2019年11月18日月曜日

【映画】「一人っ子の国 (原題 – One Child Nation)」が中国共産党の正体と中国社会の闇を詳かにする―【私の論評】一人っ子政策は、民衆レベルでどのように実行されたのか?戦慄の事実(゚д゚)!




中国共産党が人口抑制策として、1979年から「一人っ子政策」を行ってきたことはあまりに有名だ。その効果が発揮され、中国の少子高齢化が急速に進んできたため、2015年にはこの政策を廃止し、2016年に「二人っ子政策」へと転換している。

また、何十年も実施してきた「一人っ子政策」の弊害として、中国では女性の数が圧倒的に少なく、結婚できいない男性が3000万人にも上ると報じられている

中国人口のアンバランスな男女比が原因で、今後30年内に、約3000万人の男性が数の上で結婚相手がいない状況に置かれると中国主要メディアが報じた。中国人男性の結婚難はすでに深刻な社会問題となっているが、今後も多くの「剰男」(余った男性、売れ残った男性)が出続けるとの見通しに、多くのネットユーザーの関心が集まった。 
 中国共産党機関紙、人民日報(電子版)がバレンタインデーを前にした13日、最近の人口に関する政府の計画や統計などを基に報じた。 
 それによると、2015年末の時点の中国の男性人口は7億414万人、女性人口は6億7048万人で、男性が女性より3366万人多かった。 
 男女別の出生比は、113・51(女児100に対して男児が113・51)。国際的にこの値は通常103~107とされるが、中国のケースは、これを軽く上回っている。
 別の統計によれば、80年代生まれの未婚の男女の比率は女性100に対して男性が136。70年代生まれでは女性100に対して男性が206と著しくバランスを欠いていた。 
 いびつな男女構成比は、1980年代半ばから見られるようになったとされる。1979年から36年間にわたって続いた「一人っ子政策」が大きく関わっているのは間違いない。−産経ニュース(2017.2.24)
しかし、「一人っ子政策」については聞いたことがあっても、そして中国で男女の人口比がいびつな状態であるというニュースを読んでも、それがどのように具体的に起きたのか、日本人そして世界のほとんどの人たちは知らない。

この疑問に答えたドキュメンタリー映画『一人っ子の国 (原題 – One Child Nation)』が、中国人映画監督のナンフー・ワンとジアリン・チャンによって制作された。監督の1人であるナンフー・ワンは、中国からアメリカに移住し、そこで男児を出産したことをきっかけに、母国中国で行われてきた「一人っ子政策」に興味を抱いたと映画の中で語っている。

中国で「一人っ子政策」が厳格に守られてきたのは、避妊具が普及していたからではない。また、男児が女児をはるかに上回る比率で生まれたのは、産み分けが行われたからでも早期の堕胎が行われたからでもない。「一人っ子政策」を厳格に守らせるため、そして人民の間では男児を強く望むあまり、ありとあらゆる非人道的な行為が行われてきた。この映画は、中国社会そして中国共産党の闇を白日の下にさらしている。

さらにこの映画が明らかにしている衝撃的な事実は、中国の孤児を引き取って養子にしてきた欧米人の多くが、実は中国による壮大な人身売買ビジネスに「多額の手数料を払う顧客」という形で加担してしまっていたということだ。

「不幸にも親から見捨てられた中国人孤児の里親になる」という良心から行なっていた行為が、実は中国国内で赤子を無理やり両親から引き剥がすという人身売買に加担する行為だったことをこの映画は明らかにしている。

とある孤児院は、中国人孤児を引き取りに来た欧米の里親のほとんどに対して、「この子は段ボール箱に入れられて捨てられていたのです」という同じ作り話を何十年も続けていたと、実際に中国人孤児を引き取ったアメリカ人男性が映画の中で語っている。彼はアメリカ人の里親に引き取られた中国人孤児について追跡調査を行なっており、孤児たちとその中国人の母親たちのDNAのデータベースを構築し彼らを引き合わせる活動を行なっている人物。

この映画はアマゾン・プライムが配信している

【映画の予告編】





(あいにく日本語字幕がついた予告編は見当たらなかった)


【私の論評】一人っ子政策は、民衆レベルでどのように実行されたのか?戦慄の事実(゚д゚)!

この映画、かなり背筋が寒くなる映画でした。はっきり言って、スティーブン・キングのホラー小説など霞んでしまうくらいの、恐ろしさでした。

これは、ドキュメンタリー映画なのですが。この『ワン・チャイルド・ネイション』、…邦題は「一人っ子の国」ですが、これは中国のことです。この映画は一般に封切りされたのかどうかはわかりませんが、現在アマゾンプライムでご覧になることができます。


このドキュメンタリー映画の監督は中国の田舎で生まれて後に、米国の大学を卒業して、現在はドキュメンタリー映画の作成をされている、1985年生まれのワン・ナンフー(Wang Nanfu)さんという人が作成したものです。

この映画の作成にあたり、この方は1人で中国に行って。自分でカメラを持ってたった1人で撮影をしたものをもとにドキュメンタリー映画を作成しているのてす。

この映画は、たった1人で撮影せずに、普通のドキュメンタリー映画として撮影されていたとしたら、その内容が中国当局の知るところとなり、絶対日の目をみなかったと思います。


この映画では、ワン・ナンフーさんに子供が生まれます。その赤ん坊が2ヶ月になったころ、その子連れて、米国から中国の田舎の親戚に見せに行くのです。

そうして、中国で自分が生まれた頃の話を聞いて回るんですが、そのワン監督が生まれた頃、ちょうど中国では一人っ子政策をずっと続けていたのです。

このドキュメンタリー映画は、ワンさん自身は、当時一人っ子政策がどのように実施していたのかということは、知りませんから、それを聞いて回るっていう内容なのです。ご自身の母親や祖父などに、聞いて回るという粗筋なのです。

中国の「一人っ子政策」推進のポスター

中国の一人っ子政策は、1980年から2015年までの35年間実施されました。中国の一人っ子政策そのものは、多くの人が聞いて知っていることですが、実際にどのようにして実行されていたのかを知っている人は少ないと思います。

映画の中で、ワンさんは、それを具体的に実行した人たちである、彼女の母親、祖父等に聞いて回っているのです。ちなみに、彼女の父親はすでに亡くなっています。

このドキュメンタリーの撮影では対象者を緊張をさせないように、通常のドキュメンタリーのスタッフである、照明係や、音声係などの人員はあえて使わずに、彼女自身が民生用のホームビデオのカメラで撮影しているのです。

映画の中で、ワンさんは、それで「私が生まれたときは、どうだった?」という質問をしてまわると、「女の子だから困った」って言われたのです。

ワンさんは、「ナンフー」っていう名前なのですが、「ワン・ナンフー」を漢字で書くと「王男栿」なのですが、これはつまり、「男の大黒柱がほしかった」ということでそのような名前にしたそうです。
ワンさんが生まれたのは都市部ではなく田舎でしたから(都市部と田舎では戸籍も異なる)、お金を支払って。あとは1人目が生まれた後に5年たてばもう1人、生んでも良いということになっていたそうです。田舎は農家多いですから、人手がないと農家の運営が大変だからっていうことで、特別な措置が取られていたようです。

その後ワンさんには弟が生まれたそうですが、祖父の話を聞いていたら、弟以外にも「女の子が生まれたが捨てた」っていう話が出てきたのです。

そこでワンさんが、「どうして?」って聞くと、「女の子が2人、生まれたりしたら、男の子を持てないから」という返事をしたというのです。

中国は韓国や日本と同じで男が家を継いでいくっていう、考え方があります。中国は特にその名字の問題がありね名字は夫婦別姓で女性の方が結婚をしても名字がもらえないのです。そういう差別があります。

ワンさんが、「どうして捨てたのか?」と母親に尋ねると、おじいさんに、「『捨てないと村八分にされるから、非国民になるから、捨ててくれ。もしあなたがその女の子を捨てないなら、私が殺すか、私が自殺する』という風にプレッシャーをかけられた」というのです。

つまり、男の子が生まれないと後も継げないから。自分自身が女性なのに、「男が生まれないから悲しい」って言うのです。

そうして、男である弟が生まれるまで、女の子ば殺し続けられたということなのです。

このワンさんは、地域のお産婆さんに会いに行くシーンもありました。ワンさんが自分を取り上げたお産婆さんに「覚えてますか?」と聞くと、「覚えているよ」と応えていました。

さらに、ワンさんが「何人ぐらい取り上げたんですか?」と聞くと「それは覚えてないけども、5万人殺したことは覚えている」って言われのです。

では、実際にどういうことが行われていたかというのは写真も残っていて今でも見ることができます。当時は、不妊手術ゃ中絶が国家によって奨励されていましたから、写真に撮って記録していたのです。

しかし、無論多くの女性にとつて、これは嫌なことでした。どんな子でも育てたいから、拒否しようとすると、産科でその場で縛り付けて強制的に手術をしちゃうなどのことが行われていたのです。

子供が、1人生まれて、2人生まれて、3人目は生まれないようにする手術とか、強制中絶とか、それを写真に撮って国家が奨励していたのです。言ってみれば、地獄のような世界だったのです。これが、ついこの間2015年あたりまでまで横行していたということです。

