2021年6月8日火曜日

国産ワクチンが遅れた理由 日本学術会議による軍事研究の事実上禁止で基礎研究が十分にできず 副反応あおる報道も一因に ―【私の論評】ワクチンを素早く大量生産できる能力は、安全保障の観点から欠くことはできない(゚д゚)!



 政府は国産ワクチンの開発・生産体制を強化するとして、拠点整備などを行う国家戦略を閣議決定した。

 今回の新型コロナウイルスの対応については、大国では官民で巨額な資金が投入され、1年もたたないうちにワクチンが完成した。ワクチンは生物兵器の防御として軍事的な研究の厚みがものをいうので、軍事大国ほど開発が速かった。日本は軍事大国ではない上、日本学術会議が軍事研究を事実上禁止し、重要な基礎研究が十分にできなかったという事情もある。

 加えて、日本では1970年代頃から、マスコミがワクチンの副反応を社会問題としてたびたび取り上げた。反ワクチン運動による多くの訴訟が起こり、国の敗訴も多かった。

 厚生省(当時)は1994年に予防接種法を改正し、ワクチンは義務接種から任意接種に変更された。それまでもワクチン接種率は低下し新規ワクチン開発も停滞していたが、法改正は国内メーカーのやる気を大いにそいだ。80年代まで日本はワクチン輸出国だったが、今や輸入国になっている。歴史を振り返ると、水痘、日本脳炎などのワクチンは日本が世界に先駆けて開発したものだ。

 そうした歴史に加えて、今回のコロナ禍で日本は比較的感染者数が少なかったので、国の承認を得るために必要な臨床試験(データを集めるための人に対する試験)を十分に行うことができなかった。

 日本も、いくつかの会社が民間技術で頑張っているが、スピードではかなわない。関係者に聞くと、軍事大国で開発されたワクチンは、自動車に例えると「F1」だという。最高技術をえるために巨額の資金投下をしているからだ。一方、日本企業が目指しているのは、安価な大衆車だ。世界中で50種類以上のワクチン開発がなされ、日本企業は軍事大国のトップグループではないが、その次の2、3番手グループらしい。現時点で今年中の実用化は厳しいかもしれないが、来年以降になると日本の出番も増えてくるかもしれない。

 こうした状況は、国難ともいえるので、6月2日の「COVAX(コバックス)ワクチンサミット」で、菅義偉首相は、国産ワクチンの研究開発拠点の整備構想を表明した。遅ればせながらであるが、ワクチン開発環境を一変させる重要な一歩だ。

 こうした基礎技術は、何はともあれ、予算を投入しなければ、うまくいかない。ワクチン開発は国防と考え、景気に左右されない安定的な予算を組まないと、いざというときに対応できなくなるだろう。

 マスコミも、副反応のみをあおる姿勢を改め、メリットとリスクをバランス良く報道すべきだ。

 これまでの偏った報道が結果的に影響した面もあると思うが、日本のワクチン接種率の低さは国益にならない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ワクチンを素早く大量生産できる能力は、安全保障の観点から欠くことはできない(゚д゚)!

安定した生物兵器を製造することは、現在でも困難だとされています。しかし、だからといって生物兵器の開発は行わていないと主張することは、正しいとはいえないです。

現実に、生物兵器を作ることを使命としていた旧ソ連の科学者たちの中には、冷戦終結後、米国からの支援を受けて医療研究やワクチン開発に従事している者も多いです。バイオテクノロジー産業機構の年次会議に出席したあるロシア人研究者は、遺伝子操作できわめて毒性の強いウイルスを簡単に作り出せる現状について警告していました。

1990年代のソ連が崩壊する前まで、アミル・マクシュートフ氏は、対米国用の生物兵器として利用する可能性のある、毒性の強いインフルエンザ菌やその他の感染性病原体の開発に従事していました。現在、マクシュートフ氏は、HIV、インフルエンザ、マラリアなどのワクチン開発を進めました。

不気味なソ連の生物兵器工場

マクシュートフ氏は、ソ連崩壊後に米国の庇護を受けられる科学者の1人になれて幸運でした。旧ソ連は、きわめて殺傷能力の高い感染性病原体を大量に作り出すために優秀な科学者を大勢雇用していたのですが、冷戦が終わると、多くの研究者は職を失ってしまいました。

そうした研究者が敵対勢力の手に落ちては困るので、米国は旧ソ連の科学者を支援し共同研究を進めるプログラムを考え出しました。

マクシュートフ氏は2004年6月7日(米国時間)、バイオテクノロジー産業機構(BIO)の年次会議に出席し、通訳を介して、「殺傷する目的のものを開発するより、(薬を開発する方が)はるかに気分が良い」と語りました。「今、われわれの可能性は非常に強まり、数多くの新薬を開発できるようになった」

マクシュートフ氏は、シベリアのノボシビルスク地方にある国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究所(SRC VB VECTOR)の研究員です。マクシュートフ氏によると、この街の住民は全員同研究所と何らかの形で関わる仕事をしているといいます。

かつては地上で最も危険な病原体の製造施設だったものが医療研究施設に生まれ変わることができたのは、米国政府とロシア人科学者の共同作業が見事に成功した例の1つだと言えます。

「ロシアには才能ある人的資本が豊富にある」と語るのは、マサチューセッツ総合病院で国際医療問題上級アドバイザーを務めるジェフリー・ゲルファンド氏。ゲルファンド氏は、米国務省バイオインダストリー・イニシアチブでロシアにおける研究プロジェクトの確立にも協力しています。「一時期、もう何年も昔の話だが、その資本の使い方を誤っていた時があった。今はそれを正しい方向に導き、人類の役に立てているのだから、実に素晴らしい」

ゲルファンド氏によると、ロシア人研究者は往々にして、米国人ならおそらく思いつかない方法でプロジェクトにアプローチするといいます。たとえば、マクシュートフ氏は、HIVウイルスがワクチンからの攻撃を避けるために突然変異するパターンが4万6000通りもあることを発見した。そこでマクシュートフ氏は、この4万6000通りの突然変異の1つ1つにカウンターパンチを加えられるワクチンを開発しました。

国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究所(SRC VB VECTOR)

「われわれの柔軟性を欠いた考え方からすれば、そんなものが効くはずがない、ということになっただろう」とゲルファンド氏。しかし、ウサギを使った実験でワクチンは効果を発揮し、国務省がその後の実験を支援することになったのです。

フセボロト・キセリョフ博士もまた、生物兵器の研究者から医学界に奇跡をもたらす人物へと転身した科学者の1人でした。キセリョフ博士は現在、モスクワにある分子診断治療研究所の生物工学研究室責任者として、『ヒト乳頭腫ウイルス』(HPV)と闘うワクチンの開発に取り組んでいる。

 HPVの一種から発症する喉頭乳頭腫は、幼児の気道内にイボを作って呼吸困難を引き起こしたり、場合によっては死に至らしめたりもする。米国務省からの資金提供を受け、キセリョフ博士は、新しいワクチンのみならず、ワクチンを作るまったく新しい技術まで開発することに成功した。

「ワクチンというものは通常弱く、十分な防御にはならない」とキセリョフ博士は述べました。「私は、その防御レベルを著しく改善する技術を開発した――少量のワクチンで高いレベルの防御が得られ、副作用はない」

このワクチンは当時はまだ初期段階にありました。動物での実験が終了すれば、技術を他の種類のワクチンに応用できる可能性もあるとキセリョフ博士は語りました。

こうした前進にもかかわらず、米国が旧ソ連の生物兵器科学者たち全員を魅了するのに成功しているわけではありませんでした。マクシュートフ氏によると、米国からの資金提供が生物兵器の拡散防止に役立ってきたことは事実でしたが、もっと努力を重ねる必要があると語りました。マクシュートフ氏は、「人類に対して友好的でない研究施設」が今から5〜10年の間に生物兵器を開発するのではないかと憂慮するとしていました。

「今の生物工学のレベルは非常に高いので、遺伝子操作したインフルエンザ・ウイルスなど、きわめて危険な新ウイルスを作り出すことも可能だ」とマクシュートフ氏。「1918年のスペイン風邪の大流行でさえ、小さく見せてしまうほどのものだ。こういった潜在的な危険性を秘めたウイルスは、厳しい監視体制の下に置いておかなければならない」

マクシュートフ氏はさらに、ワクチン開発に向け、インフルエンザ・ウイルスの構造や働きの研究も行なっていました。

「私は、さらに毒性の強いウイルスを作る方法をよく知っている。残念ながら、それは本当に簡単な方法だ」とマクシュートフ氏は語りました。まだ真相は明らかになっていませんが、今日マクシュートフ氏の予言は当たってしまったかもしれません。

確かに安定した生物兵器を、作るのは現在でも困難です。いかに毒性が強いウイルスを開発できたにしても、それを単純に散布してしまえば、敵国だけではなく、自国もその毒性の強いウイルスに滅ぼされてしまうことになります。

やはり、ウイルス等の予防法などを確立した上で、散布するなどのことをしなければならなくなります。ただし、ワクチンを事前に、多くの国民や特に軍人などに接種すれば、何のためにそれを実施するのかが問われ、最悪自国が敵国に攻撃されることになります。

さらに、ウイルスや病原菌など、思いの外弱く、すぐに活性を失ったり死滅したりします。それを安定させ、目的地まで運ぶのは困難です。さらに、それを何らかの方法で多くの人々に感染させることはかなりの困難を伴います。そのため、ウイルスや病原菌などを安定した兵器にするのは今でも困難です。しかし、完成された兵器にするのは難しいかもしれませんが、イスラム過激派の自爆テロのように、死を覚悟ということなら、ウイルスや病原菌も兵器の変わりに使うことはできるかもしれません。

たとえば、多くの人がご存知の地下鉄サリン事件においては、「サリンのパックを傘で刺し、逃走」などと実行の様子が記載されています。「パック」とは何なのか、どの程度の穴をいくつ開けたのかなどは、公表されていませんが、何らかの容器に入れたサリンを容器に穴をあけるという方式で散布したようです。


このような方式でも、あのような犯罪を実行したのですから、実行犯が死ぬことを覚悟したり、自国民がある程度死ぬことも辞さない覚悟で、実行するというのなら、安定した生物兵器でなくても、敵国に対して大きな混乱をもたらしたり、多くの敵国国民を殺傷することは、ある程度可能かもしれません。

マクシュートフ氏が語るように、毒性の強いウイルスを作る方法は、ウイルス学者にとっては簡単なようです。このような、毒性の強いウイルスを長年わたって、多数つくっていけば、中には扱いやすい安定したものや、自国民にとっては比較的害の少ないものなども作成できるようになるかもしれません。

そうして、上で述べたことから、先日もこのブログで述べたように、コロナウイルスは「武漢ウイルス研究所流出説」は正しいかもしれません。

真相は、まだわかりませんが、可能性としては捨てきれません。そうして、これに対処するには、現在のところ病原体を発見した場合、すぐにそれに対処できるようにワクチンをすみやかに大量生産して速やかに多くの国民に接種することです。

まさに、ワクチンを素早く作成できる能力は、安全保障の観点からして、欠くことのできないものであり、ワクチンは戦略物資です。

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2021年6月7日月曜日

A級戦犯7人の遺骨、米軍将校「太平洋にまいた」 昭和史の謎だったが…公文書発見―【私の論評】日本人は先の大戦で無条件降伏していないこと、戦犯の処刑は違法行為であることを思い起こすべき(゚д゚)!

A級戦犯7人の遺骨、米軍将校「太平洋にまいた」 昭和史の謎だったが…公文書発見


 第2次大戦後、極東国際軍事裁判(東京裁判)で死刑判決を受けた東条英機元首相らA級戦犯7人の遺骨について、米軍将校が「太平洋の上空から私がまいた」と記した公文書が、7日までに見つかった。米軍による具体的なA級戦犯の遺骨処理の方法が公文書で判明するのは初。遺骨は遺族に返還されず、太平洋や東京湾にまかれたとの臆測はあったが、行方は昭和史の謎とされていた。

 文書は、占領期に横浜市に司令部を置いた米第8軍が作成。日本大生産工学部の高澤弘明専任講師(法学)が米国立公文書館で入手した。

 極秘文書には現場責任者のルーサー・フライアーソン少佐が経緯を報告。火葬後、7人の遺骨は「横浜の東の太平洋上空を約30マイル(48キロ)地点まで連絡機で進み、私が遺骨を広範囲にまいた」と記している。

【私の論評】日本人は先の大戦で無条件降伏していないこと、戦犯の処刑は違法行為であることを思い起こすべき(゚д゚)!

