投資会社の役員は、「ここに将来、支那の五輪強化選手用の施設を作る構想がある」と語ったといいます。五輪級の選手が、最適な環境を求めて自国外で調整を行うケースは少なくありません。日本の選手らも外国で強化合宿を行っています。しかし、だからといってこの発言を「問題なし」として看過するのは間違いです。 
なぜなら、相手があの全体主義国家の支那だからです。投資会社役員の発言は、この施設買収が単なる一民間企業の投資行動ではなく、支那共産党との強いパイプがあることを物語っています。 
BOAOの元理事には蒋暁松という人物がいます。支那・海南島のリゾートを運営する支那人実業家です。過去に彼は、和歌山県の那智勝浦・太地町にあり2003年に事実上破綻した大規模年金施設「グリーンピア南紀」の跡地開発の疑惑に絡み、名前が挙がったことがあります。グリーンピア南紀の跡地開発が、通常の手続きを経ず、不明朗なままBOAOが請け負うと決められたからです。
蒋暁松(左)
この決定には、和歌山選出の自民党国会議員で親支那派と言われる二階俊博氏の強い後押しがあったとも報じられました。北海道内で、支那系資本による明らかに不自然な不動産買収の実態が多々あるにもかかわらず、地元の政官界からほとんど懸念の声が上がらない背景には、こうした日本の中央で力をもつ政治家らが暗躍しているという事情もあるのです。
自民党幹事長 二階俊博氏
支那マネーが道内ゴルフ場の買収に意欲を見せているのは、増大している支那人観光客を対象にした、ゴルフをセットにした旅行プランの需要が高まると見ているようです。中には、金に糸目をつけずにマイ・ゴルフ場としてコースを探している富裕層もいるといいます。 
さらにもう一つ、支那が道内の森林を買っているのは水資源が目的ですが、勝手に川や沢から水を採取することはできないため、牧場やゴルフ場を取得して地下水をくみ上げようという狙いもあるようです。実際、地下水のくみ上げに関しては規制がなく、水脈を探し当てれば自由に水を確保することができるのです。 
また、世界的な食糧不足が確実にやってくるとして、道内で農業ができる土地を確保しておこうという思惑もあるようです。ゴルフ場を農業用地に転用する目的で取得しようというのです。我々はゴルフ場といったらゴルフ場の価値しかないと思っていますが、彼らは木や池があって整地されていて開墾の必要もない農業用地として適していると見ています。水と農業は、支那系資本が道内の土地を買収する大きな動機になっているのです。

さて、北海道ではこれ以外にも大きな問題があります。それは、自衛隊駐屯地の近隣の支那人による土地購入です。その事例をあげておきます。

千歳市では、2010年、約17棟の別荘が建設されましたが、購入したのはすべて支那人。住宅には不釣り合いなパラボナアンテナがいくつも設置されています。ここは、航空自衛隊の千歳基地、陸自の千歳・恵庭演習場から2、3キロメートルしか離れていないません。
パラボラアンテナが設置された別荘
上の写真は、2014年8月撮影したものです。場所は新千歳空港や陸上自衛隊・航空自衛隊の近くの北海道千歳市文京1丁目です。 
家のベランダではなく共用部に受信のためだと思われる大きなアンテナが設置されているのが4つ程確認できました。車庫は見当たりませんでした。 
またどのような用途かはわかりませんが、窓に外からは電気が点いているか確認しづらく見えるフィルムが標準装備されていました。 
登記情報を調べたところ17棟中16は支那人の所有でした。残りの1つはニトリ家具の取締役の名前で所有されていました。ただそこの表札の名前は、姓はニトリの取締役でしたが名は支那人の様な名でした。 
岩内町(いわないちょう)では、泊原発の原子炉3基が目視できる高台に支那人が別荘を購入しているといいます。ここへは、札幌から車で3時間近くかかります。こんなところに、わざわざ別荘を買う理由は、一体何なのでしょう。 
倶知安町(くっちゃんちょう)自衛隊駐屯地から3キロメートル以内に外資が所有する土地が3件、トータル109ヘクタールあります。そのうちのひとつは香港資本のものですが、買収から8年近くたってもそのままです。 
北海道・俱知安町で売りに出されれている山林
こうした支那人による、日本国内の土地の所有に関しては、常に大きな危険が伴っています。

多くのみなさまがすでにご存知の通り、2010年7月に支那共産党政府が成立させ、施行した国家総動員法(国防総動員法)は、同国の国防に関わる有事にいたった場合に、国内外の支那(China)国籍者の財産の接収(没収)、同国籍者の徴兵(国内・在外を問わない同国籍者の徴兵(兵員化)と、および、同国内での外国資本の没収まで含まれています。

