2012年11月10日土曜日

国の借金983兆円=国民1人771万円―9月末―【私の論評】財務省の陳腐なキャンペーン、マスコミスルーに惑わされることなく、正しい世論形成を!!

国の借金983兆円=国民1人771万円―9月末


 財務省は9日、国債や借入金などの残高を合計した「国の借金」が9月末現在で983兆2950億円に膨らんだと発表した。前回公表の6月末に比べ7兆1098億円増え、過去最大を更新し続けている。10月1日時点の推計人口(1億2753万人)で割ると、国民1人当たり771万円の借金を背負っている計算になる。


 国の借金は2012年度末に、1000兆円を突破する見通し。これは、円売り介入の際に発行する外国為替資金証券を195兆円の限度枠まで発行する前提になっている。


 バブル崩壊後の長引く景気低迷で税収が減少する一方、高齢化で増加している社会保障費や東日本大震災からの復興費を賄うために国債を発行しており、国の借金は膨張に歯止めがかからない状況だ。


 内訳は、財投債などを含めた国債全体が803兆7428億円となり、初めて800兆円を超えた。借入金は54兆1853億円、政府短期証券は125兆3669億円だった。 

【私の論評】財務省の陳腐なキャンペーン、マスコミスルーに惑わされることなく、正しい世論形成を!!

この記事もう好い加減にして欲しいという感じです。財務省が意図的にミスリードな発表をして、それをマスコミが批判もせず、ただ流すという図式です。本当にこんな記事を見ていると疲れてきます。どうして、こんなデタラメがまかり通り続けるのでしょうか。「いい加減にしろ!!!」と叫んでしまいたくなります。



まずは、政府と国の区別が明確に行われていません。上で国の借金と掲載しているのは、正しくは、政府の借金です。経済を語る上で、国の借金と政府の借金とは明確に区別をつけなければなりません。政府が過大に借金をしていても、国の借金がなければさほど問題ではありません。なんとかできます。逆に、政府の借金がなくても、国の借金が過大であれば、非常に問題です。それこそ、財政破綻の危険があります。

日本国バランスシート

では、日本は、どういう状況なのかといえば、政府はかなりの借金をしていることは事実です。しかし、国が借金をしているかといえば、そのようなことはありません。それは、上の日本国のバランスシート(金融資産のみ掲載しています)をみても明らかです。国単位では、日本は、過去20年間にわたり、対外純金融資産(外国に貸し付けている金融資産)は、世界一であり、23年末では、250兆円程度です。このような日本国が借金まみれということは断じてありません。財務省は、なぜ上記のような発表をするのか、本当に理解に苦しみます。上のバランスシートをもっとわかりやすく、分解して、再構成すると下のグラフのようになります(これも金融資産のみ掲載してあります)。

日本国バランスシートの分解
家計がいかに政府を支えているかおわかりになるでしょう。そうして、一番右の合計に着目してください、資産のほうが多いですね。このグラフからも、日本国は、借金などしていないことがお分かりになると思います。それから、この合計の資産と負債の差額が、日本の対外金融純資産すなわち、日本国が外国に貸し付けているお金ということになります。もし、これが、負債の方が多かった場合は、その分日本が、外国にお金を借りていて借金をしているということになります。上の記事で、財務省が国の借金としているのは、このグラフの一般政府の借金ということです。日本国が借金まみれであるとか、国民が一人当たり700万以上というのも全く間違いです。

国民一人当たりの借金という表現は、完璧に誤りです。政府の借金は、国債などで賄われていますが、その国債のほとんどは日本国内で賄われています。そうして、国民がこれを支えているという意識はないでしょうが、結局銀行などに預けたお金などが、これにあてられていますから、家計でこれを支えているということになります。要するに、上で国民の借金というのは全くのミスリードであり、正しくは、国民による政府への貸付ということです。無能な政府に対して、国民が政府にお金を貸し付けているということです。断じて国民の借金ではなく、政府の借金です。


そうして、なぜかくも、政府の借金が多くこのようなアンバランスになっているかといえば、その理由は簡単です。デフレだからです。20年間もデフレを放置してきたためです。デフレでは、企業の売上・利益が減ります。勤労者の賃金も減ります。そうなれば、当然政府の税収も減ります。デフレを続ければ、ますます、企業の売上・利益、勤労者の賃金も減ります、そうなれば、ますます、税収が減り、政府の借金はかさみます。もともとの企業の売上・利益、勤労者の賃金が減っているわけですから、これを何とかしなければ、税率をあげても税収は増加しません。実際過去にデフレ時に増税してからは、一度たりとも、増税前の税収を上回ったことはありません。それに、家計を注目してください。圧倒的に負債よりも、資産のほうが多いです。これも、デフレのせいです。家計は、デフレ下ではモノの値段は下がるものの、お金の価値はあがっていくので、貯め込む一方になっているということです。

サラリーマンの平均賃金(単位:万)
こんなことを続けていれば、政府の借金はますます増えます。それをやめる方法があります。それは、デフレを収束させることです。その方法も、そんなに困難ではありません。日本は、政府がかなりの借金をしていますが、国総体としては、借金どころか、かなり貸し付けているわけですから、外国やIMFや世界銀行にお金を借りる必要もないです。

平成諸改革と物価推移
やるべきことは、まずは、日本国の中央銀行である日銀が、金融引き締めから、金融緩和に転じることです。そうして、政府が大規模な財政出動をして、この二輪車をしばらく動かせるだけです。なぜ、このようなことを自信をもっていえるかといえば、過去20年政府・日銀は、この逆をやりつづけてきたからです。それに、日本を除く他の国々は不況になりそうになれば、財政出動するし、金融緩和するからです。そのため日本程酷いデフレに見舞われた国はないからです。これが、当たり前のど真ん中だからです。大学あたりのマクロ経済学のテストでは、こう答えれば正解だからです。

