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2017年10月8日日曜日

安倍総理の演説妨害者を説教するおばちゃん、超絶有能―【私の論評】「安倍憎し」ばかりを繰り返すなら、今度はマスコミ、リベラル・左翼全体が崩壊する(゚д゚)!

安倍総理の演説妨害者を説教するおばちゃん、超絶有能

安倍総理が登場した街頭演説で10名ほどの集団が大声で騒ぎ始め、妨害行為を行った。そこに現れたのは1人のおばちゃん。勇猛果敢に妨害者を説教し始める。

まずは当日の様子から。
自民党演説会において「お前が国難」「アベ政治を許さない」などというプラカードを掲げ、「帰れ」とコールする集団が映っている。周囲の聴衆は演説を聞きに来ているのにこの10名ほどの団体がうるさくて仕方がない。

また、集団にはTBSのカメラが密着取材していることも判明。わずかな人数なのにズームで映すことで大勢いるように撮られていると批判の声があがった。これで「100名超の抗議者が」などと報じるのはマスコミの常套手段だ。

森友・加計学園問題はすっかり冤罪と判明したので今度は「国難」というキーワードで安倍総理を責め始めた。もっともその意味合いはよく分からないが…。

さて本題はここから。迷惑な集団に対し勇敢に立ち向かったおばちゃんがいたのだ。

▼安倍やめろと大声でコールする。


▼一体どこから集まってきたのやら。



▼と、そのときおばちゃん目の前に立ちふさがる!そして「うるさい!」と一喝。



▼警察に対して指示を出す様子は超大物。思わぬ事態に集団は硬直してしまった。


攻撃は強くても守りは弱いというのが集団の特徴なのかもしれない。偏屈な連中が1人のおばちゃんに圧倒された瞬間は実に爽快であった。

最後に一句。

TBS、逆から読むと、しばき隊。

【私の論評】「安倍憎し」ばかりを繰り返せば今度はマスコミ、リベラル・左翼全体が崩壊する(゚д゚)!

安倍総理の演説の妨害は、当然良いことではありません。このような妨害行為は、警察署に通報があれば、警察は現場を確認します。そのうえで、注意や警告などがあります。それを守らなければ、最悪謙虚ということになります。交通違反のようなもので一発アウトではないですが、警察の警告を守らなければアウトになります。

都議会議員選挙と違い、今回は国政選挙ですので、政党としても比例名簿を出しているため、公示後は政党党首などに対する暴言行為なども陣営に対する自由妨害になる可能性が高いです。公示前は選挙活動ではないので自由妨害ということにはならなです。

公示後は、見かけたら即通報すべきです。 自由妨害行為は一発検挙案件です。 過去の事例でいえば一発検挙案件であり、このような妨害を見かけたら警察にすぐに通報しすべきです。インターネット上の書き込みも虚偽や誹謗中傷は摘発対象です。こちらも警察などへ通報すべきです。 ルールを守って正しい選挙をすべきです。

さて、私はこうした選挙妨害に限らず「#お前が 国難」「アベ政治を許さない」等のような、キャンペーンは当のリベラル・左翼やマスコミにとっても良い結果を招くことにならないと思います。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!
「立憲民主党」を設立した枝野氏
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に少し長くなりますが一部を引用します。

"
旧民進党は、言葉づかいや、関連して扱うスキャンダルの内容は変わるもの、結局8〜9割方が「アベ政治を許さない」という主張でした。これだと、早晩(民進党は)滅ぶ運命だったのです。

 なぜそのようなことになるかといえば、主に3つの理由があります。


第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。

これは、誰が考えてもわかります。「政権や権力と戦うこと」自体は、手段に過ぎません。「政権や権力」と戦って、相手を潰したり、あるいは弱めたりすれば、自分たちの主張が通りやすくなります。
これは、あくまで自分たちの主張を通すための手段です。戦って、相手を潰したり、弱めた後には、自分たちは何をしたいのか、何をするのかはっきりしていなければ、全く意味がありません。
経営学の大家であるドラッカー氏はリーダーシップと、使命について以下のように語っています。
真のリーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく、望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、リーダーシップとは、人を引きつける個性のことではないといいます。そのようなものは煽動的資質にすぎないとしています。まさに、「安倍政治を許さない」は、扇動的キャッチフレーズに過ぎないものです。

また、仲間をつくり、人に影響を与えることでもないといいます。そのようなものは、セールスマンシップにすぎないといいます。小池百合子氏も今のところ、上手にセールスマンシップを発揮しているに過ぎないのです。

ドラッカーはリーダーシップは、カリスマ性でも資質でもないとしています。それでは、リーダーシップとは何なのでしょうか。ドラッカーは、リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることだといいます。

信頼がない限り、従う者はいません。そもそも、リーダーに関する唯一の定義が、つき従う者がいることです。

リーダーが公言する信念とその行動は、一致しなければならないのです。リーダーシップは、賢さに支えられるものではないのです。一貫性に支えられるものなのです。

リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。(『プロフェッショナルの条件』)
「アベ政治を許さない」はどう考えても、政党の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確率したものではありません。使命が明らかになっていれば、このようなキッチフレーズが出てくるはずがありません。民進党は、自らの使命を考え抜くことができず、その結果として、目標や優先順位も決められず、基準も定められず、したがってそれを維持することもできませんでした。これでは、崩壊するのが当然です。


第2に「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定について以下のように述べています。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
決定においては何が正しいかを考えなければならないというのは、別な方面からると、誰が正しいか、誰が間違いであるかを考えてはならないということです。