A級戦犯で亡くなられた方々の、遺骨もないということを、遺族の方が語っていたのを聴いたことがありましたが、戦後70年以上もたってようやく明らかにされました。まずは、亡くなられた7人の方々をご冥福をお祈りさせていただきます。

それにしても、戦後70年以上も経て「A級戦犯」は、「戦争ですごく悪いことをした主犯級の人のこと」を意味する言葉だと考えている人でも多いのではないでしょうか。

現代でも、何かまずい事が起きたときにその中心となって事件を起こした人や一番酷いことをした人のことを「あいつがA級戦犯だ」と言うことがありますが、私たちは「A級戦犯」という言葉を正しい意味で理解しているでしょうか?

第二次世界大戦で日本は敗けました。

勝った連合国側は、戦後にポツダム宣言に従って、日本の重要な戦争犯罪人を裁くための裁判を行うことにしました。

ただし、それを裁くための法律がなかったので、まず極東国際軍事裁判所条例を作り、その第五条(イ)項で戦争犯罪に関して定義を作成し、それを元にして東京裁判(極東国際軍事裁判)を開きました。

この法律は、「事後法」と言われ、裁くために作られた法律であり罪状ですから、現在からみると完璧に違法です。

作られた条例には3つの種類の罪が明記されていました。
A.平和に対する罪
B.戦争犯罪
C.人道に対する罪
英語で作られたこの条例は、ABCに分けて書かれており、A級戦犯とは、このAの平和に対する罪で有罪となった者を呼ぶ呼び方です。

つまり、ABCは罪の深刻さでレベル分けされたのではありません。3つにグループ分けされた罪状のうち、平和に対する罪のグループをAにしたので、それを犯したとされる人々がA級戦犯と呼ばれることになったに過ぎません。

AがBやCより罪が重い、という意味はないのです。

ソビエト連邦のポツダムによって行われたポツダム宣言の合意に基づき、1945年7月26日に米国、英国、中華民国の名において大日本帝国に対して無条件降伏を求めるポツダム宣言が発せらたと信じている人も多いようですが、これも大きな間違いです。

日本は無条件降伏などしていません。

日本は、降伏条件が明示された、ポツダム宣を受諾することで、降伏したのです。

ポツダム宣言(The Potsdam Declaration)は、昭和20年(1945年)7月26日に、米合衆国大統領、英首相、中華民国主席の名において、日本に対して発せられた、全十三か条からなる宣言です。その第五条には次の文があります。

 五、我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、これについては譲歩せず、我々がここから外れることもない。執行の遅れは認めない。

 要するに、ここには連合国が、「この条件から外れるようなことは、絶対にしない」と、書いてあるのです。

ポツダム宣言は、日本に『条件付き降伏』を求めていたのです。

第七条には、「第六条の新秩序が確立され、戦争能力が失われたことが確認される時までは、我々の指示する基本的目的の達成を確保するため、日本国領域内の諸地点は占領されるべきものとする」とあります。

つまり、日本全国を占領することはしない。日本が、われわれの要求する、条件を達成するまで、連合国側は、「いくつかの地点を占領」するという、条件を出しているのです。

日本全土を占領するとは、どこにも書いていません。米国が、日本全国を占領したということも、重大なポツダム宣言違反です。

第十条には、「我々の意志は日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させようとするものではないが、日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処刑されるべきである。日本政府は日本国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障害は排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである」と、書かれています。

「戦争犯罪人」というのは、それまでの戦時国際法によれば、たとえば非戦闘員を殺すとか、一般市民への略奪を行うとか、あるいは女性に対して乱暴をはたらく、あるいは降伏して捕虜となった者を虐待するなどの「戦場犯罪」を意味します。

戦犯として裁かれた東條閣下 この裁判自体が違法だった

それまで、国民の指導者に対して、「戦争犯罪人」として、責任を問うたことは、人類史上ただの一度もありませんでした。だから、日本がポツダム宣言を受諾したときには、当然のことながら「戦争犯罪人」というのは、通常の戦場犯罪をおかした、いわゆる「戦争犯罪者」を罰するものだと、理解していたのです。

それ以外の解釈は全く考えられませんでした。前例がないのだから、当然です。

さらに、最後の第十三条では、「我々は日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める。これ以外の選択肢は迅速且つ完全なる壊滅があるのみである」と、書いてあります。ここでの「無条件降伏」とは、「全日本軍」の無条件降伏を要求しているのであって、「日本国」としての無条件降伏はもとめていないのです。

そもそも第五条には、「我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、…我々がここから外れることもない。…」と、書いてあります。意訳すると、「われらの条件は左の通りである。われらはこれらの条件より離脱することはない」と、宣言しているのです。

そう宣言しながら、日本全土を占領し、極東国際軍事裁判を行っているのです。連合国による日本の占領政策は、ポツダム宣言の重大な違反なのです。

日本は、天皇を人質にとられた状況でしたた。「天皇を捕えて戦争犯罪人として裁く。命も保障できない」と脅迫されたら、二千六百年余りに及ぶ「国体」の護持が、最大の望みである日本人は、何の文句も言えなかったのです。

こうして、米国の国際法への重大な違反は、自ら発した『ポツダム宣言』に違反するところからはじまったのです。

日本の大新聞をはじめとして、多くのメディアは平然と、「日本は先の戦争で無条件降伏をした」という「虚偽」報道をしています。

占領軍は、自らが宣言した日本の降伏条件を、一方的に破ったのです。だから日本が「無条件降伏をした」という、ことにして虚偽情報を蔓延させたのです。

その宣言の中に「我らの捕虜を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重な処罰が加えられる」とあります。

さらに、同年8月8日に英国、米国、フランス、ソビエト連邦の4ヶ国が「欧州枢軸諸国の重要戦争犯罪人の訴追求お呼び処罰に関する協定」(ロンドン協定)を締結し、8月10日それらを日本が受諾しました。

9月2日には日本の降伏文書調印式が行われています。

降伏文書調印式に参加した日本の代表団

その後、ダグラス・マッカーサー連合国軍最高司令官が中心になって東条英機を逮捕し、戦争犯罪人容疑者のリスト作成が行われました。

この際、米国政府は、占領政策の円滑化のために日本に天皇が欠かせないという認識があったため、昭和天皇の訴追は行っていません。

アメリカ軍の憲兵司令部へ出頭命令を受けた戦犯容疑としての逮捕者は126名。それ以外に5名が逮捕・出頭前に自殺しています。

中でも28名がA級戦犯として昭和天皇の誕生日4月29日に起訴され、病死や精神障害により裁判を終了できなかった3名以外の25名が判決を受けました。

さらにそのうち以下の7名の男性がA級戦犯として死刑判決を受けました。
東條英機(陸軍大将、元首相)
土肥原賢二(陸軍大将)
松井石根(陸軍大将)*
武藤章(陸軍中将)
板垣征四郎(陸軍大将、元陸軍大臣)
広田弘毅(元首相)
木村兵太郎(陸軍大将)
彼らは、当時の皇太子明仁親王の誕生日である1948年12月23日、真夜中の巣鴨プリズンで絞首刑を執行されました。

巣鴨拘置所の入り口(現在のサンシャインシティーのある場所)

これら天皇、皇太子の誕生日を起訴や死刑執行日に選んだのは、訴追できない天皇に対する連合国側の意図があったと言われています。

松井石根はA級戦犯としては無罪、B級戦犯として処刑されていますが、同時期に処刑された人々が全てA級戦犯だったことから、今でもA級戦犯とされることがあります。

日本人は日本は今回戦犯として処刑された方々の遺骨がどうなったのか、明らかになったことを機会に、第二次世界大戦で無条件降伏していないことと、戦犯の処刑は違法行為であることを思い起こすべきです。

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2021年6月6日日曜日

【独自】安保技術の提供、許可制に…外国の「強い影響下」にある日本人研究者も対象―【私の論評】これは政府が昨年5月に施行された改正外為法を厳格に適用し取締を強化していく前ぶれ(゚д゚)!

【独自】安保技術の提供、許可制に…外国の「強い影響下」にある日本人研究者も対象


 政府は、日本の大学や研究機関を通じて軍事転用可能な先端技術が海外に流出するのを防止するため、外国政府の「強い影響下」にある留学生や日本人研究者に対する技術提供は、経済産業相の許可制とする方針を固めた。安全保障上の懸念が強いケースは不許可とし、流出を阻止する。 




 複数の政府関係者が明らかにした。外国為替及び外国貿易法(外為法)の通達を改正し、2022年度までの運用開始を目指す。中国は海外に派遣した留学生・研究者や、日本人を含む外国人への資金提供などを通じ、軍事転用可能な技術の獲得を図っているとされ、対策を強化する。

 外為法は、軍事転用可能な機微技術の外国人に対する提供は、国内であっても「みなし輸出」に当たるとし、輸出と同様に経産相の許可制としている。

 ただ、現行制度では、国内で雇用された外国人や入国から6か月が経過した外国人は、日本人と同じ「居住者」として扱われる。「居住者」に対する軍事関連技術の提供は許可が不要となり、政府内で「技術流出の抜け穴」だとして規制強化策が検討されてきた。

 通達の改正では、「居住者」であっても、雇用関係や資金提供などを通じて外国の政府や法人から「強い影響」を受けていると判断される場合は、こうした「居住者」に技術提供を行おうとする大学や研究機関、企業に対し、経産相への許可申請を義務付ける。

 日本人研究者は「居住者」に当たるが、外国の「強い影響下」にあれば同様に規制対象とする。こうした研究者への技術提供が外国人への提供と同一視できる場合なら、現行法の運用の厳格化で規制可能だと判断した。中国の人材招致プロジェクト「千人計画」に参加している研究者などを想定している。「強い影響下」にあるかどうかの判断基準の具体化も急ぐ。

 留学生・研究者らと外国政府との関係などの把握は、大学などが担う。政府は、外国からの資金提供状況や外国機関での勤務経歴などの情報を大学などと共有することも検討している。

 一方、自由な研究活動を阻害しないため、留学生らに対する基礎研究分野の情報提供や、一般的な特許出願内容の情報公開、研究者による論文発表などは規制の対象外とする考えだ。

【私の論評】これは政府が昨年5月に施行された改正外為法を厳格に適用し取締を強化していく前ぶれ(゚д゚)!

外為法(「外国為替及び外国貿易法」)は、わが国と外国との間の資金や財(モノ)・サービスの移動などの対外取引や、居住者間の外貨建て取引に適用される法律です。

外為法の目的は、対外取引に対し必要最小限の管理・調整を行い、対外取引の正常な発展やわが国または国際社会の安全の維持等を促すことにより、国際収支の均衡と通貨の安定を図り、さらにはわが国経済の健全な発展に寄与することです(同法第1条)。

外為法を所管しているのは、財務大臣と経済産業大臣ですが、同法第69条の定めに基づき、日本銀行がその事務の一部(許可申請書、届出書、報告書の受理事務や国際収支統計等の作成事務)を行っています。

外為法は1998年(平成10年)4月に抜本的に改正され、資本取引の「事前届出・許可制」が原則として廃止されました。これにより、現在は、対外取引を行った後に当該取引の内容を財務大臣や事業所管大臣等に事後的に報告する「報告制度」が基本となり、許可や事前届出を要するのは、経済制裁や一部の直接投資・技術導入に限られるようになりました。


戦後の日本では当初、国内産業を守りつつ、貴重な外貨を日本企業の設備投資に回すため対外取引は制限されてきました。1980年代にかけて自由化にかじを切って以降は、日本企業への出資などを原則自由とする法規制が形作られました。

しかし先端技術が民間から多く生まれ、企業が持つデータの価値が高まるなかで、近年は規制強化の動きが目立つようになりました。米国は昨年2月13日、対米外国投資委員会(CFIUS)の機能を強化する法律を施行。重要技術やインフラ、個人データを扱う事業への出資は支配権を取らなくても審査することにしたほか、軍事施設の近くにある不動産の取引も審査対象に加えました。

安全保障上重要な企業に対する外資の出資規制を定めた改正外為法が、昨年5月に施行されました。2019年11月に成立した改正法によって、外国人投資家の株式取得に関する審査基準が大幅に厳しくなりました。米国が中国との間で技術・経済の両面で覇権を争う中、同盟国・日本に対し対中強硬姿勢で足並みをそろえるよう迫ったことが背景にあります。日本は安全保障を強化でき、さらに中国からの投資が難しくなるなどの大きなメリットもあります。



