2009年6月11日木曜日

温室ガス:15%減に産業界「厳しい目標」―この厳しい目標は日本にとって僥倖になるかもしれない?

温室ガス:15%減に産業界「厳しい目標」(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)

モニターに映し出されたキリバスの島の写真の前で温室効果ガス削減の中期目標を発表する麻生太郎首相=首相官邸で2009年6月10日午後6時2分、藤井太郎撮影
モニターに映し出されたキリバスの島の写真の前で温室効果ガス削減の中期目標を発表する麻生太郎首相=首相官邸で2009年6月10日午後6時2分、藤井太郎撮影

 政府が10日、2020年までの日本の温室効果ガス削減目標(中期目標)を「05年比15%減」と決めたことで、製造過程での二酸化炭素 (CO2)などの排出量の10%以上の削減(05年比)が迫られる産業界は一様に「大変に厳しい水準」(電気事業連合会)と受け止めている。ただ、低炭素 社会実現が世界的潮流となる中「環境に不熱心と見られれば、顧客離れを招き、生き残っていけない」(大手電機)のも事実。企業の中には独自の長期目標を設 定し、一段の削減を目指す動きも出始めた。一方、メーカーの環境対応を商機と見る大手商社は排出権取引事業を拡大する構えだ。

 「大変厳しい目標」。日本自動車工業会の青木哲会長(ホンダ会長)は家計も含めて05年比15%減とする中期目標にこうコメントした。自動車業界 は従来、京都議定書の削減目標に合わせ「国内の製造過程で排出するCO2排出量を10年度までに90年度比22%減」を公約し、目標を08年度時点で前倒 しで達成する見込みだ。ただ「さらに10%以上削減しようとすれば工場の海外移転を進める必要が出てくる可能性もあり、空洞化に拍車がかかって雇用に影響 を与えかねない」との懸念も出ている。

 電機業界も危機感は強い。製造過程でのCO2排出量の大幅削減には工場設備の刷新が必要だが、世界不況で業績不振の中、多額の環境対応投資は経営 の重荷となりかねない。このため「省エネ製品の普及による削減効果と、製造過程での排出を相殺するトータルな評価をしてほしい」(日本電機工業会)という のが本音だ。

 製造過程での排出量が多い鉄鋼業界は、「米欧や中国などと平等な競争条件を確保してほしい」と指摘し、日本だけが環境対応で過度に負担を強いられる事態を懸念している。

 一方で、この機に環境先進企業のブランドを確立しようと、独自の長期目標を立て、取り組みを進める企業もある。三菱電機は創立100周年の21年までに、グループ全体で90~05年度比でCO2排出量を3割削減することを宣言。各工場に太陽光発電を導入する。

 富士ゼロックスも20年度までに05年度比で30%削減する目標を設定。コピー機やファクスなど製品1台当たりの消費電力を80%低減する一方、 再生可能エネルギー導入などで製造工程での温室効果ガス排出量も75%削減する計画を推進している。【大場伸也、大久保渉、和田憲二】

 ◇財界から注文「国際的な公平性確保を」

 中期目標決定を受け、緩やかな目標設定を求めていた財界のトップからは、今後国際交渉に臨む麻生太郎首相への注文が相次いだ。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は国際交渉について「主要排出国が意味ある形で参加するとともに、公平な国際競争条件が確保されるよう断固とした姿 勢で臨んでほしい」と注文した。日本商工会議所の岡村正会頭も「主要排出国が参加し、国際的公平性が担保されることが必須条件。首相は強いリーダーシップ を発揮してほしい」と求めた。

 一方、今回の中期目標に近い案を支持した経済同友会の桜井正光代表幹事は「責任ある中期目標で敬意を表したい」と高く評価した。(毎日jp.)【三沢耕平】

この厳しい目標は日本にとって僥倖(ぎょうこう、思ってもいない幸運)になるかもしれない?