何故、このような法律を性急なまでに施行したのでしょうか。その目的は、支那共産党政府がごく近い将来に有事(および戦争)の発生を想定してのことで、たとえば、対日政策の上では、侵攻による沖縄県尖閣諸島、さらには沖縄本島の収奪・領土化とそのための有事を視野に入れてのことであろうことは疑いの余地も有りません。もとより、沖縄の領土化は日本本土を次の視野に入れてのことで、日本の属国化、ひいては「日本自治区化」を想定していることでしょう。 
注目すべきは、在日支那国籍者もこの法律の動員対象となっていることです。登録されている同国籍者だけでも「687,156人(2010年12月末時点の統計)に上り、その他“観光”などで一時的に渡航して来ている者や15万人を超えたとされる同国の留学生も、「有事」発生時点での動員対象になります。さらに、後者の一時的渡航者、留学生の中から絶えない「法律上は日本に存在していない」はずの不法残留(オーバーステイ)者や、さらには、数値ではその掌握が測りかねる不法滞在者(密航者)もその例外ではありません。

さらに、民間偽装での入国の末に偽装帰化した“元支那国籍者”(その正体は人民解放軍の民間偽装の兵員であったり、対日工作員であったりとの指摘も絶えない)要員で、実質的に支那共産党に忠誠を誓っている者も、いざ同法が適用となる際は上記に準ずることになるでしょう。

結果、総動員法のもとで兵員化し得る人員数では、トータルで百万人を超える可能性も否定できません。高齢層や幼年層、亡命者の数を差し引いたとしても、相当の「兵力」になるはずで、支那本国が擁する二百万人を超える人民解放軍に実質合流することになります。 
これは、支那共産党政府のスイッチ「ON」一つで、それまでの“文化交流”や“経済交流”“観光”などの名目下で、巧みなまでに日本に埋め込まれて来た時限装置が一気に同時多発的に爆発することを認識すべきです。その時には、自ずと支那人の所有する日本国内の土地建物は、日本攻略の前進基地になることはいうまでもありません。

北海道は、自衛隊を削減する動きもあります。尖閣、沖縄を含む南西諸島付近には支那艦船が出没したり、支那航空機が出没したりするので、それに対する対抗措置として、この方面での自衛隊を強化するという意味があるのでしょうが、北海道の現状をみれば、これはあまりに無防備です。
このような実体を把握するため、産経新聞の連載「異聞 北の大地」(産経ニュースでは「北海道が危ない」で掲載)の筆者、宮本雅史編集委員が案内役として同行し、外国資本に買収された北海道の森林や水源地などをめぐる特別ツアー(産経新聞社主催)が7月23、24の両日開催されました。

8市町村を中型バスで走破し、2日間の総移動距離は約900キロに達した。住宅地、ゴルフ場跡地、大学、山林など10カ所以上を訪ね歩き、外資による「国土侵食」が加速している事実を確認しました。

ツアーは記事と連動した新しい試み。募集期間は実質20日間と短かったのですが、最終的に計20人が応募。定員を満たし、出席率は100%でしたた。

年齢層は30~70代と幅広く、職業も、自営業、公務員、地方紙社長、住職、タクシー運転手、主婦などさまざまでした。国会議員も「個人」で申し込み、山谷えり子元拉致問題・領土問題担当相、山田宏参院議員が駆けつけました。男女の内訳は男性13人、女性7人でした。

この詳細については、産経新聞に掲載されています。その記事のリンクを以下に掲載します。詳細については、この記事をご覧になって下さい。
【北海道が危ない・特別編】外資の「国土侵食」が加速 “中国人自治区”誕生の可能性も「武器を持たない戦争を仕掛けられている」
以下に、このツアーの日程などを示した、地図を掲載します。


以下に実際にこのツアーに参加した、山田宏参議院議員の参加体験談の動画を掲載させていただきます。



このような危機的状況にあるのですが、では政府や北海道はこれに対して何かをしていたのかを調べていましだか、他にとんでもなことがわかりました。

北海道議会議員の小野寺まさる氏が本日以下のようなツイートをしていました。
このようなことを実施しようとして、計画をしていた国交省や北海道開発局は一体何を考えているのでしょうか。全く危機感がありません。

さて、このような中国資本の北海道の土地の買い占めに対して、日本は何もできないのでしょうか。

実は、日本にもこれに対応するための法律は、上の山田宏参議院議員の動画にもでてくる法律があります。以下にこの法律の概要を掲載します。

日本には、この「外国人土地法」があります。ただし、GHQによりこの法律の細則が削除されてしまったので、事実上、施行できない法律になっています。 この法律、かなり強力です復活させるべきです。

しかし、これで問題のすべてが、解決するわけではありません。根底には、さらに深い闇があるのです。

こうした森・水・土地をめぐる動きの根底にある問題は何なのでしょうか。「外資の森林買収」という事象を契機に我々が考えるべき根本課題は何なのでしょうか。

2011年11月の北海道北部。林道さえ入っていない奥地の天然林200ヘクタールを求め、不動産関係者が現地を訪れました。

「この辺鄙な地を選んだのは、水源地の売買規制が始まった道央・道南を避けるためだ。不在村地主の山を中心に購入したい」

仲介したこの業者は、道央の山を中国資本に売却した実績を持っていました。

狙われた山はかつて70数戸の集落があったのですが、1962(昭和37)年の台風災害で全戸離村し、以来、無人になっている奥山でした。林業が成り立つ場所ではありません。同行した関係者が、目的不明の買収話を不審に思って役場に連絡したことにより、その地は地元篤志家が私財を投じて購入することで決着しました。