このように外為法は、法律そのものは、十分対応していたのですが、運用が穴だらけだったところがあります。本来みなし輸出(日本政府から業務を受注した企業が、日本政府の技術や機密に関連する情報を日本人あるいは永住権保持者以外に渡すこと)が確認された時点で外為法違反なのですが、取り締まりができていなかったのです。

今回は、経済制裁等を実施していない外国政府であっても、そのの「強い影響下」にある留学生や日本人研究者に対する技術提供は、経済産業相の許可制とするということのようです。許可されていないものを提供した場合は、外為法違反で取り締まるということです。無論これは、中国を念頭においたものであるとみられます。

米バイデン政権はトランプ政権が始めた中国ハイテク企業への禁輸政策、市場排除政策などを継続、中国企業の封じ込め政策、米中デカップリング政策を進める方針のようです。

ただ、米国がデカップリングを推進しても、日本から米国の技術やそれかわる日本独自の技術が中国に漏れることなどがあれば、米国のデカップリング政策は無意味になります。だから、バイデン政権は日本を含め、同盟国との連帯を強め、中国包囲網を築きたいようです。

日本は安倍元総理により、アジア太平洋戦略に米国を組み入れることに成功し、さらにQuadでも米国を取り込み、米国をアジアの安定と平和の一角を占めるように促し、それに成功しました。これはトランプ政権のときのことですが、バイデン政権も継承しています。

一方で、日本には政界や財界に親中的な勢力も多く、日本から米国の技術や日本独自の技術が中国に漏れる可能性は未だ高いですし、事実一部の情報は漏れているものと考えられます。

日本としては、中国包囲網築きたい米国の考えは、以前から認識しているため、これに応えるためにも、特に軍事転用可能な先端技術が海外に流出するのを防止するために、中国の強い影響下にある留学生や日本人研究者に対する技術提供は、経済産業相の許可制とする方向で検討をすすめているのだと考えられます。

たとえばFCV (燃料電池車)はトヨタが開発で先行し、基幹システムの生産も国内にとどめてきました。ところが、中国政府がこの現地化を求め、清華大学系の北京億華通科技と合弁企業を設立しています。 トヨタは清華大学と「清華大学-トヨタ連合研究院」を設立して、共同研究も実施しています。

 中国における水素社会の実現に向け、6社連合で商用車用の
 燃料電池システムの研究開発会社を設立

これでは、日本の先端技術が中国にただ漏れであり、これによって、中国はFCVの技術を手にして、将来これによって自動車販売で急速に伸びていく可能性も高いです。

このようなことは、中国をデカップリングしようとしている米国からみても、裏切り行為であるとうつることでしょう。この状態を日本が放置しておけば、米国はトヨタを制裁対象にすることも十分考えられます。

しかし、このようなことになる前に、日本政府はこれに対処するため、外為法を弾力的に運用していく必要があります。たとえば、外為法の輸出管理の輸出規制品目に、FCV技術を用いた製品を加えるなどのことを実施すべきです。

いずれにせよ、今回の外国為替及び外国貿易法(外為法)の通達を改正しようとする動きは、政府が昨年5月に施行された改正外為法を厳格に適用し取締を強化していく前ぶれてと見るべきでしょう。

中国と取引している企業や、これからそうしようと考えている企業は、このことを前提として、経営戦略を立案すべきです。

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「研究所流出説」を甦らせた素人ネット調査団、新型コロナの始祖ウイルスを「発見」!


<「反中の陰謀説」とされてきた新型コロナウイルスの「研究所流出説」がここへ来て急に見直されているのは、中国の説明がおかしいと感じた世界各地のアマチュアネットユーザーがチームを組んで否定しがたい新事実を科学界と大メディアに突きつけたからだ>


新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)は中国・武漢の研究所から手違いでウイルスが流出して引き起こされた──これはつい最近までオルト・ライト(新右翼)的な陰謀論としておおむね無視されてきた主張だ。【ローワン・ジェイコブソン】 

【動画】肛門PCR検査後、ペンギンのように歩く中国の人々 

ワシントン・ポストは2020年初め、「専門家が何度もその誤りを証明した陰謀論を、執拗に蒸し返している」として、トム・コットン上院議員を批判。CNNは「陰謀論や誤情報を信じている友人や家族を説得する方法」を伝え、ニューヨーク・タイムズも「非主流の説」扱いをし、公共放送のNPRも「研究所の事故で流出したという説は虚偽だと証明されている」と述べるなど、アメリカの他の主要メディアもおおむねこの説を否定していた。

 そうした中で、本誌は例外的に2020年4月、武漢ウイルス研究所(WIV)はウイルスの病原性や感染性を強める「機能獲得型」研究を行なっており、ここから流出した可能性も否定できないと報道した。同様の報道を行なったのは、左派系雑誌のマザー・ジョーンズに加え、ビジネス・インサイダー、ニューヨーク・ポスト、FOXニュースと、ごく少数のメディアだけだ。 

<あるのは好奇心と根気だけ>

 だがこの1週間ほど、研究所流出説がにわかに注目を浴び始めた。ジョー・バイデン米大統領は情報機関に追加調査を指示。主要メディアも手のひらを返したように、流出説をあり得る仮説として扱い始めた。

 雲行きが変わった理由は明らかだ。この何カ月かの間に武漢の研究所からの流出を疑わせる状況証拠が次々に明るみに出て、無視できないほどに蓄積された。

それらの証拠を探り当てたのは、ジャーナリストでもスパイでも科学者でもない。アマチュアの「探偵」たちだ。彼らの武器は好奇心、そして来る日も来る日もインターネット上の膨大な情報をかき分け、手掛かりを探す根気強さ。それだけだ。

 パンデミックが始まってからというもの、その原因に関心をもった世界各地のアマチュア20数人が独自に調査を行い、埋もれた文書を掘り起こし、断片的な情報をつなぎ合わせてきた。彼らがばらばらに発信した推理が1つ、また1つとツイッター上でつながり、やがてはまとまったストーリーが紡ぎ出されてきた。

<チーム名は「ドラスティック」>

それは言ってみれば「オープンソースの自由参加型ブレインストーミング」であり、ネット調査と市民ジャーナリズムの要素が合体した、全く新しい調査方法である。彼らは自分たちをDRASTIC(Decentralized Radical Autonomous Search Team Investing COVID-19=新型コロナウイルス感染症に関する分散型の急進的な匿名の調査チームの頭文字を取った略称だ)と名乗る。

 DRASTICの調査結果は長い間、ツイッター上のオタク世界の片隅に埋もれ、少数のフォロワーにしか知られていなかった。探偵たちはたびたび捜査の袋小路にぶつかったし、時には彼らの解釈に異を唱える科学者たちと論争になった。それらの数々のツイートは、ツイッターの「ファイヤーホース」サービスを介して、1つのまとまったニュースの流れを形づくった。

 調査の質はしだいに向上し、事実究明に向けたその執念がより幅広いフォロワーを引きつけ、科学者やジャーナリストもその内容に注目するようになった。 

DRASTICのおかげで、今ではいくつかの重要な事柄が分かっている。

<どう見ても疑うしかない新事実>

まず、武漢の研究所が長年、コウモリのいる洞窟で何種類ものコロナウイルスを収集してきたこと。その多くは2012年にSARS(重症急性呼吸器症候群)のような症状を起こして3人の鉱山労働者が死亡した銅鉱山で見つかったもので、新型コロナと最も近縁なウイルスもそこに含まれるとみられている。

また、武漢の研究所はこれらのウイルスを使ってさまざまな実験を行なっていたが、安全管理はお粗末で、曝露や流出の危険性があったことも明らかになった。研究所も中国政府もこうした活動を外部に知られないよう、ひた隠しにしていたのだ。

さらに、新型コロナの発生源とされた武漢の華南海鮮市場で最初の集団感染が起きるよりも何週間も前に、既に感染者が発生していたことも分かった。

これらのいずれも、研究所流出説を裏付ける決定的な証拠とは言えない。研究所が発生源ではない可能性も十分にある。しかしDRASTICが集めた証拠は、検察官の言う「相当な理由」にはなる。つまり、研究所から出た可能性を疑い、本格的な捜査を行うに足る理由がある、ということだ。

<最初は「海鮮市場が発生源」を信じた>

アメリカやその他の国々が精力的に調査を進めても、研究所流出説を裏付ける明白な証拠が得られるという保証はない。中国の全面的な協力なしには、徹底した調査はできないが、中国の協力は得られそうにない。

 それでも、この雑多な背景を持つ少数のアマチュアたちがやってのけた草の根の調査報道は、21世紀の最大のスクープとなる可能性がある。 

以下はその詳しい経緯だ。

 DRASTICの1人、「シーカー(探索者)」と名乗る20代後半のインド人男性がメールとテキストメッセージで本誌の取材に応じてくれた。

 彼はインド東部の西ベンガル州在住。地元の伝統的な舞踊に使われる仮面をツイッターのロゴにしている。仕事は建築、絵画、映像制作など。母や姉妹がよく作るインドのお粥「キチュリー」のように雑多な素材が混じり合うことで、意外性に富む作品ができるそうだ。

 熱心な独学者で、グーグルが監視の目を光らせるネット上の「表通り」からは外れた「路地裏」に精通し、興味を持ったトピックについてはそこでせっせと情報収集をしてきた。その成果をレディットに頻繁に投稿し、75万カルマ・ポイントを獲得したという。

 本誌に明かしてくれたプロフィールは以上。本名の公表は控えたいそうだ。 

<「流出説」を揉み消した大物の正体> 

パンデミックが始まった当初、新型コロナ関連のニュースを追っていた人たちの例に漏れず、シーカーも武漢の海鮮市場で野生動物からヒトに感染が広がったと信じていた。3月27日付のツイートで、彼は「珍しい動物の取引で生まれたおかしなウイルスで、親や祖父母が死ぬなんて、ひどい話だ」と嘆いた。

 彼がそう信じたのは、主要メディアがそう報じたからで、主要メディアがそう報じたのは何人かの科学者がそう主張したからだ。 

ピーター・ダスダック氏

そう主張した科学者の筆頭格がピーター・ダスダック。パンデミックを起こす可能性がある自然界の病原体について大規模な国際調査を行う非営利の研究機関、エコヘルス・アライアンスの代表だ。

 ダスダッククは、武漢ウイルス研究所に所属するコウモリのウイルス研究の第一人者、石正麗(シー・ジェンリー)と長年共同研究を行ってきた。十数本近い論文を共同執筆し、分かっているだけで60万ドルの米政府の助成金を彼女に回してきた。

<自然発生説のほうが陰謀だった>

世界で最も多くコロナウイルスを収集してきた研究所のすぐそばで、未知のコロナウイルスの集団感染が発生したとなると、研究所から流出した疑いを持つのは理の当然だ。ダザックはすかさずそれに待ったをかけた。他の26人の科学者と連名で2020年2月19日、医学誌ランセットで公開書簡を発表。「新型コロナウイルス 感染症が自然な発生源を持たないことを示唆する陰謀論を、私たちは断固として非難する」と宣言したのだ。

 今では情報自由法の請求記録から、ダスダックが研究所流出説を潰すための公開書簡の作成を主導したことが分かっている。彼は書簡の草案を作成し、仲間の科学者たちに署名させて、それが幅広い科学者の見解を示すものに見えるように画策したのだ。

 ダザックは科学者たちに署名を求めるメールの中で、「この声明にはエコヘルス・アライアンスのロゴは入らないし、特定の組織や人物が作成したものだと特定されることはない」と確約していた。武漢ウイルス研究所と研究内容が重なる科学者たちは、「(署名から)研究内容を逆にたどられることがないように」署名しないことで同意した。

 だが当時、ダスダックが果たした役割については、それをほのめかす兆しもなかった。公開書簡が発表されたことがきっかけでメディアに頻繁に登場するようになったダスダックは、研究所流出説を「不合理」「根拠に欠ける」「完全なでたらめ」と一蹴した。彼はまた、同研究所につながる証拠を発表した複数の科学者を攻撃。研究所流出説が理にかなわない理由の一部として、武漢ウイルス研究所では、新型コロナウイルスに少しでも似ているウイルスを一切培養していなかったと主張した。 

<コウモリウイルスの専門家、石正麗> 

ダザックは長期にわたって、驚くほど大きな影響力を持ち続けた。彼のしたことが公にされれば、彼のキャリアも組織も大きな打撃を受けただろうが、メディアがそうした疑問を提起することはほとんどなかった。 

皮肉にもダスダックの「共犯」となったのが、ドナルド・トランプ前米大統領だった。「中国ウイルス説」を唱えるトランプ政権がエコヘルス・アライアンスへの助成金を打ち切ると、メディアはダザックを陰謀論者たちの「犠牲者」として同情的に取り上げたのだ。

