2016年12月22日木曜日

習近平総書記 共産党員に1.5万字の「習語」書き写し指令―【私の論評】司馬遷を妄用しないと統治の正当性を保てない断末魔の習近平(゚д゚)!

習近平総書記 共産党員に1.5万字の「習語」書き写し指令

 習近平総書記の最側近で、中国共産党内では事実上のナンバー2といえる王岐山・中央紀律検査委員会書記。

 その王書記は2015年4月23日、習近平総書記の母校・清華大学での講演のため訪中したフランシス・フクヤマSAIS(ジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院)教授、青木昌彦スタンフォード大学名誉教授らと面会し、習近平政治について、こう講釈した。

フランシス・フクヤマ氏 写真はブログ管理人挿入
 「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国はいまでも神が統治するから、司法は必ず、中国共産党の指導のもとに行動しなければならない。

 各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙きれにすぎない。だから憲法が定める最高権力者の大統領は、神ではない。また、日本には天皇がいて、英国には女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」

 王書記は、大胆不敵にも「習近平=神」論をブチ上げたのである。

王岐山(左)と周近平(右)
 実際、習近平総書記に対する神格化は、2016年になって本格化した。2月28日、習近平総書記は党中央弁公庁を通して、「両学一做」(党章・習近平講話を学習し、党員として合格する)運動を、8779万共産党員に向けて発布した。

 これは、約1.5万字ある党章と、あまたの習近平講話を、全党員が年末までに手書きで書き写すという指令である。かつて毛沢東が「毛沢東語録」によって国民を洗脳したように、「習語」(習近平語録)で洗脳し始めたのである。

 同年8月2日、中国共産党の非公式重要会議「北戴河会議」を一週間後に控えたこの日、習近平総書記率いる党中央は、唐突に「共青団中央改革法案」を発表した。

過去4年間の習近平総書記は、最大の政敵である江沢民派との権力闘争に明け暮れた。周永康、薄煕来、徐才厚、郭伯雄……。江沢民派の大物幹部たちを、次々と獄中に叩き込んできた。90歳を迎えた江沢民元総書記は、すでに上海で入院中で、江沢民派はいまや、「兵どもが夢の跡」だった。

 そこで習近平総書記は、もう一つの巨大派閥である「団派」(胡錦濤派)に宣戦布告したのだった。「団派」とは、共産党のエリート養成機関である共産主義青年団(共青団)出身者を指し、中国全土に約8000万人もいる。

 習近平総書記が「団派」に叩きつけた改革案は、共青団中央の機構、幹部の選抜方法、活動内容、共産党・政府との関係の4点を是正していくというものだ。要は、今後は共青団を「習近平傘下」に置くので、従う者は選抜するが、従わない者は排除するという「通告」だ。

 この改革案に「団派」は沈黙した。そこで勢いを得た「新貴」たちは、北戴河会議で次々に発言した。

 「優れた指導者(習近平総書記)ならば、プーチン大統領のように半永久的に執権すべきだ」

 「優れた指導者がいるのに、いまから若手の後継者を育てる必要などない」

 「優れた指導者さえいれば、常務委員(トップ7)は5人いれば十分だ」

 2017年は、秋に第19回共産党大会が開かれ、習近平総書記にとって「独裁体制完遂の年」となる。そして習総書記が抱く「中国の夢」がかなった暁には、中国は「大きな北朝鮮」と化すことになる。

 ●文/右田早希(ジャーナリスト)

 ※SAPIO2017年1月号

【私の論評】司馬遷を妄用しないと統治の正当性を保てない断末魔の習近平(゚д゚)!


上の記事を読むと、やはり現代支那も、司馬遷の歴史観に呪縛されている事がよくわかります。

王岐山の、

「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国はいまでも神が統治するから、司法は必ず、中国共産党の指導のもとに行動しなければならない。

 各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙きれにすぎない。だから憲法が定める最高権力者の大統領は、神ではない。また、日本には天皇がいて、英国には女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」

という発言は、簡単に言ってしまえば、司馬遷の歴史観を言っているに過ぎません。

司馬遷といえば、『史記』(しき)ですが、これは、中国前漢の武帝の時代に司馬遷によって編纂された中国の歴史書です。正史の第一に数えられています。二十四史のひとつです。計52万6千5百字。著者自身が名付けた書名は『太史公書』(たいしこうしょ)ですが、後世に『史記』と呼ばれるようになるとこれが一般的な書名とされるようになりました。


司馬遷が『史記』で書きたかったのはただ一つ、「武帝は正統の天子である」という事でした。この国というか地域には古代から多くの皇帝が帝位についたのですが、それは天命を受けた皇帝が付いたのであり「正統」であるとしています。

ところが、この『史記』の歴史観がその後の支那人の歴史に対する考えを決めてしまったのです。「正統だから帝位につき、正統という点では中国の歴史に変化はない」ということがその後の中国の史書の大原則になってしまったのです。

だから、その後に書かれた中国の正史は常に「天下に変化はない」と書かなければいけなくなったのです。変化があったら正統ではなく、それは現皇帝を否定することになるからです。

そんな正史を書いたら、書いた本人はまず死罪になってしまいます。死にたくないから、皇帝に喜んでもらえる正史を書くしかなくなってしまったのです。中国の正史とは「そういうもの」であり、事実を書き記したものは正史ではないのです。

そうして、他の国から使者が来たら「下っ端の国が貢ぎ物を持って拝謁に来た」と書くのです。なぜなら、皇帝が喜ぶからです。ここで中国側は「下っ端の国(=属国)」と書くのですが書かれた側は家来とも下っ端とも思っていないし、そもそも自分の国が「中国の下っ端」と書かれていることすら知らないのです。

さらに、貢ぎ物を持ってきた国が遠くであれば遠いほど、自分の威光がそこまで及んでいるのかと皇帝を喜ばせるため書き手はつい大袈裟に書いてしまうのです。そのため、外国の位置をかなり遠くにあることにして書いてしまうのです。

こういう書の一つが『魏志倭人伝』です。だから、これをいくら詳細に分析しても邪馬台国の位置は判りません。そもそ、これは皇帝を喜ばせるために書いたものだからです。書いた張本人も「これは正しいことを書いたものだ」などとは考えていないのです。

このような歴史観は、現代支那の覇権主義や、周近平の統治の正当性を主張するには、都合が良いかもしれません。

しかし、こんな古代の歴史観を現代に適用するなど、正気の沙汰とは思えません。こんな話を王岐山から聞かされた、フランシス・フクヤマ氏も、青木昌彦氏もさぞ驚かれたことでしょう。

青木昌彦氏
しかし、これは別な側面からみれば、そこまでしないと習近平の統治の正当性を主張できないということを意味します。そもそも、現在の支那である中華人民共和国は、建国以来一度も選挙をしたことがありません。

日本には、国民の統合の象徴としての天皇陛下がいらっしゃいます。イギリスにも、伝統のある王室があります。そうして、日本もイギリスも、民主的な手続きである選挙で、首相を選びます。日本などのように、歴史の古い国ではなくても、アメリカには民主的な手続きで選ばれた国家元首である大統領がいます。中国以外のまともな国では、すべて選挙という民主的な手続きをもって、為政者を定めています。

いずれをみても、中国共産党のその権力の背景がなんであるのか、得体の知れない、幹部たちとは違います。中国や北朝鮮などを除いたほとんどのまともな国が、民主的な手続きによって、統治の正当性を得た上で、為政者が決められています。

一度決まった為政者であっても、統治の正当性を失えば、選挙によって排除され、新たな為政者にとって変わられます。

中国ではそのような手続きはなく、中国共産党の幹部は指名によって選ばれます。これでは、元々統治の正当性が低いのは当然のことです。だから、支那の共産党幹部らは、何とか自らの統治の正当性を高めるため、躍起になるのです。

習近平の腐敗撲滅運動という名の権力闘争も、他者の統治の正当性を低め、自らの統治の正当性を高めるために行っているのです。

膨大な「習語」を書き写さなければならない、支那の幹部も大変です。この「習語」は、習近平の自身の手によるものを写すのでしょうか。だとすれば、あまり良い結果は招かないような気がします。

それは、習近平の字があまりに不味いからです。それについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本のアニメに怯える習近平政権 歴史観が日本に“洗脳”されてしまう!「進撃の巨人」の“排除”を指示―【私の論評】古代中国の徳や知恵の継承者は日本、現代中国ではない(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部分を引用します。
中国の過去の歴史は、大帝国を築いても、結局分裂し、また新たな帝国ができるのですが、過去の帝国とは全く分断され、文化や伝統など継承しませんでした。過去の中国は、何の反省もなく、それを繰り返しました。

そうして、今日の中国も同じことであり、過去とは断絶しています。古代中国と現代中国は全く別物です。だから「5000年の歴史文化を持つ大国のメンツ」などというのは、まさに噴飯物です。