◆地球温暖化二酸化炭素説には反対なのだが・・・・

私自身は、このブログで何回も掲載してきたように地球温暖化二酸化炭素説は、完全に虚偽だと思っています。だから、この温室効果ガス削減目標(中期目標)を「05年比15%減」に関しては、産業界が反対しているように、反対という立場をとりたいところですが、良く考えて条件つきでやはり賛成ということにしたいです。

本日は、その条件とは何かということをここに掲載していきたいと思います。

まずは、前提条件として、私は、この目標に地球温暖化二酸化炭素説の立場から賛成するわけではありません。私は、地球温暖化二酸化炭素説に関しては、二つの点から大反対です。

まずは、過去の検証から二酸化炭素が増加したから、気温が上がるのではなく、事実はそれと間逆で、気温が上昇すると二酸化炭素量が増えるということです。昨年より、太陽の黒点がない状況が続いています。これに関して、このままの状況が続けば、地球寒冷化になると指摘している学者もいます。地球温暖化二酸化炭素説は、星の数ほどある仮説の中のひとつにすぎません。このような説に基づき、国際的な取り決めを行うこと自体が誤りです。

それから、これも非常に重要なのですが地球温暖化になっても、災厄は起こらないということです。地球温暖化になって、北極の氷が融けたとしても、南極の氷が増えたとても、急激に海水面が上昇することなどありません。また、気温が極端に上昇して水が足りなくなったり、砂漠化が進むこともありません。というより、農産物の収量が増えて、人類にとって豊穣をもたらすものです。地球においては、過去に何度も温暖化の時期がありましたが、そのときは作物が豊作になり、現在のヨーロッパはこの温暖化による富によて、基礎が築かれたと指摘する専門家もいます。

さて、にもかかわらず、なぜ私が二酸化炭素削減目標に賛同の意を表するのか以下に掲載します。

まずは、金融危機などによってはっきりした、アメリカ流自由主義経済の誤りと、それを支える現代の産業構造などについて、大きな転換の必要性を感じるからです。ご存知のように、アメリカでは、低所得者向け住宅や、自家用車など、信用力のない人にでも貸付をしてどんどん販売する打ち出の小槌を開発しました。その債権は、細かく分散して、証券化して販売するということで、リスクを分散したつもりになつていました。そうして、個人消費を煽りに煽って、これ以上ありえないくらいまでに個人消費を伸ばしました。しかし、そんなことは長く続かず、結局破綻しました。

結局破綻したのですから、このような見せ掛けの個人需要は本当は存在しなかったのです。だからそういう意味では無理に人為的に作り出したバーチャル需要だったのです。人々が本当に必要とするものは、そのようなものではなかったということです。だから、本当に人々の求めるものを創出する産業を育てていく必要があります。その筆頭にくるのは、おそらく、教育であり、雇用であり3番あたりが医療の問題かもしれません。これは、アメリカの話ですが、日本にも同じようなことがあてはまると思います。

特に教育は重要です。多くの人が十分な教育を受けることができる、それも、今まで学校教育にならび成人向けの教育をどんどん受けられるようにすることにはかなり大きな意義があります。多くの人が教育があり、それにより成果をあげられるような職場につくことができれば、現在の問題かなり解消されるはずです。ただし、学校教育も、成人向け教育も今までとは様相を変えるべきです。既存のことをただ覚えさせるだけではなく、チームワークによって、多くの有用な新たな知識や、知恵を生み出すことができるような教育を施すべきです。

そうすることにより、多くの人々が富の源泉を生み出す存在となることができるからです。こうした、教育が進めば、雇用の問題や、医療の問題なども解消されると思います。さらに、少子高齢化問題も解消される見込みが多きくなります。なぜなら、肉体労働は若年層にしかできませんが、知識労働は条件さえそろえば、高齢者にも可能だからです。

そのためには、大きな社会変革が必要です。現在の社会は、すでに20世紀とは全く異なる社会に突入しています。にもかかわらず、今の社会は20世紀のままです。21世紀の特に先進国や、新興国の大きな変化は、特に知識労働者が増えているということです。私たちの社会は残念ながら未だこうした、新しい変化に対応ていません。