  シーカーは、2020年前半までにはその考え方に疑問を抱くようになっていた。そこで、通説のあら探しをしていた人々とのやり取りを始めた。 

その中で見つけた重要な情報が、カナダの起業家ユーリ・デイギンによる、オンラインプラットフォーム「メディウム」への投稿だ。デイギンはこの中で、石正麗が2月3日に科学誌ネイチャーで発表したウイルス「RaTG13」を取り上げていた。石正麗は論文の中で、新型コロナウイルスについての詳細な分析結果を紹介。新型コロナウイルスと遺伝子レベルで似ているウイルスとして、「RaTG13」(コウモリコロナウイルス)を挙げていた。

<検閲されて疑い強まる>

論文はRaTG13の起源については曖昧で、中国南部の雲南省に生息するコウモリから以前検出されたと述べるだけで、いつ・どこで発見されたのか具体的な言及はなかった。

 デイギンはこの論文に疑念を抱いた。新型コロナウイルスは、RaTG13あるいはその関連ウイルスを調べていて、遺伝子を混ぜ合わせたり、照合したりする作業の過程で生まれた可能性があるのではないかと考えた。デイギンの投稿内容は包括的で、説得力があった。シーカーはデイギンの説をレディットに投稿。

するとすぐに、彼のアカウントは永久凍結された。 この検閲の気配が、シーカーの好奇心とやる気を刺激した。ツイッター上にあるグループのアイデアをさらに読んでいくと、「この問題について活発に議論し、調査しているグループが見つかった」と、彼は本誌へのメールで述べた。

 この刺激的なグループを構成していたのは、起業家やエンジニア、それにロッサーナ・セグレトという米インスブルック大学の微生物学者もいた。彼らは互いに面識はなかったが、新型コロナウイルスの起源が動物という通説に疑問をもった点が共通していた。

 アジアのどこかに暮らしているという冗談好きのコーディネーターがグループの会話を管理していた。この人物はビリー・ボスティックソンという偽名を使っており、ツイッターのアイコンには、痛めつけられた研究用のサルの絵を使っている。

 <真相を明らかにする使命感>

まさにシーカーにぴったりのグループだった。「彼らの手助けを得て、詳しいことを学んでいった」と彼は言う。「いつの間にか、この謎にすっかり夢中になっていた」

彼を駆り立てたのは好奇心だけではなく、ひとりの市民としての責任感でもあった。「新型コロナウイルスは、数えきれない人の命を奪い、大勢の人の生活を破壊した。多くの謎も残しているのに、その追跡調査が行われていない。人類には答えを知る権利がある」

シーカーをはじめとするメンバーたちは徐々に、RaTG13がその「答え」の一部を解明する上での鍵を握っているのではないかと確信するようになった。

グループのスレッドでは、6人ほどの参加者がこの謎について活発な議論を展開。彼らはヒントを求めて、インターネットや武漢ウイルス研究所の過去の論文をくまなく調べた。彼らは世界中の人々が見られる形で、リアルタイムでデータを更新し、さまざまな仮説を検証し、互いの意見を修正し合い、幾つかの重要な指摘を行った。

RaTG13の遺伝子配列が、石正麗が何年も前に発表した論文に記されていた遺伝子コードの一部と完璧に一致した、というのもその一つだ。この遺伝子コードは、武漢ウイルス研究所が雲南省のコウモリから発見したウイルスのものだった。

<始祖ウイルス発見は2012年?>

DRASTICチームは、2つの論文に含まれる重要な詳細情報を過去の複数の報道と結びつけて、RaTG13は雲南省の墨江八二族自治県にある鉱山の坑道で発見されたウイルスだと断定した。ここでは2012年に、コウモリの糞を除去していた男性6人が肺炎を発症し、そのうち3人が死亡していた。DRASTICはこれが、ヒトが新型コロナウイルスの始祖ウイルス(おそらくRaTG13かそれに類似したウイルス)に感染した初めての症例だったのではないかと考えた。

石正麗は科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」に掲載されたプロフィールの中で、複数の鉱山労働者が死亡した墨江八二族自治県の鉱山について調査を行ったことを認めている。だが彼女はこの銅鉱山の一件とRaTG13を関連づけることは避けており(論文の中でも触れていない)、作業員たちは洞窟の中の「真菌(カビ)」が原因で死亡したと主張した。

 DRASTICの面々は納得しなかった。鉱山労働者を死に追いやったのは真菌ではなく、SARSウイルスに似たウイルスで、研究所は何らかの理由でそれを隠そうとしているのではないかと、彼らは考えた。だが、それは直感にすぎず、証明する手立てはなかった。

<2012年の鉱山労働者の死因を追え> 

だがネット情報を探るうちに、シーカーは中国の学術誌や論文を網羅した巨大なデータベース、CNKI(中国学術文献オンラインサービス)を見つけた。ここにある膨大な学術文献の中に、鉱山労働者の死に関連した情報が埋もれているかもしれない。

 彼はベッドの横のテーブルにチャイを用意し、携帯電話とノートパソコンで夜を徹して探索を続けた。問題の鉱山がある地域の名称(墨江ハニ族自治県)に思いつく限りの関連キーワードを付けて、グーグル翻訳で英語を簡体字の漢字に変換して検索をかけ、検索結果をまた英語に翻訳して目を通す。「墨江+肺炎」「墨江+武漢ウイルス研究所」「墨江+コウモリ」「墨江+SARS」という具合だ。

 1回の検索で何千もの結果が出て、雑誌、本、新聞、修士論文、博士論文などのデータベースが半ダース程も表示される。シーカーは来る夜も来る夜もそれらに目を通したが、有用な情報は得られなかった。精魂尽きるとチャイを飲み、アーケードゲームで気分転換して、また作業を続ける。

<大スクープに値する発見>

その宝物に出くわしたのは、あきらめかけた時だった。昆明医科大学の院生が2013年に提出した60ページに及ぶ修士論文だ。タイトルは「未知のウイルスによる6人の重症肺炎患者の分析」。患者1人1人の症状と治療の進展を事細かく述べた上で、執筆者は疑わしい「犯人」を挙げていた。「シナキクガシラコウモリ、あるいはその他のコウモリ由来のSARSのような(症状を引き起こすコロナウイルス)」の仕業だ、と。 

シーカーは淡々と、論文のタイトルとリンクをツイッターに投稿した。2020年5月18日のことだ。次に、中国疾病対策予防センターの博士研究員(ポスドク)が執筆した同じテーマの論文を調べると、内容の多くは最初の論文と一致していた。鉱山労働者のうち4人はSARSウイルスに似たウイルスの抗体検査で陽性だったこと、これらの検査結果は全て、武漢の研究所に報告されていたことも分かった(シーカーが2つの論文のリンクを貼った直後に、中国はCNKIのアクセス管理を変更し、彼が行なったような調査はできなくなった)。 

<主要メディアの無関心に呆れる> 

2012年にSARSウイルスに似たウイルスが見つかり、その事実が隠蔽され、武漢の研究所が問題の鉱山からさらにサンプルを採取して持ち帰るためにスタッフを派遣したのだとすれば、これは一大スクープだ。欧米の主要メディアはすぐさま飛びついて派手に報道するはずと思ったが、何週間も話題にすらならなかった。

イギリスではサンデー・タイムズが特集を組んだほか、少数のメディアが報道したが、米メディアは全く取り上げなかった。 

「メディアは大騒ぎになると思っていた」と、シーカーは本誌に打ち明けた。「事実や因果関係に対する関心のなさに、あきれるばかりだった。潤沢なリソースを持つ主要メディアが、調査報道で(アマチュア集団に)大幅な後れを取るなんて、さっぱり理解できない」

 DRASTICは数日のうちに、墨江ハニ族自治県にある鉱山の位置を突き止めたが、主要メディアがそのツイートに注目し、記者たちが我先に問題の坑口を目指し始めたのは、2020年も終わりに近づいてからだ。 

(後編に続く)

【私の論評】今やいかなる組織も、何らかの非合法な活動や隠蔽をすれば、オシントで合法的に素人に暴かれる(゚д゚)!

DRASTICチームの活躍は、現実とも思えないほど、素晴らしいものです。まるで、映画の世界の出来事のようなことにも思えます。でも、これは現実なのです。彼らの、気の遠くなるような根気と、そうしてそれを支えた飽くなき好奇心、探究心が今回の成果を生み出したといえます。

上の記事にもあるように、確かに彼らのチームは、研究所流出説を裏付ける決定的な証拠とは言えません。研究所が発生源ではない可能性も十分にあります。しかしDRASTICが集めた証拠は、検察官の言う「相当な理由」にはなります。つまり、研究所から出た可能性を疑い、本格的な捜査を行うに足る理由があることだけは間違いありません。

このような証拠が明るみにだされたからこそ、バイデン大統領も、再調査を指示せざるを得なくなったのでしょう。そうして、トランプ前大統領は、コロナウイルス研究所から流失したという事実を確かな筋から得られたと主張したことには、根拠があったのだと今更ながら思い知らされたような気がします。

トランプ前大統領としては、確かな筋から得られたとして、その情報源を明らかにしなかったのには、情報提供者を守るという意味があったのかもしれません。

最近は、ハッカー等がかなり脅威となっているためか、情報収集というと、ハッキングによるものというのが通り相場のようですが、実はDRASTIcチームのように、様々な公開情報を組み立てて、情報活動を行うという手法は昔からありました。それはオシントといわれるものです。

実は昔からスパイ活動のうち007のような派手な活動は、ほんの一部でスパイ活動の大部分は一見地味に見えるこのオシント(OSINT:open source inteligence 公開されている情報を情報源とする情報収集活動)によるものです。CIAもかつてのソ連のKGBの活動も大部分は、オシントです。ヒューミント(人を介して行う超包活動)はごく一部です。

ちなみに、ヒューミントは、Human Inteligenceの略ですし、シギントはSignals Inteligenceの略です。

スパイ活動には、オシント、シギント、ヒューミントの3つがある

そのオシントの例として、このブログでは以前、第二次世界大戦中に、新聞その他の公開情報から、たとえばドイツの高官がある町の結婚式に参加した等の情報を丹念につみあげていき、独ソ戦の開始日をあてた諜報員の例をあげたことがあります。

なぜドイツの将官がある町の結婚式に参加したことが、独ソ戦の開始日の予測に結びついたかといえば、当時のドイツとソ連の国境(現在のポーランド)に、ドイツ軍の機甲部隊が結集しているという情報があり、それに加えて、何か特殊なことが無い限り、その町に縁のないドイツの将官が来るはずもなく、しかも結婚式に参加という事態は普通なら起こり得ないことだったからです。

無論この二つの情報だけでは、独ソ戦の開始日など予測することなどできず、その他様々な公情報や、ヒューミントやシギントの情報も含めて、最終的に独ソ戦の開始日を予測したのです。その当時は、インターネットも、AIもなかったので、これを調べるためには、複数の諜報員がかなり時間をかけて、様々な膨大なソースからこれを割り出したのでしょう。

DRASTICチームの活動は、スパイ活動でいえば、冒頭の記事でもわかるように、大部分がオシントによるもののようです。

公開情報を収集する方法として、それを補助するツールが世の中には流通しています。DRASTICチームも当然このようなツールを用いていたと思います。

これらのツールの入手先については、以下のサイトをご覧になってください。


これらをいろいろい試してみれば、あなたもDRASTICチームのような探索ができるかもしれません。

さて、以下では具体的にこれらのツールを用いたOSINTのやり方の留意点など述べます。

・複数名で行うこと
一人で分析をすると、思い込みが強くなっていって、正しい結論を導けない可能性があります。複数名で分析することで、ディスカッションが生まれるようにします。この時、処遇評価を行える権限のある人(あるはそれに近い人)を参加させないように注意します。 
DRASTICチームは、まさに一人ではなく、複数の人間で行ったからこそ、成果をあげることができたものと思います。
・フレームワークを使うこと
思い込みをなくすために使いましょう。「知っていること」を整理するのと同時に、「知らないこと」は何であるかを明らかにしておきます。但し、フレームワークに定義できないものもあることを認識しておきましょう。そうしないと、無理やりフレームワークに収めて結論を誤ったり、情報を落とす可能性があります。検討状況はリアルタイムでわかるようにしたいですが、最終結論は急がないようにすべきです。フレームワークも、ネット上を探せば、様々なツールがあります。
・カウンターインテリジェンスに気を付けること
とうぜこのような活動には、攻撃者も陽動してきます。頭の片隅に、そのことも意識しながら分析しましょう。上級者向けのテクニックとして、Deception(おとり)をシステムに組み込んでおくのも良いです。うまくいくと、攻撃者のPlaybookから外すことができます。(例:hostsファイルにダミー用の情報を書いておく、とか)