ドキュメンタリー映画には、カメラマンが1人、出てきます。その人は1980年代ジャーナリスティックなアート写真を撮っていて。中国ではその当時、ゴミがそこら中に捨てられていて。産業廃棄物とかの不法投棄がひどかったんです。


その実態を撮影しようとして、ゴミ捨て場の写真を撮っていたら、そこに人形みたいなものがあることに気がついて、よく見たら普通に出生した赤ん坊の死体だったというのです。

そのカメラマンは、さらに、いろんなゴミ捨て場を撮って回ったのですが。そこいら中のゴミ捨て場に、赤ん坊の死体が遺棄されていたというのです。

一人子政策を実行したがため、中国社会ではこのような酷いことがまかり通っていたのでする。また、子供が生まれたことを隠している人もいました。妊娠を隠していたり、子供が生まれたことを隠して、匿っていたりする親とかもいたのですが、官憲がその家に強制的に入って、子供をさらっていくなどのことが行われていました。。

ワン監督はそういうことを聞いて回るんですが。何でみんながそのような悍ましいとを話してくれるかっていうと、当時ははそれが国家に奨励されていたことで、そのことをしていたことは誇りと思っているようです。

これは、到底信じがたい話かもしれません。2012年『アクト・オブ・キリング』というインドネシアを題材としたドキュメンタリー映画がありました。あれはインドネシアで共産党員の人たちとか、中国系の人たちを虐殺した当事者たちにインタビューをしていくっていう筋でした。

当時インドネシアでは100万人以上が殺されました。ちょうどデヴィ夫人がインドネシアにいた頃に重なります。映画の中のインタビューて殺した人たちは国家の英雄になっていましたから、最初は自慢げに話していました。

中国を題材としたこのドキュメンタリー映画でも、このようなシーンがありました。中国計画出産協会という組織があり、そこが不妊手術や強制中絶を実施した主体です。そこで金賞をもらって表彰を受けた人で、それこそ10万人等というおびただしい数の処理をしたという女の人が出てきます。その女の人が、「勲章をもらって褒められたことをいまでも誇りに思う」って語るのです。

そのため多くの人は、残虐行為を悪びれずに語るのですが。ただ言いながら、だんだんと自分のやったことに耐えられなくなってくるようです。先にでてきた、お産婆さんはもう本当に罪の意識でいまも手が震えると語っています。

いまは中絶等は全部やめて、不妊治療の相談役をやっているそうです。「罪滅ぼしをしているんだ」ってその人は語っています。80歳ぐらいのお産婆さんなのですが、「私は子供が好きで産婆を始めたのに、なんでこんなことをさせられたんだ」というのです。

さらに、当時は中絶だけではなく、女の子が生まれると、カゴに入れて路上に放置というようなことが行われていたそうです。

その頃は中国の田舎に行くと、路上にいっぱいカゴがあって、そこいら中に赤ん坊が放置されているような状態だったそうです。そのまま餓死したり、動物に食われちゃったりするんです。それが、2015年までの、中国なのです。


40年間で道に捨てられてた35人もの子供を拾い救ってきた女性

このようなことが横行していたのは、政府が奨励をしていたからです。当時は、1958年から61年に毛沢東が「大躍進」という名前の工業とか農業の改革をやって大失敗ばかりで、3000万人から7000万人が餓死するという事態が起こったので、このまま人口が増えれば中国人が大勢餓死をしてしまうという危機感がありました。


だから政府が人口を減らそうとしたので。ただし、これ自体はもともとは、中国の考え方ではなく、18世紀のイギリスでロバート・マルサスという人が「このままだと食料がどんどんと足りなくなって餓死者が出るから人口自体を減らせ」ということを提唱したことがあったのです。

これは、本来なら実際の農産物などの生産量を増やせば済むことなのですが、いまだにそのマルサス主義が時々、噴出することがあります。「人口を減らせ!」っていう考え方はは、それが中国で噴出したのですが、最近も「人口を半分に減らせ!」みたいな人がいました。これは、映画『アベンジャーズ』の中にでてくるサノスという宇宙の帝王です。

しかし、時々こういう考えが現実世界に噴出することがあるのです。「経済が落ち込んでいるから人口を減らせば良い」などという形で出てくることがあるのです。そうして、堅実に中国はそれを徹底的に実施して、実際にその1980年から2015年までの35年間に4億人の人口を抑制したとしているのです。

中国の一人っ子政策の時代にう待たれた年代の人々は圧倒的に男性が多いです。男性は女性よりも3000万人以上多いと言われています。そのため、3結婚ができない男性が増えています。

この映画には、道端に捨てられている赤ん坊を見て「これはひどい」と思った人がいて、その子たちを拾って回って都会の孤児院に売っていた人も出てきます。

中国では孤児院が1992年ぐらいから外国に養子縁組をして、というかはっきり言うと赤ん坊を売り始めたのです。10万人以上が中国から米国等に売られていったそうです。

その金額もかなり高いものでした。値段はまちまちでしたけども、それが中国という国自体の大きな収入にもなっていたのです。

ところが、道端で拾った赤ん坊を孤児院に売っている人たちは結局、逮捕をさたのです。家業としてやっていたようですが、これらのトビとが10年ぐらいの刑を受けたりしているのです。この映画の中にもそのような人が出てきてインタビューを受けているのです。しかし、彼らは赤ん坊を助けていたのに、刑務所に入れられて、一方で赤ん坊を殺していた人たちは国家から奨励されていたのです。

この映画、このように、すさまじい内容でした。この監督は本当にカメラ1台で中国国内をインタビューして回っていました。ただ、下手すると中国当局に拘束をされるかもしれないいうことで、いつもGPSを携行していて、ニューヨークにいた共同監督が彼女の居場所を常にサーチしながら、拉致されたり拘禁されたりしていないかどうかを調べながら撮影したとされています。

この映画では、当時の中国当局がどのくらいのプロパガンダをやっていたかもわかります。当時は、子供を減らすということがどれだけ国にとって貢献をすることなのかっていうことを徹底的にテレビやドラマ、CM、芝居、歌などありとあらゆる形で政府がプロパガンダをしていました。そうして、多くの人々が完全に洗脳されたことも明らかにしています。

その結果、いまどうなっているのかというと、先日上海に行った人が聞いたのですが、1人小さい子が歩いていると、その後ろに6人ついていく光景を見たそうです。お父さんとお母さんとそれぞれの祖父母が。6人の親と祖父母の面倒をその1人が見るっていうことです。ね。

子供のときには、「小皇帝」などといわれ、可愛がられているのでしょうが、他の6人が高齢化したら、それを1人で介護しなければならなくなるということです。中国はすでに超高齢化社会に突入をしていて、中国という国自体の存続も非常に危うくなっています。


現在の中国はもうギリギリになって2人っ子政策を始めているのですが、もう遅すぎるかもしれません。一人っ子政策で、殺された子供たちとは一体何だったのでしょうか。それでも、当時母親だった人たちは、「私たちは間違っていない。政府に言われた通りにやっていたんだ。他にどうしようもなかった。それが正しいことだと思わされていたし、思っていた」って答えるのです。

このドキュメンタリー映画で、自分の小さな子、赤ちゃんをその監督は中国に連れて行きます。その子たちを見たインタビューをされる相手はみんな、「ああ、かわいい、かわいい!」って本当に子供を愛する普通の人たちなのです。

本当に善男善女の素晴らしい国民たちだからこそ、あのようなことをしてしまったのかもしれません。彼らは中国では模範的な人民であり、愛国者なのです。良い人たちなのです。

素晴らしい人たちだからこそ、政府が狂った時には全部恐ろしいことをやってしまうのです。ナチスドイツの時代では「良い国民、素晴らしい人」と言われていた人たちはユダヤ人を密告する人たちでした。ユダヤ人をかばう人たちは非国民と言われたのです。

いつまでたっても、世界中どこでもそんなことを繰り返し続けているのです。本当に、恐ろしい映画でしたね。見終わった後には、すぐには立てなくなるくらい衝撃を受けました。

以下に、TEDでナンフー・ワンさんが、中国の一人っ子政策について語っている動画を掲載します。これも是非ご覧になってください。TEDのサイトからご覧になると、日本語のスクリプトもごらんになることができます。




この映画、たった1人の女性が、がこの映画を撮影しているというところが、圧巻です。彼女は「中国を出て、米国に留学をするまでこんなことだとはまるで思わなかった。外に出てみないとわからない」って言っていました。

プロパガンダの対象にされているということは、日々淡々と送っているだけでは認識できないのです。『ワン・チャイルド・ネイション』、すさまじい映画でしたが、日本でもおアマゾンプライムでご覧になることができます。ご覧になっていない方は、是非ご覧になってください。


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2019年11月17日日曜日

弾劾世論調査:トランプ支持率が50%に回復―【私の論評】日本の腑抜け野党によく似てきた米民主党だが、それでも日本の野党よりはましだ(゚д゚)!