現代中国は、文化大革命で、過去の中国の知恵からは完璧に断絶されました。文化大革命(プロレタリア文化大革命とも呼ばれる。簡体字:无产阶级文化大革命 繁体字:無產階級文化大革命)、通称文化大革命(ぶんかだいかくめい)は、中華人民共和国で1966年から1976年まで(終結宣言は1977年)続いた、社会的騒乱です。略称は文革(ぶんかく)。

名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という政治・社会・思想・文化の改革運動でした。しかし実際は、大躍進政策の失敗によって政権中枢から退いた毛沢東共産党主席が自身の復権を画策し、民衆を扇動して政敵を攻撃させ失脚に追い込むための、中国共産党の権力闘争でした。

これにより1億人近くが何らかの損害を被り、国内の大混乱と経済の深刻な停滞をもたらしました。

この文革、ハチャメチャな権力闘争であり、その中でも、1973年8月から1976年まで続いた「批林批孔運動」は酷いものでした。その内容は、林彪と孔子及び儒教を否定し、罵倒する運動でした。

幼少の頃に文化大革命に遭遇し、後に日本に帰化した石平氏は、「この結果、中国では論語の心や儒教の精神は無残に破壊され、世界で屈指の拝金主義が跋扈するようになった」と批判しています。

古代中国の知恵を自分たちの血とし、肉として、それを現代に至るまで継承してきたということでは、日本のほうが現代中国よりも、古代中国の知恵の継承者として、数段上にあると言っても良いくらいです。誰でも、一度は漢文に接したことがあることでしょうし、習字をしたこともあると思います。さらに、私達の生活習慣の中にも、古代中国の知恵や文化が息づいています。


これに関しては、上の写真を見ても理解できます。上は、日本の安倍総理による習字と、習近平のものを対比したものです。 
結局今の支那、中国の古代の司馬遷の知恵を多くの日本人のように、その頃の時代背景も踏まえた上で自分たちの血肉として素養として身に着けているというのではなく、自分たちの都合の良いように、古代文明や先達の知恵を妄用しているだけです。

習近平は、自分の考えを共産党幹部に植え付け、植え付けられないものは排除するというとです。これでは、完璧に全体主義以外の何ものでもありません。

ブログ冒頭の記事には、「習総書記が抱く「中国の夢」がかなった暁には、中国は「大きな北朝鮮」と化すことになる」と結論が述べられていますが、まさにその通りです。

しかし、このような不自然なことは成り立たないと思います。私は、習近平は近いうちに失脚すると思います。その後を引き継ぐ主席も、長続きはしないでしょう。

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2016年12月21日水曜日

「そんな軽い話ではない」菅義偉官房長官が翁長雄志知事に不快感 返還式典欠席で抗議集会参加の意向で―【私の論評】沖縄だけ治外法権のように振る舞わせるな(゚д゚)!

「そんな軽い話ではない」菅義偉官房長官が翁長雄志知事に不快感 返還式典欠席で抗議集会参加の意向で

翁長知事のTwitterのプロフィール写真
菅義偉官房長官は21日午前の記者会見で、沖縄県の翁長(おなが)雄志(たけし)知事が名護市で22日に開かれる米軍北部訓練場(東、国頭両村)の返還式典に出席せず、米軍の新型輸送機オスプレイによる不時着事故の抗議集会に参加する意向を示していることに関し「『歓迎する』と言っていたではないか。そんな軽い話ではない」と不快感を示した。

 翁長氏は10月、菅氏と面会した際に米軍北部訓練場の年内返還を目指す政府方針に対して「歓迎する」と発言。しかし、その後「不適切だった」として自身の発言を撤回した。

【私の論評】沖縄だけ治外法権のように振る舞わせるな(゚д゚)!

翁長知事は、一体何を考えているのでしょうか。県民の希望にもかなう基地返還の式典ではありませんか。

しかも、事前に「歓迎する」と行っていたはずではありませんか。本当に沖縄県民は、翁長知事を支持しているのでしょうか。このような知事一日でも早くやめてほしいとは思わないのでしょうか。

沖縄県知事・翁長氏の娘は中国・北京大学に留学後、上海の政府機関で働く男性と結婚。その男性は中国共産党・太子党幹部の子息だといいます。太子党といえば、習近平国家主席も属している派閥です。


中国では、太子党派閥の習近平が、反腐敗運動という名の、権力闘争を他の派閥に対して仕掛けています。

翁長知事の親中路線は「娘婿の親の顔を立てるために中国に配慮した」ように見えますが、悪く見れば「中国に人質をとられて、中国の言いなりになっている」ようにも見えます。

沖縄県知事選で当選を確実にし、娘たちと抱き合って喜ぶ翁長雄志氏

こういう人物が「日本国沖縄県の知事」であってもよいのでしょうか?このことは、沖縄県の皆様はご存知なのでしょうか。

それにしても、沖縄は県知事もそうですが、市役所などの他の自治体も異常です。下の写真をご覧下さい。

以下は、市役所の職員がオスプレイノーバッジをつけて、業務をしていたことを示す写真です。



以下に、この写真に関連した新聞記事を掲載します。これらは、残念ながら、現在ではリンク切れになっています。
オスプレイ「NOバッジ」着用 中城、宜野湾の役所職員(2012年10月23日 琉球新報)

 【中城・宜野湾】中城村と宜野湾市の職員が22日、普天間飛行場へのMV22オスプレイ配備反対を示す赤いバッジを着けて業務を始めた。中城村職員労働組合が200個、宜野湾市職員労働組合が1500個を職員に配布した。
 中城村では浜田京介村長が賛同し、管理職や臨時職員にも着用を呼び掛けた。配備以降、村内での飛行が始まったことから、稲嶺盛昌・村職労執行委員長は「公務の職場で働く職員の立場から強行配備の撤回につなげたい」と話した。 
 宜野湾市では川上一徳市職労委員長が佐喜真淳市長に管理職のための100個を手渡した。バッジはオスプレイの絵と「NO」の文字で配備に反対する意思を示している。 
オスプレイ:反対の特製バッジ着けて業務(2012年10月22日 10時02分 沖タイ)

 【宜野湾・中城】宜野湾市と中城村では22日から、職員がオスプレイ反対の特製バッジを着けて、業務に当たる。配備が強行されたことを受け、宜野湾市職労が1500個、中城村職労は200個を準備した。組合員だけでなく、管理職にも着用を呼び掛ける。

 両市村とも同じバッジで、オスプレイの黒い影の上に、「NO!」の文字や「×」マークがプリントされている。中城村では浜田京介村長が快諾。稲嶺盛昌執行委員長は「復帰40周年のプレゼントがオスプレイなんていうことは許されない。村民の生命・財産を守るために一丸となって取り組みたい」と話している。
これは、公務員にあるまじき行為であり、特定の思想を公職の立場を利用して、流布するのはいかがなことか思います。これは、完璧に公務員法35条、36条ともに違反です。

この異常な状態、そのまま放置しておくわけにはいかないでしょう。沖縄は、日本なのですから、沖縄だけあたかも治外法権のように振る舞わせておくべきではありません。

無論、多くの沖縄県民の多くは、翁長知事の行動を快く思っていないでしょうし、県庁や市役所の職員が公務員にあるまじき行動をしていることを快く思っていないでしょう。

いずれ、橋下徹氏のような人を、沖縄県知事や市長になって、馬鹿な県庁職員や、市役所職員と対峙して、これを改めていただきたものです。

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2016年12月20日火曜日

中国が抗議…空自「妨害弾」の真実 オスプレイ報道も疑問 ジャーナリスト・桜林美佐氏が迫る―【私の論評】日本のマスコミ、翁長知事、民進党は中国スパイでなくて馬鹿であって欲しい(゚д゚)!