仮に、現地視察に同行した関係者が役場に情報を伝えなければ、どうなっていたでしょうか。恐らくこの無人の土地は、役場も地元住民も知らない間に、仲介者 を通じて売却され、将来的に役場は所有者情報を追いきれなくなっていた可能性が高いです。無人の奥山が知らぬ間に国際商品になりかけていた事実に衝撃を受けて、役場はこの4月から不在地主所有の森林についての実態把握に乗り出しましたた。

なぜ役場が土地所有の実態を正確に把握できないのでしょうか。そこには、この国の特異性があります。

日本の土地制度は、
(1)地籍調査(一筆ごとの面積、境界、所有者などの確定)が未だ50%しか完了していない 
(2)不動産登記簿の仕組みが旧態依然で、土地売買届出などの捕捉率も不明 
(3)農地以外の売買規制はなく、利用規制も緩く、国境離島、防衛施設周辺など、安全保障上重要なエリアの土地売買・利用にかかる法整備も不十分である一方、 
(4)土地は占有者のもので「時効取得」(民法第162条)もある*2。 
(5)土地所有権(私権)が現象的には行政に対抗し得るほど強い*3。
という点に特徴があります。

「土地は公のもの」という理解が社会の基底にある先進諸外国では類を見ないものです。中でも(2)における行政基盤、行政精度の問題は大きいです。

現在、我が国の土地情報は不動産登記簿(法務省)のほか、土地売買届出(国土交通省)、固定資産課税台帳(総務省)、外為法に基づく取引報告(財務省)、さらに森林調査簿(林野庁)や農地基本台帳(農林水産省)など、目的別に作成・管理されています。しかし、その内容や精度はばらばらで、国土の所有・利用についての情報を国が一元的に把握できるシステムは整っていません。

通常、土地を相続すれば登記簿の名義変更を行うが、変更手続きのコストの方が高くつくケース*4では、差し迫った必要性がなければ元の名義のまま放置されることも少なくないです。そもそも不動産登記(権利登記)は義務ではなく、登記後に転居した場合の住所変更も通知義務はありません。

国土利用計画法による届出情報も万全ではありません。売買契約締結後、2週間以内に届出することを義務づけているのですが、実際の取引現場での認識は低いです。国はその全国情報を毎年集計し公表しているものの、届出の捕捉率は把握できていません。この届出業務が自治体の仕事(自治事務)だからです。

国土利用計画法の体系
海外からの投資という面で見ると、外資による投機的な土地買収は全国で約3700ヘクタール(2007年度~2010年度)です*5。ただ、外為 法で規定されたこの報告ルールも、その捕捉率は不明です。しかも外為法の体系では、非居住者(外国に住む人)が他の非居住者から不動産を取得した場合は、報 告義務の対象外です(外国為替の取引等に関する省令第5条第2項10)。

国交省・農水省は外資による森林買収情報を集めており、2010年までに全国で約800ヘクタールが買収されたと公表しました。定義がそれぞれ異なるため、数値は一致しないのですが、北海道は独自調査を進めており、道内で57件、1039ヘクタールが外資に買収されたと公表していました。今後、こうした物件がさらに外資へ転売 された場合、所有者情報は追えなくなるでしょう。

日本では国土の所有実態を行政が把握しきれないのです。「外資の森林買収」で露呈した根本問題はここにあります。

固定資産税の不納欠損処理全国で過疎化が進みゆく中、今後は土地所有者が村外、県外、さらに国外在住というケースも増えていくでしょう。鳥根県の旧匹見町(人口約1400人)では、固定資産税の納税義務者の所在が全国26都府県にわたっています*6。このうち、林地の約7%(面積比率)、農地の約3%(同)は納税義務者の居所が不明と見られます。かつては当たり前だった「土地所有者=在村住民=管理者」や「納税義務者=在村住民」という図式が成り立たなくなってきています。

固定資産課税台帳は登記簿情報を元に更新されていくのですが、前述のとおり、その登記簿が十分ではありません。所有権者の転居や金融商品としてグローバル化していくことを想定した設計にもなっていません。制度にひずみが出はじめています。

不思議なのは、こうした時代の変化と制度上の問題があるにもかかわらず、固定資産税の徴税が表立って大きな問題にならないことです。総務省によると固定資 産税を含む市町村税の徴税率は93.3%(2010年度)。固定資産税は市町村税収の43.7%(同)を占めるるのですが、土地所有者の不在化、不明化によって、 課税・徴税に支障が出ていないのでしょうか。

