強欲が「世界」を崩壊 デフレ日本はどうなる 消費税10%以上相当の富を喪失(サンケイMSニュース)
ニューヨークの金融街を舞台にしたオリバー・ストーン監督の映画『ウォール・ストリート~カネは決して眠らない』で主人公、ゴードン・ゲッコーはインサイダー取引罪による服役8年を終え、娑婆(しゃば)に復帰する。市場での金融商品の氾濫(はんらん)ぶりにあきれ、「強欲が合法化されたのだ」と喝破した。が、現実のドラマは次へと進む。金融バブル崩壊から2年余りの今、「強欲」が世界を壊し始めたのだ。デフレ日本はどうなるだろうか。
■迫るインフレの津波
昨年から高騰を続けている原油、穀物など国際商品の高騰は実際のモノの需要・供給関係とはほとんど関係がない。カネがなせるわざである。本欄2月13日付で述べたように、金融機関救済のために米連邦準備制度理事会(FRB)が垂れ流すドルは金融機関の投機資金と化して穀物や原油市場になだれ込み、相場をつりあげる。食料高騰の波を世界で真っ先に受けた中東・北アフリカで民衆が蜂起したが、独裁者に封じ込められていたイスラム諸勢力がパンドラの箱から飛び出した。インフレの大津波が押し寄せる共産党独裁の中国も内部で動揺が広がっている。
■攻勢強める投機勢力
商品相場を支配するのはウォール街やロンドン・シティ、スイス・チューリヒなど国際金融センターに巣くう大手金融グループである。英国の金融グループ、バークレイ・キャピタルによれば、これら投資ファンドによる商品投資残高は2009年から急増しており、11年は前年比で900億ドル増え、4200億ドルに達する見通しだ。
商品市場の規模は商品指数先物で2千億ドル程度、原油が千数百億ドル程度で、穀物、金属など商品すべてを合計しても、株式や債券市場規模の1%にも満たないのだから、投資ファンドの手でいとも簡単に相場が跳ね上がり、荒稼ぎできる。
ゴールドマン・サックス、J・P・モルガン・チェース、シティバンク、クレディ・スイスなどは、先物、スワップなど商品相場の変動を一種の保険商品にした金融派生商品(デリバティブ)取引を手がける。米金融監督機関(OCC)の報告では、穀物相場が再び急騰し始めた10年第3四半期の商品関係のデリバティブの収益は連結ベースで13億1200万ドル(約1100億円)と前期の5億2800万ドル(約440億円)の2・5倍に上った。デリバティブの大半は不透明で、金融資本や投資ファンドの仲間同士の相対で取引される。米商品先物取引委員会(CFTC)など各国監視当局は規制強化を試みるが、金融資本の反対を受けて頓挫している。先のパリでの先進国・新興国20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも監視強化の結論は出なかった。投機勢力はますます攻勢を強めるだろう。
日本でもすでにガソリンや小麦などが値上がりし始めている。そこで物価が下がり続けるデフレが一転してインフレになるとの警戒論が政府や日銀内部にあるが、事態はそれほど単純ではない。日本全体が貧しくなり、経済のパイが小さくなるのだ。
グラフは日米独3カ国の輸入と輸出の単価の推移である。08年前半にも余剰マネーが商品価格を高騰させ、どの国も輸入コストが急上昇した。値上がり分の富が輸出国に流出するのだが、ならばコスト上昇分を輸出価格に上乗せすれば取り返せる。ドイツはしっかりと輸出単価を引き上げ、奪われた所得を取り返している。米国も輸入コスト上昇後の1年以内には輸出と輸入の単価変動幅をバランスさせている。
■日本は輸出価格上げよ
日本はその点、とられっぱなしである。輸入コストが米独よりはるかに大きく増えたにもかかわらず、輸出価格はわずかに引き上がったあと横ばいで、最近の原材料輸入価格上昇に際しても、輸出品値上げに踏み切っていない。輸出、輸入の総額と単価をもとに計算すると、08年、日本は二十数兆円、消費税に換算して約10%相当の富を失ったことになる。今回は、このまま価格高騰が続けば08年をはるかにしのぐ所得が失われよう。
具体的に言えば、家電や自動車業界などは原材料コストが上がっても製品輸出価格を抑える。コスト上昇分は賃金や雇用のカット、下請けや中小・零細企業への発注単価の切り下げで対応する。この結果、家計の所得はさらに減り、消費が縮む。見かけ上、物価が上がり不況が深刻化する「スタグフレーション」に陥る。新卒者の就職がますます難しくなるだろう。
経済に疎い菅内閣は家計を追い込む消費税増税で自民党を抱き込むしか頭にない。野党側も景気対策よりも政局優先だ。商品高騰は対岸の火事ではない。国会は緊急事態との危機感に目覚めよ。
【私の論評】バカも休み休みいえ!!そんなんで、日本は救われない!!