那覇基地からスクランブル発進する、航空自衛隊のF15戦闘機
 

中国軍機6機が10日、沖縄本島と宮古島の間を通過した際、航空自衛隊のF-15戦闘機がスクランブル(緊急発進)した。当然の防衛行動だが、中国国防省は「空自機が『妨害弾』を発射して安全を脅かした」と発表し、日本政府は「事実と異なる」と反論・抗議した。日本に迫る危機について、ジャーナリストの桜林美佐氏が迫った。

「クリーピング・エクスパンション」とは、ほふく前進でいつの間にか敵の陣地を奪うことをいう。中国がまた歩を進めてきた。

沖縄での件について、中国が主張する「妨害弾」が、何を指すかは不明だ。仮にミサイルを欺瞞(ぎまん)するフレアが発射されたとしても、それは危険回避のための措置であり「防御弾」と言った方がいいだろう。

防衛省はフレア使用を明白にしていない。ハッキリしているのは、現場空域で、中国機がかなり危険なことを仕掛けてきていることと、あらぬ言い掛かりをつけてきていることだ。

気になるのは「戦闘機にはパイロットが乗っている」という当たり前のことを、国民が忘れているのではないかということだ。危険にさらされているのは鉄の塊ではなく、生身の人間なのだ。

連日のように、中国軍などによる恫喝(どうかつ)を受けて、命のやり取りをしているのだとしたら、どのような精神状態だろうか。案じる理由は、日本独特のいびつな状況にある。

防衛ジャーナリストになる以前の桜林美佐氏
元戦闘機パイロットで、航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将は「万が一、沖縄県・尖閣諸島上空で、『領空侵犯事態』が起きた場合、どうすべきかが問題です」という。

今回のスクランブルを「領空侵犯機」への対応と捉えるような記事の見出しが散見されるが、正確ではない。自衛隊はあくまでも「領空侵犯を阻むための措置」をしているのである。

しかし、一線を越えられてしまっても、法的には撃墜はできないことになっている。安全保障法制論議でも忌避された法的不備を、政治はどうするつもりなのか。

佐藤氏は「毅然として、列国空軍と同様の対応を取ることが必要です。中国の戦闘機が反抗してきたなら撃墜することです。必ず撃墜しなければ相手がつけ上がるばかりです」という。

そのための法的根拠がなければ、国の意志が示されないことは言うまでもない。責任まで現場に丸投げは許されない。

さらに、ひどいのは一部マスコミだ。

まさに一触即発の防空がなされている最中、空自基地で情報管理のために通話記録を任意で集めたとして、批判的記事が出ていたのには驚いた。

沖縄で不時着したオスプレイ
 沖縄でのオスプレイ事故も、米軍パイロットは乗員の命を守り、沖縄県民も被害に遭わせない、ギリギリの操縦をした。熊本地震の救援にも駆け付けた人物という。報道は批判一色で、同盟国の軍人に対する、お見舞いの言葉も見られない。中国には数日後にやっと抗議したのに、米軍にはすぐに苦言を呈した。

一体、日本の置かれた状況を分かっているのだろうか?

【私の論評】日本のマスコミ、翁長知事、民進党は中国スパイでなくて馬鹿であって欲しい(゚д゚)!

現在の日本の対応は、領空侵犯前に所属不明機等が防空識別圏に侵入した場合は戦闘機が緊急発進し、所属不明機に張り付きます。同時に、無線と戦闘機による警告が実施され領空侵犯が確実と場合は警告射撃を行い、強制着陸をさせます。

実例として、1987年12月9日に発生した対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件があります。この時は領空侵犯機がTu-16J型機でしたが、堂々と沖縄上空を飛翔しています。

領空侵犯の時点で迎撃に上がった航空自衛隊第302飛行隊所属のF-4EJ戦闘機2機の内1機が警告射撃を実施していますが効果はなく、悠々と空域を離脱したそうです。

このようときのロシアのTu-16Jように警告に従わず、領空を侵犯する所属不明機を撃墜するような規定は日本にはありません。

ただし、攻撃されは場合は、その限りにはありません。たとえば、国籍不明機が武装して1直線に原子力発電所に向かっている状況があれば防衛大臣は総理大臣に報告して決断を迫ることになるでしょう。

総理大臣が、防衛出動を命じて撃墜と同時に解除してしまえば国会承認は必要ありません。自衛隊法では防衛庁が政府に出動の承認は求める必要性はあるものの、出動の可否は求めていません。

中国機が明らかに日本のいずれかの場所に攻撃を加えることが明らかな場合は、内閣総理大臣の責任において、無論反撃することは可能ではあります。

緊急事態に決断力のない総理大臣を筆頭とする軟弱な内閣が現れない事を祈るしかありません。いずれにせよ、おそらく、映画「シンゴジラ」での官邸でのやりとりのような事が行われてからようやっと動くということになると思います。


この映画を観ていたとき、官邸の頓珍漢な動きに、周りで視聴していた多くの人から笑い声が巻き起こりました。シンゴジラへの対応を決定する意思決定がもどかしいので、それをおかしく感じたのでしょう。

しかし、あの対応はもしほんとうにシンゴジラのような生物が存在し日本に上陸した場合、あのような対応にならざるをえないというが実情です。

一番恐ろしいのは、上の記事で桜林さんは、直接指摘はしていませんでしたが、中国が明らかな意図をもって、自衛隊の航空機に攻撃を加えようとしたり、日本のどこかを爆撃しようとした場合、その対応するのに、それこそシンゴジラへの対応のように、すぐに意思決定ができない場合、失わなくても良かったはずの、最前線の戦闘機のパイロットの命は、最前線の基地などの自衛隊員の命が奪われてしまうことです。

失う必要もなかった、自衛隊員の命が奪われてからはじめて、今のままでは、反撃に移るという愚かなことが起こってしまうこともあり得るのです。

このような危機については、マスコミや野党などもほとんど取り上げません。

しかし、オスプレイの不時着となると、マスコミや沖縄県など全く筋違いの批判を繰り返したりします。

オスプレイが墜落したというのなら、まだしも、不時着したことをあそこまでセンセーショナルに伝える必要性など全くありません。

米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行再開を受け、民進党など野党や沖縄県側は19日、「拙速な飛行再開は沖縄県民の気持ちに寄り添っていない」(大串博志民進党政調会長)などと、飛行再開に理解を示す政権への攻撃材料とする構えを見せました。ですが「拙速」と判断する根拠は弱く、「オスプレイは危険」というイメージばかりが先行しています。

そもそもオスプレイが24年10月に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された際、同機の安全性を強調したのはほかならぬ民主党政権でした。オスプレイの10万時間当たりの事故率は昨年9月時点で2・64で、他の海兵隊機も含めた平均値と変わりがありません。

今回の事故は、空中給油訓練中のMC130特殊作戦機の給油ホースと接触したオスプレイのプロペラが損傷し、飛行困難となったことが原因です。米軍は「搭載システム、機械系統、機体構造を原因とするものではない」と説明しています。


翁長氏らは、今回の事故が「不時着」ではなく「墜落」だと主張し、重大な事故と印象づけようともしているようです。ですが、自衛隊のあるヘリコプターパイロットは「残骸は1カ所に固まっており、狙ったところに着陸した証拠だ。『墜落』ならバラバラになる」と証言しています。これは、オスプレイの不時着現場をみれば、誰でも容易に理解できるのではないでしょうか。

下の写真は、ノルウェーのヘリコプターが墜落したところの現場写真です。この事故では、13人が死亡しています。機体はバラバラになってあちらこちらに散乱している状態です。


写真に写っているのは、ローターの一部だと思われます。

オスプレイというと、中国にとってはまさに「悪魔のヘリコプター」です。なぜなら、航続距離が異常に長いからです。沖縄のオスプレイは、給油をしながら、ネパール震災のとき沖縄からネパールに直接飛行して、現地入りしました。

普通のヘリコプターだと航続距離が短いため、給油をしてでさえ沖縄からネパールまで直接飛行することは不可能です。ヘリコプターを遠いところに運ぶ際には、分解をして船や、車両に載せて現地まで運び、それをまた現地で組み立てるということになります。しかし、そんなことをしていては、被災地の支援には間に合いません。

しかし、オスプレイは給油しながらであれば、沖縄からネパールまで直接飛行することができます。これは、他のヘリコプターにはできない芸当です。

この意味するところは、給油さえすれば、オスプレイで中国全土のどこへでも、兵員をピンポイントで輸送できることを意味します。

中国側からみれば、習近平氏個人をオスプレイを使って、拉致することも可能であるということです。あるいは、中国に対して軍事作戦をする際に、本当に中国の軍事上の拠点で、弱点となるところに、ピンポイントで兵員を輸送できることを意味します。

これは、日米にとっては、安全保証上の優位です。まさに、日米にとっては「天使のヘリコプター」です。

しかし、日本のマスコミや野党、翁長知事などは、まるでオスプレイを「悪魔のヘリコプター」呼ばわりしています。これでは、彼らのことを、中国スパイか余程の馬鹿であると断ずる以外に理解のしようがありません。

私としては、彼らが馬鹿であって欲しいと思います。なぜなら、馬鹿はかなり難しいかもしれませんが、心を入れ替えたり、本気で物事を知るように努めれば、まだ治る見込みもあるからです。しかし、中国スパイであれば、治りようがありません。一度スパイを働いたものは、もう元には戻しようがありません。日本国、日本国民の敵です。
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2016年12月19日月曜日

中国「海賊行為」で米中衝突危機 専門家「『なめられたことをやられては困る』と軍事衝突もあり得る」―【私の論評】衝突すれば日本にも大きな火の粉がふりかかる(゚д゚)!