探っていくと、徴税率の高さの背景には、実は「不納欠損処理」という数字のマジックがあることがわかります。地方税法では、所有者の居所不明などで徴税ができなくなった場合、徴税が無理だとわかった時点での即時欠損処理(第15条の7第5項)や5年の時効(第18条)などによって消滅させる仕組みがあります。本来なら滞納繰越額は毎年雪だるま式に膨らみ続けるはずですが、この不納欠損処理によって滞納事案が「消滅」していくのです。つまり、徴税率計算の際の分母(課税対象)から滞納事案の大部分を消すことで、計算上の高い徴税率を保っているのです。

市町村税総額の中の「不納欠損処理」は、全国で1103億円(2010年度)。全体の0.5%程度で、一見少ないようにも見えます。だが、徴税すべき対象から外した「1年間」の額がそれです。固定資産税は累積していきます。税がとれずに債権放棄した額は、いわば再生産されていく負債です。

加速していく土地所有者の不明化は納税義務者の不明化でもあるのです。不納欠損処理によって、徴税不可能な事案を「消滅」させることで、その問題もまた表面上見えなくしているのです。一見高い徴税率の陰で、土地所有者の不明化により、地方財源の重要な柱である固定資産税の税収が漸減していく恐れがあります。

行政基盤や行政精度の劣化を示す事象として「消えた年金」「消えた高齢者」が従来から大きな問題になっていましたが、「消えた土地所有者」は、それらに続く可能性があります。

日本では団塊の世代が相続する時代を迎えています。資産価値が低く管理が難しい土地は、子供たちから敬遠されます。子供に負担をかけまいと、「相続の前に土地を手放したい」「買ってくれるなら誰でもいい」と苦渋の思いで仲介ブローカーに売却し、その後どう転売されたか、地元では誰も知らないという事例が、今後じわじわと増えていくでしょう。国境の離島や奥山の水源地など、安全保障や国土資源保全上、重要でありながら、人の目や手入れの行き届かない地域が増加していく恐れもあります*7。

グローバル化時代の開かれた経済活動の中、国レベル、自治体レベルそれぞれにおいて、土地情報の風通しをよくしていくルールを早急に整える必要があります。

国レベルでは、まず安全保障の観点から国が「重要国土」(防衛施設周辺、国境離島、空港・港湾、水源地など)の指定を行い、対象地域の所有実態の調査や、売買・利用にかかる法整備を行うことです。長崎県五島市は、福江港沖の無人島が不動産会社のホームページで売りに出された問題をきっかけに、市内全52の無人島について所有状況の確認作業を行い、2011年12月、結果を公表しました。

国は「重要国土」について、こうした基礎調査を進め、一定の売買・利用規制を講ずるべきです。国益上、とくに金融商品とすべきでない土地については、国有化や公有化のための財政措置も検討すべきです*8。

また、民間のインターネット入札などを利用した国公有地の売却が進められていますが、日本の土地法制の特異性を再認識する必要があります。収入確保のための拙速な国有地売却など、顔の見えないインターネット入札を無差別に進めていくことには、慎重であるべきです。

自治体レベルでは、上記の「重要国土」に準じた保全対象地域(環境、水源、生態系、景観、文化財など)を指定し、所有実態調査と条例による売買・利用ルールの整備を図っていくことが必要です。

昨今、「当県(当市)では外資による買収事例は確認されておらず、今のところ特段の措置をとる予定はない」という自治体が少なくありません。しかし、行政が知らないだけではないでしょうか。土地売買・所有の実態を行政が十分に把握できていないことこそが問題なのです。

土地所有者の不在化、不明化の問題は、固定資産税の徴税のみならず、防災・治安、地域づくりのための合意形成、公共事業のための用地取得など、日常の 様々な活動に問題が波及していきます。北海道のある自治体は、外資が所有する水源地2カ所を公有化するため、長期にわたって交渉を行っていましたが、未だ決着していません。地域の「守るべきところ」「守るべきこと」を明確化し、問題を未然に防ぐことが何より重要です。

諸外国を見ると、欧米では厳格な利用規制などによって個人の土地所有権に一定の制約を課しています。ドイツのB-planが最もわかりやすいです。英国も土地 所有者は保有権(hold)は持つものの、それは土地利用権に近く最終処分権までは持ちません。フランスでは公的機関による強い先買権が存在します。

海外からの投資という観点では、米国では農業外国投資開示法(1978年制定)や外国投資国家安全保障法(2007年制定)など、国の重要なインフラや 基幹産業に対する投資について、政府がいつでも情報把握や公的介入ができる制度を整えています。オーストラリア、ニュージーランドを含めた近隣アジア太平洋14カ国において、土地売買における外資規制が皆無なのは日本だけです。

日本でも、たとえば不動産登記を義務付け、登記の際にはマイナンバーも登録するように仕組みを変えるべきです。一方で、戸籍とマイナンバーを連動させる是非について法務省の「戸籍制度に関する研究会」で検討が進んでいます。マイナンバーによって戸籍と不動産登記が連結されれば持ち主や相続人の特定が容易になります。マイナンバーというツールを上手に活用していくように政治はリーダシップを発揮し、不動産登記の改革につなげてほしいです。