日本銀行前のデモ行列、これは日銀を対象としたものではないが、日銀対象のものがあってもしかるべき!
そうして、自民党安部総裁は、このような経済・金融対策を実施しようと目論んでいます。しかし、このように言葉でいうと簡単ですが、実際過去には、このようなことが結局できなかったので、デフレ・円高が克服されないままになっています。この原因としては、日銀や、財務省などの、官僚支配の厚い壁もありますし、私がこのブログでも過去に示したように、マスコミの反日報道、反日的外国勢力の暗躍による厚い壁もあると思っています。さらに、悪いことには、官僚や、マスコミの垂れ流す嘘情報により、多くの国民も不安感、八方塞がりの閉塞感にさいなまされています。将来に希望もなく、このような状態がまだまだずっと続くと信じています。

日銀法改正を目論む安倍総裁
だから、なかなかすぐに達成することはできないかもしれません。しかし、安部総裁は、それを実行しようとしているのです。安部総裁がもし、総理になれば、真っ先にこの問題に取り組むとみられます。しかし、以上のような分厚い壁が厳然として立ちはだかっているいることも事実です。安部総裁が、このような困難な仕事に取り組みやすくするためにも、正しい財政政策、正しい金融政策に関する世論形成をしていく必要があると思います。そう思うのは、私だけでしようか?皆さんはどう思われますか?

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2012年11月9日金曜日

『海賊のジレンマ』が教えてくれる「未来のアイデアを育てる」方法−【私の論評】単なる天才のひらめきで、イノベーションはできない体系的なRemixのみが社会を変える!!

『海賊のジレンマ』が教えてくれる「未来のアイデアを育てる」方法:


『海賊のジレンマ ──ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったか』(マット・メイソン著、玉川千絵子・八田真行・鈴木沓子・鳴戸麻子訳、扶桑社)は、時代とカルチャーとの関係性を把握するうえでとても刺激的かつ重要な書籍です。著者が訴えているのは、「今日の<海賊(パイレート)>は、明日の<開拓者(パイオニア)>」であるということ。既成概念に捕われず、アイデアを凝らした自由な精神で神出鬼没に跳梁する人物たちを「海賊」と称し、彼らが社会にもたらす影響力の大きさを説いているのです。

この記事の続きはこちらから!!

【私の論評】単なる天才のひらめきでイノベーションはできない体系的なRemixのみが社会を変える!!


上の記事で紹介している書籍、私はまだ読んでいません。読んでみようと思い、Amazonを探してみましたが、物理的書籍は、売っていましたが、Kindle本では販売されていないからです。なぜかというと、最近では、物理的な本よりも、電子書籍をなるべく購入するようにしているからです。これも、なぜかというと、最近も理由があって、物理的書籍の整理をして、いるものいないもの、読む可能性が高いもの、所有することを決めても、おそらくほとんど読まないものに分類して、いらないものは捨てたりしましたが、その苦労は半端ではなかったからです。

とにかく、物理的書籍には、嫌気がさしていて、よほど定評のある書籍で物理的書籍がしかない場合は、購入するのですが、その他は購入しないようにしているからです。ちなみに、最近では、Amazonでは、物理的書籍の販売画面で、電子書籍化リクエストができるようになったので、さっさくリクエストしました。電子書籍化されれば、是非読んでみたい書籍ではあります。しかし、これは本日の本題ではないので、さっそく本題に入らせていただきます。

上の書籍紹介においては、Remixの重要性と、Remixのやりかたの例があげられていました。このRemixについては、私も前々から興味があり、このブログにも以前掲載したことがあります。以下のそのURLを掲載しておきます。

なんかヘンだよ?「スマート家電」 いちいち「タッチ」面倒くさい−【私の論評】Everything is a Remix?!!

詳細は、このブログ記事をごらんいただくものとして、本題の話題Remixに関わる部分のみ以下ににコピペさせていただきます。
新しいものが、全くの無から生まれてくることはありません。バッハも、同時代の先輩格のビバルディやコレルリの曲を何曲も編曲して新しい楽曲を生み出しています。特に、バロック時代にはそのようなことは、日常茶飯事に行われていました。今のように著作権法などはありませんでした。このようなことを行っていくうちに、バッハも自分独自の素晴らしい楽曲を作成するに至りました。アインシュタインだってそうです。彼自身が、自分がやったことは、過去の人がやったことに1%を付け加えたに過ぎないと言っています。その1%が素晴らしいことだったのです。彼でさえ、99%は、リミックスだったのです。
特に、社会変革に関する企画に関してはそういうことがいえます。今まで社会でどの時代のものであれ、うまくいったことは、すべて手本にすべきです。近江商人など昔の商人のやったことだって、多いに役立ちます。だから、過去に行われたこと、現在多くの人が行っていることは、徹底的に調べて、まずは、著作権法、商標法などに違反しないかたちで、複写・変形・結合することによって、新しいものを生み出すべきです。
複写・変形は、すぐに著作権侵害をしてしまう恐れがあります。ただし、誰が最初にやったのかわからない形で、世の中に広まってものは、そのようなことはありません。複数のものを結合して新しいものをつくってしまえば、それは最早、複写・変形の域を超えています。だからこそ、結合が重要なのです。そうして、努力を重ねて、さらに運がよければ、アインシュタインのように、1%の全く新しいものを付け加えられるかもしれないです。そのとき私たちは天才と呼ばれるのかもしれません。しかし、天才と呼ばれることがなくても、商売や事業は十分やっていけます。だから、凡人は、まずは、リミックスすべきなのです。 


上で、「特に、社会変革に関する企画」と書いていますが、私の場合「社会変革」とは、広い意味でとらえています。その中には、当然、新たしい商製品を開発して、多くのお客様に使っていただくことも含めています。新た商製品などは、珍奇な発明などしても、それが、お客様に使っていただけなければ、何にもなりません。お客様に使っていただいて、はじめてイノベーションであり社会貢献・社会変革ということになります。そういう意味での社会変革ということです。