これは、誰でも理解できます。社会問題を解決したり議論するときに、「誰が正しい、誰が間違い」などと議論することは不毛な結果しか招きません。やはり、「何が正しい、何が間違い」という議論をすべきです。

これは、一見誰にとっても当たり前のことのようにみえます。しかし、本当に当たり前でしょうか。多くの皆さんは、当たり前でない人たちを日々ご覧になっているはずです。そもそも「アベ政治を許さない」というキャチフレーズそのものが、「安倍が間違いで、自分たちが正しい」という前提に立っています。

これでは、まともな意思決定などできるはずはありません。それに、「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズは、頭を使わなくても良いということもあります。何か政治信条などに、根ざしたキャッチフレーズだと、それを大勢の人々に理解してもらうには、それなりに説明したり、鼓舞しなければならず、かなり頭をつかいます。

しかし、このようなものでは、「あっ、安倍政権を倒すことが正義」だということで、このフレーズを広めるほうも、受けるほうも、頭をつかうことをしなくなります。まともな意思決定のできない組織はどんな組織であれ、早晩滅びます。


第3に民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。ドラッカーは次のようにも述べています。
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考える。(『経営者の条件』)
安倍総理は、意思決定においては、最初から落とし所の妥協を考えているわけではありません。無論政治の世界には妥協はつきものなので、全く考えないということはないですが、少なくとも、野党と比較するとその度合いはかなり少ないです。

ドラッカーは、妥協について以下のように述べています。
妥協には2つの種類がある。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づく。前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。半分の赤ん坊では妥協にもならない。(『経営者の条件』)
ギュスターブ・ドレ〈知者ソロモン王の裁き〉
実際、民進党をはじめ、野党の多くは、何が国民から受け入れやすいかという観点から、護憲という立場を崩さないことを前提に物事を考え、最初から落とし所を考えるため、北朝鮮の危機にまともに対応できるような意思決定ができません。北朝鮮どころか、国際情勢からかけ離れた意思決定しかできません。
"
以上のように「アベ政治を許さない」などというキャチフレーズでキャンペーンをすることは、民進党自身にとっても良いことではなく、それは民進党の急速な衰退をもたらし、挙句の果てに、民進党の崩壊を招いてしまったのです。

そうして、「アベ政治を許さない」というキャンペーンは、民進党自身だけではなく、日本の新聞・テレビなどのほとんどのメディアもこれに加担しました。

今年の都議選でもこのようなキャンペーンがみられました。これについても、このブログに掲載しました。そのリンクを以下に掲載します。
「左がかった人たち、安倍政権をたたきつぶそうと必死」阿比留編集委員が講演、わが国の将来は―【私の論評】これからマスコミの一部と官僚支配が作る日本最期の厳しい時代がくるかもしれない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、マスコミは「アベ政治を許さない」一部の人たちが、選挙妨害しているところを切り取って報道して、結果としてこの人たちを応援しました。

この動きの同一線上に、「もりかけ」問題もあります。とにかく、アベ憎ししか言わない、民進党などの野党にほとんどのマスコミが応援しました。

このような酷いキャンペーンをするマスコミを懸念した、阿比留氏は、この記事で「これからマスコミの一部と官僚支配が作る日本最後の厳しい時代がくるかもしれない」という警告をしています。

しかし、現実はどうだったでしょうか。「安倍憎し」で凝り固まった、民進党が事実上崩壊しました。

結局、「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズに凝り固まった、民進党に対し、「アベ政治を許さない」という方針に基づき、様々な応援キャンペーンを繰り返したマスコミは、欠局民進党の劣化を強化し、崩壊をはやめる結果を招いたに過ぎないのではないでしょうか。

マスコミがもう少しまともで、民進党の使命は"「政権や権力と戦うこと」ではない"と批判したり、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができない批判したり、"正しい妥協の仕方を学ぶべき"と批判していれば、この状況は変わったかもしれません。

私自身は、民進党がまともになってほしいという考えから、これらの批判を繰り返してきました。なぜなら、民進党のような野党がまともになり、自民党の強敵になれば、自民党も引き締まり、結果として良い政治風土が定着することを期待できるからです。

しかし、マスコミはそのようなことはなく、民進党の考えに迎合するだけで、「アベ政治を許さない」という姿勢で報道を続けました。これでは、欠して民進党を応援することにはなりません。結局、甘やかしているにすぎません。

その結果、マスコミは民進党の崩壊を助長したことにも気付かず、今でもその姿勢は変わっていません。

「#お前が国難」というキャッチフレーズも、「アベ政治を許さない」と根本的には何も変わりません。おそらく、「アベ政治を許さない」ばかりでは飽きられてしまうので、新しい言葉にしただけで、その根本の「安倍憎し」では同じことなのでしょう。