マイナンバーにより戸籍と不動産登記を連結すへき

土地とは、暮らしの土台であり、生産基盤であり、国の主権を行使すべき国土そのものです。経済のグローバル化と地域の高齢化・人口減少が同時進行する時代だからこそ、開かれた経済活動の前提として国内法制度をしっかりと整え、「守るべきところは守る」ことが不可欠です。

土地所有者の不明化対策に乗り出し、制度の見直しと底上げを図ることが急務です。そうして、忘れてならないのは、現在の土地の集合である国土は私達の父祖が長い間かけて開拓してきたものであり、徒や疎かに扱うべきものではないということを私達自身が再度認識すべきです。
*2 民法第162条は、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有することによって(占有を始めた時に善意・無過失であった場合は10年で)、所有権を時効により取得したと主張できると定めている。 
*3 首都圏の外環道(東京外かく環状道路)は、計画樹立以来40年以上経過しているが、未だ一部の地権者の合意が得られず完成していない。成田空港も、地権者の合意が得られず、滑走路が1本のままである。 
*4 山林価格は実勢で1ヘクタール20万円以下になるケースも少なくない。評価額が免税点30万円に届かなければ固定資産税も請求されないため、山林所有者の所有意識は弱まる一方だ。 
*5 外為法に基づく非居住者による本邦不動産の取得に関する報告実績(財務省資料、2011年2月)。 
*6 島根県中山間地域研究センター「中山間地域の現状・課題と今後の展開戦略(抄)」(2006年)。国土交通省は、森林所有者数約324万人のうち、所在の把握が難しい所有者を約16万人(約5%)と推計している(国土交通省「農地・森林の不在村所有者に対するインターネットアンケート調査結果概要」2012年)。 
*7 国土交通省は、日本の国土のうち、人が居住する地域は全体の約48%、1800万ヘクタール(2010年)だが、2050年には国土の約4割、約1400万ヘクタールまで減少すると予想している(国土交通省国土計画局「国土の長期展望に向けた方 向性について(2010年12月)」)。 
*8 東京財団「国土資源保全プロジェクト」提言書
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2017年8月24日木曜日

【阿比留瑠比の極言御免】民主主義破壊するメディア 安易な「報道しない自由」の行使―【私の論評】ネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちへ朗報(゚д゚)!


参院文科・内閣委員会連合審査会で、自由党の森裕子氏の質問を聞く前川喜平・前文部科学事務次官(右)と加戸守行前愛媛県知事=7月10日午後、国会・参院第1委員会室 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
22日付の産経新聞と読売新聞に、民間団体「放送法遵守を求める視聴者の会」による意見広告「異常に歪んだテレビ報道 視聴者の知る権利が奪われ続けています」が掲載されていた。ご覧になった読者も多いだろうが、そこに示されていた数字は、寒気すら覚えるものだった。マスメディアの現状を考えるうえで、非常に重要なポイントなので、改めて紹介したい。
22日付の産経新聞と読売新聞に、民間団体
「放送法遵守を求める視聴者の会」による意見広告
 
広告は、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐる7日10日の国会閉会中審査について、テレビがどのように報じたかを検証している。

それによると、テレビ各局は10日から11日までにこの問題を計30番組で合わせて8時間36分23秒間、報じた。問題なのは、その内訳の極端な偏りである。

各局は、国会に招かれた参考人のうち「首相官邸によって行政がゆがめられた」と主張する前川喜平・前文部科学事務次官の発言については、計2時間33分46秒にわたり取り上げていた。ところが、前川氏に反論した加戸守行・前愛媛県知事の発言はわずか計6分1秒、原英史・国家戦略特区ワーキンググループ委員の発言はたったの計2分35秒しか放送しなかった。

加戸氏は実際に加計学園を誘致した当の本人であり、かつては前川氏の上司でもあった。原氏は獣医学部新設の是非を議論、審査した当事者である。

にもかかわらず、「岩盤規制にドリルで穴を開けていただいた。ゆがめられた行政が正された」との加戸氏の訴えや、「規制改革のプロセスに一点の曇りもない」との原氏の証言は、テレビでは事実上なかったことにされた。テレビ東京に至っては、加戸氏と原氏の発言を一切報じなかった。

まさに「歴史上最悪に属するとみられる偏向報道」(視聴者の会事務局長で経済評論家の上念司氏)だといえる。放送法4条は次のように定めているが、守る気はさらさらないようだ。

「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」

もっとも、これはテレビ局だけの問題ではない。放送法の縛りは受けないものの、7月10日の閉会中審査における加戸氏の発言に関しては、朝日新聞と毎日新聞も、記事本文中では1行も触れなかった。

テレビも新聞も、事実や読者・視聴者が考えるための材料をありのままに提供することよりも、自分たちの主義・主張に都合のいいことだけ熱心に伝えている。前川氏の意見と加戸氏らの反論のどちらに軍配を上げるかは本来、情報の受け手自身が選ぶべき話である。そんな当たり前のことが、前川氏の見解だけしか報じないメディアによって妨害されている。

今回、テレビ報道の偏向を調べた一般社団法人日本平和学研究所の理事長で文芸評論家の小川榮太郎氏は、筆者も同席したインターネットの「言論テレビ」番組(4日放送)で、こう指摘していた。

「報道機関の社会における存在意義は、報道による情報を基に国民が判断する(という)民主主義の根幹を担っていることだ。その情報がこんなに極端な虚報に彩られ、何カ月も是正されないとなれば、これはデモクラシーそのものが否定、毀損されていると言っても過言ではない」

マスメディアは今、率先して民主主義の根幹を壊している。そして、安易な「報道しない自由」の行使によって、自らの存在意義も失おうとしている。(論説委員兼政治部編集委員)

【私の論評】ネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちへ朗報(゚д゚)!