そうして、上の私のブログ記事は、Vimeoというアメリカの動画サイトに4会シリーズで掲載されていた"Everything is a Reimx"という動画を視聴して、それに触発を受けて掲載したものです。その動画のURLは、上のブログ記事の中に掲載されていますので、興味のある方は、是非ご覧になってください。ただし、こちらは英語のみです。


最近、この動画の作者が、あのTEDでも公演しました。そのときの、動画が以下のものです。こちらは、日本語字幕つきですので、わかりやすいです。そうして、Vimeoの動画の内容をぎっしり凝縮して、伝えています。こちらも是非ご覧になってください。


いずれにしても、あのボブ・ディランもかなりRemixしていたし、スティーブ・ジョブズ氏もそうだったということです。それどころか、上の動画では掲載されていませんが、あのアインシュタインですら、自ら自分業績のほとんどは、過去の人々の業績によるものであり、自分はそれに新たに1%を付け加えたにすぎないとしています。

これは、当然と思います。とにかく、何か新しいことを始めようとしてもまずは、古今東西の人が似たようなことをしていないかどうか調べるのは、当然のことと思います。それをしないで、ただ思いつきで、何も新しいことをして、やってみて、新しいものだと自己満足していても、それは大抵の場合違います。


おおよそ、人間の思いつくようなことは、ほとんどが過去に試みられていると考えて良いです。たとえば、コンピュータもそれこそ、前々世紀の19世紀に考え方としては、ありましたが、その当時は、半導体もトランジスターもなく、それを実現することができなかっただけです。20世紀にはいって、忽然と、コンピュータの考え方が現れて実現したわけではありません。

こんなことは、レオナルド・ダビンチのスケッチなどみると、グライダーや、ヘリコプターの原型のようなものがあることでもわかります。考えても、ダビンチの時代には、エンジンも軽い素材もなかったので、考えが考えに終わっただけです。そんなことはいくらでもあります。

Heaven feat. Glance - Sexy Girl(Vdj Rossonero Remix 2012)HD

それに、こんなことは、化学を学んだ人なら、おそらくご存知と思いますが、世界的な規模のケミカル・アブストラクトという巨大なデータベースがあります。何か新しい物質を化学合成して作ろうとした場合、まずはケミカル・アブストラクトを検索して、当該物質が作られているかどうか確認するのが当たり前です。それをしないで、自分の作ったことのない新しい物質を作ったとしても、それは、すでに他の人が作っているということのほうが多いです。そんなことをしても、新発見にはなりません。


だから、このようなことを無視して、古今東西のことを調べもしないで、何か新しいものを作ろうとしても、失敗することのほうが多いです。なぜなら、古今東西で誰かかがやってみて、失敗したことは、その後何かが変わらなければ、今でも失敗する確率が高いからです。しかし、新しい技術や、素材、それに社会の変化があった場合には、成功するかもしれません。そうして、こんなことは、何も企業の開発や、学問の世界だけのことだけではありません。政治の世界でも同じことです。今の政治は、古今東西のことを調べもせず、最初から失敗しそうなことを平気でやろうとしたりします。

これは、たとえば、イギリスでは、財政赤字の解消のため2010年に付加価値税(日本の消費税)の大幅増税しましたが、その後、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)が、大幅な金融緩和をしても、景気が低迷して、現在でも低迷しており、未だ財政赤字解消の目処がたっていないという事例があるにもかかわらず、日本では、いわゆる自民公の三党合意で、消費税増税法案を成立させました。このようなことは、どのような業界にでもみられることです。


また、新しい技術や、素材、新しい社会の変化を見出したとき、古今東西で失敗した事例を調べて、失敗した時点ではなかったの現在ではこれらを活用することができ、そうして過去に失敗したことがが今の時点であれば、これらを活用して、かなり成功する確率が高まっているなどということもあります。そんなことを調べもせずに、何か新しいことをやろうとするのは、無謀というものです。こうした背景からも、Remixは絶対に必要です。特に商製品開発では、そのようなことがいえます。何もなしに、新しいものを開発しようというのは、あってはならないことです。Remixをするからこそ、新しい発見ができるのであり、本当に新しい1%を付け加えることができとしたら、個人であれば天才といわれ、企業であれば、革新的な会社と呼ばれるのです。

ドラッカー氏は、イノベーションについて以下にのように語っています。
イノベーションとは、天才のひらめきによって、生み出された目の覚めるような新しい発明ではなく、社会や経済の文脈の中で仕事に携わる人々が、体系的に取り組むべき仕事の一つであり、社会の変化を利用したり、社会変化を起こすもであり、社会を変えるものでなければならない。
さて、この記事の冒頭では、Amazonの話をくだくだしく述べました。それには、意図があります。Amazonは、事業を開始したばかりのころを覚えていらっしゃると思いますが、最初の商品は、何と電子書籍ではなく、物理的な書籍でした。この商売のことを最初聞いたときには、今時、インターネットで、情報そのものが届くし、電子書籍や電子新聞などではなく、このような商売が本当に成り立つのだろうかと、思ったものです。しかし、そのような私の杞憂などは、無論あたらず、Amazonの事業はどんどんと伸びていきました。


Amazon.comでは、昨年あたりですか、ようやっと電子書籍のほうが物理的書籍よりも、売り上げが上がったそうですが、今でも、かなり売れていることは確かです。そうして、なぜ、物理的書籍を商売に選んだのか、サイトで掲載されていましたので、そのURLを以下に掲載しておきます。