中国「海賊行為」で米中衝突危機 専門家「『なめられたことをやられては困る』と軍事衝突もあり得る」

中国軍艦が奪った無人水中探査機の同型機(米国防総省提供・共同)
 ドナルド・トランプ次期米大統領への報復か-。中国海軍が15日にフィリピンの公海上で、米海軍の無人水中探査機1機を強奪した。米政府は国際法違反として返還を求めているが、中国は無視している。中国の「海賊行為」が対中攻勢を強めるトランプ氏を刺激することは間違いなく、米中の緊張関係が高まり、専門家は「軍事衝突もあり得る」と警戒している。

 事件はフィリピン北部ルソン島にあるスービック湾の北西約90キロの海域で発生した。米海軍の測量艦が2機の水中探査機を回収しようとしていたところ、中国海軍の潜水救難艦が約450メートルのところまで近づき、小型ボートを出して1機を奪った。測量艦は無線で返還を求めたが、潜水救難艦は要求を無視し、現場から離れた。

 米国防総省のジェフ・デービス報道官は中国の行動を「国際法違反だ」と批判した。報道官によると、水中探査機は海水温度や塩分濃度などを収拾していたという。

 米メディアでは、中国の狙いはトランプ氏に対するメッセージと報じられている。

 FOXニュースは「中国が南シナ海で米軍のドローンを米国人の目の前で盗んだ」という見出しで、今月2日に台湾の蔡英文総統と電話協議をしたトランプ氏に対する不満が、中国の行動の背景にあるとした。

 トランプ政権の発足を来年1月に控え、共和党からは現オバマ政権批判も上がっている。米上院軍事委員会委員長のジョン・マケイン上院議員(共和党)はワシントン・ポストの取材に対し、「こうした行動は米国が強烈で断固とした対応をしない限り続くだろう。これはオバマ政権ではできなかったことだ」と述べた。

ジョン・マケイン上院議員
 台湾の蔡総統との電話会談に加え、中国を台湾の一部とする「一つの中国」原則に疑義を呈したトランプ氏に対し、中国は反発。米シンクタンクは13日付の報告書で、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島にミサイルや航空機を迎撃する「近接防空システム」を配備したとみられると指摘している。

 米中関係を危機に陥れるような行動に出た中国の狙いは何なのか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「軍の一部がやったのか、国家の意思としてやったのかは分からないが、完全な違法行為だ」と指摘。中国が国家として行っていた場合、「米国がどこまで耐えられるか一歩一歩試しているのだろう。オバマ政権のうちに、できるだけ既成事実を作っておこうということではないか」と話す。

 トランプ次期政権の対応について、藤井氏は「トランプ政権は中国に対する警戒感が非常に高まる中でスタートすることになる。アメリカとしても『なめられたことをやられては困る』ということになるから、南シナ海で軍事衝突のようなことが起きるかもしれない」と解説した。

 まさに一触即発の事態だ。

【私の論評】衝突すれば日本にも大きな火の粉がふりかかる(゚д゚)!

中国が、米国の無人水中探査機1機を強奪したことは、一昨日のこのブログにも掲載しました。その記事のリンクを掲載します。
【緊迫・南シナ海】中国海軍艦船が米海軍の無人潜水機奪う 米政府は「国際法違反」と非難―【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?
イージス艦、潜水艦、空中ドローン、シーグライダーの連携作戦の模式図
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、無人水中探査機がどのような機能を持ったものなのかを説明するとともに、中国がこの無人水中探査機を強奪した理由に関しても掲載しました。この理由に関しては、私の憶測にすぎないのですが、それを以下に再掲載します。
このシーグライダー(無人水中探査機)は、当然中国の戦略原潜の動向もキャッチできるものと思われます。今回中国に強奪されたものはどのようなものかはわかりませんが、中国としては、このシーグライダーにかなりの脅威を感じているようではあります。

中国がせっかく、長年努力を傾注して、南シナ海を中国原潜の聖域にしようとしても、米国側に南シナ海にシーグライダーを多数設置し、中国原潜の動向を探っていたとしたら、そもそも聖域になりません。

米軍が、このシーグライダーを南シナ海の各所に多数配置して、有人潜水艦や、無人潜水艦、空中ドローン、イージス艦など多数配置して、これらを連動させるようにすれば、中国戦略原潜が不穏な動きをみせれば、すぐに撃沈できるようになります。

実際、今回中国側に捕獲されたシーグライダーがどの程度の能力のものかはわかりませんが、シーグライダーを戦術的に活用しようとするなら、今はそこまではいっていなくても、将来はそのようにするのは当然のことです。

そうして、中国では未だシーグライダーの技術は進んでいないと思われます。今回の強奪は、米軍のシーグライダーがどの程度の能力を持っているか確かめるためと、中国もシーグライダーを開発するため、技術を盗むという目的もあるものと思います。

もし、今回強奪さた米軍のシーグライダーの技術水準が高ければ、すでに中国による、南シナ海の原潜の聖域化は頓挫してしまっているかもしれません。
さて、中国がなぜこのような強奪をしたかについてブログ冒頭の記事の、「今月2日に台湾の蔡英文総統と電話協議をしたトランプ氏に対する不満が、中国の行動の背景にある」としていますが、私はそれだけではないと思います。

やはり、南シナ海を中国戦略原潜の聖域にするという試みが頓挫しそうなので、かなりの脅威をいだき、何が何でも南シナ海を聖域にするという決意を示したものと思います。そうして、この無人水中探査機の性能を調べることと、その技術をコピーすることも理由だったと思います。

このような、無人水中探査機は、ほとんど音を出さないので、中国海軍には探知不可能なのだと思います。ほとんど無音に近く中国海軍が全く探知できない潜水艦を開発する日本がこれを開発した場合、ほとんど無音で、中国側は全く探知できず、自由自在に南シナ海の海域の中国軍の動きを丸裸にできるようになります。米国ももちろん、これを開発し、将来は軍事用に多数の無人水中探査機を世界中の海に放つつもりでしょう。

米国と中国の間には戦争勃発の可能性があり、起きた場合、その展開は日本の動向に大きく左右される。米国の大手安全保障研究機関、ランド研究所がこんな衝撃的な予測を今年の夏に打ち出していました。その要旨を以下に掲載します。

ランド研究所
同研究所は、米陸軍当局からの委託で米中戦争に関する調査や研究を進め、その結果を今年7月末、約120ページの「中国との戦争」という報告書にまとめた。予測期間は2025年までとされています。 

同報告書は、米中戦争が勃発するきっかけとして以下のような事態を想定していた。
・東シナ海の尖閣諸島などをめぐる日中両国の軍事摩擦
・南シナ海での中国のフィリピンやベトナムへの軍事威圧
・北朝鮮の政権崩壊に伴う米中双方の朝鮮半島への軍事介入
・中国の台湾に対する軍事的な攻撃あるいは威嚇
・排他的経済水域(EEZ)や、その上空での艦艇、航空機の事故
以上のような小規模な軍事的摩擦や衝突が米中両国の戦争へとエスカレートしうるとしています。さらに同報告書は、米中戦争の規模などは以下のようになるだろうと予測していました。
・米中戦争は非核の通常戦力による戦闘となる。
・戦闘では主に水上艦艇、潜水艦、航空機、ミサイルが用いられる。宇宙とサイバー空間も戦いの場となる。
・戦闘は東アジアで始まり東アジアで続くが、西太平洋の広大な地域も戦場となる。
・通常兵器での戦闘が激しくなっても、核兵器は使われないだろう。
・中国は米国本土への攻撃は行わないだろう。
・米国は逆に中国本土へ激しい攻撃を加えるだろう。
・地上戦闘はほとんど起きない。
同報告書は以上のように米中戦争の特徴を予測し、さらにその戦闘の形態について、(1)短期で激烈、(2)長期で激烈、(3)短期で軽微、(4)長期で軽微――の4つのパターンを挙げていました。

その上で、それぞれのパターンついて、経済や政治など非軍事面での両国の損失を推定し、戦争の帰趨までを予測していました。 

その予測によると、数日から数週間の「短期」の場合、そして今から近い将来に戦争が起きた場合には、米国が圧倒的に有利だとしています。

一方、2025年に近い時期に米中戦争が起きた場合は、中国軍が「A2/AD」(接近阻止・領域否定)戦略の戦闘能力を着実に強化しているので、勝敗の決まらない膠着状態となる可能性が高いとしていました。 

同報告書で特に注目されるのは、米中戦争の勃発と展開に日本が非常に重要な役割を果たすと強調している点です。具体的には、日本は次のような形で関与する可能性があるとしています。
・中国は尖閣諸島周辺における日本との対立で、米国の日米安保条約の誓約を過少評価し、尖閣で日中間の戦闘が起きても米軍は介入しないとみて軍事行動に出る可能性がある。

・中国は米国との戦争になれば、日本の米軍基地や自衛隊基地を攻撃する確率が高い。その場合、日本はほぼ自動的に米国と共に戦うことなる。

・北朝鮮が中国の「同盟国」として米軍や在日米軍基地にミサイル攻撃を加える可能性がある。その場合も、日本は米国の味方としての立場を明確にするだろう。
このように同報告書は、米中戦争では日本が最初から米国の同盟国として戦う見通しが強いことを強調しています。日本が集団的自衛権の一部行使を容認したことで、その展望はさらに現実的なものとなったとしています。