弾劾世論調査:トランプ支持率が50%に回復

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2019.11.15

ラスムセンレポートによる毎日の大統領追跡調査によると、トランプ大統領の支持率が弾劾で上昇している。

大統領に対する毎日の評価は、下院弾劾公聴会の初日の13日以降、4ポイント上昇した。



ラスムセンの調査分析によると、「大統領の総合支持率は、下院弾劾公聴会初日の13日以降上昇をたどっている。13日朝は46パーセントだったが翌日には48パーセントに上がり、現在50パーセントとなっている。現在の調査の3晩分のうち2晩分は大々的に報道された公聴会後のものである」。

バラク・オバマ大統領は1期目のこの時点で49パーセントの支持率だった。

調査結果ではトランプの仕事ぶりに49パーセントが不支持を示している。

※なお、RealClearPoliticsによる各世論調査平均でも同様の傾向が見られる。



【私の論評】日本の腑抜け野党によく似てきた米民主党だが、それでも日本の野党よりはましだ(゚д゚)!

米民主党が問題視しているトランプ大統領の言動とは、「ウクライナが必要とする武器の供与を餌に、バイデン候補が副大統領当時に同氏の息子がウクライナ企業から多額の報酬を受け取っていたかどうかを調べることを強要した」というものです。

この話の最大の弱点は、トランプ大統領がウクライナの要求する武器の供与を、ウクライナからの調査結果を受け取っていないにもかかわらず既に実行していたことです。

次に、内部告発にあった7月25日の電話会議を始点として考えると、武器の供与が9月下旬で2カ月のタイムラグがあります。

つまり、ゼレンスキー大統領が合理的人間で、トランプ大統領が明確に要求していたとするならば、ゼレンスキー大統領が2カ月間も調査を放置していたにもかかわらず、ということは、トランプ大統領の要求を無視したにもかかわらず、武器が供与されたことになります。

ここで重要なのは、米国の外交官やCIA職員、大使などが大統領の意思をどう忖度(そんたく)したか、また彼らがトランプ大統領の意思としてゼレンスキー大統領に調査を求めようとしていたと感じていたか、ということではありません。トランプ大統領が実際に調査依頼を自分で考え、具体的に指示したかです。頭で考えていたかもしれない、ということではありません。

トランプ大統領が民主党の申し立て通りに調査報告を交換条件としていたとするならば、その条件が満たされないうちに武器を供与したことの理由づけが難しいです。いまのところこの点で、トランプ大統領に不利となるような証言が出てはいるものの、決定的な証拠は出てきていません。

トランプ大統領に「フェイク・ニュースを流すフェイク・メディア」とばかにされてきた大方の米メディアはトランプ大統領について、自分の利益を最優先し、何でも自分で一度に実現できると考え、しかも自分の意見を頻繁に変える気まぐれ屋と批判してきました。また、衝動的で自分の希望が通らなければ取引を中止する傲慢さを持っているとも批判しています。

トランプ大統領(下端)と支持者ら

ティラーソン前国務長官を筆頭に、トランプ政権を去った人々の多くは大統領の頭は小学生レベルで、アイデアを彼らに語っても次の瞬間にはそれを覆して別のことを言う、またはなかったことにするいい加減な人間だと批判しました。

一方、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏によれば、トランプ大統領は就任から現在までに300回、ウクライナ疑惑の内部告発がなされてからの1カ月ほどで45回、「魔女狩りだ」と連呼したとのことです。同時に彼は人々はことの真偽にかかわらず、メッセージの反復発信で信用するという研究結果も付け加えています。トランプ陣営からすれば、トランプの「魔女狩り」ツイートこそがリスク回避戦術なのです。 

一般に伝えられているトランプ大統領の性格を考えれば、民主党が主張しているような思惑を持ち、それを周囲に漏らした可能性はあります。ただ、しばらくしてその考えを変えて、指示はせず、行動にも移さなかったのかもしれないです。

また、ゼレンスキー大統領に調査の見返りという条件を提示していたならば、多くの米国メディアが報道するように、トランプ大統領が偏執的な性格というのが本当であれば、から2カ月も黙って待っていることはできないでしょうし、要求を無視されてプライドを傷つけられた大統領がウクライナに武器を売る判断をすることはあり得ないでしょう。

結局のところ、現段階でトランプ大統領の弾劾が成功すると考えるのは、かなり困難だという結論に落ち着きます。

さらに、以前このブログでも掲載したように、米国では大統領の弾劾そのものがもともと難しいのです。その記事のリンクを以下に掲載します。

民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!

ニクソン大統領
詳細は、この記事をご覧いただく
民主的な選挙で選ばれた大統領を政治的な動機で糾弾し解任しようとする弾劾措置への反発は、米国民の間で従来から根強いものがありました。だからこそ民主党のペロシ議員は、昨年11月の中間選挙前も、「ロシア疑惑」が高まったそれ以前の時期でも、弾劾への動きには一貫して反対してきたのです。
さらに、この記事では、かつてニクソン大統領が弾劾されそうになって辞任したときのことも掲載しています。
ニクソン大統領のウォーターゲート事件がありましたが、あのときニクソン氏は、弾劾されそうになったため自ら辞任しました。 
なぜ弾劾されそうになったかと言うと、当時の共和党の議員が彼を見捨てたからです。そこで、これはもう万事休すだということで辞任したのです。
現状のトランプ大統領は、とてもそのようなことにはなりそうもありません。

これは、過去にもこのブログで述べたことですが、トランプ大統領を、ロシア疑惑と、ウクライナ疑惑の二回にわたって、弾劾しようとした米民主党は、相当追い詰められているるとみるべきです。

そうして、最近の米民主党は日本の野党に良く似てきたと思います。

トランプ政権の経済差政策は、特に雇用政策がうまくいっているし他の経済指標も悪くはありません。この点で、民主党はトランプ政権を批判できることはあまりありません。

さらに、安全保障に関しても同様です。 むしろ、オバマ政権では軍縮してきたため、米軍に負の遺産を残したのですが、トランプ政権がそれを立て直しつつある状況です。この点でも、民主党は共和党を批判できません。

さらには、中国への対峙は超党派で行われていることなので、民主党はこれを批判できません。

要するに、現状では米民主党は、あまり米共和党を批判することができないです。だから、トランプ氏個人の資質を問題としているのです。

米民主党ならびに米リベラルメディアは、トランプ氏は政治家としての資質がないことを喧伝してきましたが、彼らの忘れていることがあります。

それは、多くの米国民はオバマやクリントンなどの、既存の政治家には失望したからこそ、生粋の政治家ではない実業家のトランプ氏を選んだのです。

生粋の実業家であれば、既存の政治家や、政治家とは反りが合わないのは当然のことです。実業家では、いわゆる朝令暮改は当たり前のことです。朝に正しいと考えていたことを、夕方には改めることは良くあることです。そうでなければ、企業は厳しい環境を生き抜いていけません。既存の政治家や、官僚にはできない芸当です。

このような資質は、ティラーソン前国務長官を筆頭に、トランプ政権を去った人々の多くには、いい加減な人間だと写ったのかもしれません。さらに、このような資質は、民主党や米リベラル・メディアにとっても、格好の攻撃材料だったに違いありません。

しかし、いくらトランプ氏の資質を煽ったところで、トランプ氏は一向に動じる気配がないため、米民主党はとうとう禁じ手ともいえる、大統領弾劾に動き出したのです。それも、二度もです。

この動きは、日本の野党にも似たところがあります。日本の野党は、「もりかけ」問題に拘泥しましたが、これは最初から、倒閣に結びつけようというのは、無理筋というものでした。

現在は、「桜を見る会」をやり玉にあげていますが、これも無理筋でしょう。しかし、日本のリベラル・メディアはここぞとばかり、安倍政権を批判していますが、これも倒閣には結びつけようもありません。「桜を見る会」を野党とメディアが糾弾しはじめてから、安倍政権の支持率があがるという始末です。



これは、米民主党が、トランプ氏への弾劾の動きを強めた途端にトランプ大統領の支持率が上がったことと、良く似ています。

それでも、米民主党のほうが、まだましかもしれません。なぜなら、安倍政権は、トランプ政権と比較すると、増税するなど経済政策はトランプ政権の逆をやっており、安全保障、外交でも習近平を国賓として招くというような米国と比べると信じがたいことをしています。

言ってみれば、現在の安倍政権は、残念ながらつつきどころは満載です。もし、米民主党が日本の野党だとしたら、勢いづき、安倍政権を批判するだけでなく、様々な政策論争を展開してるでしょう。特に、米国と比較するとまるで、一大政治集団のように振る舞う財務省を徹底的に批判することでしょう。

しかし、日本の野党はそのようなことはせずに、「桜を見る会」をやり玉にあげています。これでは、万年野党の地位を打開することなど、永遠にできないでしょう。情けない限りです。

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2019年11月16日土曜日

文在寅、北の亡命希望者を「強制送還」で地獄送りに―【私の論評】GSOMIA破棄と人権問題で、米国は超党派で韓国を制裁するようになる(゚д゚)!