特に、ブログ冒頭の記事にあるように、TBSは都議選のときの報道と同じように、また一部を切り取って報道し、「アベ憎し」の姿勢で報道を続けています。

今後も「安倍憎し」てキャンペーンを続けると、一見リベラル・左派を応援しているようにみえながら、その実破壊することになります。

このブログでは、次の選挙で、民進党は牛歩戦術の後の選挙で崩壊したのと同じ運命を迎えることであろうことを予言しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
民進党、お決まりの空騒ぎ 「加計問題」追及も現地視察門前払い、法務委では大騒ぎ―【私の論評】歴史は繰り返す!牛歩戦術で社会党はどうなったか?
「加計学園」獣医学部建設予定地を視察する今井雅人衆院議員(前列左)ら
民進党プロジェクトチームのメンバー=5月19日、愛媛県今治市
この記事で、の結論部分では結論部分で以下のような予言を掲載しました。
第二次世界大戦の敗戦後、初めて議会に進出した日本社会党や日本共産党もまた、牛歩戦術を使うようになりました。日本国憲法が公布され、帝国議会から国会となってから、本格的な牛歩の最初は、野党時代の日本自由党が、大野伴睦の発案で行われました。自民党が政権を握っていた55年体制下では、日本社会党や日本共産党が得意とした戦術であり、その後の自公政権下でも民主党などが行うことがありました。 
ただし、社会党は党としては行わず、議員個人の裁量に任せるという形を取っていました。一回の投票での最長記録は1992年のPKO法案採決阻止を目的とした下条進一郎参院国際平和協力特別委員長問責決議案での13時間8分です。 
ちなみに、社会党が存続していたときには、この「牛歩戦術」を最も頻繁に行ったのは社会党でした。そうして、その社会党はこの最大の牛歩戦術をとった次の選挙では大敗を喫し、その後なくなりました。
衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人=1992年6月15日
上の写真は、衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人の写真です。傍聴人以外にも、当然のことながら、テレビなどで多くの国民がこれを見守りました。 
その衆人環視ともいえる最中に、社会党は牛歩戦術という審議妨害活動を敢行したのです。社会党としては、自分たちは国民のために、努力している姿を見せたつもりだったのでしょう。そうして、次の選挙で多数の国民は、社会党に厳しい審判を下したのです。 
このように国民から大ききな批判を受けた『牛歩戦術』。 今の民進党は、同じことをしています。  
彼らはここ数年、戦争法案というレッテル貼りや、森友学園問題、加計学園問題という論点が不明確な事で、安倍総理、自民党のイメージ低下を訴求しています。しかし、その根底は「牛歩戦術」と同じ議事妨害を展開しています。
しかし、よく考えてみるべきです。『牛歩』のあと、当時、最大野党だった社会党はどうなったのか、ということを。 歴史は繰り返します。
今回の選挙で旧民進党は事実上崩壊しましたが、それでも、「希望の党」から率候補して、選挙で当選した議員が、民進党に戻るなどして、再度民進党が事実上再建されるかもしれません。しかし、それでも「安倍憎し」をやめなければ、次の選挙までもたず確実に崩壊するでしょう。
この予言は的中したと思います。私は、これと同じような予言は数年前から行っていました。民進党が崩壊しても、リベラル・左翼やマスコミが「アベ政治を許さない」「#お前が国難」という姿勢を取り続ければ、リベラル・左翼全体そうしてマスコミが、今後民進党と同じく崩壊の憂き目にあうことになるでしょう。

そうして、マスコミが「アベ政治を許さない」「#お前が国難」をキャッチフレーズに、効果的にキャンペーンを行えば、行うほど、崩壊のスピードがはやまることになります。その崩壊は、今回のように予測できず、突然発生し、関係者は大いにうろたえることになるでしょう。

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2017年10月4日水曜日

【日本の解き方】安倍自民vs「ポピュリズム」 消費税の使途は小さな話、北朝鮮問題を愚直に訴えよ―【私の論評】平和ボケ日本で半島有事後の戦後処理と新秩序まで考えているのは安倍総理のみ(゚д゚)!


小池百合子氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 希望の党がブームになる可能性があるなかで、衆院選で過半数確保を目指す自民、公明両党には、どのような戦略が必要なのだろうか。

 まず最初に、選挙の争点の練り直しだ。「国難」のうち、北朝鮮の脅威は当然だが、消費増税の使いみち変更は優先順位の低い話だ。国家としては、安全保障が第一で、それが確保された上での経済である。

 ハッキリ言えば、消費増税の使いみち変更は、実質的な規模で1兆円程度の予算の話である。この程度であれば毎年の予算編成で処理できる。

 具体的にいえば、昨年の補正予算で使った財投債スキームを教育支出に応用すれば、増税なし、プライマリーバランス(基礎的財政収支)悪化なしで財源が作れる。しかも、この話は2年先のことなので、それまでに準備できる。総選挙で争点にするまでもないことだ。

 北朝鮮の脅威は、今そこにある危機である。まさに日本にとっての国難であり、その対応のための政府の体制づくりこそ総選挙の争点だ。こうした国難のときに、日本の首相がトランプ米大統領、中国の習近平国家主席と互角に渡り合っていけるかどうか、そのために誰が適任かを問う総選挙である。

 幸いにも、安倍晋三首相は、先進国のリーダーの中ではトランプ米大統領からの信頼が一番あつい。その一例は、日米首脳会談における20秒弱の長い握手、トランプ氏の別荘での1・5ラウンドのゴルフなどである。

米ゴルフ場で安倍首相と楽しむトランプ米大統領
 先日の国連総会での食事会では、トランプ氏の隣は安倍首相だった。トランプ氏が「シンゾウの隣にしてくれ。でないと食事会にはでない」と事務局にねじ込んだという。公式発表はないが、1日に何回も電話連絡を取り合っているらしい。

 客観的にみても北朝鮮情勢は緊迫している。北朝鮮に対する国連制裁は、おそらくあと1回はレベルを上げる余地はあるが、過去の例からみればもう限界になっている。あとは、国連軍か多国籍軍による攻撃しか残っていない。これは国際政治からみれば常識だ。こうした意味で、圧力しか残されていない。

 さらに、11月にはトランプ氏の来日が予定されている。主題は北朝鮮問題への対応だが、米中首脳会談に臨む日米のすり合わせも行われるだろう。

 米中首脳会談は、中国の共産党大会後に行われる中国のお決まりの行事でもある。米中首脳会談とはいうものの、実質的には、日米中が今後の北朝鮮体制をどうするかという極東アジアの安全保障上の最重要問題を話す場になるわけだ。

 残念ながら、先日の安倍首相の記者会見では、こうした国際情勢での国難が強調されずに、消費増税の使いみち変更という安全保障問題に比べて優先順位の低い国内問題に焦点が当たってしまった。

 北朝鮮問題という希有な国難に対して、どうするのか、それをなすためにはこの国のリーダーとして誰がふさわしいのか。そうした国の基本を愚直に訴えないと、悪いポピュリズムで流されてしまうだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】平和ボケ日本で半島有事後の戦後処理と新秩序まで考えているのは安倍総理のみ(゚д゚)!