同報告書は、米中戦争の勝敗の帰趨についても日本の動向が決定的な要因になり得るとして、以下のような点を強調していました。
・米中戦争において、米国の同盟国、友好国の動きはきわめて重要である。中でも日本の役割は決定的となる。 
特に2025年近くの米中戦争では、日本の潜水艦、水上艦艇、戦闘機、ミサイル、情報・監視・偵察(ISR)などの能力は米側にとって不可欠な基本戦力となる。

・米中戦争が長引けば長引くほど、日本の軍事的な対米協力の効果が大きくなる。日本の支援のおかげで、米軍は他の地域の米軍部隊を中国との戦争に転用する必要が減るだろう。中国軍にとって、日米連合の部隊と戦うことは困難になる。

・中国軍は2025年頃までには、年来の対米軍戦略の基本である「A2/AD」戦略の能力を大幅に高め、対米戦を勝敗のつかない長期戦に持ち込むことができるようになる。しかし、日本が米軍を全面支援することで均衡は変えられ、米軍は有利になる。 
以上の日本に関する数々の指摘の中で、「米中戦争が、尖閣諸島をめぐる日中の対立から勃発し得る」という点は、現在の日本にとってきわめて深刻な意味を持つと言えます。

同時に、米中関係が表面的に経済交流などで協調的、友好的にみえても、水面下では最悪の状態にあり、米中戦争の発生も想定しているという米国の現実的な姿勢も、日本はしっかり認識しておくべきです。

さて、上の予測では、米国の大手安全保障研究機関、ランド研究所の分析であるため、軍事に関する分析が中心となっていますが、アメリカにはもう一つ大きな安全保障策があります。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。 
当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。
世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

これに関しては、一昔前にある中国の高官が穀物の需要が増えたり、減ったりする中国の状況を「中国人の胃はゴムボールのようである」と語っていたことがあります。要するに、穀物需要がかなり減ったり、増えたりしても、中国は何とかなることを強調したかったのでしょう。

現実には、そんな馬鹿な話があるはずもなく、貧困層は穀物が手に入らず飢え死にしていたというのが実情でしょう。しかし、それは今から数十年も前のことで、今ではそのようなことはあり得ないでしょう。現状では、中国の貧困層でも何とか食欲を満たす穀物は手に入れられる状態になっていることでしょう。

実際最近では中国が突如、近年世界の穀物輸入国上位に躍り出てきました。2013年~14年期、中国の穀物輸入量は2,200万トンという膨大な量になりました。2006年の時点では、ま中国では穀物が余り、1,000万トンが輸出されていたというのに、何がこの激変をもたらしたのでしょうか?

2006年以来、中国の穀物消費量は年間1,700万トンの勢いで増大し続けている年間1,700万トンというと、大局的に見れば、オーストラリアの小麦年間収穫量2,400万トンに匹敵します。
人口増加は鈍化しているにもかかわらず、穀物の消費量がこれほど増加しているのは、主に、膨大な数の中国人の食生活レベルが向上し、より多くの穀物が飼料として必要な肉や牛乳、卵を消費しているからです。

2013年、世界全体で推定1億700万トンの豚肉が消費されました。そのうちの半分を消費したのが中国でした。人口14億人の中国は現在、米国全体で消費される豚肉の6倍を消費しています。 
とはいえ、中国で近年、豚肉消費量が急増しているものの、中国人一人当たりの食肉全体の消費量は年間合計54キロ程度で、米国の約107キロの半分にすぎません。しかしながら、中国人も世界中の多くの人々と同じように、米国人のようなライフスタイルに憧れています。

中国人が米国人と同量の肉を消費するには、食肉の供給量を年間約8,000万トンから1億6,000万トンへとほぼ倍増させる必要があります。1キロの豚肉を作るにはその3倍から4倍の穀物が必要なので、豚肉をさらに8,000万トン供給するとなると、少なくとも2億4,000万トンの飼料用穀物が必要になります。 
それだけの穀物がどこから来るのでしょうか。中国では、帯水層が枯渇するにつれて、農業用の灌漑用水が失われつつあります。たとえば、中国の小麦生産量の半分とトウモロコシ生産量の1/3を産出する華北平原では、地下水の水位が急激に低下しており、年間約3メートル低下する地域もあるほどです。 
その一方で水は農業以外の目的に利用されるようになり、農耕地は減少して住宅用地や工業用地に姿を変えています。穀物生産高はすでに世界有数レベルに達しており、中国が国内生産高をこれ以上増やす潜在能力は限られています。
2013年に中国のコングロマリットが世界最大の養豚・豚肉加工企業、米国のスミスフィールド・フーズ社を買収したのは、まさに豚肉を確保する手段の一つでした。 
また、中国政府がトウモロコシと引き換えに30億ドル(約3,090億円)の融資契約をウクライナ政府と結んだのも、ウクライナ企業と土地利用の交渉を行ったのも、その一環です。こうした中国の動きは、私たち人類すべてに影響を与える食糧不足がもたらした新たな地政学を実証したものです。 
このようなときに、米国に金融制裁を実施されたら、食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。
このように米国による対中国金融制裁が発動された場合、中国はとんでもないことになります。もともと、中国が経済発展できたのは、米ドルを多く蓄えていたからです。それが、信用を創造し、さらに外貨を獲得して、インフラ投資をすることによって発展できたのです。

しかし、金融制裁などされれば、中国の国家戦略は根底から覆されることになります。軍事的にも、経済的にも中国にはほとんど勝ち目はありません。

このようなことを掲載すると、あたかも私は、米中軍事衝突はないと考えていると思われるかもしれません。しかし、そうではありません。

考えてみてください、中国の現体制は、統治の正当性がかなり低いです。日本には、天皇陛下という国民統合の象徴が存在します。米国では、民主的な手続き経て選ばれた大統領が統治します。しかし、中国ではそのようなものは存在しません。

中国では、建国以来毎年平均2万件もの暴動が発生していました。そうして、2010年あたりからは、毎年平均10万件ほどの暴動が発生しているとされています。

中国共産党は、自分たちの統治の正当性を強化するため、日本を悪魔化し、人民の憤怒のマグマを日本に向けさせることで何とか自分たちの保身をはかってきました。また、大規模な治安組織である、城管、公安警察、人民解放軍を駆使して、人民を弾圧することによつても、統治の正当性を強調してきました。しかし、これには限界があります。

中国は日本を悪魔化しないと、統治の正当性を強調できない
この統治の正当性が崩れかけた場合、中国共産党は自分たちの保身のために何をするかわかりません。最近では、韓国で朴槿恵の統治の正当性が崩れて大変なことになっています。しかし、中国において共産党が統治の正当性を失った場合、共産党幹部は、朴槿恵の弾劾裁判どころの話ではなくなります。

人民法廷が開かれ、一族郎党が死罪や流刑や、とんでもない運命をたどることになりかねません。それを防ぐために、どう考えてみても無謀な対日米開戦を実行して、自分たちの保身をはかるということは十分に考えられます。

そうなった場合、米国による金融制裁や、軍事的な攻撃により、現在の中国の体制は完璧に崩壊することでしょう。

しかし、崩壊する過程において、日本にも当然のことながら、大きな火の粉がふりかかることは間違いありません。かかった火の粉は、無論自分で振り払わなければなりません。

ランド研究所の「米中戦争が、尖閣諸島をめぐる日中の対立から勃発し得る」という点は、現在の日本にとってきわめて深刻な意味を持つと言えます。

同時に、米中関係が表面的に経済交流などで協調的、友好的にみえたとしても、水面下では最悪の状態にあり、米中戦争の発生も想定しているという米国の現実的な姿勢も、日本はしっかり認識しておくべきです。

【私の論評】



2016年12月18日日曜日

【悲報】池上彰さんの番組のグラフが「印象操作」だとネットでは批判殺到―【私の論評】裏付けに乏しく、また実感にも乏しい印象操作が支持されるわけがない(゚д゚)!