Amazonはなぜ本を売るのか〜その戦略にビジネスを学ぶ

このなかに、なぜ書籍を選んだのか、八つの理由が書いてあります。これを読めば納得がいきます。Amazonが事業を始めたばかりのときは、まだまだ、電子書籍に社会は対応していなかったのです。しかし、それから事業を開始して、書籍で市場に地位を築き、電子書籍リーダーkindleをはじめて世の中に出したのは、2007年です。そうして、その後アップルのiPadが世の中にでて、これもAmazonに有利に働いたと思います。これを機会に多くの人が電子書籍だけではなく、音楽を聴いたり、アプリを使うようになりました。そうして、その社会の変化対応して、Amazonは、電子書籍リーダーkindleだけではなく、タブレットと端末のKindle Fireを世に出したのです。そうして、とうとう日本でも、kindle本が売られるようになり、Kindleだけでなく、Kindle Fire(HD)の予約受付をするようになりました。


考えてみると、日本では、まだフロッピーディスクが使われていたような時代に、電子書籍リーダーが開発され、発売されていました。私は、このときは、電子書籍リーダーは購入しませんでしたが、フロッピーディスクに収められた電子書籍をいくつか購入して、パソコンで読んでみたことがあります。しかし、その当時のパソコンのディスプレイなど、まだ、600×400くらいだったと思います。あまり読みやすいものとはいえず、その後は、購入はしませんでした。そうして、これらは、ものの見事に失敗しました。そうして、現在電子書籍リーダーでは、後発であったはずのAmazonが日本の電子初期市場を席巻しようとしています。

この日本のメーカーと、Amazonの違いはどこからきているかといえば、やはり社会変化に適切に対応したかしないかの差だと思います。考えてみると、かつては、Amazonで書籍をかなり購入しました。とにかく、物理的書籍であっても、どこにいても買えるというのが魅力でした。それだけで十分でした。とにかく、どんな書籍でも、オンラインですぐ買えることは、とてつもない魅力でした。

そうして、次には、電子書籍で勝負して、見事に勝利をおさめています。こうしたAmazonの戦略は、単なる天才の閃きではないことは明らかです。きっと、AmazonのCEOのベゾス氏は、緻密で、体系的なRemixを重ねていたに違いありません。Kindle FireもiPadや他社のタブレットを研究して、Remixして、開発していることは間違いないです。日本のメーカーのように、フロッピーディスクの時代に電子書籍リーダーにこだわっていたら、Amazonの今日の姿はなかったと思います。

こうしたAmazonの事例をみても、イノベーションとは、単なるひらめきではなく、上記のようなRemixを仕事として、体系的に常日頃行うことによって生まれるということが理解できます。天才の単なるひらめきではイノベーションなどできないということです。ひらめきは、一時のものにすぎず、そんなものに頼って継続的なイノベーションなどできません。日々体系的に、仕事としてとりくむべきものです。皆さんはどう思われますか?




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2012年11月8日木曜日

朝日新聞デジタル:景気後退入りの可能性 動向指数、6カ月連続下落 - 経済―【私の論評】景気後退・雇用悪化を絶対に日銀のせいにしない日本大手マスコミの不思議!!

朝日新聞デジタル:景気後退入りの可能性 動向指数、6カ月連続下落 - 経済


景気動向指数  【榊原謙】内閣府は6日、企業活動の現状を示す経済指標が弱まっていることから、景気が後退局面に入った可能性が高いとする判断をまとめた。後退局面入りは2008年2月以来、4年ぶりとなる。  6日発表の景気動向指数(9月速報)のうち、景気の現状を示す「一致指数」(05年=100)が91.2となり、前月を2.3ポイント下回った。前月割れが6カ月続いており、景気の判断を前月の「足踏みを示して... -www.asahi.com

【私の論評】景気後退・雇用悪化を絶対に日銀のせいにしない日本大手マスコミの不思議!!
日銀とFRBの過去の金融政策を比較するといかに日銀がチマチマしていることか!
詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、日本ではこの手の経済記事海外と比較すると、本当不思議というか、あり得ないことがあります。今一度、上の記事全部を軽くでも良いから目を通してみてください。

そうです。日本銀行のことが全く掲載されていません。一言も触れられていいません。景気後退入の理由として、日銀の金融政策は、まったくスルーされています。上の記事で、前原氏も全く触れていません。これは、本当に日本だけの特異な現象です。そうして、このようなことは、朝日新聞に限りません。日本の大手の新聞、マスコミが、景気や雇用のことを論じるのに、日銀の金融政策には、ほとんど触れません。特に、雇用に関しては、まるで世界の中で日本だけが、経済の法則に反して、日銀の金融政策など全く関係ないかのような扱いです。全くもって、異常です。

普通の国ならば、景気・雇用ということになれば、まずは何をさておき、中央銀行の金融政策に関して真っ先に触れるのが常識です。なぜなら、一国の経済・雇用情勢は、中央銀行の金融政策に無関係ではないからです。様々な条件があり、場合によっては、あまり関係ない場合もありますが、そんなことは、例外中の例外です。これは、アメリカでも、EUでも、中国でも、世界中どこでも、当たり前の真ん中です。しかし、世界の中で日本だけが異なるようです。

これに関しては、前々から疑問に思っていて、日銀の金融政策や、これを報道する新聞などには、かなり疑問を感じていました。そうして、昨日SakurasoTVを観ていたら、このブログにもしばしば登場いただいている、経済評論家上念氏が、このことについて、わかりやすく解説していましたので、以下に掲載させていただきます。



この動画、経済評論家の上念司が、世に溢れる「経済ニュースのウソ」を暴いていく『メディアの嘘を見抜け』というチャンネル桜の動画です。今回は、何が何でもデフレ脱却政策を容認しようとしない日銀の反日・売国­的経済政策の原因について3つの仮説を立てています。詳細は、上の動画をご覧板だものとして、上念氏は、以下のような仮説をたてています。
3つの仮説 
1.バカ(二流官僚のプライド)

2.責任逃れ(OBコワイ)