・ Common情報に気を付けること

分析の過程で、公開プロクシのIPアドレスや枯れたマルウェアのハッシュ値だったり、そういったものが見つかります。それらはどの攻撃者(スキル高低問わず)も使いますので、それらを細かく調べても、特定の攻撃者にはたどり着けません。目を向けすぎないように注意しましょう。特徴となりえるものを探しましょう。

さて、長々とツール自体について、講釈をたれるつもりはありません、以上にようなことを掲載したのは、今の世界では、OSINTを実行するために、有用なツールがネット上にオープンソースで提供されているということを言いたかったからです。 

さて、このようなオシントを一躍有名したのが、べリングキャットです。

独立系オープンソース調査組織の「べリングキャット」は、OSINTの報道への応用を最初に実行した機関です。ブロガーのエリオット・ヒギンズは、イギリスのレスターにある彼のアパートのノートパソコンから、乳児の娘の世話をしながらシリアの戦争を取材して、波紋を呼びました。

2014年、彼はべリングキャットを設立し、今ではハーグにオフィスを構え、約十数人のスタッフを抱えるまでに成長しました。ヒギンズは、国際紛争やデジタルデータに関する特別な知識があるわけではなく、ビデオゲームで遊んでいた時間があったからこそ、どんな謎も解けるという考えが身についたといいます。

べリングキャットは2014年に ウクライナ東部上空で起きた マレーシア航空17便の墜落事故を調査したことで 一躍有名になりました。

当時 ベリングキャットは ボランティアのグループで主にSlackチャンネルを使って協力していました。墜落現場の写真とフェイスブックの更新情報をもとに、攻撃に使用された発射装置を特定し、ミサイルが発射される数日前にロシアからウクライナの反政府勢力の領土に移動されたと報告しのです。

昨年6月、オランダ主導の国際検察チームは、ロシアの軍事・諜報機関とつながりのある3人の男を襲撃事件で起訴しましたが、べリングキャットは今年、その裏話を詳述したポッドキャストを製作しました。

オランダ人映画監督のハンス・プールは、ベリングキャットの墜落事故の報道を見て、ベリングキャットのドキュメンタリーを作ろうと思い立った。プールのドキュメンタリー『Bellingcat: Truth in a Post-Truth World』は、国際エミー賞を受賞しました。


べリングキャットは、政府機関の一部でもなく、大企業から支援を受けるわけでもありません。市民がネット上で手に入れることができる情報をきっかけに真相に迫るその手法が、インテリジェンス(諜報(ちょうほう))の世界に新たな風を巻き起こしつつあります。

今回は、OSINTによるDRASTICチームの活躍により、今回は「研究所流出説」を甦らせました。今後、世界のいかなる政府、企業、いや、いかなる組織も都合の悪い情報を隠し仰せなくなる可能性が高いです。

今やいかなる個人も組織も、何らかの非合法な活動をしたり隠蔽をすれば、ネット上に必ず痕跡が残り、合法的な手段で、公開情報を丹念分析する、ヘリングキャットやDRASTICチームなどのような集団から暴露されることになるでしょう。

それは、無論中国共産党も例外ではないということを、今回DRASTICチームが証明してくれました。世界のあらゆる悪の個人、組織は覚悟すべきです。無論、いますぐということではないしょうが、特に世界に対して影響の大きい、不正行為や隠蔽は、いずれDRASTICチームのような素人のチームや、べリングキャットのような組織に暴かれることになります。

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2021年6月4日金曜日

外交部、日本からのワクチン提供に「心から感謝」―【私の論評】これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができた(゚д゚)!

外交部、日本からのワクチン提供に「心から感謝」


日本政府は3日、台湾にアストラゼネカ製ワクチン124万回分を提供し、台湾と共同で新型コロナウイルスに立ち向かう決意を示した。ワクチンはきょう(4日)午後、台湾に到着する。写真は成田空港でワクチンを載せた航空機に深々とお辞儀をする台北駐日経済文化代表処の謝長廷駐日代表。(台北駐日経済文化代表処より)


台日双方の緊密な交渉の末、日本政府が台湾にアストラゼネカ製ワクチン124万回分を提供し、台湾と共同で新型コロナウイルスに立ち向かう決意を示した。ワクチンはきょう(4日)午後、台湾に到着する。外交部(日本の外務省に相当)は同日、ニュースリリースを発表し、日本が適切なタイミングに支援の手を差し伸べてくれたことに「心から感謝する」と述べている。ニュースリリースの概要は以下のとおり。

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昨年、新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大して以来、わが国は医療物資をさまざまな国に無償提供し、国際社会から評価されてきた。最近、新たな感染拡大の波が世界を襲っている。日本政府は、台湾で感染拡大が深刻化していることを鑑み、また、日本の各方面から台湾支援の声が上がる中、日本国内の感染状況が依然厳しい段階にあるにも関わらず、ワクチンを提供することで台湾に協力する決定を下した。これは「人溺己溺(他人が溺れていることを自分が溺れていることとみなす。つまり、他人の苦しみをわが事ととらえる)」、「同舟共済(同じことにあたっている者たちが力を合わせて難局を乗り切ること)」の人道的精神を発揮し、台湾と日本の感染症対策での協力を強化するものだ。外交部は、わが国の政府および国民を代表し、日本政府および関係者に心から感謝申し上げる。

台湾と日本はもとより緊密な関係にあり、固い友情を築いてきた。災害や事故が発生するたびに互いに支援の手を差し伸べ、「雪中に炭を送る」という行動を繰り返し、長期にわたって支え合いの手本を他国に示してきた。このコロナ禍においても、台湾と日本は互いに、第三国に取り残された相手国民の救出に協力してきた。大型客船ダイヤモンドプリンセス号の台湾人乗客を帰国させるためのチャーター機の運航、あるいはペルー、インド、フィジーなどに取り残された人々の帰国など、さまざまなケースを台日双方の協力で無事解決してきた。今年5月に開催された世界保健機関(WHO)年次総会では、日本の菅義偉首相をはじめとする多くの政府高官が、台湾のWHO参加を支持する立場を表明した。これに加えて、このたび日本政府からワクチンの支援を受けられることは、わが国の感染症対策システムを強化し、国民の健康を守るために大きく役立つことだ。このことはまた、台湾と日本のパートナーシップが「患難真情(まさかのときの友こそ真の友)」であることを改めて証明した。日本の人々からの心温まる支援を、わが国の政府と国民は永遠に忘れないだろう。

台湾と日本は、自由や民主主義という普遍的価値を共有している。さまざまな側面において、双方は重要なパートナーであり、貴重な友人である。わが国は、この盤石な関係を基礎に、さらに双方の関係を深めていきたいと考えている。

【私の論評】これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができた(゚д゚)!

本日は、日本の無償提供ワクチン124万回分を載せた航空機が台湾到着しました。市民の感謝の声をメディアが一斉に報じています。蔡英文氏は6日前「困難な時代を支え合って共に切り抜けようという姿勢がこれまで以上に鮮明に。深い友情に心から感謝します」と発信していましたが、そのワクチンの到着が本日の天安門事件32周年と重なることになりました。なにやら、不思議なめぐり合わせを感じます。

新型コロナを長く抑えていた台湾では、5月中旬から一気に感染が広がり、累計感染者が約1万人に膨れ、ワクチン不足の課題が急浮上した。いち早く中国が台湾へのワクチン提供を申し入れたが、台湾当局は「中国のワクチンは怖くて使えない」とし、強く拒否する状況にありました。

中国は、こうした台湾の日米中で異なる対応の違いに強く反発している。外務省の汪文斌副報道局長は5月31日の記者会見で「我々は台湾の同胞のために(ワクチン提供などで)最善を尽くす意思を繰り返し表明してきた。だが(台湾与党の)民主進歩党が善意を踏みにじり、中国から台湾へのワクチン輸入を妨害している」と語りました。

その上で日本の台湾への支援については「新型コロナ対策を政治的なショーに利用しており、中国への内政干渉に断固反対する」などと批判しました。

台湾では域内のメーカーによる「国産」ワクチンの開発や、当局による調達努力が今なお続きました。ところが大量調達の確保には至っておらず、政権への批判も強まっています。

こうした状況に、蔡英文総統は5月26日、党内の会議で「(台湾当局のワクチン調達の動きに)中国が介入し、契約が進まず、今まで遅れている」と明かし、中国に対して強い不快感を示しています。

ただし、このブログにも以前掲載したように、台湾のコロナ感染症は、高橋洋一氏が「さざなみ」と評した日本の感染状況よりもさらに低く、現状でも欧米諸国に比較すれば、かなり感染は低い状態に抑えられています。そのため、感染の酷い地域から、ワクチンの接種を始めるという防疫上の観点からいっても、台湾の接種の遅れはさほどのものではないともいえます。

このような背景と、さらに中国の妨害があったので、若干遅れたというのが、実体であるとみるべきです。今後台湾は確実に感染症を抑え、いずれ収束に向かうと考えて良いでしょう。

台湾に対する英製薬大手アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの提供は、中国からの「横槍(よこやり)」を警戒しつつ、水面下で慎重に準備が進められてきた。ワクチンを共同購入して途上国に分配する国際的枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて台湾に供給する案も検討されたが、「時間がかかりすぎる」と判断。安倍晋三前首相ら自民党議員も動き、迅速な提供を実現しました。
5月24日夜、東京都港区の台北駐日経済文化代表処では、台湾の駐日大使に当たる謝長廷代表と米国のヤング駐日臨時代理大使の意見交換会(写真下)に薗浦健太郎元首相補佐官が招かれていました。


「日本はアストラゼネカ製のワクチンを公的接種では当面使わない。それを台湾に譲る動きもある」 薗浦氏はアストラゼネカ製の使い道を問われ、こう答えた。薗浦氏の発言にヤング氏も「グッドアイデアだ」と賛意を示しました。

日本はファイザーとモルデナで全国民分のワクチンをすでに確保済。アストラゼネカも1億回分確保していて、今日その一部を台湾に提供することになったのです。

 台湾は新型コロナウイルスの押さえ込みに成功してきたのですが、5月中旬から感染が拡大。与党関係者によると、日本政府にも5月の大型連休明け以降に、台湾側から複数のルートで「100万回分ほどワクチンが融通できないか」と打診が届いており、水面下での検討が進められていたといいます。

 薗浦氏は翌日、安倍氏に謝氏らとのやり取りを報告して協力を要請しました。2人は前政権で首相と、首相を支える首相補佐官や党総裁外交特別補佐として外交政策を担ってきた間柄でもあります。

安倍氏も「すぐにやろう」と応じました。 国有財産であるワクチンの譲渡は財務省の了解が必要となります。麻生太郎副総理兼財務相に報告した上で、菅義偉(すが・よしひで)首相のゴーサインを得ました。

園裏元安倍首相補佐官(左)と安倍首相(右)

関係省庁間の調整役には加藤勝信官房長官が当たりました。 外務省は当初、コバックスを通じた提供を検討しましたが、安倍氏らから「それでは時間がかかりすぎる」との声が上がりました。

台湾側からは「数量はともかく、スピード重視で対応してもらいたい」との意向が伝えられていたこともあり、コバックスではなく日台間の相互援助の一環として提供する方針に転換しました。 

日本が震災や新型コロナのマスク不足で困難に直面した際、台湾からは多額の義援金やマスクが届いた経緯があります。今回はその「返礼」としてワクチンが送られることになりました。提供に関わった議員は「災害など、困ったときには互いに助け合ってきた歴史がある。国民の理解も得られるだろう」と語りました。

日本のワクチン提供を伝える台湾主要紙

4日付の台湾各紙は、日本政府が台湾に新型コロナウイルスの英アストラゼネカ製のワクチンを提供することを「日本の124万回分が今日台湾到着」との見出しで1面トップに掲載し、日台の友情を改めて証明したと報じた。米国が国際枠組み「COVAX(コバックス)」を通じ、台湾を含むアジアに700万回分を提供することも伝えました。

自由時報は「日本は中国の脅しに直面しながら気概を示した」とたたえました。日本政府がアストラゼネカ製を特例承認したものの、国内では当面使わない方針を決めたことを受け、蔡英文総統ら政権幹部が台湾への提供に向けて日本側と交渉を続けたとしました。

今回のワクチン提供は5/24、駐日台湾代表の謝氏が日米代表と会談、翌日には頼清徳副総統、金美齢さん、そして安倍-岸ブラザ一ズで「早急に実現させなければ」という連携があった、とも報道されています。見事なチームプレーでした。

駐日台湾代表の謝氏は、ご自身のフェイスブックに「一年前の四月、私はこの場所で中華航空が台湾から運んできたマスクを迎えました。今日はこの同じ場所で、日本航空が台湾に運ぶワクチンを嬉しく見送りました。どちらも新型コロナウィルス対策の為のもので、とても温かな気持ちで一杯です」と投稿されています。

東日本大震災のときには、義援金が世界で一番高額であったことなども含めて、これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができました。

こうした動きは、人道的にも道義的にも高く評価できます。中国は「政治的利益を図っている」などと日本を批判していますが、ワクチン調達を妨害した中国こそ、政治的利益のために人命を軽視する本質が顕になったといえます。

最も難度の高かった台湾への支援を皮切りに、日本はこれから東南アジア諸国への「人道的ワクチン外交」を展開することになります。我が国日本は、アジアの大国だという自覚と責任を日本人は持つべきで、政府と国会、マスメディアはそれにふさわしい発信をすべきです。

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2021年6月3日木曜日

三原じゅん子副大臣の鋭い眼光が話題「尾身会長の後ろで怖い」「メンチ切ってる」「ガンつけすぎ」―【私の論評】三原じゅん子副大臣は意思決定に直接関わる人、尾身氏は助言者という事実が忘れ去られている(゚д゚)!