今回の安倍総理による衆院解散の目的は、先日もこのブログに掲載したように、半島有事後にやってくる、北朝鮮の戦後処理ならびに戦後の朝鮮半島をめぐる新秩序樹立のための話し合いに日本の代表として参加することでしょう。そうして、この会議は当然のことながら、北朝鮮の敗戦がきまる少し前に行われることでしょう。

なぜなら、北朝鮮の敗戦の前にこれを決めておかなければ、さらに混乱が予想されるからです。混乱どころか、さらに戦争の火種になることもあり得るからです。

これについては、太平洋戦争(日本側の呼称は大東亜戦争)の日本の戦後処理と戦後の日本列島をめぐる新秩序樹立のために行われたヤルタ会談になぞらえて、「北朝鮮版ヤルタ会談」としてこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中韓メディアが警戒、小池氏は「安倍首相より右寄り」 日本政治の右傾化懸念する声続出―【私の論評】北朝鮮版ヤルタ会談に参加することが安倍首相の真の狙い(゚д゚)!
ヤルタ会談
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの会談の意義などについて掲載します。

この会談は、北朝鮮の敗北が濃厚になったときに開催されるでしょうが、米軍や中国軍、ロシア軍が北朝鮮領内に進駐する前に行われることになります。

そうして、この会議において、ヤルタ会談において敗戦後の日本の運命が決まったように、戦後の北朝鮮の運命が決まることになります。

北朝鮮を韓国に併合するのか、あるいは北朝鮮の領域はそのまま残し、新たな民主的政権を樹立するのか、あるいは北朝鮮の領域を米軍、中国軍、ロシア軍などで分割信託統治するのか、いずれにするかも定められることになります。

これはいずれ必ずそうなります。なぜなら北朝鮮の核、そうして政治体制は、日米にとって脅威であるばかりではなく、中国やロシアにとっても脅威だからです。そうして、これらは当然のことながら、日本を含める多数の国々に大きな影響を与えます。

そうして、この会談に日本が参加できる可能性はかなり高いものと思います。場合によって国連がからむことになるかもしれませんが、それはあくまで形式的なものであり、実際にはヤルタ会談のように少数の強国の話し合いなることが予想されます。

実際には、韓国や他の諸国なども形式上はこの会談に参加することになるかもしれませんが、やはり、米国、中露が実質的な役割を果たすことになるでしょう。

しかし、昨日も掲載したように、北朝鮮の核開発や政治体制が終焉後には、米国が半島情勢にかかわり続けることは難しいです。

なぜなら、朝鮮半島からかなり遠くにある米国は、北朝鮮の核の問題が解決された後にまで、この地域で影響力を及ぼし続けることには、根拠が薄弱だからです。それに対して、中露は、国境を接しているということで、戦後にも大きな影響を被る可能性があるということで、この地域に影響力を及ぼし続けることには、一定の根拠と合理性があります。む

そうなると、この会談では米国ではかなり不利な立場に追い込まれます。そこで、日本の存在が一躍クローズアップされます。

ますば、日本は海を挟んでいながらも、朝鮮半島の隣に位置します。中露のように、戦後にも大きな影響を被る可能性が高いため、この地域に影響力を及ぼし続けることには、一定の根拠と合理性があります。

中露だけに朝鮮半島の新秩序樹立させるわけにはいかない・・・・
そうして、米国は日本の同盟国であるということから、戦後もこの地域に影響力を及ぼし続けることに一定の根拠と合理性を主張することができます。

さらに、この記事に示したように、日本は安倍総理の外交努力により、インド、アセアン、オセアニアの国々とは、友好関係にあります。

そうなると、日本がこの会談で、これらの地域の仲介役として大きな役割を果たすことが期待されることになりそうです。

そうして、トランプ大統領は、外交の経験は少ないですが、経験豊富な安倍総理と共同でこの会談に参加することにより、トランプ氏単独で臨むよりはるかに有利な交渉をすることができます。

中露二国のみが、実質的に朝鮮半島の運命を決めるということには、米国は大反対でしょうし、他のアジアの国々も大反対でしょう。

本来、このような役割は韓国が果たすべきなのでしょうが、現在の韓国のリーダーは文在寅であり、文はこのような大役を果たせるほど能力はないということが、すでに暴露されています。

そうなると、やはり日本が、そうして安倍総理がこの会談で中露と他のアジア諸国や米国の間を取り持ち利害関係を取り持つことに大きな意義と意味があります。

安倍総理とトランプ大統領
やはり、この会談で日本は欠くことができないのです。日本がこの会談に参加しなかった場合、中露によって半島の新秩序が定められることになります。特に、中国の意向が大きく反映されるものになるでしょう。

そうなれば、海洋進出に着手した中国により、アジアにはさらなる脅威が温存され、結局北朝鮮の脅威がなくなっても、新たな中国の脅威により、アジアの冷戦状況はさらに継続されることになります。そうして、この状況が定着すれば、中国だけではなく、ロシアも海洋進出にのりだすかもしれません。