金正恩への阿りか?秘密裏の強制送還が露見し内外から非難囂々

11月4日、ASEAN首脳会議・関連会合での文在寅大統領

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は11月7日、海上で拿捕していた北朝鮮船員2人を北朝鮮に強制送還した。この韓国政府の対応について今、韓国内からはもちろん、国際社会からの非難が殺到している。

 7日、韓国統一部がある発表を行った。

 「11月2日、東海(日本海)上でNLLを越えて南下した北朝鮮住民2人を拿捕した。関係機関合同調査の結果、彼らが同僚の船員らを殺害して逃走したことが分かった」

 「開城工業連絡事務所を通じて2人を北朝鮮へ追放する意思を伝え、北朝鮮側が受け入れる意思を明らかにしたので、本日午後3時10分ごろ、板門店を通じて彼らを北朝鮮に追放した」

 というものだ。ちなみにNLLとは「北方限界線」の略称で、海洋上の韓国と北朝鮮の境界線のことだ。


偶然によって発覚した「強制送還」

 この日の発表によると、追放された2人の乗組員はともに20代の男性。2人はイカ釣漁船の乗組員だったが、もう1名の同僚と共謀して日本海での操業中に洋上で16人の同僚を殺害、逃走資金を調達するためいったん北朝鮮の金策港に戻った後、NLL付近まで逃走していたが、そこで韓国海軍によって拿捕されたという。韓国政府は、彼らが殺人など重大な非政治的犯罪によって「北朝鮮離脱住民法」上の保護対象ではない点、韓国国民の生命と安全に脅威となる凶悪犯罪者であり国際法上の難民として認められない点などから判断し、関連省庁間の協議結果によって追放を決定したのだという。

 ところが、この追放過程における数々の疑惑がメディアの取材によって浮かび上がり、文在寅政権が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の機嫌を取るために、脱北者の人権を蹂躙したのではないかと、韓国中が騒然となっているのだ。


 韓国メディアが疑いを向ける第一点目は、韓国政府が今回の事件を隠蔽しようとしていたことだ。

 「強制送還」が発覚したのは、7日午前、国会予算決算委員会全体会議に出席していた金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長が共同警備区域(JSA)の大隊長である某中佐から受け取った文字メッセージを、報道機関のカメラに撮られたことがきっかけだった。「本日15時、北朝鮮住民2人を板門店で送還する」という内容だった。記事が公開され、国会でこの事件をめぐって大きな騒ぎが起きると、統一部が急いでブリーフィングを準備、当日午後3時40分に「強制送還」の事実を公表したのだった。

 その一方で、鄭京斗(チョン・キョンドゥ)国防部長官が国会で「報道を見て追放を知った」と証言したことで、大統領府が国防長官をスルーして報告を受けている実態も明らかになり、職権乱用の問題も指摘されている。


統一部長官による「死んでも北朝鮮に戻る」の説明は虚偽?

 疑惑の第二点は金錬鐵(キム・ヨンチョル)統一部長官の「うそ疑惑」だ。国会に出席した金長官は、事件の経緯を説明する中、「(彼らは)調査を受ける過程で様々な相反する供述をしていたが、確かに『死んでも(北朝鮮に)戻る』と陳述した」「これらの行動などを総合的に判断し、亡命の意思はないという最終結論を下した」と答えていた。

 しかしその後、韓国メディアが匿名の統一部担当者の証言をもとに、「『死んでも北朝鮮に戻る』という発言は、海上殺人事件後にいったん(北朝鮮の)金策港へ戻る途中で出た言葉で、逃避資金を用意するために金策港に戻るという意味だった」と暴露。さらに、2人が合同調査における供述書に自筆で「亡命する」という明白な意思を示していたことも明らかになった。

 そして最大の疑惑は、全長15mほどの17t級の小型木造船の上で、わずか3人(統一部によると共犯のもう1人はすでに北朝鮮で逮捕されたという)で16人もの同僚乗組員を殺害することが可能かという点だ。しかも殺害の道具は斧とハンマーだけというから、犯行の規模と釣り合いがとれない。

 韓国政府は、事件の実相をこう説明している。

「船長の過酷行為に不満を抱いた彼らは斧1本とハンマー2本だけで16人を殺した。まず、共犯の1人が40分間隔で就寝中の船員を2人ずつ起こして甲板の上に誘導する。すると船頭と船尾で待っていた2人の共犯が、甲板に上がってくる船員の頭をハンマーなどで殴り殺す。殺害後は死体を海に遺棄し、40分後、再び2人ずつ起こして甲板上に誘導した。結局、4時間で16人が殺害された」

 しかし、いくら就寝時間だったとしても、小さな船の中で長時間にわたり殺人が繰り返されていることを同僚の船員が全く気づかなかった点、「特殊要員」でもない一般の船員が「虐殺」に近い犯行をたった4時間で実行したという点、虐殺現場である船を血痕鑑識もせずに急いで消毒してしまった点など、不可解な点がいくつも残されているのだ。


目隠しされ縛られたまま板門店に連れていかれた漁船員

 また送還過程における問題点も提起されている。東亜日報は送還過程について、政府関係者から聞いた話を次のように報じた。

 「呉某氏(22)と金某氏(23)の北朝鮮住民2人は7日、中央合同調査本部で目隠しをされ、縛られたまま車に乗せられて、板門店の自由の家に直行した。彼らが強制送還の事実を知ると自害などの突発行動を起こす恐れがあるので、目的地を隠して、警察特攻隊が車両を護衛した。彼らの抵抗に備え、猿ぐつわも準備していた。

 彼らは、板門店の軍事境界線に到達して目隠しを取られて、初めて自分たちが北朝鮮に追放されることを知った。送還は、まず呉氏が軍事境界線から北朝鮮軍に引き渡され、次いで待機室で隔離されていた金氏が引き渡される形で進められた。目隠しを外した呉氏は、境界線の向こう側に北朝鮮軍3人が立っているのを見て、思わず腰を抜かして座り込んでしまった。その後に外へ出てきた金氏は、北朝鮮軍兵士を見るや愕然とし、軍事境界線を越えていった」

 北朝鮮に強制送還された脱北者は、その後、想像を絶する拷問を受けることになる。例外はない。板門店で北朝鮮軍の兵士に引き渡された彼らの絶望は察するに余りある。

批判浴びる「人権派弁護士」の人権感覚

 韓国の主要メディアは、韓国憲法3条に基づき、「北朝鮮住民も韓国国民の範囲に属する」と強調している。つまり、亡命意思を表明した北朝鮮住民に対しては、彼らがたとえ凶悪な殺人犯としても、韓国司法当局の裁判によって処罰を受けるべきだと主張しているのだ。さらに、文在寅政権がたったの5日間の調査によって、亡命を希望した北朝鮮住民を、残酷な拷問や極刑が予想される北朝鮮に送り返したことは「国際人権法違反」と非難している。

 国際社会からも非難が絶えない。英BBC放送は、「デービッド・アルトン英国上院議員が自身のホームページに、『韓国は一体どういう考えで、難民を北朝鮮に送ったのか』というタイトルの文章を掲載して、韓国政府が難民に対する義務を果たしていないと批判した」と伝えた。

 国際人権団体のアムネスティは、「今回の事件を国際人権規範違反と見なす」という立場を示した。米国の人権監視機関のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も声明を発表し、「韓国政府の措置に違法の素地がある」「(韓国政府の)迅速な送還措置は、拷問等禁止条約を黙殺(disregard)した」と批判した。

 国連の人権業務を総括する国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)も「2人が、送還によって拷問と処刑をうける深刻な危険に直面していることを懸念する」と明らかにした。朝鮮日報は、「今月末に訪韓予定のトマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権特別報告官は、『(今後の)措置について、関連(南北)政府と接触中』と明らかにした」と伝え、国連が近々韓国外交部に今回の送還事件についての懸念メッセージを伝え、事実関係を問い合わせる見通しだと解説した。まさに国際社会や人権団体から非難囂々なのだ。

 「人権ファースト」を掲げた公約で政権を握った「人権弁護士」出身の文在寅大統領、OHCHR副代表の経歴を自慢する康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は、「反人権的な送還」という国際社会の非難をどう受け止めるだろうか。


【私の論評】GSOMIA破棄と人権問題で、米国は超党派で韓国を制裁するようになる(゚д゚)!

韓国政府が、北の亡命希望者を「強制送還」したことは、完全な違法行為です。そもそも、韓国は北朝鮮と犯罪者引き渡し条約を結んでいません。

引き渡し条約がなくても、引き渡しできる場合もありますが、それには幾つかの手続きが定められています。

まず、相手国から韓国に逃避してきた犯罪者の引き渡し要請があった場合、外交部からの要請によりソウル高等検察が、ソウル高等法院において審理します。この手続きが完全に抜け落ちていたのです。

教戦争缶された二人北朝鮮籍の男らが乗船していた船

韓国の脱北者に対する、人権侵害は今に始まったことではありません。米国はこれに対してすでに警告を発していました。

トランプ米政権が、「従北」の文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる韓国の「人権侵害」問題に警告を発していました。米国務省が発表した人権報告書で、「脱北者への圧力」を明記していました。米国では、韓国の政権与党による米記者への非難を、リベラル系の有力紙まで問題視し始めました。米国全体が韓国に厳しい目を向けているとの指摘もあります。

「われわれの友好国、同盟国、パートナー諸国ですら、人権侵害を行っている」

マイク・ポンペオ国務長官は今年3月月13日、こう述べました。国務省が公表した2018年の「各国の人権報告書」に関する記者会見での発言でした。

マイク・ポンペオ長官

報告書では、同盟国の1つである韓国・文政権による脱北者への圧力を取り上げ、「北朝鮮との対話に乗り出すと、北朝鮮への批判を抑制するよう求める直接的、間接的な圧力が脱北者組織にかけられたとの報告があった」と指摘しました。

