2014年我が国EZZ(経済的履いた水域)に侵入した中国の測量艦 今回は艦艇の種類までは公表されていない |
防衛省は19日、鹿児島県・屋久島南方を航行していた中国海軍の測量艦1隻が、日本の領海に侵入したと発表した。同省によると、中国軍艦の領海侵入は2017年7月以来で、4度目。日本政府は外交ルートを通じて中国側に懸念を伝えた。
同日には中国、ロシア両空軍の爆撃機が共同で日本周辺を飛行したことも確認され、同省は警戒を強めるとともに、目的などを分析している。
同省統合幕僚監部によると、17日午後8時40分ごろ、屋久島南方の接続水域を日本領海に向けて西進する中国海軍の「シュパン」級測量艦1隻を、海上自衛隊のP1哨戒機が発見。同艦はその後、18日午前1時20分ごろには同県の口永良部島西方の接続水域まで移動していた。このため同省は、17日夜に両島周辺の領海に侵入したと判断した。同艦はその後、中国本土方向に進み、海上警備行動の発令はなかった。
沖縄県の尖閣諸島沖では中国海警局の公船が領海侵入を繰り返しているが、中国軍艦は4年ぶり。17年には津軽海峡を航行していた情報収集艦が、北海道松前町沖で領海を侵した。
同日には中国、ロシア両空軍の爆撃機が共同で日本周辺を飛行したことも確認され、同省は警戒を強めるとともに、目的などを分析している。
同省統合幕僚監部によると、17日午後8時40分ごろ、屋久島南方の接続水域を日本領海に向けて西進する中国海軍の「シュパン」級測量艦1隻を、海上自衛隊のP1哨戒機が発見。同艦はその後、18日午前1時20分ごろには同県の口永良部島西方の接続水域まで移動していた。このため同省は、17日夜に両島周辺の領海に侵入したと判断した。同艦はその後、中国本土方向に進み、海上警備行動の発令はなかった。
沖縄県の尖閣諸島沖では中国海警局の公船が領海侵入を繰り返しているが、中国軍艦は4年ぶり。17年には津軽海峡を航行していた情報収集艦が、北海道松前町沖で領海を侵した。
【私の論評】中国測量船の領海侵入は、日米対中国の対潜水艦戦闘の一環として行われている(゚д゚)!
海底の地形には起伏があり、地質の違い(岩とか砂とか)などもあります。しかも海では潮の満ち干がある、同じ場所なら水深が常に同じというわけでありません。
そこで、船舶の安全な航行のために、海図が必要になります。海図には、水深、底質、海底の危険物、航路標識などといった情報が描かれています。この海図の作成のための測量が測量艦の役割です。
日本では、海図の作成と、それに必要なデータの収集を海上保安庁が担当しており、海図を作成するためのデータ収集に必要な機材を搭載した「測量船」を運用しています。例えば水深の測定であれば、音響測深儀を用います。海中では電波は使えないので音響センサーを使うのですが、これは潜水艦を捜索するのに、レーダーではなくソナーを使うのと同じ原理です。
音響測深儀は海底に向けて音波を発信して、それが戻ってくるまでの時間を使って水深を調べます。基本的には真下に向けて音波を出すから「点」あるいは「線」のデータしかとれません。
ところが、マルチビーム音響測深儀という測深儀もあり、これは左右方向に広がりを持つ扇形の音波を出します。これを作動させながら船を前進させれば、前後・左右を同時に走査できて海底地形の調査が迅速になります。
海上自衛隊の艦艇一般公開で艦橋に立ち入ったことがある人なら、艦橋の片隅に海図台があるのを見たことがあるかもしれません。
艦船が航行している時は、海図を常に参照しているし、そこに現在位置を書き込んでいく作業もあります。そのため海図台がある一角には、GPS(Global Positioning System)を初めとする測位機材の表示器も置かれています。
そこで、船舶の安全な航行のために、海図が必要になります。海図には、水深、底質、海底の危険物、航路標識などといった情報が描かれています。この海図の作成のための測量が測量艦の役割です。
日本では、海図の作成と、それに必要なデータの収集を海上保安庁が担当しており、海図を作成するためのデータ収集に必要な機材を搭載した「測量船」を運用しています。例えば水深の測定であれば、音響測深儀を用います。海中では電波は使えないので音響センサーを使うのですが、これは潜水艦を捜索するのに、レーダーではなくソナーを使うのと同じ原理です。