さらに、私たちの社会は、多元的な社会になっていることがあげられます。多元的な社会とは、多くの価値観がある社会ということです。知識や知恵の性質から、知識労働者は専門的にならざるをえません。医師は、患者の命を救ったり、健康になることに専念しなければ、まともな仕事はできません。しかも、現在では、医学知識は従来のもと比較すると、幅も奥行きも広がりました。同じ医師であって、同じ外科であったとしても、消化器、脳、などと分化しています。すべての分野を一人の外科医が実施するわけにはいきません。教師は、生徒が必要な知識を得て、まともな社会人になれるようにすることに専念しなければなりません。教師もひとくくりにはできません。

現代社会では、会社という組織に勤める労働者であっても、それぞに専門特化していかなければ、なかなか成果をあげることはできません。知識労働者は、専門特化することによって始めて成果をあげることができます。本当に役立つ知識や知恵は、専門的で高度にならなければ、何も成果をあげることができないからです。とはいいながら、この多元的な社会を一つにまとめることも重要です。私たちこうした、多元的な社会を運営しつつ、さらには一つにまとめあげるような新しい社会を創造していかなければなりません。

さて、こうした産業構造の転化や、社会変革をおこしていくためには、単にものを考えたり、善意だけではなにもできません。それなりにかなり大きな投資もしなければなりません。実際に転換するために働く人員も配置しなければなりません。しかし、これを大胆に行うことはなかなか難しいことと思います。なぜなら、これを実施するためには、まずは、現在ある産業構造や、社会構造を壊していく必要があるからです。しかし、旧来の産業構造や、社会に住む人たちは、自分たちの産業を壊したり、社会を壊すことは好みません。というより、それにしがみつくことと思います。

◆二酸化炭素削減の目標は、うまくやれば、日本の産業構造・社会構造を変える!!

ところが、この温室効果ガスの削減目標は、非常に高く、おそらく、日本の産業構造自体を変化させなければなかなか達成できません。産業構造を変化させるということは、社会を変化させることに結びつきます。

だから、私は、この高い目標には、賛成です。ただし、条件があります。地球温暖化二酸化炭素説に基づいて愚かなことはしないという条件です。たとえば、ドイツなどで実施している、巨大二酸化炭素貯留施設をつくることです。これは、何にもなりません、ただの徒労です。それから、大々的な太陽光発電施設や、風力発電施設をつくるようなことはやめるべきです。こんなことは、しなくても、CO2を減らすことはいくらでもできます。二酸化炭素を減らすということは、要するに化石燃料をできるだけ使わない、すなわち省エネでかなりのことができます。さらには、サブプラムローンよりもはるかに低劣なデリバティブ商品である排出権取引などしないことです。これは、まったく意味がありません。ヨーロッパのユーゴスラビアなどの貧乏国を喜ばせるだけです。しかも、その喜びも長くは続きません。こんなことにかまけていて、産業構造などの転換を遅らせれば、貧乏どころか、最貧国の地位まで落ちてしまうかもしれません。

省エネというと、すぐに技術ばかり思い浮かべることが多いですが、技術だけでなく、そもそもライフスタイルを変えるなども含まれます。たとえば、レジャーといっても、すぐにどこかに出かけるのではなく、頭を使って遊ぶ方法などあると思います。あるいは、人々のきずなを深めることや、他の人に役にたつことも立派なレジャーになりえると思います。

昨日テレビを見ていたら、変った里親制度のことが放映されていました。これは、フランスで行われている制度で、週に何日か里親に無理のない範囲で里親的な役割を担う制度です。なんと、里親になる人が、これを推進するNPOに年会費5000として資金提供しています。これが、この里親制度を支える事務局の資金などに当てられています。まさに、親の役割を全部とはいわないまでも、一部を引き受けることに対する対価を払っています。この制度が継続できるというのは、里親になる人は、それなりに大変でしょうが、それなりに充実感を味わっているのだと思います。このような活動に甚大なエネルギーを使うことはありません。