三原じゅん子副大臣の鋭い眼光が話題「尾身会長の後ろで怖い」「メンチ切ってる」「ガンつけすぎ」


 自民党の三原じゅん子厚生労働副大臣の“メンチ”がネット上で話題になっている。

  政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会尾身茂会長が2日の衆院厚生労働委員会に出席。五輪開催について「今の状況で普通はない」とした上で「そもそもこの五輪は一体何のためにやるのか、目的が明らかになっていない」と指摘した。

  3日放送のフジテレビ「バイキングMORE」でもこの話題について放送。コメンテーターで出演した時事通信社の山田惠資解説委員が尾身会長の横で見きれる三原氏について「怖い顔がSNS上で話題になっている」と言及した。

  ツイッターでは「ニュースで尾身会長が映る度に、横にいる三原じゅん子が気になりすぎる」「尾身さんの後ろで三原じゅん子が怖い」「メンチ切ってる」「ガンつけすぎ」の書き込みが散見。副大臣という立場から、尾身会長の会見を最も近いポジションで聞くために、その鋭い眼光に注目が集まっているのは事実のようだ。

  山田氏は番組で「三原さんが「(尾身会長の)横で怖い顔をしながら、うなずいてもいたという不思議な顔をされていた」と尾身氏の厳しい指摘に首を縦に振っていることに着目。しかしMCの坂上忍は「自分も映っちゃってるから、尾身さんの言うことにもうなずいたフリをしないといけないし、いろんな感情の中であそこに座っていたような気がします」と推測していた。

【私の論評】三原じゅん子副大臣は意思決定に直接関わる人、尾身氏は助言者という事実が忘れ去られている(゚д゚)!

本日は、意思決定論から、上の記事の内容を分析してみたいと思います。

これを考える上で、尾身会長と三原副大臣の立場の違いを考慮する必要があります。

尾身 茂氏は、日本の医師、医学者(地域医療・感染症・国際保健)、厚生官僚、国際公務員を歴任されました。学位は医学博士(自治医科大学大学院・1990年)。

独立行政法人地域医療機能推進機構理事長(初代)、世界保健機関西太平洋地域事務局名誉事務局長、自治医科大学名誉教授、現在は新型インフルエンザ等対策閣僚会議新型インフルエンザ等対策有識者会議会長兼新型コロナウイルス感染症対策分科会長です。

経歴としては申し分のない立派なものです。

一方の三原厚生副大臣は、選挙で選ばれた政治家であり、しかも閣僚でもあります。一方尾身会長は、選挙で選ばれたわけではありません。どのような手続きを経て選ばれるのかは、わかりませんが、政府の指名によるものです。

三原じゅん子氏は選挙で選出された議員であり、閣僚でもある

日本のコロナ政策に関しては、尾身会長は助言をする立場です。日本政府のコロナ政策が失敗したとしても、責任を取れる立場ではありません。一方の三原厚生大臣は、直接責任のある立場です。

仮に、日本のコロナ政策が大失敗したとすれば、まず責任を取るのは厚生大臣であり、その次は厚生副大臣です。責任が重ければ、次には閣僚になることはできないかもしれません。それどころか、次の選挙では、有権者が認めなければ議員にすらなることはできないかもしれません。

尾身会長も責任をとる形で、有識者会議の会長や感染症対策文科会長などをやめるかもしれませんが、それにしても、助言機関の長をやめるというだけで、過去の経歴に傷がつくわけでもありません。

閣僚などと比較すれば、責任の度合いは段違いに低いです。コロナ対策において直接の責任を担う閣僚などは、感染症だけではなく、IOCの出方、社会や経済のあり方、国際関係などもみながら、それも過去や現在だけではなく、将来のことも考慮にいれながら、最終的な意思決定をします。総合的な観点からマネジメントするために意思決定するのです。

現在や過去のことだけを考え、将来を無視するような意思決定であってはならないのです。

コロナ対策においても、最終意思決定は閣僚ならびに総理大臣が行うべきものです。尾身会長が行うべきは、感染症専門家の立場から助言を行うことです。選挙で選ばれていない専門家が、政府のコロナ対策を左右することはできないし、すべきでもありません。

尾身会長が、その一線を超えれば、それはすでに民主主義ではなくなります。無論、尾身会長自身は、そのようなことはしてないようではありますが、マスコミなどに発言を切り取られ、マスコミや野党の倒閣運動にうまく利用されているようではあります。

それにしても、今回の尾身会長の、五輪開催について「今の状況で普通はない」とした上で「そもそもこの五輪は一体何のためにやるのか、目的が明らかになっていない」との指摘はたとえ切り取りであったにしても異様です。

他のメディアによると、尾身氏の発言は「何のために開催するのか明確なストーリーと、リスクの最小化をパッケージで話さないと、一般の人は協力しようと思わない」と述べたとされています。

助言者という立場では少なくとも「今の状況では難しい」などとそのエビデンスを含めて発言すべきであり、「五輪の目的」などには言及すべきではありませんでした。責任のない人間がここまでの発言をすることは、決して許されることではありません。

このような発言を衆院厚生労働委員会で聴いていた、三原じゅん子氏の表情が固くなるのは当然です。このような発言が続くなら、政府としては尾身氏を解任せざるをえなくなるでしょう。

これは企業のことを考えれば、容易に理解できるでしょう。監査役や、相談役などの人間が、株主総会などの公の場で、たとえ感染症リスクのようなリスクがあったにせよ、多くの取引先の直接の利害もからむ会社が行う一大イベントに関して、「行う意味がわからない」「誰も協力しない」などと発言すれば、どうなるのか、考えてみればご理解いただけるものと思います。

ただし、政府としては、このような反対意見も十分に検討する機会を持ち総合的な観点から意思決定するのは当然のことです。

マネジメントの大家ドラッカー氏は意思決定について以下のように語っています。
意思決定についての文献のほとんどが事実を探せという。だが、成果をあげる決定を行う者は、事実からスタートすることなどできないことを知っている。誰もが意見からスタートする。(『経営者の条件』)
ドラッカー氏は、意思決定が正しいものと間違ったものからの選択であることは稀だと言います。せいぜいのところ、かなり正しいものとおそらく間違っているものからの選択なのです。はるかに多いのは、一方が他方よりもたぶん正しいだろうとさえいえないような2つの行動からの選択だといいます。

最初から事実を探すことを求めるのは好ましいことではないのです。なぜなら誰もがするように、すでに決めている結論を裏づける事実を探すだけになるからです。

見つけたい事実を探せない者はいないのです。 これは、野党などのやり方をみていればわかります。とにかく、倒閣のためには、疑惑でもなんでもないものを疑惑とするのですが、結局安倍政権も菅政権も倒閣できていないです。

意思決定も科学と同じように仮説が唯一の出発点です。われわれは仮説をどう扱うかを知っています。論ずべきものではなく、検証すべきものです。

これは事実と事実のぶつかり合いではなく、意見と意見とのぶつかり合いなのです。それぞれの意見がそれぞれの事実を見ています。それぞれの事実を現実としているのです。
初めに意見をもつことを奨励しなければならない。そして意見を表明する者に対しては、事実による検証を求めなければならない。仮説の有効性を検証するには、何を知らなければならないか、意見が有効であるためには事実はどうでなければならないかを問わなければならない。(『経営者の条件』)

 ドラッカー氏は意思決定に関して、以下のようなことも語っています。

マネジメントの行う意思決定は全会一致によってなしうるものではない。対立する意見が衝突し、異なる見解が対話し、いくつかの判断のなかから選択が行われて初めてなしうる。したがって意思決定における第一の原則は、意見の対立を見ないときには決定を行わないことである。(『エッセンシャル版マネジメント』)

20世紀最高の経営者GMのアルフレッド・スローンは、反対意見が出ない案については、検討不十分として結論を出させなかったといいます。

アルフレッド・スローン氏

意見の対立を促すには理由があります。一見もっともらしいが間違っている案や、不完全な案にだまされなくするためです。頭脳と感性を刺激し、すばらしい案を生み出すためです。

常に代案を手にするためでもあります。行なった意思決定が実行の段階で間違いであることや、不完全であることが明らかになったとき、途方に暮れたりしないためです。

そもそも戦略にかかわる問題については、ある案だけが正しく、ほかの案は間違っているなどと考えるべきではありません。そのようなことは、ありえないとすべきです。もちろん自分が正しく、他人が間違っていると考えてもならないです。なぜ意見が違うのかを常に考えなければならないです。

 明らかに間違った結論に達している者がいても、それは、なにか自分と違う現実を見、自分と違う問題に関心を持っているからに違いないと考えなければならない。(『マネジメント』)

ドラッカー氏の意思決定に関する主張からすれば、尾身氏がオリンピック開催に反対することは間違いではないと思います。 しかし、尾身氏が一つ間違えていることがあります。それは、尾身氏は助言者であって、意思決定者ではないということです。助言者は、意思決定権者に様々な情報を伝えるのが役目であり、いかなる意思決定にも関与すべきではありません。

上の意思決定の原則は、すべて最終意思決定者や最終意思決定に直接関わる人、すなわち意思決定に責任を持つ人達にあてはまることです。

助言者には当てはまりません。その助言者が、政府が推進する五輪に対して上記のような発言をしたということに驚きを隠すことができません。

菅総理の学術会議人事に対して反対する人々


最近では、学術会議の人事をめぐつて、人事の原則を無視したような、発言や行動が目立ち、今回は意思決定の原則から外れたような発言や行動がなされ、なにやら、日本社会の根幹のタガが外れてしまったのではないかと思えてなりません。

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2021年6月2日水曜日

ワクチン巡り問われている野党とメディアの存在意義 批判ありきで中身の議論なし―【私の論評】マスコミと野党は、経済・感染症等でもマクロ的な見方を養わないと存在意義を失う(゚д゚)!