音響測深儀は海底に向けて音波を発信して、それが戻ってくるまでの時間を使って水深を調べます。基本的には真下に向けて音波を出すから「点」あるいは「線」のデータしかとれません。
ところが、マルチビーム音響測深儀という測深儀もあり、これは左右方向に広がりを持つ扇形の音波を出します。これを作動させながら船を前進させれば、前後・左右を同時に走査できて海底地形の調査が迅速になります。
海上自衛隊の艦艇一般公開で艦橋に立ち入ったことがある人なら、艦橋の片隅に海図台があるのを見たことがあるかもしれません。
艦船が航行している時は、海図を常に参照しているし、そこに現在位置を書き込んでいく作業もあります。そのため海図台がある一角には、GPS(Global Positioning System)を初めとする測位機材の表示器も置かれています。
「おやしお型潜水艦」の海図台 |
水上艦の場合は、座礁するかどうかが問題ですから、水深が吃水よりも大きい分には、水深が50mだろうが5,000mだろうが大差はありません。しかし潜水艦の場合、水深は「どこまで潜航できるか」に関わる大問題です。だから、正確な海底地形情報がないと、潜水艦の運用に差し障りがでてきます。
また、潜水艦にとっても水上艦にとっても、ソナーの動作に影響する海底からのソナー音波の反射、海中でのソナー音波の偏向・湾曲・反射といったことがあるため、海底地形だけでなく水温や塩分濃度のデータが重要になります。
また、潜水艦にとっても水上艦にとっても、ソナーの動作に影響する海底からのソナー音波の反射、海中でのソナー音波の偏向・湾曲・反射といったことがあるため、海底地形だけでなく水温や塩分濃度のデータが重要になります。
そのため、潜水艦を運用する国なら、大抵は海洋観測艦を配備して独自にデータ収集に当たらせています。海上保安庁(日本の場合)が収集しているデータだけでは足りないですし、情報の管理・保全という問題もあるので、内輪で情報を集める必要があります。
海自の海洋観測船「にちなん」 |
米軍は、海洋観測艦と測量艦を別々に保有・運用しています。海水そのものを相手にするか、海底や周囲の陸地を相手にするか、という違いがあります。それに対して、我が海上自衛隊は海洋観測艦だけで、その両方を兼ねています。
ただし、海上保安庁は現在8隻の測量船を有しています。平成28年12月に関係閣僚会議で決定した「海上保安体制強化に関する方針」に基づき、海洋調査体制の強化の一環として整備を進めてきた大型測量船「光洋」が、令和3年3月16日に就役します。
「光洋」は、昨年1月に就役した「平洋」の同型船であり、「平洋」と同じく海上保安庁最大の測量船です。
日本では、領海に限っては海上保安庁が測量を、海自が海洋観測をするという役割分担になっているのだと考えらます。領海外は、米国の情報に頼るとともに、海自が測量と海洋観測の両方を行っていると考えられます。
そしてこの分野では近年、無人潜水艇(UUV : Unmanned Underwater Vehicle)、あるいはAUV : Autonomous Underwater Vehicle)の利用事例が増えています。ソナーや測深儀などのセンサー機器を搭載した無人艇を目標海域に放ち、自動的に走り回らせてデータを収集、最後に無人艇を揚収してデータを取り出すという原理です。
海底の地形を知っておくべき理由はまだあります。潜水艦を探知するために、海底にパッシブ・ソナー・アレイ、いわゆるSOSUS(Sound Surveillance System)を設置しようとしても、当然ながら設置する場所の海底地形がわかっていないとできません。
浅くて平らなつもりでいたら、実は深い落ち込みがありました、ということになれば、SOSUSの敷設そのものがやりづらくなりますし、SOSUSで探知できる範囲にも影響があります。この辺は、民間で実施する海底ケーブルの敷設と共通するところかもしれません。
