大学や企業などが開発した人工衛星を搭載したJAXA=宇宙航空研究開発機構のロケット「イプシロン」5号機は、9日午前9時55分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。
ロケットは1段目や2段目を切り離しながら上昇を続け、打ち上げから1時間余りの間に高度およそ600キロで搭載していた9つの小型の人工衛星すべてを予定どおり分離し、打ち上げは成功しました。
人工衛星は大学や企業などからアイデアを募集して選ばれたもので、宇宙のごみを除去するための技術実証を行う大手機械メーカーの衛星や、宇宙で微生物を観察する大学の衛星、それに、全国10の高専が開発した木星の電波を観測する衛星などです。
また、9日は日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんが搭乗して地球に帰還するために飛行していた宇宙船などを避けるために、急きょおよそ4分遅らせての打ち上げとなりました。
「イプシロン」ロケットは小型の人工衛星を低コストで打ち上げようと開発され、8年前の初号機から今回まで5回連続で打ち上げに成功したことになります。
人工衛星開発の大学生ら「努力が報われた」
宇都宮市にある大学の学生たちが開発した小型の人工衛星が予定の軌道に投入されて打ち上げが成功したことを受け、学生たちはほっとした表情を見せていました。
宇都宮市にある帝京大学は地元企業のサポートを受けながら10年ほど前から人工衛星の開発に取り組んでいます。
大学の教室では学生や企業の関係者らおよそ30人が集まって現地からの映像を見守り、午前11時すぎに人工衛星が予定の軌道に投入され打ち上げが成功したことがわかると、学生たちがほっとした表情を見せていました。
学生プロジェクトマネージャーで4年生の杉本秀真さんは「打ち上がってくれて一安心するとともに、1年生の頃から開発してきた努力が報われました」と話していました。
帝京大学の河村政昭准教授は「衛星が宇宙空間に行ってくれてまずはほっとしています。ミッション成功に向けてこれから始まる運用に力を入れたい」と話していました。
ロケットは1段目や2段目を切り離しながら上昇を続け、打ち上げから1時間余りの間に高度およそ600キロで搭載していた9つの小型の人工衛星すべてを予定どおり分離し、打ち上げは成功しました。
人工衛星は大学や企業などからアイデアを募集して選ばれたもので、宇宙のごみを除去するための技術実証を行う大手機械メーカーの衛星や、宇宙で微生物を観察する大学の衛星、それに、全国10の高専が開発した木星の電波を観測する衛星などです。
また、9日は日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんが搭乗して地球に帰還するために飛行していた宇宙船などを避けるために、急きょおよそ4分遅らせての打ち上げとなりました。
「イプシロン」ロケットは小型の人工衛星を低コストで打ち上げようと開発され、8年前の初号機から今回まで5回連続で打ち上げに成功したことになります。
人工衛星開発の大学生ら「努力が報われた」
宇都宮市にある大学の学生たちが開発した小型の人工衛星が予定の軌道に投入されて打ち上げが成功したことを受け、学生たちはほっとした表情を見せていました。
宇都宮市にある帝京大学は地元企業のサポートを受けながら10年ほど前から人工衛星の開発に取り組んでいます。
超小型人工衛星の開発を進める河村准教授(右)と学生たち=2020年12月、帝京大宇都宮キャンパス |
大学の教室では学生や企業の関係者らおよそ30人が集まって現地からの映像を見守り、午前11時すぎに人工衛星が予定の軌道に投入され打ち上げが成功したことがわかると、学生たちがほっとした表情を見せていました。
学生プロジェクトマネージャーで4年生の杉本秀真さんは「打ち上がってくれて一安心するとともに、1年生の頃から開発してきた努力が報われました」と話していました。
帝京大学の河村政昭准教授は「衛星が宇宙空間に行ってくれてまずはほっとしています。ミッション成功に向けてこれから始まる運用に力を入れたい」と話していました。
【私の論評】海外からは、多弾頭核搭載可能な大陸間弾道弾打ち上げの成功とも見られる今回の快挙(゚д゚)!