具体的圧力としては、20年続いていた脱北者団体への資金援助打ち切りや、風船を使った北朝鮮へのビラ散布阻止、警察が団体を訪れて財務情報などを出すよう要請した-ことが挙げられました。

2月にベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談が決裂し、米朝の「仲介者」を自任していた文政権へのトランプ政権の不信は高まっていました。そのなかで、人権侵害までが問題となったのです。

外国メディアの視線も厳しくなっていました。

文大統領を「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首席報道官」と報じた米ブルームバーグ通信の記者を、与党「共に民主党」の報道官が非難したことに、各国メディアが猛反発したのです。

報道官が同月13日、記者を名指しして「米国国籍の通信社を隠れみのにして国家元首を侮辱した売国に近い内容」との論評を出したところ、批判が相次ぎました。同党は同月19日、論評から実名を削除すると発表しました。


まさに、ポンペオ長官の警告を正鵠を射たものになったようです。今回の、北の亡命希望者を「強制送還」するようなことは、起こるべくして起こったのかもしれません。

米国の保守系メディアには以前から、文政権を懐疑的にみる報道がありましたが、ブルームバーグの問題では、ワシントン・ポストや、ニューヨーク・タイムズといったリベラル系の主流メディアも「言論弾圧ではないか」と批判しました。米国では「韓国が民主国家といえるのか?」という議論になってきており、オールアメリカで文政権への問題意識が高まっています。


いずれ、韓国も米国内で中国等と同列の扱いを受ける日が刻々と近づいているような気がします。

文大統領は15日、マーク・エスパー米国防長官とソウルの大統領府(青瓦台)で会談し、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の維持を拒否しました。23日午前0時の失効期限を前に、同盟国・米国の要請を拒んだのは、事実上、共産党独裁の中国寄りの姿勢(=レッドチーム入り)を宣言したも同然といえます。

5日午後、青瓦台本館接見室でマーク・エスパー米国防長官(左)と握手する文在寅(右)

このまま、文政権がGSOMIAを破棄すれば、政府高官や軍幹部を大量に送り込んで説得したトランプ大統領はバカにされたことになります。今後、トランプ氏の逆襲が注目されることになるでしょう。

韓国は日米にとっては、かつて中国・北朝鮮に対する反共の砦でした。しかし、韓国がGSOMIAを破棄したとなると、もう反共の砦をやめてしまったと観るのは当然のことです。

韓国がGSOMIAを破棄した場合、人権問題ともあいまって、米国内では韓国に対する批判、それも超党派による批判がかなり高まることでしょう。いずれ、中国等と同列の扱いを受けることになるかもしれません。

韓国が中国寄りの政策を鮮明にとるようになったにしても、これはうまくいかない可能性がかなり高いです。そもそも、金正恩は中国の干渉を極度に嫌っています。結果として、北朝鮮とその核が中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。

韓国が中国寄りの姿勢を顕にすれば、北朝鮮もこれを黙って見過ごすことはないでしょう。中国と韓国に挟まれた北朝鮮は、危機感を募らせることになります。

中国は、米国と冷戦の真っ最中です。先日もこのブログに掲載したように、今後米国は対中国貿易戦争から、中国共産党そのものを弱体化させる方向に軸足を移していくことになるでしょう。

そのような最中に、韓国が中国にすり寄ってきたところで、地政学的にも韓国の前に、核武装をした北朝鮮が立ちはだかっていて、文は北に親和的でもあります。このような状況で、自己保身に必死な中国が韓国にどれだけのことをできるのか、疑問です。あからさまに、中国が韓国を取り込むような姿勢をみせれば、米国の対中国冷戦はますます苛烈なものになることでしょう。

韓国は、日米は無論のこと、北からも中国からも疎まれる存在になるだけです。そうして、米国からは超党派で批判され、直接制裁にさらされることになります。そのことを文は全く認識していないようです。愚かだとしか言いようがありません。

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2019年11月15日金曜日

ウイグル人学者へのサハロフ賞授与の意義―【私の論評】大陸中国は、民主化に成功したもう一つの中国台湾を参考にすべき(゚д゚)!


岡崎研究所

 10月24日、欧州議会は、今年の「サハロフ賞」の受賞者として、中国で無期懲役の判決を受け服役中のウイグル人経済学者で人権活動家のイリハム・トフティ氏を指名した。正式には、12月18日に、仏ストラスブールの欧州議会で受賞式が開催される。

ウイグル人経済学者で人権活動家のイリハム・トフティ氏

 「サハロフ賞」とは、旧ソ連(現ロシア)の反体制派の物理学者、サハロフ博士にちなみ、欧州議会が1988年に創設した賞である。自由や人権、民主主義の擁護のために尽くした人に贈られ、これまで、南アフリカのマンデラ元大統領やミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らが受賞した。
 受賞者の発表に際し、サッソリ欧州議会議長は、声明を発出し、「中国におけるウイグル人の権利を擁護するために人生を捧げた」と、トフティ氏の活動を評価した。トフティ氏は、インターネット等を通じ、新疆ウイグル地区の現状を伝えたり、中国で大多数を占め共産党を支配する漢族と、少数民族ウイグルとの和解や融和を説いたりしていた。
 欧州議会は、サハロフ賞の受賞者の発表と同時に、中国政府に、トフティ氏を釈放するよう強く要請した。これに対して、中国共産党政府は、欧州議会が中国の内政事項に介入し、「国家分裂罪」の判決を受けた「犯罪者」に賞を与えたことを非難した。 
 今回のヨーロッパ議会のトフティ氏へのサハロフ賞授与は、歓迎されることである。中国のトフティ氏の処遇がこれで変わるとは思えないが、こういうことについては、間断なく、問題提起を続けていくことが望ましい。 
 中国は、ウイグルなどの人権問題は中国の国内問題であり、内政干渉は許さないという立場をとるが、戦後の国際政治においては、人権問題は国際的関心事項として確立している。南アフリカのアパルトヘイト政策は、国内問題であるとの主張は認められてこなかった。国連憲章は、国内事項に干渉してはならないとしているが、他方で、国連は人権理事会を作っている。これは、人権が国際関心事項として確立していることを示している。
 香港人の人権も、ウイグル人の人権も、チベット人の人権も、国内問題として片付けることはできないことを、中国は認めるべきである。中国は人権規約については、A規約は批准しているが、B規約は批准していないと承知する。だが、そのことと人権問題が国内事項とは言えないというのとは別の話である。 
 先般、習近平は、ネパールを訪問中に、分離主義者はその骨まで打ち砕くと恐ろしい脅しを発したが、トフティも分離主義者とされている。こういうことは問題にしていくべきであろうし、そうすることが中国をルールに基づく国際社会の一員にすることに資すると思われる。
【私の論評】大陸中国こそ、民主化に成功したもう一つの中国台湾を参考にすべき(゚д゚)!
サハロフ氏や、トフティ氏については、日本で知らない人もいると思いますので、本日はそれについて掲載しようと思います。

最初にサハロフ氏とは、冷戦下のソ連の社会主義下での共産党一党支配や人権抑圧を批判し、抵抗した知識人たちの一人です。

フルシチョフによるスターリン批判が始まり、「雪どけ」といわれる一定の言論の自由も認められる中で、知識人の政治的な発言も見られるようになったのですが、1964年にフルシチョフが失脚しブレジネフ政権になると再び政府を批判したり、社会主義の現実を問題視する言論は厳しく取り締まられることとなりました。

そのような言論の封殺に抵抗して、なお反体制知識人(異論派ともいう)は危険を冒して発言したり、地下出版(サミズダートという)で政府と体制に対する批判をつづけました。その代表的な人物が、原子物理学者のサハロフ博士、作家のソルジェニーツィンです。

アンドレイ・サハロフ氏

70年代のデタント時代には西側の文化も一部解禁されたため、人権問題や環境問題、国際平和に関する発言が出始めたのですが、80年代前半はソ連のブレジネフ政権と米国のレーガン政権との対決色が強まり、再び冷戦の緊張が戻って新冷戦という状況になりました。

一方で体制批判は厳しく取り締まられて国内監禁や国外追放などの弾圧が行われました。また反体制知識人の中には国外に亡命する人々も多くなりました。1980年代後半のゴルバチョフ政権のもとでグラスノスチペレストロイカが始まったことで自由な反体制発言が可能となり、多くの知識人が名誉を回復しました。

思想の自由のためのサハロフ賞(しそうのじゆうのためのサハロフしょう)とは、人権思想の自由を守るために献身的な活動をしてきた個人や団体をたたえる賞です。1988年12月に欧州議会が創設しました。

賞の名称はこのアンドレイ・サハロフに由来します。欧州議会の外交委員会と開発委員会が授賞候補者を選定し、毎年10月に受賞者を発表しています。2010年の時点では、副賞として50,000ユーロが贈呈されています。

初の受賞者となったのは南アフリカ共和国ネルソン・マンデラとロシア人のアナトリー・マルチェンコ英語版)でした。2011年には「アラブの春の活動家達」名義で、4カ国5名の活動家が受賞しました。サハロフ賞は個人のほかに団体にも授賞しており、1992年にはアルゼンチン5月広場の母たち英語版)に、最近では2009年にロシアの市民運動団体メモリアル英語版)が受賞しました。