海洋観測艦や測量艦を平時から走り回らせて収集したデータは、「基本資料」になります。海底地形は、大地震や海底火山の大噴火でもない限り、そうコロコロ変動するものではないだろうから、それでも用が足ります。
しかしそれとは別に、「いま現在」のデータが欲しい場合もあります。その一例が水温です。そこで、ソナーを扱う艦艇や航空機は、海中に投入する温度計を備え付けています。
つまり、海面から下に温度計を降ろしていって、深度に応じて水温がどう変化するかをその場で調べるのです。
そういう機材の一例が、AN/SSQ-36 BT(Bathythermograph)ブイです。着水したブイから水温計をケーブルで海中に降ろして、そのデータを無線で送るというものです。これも一種の海洋観測です。
もしも広い外洋でBTを投下して、たとえば「深度○○メートルで急に温度が変化する」ということになれば、「その変温層の下に敵潜が隠れているかもしれない」と推測できるわけです。
なぜそのようなことが必要になるかといえば、潜水艦がスクリューなどの推進器を止めて、海中潜んだり、潮流によって移動している場合通常は発見する手段がないわけですが、海水温の変化があれば、潜んでいるかもしれないと推測できます。
特に、日本の潜水艦、その中でも最新鋭の潜水艦は、リチウムイオンバッテリーで駆動し、ほとんど無音であり、発見するのは難しいですが、水温の変化があれば、潜んでいるかもしれないと推測できるわけです。
ただ、実際中国がどの程度まで、発見できるかということは未知数です。そうして一ついえるのは、日本の潜水艦探知能力はかなり中国の上をいっているのは間違いないということです。
たとえば、防衛省は6月20日に中国潜水艦の接続水域通過を発表した。「奄美群島において太平洋から東シナ海に潜航潜水艦が通過した。日本領海には入らなかった」という内容からそれを推し量ることができます。
しかし、そうではない可能性も否定できません。温度変化に基づくものかもしれないでし、電磁波による観測によるものかもしれません。
これについては、述べていると長くなってしまうので、興味のある方は、是非以下の記事を参照してください。
海自は対潜戦に力を注いでいるのは間違いありません。また他国でもこの手のセンサー利用は進められています。ところが海自はその研究や整備について一言も公表していません。そうして、私自身は日米の潜水艦は当然のことながら、東シナ海、南シナ海、北朝鮮の近海、黄海などを潜航して航行していると思っていますし、中国がそれを発見すれば、激しく非難するようなところも航行していると思うのですが、現在までのところでは、中国はこれを非難したことはありません。
日本は発見の事実を公表することがあるのですが、中国はそのようなことを過去にしたことがありません。したことがないというよりは、できないのでしょう。これらを考慮すれば、現状では日米の対潜水艦戦闘力(ASW)は、中国のそれを凌駕しているのは間違いないといえると思います。
そうして、すでに日米と中国は様々な海域で、一般には知られることもなく、対潜水艦戦闘を前提として様々な行動をして、相手の能力を探ったり、牽制をしたりしてしのぎを削っていることでしょう。
今回の中国海軍の測量艦の日本の領海に侵入は、日米対中国の対潜水艦戦の一環として行われていることを忘れるべきではありません。そうして、ASWは現代海戦の決定打であることも忘れるべきではありません。もはや、空母打撃群や強襲揚陸艦などは海戦の主役ではないないのです。ASWこそ主役なのです。
実際に魚雷やミサイルは飛び交っていませんが、ASWに劣る中国は、いまのところ台湾侵攻や尖閣侵攻などできないことを認識しているでしょう。この優位性はしばらくはゆるがないでしょう。この海戦における絶対優位性を日米はこれからも保持しつづけるべきです。
この絶対優位性が崩れれば、中国は現在行っているような、海上や空での示威行動など一切おこなわず、すぐさま日米潜水艦隊を駆逐し、その後に台湾を武力侵攻します。尖閣にも侵攻するでしょう。沖縄もすぐです。その後は日本本土にも侵攻するでしょう。それに呼応してロシアも北海道にも侵攻するでしょう。
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