何を伝え、何を伝えないかの選択権は、報道側にあります。だから民放と比べた場合、NHKのニュースで豊田真由子議員の「このハゲ―!」関連ニュースを扱う時間は短いです。これは、NHKなりの基準があるからだと考えられます。


あまりにも有名になったハゲ発言の動画

とはいいながら、参考人の重要な発言まで「報道しない自由」の範囲内ではないでしょう、というのが「偏向だ」と訴える側の意見です。たしかに特定のテレビだけを見て、新聞だけ読んでいる人にとって、加戸前知事はいなかったも同然になっていることでしょう。

メディア側の「偏向」では、「発言の切り取り」もしばしば問題とされています。東京都議選で安倍首相が発したとされる「こんな人たちに負けるわけにいかない」発言もその一例です。

選挙演説の妨害を組織的に行なう集団に対して「負けない」と言ったはずの話が、いつの間にか「自分に反対する人たちには負けない」と言った、という解釈が主流になってしまいました。それは「切り取り」のせいだ、というのが、偏向を問題視する側の意見です。

ここでは最近の政権絡みの話題を取り上げたのですが、こうしたメディアへの不信の声は、ネットが普及してからは特に多く見られるようになりました。

多くの人がチェック役や発信者になれる状況ゆえに、旧メディア側の手法が見透かされるようになったという面もあるのでしょう。

旧メディア側も、こうした指摘をまったく気にしていないわけではないのでしょうが、長い時間かかって蓄積した「垢」のような慣習は、なかなか簡単に消せるものではないでしょうし、消すつもりもないようです。

となると、受け手側はリテラシーを向上しなければならないということになります。特にネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちには、どうしてもテレビや新聞に頼ってしまうので、「偏向」に気付かないということがしばしばあります。

ではどうすれば良いのでしょうか。

烏賀陽弘道氏
元朝日新聞記者で、現在はフリーで活動している烏賀陽弘道氏は、新著『フェイクニュースの見分け方』の中で、一般の受け手が情報の真偽を見抜くためのポイントを各章の最後にまとめています。そのうちのいくつかを紹介します。
・「何を書いているか」と同様に「何を書いていないか」に着目すべき。  
・ウソではないが本当でもない記事がある。 
・メディアは「わからない」と言いたがらない。 
・匿名発信者はモラルが下がる環境にいる。 
・引用の正確さで、発信者が事実の正確さにどの程度注意を払っているかがわかる。
これらが書かれた時点では、上記の加計学園問題も、都議選も想定されていませんでした。烏賀陽氏が記者としての経験をもとに抽出したものですが、一連の騒動を見る限り、普遍的なポイントであると考えて良いと思います。

確かに、この5つだけでも、気をつけていれば、フェイクニュースにやられることはあまりないと思います。しかし、この5つに気をつけて日本のメディアを見ると、ほとんどのメディアに問題ありということになります。

これでは、烏賀陽弘道氏のせっかくの主張もあまり意味のないものになってしまいかねません。

こんなときに、特にネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちはどうすれば良いのでしょうか。

やはり、テレビに近いメディアが良いと思います。一昔前だと、動画はパソコンでないと見られない時代がありました。

しかし、現在なら、既存のテレビで簡単に動画をみられるようになりました。私自身も、AppleTV、クロムキャストを用いてテレビで動画を楽しんでいます。その他、有名なとものとしては、FireTVstickがあります。

ファイヤー・スティックTVの視聴
AppleTVは、付属のリモコンで操作できてるのですが、残念ながら現状ではスマホ等がないと、YouTubeを視聴できません。

クロムキャストは、ユーザーがタブレットPC、PC、スマホを所有していることを前提としています。

ファイヤースティックTVは、PCやスマホなどなくても、視聴が可能ですし無論YouTubeも視聴可能です。

これは、インターネット環境さえあれば、取扱に一度慣れてしまえば、楽に視聴することができます。

そうして、私は実際に近所の65歳以上の方々数人に、この使い方を教えさせていただき、視聴していただています。何人かの人は、「虎ノ門ニュース」などを視聴するようになって以来、人生観が変わったとまで言って喜んでいただくことができました。

このようなこと、民間団体「放送法遵守を求める視聴者の会」の設立者の一人でもある上念司氏は、ご自身のtwitterで、高齢者の方々に、テレビで動画をみられるようにしてあげることを推奨しています。

私は、これからも微力ながらこのような運動を地道に展開して生きたいと思います。そうして、多くの人が、ネットと既存メデイアの両方が情報源になれば、フェイクニュースを見分けられるようになると思います。

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2017年8月23日水曜日

イオンまた値下げ 「インフレ目標で価格決めない」 ―【私の論評】真摯に市場の声を聴けば今の日本経済が見えるはず(゚д゚)!