立憲民主党の枝野代表

 新型コロナワクチンの接種が本格化している。ワクチンをめぐっては、野党からは当初、治験を含めて慎重な実施を求める声が主流だったが、いまになって日本の接種が遅れていると批判している。メディアも以前か危険性を強調する報道が多く、現状でも余った分の接種や予約の問題など重箱の隅をつつく報道が多い。こうした姿勢が公衆衛生や防疫に資するだろうか。

 一般論として、ワクチンは各種の疾病の抑制に効果が大きい。実施にあたっては副反応のリスクと効果のメリットのバランスを比較考量すべきだが、メリットが大きければワクチン使用の社会的な意義は十分にある。

 日本は1994年の予防接種法改正で、ワクチンはそれまでの義務接種から任意接種に変更された。その結果、日本は他の先進国と比較してワクチンを打たない「ワクチンギャップ」の国として批判されている。

 海外生活を経験した人なら分かるが、特に90年以降に生まれた日本人は国内でのワクチン接種が少ないので、海外生活する際、大量のワクチン接種が義務付けられる。こうしたワクチン政策の変更は、副反応を過度に強調したメディアの報道によるところも大きいと筆者は思っている。

 実は、リスクだけを過度に強調する報道はワクチンに限らない。原発や金融緩和政策などでも同じ傾向である。副作用のリスクを気にして、原発をやめるべきだ、金融緩和すべきではないと主張するが、やめた場合のリスクやコストも同時に考え、両者を比較考量しなければならない。副作用のリスクのみで政策を判断するのは間違いだ。

 一部野党は日本のワクチン接種が遅れていると言うが、それは日本が欧米などに比べてコロナの感染が少なかったゆえの結果であって、特に問題でない。

 また、立憲民主党の枝野幸男代表が「菅義偉首相はワクチン頼み」と批判したと報じられた。枝野氏は「ワクチン接種の重要性を前提に述べた上での発言」と釈明しているが、ワクチン接種による感染の抑制効果は定量的にもはっきりとしている。つまり、エビデンス(科学的根拠)があるのだから、それを活用しない手はない。

 一方で他国で普通にやっている行動制限については、前提となる憲法改正議論に乗らずに否定する。さらに、ワクチンの打ち手拡大で政府が超法規的措置をしたことについては、法律改正が必要だという。一部野党はこの種の法改正には規制緩和反対という立場で反対していたが、言うことと行動が矛盾していないだろうか。

 はっきり言って、ワクチンの議論にかぎらず、一部野党とメディアは、政府のやることにケチをつけるだけで、国民にとって建設的なことはまず言わないと思っていい。

 筆者のツイッターでの各種表現を巡っては、多方面にご迷惑をかけたことをおわびする。ただ、表現への批判ばかりで、内容についての議論がなかったことは残念だ。こうした点でも、一部野党とメディアの存在意義が問われているのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マスコミと野党は、経済・感染症等でもマクロ的な見方を養わないと存在意義を失う(゚д゚)!

そもそも野党とマスコミ、さらには現状の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の専門家たちも、公衆衛生への配慮が欠けているのではないでしょうか。

そもそ公衆衛生こうしゅうえいせい、英: public health)は、集団の健康の分析に基づく地域全体の健康への脅威を扱います。健康は多くの機関により、さまざまに定義されています。

疾病の実態調査の標準を設定・提供する国際連合の機関である世界保健機関 (WHO) は、健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない」と定義しています。

WHOは中国寄りであると批判されてりしてはいますが、この公衆衛生の定義はこれで良いのではないでしょうか。

公衆衛生は多くの分野からなりますが、典型的な区分としては疫学、生物統計学、医療制度があります。また、環境・社会・行動衛生、職業衛生(労働安全衛生)、食品衛生も重要な分野です。

世界保健機関は公衆衛生を「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」と定義している。

大学の教室の名称等で公衆衛生学と称される場合もあります。

臨床医学が個人水準で健康を扱うのに対して、公衆衛生は社会水準で健康を取り扱います。例えば、ゴミ収集・生活習慣病対策・伝染病(感染症)予防・公害対策・上水道・下水道・食品衛生など社会保障の基礎となる分野について研究します。

類義語に衛生学があります。衛生学は「生ヲ衛ル学」、すなわち人の命を守るための学問であり、具体的には人とそれを取り巻く環境を研究し、健康と長寿を保つ方法を明らかにして実践することにより、人類の健全な発展を図るものです。

東洋の古典「大学」の八条目に沿って考えますと、科学的根拠に基づいて正しい知識を獲得し(①格物②致知)、それをひとりひとりが日々誠実に実践して心身を健全に保つことにより(③誠意④正心⑤修身)、より良い社会を築くことを目指す(⑥斉家⑦治国⑧平天下)、ということになるかと思います。

以前このブログで、いわゆる感染症専門家といわれる人々にも疑問を感じる旨を掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
台湾、感染拡大止まらず 16日は207人 動揺広がる―【私の論評】感染者・死者数ともに他国と比較して少ない日台は、ワクチン接種でも常識的な動き(゚д゚)!


この記事は、5月16日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、台湾の感染者数が増えたということが当時いわれていたのですが、それでもワクチン接種が随分進んでいる米国よりも、感染者数がかなり少ないことを掲載しました。

日本も米国と比較すればかなり低いのですが、それでも台湾よりは多いです。この状況ですから、公衆衛生学的にいえば、米国のような感染者の多いところから、ワクチンを打ち始めるというのは当然であり、日本が台湾より接種が進んでいるのも当然だということを掲載しました。

しかし、このようなことは、冒頭の記事を書いている髙橋洋一氏を除き、語っている人は皆無です。そもそも、マスコミも野党も、コロナ感染者数の実数や、その時々の増減だけで、物事を語ったおり、結果として何を言いたいのかもわからないような状況になっていました。

それは、昨年コロナが流行りはじめたころからそうでした。その後、私自身は、感染者数だけでみていても何もわからないことに気が付き、当該国や当該都道府県の人口で感染者数を割って、感染率を出すということをはじめました。

それで、わかったのは、日本のコロナ感染者数は昨年のはじめから現在に至るまで、桁違いに少ないということでした。そのうち、公衆衛生学においては、国の感染症を見るには、 100万人あたりの感染者数を見るということを知り、その後はこの指標で感染者数や死者数を見るようにしました。また、そのようなデーターがネットで公表されていることも知り、それを見るようにしました。

医師で元厚労省医系技官の木村盛世氏(56)が先月10日、ツイッターで当時物議をかもしている内閣官房参与の高橋洋一氏の“さざ波”投稿に言及しました。

高橋氏は9日のツイッターで各国の新型コロナ感染者のグラフを掲載し「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿。これが大きな批判を浴びました。これがなぜあれほどの批判を浴びるのか、私自身は未だ理解できません。

これを受け木村氏は「高橋洋一さんが使用した、“さざ波”は私が使い始めたものです」と自身が使い始めたことを明かした上で「グラフは新たに新型コロナ感染症と診断された人であり、死亡者ではありません。氏のG7+インドのグラフみて、大波と言うのは無理があります」と主張しました。

また、高橋氏から「炎上している」と聞かされ驚いたといい「このグラフ見て、大波と言う人、いるのかしらん? 謎すぎる」と疑問の声を上げました。

私自身は、国単位では100万人あたりの感染者数や死者数の推移をみていたので、この"さざ波"という表現には何の違和感もいだきませんでした。しかし、実際に髙橋洋一氏はかなり批判を浴びて、結局内閣参与を辞められたのですが、髙橋洋一チャンネルでは、自らの主張を間違いと認めたのではない、ただ表現は確かに下品だったとしています。以下にその動画を掲載します。


このような状況もあったので、先程掲載した台湾に関する記事には、以下のような疑問を投げかけました。
最近は、テレビに顔を出す感染症専門家というのもあまりあてにならないと思えるようになってきました。無論、彼らもその分野においてはそれなりの専門家であることは間違いないのだと思います。

しかし、経済学においてはマクロ経済とミクロ経済があります。ミクロ経済学とマクロ経済学では見方が、全く違います。ミクロで正しいことが、マクロでは正しいとは必ずしもいえません。たとえば、家計と、日本経済は全く別ものです。これを同次元に扱うことは間違いです。

しかし、マスコミなどでは、これをないまぜにして論じて、国の借金国民一人当たり1000万円超などとして、不安を煽っています。

それと同じように、感染症学にも、ミクロとマクロの見方があり、現在テレビに出ている専門家は、ほとんどがミクロの専門家であり、当然のことながらマクロ的な見方ができず、それをマスコミに利用されているのではと思えるようになってきました。これに関しては、いずれまともな専門家自身の方に是非聴いてみたいです。

この疑問に関しては、専門家自身の方に聴く機会はありませんでしたが、この疑問に関しては、最近解消することができました。それは、高橋洋一チャンネルの以下の動画を視聴したからです。


この動画では、「社会的にマネジメンできれば良い」という発言が、7分20秒あたりにあります。7分48秒あたりには「パブリックヘルス」という発言があります。

この発言をみていて、先の疑問は解消しました。やはり、経済のように、マクロ的なミカタとミクロ的な見方があり、感染症においては、マクロ的な見方はパブリックヘルス的な見方であり、ざっくり言ってしまうと、感染症学・医学的見方は、ミクロ的な見方ということです。

結論を言うと、テレビには、感染症学、医学的な見方の人たちが、コメンテーターとして登場し、パブリックヘルス的な見方をする人はほとんど出なかったということです。

結果として、ワイドーショー視聴者などは、煽られっぱなしなってしまったのです。

本来ならば、テレビや新聞などのマスコミでは、パブリックヘルス的な見方をするひとたちも登場させるべきだったのです。

それにしても、経済においても、マスコミや野党の政治家などは、マクロ経済的な見方がわからず、いつも頓珍漢な報道や、政府批判をしていますが、コロナ禍についても、パプリックヘルス的な見方ができずに、頓珍漢なことはばかり語ったり報道しているようです。

本当に困ったものです、実際に治療にあたる医師や患者やその家族、あるいは一般の人たちは、感染症に関して、ミクロ的な見方しかできないのはある程度仕方ないと思います。とにかく、目の前の感染症に対して戦わなければならないからです。

しかし、政治家や報道機関などは、ミクロ的な見方だけではなく、マクロ的なパプリックヘルスの見方ができなければ、まともな論議になりません。ミクロ的な見方ばかりしていれば、パブリックヘルス的には、間違いということも生じるものと思います。

平成年間においては、そのほとんどの期間がデフレでしたが、それは日本の実体経済などはお構いなしに財務省は緊縮財政ばかり行い、日銀は金融引締ばかりやってきた結果です。そうして、マスコミや野党も、そうして与党も含めた多数の政治家、多くの識者もこれに異議を唱えるどころか、追随したために、日本は古今東西で一番長い間、デフレに悩まされることになったのです。

感染症においても、同じようなことが繰り返され、あまり必要とも思われない、「緊急事態宣言」が継続されてしまうという実態が発生してしまったといえるのではないかと思います。そうして、実際に実行されて、非常に筋が良い経済対策であることが認識された「GOTOキャンペーン」も中止されてしまいました。

髙橋氏によると、「GOTOキャンペーン」が実施されても、これによる移動は日本人全体の1%にしかあたらないとされているそうです。実際「GOTOキャンペーン」が実施されていたときに、これによりクラスターが多数発生したとされる記録はありません。

それにしても、経済でも感染症でも、いや安全保障や様々な対策でも、専門家的なミクロ的な見方はもちろん重要ではありますが、同時にマクロ的な見方もしないと、とんでもない不合理や非条理が発生することになりかねません。

高橋洋一氏のいうようの、感染症を限りなくゼロにすることは必ずしも、マクロ的な見方をすれば、正しいこととはいえません。感染症を限りなくゼロにするために、経済や社会が毀損され、自殺者が増えるなどの事態になれば、無意味です。

そのあたりのバランスをとりながら、コロナ対策を実行するのが、本来の政府の役割です。感染の専門家は、政府のように選挙によって選ばれた人達によって構成されているわけではありません。専門家は、責任をとることはできません。

責任が取れるのは政府です。だから、政府が最終的に政策を決めるべきなのです。政府は、そのことをもっと自覚して、コロナ禍対策を実行していくべきです。

それにしても、マスコミや野党は、マクロ的な見方を養わないと、これから存在意義が問われることになりそうです。まずは、直近の衆院選挙では、ボロ負けして、とんでもないことになりそうです。

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「コロナウイルスは武漢研究所で人工的に変造された」英研究者らが法医学的学術論文発表へ―【私の論評】もしこれが事実であれば、賠償問題が再燃するのは確実(゚д゚)!


2021年6月1日火曜日

「コロナウイルスは武漢研究所で人工的に変造された」英研究者らが法医学的学術論文発表へ―【私の論評】もしこれが事実であれば、賠償問題が再燃するのは確実(゚д゚)! 