それでは、せっかく北朝鮮問題を解決したとしても、アジアの国々にとって新たな脅威が温存されるだけです。

やはり、日本が中露の防波堤となって、アジアの平和と繁栄寄与すべきです。

まさに、今年から来年にかけては、日本が朝鮮半島の新秩序を樹立するための会談に参加でき、リーダーシップを発揮でできるかできないかが決まってしまう正念場なのです。

安倍総理は、これを意図して意識して、今の時期に解散総選挙をする道を敢えて選んだのです。

戦後70年も続いた偽りの平和(実際には、拉致問題も発生していて平和だったとはいえないが)により、多くの日本人は、この会談の重要性には気づいていないようです。この会談に日本が参加できるできなのとでは、その後の日本は随分と変わります。

それは、ヤルタ会談で戦後の日本の運命が決まったのに匹敵するくらいに、変わることが考えられます。もし、日本が会談に参加し、世界中の国々が納得できるようなアジアの新秩序を樹立するこに貢献できれば、日本はヤルタ会談で決まった、戦後体制の呪縛からようやっと開放されることになるでしょう。

政治の世界でも、半島有事後の戦後処理、新秩序樹立にまで考えが及んでいるのは安倍総理のみではないかと思います。ほとんどのマスコミもこれには考えが及んでいません。

他の政治家は、「解散の大義」などと語っていますが、あまりにも平和ボケ過ぎて、安倍総理の考えなど全く理解できないのでしょう。

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2016年11月26日土曜日

【炎上】国会が学級崩壊。民進党の問題児たちが「速記を止めろ!」 安倍総理が説教して全視聴者が同意―【私の論評】世界は、蓮舫氏の妄想どおりにはならない(゚д゚)!


腹BLACK 2016年11月25日

国会での蓮舫氏と安倍総理の戦いは完全に安倍総理の勝利に終わった。民進党の議員たちは速記を止めさせて妨害行為を働こうとするも、有権者である視聴者たちはその様子を冷めた目で見ていた。

まずはじめに見てほしいのはこちらの学級崩壊の状態。

▼安倍総理が答弁しているのに、民進党の議員たちが勝手に速記を止めようとしている。



▼筆記具や書類を奪おうとする。



▼マイクも奪い取る。なんだこれは…。



国会中継を観ていた人たちは民進党の野蛮さにドン引き。また、内容をみても正しかったのは安倍総理だったという。予め定められたルールに則って正々堂々と戦わないのはもはや民主主義ではない。会話が通じない野生動物と同じだ。

なぜこんな事態になったのか。分かりやすくまとめてみた。

(1)蓮舫氏がドナルド・トランプ氏に会いにいった安倍総理を追及する。「トランプ氏は差別的な発言を繰り返しています。なぜ会いにいったんですか?なぜ信頼できると判断できたんですか?」この時点ではみんな席についている。



(2)安倍総理は「安全保障のために日米間の関係は重要」と説明し、次期大統領に会いに行くのは当たり前だと説明する。



(3)と、そのとき安倍総理が話しているのに立ち歩いて妨害する議員たちが出始めた。「速記止めろー!」「一回止めろ!」と怒声が飛び交う。この間も安倍総理は「大切なアメリカと信頼関係を構築しようとするのは当然ではありませんか」と説明を続ける。



(4)安倍総理「今あそこで止めろと言っていますが、気に食わないことを私が言ったから止めろというのはおかしいですよ。大体、テレビをご覧のみなさんもおかしいと思いませんか?この状況を」



民進党議員は「ドンドン!」とテーブルを叩いて聞こえなくさせようとする。

安倍総理「テーブルを叩いて答弁を聞こえなくさせるのはやめてください。こういう騒然とした状況では私も答弁しにくいですよ。簡潔にまとめますので、みなさん席についてください…」

その後、安倍総理は「トランプ氏はオバマ大統領に対する敬意をきちんと払ったうえで政治を進めようとしていた」と会談で確認できたことを述べ、それがメディアで偏向報道されているドナルド・トランプ氏の傍若無人な姿とは違うので「信頼に値すると判断した」と説明した。

そして11月25日にも同じような事態になり、安倍総理はついに直球で民進党を説教したのであった。



「議論が進まないですよ。私が述べた事を国民の皆さんに聞かれたらまずいんですか?レッテルを貼って我々の支持率を下げようとしても民進党の支持率は上がりませんよ」。この言葉に中継を観ていた人たちは全員が同意。「よくぞ言った」「その通り」という言葉が飛び交った。

なお、この答弁中、日経平均株価は年初来高値を更新した。



日経平均株価は総理大臣の成績表と言ってもいい。アメリカの次期大統領に会いに行くのは当たり前ではないか。民進党は安倍総理の一挙手一投足に文句を言うのが仕事になっているだけで何も建設的な議論を生み出していない。普通の社会人なら速攻でクビになるレベルだ。

【私の論評】世界は、蓮舫氏の妄想どおりにはならない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、24日の参院予算委員会における蓮舫氏の質問とそれに対する安倍総理の答弁に関するものです。以下にこの委員会の動画を掲載します。