イオンのチラシ
イオンは23日、グループのスーパー2800店舗で25日から、プライベートブランド(PB)の食品や日用品114品目を値下げすると発表した。値下げ幅は平均で10%程度。同社は昨秋と今春にも合わせて約520品目を値下げした。継続的な値下げで低価格をアピールし、節約志向の消費者の需要を喚起する。

 値下げの対象は食品88品目、酒類7品目と日用品19品目。パック入りのご飯を29円安い429円、レギュラーコーヒーを108円安い753円などに値下げする。

 イオンの三宅香執行役は値下げの理由を「低価格への意識が強い消費者のニーズに応えるため」と説明した。物流の効率化や店舗拡大のスケールメリットによる原価低減を値下げに充てたという。日銀は2%の物価上昇を目標に掲げるが、脱デフレの動きは鈍い。三宅執行役は「インフレターゲットを意識しながら価格を決める小売業はない。我々は顧客のニーズだけを見ている」と述べた。

【私の論評】真摯に市場の声を聴けば今の日本経済が見えるはず(゚д゚)!

イオンは今年4月11日にも、傘下のスーパー400店で、食品や日用品の最大254品目を4月17日から順次値下げすると発表していました。値下げ幅は平均で10%程度。全体の品目数からするとごくわずかにすぎないものの、同社は昨秋から順次、プライベートブランド(PB)とメーカー品を合わせて約270品値下げするなど、定番商品の価格引き下げを続けています。

4月に値下げしたのは、総合スーパー(GMS)のイオンリテールが販売するメーカー品が約240品目、グループ共通で扱うPBが15品目。メーカー品では税抜き98円で販売している菓子パンを88円に、同235円の歯ブラシを215円に引き下げました。PBでは「トップバリュ天然微炭酸の水」を税込み149円から105円ににしました。


イオンリテールの岡崎双一社長は昨年10月、子育て世代など、節約志向が強い層の客離れが起きているとして「強烈な売価訴求」を重要課題に掲げました。メーカー品の価格見直しは半年ごとなど定期的にしており、「社会保障負担などが高まる春に合わせ、日用必需品を買いやすくする」(広報)としていました。

この4月の値下げととともに、今回の値下げで、約520品目を値下げしたことになります。この動きは、イオンだけではありません。

今年の春以降に、大規模な値下げをした企業は他にもあります。 代表的なものを見るとセブン-イレブンでは、日用雑貨品61品目を値下げしました。 これは実に、8年ぶりとなりました。

最大手のセブン-イレブンでの値下げは、またたく間に小売りの現場に広がりました。 例えば、ローソンでは、「シャンプー」を21円値下げするなど、およそ30品目を5%前後下げました。ファミリーマートもこの「柔軟剤」など、25品目値下げしました。

「値下げの春」などと大きな話題になりましたね。 晩夏を迎える今、こうした春先から続いている値下げの動きは、さらに広がりを見せています。

イオンの三宅執行役は「インフレターゲットを意識しながら価格を決める小売業はない。我々は顧客のニーズだけを見ている」と述べたいますが、まさにそのとおりです。

先日は、数字的な裏付けから、日本では未だ緊縮財政で脆弱なわが国経済の実情を掲載しました。上のような事実をみるとこの記事で主張したことがさらに正しかったことが裏付けられたものと思います。当該記事のリンクを以下に掲載します。
日本を完全雇用・適度なインフレに導く、極めて効果的な方法があった―【私の論評】数字を見ればわかる、未だ緊縮財政で脆弱なわが国経済(゚д゚)!
以下に、この記事で掲載したグラフを再掲します。

この記事より、このグラフの解説を以下に再掲します。
今回は、実質成長が「6期連続」で、かつ、それが「11年ぶりだ」なのではありますが、だからといってこれだけで、すぐに、今景気は良いという判断にはなりません。
なぜなら、「実質成長率」は、「デフレが加速してデフレータ(物価)が下落」すれば、上昇するものだからです。つまり、「実質成長率は、デフレの深刻さの尺度」にすらなり得るのです! 
実際、上記グラフからも明白なとおり、消費増税以降、デフレータは下降し続け、今やマイナス領域を推移しています(黄色)。
これこそ、「6期連続、実質成長率がプラス」となった理由です。実際、このグラフに示した「名目成長率」(前年比・青線)は、今期こそ、僅かに上昇傾向を見せていますが、ここ最近、ゼロ近辺を推移しているということ、つまり、「成長していない」事を示しています! 
日本経済は、本格的な好景気状況からはほど遠い状況にあるのです。 
にもかかわらず、2017年4~6月期GDPは年率4.0%増、プラスは6四半期連続となったり、名目GDPの成長率も年率4.6%と好調となり、名目が2四半期ぶりにプラスになっています。