「コロナウイルスは武漢研究所で人工的に変造された」英研究者らが法医学的学術論文発表へ 


「ウイルスは中国研究所で人工的に変造された」

新型コロナウイルスの武漢研究所流出説が再燃する中、英国の研究者らがウイルスが中国の同研究所で人工的に変造されたことを法医学的に突き止めたと、近刊の学術誌で論文を発表する。

  

英国の日刊紙デイリー・メイル電子版28日の特種報道で、近く発行される生物物理学の季刊誌Quarterly Review of Biophysics Discoveryに掲載される学術論文を事前に入手し「中国がコロナウイルスを造った」と伝えた。

論文の筆者は、ロンドンのセント・ジョージ大学で腫瘍学専科のアンガス・ダルグライシュ教授とノルウェーの製薬会社イミュノール社の会長で生物学者でもあるビルゲール・ソレンセン博士の二人で、研究の発端はイミュノール社で新型コロナウイルスのワクチンを開発するために、ウイルスを調べ始めたところ、ウイルスが人工的に改ざんされた痕跡(フィンガープリント)を発見したことだったという。

そこで二人は、武漢ウイルス研究所を疑って2002年から2019まで同研究所で行われた実験にかかわる研究論文やデータから、その根源を探る「レトロ・エンジニアリング」という手法で分析した。

その結果二人は、中国の研究者が、その中には米国の大学と協調して研究していた者もいたが、コロナウイルスを「製造する術」を手にしたらしいことが分かった。 彼らの研究のほとんどは、米国では禁止されている遺伝子操作で性質の異なるウイルスを作り出すことだった。

コウモリのウイルスを遺伝子操作で変造

二人は、中国の研究者が中国の洞窟で捕らえたコウモリからそのウイルスの「バックボーン」と呼ばれる部分を別のスパイクに接着させ、より致死性が高く感染力の強いウイルスを造ったと考える。

そのウイルスのスパイクからは4種のアミノ酸の列が見つかったが、こうした構造は自然界のウイルスには見られないことで、人工的なウイルスであることを裏付けるものだとソレンセン博士は言う。

コロナウイルスの発生源については、世界保健機関 (WHO)の調査団が中国で調査した結果「コウモリから別の生物を介してヒトに感染した可能性が高い」と報告し、中国のキャンペーンもあって自然界での変異説が有力視されてきた。

「軍事利用」が目的だったのか?

しかし、ここへきて武漢ウイルス研究所の研究員3人が2019年秋にコロナと似た症状で入院していたという米情報当局の情報がマスコミに流されたり、英国の情報部もウイルスが武漢研究所から流出したものと判断したと伝えられ「研究所流出原説」が再燃。バイデン米大統領も26日コロナウイルスの発生源再調査を命じ、90日以内に報告するよう求めた。

 そうしたタイミングで出てきた今回の研究論文は、単なる噂話ではなくウイルスを法医学的に分析した学術研究なので説得力があり、今後このウイルス変造が「軍事利用」を目的としていたのかどうかなどの論議に火をつけることになりそうだ。

【私の論評】もしこれが事実であれば、賠償問題が再燃するのは確実(゚д゚)!

北京大学教授で、復旦大学の主任研究員兼新政治経済センターの学術委員会の議長でもある陳平氏が、中国が2020年の「生物戦争」でアメリカを打ち負かしたのだと誇らしげに主張しているとされています。その動画を以下に掲載します。


陳平氏は、「2020年、中国は貿易戦争、科学技術戦争に勝利しただけでなく、特に生物戦にも勝利した。これは前例のない、画期的な歴史的なものだ。したがって、中国国内にいるリベラル系でアメリカを素晴らしいと持ち上げる者たちの盲信ぶりには実際には根拠がない。この貿易戦争と生物戦争に米国は敗北を喫して元の形に戻った」と語りました。

「元の形に戻った」の意味は、激しい対中政策を打ち出したトランプ政権を1期で引きずり下ろして、アメリカを従来姿勢に戻すことができたという意味ではないかと考えられます。

これを裏付けるように陳平氏は、「トランプ氏の4年間に渡る国際的地位の低下からアメリカを取り戻す試みは失敗したと思う。この失敗は、トランプ氏個人が大統領に再選できなかったというだけでなく、アメリカとイギリスが主導してきた過去40年間のネオリベラリズム主導のグローバリズムの行き詰まりでもある。

したがって、アメリカとヨーロッパの開発・近代化モデルは、中国が真似して繰り返すに値しない」、「西洋のモデルは失敗し、500年にわたる海洋国家による文明は崩れる運命にあり、中国共産党が勝利をおさめ、2020年のコロナウイルスの世界的な大流行後の新時代の文明進化の道をリードするのだ」とも述べています。

今回のコロナウイルスは中国が世界を征するための生物兵器として開発し、それによって中国を邪魔しようとするトランプ政権を押しつぶし、西洋との戦いに勝利したのだと、陳平氏ははっきりと述べているのです。

こうした話は従来は根拠のない単なる「陰謀論」だと片付けられてきましたが、陳平氏の話、ならびに上記の法医学的学術論文そうではなかったかもしれない可能性がでてきたといえます。

ただ、上の動画だけで、早急に結論は出せないと思います。生物戦に勝利の話は、疫病蔓延という問題対処を生物戦にたとえ、それを制圧する力では、多数の死者を出した米国に比べて勝っているという意味かもしれませんし、あるいは今回のコロナパンデミックは米国の研究室でつくられた生物兵器による生物戦の結果であることを前提として、このアメリカが始めた戦いに勝利したという意味として取るべきかもしれません。

ただ、前後関係がわからないので、どの内容で取ればいいのかは確定できないです。

ただ、以前からバイオ兵器の脅威については語られてきました。

「9.11」米同時多発攻撃の発生後、炭疽菌入りの郵便物が送付され5人の死者を出す事件がありましたが、これ以外には、近年では生物兵器による攻撃が本格的に試みられた例はほとんどありません。

主要国は1970年代に生物兵器の研究を縮小してしまいました。毒性は強いものの脆弱なバクテリアやウィルスを生かしたまま爆弾やミサイルで投下する、あるいは単に散布することが困難だったからです。

アルカイダやイスラム国(IS)のような過激派組織は、もっぱら、テクノロジー面では対極の方向に向かっており、フランスのニースやドイツのベルリンなどで、乗用車やトラックを使って歩行者を攻撃するという、原始的ではあるが残虐な戦術に転じていました。

大半の科学者やセキュリティー専門家は生物兵器のリスクは比較的低いままだとみていますが、その状況は変化するかもしれないです。

基本的な遺伝子工学技術の普及によって小規模で低コストのものが自宅でも使えるかもしれないからです。2016年にはすでに、米航空宇宙局(NASA)に勤務していた生物工学の専門家が開発した遺伝子編集キット(写真下)が売り出されています。メルカリでも購入可能です。

DIY Bacterial Gene Engineering CRISPR Kit

犯罪者たちが、3Dプリンターで拳銃を作るように、遺伝子編集キットにより、バクテリアやウィルスのDNAに手を加えて、はるかに致死性が高く、治療困難なものに作り変えることが可能な時代なのです。

生物学や遺伝学研究に対する規制は、国によって非常に異なっています。しかし、そのような手法による兵器製造は、1975年の生物兵器禁止条約によって、ほぼ違法とされています。

ところが一部の専門家は、近年の技術的進歩によって、より効果的で致死性の高い新たな病原体を設計することが容易になっているのではないかと懸念しています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は2017年2月に、こうした兵器を使った紛争により、核戦争よりも多くの死者が出る可能性があると警告していました。

科学者が最初にヒトゲノムの配列を確定したのは2003年ですが、これには膨大な労力と費用がかかりました。現在ではコンピューターの能力向上により、この種のテクノロジー(個々の人間、動物、植物、病原体のDNAにおける差異の分析)のコストは年々急速に低下しています。

まだ意見は分かれているものの、科学者の一部からは、基本的な遺伝子工学手法が普及するにつれて、特定個人のDNAや、下手をすると民族集団全体を標的にするような高度な新兵器を創り出すことが容易になるかもしれないという考えが提起されています。

ジョセフ・リーバーマン米上院議員は、「9.11」以前から生物兵器による攻撃への警戒を呼びかけており、米国がこれを回避できているのは「まったくの幸運」であったと述べています。同上院議員は2017年3月、ドナルド・トランプ大統領(当時)と連邦議会に対し、生物兵器に対する防御を国家的な優先課題にするよう求めました。

米中央情報局(CIA)の元職員ロルフ・モワトラーセン氏は、2010年の論文のなかで、アルカイダが核兵器入手と同じレベルの優先課題として生物兵器の獲得を求めていた状況を紹介しています。アルカイダはいずれも果たせず、代わりに従来型攻撃に注力することになりました。

米国陸軍士官学校の対テロ戦闘センターによる2016年の報告書では、ISも生物兵器獲得に熱心だと結論付けました。ISはモスルをめぐる戦闘などで原始的化学兵器を使用していいました。ただし、それによって大きな犠牲を与えることには失敗していました。

意図的な攻撃がないとしても、大規模なパンデミック(感染症流行)の脅威は現実的です。

米疾病管理予防センター(CDCP)や世界保健機構などの組織は、常に大流行の兆候への警戒を怠らないように勤めていました。しかし、ご存知のように、CDCは初期の失敗により、米国は今回のコロナウイルスで甚大に被害を被ってしまいました。

科学者らが数十年にわたって警告を続けているように、人類は、1世紀前に推定5000万人─1億人の死者を出したスペイン風邪(インフルエンザ)と同等規模の深刻なパンデミックのリスクを抱えていたのです。

そうして、そのリスクは、昨年のコロナウイルスのパンデミックで現実のものとなったのです。

現代社会は、感染症対策をたくさん用意してはいますが、弱点もあります。航空機を使った移動により、感染症が以前よりも急速に拡大しやすくなっているからです。

米陸軍士官学校の報告書によれば、IS構成員から2014年に押収されたラップトップに保存された文書では、動物から抽出した腺ペスト菌を培養・使用する方法が検証されていたといいます。ただしこの報告書は結論として、他の武装グループ同様、ISが生物兵器を使って多数の犠牲者を生むような攻撃を仕掛ける能力を獲得する可能性は「非常に低い」と述べていました。

2014年の西アフリカ地域におけるエボラ熱流行するなかで、ISなどの過激派組織がこの状況を利用するのではないかと欧米諸国の当局者は案じていました。米陸軍士官学校の報告書によれば、特に、ISが感染者を確保し、他の地域にエボラ熱を拡散させるために利用するのではないかという懸念があったというのです。

しかし実際には、こうした手法が用いられたとしても、その効果は限定的でしょう。感染者は必ず発症するでしょうし、そうすれば比較的迅速にエボラ熱患者として特定できます。大流行における他の例と同じように、感染抑制措置によって、患者は管理下に置かれることになります。

それでも、単純な攻撃が功を奏する可能性はあります。

1984年、インドの神秘思想家バグワン・シュリ・ラジニーシ氏が主宰する宗教団体が、10店舗のサラダバーでサルモネラ菌を散布したことにより、オレゴン州を中心に751人が食中毒を起こし、45人が入院しました。

死者は出なかったものの、依然として、最近の米国史における最大規模のバイオ攻撃です。首謀者たちが一時検討していたように、腸チフス菌を使っていたら、死者が出ていても不思議はありませんでした。

1995年に東京で13人が犠牲となった地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は、民間集団による最も高度な生物兵器プログラムを有していたと一般に考えられています。ところが、オウム真理教による炭疽菌などの病原体による攻撃は成功しませんでした。それが化学兵器に重点を切り替えた大きな理由の1つです。

未だ記憶に生々しい地下鉄サリン事件

何よりも危険なのは、専門知識を有する少数の人間のうちの誰かが、単独攻撃を決意することかもしれません。2011年後半に政府などの機関に炭疽菌入り封筒が送付される事件の発生以来、連邦捜査局(FBI)は、米陸軍に所属する微生物学者ブルース・アイビンスの単独犯行であると結論づけました。

アイビンスは2008年、予定されていた逮捕の直前に自殺しました。後に科学者らによる調査委員会は、アイビンスの犯行であるとしたFBIの証拠に疑問を投げかけています。

他にも危険はあります。北朝鮮の金正恩体制が崩壊する場合、天然痘菌を含む可能性のある生物兵器を同国政府が放出するのではないか、と一部で懸念されています。

第1次世界大戦では化学兵器が、第2次世界大戦では原子爆弾が登場しました。一部の専門家は長年にわたって、時代を特徴付ける次の大戦では生物兵器が使われるのではないかと警告し続けています。

私自身は、中国の武漢ウィルス研究所ではやはり、バイオ兵器の一環として、自然界のコロナウイルスを分離し作り変え、将来兵器にしようとしていたのでしょうが、それが研究員の感染によって漏れてしまったというのが、真相ではないかと思います。

そうなると、様々な事柄に納得がいくような気がします。たとえば、日本をはじめアジアでは被害が少なかったこと、中国が感染初期に隠蔽をはかったこと、イタリア、スペイン、米国などでは被害が多かったこともある程度納得がいきます。

もしこれが事実であれば、コロナ被害による賠償問題が再び再燃するのではないかと思います。中国としては、賠償問題に応じることはないでしょうが、世界中の国々が中国の資産をおさえるなどのことも考えられます。そうなると中国はかなり厳しい状況に追い込まれることになるかもしれません。

真相の究明がなされることを切に願います。

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