最初は、この委員会に関するZAKZAKの記事を掲載しようと思ったのですが、上の記事のほうがより鮮烈に実体が伝わると感じたので、この記事を掲載することにしました。

なお、ZAKZAKの記事のリンクも以下に掲載します。
蓮舫代表、トランプ氏にも難クセ 安倍首相批判も二重国籍問題は書類開示せず
24日の参院予算委員会において質問する蓮舫氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ブログ冒頭の記事には掲載されていない内容のみを以下に引用します。
 国会審議後、蓮舫氏は定例会見に臨み、国民にウソをついた自身の「二重国籍」問題について、記者から「(国民の疑惑を解消するために)戸籍謄本など証拠書類を開示する気はないのか」と問われた。 
 他人には「誠実な答弁」を求めた蓮舫氏だが、「(開示しない)考えは変わっていません」とだけ答えた。
蓮舫氏は、ほとんど何も考えず、ただただ安倍総理自身や与党に難癖をつけて、とにかく民進党の支持率をあげたいくらいの考えで、質問しているのでしょうが、これでは全く逆効果です。

そうして、彼女の潜在意識の中には、なるべく日米関係を毀損させたいということと、中国に有利になるようにとの考えがあるのでしょう。しかし、まとに考えて発言をしているとは到底思えないので、これはあくまで潜在意識の中でのことかもしれません。

今回の参院では、やはりTPPについての質問がありました。簡単にいえば、民進党は、 トランプ氏が大統領就任時にTPPを辞退することを表明すると発言したことから、与党がTPPを推進することは無意味ではないかというものです。民進党は、何が何でも、TPPを頓挫させたいようです。

しかし、TPP交渉参加に向けた協議入りを決断したのは、平成23年の旧民主党・野田佳彦内閣であることは間違いありません。そうして、野田佳彦氏は現在では民進党の幹事長です。なんというか、完璧に矛盾しています。

これに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!
民進党野田幹事長
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を要約して掲載します。
TPPについては、私は今のところは、完璧に頓挫したとは思っていません。 
その根拠として、一点目は、過去に大統領選においてFTAやEPAに関して、大統領選のときには反対の意思を表明しておきながら、大統領になったらこれを批准した大統領などいくらでも存在するからです。実際、アメリカの大統領選挙の公約は守られないことが、しばしばありますし。だからといって、大きな問題になったこともありません。 
二点目としては、アメリカの政治は二大政党制であり、今回のように政権交代があったとき、前政権と現政権の政治があまりにも異なった場合、とてつもなく混乱することになります。そのような混乱を避けるため、アメリカの政治では継続性の原則が貫かれています。 
継続性の原則とは、たとえ政権交代したとしても、現政権は前政権の政策を6割〜7割は引き継ぎ、後の4割から3割で、新政権の色を出すというような政治手法のことをいいます。 
三点目としては、TPPには中国は参加しません。その意味で、TPPは中国への経済的な対抗策でもあります。トランプ氏は対中国恐慌派と目されていますから、これを理解すれば、TPPを推進するほうに立ち位置を変える可能性は十分にあります。 
日本のメディアは、もうTPPは頓挫したかのように報道しているところが多いです。しかし、もっと趨勢を見極めないと、政治家、マスコミ、官僚もまたアメリカ大統領選挙の時のように、判断をまったく誤ることになるかもしれません。
TPPに関しては、他にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】トランプ氏が中国制圧決意、「通貨・貿易戦争」辞さず 安倍首相初会談の核心―【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を掲載します。
米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は16日公表した年次報告書で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効せず、中国や日本などが交渉している東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が発効した場合、中国に880億ドル(約9兆6千億円)の経済効果をもたらすとの試算を紹介しました。
報告書は、オバマ米政権のアジア重視戦略「リバランス」で、TPP構想は経済面での中核をなすとみられていると指摘。中国への警戒感を強めているトランプ次期大統領はTPP脱退を主張しているのですが、報告書はTPP脱退が逆に中国の立場を強めると警告した形です。

RCEP交渉には日中両国のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国などを加えた計16カ国が参加。TPPが発効した場合も、RCEPが発効すれば中国に720億ドルの経済効果があると試算。TPPが発効して、RCEPが発効しなかった場合には、中国の経済損失は220億ドルに上るとしました。

日本としては、TPPの米国離脱を阻止するのが当然です。何とか安倍総理の説得によって、踏みとどまっていただきたいものです。トランプ氏は、もともと企業経営者ですから、経営者の立場にたって、米国企業が儲けやすい体制を築きたいと思うのは無理もないのかもしれません。

しかし、米国企業の儲け、それも一部の企業の儲けそのものが、米国の国益にかなうことばかりではありません。場合によっては、著しく国益を毀損することだってあり得るのです。そのことに気づいて、トランプ氏が大統領就任時にTPPの再交渉を宣言するなら、かなりみどころがあると思いますし、大統領としてもうまくやっていけるかもしれません。

しかし、TPPに関する考え方がこのような状況ですから、威勢の良いことは言っていますがトランプ氏も意外と、方法は全く異なるものの、オバマ氏のように、米国を弱体化してしまうかもしれません。
TPPに何が何でも反対の民進党は、TPPが発効するかしないかは別にして、TPPを政争の道具に使う民進党は、いずれ日本はRCEPに参加すべきであると主張することでしょう。

RCEPといえば、中国のリーダーの下での国際ブラック分業体制ともいえます。まさに、蓮舫氏の考えに沿っているかもしれません。



しかし、RCEPは、AIIBと同じくまともに機能しない事が考えられます。なぜなら、トランプ氏は、中国製品に対して45%程度の関税をかけるとしています。そのトランプ氏がRCEPに対して、何もせずに見過ごすことなど、考えられません。おそらく、トランプ氏は同一経済圏であるRCEPにも45%程度の関税をかけることでしょう。

そうなれば、RCEPに参加する国は一気に減少することでしょう。TPPが仮に頓挫したにしても、中国にとっては、良いことはないのです。

それよりも、何よりもTPPなどで論議を重ね粘り強い交渉を続けてきて、本来TPPを主導する立場であった日本の交渉団がRCEPの交渉をはじめたら、中国代表団は太刀打ちできないでしょう。いずれ、習近平もしくは、中国次期主席は、RCEPを離脱するかもしれません。