この理由は簡単に理解できます。その一部の理由は、「公共投資は5.1%増-補正予算の効果でプラスに寄与」というものです。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-13/OUAL466S972801

一年前の昨年夏に調整した、アベノミクスにおける「大型景気対策」の効果がようやく効き始めた、と言うのが、「今期」における一部良好な数字の原因の一つです。

さらに、以下のよう要因もあります。
①ここ2、3年間、外需が伸びてきた事を受けて、外需関連企業の収益が改善した、 
②その影響を受け、ここにきてようやく、民間企業がトータルとして「内部留保」を縮小させ、消費と投資を拡大しはじめる程に景気が改善してきた。 
③これを受けて、ようやく(物価の力強い上昇は達成されていないものの──)「名目GDP」も上向き始めた──。
つまり、今の「よい数字」を導いた基本的な原因は「外需」だったわけであり、それがここにきてようやく、民間企業の力強い成長に結びついてきた、と言うことです

さらに、高橋洋一氏は、この記事の元記事で、日本の構造的失業率は2%半ばであり、まだ日本は完全雇用に達していないということを数字的裏付けをもとに主張しています。

この状況に対応して、イオンなどのスーパーや、コンビニなどの業態が値下げに次ぐ値下げ政策を実行しているというわけです。

日本銀行は7月20日の金融政策決定会合で、物価上昇2%達成時期を「2018年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りしました。

日本の経済の中身をみると、このようにまだまだ、物価目標も道半ばである、完全雇用の状況にもなっていないし、何よりもGDPデフレータがマイナスであることから、どう考えても未だデフレから脱却したとは言い難い状況です。

この状況では、増税などとんでもない悪手であり、減税をするか大型補正予算を組むなどで積極財政を実施するのは当然であり、物価目標すら達成できない現状では、追加の量的緩和も実行すべきです。

茂木敏充経済再生担当相
この状況で、茂木敏充経済再生担当相は、記者会見で今回のGDP速報について「率直にいい数字だと思っている」との認識を示し、「内需主導の経済成長が続くように万全の対応をしていきたい」と強調した。一方で、「現段階で具体的に新たな経済対策は想定していない」とも語っていました。

これは、全くの間違いです。これは、数値的な分析をさほどしなくても、ブログ冒頭の記事にあるように、イオンが値引きに次ぐ値引きをしているとか、イオンだけではなく、他のコンビニもそうしていることの意味を良く考えれば理解できることです。

政治家は本来このような声を読みとつていかなければ、ならないはずであり、それができないというのならいずれ有権者からそっぽを向かれてしまいます。

かといつて、現状の自民党以外の野党は、ほとんどが実体経済を理解していないという状況です。まだ、自民党のほうがましというお寒い状況です。だから、次に選挙があっても、受け皿になれる野党が存在しないという状況です。

民進党は、代表戦をする予定になっていますが、代表戦に出馬す前原氏も、枝野氏も経済にはうとすぎます。
民進党代表選の公開討論会で、記者の質問に答える枝野元官房長官。
左は前原元外相=22日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ
そうして、若狭氏が立ち上げた政治団体「日本ファーストの会」ですが、正直なところ何をしたいのか分かりにくいです。「自民党対抗の受け皿」としての国政政党ということのようですが、若狭氏はほんの少し前まで自民党員でした。昨年10月の衆院補選では自民党公認として当選し、その後離党しました。

せめて補選の前に離党していれば、大義名分は立っていたのでしょうが、その意味では政治判断を誤ったといわざるを得ないです。こうしたことは、その後の政治活動に影響するので、若狭氏主導の「日本ファーストの会」の先行きは必ずしも明るいといえません。さらには、若狭氏も経済にはうといようで、経済対策とし具体的に何をやるのかなど目立った主張はありません。

何をしたいのか良く理解できない若狭氏
このまま日本経済が放置されれば、市場関係者や流通関係者から怨嗟の声があることになります。またデフレに舞い戻れば、自民党はさらに支持を失うことでしょう。

その時に、経済を理解した野党がでてくれば、それが受け皿になるのは必定です。

その意味では自民党も油断していれば、先はないです。一番良いのは、安倍首相が初心に立ち返って、追加金融緩和と積極財政を実施し、デフレから早期に脱却することです。そのことを少なくとも、自民党の幹部連中が理解すれば、安倍政権は一強どころか、特強状況になれると思います。

なぜなら、今後経済で目立った失敗がなくなるからです。これは、とてつもなく大きなことです。特に、過去にデフレで20年以上も苦しんできた日本です。

デフレにならないということだけでも、すごいことになります。しかし、これは本来そんなに難しいことではないはずです。不景気というならまだしも、デフレは経済の癌であって、異常事態です。本来このような状態が長く続くのは異常中の異常です。

にもかかわらず、どうして日本ではデフレが長期間続いてきたかとといえば、財政や金融政策が間違えていたからです。このことに一日もはやく政治家に気づいていたただきたいです。

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