池上彰の番組が波紋を呼んでいる。問題の番組はフジテレビの「池上彰緊急スペシャル 格差はなぜ世界からなくならないのか」というもので、世界の格差と日本を比べるというものだ。番組では日本の格差が徐々に広がっている点を問題提起していたわけですが、そのグラフが明らかに印象操作していたということだ。


問題となっているグラフは日本の平均所得の推移と、米国の平均所得の推移。一見、米国の赤い色(下位90%)推移のほうはあまり変わっておらず日本はとんでもなく変化しているように見えますが、実はこれ目盛りの値が全く違い、日本のほうは0.8~1.4、対して米国は0.5~3.0と全く異なる。

従ってこれを比べると、日本がものすごい格差が広がっているようにみえるのですが、同じ目盛りの表にしてみると・・・。



(左:番組の表・右:当サイトで同じ目盛りにしたもの)

こんな感じになるはずです。確かに格差は広がっているので間違いではないのですが、左に比べるとインパクトは薄い。

テレビ側としては誤ったグラフを使用しているわけではないが、あえて目盛りを変えたこの表現にネットでは印象操作だ!と批判が殺到している。


ーネットの反応
・ 分かりやすく説明を心がけながらウソをつく奴は社会にとって害悪過ぎるな
・ 池上彰さんがグラフの縦軸スケール弄りとかいう データを騙して見せる初歩的な印象操作してて幻滅しました
・  私もあまり見ないですが最近酷くなりました。
・ これには池上彰にガッカリしました。
・ 池上彰さんの公式謝罪まだかぁ
・ 縦軸を入れるから気づかれるんだよ。
・ 新聞も馬鹿のための読み物なんだろう。
・ テレビで絶対にやってはいけないこと
・ これちょっとひどくね
・ 自分も見てたけど、これはひどいと思った。
・ 池上彰でもこういう事かましてくるので、メディアリテラシーが求められますね
・ 真実はどうでもよくて言いたい事だけいえればいい、と思っているのは分かるけど。
・ そのへん色々解説してくれる池上彰みたいな彼氏欲しい
・ あっ!ホントだ! 放送見てる時には気が付かなかった。
・ 池上彰のグラフ比較のは推移の比較だから縦軸違ってもあれでええんやで

【私の論評】裏付けに乏しく、また実感にも乏しい印象操作が支持されるわけがない(゚д゚)! 

この種の印象操作、テレビで絶対にやってはいけないことのはずです。しかし、現在では、マスコミの人はデータを自分で扱えない人ばかりなので、この手の子供だましにも騙されるようです。これは、マスコミの体質を示す出来事だと思います。

マスコミで消費増税賛成、金融引き締め賛成の人は、財務省や日銀当局の資料・データを鵜呑みにする輩がかなり存在します。というか、資料・データを一回食わされて、それをTVで御開陳。その後も御当局資料・データ依存症になって、結果当局のいいなりコースになるという人は結構多いです。池上氏も紛れも無くその一人です。

池上氏の上のグラフは、1980年〜2010年までのものです。このように、一部を切り取るのも大きな印象操作です。日本では、2012年までは明らかに、酷いデフレでしたから、下位90%の賃金も下がるのは当然ですし、上位10%の賃金も下がっています。しかし、下位90%の賃金がより下がっているので、格差が広がっているのですが、それにしてもその本質はデフレによるものです。

米国は、かつて一度も日本のように深刻なデフレに至ったことはありません。にもかかわらず、格差が広がっています。これは、社会構造による格差です。

もともと、日本は西欧に比較すると格差は少ないほうです。池上彰は、アベノミクスが格差拡大や貧困を加速したということを言いたいのでしょうが、現在もその代表的なデータは事実上存在しません。

つまりこれは、池上彰の勝手な思い込みにすぎないのです。例えば、貧困率は2012年までしか利用できず、ジニ係数の推移はつい最近まで2010年までしか利用できません。だからこそ、池上彰のグラフも2010年までとなっているのです。しかし、2010年といえば、民主党政権下にありました。この古い資料をもって、安倍政権を批判することはできまん。安倍政権は、2013年からスタートしています。


経済格差は高齢化とともに拡大する傾向にありますが、現段階の雇用状況の大幅改善、雇用者報酬の増加、さらには最近の実質賃金の増加傾向も含めると、安倍政権の政策の結果で貧困や格差が増加してはいません。

もちろんさらに経済状況を改善する余地があるとか、または現状の消費低迷からくる経済低迷を改善するという主張なら賛成です。しかし池上彰はまずアベノミクス全否定ありきなのようです。このような事実に反した印象操作、また多くの人々の実感にも乏しい主張が支持されるわけがないでしょう。

だからこそ、ネット上で、池上彰の番組が波紋を呼んでいるのでしょう。

さらに、日本が比較的格差が欧米に比較して少ないことは、以下のグラフからも明らかです。


明らかに、日本の所得上位1%シェアは、英米より低いです。そうして、欧米と根本的に異なるのは、日本では、トップ1%は、所得1300万円以上なのです。これは、無意識に多くの人々から、3000万円とか、もしかすると5000万以上と思われているふしがあります。

トップ1%が年収1300万円を、正確に言います。このグラフの出処である、World Top Incomes DatabaseのJapanのところをみれば簡単に数字は出てきます。トップ1%の年収は1280万円。ついでに、トップ10%、トップ0.1%、トップ0.01%の年収はそれぞれ576万円、3261万円、8057万円だ(いずれも2010年)。

厚労省による所得再配分調査は、世帯の所得分布と等価所得という個人ベースの所得分布について所得再分配前後のデータがあります。以下の図は、等価所得の所得再配分前の所得分布です。


国税庁の民間給与実態統計調査は、毎年出されている統計でしばしば利用されますが、これは給与をもらっている人しか調べていません。(下図)



これによれば、トップ1%は年収1500万円、トップ4%で年収1000万円です。いずれの統計でも、マスコミやそこに出演する多くの人はトップ1%に無論、池上彰自身も入っていることでしょう。

格差問題について、マスコミで議論すると、池上氏のようにほぼ格差を是正すべきという論調になります。もちろん、所得再分配をある程度は行うべきとは、私も思います。ただし、それはあくまで海外と比較しながらにすべきです。日本の格差は、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度に過ぎません。

このような実体があるにもかかわらず、グラフを操作するなどして、テレビで日本の格差が酷すぎるように印象操作をしたとしても、エビデンスに乏しく、実感にも乏しい主張がが支持されるわけがないでしょう。だからこそ、この番組のグラフは、twitterなどのSNSで批判され続けているのです。

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2016年12月17日土曜日

【緊迫・南シナ海】中国海軍艦船が米海軍の無人潜水機奪う 米政府は「国際法違反」と非難―【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?


中国軍艦が奪った無人水中探査機の同型機
米国防総省のジェフ・デービス報道官は16日、南シナ海で米海軍の無人潜水機が、中国海軍の潜水艦救難艦に奪われたと明らかにした。米政府は国際法違反と非難し、中国政府に即時返還を要求している。

 事件があったのは15日、フィリピン北部ルソン島にあるスービック湾の北西約93キロの海域。米海軍の測量艦「バウディッチ」が、2機の無人潜水機を回収しようとしていたところ、潜水艦救難艦が約450メートルのところまで近づき、小型ボートを出して1機を奪った。

米海軍の測量艦「バウディッチ」
 バウディッチは無線で返還を求めたが、潜水艦救難艦は応答せず要求を無視した。デービス報道官は中国の行動を「国際法違反」と批判した。

 報道官によると、無人潜水機は海水の温度や塩分濃度、透明度といった「非機密扱いの情報」を収拾していた。ただ、無人潜水機によって収集された海底の地形などを含む情報は通常、潜水艦の航行や対潜水艦作戦に活用されている。

 米海軍艦船はスービック湾を使用し、その沖には中国とフィリピンが係争するスカボロー礁もあり、今回の事件の周辺海域は“前線”の一つとなっている。

【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?

さて、今回の中国艦船による、無人水中探査機の強奪については、どのメディアもあまり詳しく解説してはいないものの、これは軍事的にはかなり大きな意味を持つかもしれません。

この無人潜水艦に関しては、冒頭の記事を読んでいるだけでは、どのようなものなのかあまりわからないと思います。実は、これについては以前このブログに掲載したことがあります。

女子生徒が航空機内から撮影した北朝鮮ミサイルの可能性がある
被写体。右側に飛行機雲のような筋が見える=8月24日午前。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、無人水中探査機に関する部分のみ以下にコピペします。
さて、空中のドローンに関しては、まだ、想像の域を超えていないのですが、それに良く似たものである、水中ドローンに関しては、すでに日本は開発を終えています。

それは、シーグライダーと呼ばれています。その外観はロケットに似ています。その小さな翼で水中を進み、毎時1キロメートル未満で非常にゆっくり移動します。電力消費量は極めて少ないです。

分解したシーグライダー ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの
 結果として、それは一度に何ヶ月も海中にとどまることができます。2009年には、一挺のシーグライダーが、一回のバッテリー充電のみで大西洋を横断しました。横断には7ヶ月かかりました。
シーグライダーのおかけで、科学者たちは、以前には不可能だった多くの事ができるようになっています。シーグライダーは、海底火山を観察することができます。氷山の大きさを測ることができます。魚の群れを追うことができます。

上で掲載したシーグライダーを水中に投下するところ
さまざまな深度で水中の汚染の影響を監視することができます。科学者たちは、シーグライダーを利用して海底の地図を作成することまでも始めています。