3.外国のスパイ(憶測ですが・・・)
スパイキッズなら可愛いもんだが?_
私としては、この3つが複合しているのだと思います。特に、3に関して、前々からそうではないかと疑っています。前にも、このブログにも掲載したように、中国人民銀行の周小川が、日銀の金融緩和措置に懸念を表明したとたんに、日銀が追加金融川措置をとりやめることを発表したという事実もあります。

これらの仮説は仮説として、日本銀行がいつまでも、金融引締め措置に固執していては、いつまでたっても、デフレ・円高傾向が続き、日本経済が疲弊するのは明らかです。日銀が他国なみの、まともな金融緩和措置に転じれば、この流れは止まります。そうして、政府も財政出動すれば、デフレは、早期に解消されると思います。

上念氏によると、少し前までは、日銀が金融緩和措置をすれば、ハイパーインフレになるとする論者がいましたが、これにはあまりに無理があるので、最近では、日銀が金融緩和措置をすれば、スタグフレーションになるとする新たな金融緩和措置危機論があるそうです。

こんな与太話に惑わされるべきではありません。私自身も、スタグフレーションについて言及したことがありますが、それは、日銀が金融緩和をすると、スタグフレーションになるなどの与太話ではありません。

原発など、早期に全廃などして、日銀がそのまま金融引締めをやっていれば、原油などが値上がりした場合、景気は、悪いのに物価だけがあがるというスタグフレーションに陥る危機もあるかもしれないという掲載したまでです。誤解のないように掲載しておきます。

日銀が金融緩和をすると、スタグフレーションになるなど全く珍説といわざるをえません。それにしても、この日銀の異常暴走状況、もっと多くの人に知っていただき、これを止める世論が形成されることを願ってやみません。皆さんは、どう思われますか?



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2012年11月6日火曜日

【万里の長城遭難】現地任せでツアー強行 大雪、コース下見なし…-【私の論評】私がドラッカー氏に救ってもらったトムラウシ山の教訓が生かされなかったのはなぜ?

【万里の長城遭難】現地任せでツアー強行 大雪、コース下見なし…:

記者会見で事故への対応等を説明するアミューズトラベルの板垣純一総務部課長(中央)ら=6日午前、東京都千代田区
平成21年に北海道・トムラウシ山で登山客ら8人が凍死した遭難事故の直後、観光庁はツアーの安全確保に問題があったとして、アミューズトラベルに業務停止(51日間)の処分を下した。今回の事故と符合する点も少なくなく、観光庁は近く、アミューズ社に対し、旅行業法に基づく事情聴取や立ち入り検査を行う方針。ルート設定や安全対策に問題はなかったのか。


【私の論評】私がドラッカー氏に救ってもらったトムラウシ山の教訓が生かされなかったのはなぜ?

現場近くの万里の長城。これは、山だ!!
このブログには、平成21年(2009年)に発生した、トムラウシ山での遭難事故について掲載したことがあります。

大雪山系遭難:「寒さ、想像超えていた」 ツアー社長会見―ドラッカーが救ってくれた苦い経験のあるトムラウシ山

詳細は、上の記事を読んでいただくものとして、いずれにしても、今回は万里の長城ということで、場所も条件も異なりますが、結局トムラウシ山での教訓が全く活かされなかったということです。全く残念です。この記事では、私自身が、トムラウシ山で遭難しかけたことを掲載しましたが、結局遭難はしませんでした。遭難しなかったにはそれなりのわけがあります。


第一には、寒さ対策だったと思います。トムラウシ山に行く前に、結構寒い思いをしたので、その後山に登る際には夏であっても、自分自身も、他の人たちにも、寒さ対策を十分に行うようにさせていたことが、遭難しないで済んだ最大の理由だと思います。他にも、ドラッカーが言っていたことで非常に役に立ったことがありました。これも、大きな理由の一つです。

ドラッカーが言っていたいたこととは、以下のようことです。以下に要点だけコピペしておきます。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

これと同じ状況(管理者注:私達がトムラウシ山で迷ったこと)に陥ったあるパーティーの中に、ある男が地図を持っていて、その男がその地図を見ながら、自信をもって、あっちの方角に行けばよいと言ったので、みんなが、その男の言うことを信じて、その方向に進んでいき事なきをえたというものでした。 
しかし、実は、その男が持っていた地図というのは、その山の地図ではなかったそうで、全く関係ないところの地図だったそうです。この事例を出してドラッカーがいいたかったことは、企業経営にとっていかにビジョンが重要であるかでした。人は、行くべき方向がわかれば、安心する、力を結集するというものでした。そうして、ビジョンがたとえずれていたとしても、全くないよりははるかに良いことを力説していました。 
そのとき、わたしは、この話を思い出し、たまたま、札幌市内の地図を持っていたので、さっそくその地図を広げながら、「これは、この近辺の詳細地図です。あっちの方向に進めば間違いありません」とメンバーに言ったところ、あれだけ仲間割れしていたいたのに、たちどころに皆が同意して、私の言うことにしたがってくれました。私自身も、ほとんど勘で言っているだけですが、皆が私につきしたがってくれてたので、非常に安心感を持つことができました。
そうして、結局は遭難はせずにすみました。やっぱり、装備がまともで慌てないということが重要なことであると思います。こうしたことが、過去にあったので、トムラウシ山のあの遭難事件は、今でもはっきりと記憶に残っています。そうして、個人レベルでは、このような準備や心構えが絶対に欠かせないと思います。

山と名のつくところには、こんな格好で絶対に行ってはいけません。寒さに対する装備はかかせません!
今回のこの遭難者を出してしまったツアーなど、細かなことは本題ではないので、他のサイトに譲ることにしますが、結局現地任せで、現地では下見もせず、大雪であったにもかかわらずツアーを強行し今回の遭難事故になってしまったということです