M-VロケットとH-IIAロケットの構成要素を流用しながら、全体設計に新しい技術と革新的な打ち上げシステムを採用することで、簡素で安価で即応性が高く費用対効果に優れたロケットを実現することを目的に開発されています。
今回の強化型イプシロンの打ち上げ成功は、海外では「日本が潜在的に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を持つ能力を育てている」という論調で報道されてもいます。
これはもっともな反応で、イプシロンロケットの持っている特徴を以下に列挙しますが、これは、ICBMにとって非常に望ましい能力です。
しかしながら、日本は原発の使用済み燃料から核兵器の材料を大量に取り出すことができ、これは北朝鮮やインド、パキスタンも使用した方法であるという事実もあります。
今回の強化型イプシロンの打ち上げ成功は、海外では「日本が潜在的に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を持つ能力を育てている」という論調で報道されてもいます。
これはもっともな反応で、イプシロンロケットの持っている特徴を以下に列挙しますが、これは、ICBMにとって非常に望ましい能力です。
- 全段固体推進剤
- 打ち上げ準備期間の短さ(第1段の射座への設置から打ち上げ翌日までの期間が、M-V は42日なのに対して、イプシロンは9日)
- 少人数の運用者がパソコンを利用して“モバイル管制”で打ち上げる
実際は単に、1955年に糸川英夫・東京大学教授がロケット研究を始めるにあたって、安価な固体推進剤を採用したがゆえの固体ロケットであり、その後の高性能化は工学研究者が世界第一線級の論文を書くために性能を追求した結果でした。その結果、「学者の遊び」と批判されてM-Vは廃止となりました。
日本の宇宙開発の父 糸川英夫氏 |
ところが、この「学者の遊び」は、結果的にM-Vは、日本の安全保障において有効な抑止力としても機能してきました。外から見れば性能はまさに世界最高。かつその性能が「ICBM的」なので、諸外国は常に「日本がICBMを持つ可能性」を考慮して、自国の安全保障政策を決定しなくてはならないのです。
実際2016年にジョー・バイデン米副大統領が中国の習近平国家主席に北朝鮮核・ミサイル問題での協力を求めた際、「日本が明日にでも核を保有したらどうするのか。彼らには一晩で実現する能力がある」と発言したことが明らかにされています。
2013年米国を公式訪問した習近平国家副主席(当時)は現地時間6月14日午前、ホワイトハウスでバイデン米副大統領(当時)と会談 |
この発言の背景には、無論日本の固体燃料ロケット発射の実績があったものと考えられます。バイデン氏は、これを同年6月23日、米公共放送(PBS)のインタビューで語りました。
習氏との協議の時期は明らかにしなかったのですが、習氏が「中国軍は米国が中国を包囲しようとしていると考えている」と述べたのに対し、バイデン氏が日本に触れ、米中の連携がなければ日本の核保有があり得るとの認識を伝えたといいます。
習氏との協議の時期は明らかにしなかったのですが、習氏が「中国軍は米国が中国を包囲しようとしていると考えている」と述べたのに対し、バイデン氏が日本に触れ、米中の連携がなければ日本の核保有があり得るとの認識を伝えたといいます。
M-Vは打ち上げ準備期間が長く、斜め方向に発射するという特徴を持ち、内之浦宇宙空間観測所の専用ランチャーからしか発射できなかったので、「M-VはICBMに転用できない」と言い切ることもできました。
ところが、日本の政治がこの便利なカードを持ったことに気づいたのは、2006年に官僚の内輪揉めで、M-V廃止が決まってからでした。
文部科学省には主に与党の防衛族議員から「なぜM-Vロケットを廃止するのか」という電話が次々にかかってきて、文科省は対応に苦慮したといいいます。ところが、その時点では政治的にであってももう廃止を止めることはできなかったのです。
日本がICBMを持つ合理的な理由はないともいわれます。なぜなら、ICBMは高価なので、破壊力の大きな核弾頭と組み合わせないと兵器としてはコストパフォーマンスを発揮できないからです。
ところが、日本の政治がこの便利なカードを持ったことに気づいたのは、2006年に官僚の内輪揉めで、M-V廃止が決まってからでした。
文部科学省には主に与党の防衛族議員から「なぜM-Vロケットを廃止するのか」という電話が次々にかかってきて、文科省は対応に苦慮したといいいます。ところが、その時点では政治的にであってももう廃止を止めることはできなかったのです。
日本がICBMを持つ合理的な理由はないともいわれます。なぜなら、ICBMは高価なので、破壊力の大きな核弾頭と組み合わせないと兵器としてはコストパフォーマンスを発揮できないからです。
しかも、日本はエネルギー安全保障の一環に原子力発電を組み込んでおり、国際原子力機関(IAEA)の査察の元に核燃料を輸入し、使用しています。IAEAは原子力の平和利用促進と軍事利用への転用の防止を目的としています。つまり、日本が核兵器を持つ意志を示せば、現行のエネルギー安全保障政策は崩壊します。
技術的には日本は問題がなく、唯一残る問題は核弾頭の製造と関連装置で、日本は簡単にこれらの問題を解決できます。日本の軍事関連企業なら1カ月に1基の速度で核弾頭を製造できると述べる海外の専門家もいます。
これに加えて、世界最高の性能を持つ宇宙向けの固体ロケットを保持し、発展させていくことは、抑止力を持つという意味で、日本の安全保障にとって良いことです。
米国、中国、ロシアという大国の狭間の東アジアに位置する島国としては、そうして何より国内では核に対するアレルギーが強いということもあり、日本は、あくまで科学技術と商業打ち上げの発展という目的を掲げてイプシロンの研究開発を継続的に進めることがが最上の策です。
2006年9月23日に最後のM-Vである7号機が打ち上げられてからの、技術開発と安全保障における2つの空白は、10年後に強化型イプシロンが上がることで、やっと埋まるメドが立ちました。本当に空白を埋めることができるかどうかは、今後のイプシロンを賢く扱えるかにかかっているといえます。
2006年9月23日に最後のM-Vである7号機が打ち上げられてからの、技術開発と安全保障における2つの空白は、10年後に強化型イプシロンが上がることで、やっと埋まるメドが立ちました。本当に空白を埋めることができるかどうかは、今後のイプシロンを賢く扱えるかにかかっているといえます。
ことの良し悪しは別にして、海外からは今回の快挙は多弾頭核搭載可能な大陸間弾道弾成功とも見られているのは確実です。
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