サハロフ賞の授賞式は毎年12月10日に行われていますが、この日は国際連合総会で1948年に世界人権宣言が採択された日であり、世界人権デーに制定されています。

2013年、フランス・ストラスブールでのサハロフ賞授賞式。受賞者はマララ・ユスフザイ

では、今年の受賞者、トフティ氏とはどのような人なのか、以下に掲載します。

2014年に投獄される以前、トフティ氏は
中央民族大学(北京)の准教授教であり、ウイグル族と漢族との関係を扱った研究で知られる一方、新疆ウイグル自治区における中国政府の民族政策に対して厳しい批判を展開していました。

資源の豊富な同自治区にはチュルク系言語を話すウイグル族が長年にわたり居住していたのですが、過去数十年間で漢族が流入すると両者の関係は緊迫化。中国の治安部隊によるウイグル族への厳しい処遇やイスラム教の宗教行事の規制などが問題として浮上するようになりました。


                        新疆ウイグル自治区ホータンにあるショッピングモールの外で
                        警備に当たる武装警察部隊の隊員(2015年4月16日)
トフティ氏は、20年以上もの間、ウイグル族と漢族との対話と理解を促進してきました。分離主義や暴力を拒絶し、ウイグル文化の尊重を基礎とした和解を模索し続けてきました。「ウイグル・オンライン」が暴動を扇動したという疑いをかけられ、公安当局に現在も拘束されています。

トフティ氏のような穏健な声を排除することで、中国政府は自らが防ぎたいとする本物の過激主義の台頭に向けた基礎固めを行っているのが実情です。

サハロフ賞の授賞式の12月10日には、トフティ氏は授賞式に参加できないでしょう。誰か代理の人が受賞することになると考えられますが、それにしても、その異様な風景が世界に配信されることになります。劉暁波氏が、ノーベル賞受賞会場にいなかったのと同じです。

さて中国では、ウィグル人への弾圧も随分前から、問題となっていましたが、最近では香港への弾圧も過激になってきました。

しかし、万が一、共産主義中国が武力でデモ隊を鎮圧した場合には、天安門事件をはるかに上回る厄災が共産主義中国に降りかかることが予想されます。

歴史的経緯から、香港には英国のパスポートを持った人間が多数いますし、カナダ人、米国人も相当数滞在しています。彼らは白人であるとは限らない。ですむしろアジア系・東洋系の顔立ちの者が多いのではないかと推測されます。

総人口700万人のうち170万人、あるいは200万人といえば、香港の3~4人に1人は、デモに参加しているということですが、その中に二重国籍者も含めてアジア系英国人、カナダ人、米国人がどの程度含まれているのかは、見た目ではまったくわからないです。私はかなりの数が参加していると思います。

武力鎮圧の結果、それらの「外国人」に死者でも出ようものなら、それらの国々に宣戦布告をしたのも同然の困難状況に陥ることになるでしょう。

逆に、香港人たちの要求を飲めば、共産党の長老たちから習近平氏が「弱腰」と非難されるだけではなく、年間に少なくとも10万件は起こっているとされる共産主義中国各地の暴動を強権的に弾圧する大義名分も失われます。

中国がいくら豊かになっても民主化できないのは、共産主義が共産党のために存在し、民主化によってその利権を失うことを恐れているからですが、ロシアはウラジーミル・プーチン氏の独裁が続く中でも、一応普通選挙は行われています。

重要なのは、歴史的に「御恩と奉公=封建制度」という「契約に基づく社会を経験」しているかどうかということです。中国はそれを経験していません。1人が牛耳る絶対王制が基盤である社会に、いきなり民主主義を導入しても根付かないということです。

もうすぐ米国を追い抜くと驕り高ぶり、反対派を、汚職などを口実に次々と蹴落とし、アドルフ・ヒトラーを超える大虐殺者である毛沢東(大躍進と文化大革命での人為的飢饉も含む死者は、西側推計で約8000万人)政治の復活を目指してきた習近平氏は、党内に敵が多いです。

トランプ氏の仕掛けた「貿易戦争」で経済面でも大打撃を受け、天井の無いアウシュビッツと呼ばれるウイグル問題もクローズアップされる中で、習近平氏の中国は今まさに正念場を迎えています。


ただし、民主化に成功している中国が他にもう一つあります。それは、台湾です。大陸中国こそ、台湾を参考にすべきなのです。ただし、今のままの大陸中国では無理でしょう。分裂して現在の一つの省が、一つの国になるようなことでもなければ、困難かもしれません。

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2019年11月14日木曜日

台湾支持を強調するペンス対中演説―【私の論評】今後米国は貿易戦争から、中国共産党を弱体化させることに軸足を移していく(゚д゚)!

台湾支持を強調するペンス対中演説

岡崎研究所

10月24日、ペンス副大統領は、米シンクタンク、ウィルソン・センターで対中政策演説を行い、中国との衝突を望んでいないとしつつ、中国の権威主義的で規範を守らない多くの行動を具体的に指摘しつつ厳しく非難した。ここでは、演説の中で台湾がどのように位置づけられているか見てみる。まず、台湾に触れた個所を2か所紹介する。



1.我々は、中国共産党が中国人民の信教の自由を弾圧していることを指摘してきた。何百万もの民族的・宗教的マイノリティが共産党による宗教的・文化的抹殺と戦っている。

我々は、新疆におけるイスラム少数派の取り扱いにつき北京に説明を求めてきた。9月、トランプ大統領は、ウイグル人その他の中国のイスラム教徒迫害のかどで、共産党幹部にビザ発給制限を課し、20の治安当局と8の中国企業に制裁を科した。

そして、我々は、苦労の末に手に入れた自由を守ろうとしている台湾の味方である。トランプ政権下で、我々は、追加的な武器売却を承認し、世界で最も貿易が盛んな経済体としての台湾、中国の文化と民主主義のかがり火としての台湾をよく認識している。

そして、我々は、何百万もの香港の人々が平和的デモに繰り出すたびに、彼らのために発言してきた。トランプ大統領は、当初から、1984年の中英共同宣言にある通り、香港人の権利を尊重する平和的解決がなければならない、と言ってきた。

2.トランプ政権は「一つの中国」政策の尊重を続けるつもりだが、この1年、中国は札束外交を通じて更に2か国の外交的承認を台湾から中国に替えるように仕向け、台湾の民主主義に対する圧力を強めている。

国際社会は、台湾への関与が平和を脅かすものではないということを決して忘れるべきではない。それは、台湾と地域全体の平和を守ることになるのだ。米国は常に、台湾が民主主義を受容していることは全ての中国人により良い道を示している、と信じている。

参考:‛Remarks by Vice President Pence at the Frederic V. Malek Memorial Lecture’, October 24, 2019

ペンス演説の中核には、中国が自由、人権、民主主義、国際的規範を守らないことへの強い非難がある。演説では、台湾を、そうした中国と対照的な存在として称賛し、強く支持している。

上記で紹介した1か所目では、新疆―台湾―香港が自由をめぐる戦いのラインとして効果的に描かれている。台湾は自由、民主主義、繁栄の象徴である。新疆、台湾、香港は、いずれも中国が「核心的利益」と位置付けている。ペンス演説からは、そういうことは認められないという米国の強い意志が伝わってくる。

2か所目では、台湾の平和と民主主義を守ることが、台湾のみならず地域の平和と安定に資すると、国際社会に強く呼びかけている。これは、最近の蔡英文総統の「自由、人権、民主主義の価値を共有する国々が結束して中国の権威主義に対抗しなければならない」「台湾が中国から受けている嫌がらせや圧力は、明日は他の国にも降りかかり得る」といった主張と軌を一にしている。仮に来年の総統選挙で台湾に、中国との関係を重視する国民党政権が誕生すれば、中国との対決姿勢を辞さない、現在の米国の対中政策とは齟齬をきたす恐れがある。したがって、来年1月の総統選挙は、地域の安定と平和にとり極めて重要である。米国が蔡英文政権に対して事実上の支持を表明するのは自然なことである。

なお、台湾の外交部(外務省)はペンス演説を受け、10月25日、演説に感謝を示すとともに、米国など理念が近い国家との連携を継続し、共に民主主義と国際秩序を守っていく姿勢を、改めて表明している。

【私の論評】今後米国は貿易戦争よりも、中国共産党を弱体化させることに軸足を移していく(゚д゚)!