この新聞記事の記者、もっともらしいことを書いていますが、ほんとうに勉強不足ですね。この種の出鱈目嘘八百記事、もういい加減にやめてもらいたいです。上の記事の冒頭には、映画の記載もされていますが、この記事を書いた記者は、映画のような仮想現実に浸ってこの記事を書いていることは明らかです。映画は、映画であって現実ではありません。
では、上の記事の内容の間違いや、不勉強をことごとく看破していきましょう。
まず食料品の値上げで、小麦がどうのこうのと語っていますが、小麦、米などの日本国内における価格は世界と比較するとどういう事になっているのかこの記者は理解しているのでしょうか?正確な数字では、覚えていないのは、世界水準から比較すると、馬鹿高いことは皆さんご存じたと思います。
こうした消費者価格によって、日本では、日本の農家を守ってきたといういきさつがあります。これが、日本以外の国が、補助金を使って守ってきたのとは随分違います。日本以外の他の国では、穀物相場があがれば、もろに影響をうけますが、日本はどうでしょうか?穀物相場が変わったとしても、さほど影響を受けないでしょうね。もともと、高いんですから。私自身は、反対ですが、TPPに加入したとしても、たとえ穀物相場がかなりあがったとしたとしても、日本に入ってくる小麦などの従来の水準からすれば、国内価格は随分安いということになります。それに、日本は、いわゆるカロリーベースで考えた自給率(世界でも稀な統計の取り方で、日本以外で採用しているのは韓国くらい)は低いですが、その他の農産物の自給率はかなり高いです。皆さん、日々食べている、人参や、玉葱はどこの産物ですか?ほとんど国内産ですね。
次に、原油はどうでしょうか、確かに投機筋が動けば一時的に、値上がりはするかもしれませんが、それも、一時的なことであり、そんなに長引くということは、考えにくいです。たとえは、2007年当時には、バイオエタノールによって、穀物相場があがるとして、大騒ぎなったことがありますが、あれは、どうなりましたか。私は、あの当時このブログにその話題を掲載して、これもあまり続かないだろうということを掲載しましたが、そのとおりになりました。いまでは、そのことすら忘れている人も多いのではないかと思います。それだけ、投機筋だけが頑張ったとしても、人為的高価格を維持することは難しいということです。
その後も、小麦の価格の上昇や、原油価格の上昇がありましたが、それもすぐに終息しています。大騒ぎするには値いしないと思います。
それにゴールドマン・サックス、J・P・モルガン・チェース、シティバンク、クレディ・スイスなどは、先物、スワップなど商品相場の変動を一種の保険商品にした金融派生商品(デリバティブ)取引を手がけるなどとして脅威をあおっていますが、投資家しかも機関投資家ってそんなにバカなんですかね。つい最近、サブ・プライムローンで、失敗したばかりです。これらの金融バカどもが、いくらあおっても、そんなに簡単にダマされる投資家も、投機家も存在しないのではないかと思います。かれらからすれば、「ああまたかい」くらいのモノだと思います。まあ、少数の愚かな金融バカ、賭博師がひっかかって、若干あがることはあっても、これから恒常的にあがり続けることなどほとんど考えられません。
最近では、あのサブプライム・ローンよりも、もっと低劣なCO2排出権取引も低調で、やはり、まともな投資家、投機家は相手にしていないということがわかります。
それに、国単位でも、あのギリシャの財政問題は、何も金融危機以降に始まったわけではなく、ギリシャ政府は長年にわたって統計をごまかして財政赤字の実際の大きさをEUの本部に隠していました。しかもその隠蔽工作にアメリカの金融機関が加担していました。