さて、このツアー会社ほんの少し前に、同じような過ちをしていたのに、なぜ、また同じような過ちを繰り返したのでしょうか?この質問への回答は、要するに「危機管理体制」が全くできていなかったということだと思います。そうして、危機管理とは、テロ、事件、事故または災害の不測の事態に対して、被害を最小限にするための手段であり、クライシスマネジメントともいわれています。これが、最も妥当な答えであり、これは、誰も否定することはできないでしょう。

しかし、もっと根源的な質問があります。死者も出したような甚大な大失敗をしたにもにかかわらず、なぜこのような遭難事故が再び起こしてしまうような、杜撰な危機管理しかできなかったのかというものです。これには、たとえば、行政による監視機能とか、ツアー客の自己責任とか、いろいろな考え方があるとは思いますが、それは、さておき、このアミューズズ・トラベルという会社の経営という側面から述べます。

冬山でこの格好では、すぐに死んでしまいますね!!寒さ対策が必須です。それは、夏でも同じことです。
以前の記事でも、ドラッカー氏の話をだしましたが、今回もドラッカー氏の言っていることから教訓を導き出します。ドラッカー氏は、企業の自己目的が「企業利潤極大化」にかわって、「企業の生存」であるとする「企業生存説(theory of corporate survival)」を唱えました。このドラッカーの企業生存説に関するコンセプトは危機管理と深い次元でつながっています。

企業の危機管理を考える場合、収益性や生産性という視点に加え、広い意味での「企業の社会的責任」、あるいは「経営管理者の能力と育成/労働者の業績・態度」の確保こそが重要な条件となります。

そして、ドラッカーが主張していた「企業は継続(ゴーイング・コンサーン)するために利益を得るべきであり、利益を得るためだけに継続するのではない」、「企業が生存するためには、企業の生存に致命的な影響を与える各種領域ごとに一定の目標を設定し、この維持に最低必要な成果を確保すること」という原則があるということ、そして事業継続計画/事業継続管理の原点をいまいちど噛みしめる必要があると思います。

企業は、存続して顧客に奉仕しつつけることに意義がある!!
要するに、この企業の経営者は、企業の継続性(お客様にサービスを提供し続ける)ことよりも、目先の利益だけにとらわれて、安全性など無視して、結局企業の継続性を危うくしたということです。まったくもって、本末転倒です。この会社は、利用しないほうが良いです。本日、ホームページを検索してみたら、一時休止という表示がでていました。多くの人たちの苦情が殺到したので、休止したのだと思います。

おそらく、この会社、もう継続することはできないと思います。この経営者は、結局一時の利益と、会社の継続という二つ事柄を天秤にかけて、一時の利益をとったということです。経営者としては、あるまじき行為だと思います。皆さんは、どう思われますか?




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2012年11月5日月曜日

上場会社の半分はダメ会社だけど、半分は成長企業だって知ってますか?「日本の未来が暗いからぼくの未来もお先真っ暗」なんて発想は大間違いだ!−【私の論評】日本駄目論に惑わされるな!!日本の未来は明るい!!

上場会社の半分はダメ会社だけど、半分は成長企業だって知ってますか?「日本の未来が暗いからぼくの未来もお先真っ暗」なんて発想は大間違いだ!:


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[ ふっしーのトキドキ投資旬報 ]上場会社の半分はダメ会社だけど、半分は成長企業だって知ってますか?「日本の未来が暗いからぼくの未来もお先真っ暗」なんて発想は大間違いだ!



[藤野 英人]

最近、いくつか若手向け勉強会でお話をする機会を得ました。懇親会もそれぞれ参加して思ったことがあります。それぞれ素晴らしい若者たちですが、先の見通しが非常に暗いんです。日本の将来にとても悲観的で、未来を信じられなくなっている。

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【私の論評】日本駄目論に惑わされるな!!日本の未来は明るい!!

詳細は、上記の記事そのものをご覧いただくものとして、上の記事の結論は以下のようなものです。
もし今の日本が暗いと思っているならば、ひょっとしたらあなたは今、間違っている場所にいるか、みているポイントが狂っているの「かも」しれません。 
今必要なのは日本が悪くなることを冷静に分析する評論家でないことは明らかです。立ち位置を変えるか、少しだけ視点を変えるかすると、見え方が変わってきます。少なくとも自分の夢がないのは日本の将来がないからだと思うのはあまりにも残念すぎます。
この結論に関しては、私自身も大賛成です。そうして、上の記事では、現在の日本は、アメリカの1990年代に似ているということで、以下のようなグラフも示していました。

わたしも、このようなグラフ随分前にみたことがあります。それは、アメリカがITバブルに沸いたころです。ある経営誌で、1980年代末から、ITバブル絶頂期である、1990年代末にかけての、アメリカ企業の労働力人口に関する上のグラフと同じような内容のグラフでした。1990年代の前半には、まさに、起業間もないIT企業に労働力が移動していました。

1980年代末期から1900年代始めまでは、アメリカは不況にあえいでいました。しかし、不況の最中にあっても、次の時代の産業が芽吹いていて、それが、労働人口を吸収しつつあったということです。これは、現在の日本でも同じことがあてはまることだと思います。

そうして、1999年にはアメリカはITバブルの絶頂期でした。eトイズ、フリーマーケットなど、資産も顧客も収益もほとんどない会社が、インターネットと名がつくだけでもてはやされ、株価は狂ったように値上がりしました。そうして、このころアメリカのマスコミや、学者などが、このアメリカの好景気を「ニュー・エコノミー」と称して、「ITの力により、企業は在庫を持たなくてもよくなり、従来経済学でいわれていた、いわゆる在庫循環という概念はなくなり、アメリカの経済は、いわゆるニュー・エコノミーという呼ぶべき新たな段階に突入したので、この好景気は永遠に続く」というような論評を発表して、IT業界をもてはやしました。