以下に、まずペンス副大統領のウィルソン・センターで対中政策演説の動画を掲載します。


このブログでは、10月24日のペンス副大統領の演説は断片的には掲載していますが、全体を掲載して解説したことはありません。本日は、全体を要約しつつ解説しようと思います。

なお、このペンス演説の文字おこしは、以下のリンクからご覧になれます。(英文)


では以下に要約と解説を掲載させていただきます。

(1) トランプ大統領は中国の時代を終わらせた

ペンス氏: わずか20年未満の間に「世界史上最大の富の移転」が見られました。過去17年間で、中国の国内総生産(GDP)は9倍以上成長した。世界で2番目に大きな経済国となりました。この成功の多くは、米国から中国への投資によるものです。そうした時代は終わりました。トランプ大統領は、3年未満でその物語を永遠に変えました。

補足解説: 日本も1990年代より一貫して、中国を重要なビジネスパートナーとしてきました。ところがGDPの成長を見れば、中国は儲かり、日本が衰退したことは明らかです。日本の富もまた、米国と同じく、中国に流出しています。貿易は本来、ウィン・ウィンの関係でなければならないはずです。

(2) 米国経済は強くなっている

ペンス氏: 専門家は、「わずか数年で中国経済が米国経済を上回る」と予測していました。しかし、トランプ大統領が進めた大胆な経済政策のおかげで、すべてが変わりました。大統領は、アメリカ史上最大の減税と税制改革に署名しました。結果、米国経済は世界史上最も強くなっています。

補足解説: 対中貿易などの不均衡の是正や、米国史における歴史的な税制改革により、米国は再び力を取り戻しました。そして、中国を引き離していのか。日本は「増税路線」を続けていますが、これが誤りであることを米国は教えてくれています。

(3) 中国は宗教者を苦しめている

ペンス氏: 少数民族や宗教的少数派の数百万人が、宗教的・文化的なアイデンティティーを根絶しようとする、中国共産党の試みに苦しんでいます。中国共産党は、キリスト教の牧師の逮捕や聖書の販売禁止、教会の破壊、100万人以上のイスラム教徒のウイグル人の投獄に及んでいます。

補足解説: 中国は、高度な監視システムなどを通じて、宗教者の自由を著しく侵害しています。これを受けて米国は、中国外交官の米国国内での行動を規制するなど、対抗措置を打ち出しています。

(4) 中国は尖閣諸島などを脅かしている

ペンス氏: この1年間での中国の軍事行動や近隣諸国へのアプローチは、ますます挑発的になりまはた。中国の指導者たちは、2015年に「南シナ海を軍事化するつもりはない」と述べましたが、人工島に対艦ミサイルや防空ミサイルなどを配備しました。

東シナ海では、緊密な同盟国である日本において、中国の挑発に対する緊急発進の回数が今年、過去最多となる見通しです。また中国の沿岸警備隊は、日本に施政権がある尖閣諸島の周辺海域に60日以上連続で艦船を送り込みました。

補足解説: 中国の挑発はエスカレートしています。日本人14人を「反スパイ法」を根拠に逮捕し、すでに9人を起訴するなど、「人質外交」まで展開しています。それにもかかわらず、日本政府は「完全に正常な軌道へと戻った日中関係を新たな段階へと押し上げていく」との立場を示しています。日中関係が正常ではないということは、誰が見ても明らかです。

(5) アメリカは台湾を支持する

ペンス氏: 私たちの政権は、これからも「1つの中国」政策を尊重していきますが、中国はここ数年の小切手外交を通して、台湾を承認している2カ国以上に、中国の承認へと変えるよう仕向け、台湾の民主主義への圧力を強化しています。

補足解説: 台湾との関係を強化することが、中国との約束を反故にすることにはならないと強調しました。ところが、そのような中国は今や、台湾に「一国二制度」を受け入れるように迫り、現状変更を試みています。日本はそれを追認・黙認せず、台湾を強力にサポートすべきです。

(6) アメリカは香港とともにある

ペンス氏: この1年の間で、自由に対する中国共産党の反感を、香港の情勢ほど示したものはないです。トランプ大統領は、「米国が自由を支持する」と明言してきました。(拍手) 私たちは国家の主権を尊重します。

当局が香港の抗議者に対して暴力で訴えれば、米国との貿易交渉を妥結するのは、一層困難になると繰り返し言及してきた。(拍手) 米国は香港の人々を尊重するように中国に促し続けます。そしてここ数カ月、権利を守るために平和的にデモを行ってきた香港の数百万人の人たちと、私たちはともにいます。

補足解説: 米国が改めて、香港をサポートすることを明確にしました。香港の民主活動家をはじめ、デモに参加・賛同する多くの人々が勇気づけられるでしょう。


ちなみに、香港情勢はますます悪化の一途をたどっているようです。以下に本日の香港に関するツイートを掲載します。



(7) 検閲を受け入れる米企業は「非米国的」

ペンス氏: 人権侵害を故意に無視する進歩的な企業文化は、進歩的ではありません。それは抑圧的です。(拍手) 米国の企業、プロスポーツ、プロ選手が検閲を受け入れるならば、それは単なる間違いではなく、非米国的です。米国企業は、国内と世界で米国の価値観のために立ち上がるべきです。

補足解説: ペンス氏は昨年10月の演説で、プライバシーを軽視するグーグルを批判し、行動を改めるように要求しました。根底には、利益追求を第一とする「グローバリズム」への批判があります。日本の一部企業も、中国の経済的利益に誘惑され、中国の要求に屈しています。

演説はアメリカ政府の公式見解

ペンス氏の演説は今年6月から延期され続け、ようやく行われた形です。内容は、昨年の演説に続いて、中国共産党体制を厳しく糾弾するものとなりました。だが前回の演説では、香港情勢への言及はありませんでした。この1年で起きた問題を反映したという意味で、今回の演説は、「最新のアメリカ政府の公式見解」として注目に値します。

日米の演説を見比べると明らかですが、米国の政治が優れている点は、「善悪の価値判断」を明確にすることです。米国は、「自由」「民主」「信仰」といった普遍的な価値観に基づき、我が国はこのような意思決定を行う、ということを明確に示しています。日本の発信力に足りないのは、この点です。

日本は米国の対中国政策と共同歩調をとり、世界の平和に貢献すべきでしょう。

台湾に関しては、このブログでも以前から述べてきたように、本来大陸中国こそ現在の台湾の民主的な制度を参考にしつつ、受け入れるべきなのです。

これは、ベンス副大統領の演説の「米国は常に、台湾が民主主義を受容していることは全ての中国人により良い道を示している、と信じている」という言葉にあるように、米国もそのように考えていることがわかります。

台湾にできたことが、大陸中国ではできないはずはありません。それを阻止しているのが、中国共産党なのです。



このペンス演説に続き、ポンペオ米国務長官は8日、ドイツのベルリンで演説を行い、米中の対立について「米国と中国共産党政権の対立であり、平和を望む世界各国と中国共産党政権による全体主義の戦いである」と強調しました。

今後米国は、対中国冷戦に関しては、単なる「貿易戦争」の次元から、中国共産党を弱体化させることに軸足を移していくことになるでしょう。「貿易戦争」はそのためのツールの一つに過ぎないということになるでしょう。

日本としても、習近平を国賓として招くような真似をすれば、世界、特に米国に誤ったイメージを植え付けかねません。これは取りやめたほうが良いでしょう。そうして、そうすれば、そもそも招くことを最初からしなかったよりも、さらに多くの打撃を習近平と中国共産党に与えることができると思います。

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NBAの中国擁護が米国団体にとって今に始まったことではない理由―【私の論評】いずれ中国は、世界市場から完璧に弾き出るよりしかたなくなる(゚д゚)!

2019年11月13日水曜日

【国家の流儀】韓国と連動して中国、ロシア、北朝鮮による「日本海」争奪戦が始まる…安倍政権はどう対応するか―【私の論評】二正面作戦不能の現在の米軍では、日本を守りきれないという現実にどう向き合うか(゚д゚)!


海自のイージス艦「あたご」

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、数年前から日本の防衛費を上回る軍拡を推進しており、このままだと対馬海峡をめぐって日韓「紛争」が起こることになりかねない。

 もちろん、同盟国・米国は、韓国の「暴走」を必死で押さえ込もうとしている。日韓が紛争を引き起こせば、北朝鮮や中国、ロシアを喜ばせるだけだからだ。

 しかし、残念ながら文政権は、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定するなど、米韓同盟を空洞化させる方向に進んでいる。しかも厄介なことに、この文政権の背後には中国共産党政権がいる。

 2017年12月に訪中した文氏は、習近平国家主席から、(1)米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)の追加配備はするな(2)米国のミサイル防衛に参加するな(3)日米韓の安保協力を軍事同盟に発展させるな-の「3つのNO」(三不の誓い)を突き付けられた。この指示通りに、文政権は「離米・反日」を強化しているわけだ。

 この韓国と連動して、今年に入って中国、ロシア、北朝鮮による「日本海」争奪戦が始まった。

 日本海の「大和堆(たい)」という豊かな漁場で違法操業を続けている北朝鮮は、日本の排他的経済水域(EEZ)周辺に連続してミサイルを発射しているが、日本政府は「遺憾の意」を示すだけだ。そうした弱腰に付け込んで、中国やロシアも日本海での活動を活発化させており、7月には中ロ両国の爆撃機が空中集合したうえで、対馬海峡を抜けて東シナ海まで編隊飛行する合同パトロールを実施した。

 東シナ海では、沖縄県・尖閣諸島を含む南西諸島沖に連続で60日以上にわたって、中国海軍の軍艦や海警局の巡視船が出没し、領海「侵入」事件が続いている。中国軍機による挑発行為も深刻で、自衛隊機によるスクランブル発進は過去最多になりそうだ。

 私が知る米軍関係者も「日中両国は、東シナ海で事実上の『戦争状態』にある」と憂慮を隠さない。そうした危機感を背景に、マイク・ペンス米副大統領も10月24日、「米中関係の将来」と題する演説で、東シナ海における「親密な同盟国である日本」に対する中国の軍事的挑発を激しく非難した。

 安倍晋三政権は、海上保安庁第11管区海上保安本部の定員を大幅に増員し、600人を超える「尖閣警備専従部隊」を創設するなど、尖閣を含む東シナ海を必死で守ろうとしているが、劣勢だ。しかも、「紛争」は今年に入って、日本海にも波及しつつあるが、自衛隊と海上保安庁の現有能力で対応できるとはとても思えない。

 南シナ海が奪われ、東シナ海も風前の灯、そして、今度は日本海だ。中国、ロシア、韓国、そして北朝鮮による連携「攻勢」にどう対応するか。大局を見据えた国家戦略の見直しが急務だ。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『天皇家 百五十年の戦い』(ビジネス社)、『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(PHP新書)など多数。

【私の論評】二正面作戦不能の現在の米軍では、日本を守りきれないという現実にどう向き合うか(゚д゚)!