また、教育ということになると、最近グーグル・ウェーブなる新たなコミュニケーション・ツールが発表され、いずれリリースされると思います。このようなツールを使うと、世界中の人々を文書、音声、画像、動画などで結ぶことができます。しかも、複数の人々で使うことができます。そうなると、これを使って今までの学校とかわりないどころか、それ以上の学校も構築できると思います。世界中を結ぶことができるから、それこそ、先生のなり手も無数に存在するどころか、いろいろな分野のその道専門家を先生とすることもできるかもしれません。しかも、従来の学校と比較すれば、わずかの投資でできる可能性があります。しかも、人の移動もなく、かなり低いコミュニケーションコストで運営できます。しかも、従来と比較すれば、Co2の排出量はかなり少なくてすみます。

こうした学校では、学習障害や知的障害などない子の場合は、こどもたちが学べないことはこどもたちの問題ではなく、教える側に問題があるとすべきと思います。さらに、障害のあるこどもたちにも、個々のこどもにあわせて、将来社会生活を営めるように障害の程度にあわせた社会性を身につけさせることを主要な目標にすべきだと思います。

◆世界の中の先進国や新興国を100人の村にたとえると、物事がはっきり見えてくる!!

私は、大学時代の指導教官に、一見非常に簡単にみえるものこそ、複雑に考える、一見複雑なものこそ、単純化してみることの重要性を習ったおぼえがあります。

上で述べたようなこと、産業構造の転換や、社会構造の転換などかなり複雑で難しいことのようにみえます。しかし、見方を変えれば、これほど単純なこ とはありません。以下には、この問題を単純化してのべます。現在の先進国、新興国が置かれている立場を100人の村として考えてみます。

もし世界中の先進国や、新興国のおのおのが100人の村だったとしたら、大雑把にいうと大昔は、100人のうち、70人くらいが農林水産業ならびに、製造業に従事しなければ、100人の村人が生活を維持していくことはできませんでした。ちなみに、30人はこどもや、老人、さらには障害やその他のなんらかの理由で働けない人々です。

現在、もしくは近い将来には、生産性が飛躍的に高まったし、これかも高まり続けるので100人の村の30人が農林水産業と、製造業で働けば十分100人の生活を維持することができるどころか、もっと豊かな生活ができるようになるのです。では、70人-30人=40人の働ける人はどうすればよいのでしょうか?ただ、遊ばせておけば良いのでしょうか?あるいは、生活保護などで生活を維持してあげればよいのでしょうか?そんなことはできるはずがありません。そうなれば、先の70人の人々が働いていた時代には無視されてきた、社会問題などに振り向けるのが順当な考え方です。それをせずに、40人の人がただ生活を維持できる状況におくようにしたとすれば、それは、人間の尊厳そのものにかかわる重大な問題になります。それに、この40人は、働いている人よりも消費はしないで、経済活動も低下することになります。

現在の日本は、まさにこれに近い状況にあると思います。これだけ日本のように富が国土全体にギッシリ詰まっている国は他にはなかなかありません。その経済が停滞するのは、この40人の人々の使い道が間違っているからに他なりません。また、このような社会で、製造業ばかりに力を入れても、ほとんど何も変わりません。他には何もてをつけず、外国にたくさん輸出したからといって、先の働いている人々の30人の中の一部の人が潤うだけです。さらには、農林水産業、製造業など生産性が飛躍的に拡大したし、これからも拡大し続けるので、これからは、大きな雇用の受け皿になることは期待できません。だからこそ、まさしく、産業構造、社会構造の大変革が必要なのです。

とにかく、15%の目標に向かうためには、どんな産業も昔のままでは駄目だということです。しかし、これが、新たな産業や、社会変革を担うNPOなどのシーズ(種)となる可能性は大きいです。そうして、おそらく、日本の産業界もこのような方向に向かわざるを得なくなっていくと思います。だからこそ、私は、この目標に条件つきで賛成なのです。


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