シーグライダーはすでに、数ヶ月も継続する任務を遂行することが可能になっています。ところが、日本の研究者は現在、SORAと呼ばれる太陽光発電を使ったグライダーを開発中で、この船は再充電のために2、3日間海面に出れば、その後作業を続けられます。結果として、必要な何年も海に留まることができます。
理論的には数年間探査が続けられるソーラーパネルを装備したシーグライダー
 現在、シーグライダーを製造するにはおよそ15万ドル費用がかかるとされていますが、それがなし得ることを考えれば、その費用は非常に小さいです。シーグライダーを使えば、企業は石油とガスの探索のために海底調査ができますし、政府は軍事情報を収集できます。
シーグライダーは敵に見つかることなく海面にいる船舶や、近くを通り過ぎる有人潜水艦を特定できます。日本では、軍事転用はまだのようですが、日本の技術をもってすれば、容易にできることです。
この内容は、たまたま私が用いている英語学習教材の『毎日の英速読』というテキストから、日本語訳の部分を引用して加筆したものです。このシーグライダーもしくは、それに似たものが、今回中国の艦船に強奪されたものだと推定できます。

さて、南シナ海というと、中国がなぜ南シナ海にあれほどまでにこだわっているのか、それに関してこのブログに以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA) 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結局中国がなぜあれほどまでに、南シナ海に執着するかといえば、中国近海や、東シナ海などは海が浅いため、そこを中国の戦略原潜(SLBM搭載)が航行した場合、日米によりいとも簡単にその行動を逐一発見されてしまうのですが、南シナ海は深いので、その深いところを航行するとなかなか発見しずらいので、ここを中国の戦略原潜の聖域にしようとしているからです。

南シナ海の平均深度は1200メートル以上です。海盆の平均水深は3500メートル、最深部は約5600メートルにも及びます。中国は戦略ミサイル原潜を4隻配備し、潜水艦発弾道ミサイルを核抑止力の重要な柱にしています。

南シナ海から米軍を追い払えば、冷戦時にソ連が戦略原潜(SLBM搭載)をオホーツク海に潜ませたのと同じように、中国は南シナ海に戦略原潜(SLBM搭載)を自由に展開できます。海南島を出発した最新型の潜水艦が深く潜航し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って西太平洋に抜けることが可能になるのです。

従来は深海から発射される核弾頭(SLBM)はなかなか発見できなかった
これにより、中国のSLBMは米国本土全域を標的にすることができるのです。ところがです、軍事目的のシーグライダーが南シナ海に配備されているとなると、中国のこの目論見は完全に外れてしまうことになります。

このシーグライダーは、当然中国の戦略原潜の動向もキャッチできるものと思われます。今回中国に強奪されたものはどのようなものかはわかりませんが、中国としては、このシーグライダーにかなりの脅威を感じているようではあります。

中国がせっかく、長年努力を傾注して、南シナ海を中国原潜の聖域にしようとしても、米国側に南シナ海にシーグライダーを多数設置し、中国原潜の動向を探っていたとしたら、そもそも聖域になりません。

米軍が、このシーグライダーを南シナ海の各所に多数配置して、有人潜水艦や、無人潜水艦、空中ドローン、イージス艦など多数配置して、これらを連動させるようにすれば、中国戦略原潜が不穏な動きをみせれば、すぐに撃沈できるようになります。

イージス艦、潜水艦、空中ドローン、シーグライダーの連携作戦の模式図
実際、今回中国側に捕獲されたシーグライダーがどの程度の能力のものかはわかりませんが、シーグライダーを戦術的に活用しようとするなら、今はそこまではいっていなくても、将来はそのようにするのは当然のことです。

そうして、中国では未だシーグライダーの技術は進んでいないと思われます。今回の強奪は、米軍のシーグライダーがどの程度の能力を持っているか確かめるためと、中国もシーグライダーを開発するため、技術を盗むという目的もあるものと思います。

もし、今回強奪さた米軍のシーグライダーの技術水準が高ければ、すでに中国による、南シナ海の原潜の聖域化は頓挫してしまっているかもしれません。

日本も、シーグライダーの軍事転用はすでに実行しているのかもしれません。実行していようがいまいが、日本も当然のことながら、軍事転用をして、中国原潜の動向を詳細に探索できるようにし、中国海軍を丸裸にして、日本の安全保障を確かなものにすべきです。

日米の数百ものシーグライダーが、南シナ海での中国原潜の動向を逐一探索できるようにすれば、中国の南シナ海の領有化は全く無意味なことになる可能性が大です。

それどころか、このシーグライダーのさらなる開発により、SLBMを所有する核保有国は、核戦略の見直しを迫られることになるかもしれません。

「はやぶさ」などで遠隔操作に実績のある日本が、本気で軍事シーグライダーや、軍事ドローンなどを開発したら、世界のトップレベルのものができます。そうなると、比較的低予算で、満足のいく安全保障策が実行できるようになります。

私の勝手な妄想ですが、海中では、無数のシーグライダーと自動運転魚雷が待機していて、敵が不穏な動きを見せたら、シーグライダーがそれを探知し、必要があれば、自動運転魚雷が即座に敵の艦艇などを撃沈するなどのシステムができたら良いと思います。

空中でも、少なくとも数週間から、数ヶ月くらい飛ぶこのできる軍事探査ステルス・ドローンが常時複数日本の領空・領海上を24時間飛び回り全域を哨戒し、敵が不穏な動きを見せれば、ドローンより、探査情報がこれも多数配備された日本のミサイル基地に連絡がいき、即座に敵のICBMや、SLBM、航空機などを破壊できる仕組みができたら良いと思います。このような仕組みができれば、そもそもスクランブルなど必要がなくなります。

それにしても、ここにきて、軍事技術の急展開がありそうです。そうなれば、ロシアなどの軍事技術も時代遅れになるかもしれません。そうして、日本が世界のトップクラスに躍り出るかもしれません。

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2016年12月16日金曜日

【日露首脳会談】中国、日露連携を警戒「包囲網」強化に対抗―【私の論評】会談のもう一つの目的は、ロシアを安全保障のダイヤモンドの一角に据えること(゚д゚)!

【日露首脳会談】中国、日露連携を警戒「包囲網」強化に対抗

日露による「対中包囲網」を警戒する習近平
中国の習近平指導部は、日本がロシアと連携を深める動きを「対中包囲網」の強化と見なし、強く警戒。ロシアとは経済、軍事協力を通じて「歴史上最良」(中国メディア)の関係を維持し、日本に対抗する構えだ。中国は安全保障面で「厳しい状況」(北京の外交筋)が続いている。

米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた韓国とは関係が悪化。トランプ次期米大統領は台湾に接近する姿勢を見せ、南シナ海の軍事拠点化にも批判的だ。日本とも東シナ海を巡る緊張が解けていない。

こうした状況の中でも、ロシアとは良好な関係を保っており「日米韓をけん制する重要なカード」(中国人研究者)。それだけに日ロ首脳会談の行方には神経をとがらせており、国営通信、新華社は「ロシアを引き込み、中国を包囲しようとの考えは希望的観測に基づく妄想だ」と批判した。

【私の論評】会談のもう一つの目的は、ロシアを安全保障のダイヤモンドの一角に据えること(゚д゚)!

今回の日露首脳会談に関しては、日本のメデイアは北方四島の返還ばかりがクローズアップしており、いささか謝狭窄にすぎてあまりにも話にならないので、以下に「対中包囲網」の準備としてのこの会談の意義について以下に掲載します。

日本のメディアなどは、中露というと、無条件で同盟国であるくらいの認識しかないと思います。しかし、これは無論表面上はそのように装っていますが、どちらも互いに相手を信頼のおける同盟国などとは見ていません。

それに関しては、このブログでも何度も掲載してきました。それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
【西村幸祐氏FB】ルトワックはウクライナ危機でシナとロシアの接近は氷の微笑だと分析する。―【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!
エドワード・ルトワック氏
この記事は、2014年5月27日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この頃米の著名な戦略研究家、地政学者でもあるルトワックが来日中だったが、安倍首相と会っていました。ルトワックは当時ウクライナ危機でシナとロシアの接近がみられたものの、内実は氷の微笑だと分析していました。

この記事には、西村幸祐氏のFBを掲載しましたが、それにルトワック氏の支那とロシアの関係を分析した内容の日経新聞の記事が掲載されていました。それを以下に引用します。
接近する中ロ、氷の微笑が消えるとき

2014/5/25 3:30
 ウクライナ危機をきっかけに中ロはさらに接近し、日米へのけん制を強める……。世界ではこんな見方が多いが、ルトワック氏の予想はちがった。