トランプ氏や日本の自由貿易交渉団を甘く見るべきではありません。TPPやRCEPに対する見立ては、民進党も蓮舫氏もまだまだ甘いようです。まさに、世界は蓮舫氏の潜在意識や妄想の通りにはならないのです。

蓮舫氏国会であのような質問を繰り返すうちに、期せずして、与党の応援団になっています。民進党蓮舫代表ある限り安倍自民党は安泰のようです。

【私の論評】

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2016年7月15日金曜日

小池百合子氏「拾う神もある」支援拡大アピール―【私の論評】安倍総理を誕生させたファショニスタ石原、小池東京都知事誕生にまた一役買うか?

小池百合子氏「拾う神もある」支援拡大アピール

都内で第一声をあげる小池百合子氏
東京都知事選は14日、告示された。自民党の推薦を得られず無所属となった小池百合子元防衛相(63)はJR池袋駅前で第一声を行った。

「これまで9回、選挙を戦ったが、いちばん厳しい戦いです」としながらも「拾う神もある。東京のあちこちから、区議さんや都議さんが、小池を応援しようと、毎日あふれるように出てきてくださる」と、草の根で支援が拡大していることをアピールした。

小池氏が「たった1人の戦い」と話すと、「1人じゃない!」と声援が飛んだ。小池氏は気を取り直して「私は1人じゃない。小さい頃バイオリンを習っていたが、私が第1バイオリンとなり、皆さまの力でオーケストラにしたい」と宣言した。

その上で、「都政を、もっと『見える化』して、透明化する。たった一握りの人が、どこで何を決めているか分からないような都政をもうやめる」と指摘。これまで「ブラックボックス」と指摘してきた、都議
会自民党や都連への対決姿勢を、あらためて示した。

小池氏は都知事選出馬をもって、92年の参院初当選以来、24年間つとめた国会議員を自動失職した。

【私の論評】安倍総理を誕生させたファショニスタ石原、小池東京都知事誕生にまた一役買うか?

いよいよ、昨日から都知事選が始まっています。すべての候補者の名称を以下に掲載します。

小池百合子氏の該当第一声の動画を以下に掲載します。



小池氏の政策を手っ取り早く聴きたいかたは、44分40秒過ぎからまとめて語られていますので、そのあたりから御覧ください。

以下のような主張をされています。

・韓国人学校予定地は介護育児のための施設にしていく 

・外国人への地方参政権には反対している 

・秩序なき移民に反対 (治安の関係から有耶無耶に外国人労働者を増やすのは問題) 

この他、第一声に先立つ、記者会見などでは、「都政の透明化」、「五輪予算見直し」、「女性政策推進」も訴えておられます。

さらに、ネット上で「ださい」とかなり不評だった観光ボランティア「おもてなし東京」のユニホームについても「みんながかっこいいと思えるデザインに変えるべきだ」とも述べました。

さらに、東京都でもある小笠原諸島における中国漁船による珊瑚の乱獲についても、中国漁船によるサンゴ密漁問題には毅然として当たる考え強調していました。

2014年11月 小笠原諸島沖の海域で珊瑚を密漁する中国漁船群
他の候補者たちは、俄仕立てのようで、あまりはっきりとした政策がないとか、あっても少ないとかなどとは異なり、かなり明瞭で、多くの主張をされています。

さて、この小池百合子氏による、第一声には、自民党の議員も駆けつけていました。昨日、東京・池袋駅西口で行われた小池百合子元防衛相の第一声に、自民党の若狭勝衆院議員(比例東京ブロック)が駆けつけ「小池氏が都知事になれば、都政の利権追及を行う。東京地検特捜部の副部長をやっていた私も、チームができたら間違いなく関与する」と述べ、支持を訴えました。

自民党は増田寛也元総務相を推薦し、都連は党が推薦していない候補者を応援した場合、親族も含めて「除名などの処分対象となる」との文書を所属国会議員や地方議員に配布。この日の小池氏の演説にも、若狭氏や一部区議を除き、自民党都連所属の議員の姿はみられませんでした。

若狭氏は応援演説後、記者団に「党が除名するというならしようがない。親族を含むというが、例えば、小泉純一郎元首相が応援に来たら、小泉進次郎さんが対象になる。ブーメランにならないか」と指摘。小池氏は「私を応援すると、一族郎党を罰するということだが、それを乗り越えてきてくれた(若狭氏の)覚悟と信念に心から感謝する」と語っていました。

これについては、ちょっとしたハプニングが起こっています。"都連は党が推薦していない候補者を応援した場合、親族も含めて「除名などの処分対象となる」との文書を所属国会議員や地方議員に配布"となっていますが、その文書そのものを以下に掲載します。

この文書の発信者をご覧下さい。「自由民主党東京都支部連合会 会長 石原伸晃 幹事長 内田茂 党紀委員長 野沢太三」となっています。

そうして、あろうことか、最近石原伸晃氏の実弟でもある、石原良純氏が、13日放送のフジテレビ「バイキング」にて鳥越氏支持の発言をしてしまったのです。

フジテレビ「バイキング」にて鳥越氏支持の発言をした石原良純氏

上の記事て、若狭氏が語った「ブーメランにならないか」という発言が、実現して、まさにこの文書を発信した最高責任者である、石原伸晃氏に帰ってきたという図式になってしまいました。