アメリカの景気循環
しかし、このITバブルはものの見事に、2000年春頃にはじけました。ここを境に、多くのIT企業が破綻しました。残ったのは、たとえばアップルや、マイクロソフトなどのように、本当に優秀なところだけでした。ニューエコノミーということば、1930年代にアメリカで世界恐慌が起こる前にも、同じようなことがいわれました。これに関して、ドラッカー氏が、その著書『ニューソサエティー』という書籍の、巻頭言に掲載されています。


何でも当時ドラッカー氏は、投資会社に雇われて、最初の仕事は、雇われた会社の社長の書籍「株で絶対間違いなく儲ける方法」の校正をする仕事だったそうです。しかし、その会社ドラッカー氏が雇われてから、わずか1週間で、株価大暴落のため倒産してしまったそうです。

結局何が言いたいかとというと、このようなことは、大昔からある普通のことであるということです。景気が悪いと、多くの人たちは、悲観的になり、この不況は永遠に続くと思いがちですし、景気が良いと、この景気の良さは、永遠に続くと思いがちだということです。人類の歴史はある程度経済が大きくなってからは、まさにこの繰り返しです。しかし、過去の歴史が示すように、そのようなことはありません。過去には、オランダで、特殊なチューリップの株いくつかで、広壮な大邸宅が購入できたなんていうとんでもない時代もありました。多くの人が、チューリップの株の価値は永遠に続くと考えていました。しかし、この狂乱にもすぐにおさまりました。



そもそも、景気は循環するものです。景気が比較的良い時期が続けば、悪い時期が続き、悪い時期が続けば、今度は、良い時期が続きます。これは、昔からそうですし、これかも、続きます。無論、多少長いとか、短いくらいの差はありますが、根本はこの繰り返しです。政府や中央銀行ができることといえば、景気を永遠に支えることなど不可能で、せいぜい景気の変化を緩やかにすることくらいです。

このブログでは、過去に政府の財政政策の間違いや、日銀の金融政策の間違いを何度となく掲載してきました。そうして、実際日本は、失われた20年とも呼ばれるように、デフレ基調になってから、すでに20年代近く経過しています。そうして、これを批判するのは、何も私だけではありません。本日も以下のような記事をサイトで見つけました。

家電業界は売り上げ増減の8割が為替で決まる。1ドル=80円を放置して、経営者ばかりを責めるのは「木を見て森を見ず」だ。:

この記事は、高橋洋一氏によるものですが、高橋氏の記事は、このブログにも何回か掲載させていただき、そうして、この方の主張は、概ね正しいものと思います。そうして、この記事も正しいものと思います。

日銀は、日本の国民をいたぶり続けている
しかし、そうはいいながら、現在上記のグラフのように、起業間もない企業に多くの労働人口が吸収されているのも事実です。確かに、政府の財政政策や、日銀の金融政策は、酷いですし、他の先進国から比較すると幼稚であると言わざるをえません。これでは、なかなか、デフレ・円高が解消されないことも事実です。

しかしながら、現在こういう状況ですから、日銀の金融政策、政府の財政政策を非難することは当たり前ですし、これは、絶対に変えるべきです。

しかし、ここしばらく、デフレが続いたからといって、全く将来を悲観することはありません。いくら日銀が我を通そうと思っても永遠に通せるわけはありません。政府のあまりに酷い財政政策だって同じことです。実体経済をどこまでも、人為的に変え続けることなどできません。実際、デフレでこれだけ、日本経済をいたぶって、駄目にしても、日本は財政破綻しそうもありません。少なくとも、世界の金融市場は、日本は財政破綻しないものとして動いています。

そうであれば、いつかは、日本経済も、早い遅いは別にして、回復するとみて良いはずで、永遠に景気の悪さが続くわけではありません。であれば、先の短い、年配の経営者などは別にして、若い人たちが、将来に悲観する必要など全くありません。必ず良い時代がくるはずと信じて、今から準備を怠るべきではないです。

再び1930年代に、話を戻します。日本でも、1930年代に、世界恐慌の影響を受けて、昭和恐慌に陥り、景気が低迷しました。しかし、日本は、高橋是清によるリフレ政策により、世界で一番先に恐慌から立ち直りました。しかし、アメリカは、立ち直るが遅れて、最終的に立ち直ったのは第二次世界大戦がはじまって、少ししてからでした。そうして、恐慌中のアメリカというと、今では、悪いことばかりが考えられていますが、数々の文献を読んでいると、当時のアメリカは、意外と健全で活力に満ちあふていたことがわかります。だからこそ、戦争中には、経済も復活して、戦中から、戦後にかけて、超大国の道を歩むことができたのだと思います。



そうして、リーマンショック直後からしばらくのアメリカもかなり景気が落ち込んでいましたが、この期間もアメリカ人は意外と健全で、希望を失うことなく、過去の自分たちの無駄遣い、贅沢三昧を反省して、多くの人びとがそれまでの消費とは全く異なる消費活動を行うようになりました。これは、すでに、9・11同時多発テロの時代から見られた傾向でしたが、リーマン・ショック後かなり顕著になりました。それが、このブログにも何回か掲載したスペンド・シフトです。それは、以下のようなものです。
自分を飾るより ⇒ 自分を賢くするためにお金を使う。
ただ安く買うより ⇒ 地域が潤うようにお金を使う。
モノを手に入れるより ⇒ 絆を強めるためにお金を使う。
有名企業でなくても ⇒ 信頼できる企業から買う。
消費するだけでなく ⇒ 自ら創造する人になる。
日本でも、こうした傾向が特に震災以降みられるようになり、上記で労働力が移動している優秀な企業は、まだ無名ですが、このような消費傾向に良く対応しているのだと思います。そうして、おそらくこうした企業が従来の優秀だった企業に置き換わって行くのだと思います。私は、今の若い人たちも、こうした良い面での、アメリカの国民性を見習うべきと思います。少しばかり景気が悪いからといって、将来の希望まで捨て去る必要などさらさらありません。なぜなら、今の日本、恐慌時のアメリカと比較しても、良いことばかりだからです。今の日本は、過去20年以上わたって、対外金融資産(要するに外国に貸しつけているお金のこと)が260兆円で世界一です。個人資産も、アメリカについで未だに世界第二位です。