冒頭の記事で、江崎氏が指摘するように、日本海の争奪戦がはじまるかもしれない可能性は確かにありますが、ではすぐにそれが実行されるかといえば、すぐにはないというのが正解だと思います。なぜなら、日本には現在世界で唯一の超大国である、米軍が駐留しているからです。

韓国、中国、ロシア、北朝鮮等が日本海をいずれ我がものしようとしても、米軍が駐留している日本に対しては、挑発くらいしかできません。本格的に奪うことなどできません。

しかし、争奪戦が始まり実際に奪われる可能性も、否定できません。それはどのような場合かといえば、このブログでも以前指摘させていただいたように、中東などで大規模な戦争がはじまり、それに米軍が介入したときなどです。

現在の米軍は、残念ながら世界の警察官として、大規模な二正面、三正面作戦などできません。米国も関与する本格的な戦争が世界で、一箇所にとどまらず二箇所、三箇所と起こってしまえば、米軍は一箇所だけを優先的に選択して戦争するしかなくなります。

米軍の海外配置の状況(グァムは米国領なので含まず)

中東などで米軍が大規模な作戦を遂行しているときに、日本海で同時大規模な作戦を遂行する能力は今の米軍にはありません。

これについては、以前のブログにも掲載したことですが、最近米国のシンクタンクが、これについて研究した結果を発表しています。

中露や中東の軍事的脅威に対応する米軍の能力が「限界」にあるという厳しい評価が下されたのです。これは、米軍事専門シンクタンクによるもので、「現在の姿勢では、米軍は重要な国益を守るとの要求に、わずかしか応えられない」と強調しています。

問題なのは、特に海軍において、この相対的弱体化に即効性のある解決策がないことです。「世界最強」のはずの米軍に何が起こっているのでしょうか。

評価は著名な米保守系シンクタンクのヘリテージ財団によるものです。同財団が10月末に発表した「2020年 米軍の軍事力指標」と題する年次報告書は、米陸海空軍と海兵隊の軍事的対処能力を、非常に強い▽強い▽限界▽弱い▽非常に弱い-の5段階で評価しています。ただ、基準は「2つの主要な戦争を処理する能力」などとしており、2正面作戦を行うにおいての評価であるあたりが超大国米国らしいです。

とはいえ、中東ではイランの核開発、南シナ海では中国の軍事的膨張、さらに北朝鮮の核ミサイル開発と、地域紛争が偶発的に発生しかねない「火薬庫候補」は複数あり、2正面を基準にするのは米国としては当然の条件です。

この5段階で「限界」とは、乱暴な言い方をすれば「戦争になっても勝てるとは言えず、苦い引き分けで終わりかねない」、あるいは「軍事的目標を達成するのは容易ではない」ということです。

同報告書では欧州や中東、アジアの3地域での軍事的環境を分析。例えば中国については「米国が直面する最も包括的な脅威であり、その挑発的な行動は積極的なままであり、軍事的近代化と増強が継続している」などと、それぞれの地域の脅威を明らかにしたうえで、対応する陸海空軍などの米軍の能力を個別評価しています。ところが驚くことに、その内容は、「限界」ばかりなのです。


米陸軍女性兵士

まず陸軍は、昨年に引き続き「限界」のまま。訓練や教育など多大な努力により旅団戦闘団(BCT)の77%が任務に投入できる状態となった点は高く評価されたのですが、兵力を48万人から50万人に増強する過渡期にあり、その準備や訓練に加え、陸軍全体の近代化が課題となっています。

米海軍女性兵士 ネイビー・シールズ隊員

さらに問題なのは海軍です。前年同様「限界」ですが、内容は厳しいです。まず艦艇の数で、「中国海軍300隻と(海軍同様の装備を持つ)175隻の中国沿岸警備隊」(米国海軍協会)に対し米海軍は290隻。トランプ政権は「2030年代までに海軍の保有艦艇を355隻に増やす」との構想を持っています。一部には予算面から、この構想の無謀さを指摘する声があるのですが、本当の問題は355という数字をクリアすることではなく、艦艇の運用面、いわばクリアした後にあるのです。

海軍艦艇は整備と修理や改修、耐用年数延長工事や性能アップのため、定期的にドック入りして「改善」を行う必要があります。一般的に、全艦艇の3分の1はこうした「整備中」にあり、訓練中も含めれば、即時に戦闘行動に投入できるのは半数程度とされます。

ところが米海軍には、大型艦艇に対応するドックが足りないのです。全長300メートルを超える原子力空母ともなれば、ドック入りしなければならないのに他の艦船が入渠(にゅうきょ)しているため、順番待ちが生じている状態なのです。

米国海軍協会などによると、米海軍原子力空母11隻のうち現在、任務として展開しているのはロナルド・レーガン▽ジョン・C・ステニス▽エイブラハム・リンカーン-の3隻のみ。ニミッツをはじめほか8隻はドックで整備や部分故障の対応中といった状態なのです。

しかも空母に限らず米海軍艦艇がドック入りした際の整備の工期は、予定を大幅に超える事態が頻発しているというのです。

過去のオバマ政権時の軍事予算削減が響き、ドックも足りず、整備できる人間の数も足りないのです。このような状況でなお艦艇数を増やしても、整備や修理待ちの列が長くなるだけです。また原子力空母の多くが建造後20年が経つということに代表される、各種艦艇の老朽化、さらには新型艦の不足も海軍を悩ませています。

報告書では「資金不足と利用可能な造船所の一般的な不足により、艦艇のメンテナンスが大幅に滞り、配備可能な船舶と乗組員に追加の負担がかかっている」と指摘されています。

確かに、このような状態で中東と南シナ海、あるいは朝鮮半島で緊迫した事態が発生したらと考えると「限界」の評価はうなずけます。ベトナム戦争の際、米海軍はベトナム近海に常時数隻の空母を展開していたのですが、現状の3隻、訓練中を含めても5~6隻の稼働では「2正面の展開」は困難です。

米空軍女性パイロット

一方で空軍は前年の「弱い」から「限界」にランクアップという、とても素直には喜べない状態です。

戦闘機と攻撃機の数が必要数の8割にとどまっているほか、パイロットの不足などをこの評価の理由にあげています。また海兵隊も「限界」で、近接支援を行う武装ヘリなど海兵隊配備の航空機の維持や保守要員の不足などがマイナスとなりましたた。

報告書は「(米軍は)現在の作戦と準備レベルの維持に人的・物的資源が振り向けられているため、近代化プログラムは苦戦している」としたうえで、「現在の姿勢では、米軍は重要な国益を守るとの要求に、わずかしか応えられない」と結んでいます。

なかでも海軍には「水平線の向こうに警告を示す不吉な雲が見えている」との表現で、“進路”を変えるなら今だとの警鐘を鳴らしていますが、まずはドックから作らねばというのは、「おいしいおにぎりを食べたいから、まず水田を作ろうや」という状態ともとれます。トランプ米大統領が北大西洋条約機構(NATO)や日本に軍事的対処能力の向上を求めるのも当然といえば当然なのです。

このようなお寒い状況では、確かに米軍大規模な二正面作戦などできません。中東で米軍が大規模作戦を実行し始めた場合、日本海で大規模な侵略があった場合、米国はこレに十分に対処できない可能性が大です。

かといって、米国ではシェール・オイルの採掘によって、石油は自国で賄えるようになったため、米軍が中東から引き揚げ、現在中国の台頭に悩まされているアジアに主力を置くようにすれば、日本にとっては一見良いようにみえるかもしれません。それで、今まで通り、日本は米国に守ってもらえると安堵するかもしれません。

しかしそれだけでは、日本自体は、安全が確保されるかもしれません。しかし、米軍が引き揚げた中東は不安定化するでしょう。原油の輸入を頼っている日本とししては、これは死活問題です。中東に原油を頼る、他先進国とも協調しつつ、中東に大規模な軍隊を派遣して、中東の安全保障を確保しなくてはならなくなります。

いずれにしても、日本の安全保障は今のままでは、脅威にさらされることになります。まずは、現行の憲法や法律でできることはすべて実行するべきです。防衛予算は、現行のままでも増やすことはできます。無意味な1%枠など捨て去り、少なくとも2%に増額して、同盟国である米国等とも協調しつつ、アジアと中東の安全を確保すべきです。

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