たとえば、投資銀行であるゴールドマン・サックスやJPモルガンは、金融デリバティブを使って、ギリシャの国家歳入を一時的に増やすという巧妙な技を提供してきました。これは、ギリシャ政府に対する事実上のローンなのですが、デリバティブの一種である為替スワップや金利スワップを使うと、その取引を「為替上の取引」や「売り上げ」と扱うことができ、財政のバランスシートの「債務面」に記載する必要はなかったのです。そのため、外部の人間にはギリシャ政府の財政赤字の実態が見えにくくなっていました。
しかし、その後、あの愚かなギリシャ政府ですら、アメリカの金融バカの手口にはのらなくなりました。ギリシャの深刻な財政危機が明るみに出る以前の2009年11月に、ゴールドマン・サックスからの一団がギリシャ政府を訪ね、歳出項目のうち医療関連費を将来に先送りするためのデリバティブ商品を販売しようとしました。しかし、この時ばかりはギリシャ政府も「うまい話」に乗りませんでした。この記者は、世界の投資家や、投機家が愚かなギリシャ政府よりもさらに、馬鹿だとでもいうのでしょうか?
このように、まえからそうだったのですが、最近は特に金融バカはあの手この手で、自分が儲けるためだけに画策するということは、周知の事実になりました。そんな、金融バカのいうことに、まともな投資家や、投機家がのるはずがありませんね。
それから、日本でもすでにガソリンや小麦などが値上がりし始めている。そこで物価が下がり続けるデフレが一転してインフレになるとの警戒論が政府や日銀内部にあるが、事態はそれほど単純ではない。日本全体が貧しくなり、経済のパイが小さくなるのだ。なんて書いてますが、これもわかりませんね。
無論、こんなデフレを放置して、インフレになるなどとのたまう、日銀の担当者に対して、ポール・クルーグマン氏のように゛「銃殺刑に処せ」というのなら、わかりますが、その後のくだりは、もう、何を言いたいのかさっぱりわかりません。
食料品や、原油が仮に、値上がりすれば、いろいろ波及して、インフレ傾向になります。いままで、値下げ一方で、我慢してきた業界も、これが続けば、値上げに踏み切りやすくなります。だから、デフレの現在では、問題どころか、転機になるかもしれません。
さらに最後の最後の、日本、アメリカと、ドイツの輸出価格の単純比較です。このブログでは、何回も掲載してきたように、実は、日本では、輸出がGDPに占める割合は、16%程度に過ぎません。アメリカは、もっと低いです。これが、ドイツでは、40%超え、50%近いです。ドイツが輸出価格をあげれば、相当影響があるでしょうが、日本やアメリカはそんなことはありません。
というより、ドイツは、輸出比率があまりにも高いので、やむにやまれず、上げているというのが実体です。そんなことをすれば、国際競争力が落ちることはわかりきっているのですが、それでは、もたないということで上げざるを得ないというのが実体でしょう。
第一、輸出産業のほとんどは、民間企業がになっているわけで、輸出価格をあげたければ、ドイツのように黙っていてもあげるでしょう。余計なお世話です。それに、日本は、円高傾向です。円高だとどうなりますか?海外から輸入する原材料が安くなるということではありませんか?
最後に書いてある「経済に疎い菅内閣は家計を追い込む消費税増税で自民党を抱き込むしか頭にない。野党側も景気対策よりも政局優先だ」は、正しいです。「商品高騰は対岸の火事ではない。国会は緊急事態との危機感に目覚めよ」は正しくはありません。私は、以前ギリシャのデフォルトは、日本にとって対岸の火事だとこのブログに掲載しました。それと同じような意味において、商品高騰は、日本にとって対岸の火事というより、直近では、多少影響があるものの、多少の範囲であり、全く本質的な問題ではありません。
今、日本が駄目なのははっきりしています。輸出価格がどうのこうのなどは、副次的な問題でしかありません。経済の癌ともいわれるデフレを克服することが最優先です。内需拡大、消費拡大です!!
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