アメリカ人の楽観性は、日本の震災においてですら、発揮されました。震災が起こった次の週からアメリカでは、株価が跳ね上がりました。これは、日本の震災の規模が予想をはるかに上回るものであったため、復興のためには、相当の投資をしなければならないことが予想され、日本の景気がかなり良くなであろうことを、予期してのことです。震災自体は大変なことで、日本では、直後にはいわゆる自粛という現象がみられました。本来ならば、今頃日本は普通に復興などしていれば、古今東西の事例が示すように、かなり景気が良くなっているはずですが、政府が緊縮財政を続け、日銀が金融引き締めを続けるという、他国では考えられないような、常識はずれの、財政政策、金融政策をしているため、現状はそうはなっていません。これだけ、政府や日銀やマスコミが日本国を弱体化させるために、滅茶苦茶なことをしていても、これだけ経済力や国力を保っていられるのは、日本国民が優れているからにほかなりません。まさに、奇跡の国日本です。


こうした日本の特異性は、様々なところに散見されます。たとえば、人口に関しては、いわゆる、多民族複国家などをのぞけば、日本は世界第一位です。ほぼ単一民族で占められている国では、日本が一番人口が多いです。イギリス、フランス、イタリア、ドイツだって、人口は日本よりはるかに少ないです。韓国、北朝鮮をあわせても、日本よりは、はるかに人口が少ないです。よくひきあいに出される、人口の多い中国、インドなどは例外中の例外中にすぎません。日本のように、狭い国土に多く人がまとまって住んでいたり、そもそも言語も文化もほぼ同じ人々が住んでいるという国も他にはありません。本当に、素晴らしい市場です。こんなに恵まれた市場は、他にはありません。世界でこれだけ、密集して巨大なマーケットが存在する国はないでしょう。これだけの人数のマーケットに対して言葉が一つ、生活習慣もほほ同じというような国は他にありません。

日本で大国と思われているロシアですら、多民族複合国家であり、しかも、人口は、1億4千万で、日本よりわずか多いだけです。その他でも、調べるといくらでも、日本が独壇場である環境や、技術や、文化などいくらでもあります。料理の世界では、フレンチのシェフが、とうとう日本のように出汁を料理をつかいはじめたとか、そもそも、江戸時代に和食の文化がフレンチに大影響を及ぼしているとか、探してみると、まだまだたくさんあります。アップルのスティーブ・ジョブズは、明らかに日本文化の影響を受けて、自らのライフスタイルに取り入れていました。


また、世界には、神話が多くの残されていますが、たとえば、ギリシャ神話と、現代のギリシャ人との間には、何の関連性もありません。現代ギリシャは、皆さんもご存知のように、発展途上国にすぎません。イギリスには、ストーンヘンジがありますが、これも、現代のイギリス人とは何の関係もありません。古代エジプトと、現在のエジプトとは直接の関係はありません。しかし、日本の神話や、古墳、その他の古い文化財など、すべて現在日本に住んでいる日本人と直接関わりがあるものばかりです。以上あげれば、きりがないので、それに本日の本題とは、直接関係はないので、このあたりでやめておきます。


こんな国に見込みがないなどと思い込むのは、マスコミの刷り込みによるものがほとんどです。日本が駄目なら、世界を見回せば、地獄に落ち込んでいるような国々が数多くあります。歴史のある程度長い国であれば、現在いわゆる先進国であっても、過去には、戦争に負けて、他国の支配下にあったり、経済的にとてつもなく落ち込んだり、内乱にあけくれたなどということはいくらでもあることです。そのような国と比較しても、日本は、様々な資源に恵まれていますし、古い文化が息づいているいるにもかかわらず、革新的でもあります。

連合艦隊
上の日銀批判記事の高橋洋一氏も、何も日本が駄目とか日本の国民が駄目と言っているわけではありません。そうではなくて、日銀が駄目、政府が駄目と言っているのです。高橋洋一氏は、日本は今後80年間財政破綻することは全くあり得ないと自信たっぷりに語っていました。私も、そう思います。それどころか、日本のデフレが解消したときには、日本企業も、国民もとてつもない力を発揮して世界をリードするものと確信しています。


こんな国に将来が全くないなどということは、考えられません。それに、最近では、アメリカも中国も、EUでも景気に陰りがでています。それも、不況なのに、緊縮財政をするなどまるで、過去に日本がたどってきたような道を歩みかけています。

私自身は、日本のデフレ・円高は、そろそろ収束すると思います。いずれ近いうちに、政府の緊縮財政、日銀の金融引き締め政策は、何にもならないどころか、デフレ・円高の原因であることが、多くの人に理解され、世論の大勢を占めるようになれは、政府・日銀も世論を無視するわけにはいかなくなるからです。その日は、皆さんが思っているよりはるかに近いと思います。



現在の政権やその政権からあたかも独立しているように思い込んで我が世の春を謳歌しているようにみえる日銀や、日本を貶めて異国の為政者たちに力を貸すものどもも、所詮歴史の悠久の流れの中に咲いた一時の徒花に過ぎません。1,000年に一度の震災や津波、原発事故でさえ、悠久の歴史を持つ我が国の歴史からみれば、ほんの一時のことに過ぎません。朝廷をはじめとする私たち日本人の日本の伝統文化、それに勤勉で実直な国民性は、古から今に至るまで、継承されてきましたが、これからも悠久の歴史の中に燦然として輝き続けるどころか、さらに輝きを増すことでしょう。そうして、こうした勤勉と実直さを強く継承してきた東日本の人々も近いうちに、復興をなしとげ、悠久の歴史の中で共に燦然と輝くことになることでしょう。このような国日本の未来は明るいです!!




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