経済産業省と東京電力は電力の需給が非常に厳しくなるとして22日、東京電力の管内で朝早くから不要な照明を消し、暖房の設定温度を20度にするなど節電に協力するよう呼びかけました。
こうした中、関東地方では22日、低気圧と寒気の影響で気温が下がり、雪や雨が降る見込みで、暖房需要が増える可能性があります。
午前6時から7時にかけての供給力に対する電力使用の割合は97%に達する見通しで、経済産業省と東京電力は電力の需給が非常に厳しくなるとして、22日に東京電力の管内で節電に協力するよう呼びかけました。
具体的には、22日の朝早くから家庭や職場などで不要な電気や暖房を消すこと、暖房の設定温度を20度にすること、テレビを見る際には画面の明るさの設定を変えること、などとしています。
東京電力は22日に火力発電所の出力を最大限引き上げるほか、企業などに対しも工場の稼働時間をずらすなどの対策を呼びかけています。ただ、想定される電力需要に対して供給力が十分確保できない見通しだとして「停電を回避するために節電へのご協力をお願いしたい」としています。
事故から10年が経過した2021年3月時点で地元の同意を得て再稼働した原発は大飯(関西電力)、高浜(関西電力)、玄海(九州電力)、川内(九州電力)、伊方(四国電力)の5発電所の9基のみです。西日本エリアに集中しており、いずれも事故を起こした「沸騰水型」の福島第1原発とはタイプが異なる「加圧水型」です。一方、東日本大震災以降に廃炉が決定した原発は21基に上る。
2020年11月、宮城県の村井嘉浩知事が女川原発2号機(東北電力)の再稼働への同意を表明しました。女川原発は、震災で屋外重油タンクが倒壊、冷却系が浸水するなどの被害があり、さらに、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉であるため、地元住民からは慎重な意見も根強いです。一方で、発電所の稼働は地元に雇用を創出し、自治体に核燃料税、固定資産税などの収入増も期待されることから、「最後まで悩んだ」上での受け入れ表明でした。
一方、柏崎刈羽原発(東京電力)では、2020年3月以降、外部からの侵入を検知できない状態が続いていました。原子力規制委員会は21年3月16日、「核物質防護上、重大な事態になり得る状況にあった」として、4段階評価のうち最も深刻なレベルと判断しました。同原発では、20年9月に、他人のIDカードで中央制御室に入室する事案が発生するなど不祥事が相次いでいます。東電は、収益改善の柱として柏崎刈羽に再稼働を目指してきたが、度重なる不祥事で、地元同意は遠のきました。
賛成は38%(21年2月調査は32%)、反対は47%(同53%)でした。16年7月から調査方法を変更しており、単純には比べられませんが、同じ質問をしてきた13年6月の調査以降、初めて反対が半数を割り込みました。最近の5回の調査を中心に、どのような変化があったのか詳しく見てみます。
再稼働に反対と答えた人の割合が最も多かったのは18年2月の調査で、61%です。
この調査から今回までの全体結果をみると、反対は18年が61%で、19年、20年は共に56%、21年は53%でした。徐々に反対の割合は減っています。ちなみに17年以前の調査では、反対が53~59%の間を行ったり来たりしていました。
次に、賛成です。18年は27%で、19年は32%となりますが、翌20年は29%に下がり、21年は32%に戻っていました。17年以前の調査では、賛成が25%まで落ちることもありましたが、基本的に3割前後でした。
このように、全体としては反対が賛成を上回るものの、18年以降は賛否の差が縮まる傾向にあります。
国際原子力機関(IAEA)は20日、ウクライナ側からの報告として、ロシア軍が2月24日のウクライナ侵攻直後に制圧した北部チェルノブイリ原発で勤務を続けてきた職員の約半数が4日ぶりに交代し帰宅できたと発表しました。
同原発では、ロシア軍の制圧後もウクライナ人の職員が作業を継続していたという。ウクライナ規制当局は他のウクライナ人職員との交代を確認したが、どのようにして交代が行われたのかなど詳細は不明です。
原発には、発電所を建てること以外にも、万が一の事故にそなえて費用を用意しておくこと、発電後に残る「核のゴミ」とも呼ばれる高レベル放射性廃棄物の処分にかかる費用、安全対策費用など、さまざまなコストがかかることは事実です。
海外では、当初予定していた建設費用が超過してしまったケースもあります。ただ、海外のこのようなケースでは、建設された実績があまり存在しない新型の原子炉であることや、長期間にわたって建設がされていない国で、ノウハウが失われていることなどが大きな要因で、これが日本にそのまま当てはまるものではありません。
東日本大震災発生後の2015年におこなったコスト計算では、そうしたさまざまなコストをすべて盛り込んだ上で、キロワットアワー当たり10.1円以上という数値を出しています。そうしたさまざまなコストを見込んでも、原発は、他の電源よりもなお安いという結果になっています。この時のコスト計算では、石炭火力発電はキロワットアワー当たり12.3円、太陽光発電(メガ)はキロワットアワー当たり24.2円という計算になりました。エネルギー価格が上昇しつつある現在はさらに、割安感がでてくるでしょう。
原発は危険であることは確かですが、「エネルギーが安定的に供給されない」という状況もまた、人の命や暮らしを守る上で無視できないリスクをはらんでいます。
もし、ある日突然、電気が止まってしまったらどうなるでしょう。電気で動く医療機器によって命を支えている人、信号のある交差点で横断歩道を渡ろうとしている子どもたち、雪の降る寒い夜に暖房をつけているおじいさんやおばあさん…。電気が止まってしまうことによって起こりかねない命のリスクは、ちょっと想像してみるだけでも、私たちの日常の中にいくつも存在しています。
そうしたことを考えあわせれば、「滅多に起こらないことだから」と、電気が止まってしまうリスクを許容するのは、なかなか難しいことだと感じられます。
私は、札幌に住んでいますから、平成30年の北海道胆振東部地震に伴う 大規模停電を経験しています。近くのコンビニで入店制限をされながら、買い物をしたり、大手スーパーが営業を停止したりしていたのをはっきり覚えています。札幌のわたしが居住している地域2日くらい復旧したのですが、「エレベータの停止」「断水」「真っ暗闇でのランタン生活」など、いろいろありましたが、改めて仮に真冬に停電が続いたらどうなるかと考え、停電時の防寒についても考えさせられました。
さらに、将来にわたって持続的な社会をいとなむためには、気候変動の問題を無視するわけにはいきません。CO2を多く排出するままでは、将来の世代が気候変動による悪い影響を受けることになります。私たちの子どもや孫、もっと将来の世代まで、安心できる豊かな暮らしを守っていくためには、気候変動対策にもしっかり取り組まなくてはなりません。
命や暮らしを大切に思えばこそ、「安定的に」「安いコストで」「環境に負荷をかけず」「安全に」電力を供給するという、「3E+S」を追求することが重要になります。その一環で、子力規制委員会によって安全性が確認された原発にかぎり、再稼働していくことに私は賛成です。
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