ロシアは、中国とは仲良くならない。シベリアなどに侵食してくる中国を脅威だとみているからだ。むしろ、ロシアは中国をにらみ、本当は日米と協力を広げたいはずだ――。ルトワック氏はこんな趣旨の予測を披露したという。 
 中ロの表面的な動きをみるかぎり、この分析は必ずしも当たっていない。まさに同じ20日、中ロはこれでもかと言わんばかりの仲良し劇を演じたからだ。 
 訪中したプーチン大統領は、習近平国家主席と懸案だった天然ガスの輸出交渉を決着。対ロ制裁への反対をかかげ、来年に対日・独戦勝70周年式典を共催することも決めた。 
 だが、会談では結局、日米の安保当局者がいちばん注目していた商談が署名にいたらなかった。ロシアの最新鋭戦闘機スホイ35(24機)と地対空ミサイルS400を、中国が買うための契約だ。 
 売却の条件で折り合わなかったとされるが、理由はそれだけではさそうだ。モスクワからは、ルトワック氏の読みを裏づけるような本音が聞こえてくる。 
 「プーチン氏は中国に相当、いら立っている」。クレムリンの内情を知るロシアの安保専門家らは、こう明かす。プーチン氏はかねて中国の台頭に懸念を抱いていたが、昨年12月、不信感を一気に強めるできごとが起きたのだという。 
 それは、習主席とヤヌコビッチ・ウクライナ大統領(当時)が北京で署名した友好協力条約だった。「ウクライナが核で脅されたら、中国が必要な安全を保障する」。条約にはこんな趣旨の合意が入った。 
 中国は「核の傘」を使い、ロシアの縄張りであるウクライナにまで手を突っ込むつもりか。プーチン氏はこう反発したようだ。 
 中国の国内総生産(GDP)はロシアの4倍を超える。中国はその分、ウクライナを含めた周辺国に影響力を広げるのは自然なこと、と考えているのだろう。 
 歴史的にも、長い国境を接する中ロの相性は良いとはいえない。新中国建国の直後、毛沢東、スターリンの両首脳はモスクワで会い、同盟の契りを交わした。それもつかの間、やがて路線対立が始まり、蜜月は10年と続かなかった。 
 「いまの中国は共産党体制だったときのソ連と同じだ。何を考えているのか、外からは分からない。しばしば、唐突な行動にも出る」。公式な場では決して中国を批判しないロシアの政府関係者からも、こんなささやきが聞かれる。 
 では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。 
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。 
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。(編集委員 秋田浩之)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO71758060V20C14A5SHA000/?dg=1
習近平とプーチン
この日経の記事にもあるように、「中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物です」。

ルトワック氏は、「ロシアは、中国とは仲良くならない。シベリアなどに侵食してくる中国を脅威だとみているからだ。むしろ、ロシアは中国をにらみ、本当は日米と協力を広げたいはずだ――」ど分析しているそうですが、それを裏付けるような情報はいくつもあります。

このブログ記事には、いくつか引用記事があります。それをご覧いただければ、これはすぐにご理解いただけるものと思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
米海軍幹部、自衛隊にNATO加盟国並みの役割期待― 【私の論評】自滅する現中国の現実を見つめよ!現中国は、モンゴル帝国の末裔であり漢民族の中国は唐の時代に滅んでいることを(゚д゚)!
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、要旨とそれに簡単に説明をつけて以下に簡単にまとめておきます。

ロシアというと、日本では未だに強国というイメージがあるものの、それはイメージに過ぎず現在のロシアは人口は、日本と同程度(日本1億2千万人、ロシア1億4千万人)、GDPは日本の1/5に過ぎません。

そのロシアは、世界で最も長い国境線を中国と接しています。そうして、この国境線付近では、多数の中国人が国境を越境して、ロシア側で、様々な事業を営んでいます。今では、従来のように国境ははっきりしなくなってしまい、この現象を国境溶解と呼びます。

国境溶解が急速に進む中ロ国境
国境溶解の勢いは衰えることなく、さらに加速され、ますます多くの中国人がロシア領内に自由に入り込んだり、中国領内に戻って大量の物資をロシア領内に持ち込むようなことが、日常茶飯事で繰り返されています。

そうして、このような状況により、中国はかつてのようにソ連との国境線上に軍隊を配置するなど、ソ連の脅威に備える必要はなくなったこともあり、今日海洋新進出が実行しやすくなっているという点は否めません。

これに対処する策として、経済評論家上念氏は、中国と国境を接する国々が経済成長をして、ランドパワーを強化することが有効であることを主張していました。

強面ロシアは、ウクライナではかなり強気にでているようにもみえますが、ロシア側の立場たてば、ウクライナが完璧に西側に落ちてしまえば、西側でも国境溶解がはじまりとんでもないことになるとの脅威からあのような行動にでたものと思います。



そうして、NATO諸国などが本気で、ウクライナに対して軍事援助をした場合、ロシアの脅威は頂点に達します。今のロシアは、米国と戦争する力などまったくありません。おそらく、米軍抜きのNATOとも戦えば負けるし、そもそもそれだけの戦争を遂行する力(経済力および軍事力)はありません。

このように分析すると、ロシアの外国に対する脅威は半端なものではないことが十分に理解できます。

そうして、中国を封じ込めたいということで、まさにロシアと日本の利害は一致しているわけです。

中国を封じ込めたいということでは、ロシアと日本の利害は一致している
さて、首脳会談に対する日本側の関心は「北方領土が返ってくるか否か」に集中しています。歯舞、色丹の2島返還が実現するとの期待が高まっていた事情もあって「2島返還は当然。国後、択捉にも道筋が付かなければ失敗」という厳しい見方もあるほどです。

4島の帰属問題と対ロ経済協力が今回の会談のテーマなのですから、日本側で北方領土の行方に関心が集中するのは当然ではあります。そもそも4島は先の戦争終結後のどさくさに紛れて旧ソ連が奪ったのだから、返してもらうのは当然でもあるとは思います。

しかし、日本とロシアが友好関係が深まれば、今度は中国にとって脅威になります。中国とロシアは地中海や日本海で合同軍事演習をしたり、たびたび首脳会談を開いて蜜月ぶりをアピールしてきましたし、軍事技術においてはまだまだ中国はロシアに頼りっきりです。

現在に中国で日本や米国とまともに渡りええる戦闘機は、ロシアから輸入した最新式のスホーイ戦闘機のみといっても良いくらいです。

そんなロシアが日本と北方領土問題の解決で一致したり、日本が本格的な対ロ経済協力に乗り出せば、中国は脅威に感じるはずです。現在中国を1番の潜在的脅威と認識している日本にとって日ロ友好は、中国を牽制する上でこの上ない良い機会となります。

日本がいくら「日本はこうありたい」と理想論を語ったとしても、自分だけではどうにもなりません。

いくら「平和な日本でありたい」と願ったとしても、他国が侵略してきたら日本の平和は維持できません。そんな時に、憲法9条があっても、何の役にも立ちません。実際に北朝鮮は今年日本海に21発のミサイルを発射しています。中国は軍艦を動員して尖閣諸島を脅かしています。韓国は、未だに竹島を実力で占拠しているます。

日本の平和と安定はアジアの平和と安定抜きには考えられない
こういう現実の中では、日本はできるだけ多くの国と友好関係を深めて、中国や北朝鮮が暴発しないように抑止していくことが日本の安全保障にとってより良いことになります。無論、中国や北朝鮮などと直接友好関係を結ぼうにも、結べるものではありません。

こんなときに、日本がロシアとの友好関係を深めれば、ロシアは中国になど軍事技術を供与しなくても良いと考えるかもしれません。もし、そう考えなかったにしても、中国側はそのように受け取るかもしれません。

安全保障のダイヤモンドを構想し、それを全方位外交を通じて実行してきた安倍総理は、当然の腹の中で、このように考えており、何とか、中国封じ込めの一角にロシアを加えたいと当然考えていることでしょう。そうして、これは、今回の日露首脳会談の目的の一つであることは間違いありません。

ロシアのプーチンは、以前にもこのブログに掲載したように、政敵は暗殺するなどして容赦なく潰すのが常であり、腹の中では何を考えているかは見えないところがあります。だから、本当に信頼できるかどうかはわかりません。

しかし、私たちは、中国やロシアのやり方で学ぶべきところがあります。それは、腹の中では互いに相手を信頼していないにもかかわらず、中ロはウクライナ危機をきっかけに中さらに接近したように首脳会談などを実施して見せつけて、日米へのけん制を強めるように中ロは動くと、世界中に思わせたという実績があります。

これは、ルトワック氏には見ぬかれてしまいましたが、成功していれば、ロシア・中国連合は、日本はもとより、世界中の国々にとって、かなりの脅威となったことでしょう。ロシアの軍事技術と、中国の経済力が結びつけば、これは大変なことです。しかし、現実はそうではありませんでした。

日本も彼らのこのやり方を参考にして、中国に脅威を与えるべきです。実際にその効果はブログ冒頭の記事にある、新華社の「ロシアを引き込み、中国を包囲しようとの考えは希望的観測に基づく妄想だ」という言葉にもあるように、中国は日露首脳会談に警戒感を抱いています。

安倍総理としては、ロシアをうまく操って中国の脅威を少しでも除去できるように努力して頂きたいです。

日露首脳会談そのものについては、いずれ日を改めて、掲載したいと思います。それにしても、日本のメディアや知識人など、このような見方は全くできないようで、単なる領土交渉とそのための経済協力の話くらいにしか思っていないようです。だから、本日は日露首脳会談がらみのテレビ番組など見ていません。あまりにくだらなく幼稚です。

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