さて、石原伸晃氏というと、はっきり言うと、自らの失言で、総理大臣になれたかもしれない機会を不意にしてしまった人です。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
民主が社会保障「3党協議」離脱へ―【私の論評】安倍総理には、自分では意図せずに、協力にサポートする二人のファンタジスタがついている!これで鬼に金棒だぁ-(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は、2013年8月4日のものです。この時は、民主党(現在の民進党)の代表は、海江田さんでした。
それにしても、安倍総理、素晴らしいファンタジスタに恵まれています。それも、二人もいます。一人は、石原伸晃氏です。彼も、自民党総裁選の前に、華々しい失言の連続で、本来かなり有利であったにも関わらず、安倍総裁登場という素晴らしいファンタジーを演じました。
そうして、二人目はもちろん、アングラータ・カイエーダです。これには、反日マスコミもびっくり仰天でしょう。反日マスコミは、カイエーダの、牛事件があっても、あまり追求しませんでした。それは、無論、安倍たたき、安倍潰しのためには、カイエーダは重要人物だとみなしていたからだと思います。そうして、安倍潰しのために、何とか、増税でアベノミクス潰しを確かなものにしようと、大増税キャンペーンをやりはじめていた矢先に、このカイエーダの華麗なプレイです。 
もう、これ以降、反日マスコミは、「三党合意」を盾として、増税キャンペーンをやっても、その効果は半減することになるでしょう。 
それにしても、意図せず意識せず、安倍総理のために動くこの二人、他では関心しないこともありますが、これらの件についてだけは、称賛してあげようではありませんか(゚д゚)!ひよっとしたら、あなたがたが、日本の未来を変える原動力になるかもしれません。
石原伸晃氏は、期せずして、自らの失言で、本来ならば自ら総理大臣になる機会を不意にし、かなり望み薄であった、安倍総理の誕生に大きく貢献したということで、ファンタジスタなどと揶揄されていました。


この状況だと、誰か他の議員が小池百合子氏を応援したとしても、石原伸晃氏もあまり強くものが言えないことでしょう。

この様子だと、石原伸晃さんは今度は、期せずして、小池百合子東京都知事誕生の強力なファショニスタになるかもしれません。

候補者らの主張を聴いたり過去の行動をみて、ざっくり言うと、鳥越俊太郎氏は昨日このブログにも掲載したように現状の知的水準にはかなり問題ありです。そうして、自民党推薦ではあるものの、反日、外国人地方参政権推進(自民党改憲草案は地方参政権禁止)、親韓、親朝鮮総連、小沢一郎の子分、土建屋の親玉、東京の予算を地方に分配して東京弱体化を公言している増田寛也氏だけは当選させてはいけないと思います。

候補者としては、小池氏が一番まともですし、腹も座っています。

私は、東京都民ではないので、残念ながら知事選に票を投じることはできませんが、小池氏を応援したいです。そうして、石原伸晃氏が、ファッショニスタの面目を躍如させて、過去に安倍総理を誕生させたように、また小池東京都知事の誕生に大きな役割を果たしていただきいたいものと思います。

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2016年6月12日日曜日

次の消費増税にむけて財務省が打った「布石」〜「給付型奨学金」をめぐる唐突な態度変更の理由―【私の論評】負けたふりの安倍総理!年内衆院解散でデフレ根絶か?

次の消費増税にむけて財務省が打った「布石」〜「給付型奨学金」をめぐる唐突な態度変更の理由

日本は奨学金制度も、財政・金融政策も遅れている、この3つを解消しないと根本的解決にはならない
図、写真はブログ管理人挿入。以下同じ。

 財務官僚は国民を見ていない!?

先送りから一転、「給付型奨学金」を導入する方針が決まった。

これまで日本の大学には、返済が義務づけられている「貸与型奨学金」しかなかったが、政府は返済が不要である「給付型奨学金」を、早ければ2017年度にも創設するという。

奨学金制度を所管する文部科学省は、4月中旬、給付型奨学金について財務省との協議に着手。ただ、給付型には一定の恒久財源が必要になることから、財務省は難色を示していた。それを受け、政府も導入に関する結論を先送りする方針を固めていた。

それがなぜ、一転導入へと変わったのか。政府関係者は「財務省の態度が軟化したため」とするが、そうだとすれば、財務省が態度を変えたのはなぜか。

これには、消費増税の見送りが深く関係していると、私は読んでいる。

伊勢志摩サミットが終わった5月28日夜、安倍晋三首相は消費増税見送りの方針を示した。するとすぐさま、財務省は麻生太郎財務相を通じて、見送り反対の意向を発表した。

財務省が消費増税見送りに反対するやり方はいつも同じで、「消費増税なしでは社会保障費がまかなえず、予算が組めない」という脅しである。

財務省がこの脅しをできるのは、そもそも消費税が、「社会保障目的税」とされているからだ。そのため、社会保障関係者は、この理屈を持ちだされると、消費増税に賛成せざるを得なかった。

消費増税の先送りが決まったことで、財務省による来年度予算での社会保障関係費の締め付けは、間違いなく厳しくなるだろう。

 増税こそ財務省の悲願

ただし、'15年10月に予定されていた消費増税を先送りされた時も、やはり社会保障関係費の締め付けはあった。だが、何とか社会保障関係費の激減は免れた。景気が回復していたため、税収も増加し、予算編成はそれほど苦しくなかったからだ。

つまり、消費増税が先送りされても、社会保障関係費は何とか賄えるという結果が、すでに出ているのだ。

言わずもがな、消費増税を悲願とする財務省にとって、この事実は非常に都合が悪い。そこで財務省は、返済不要の給付型奨学金の創設を飲み、文科省に気前のいいところを見せたわけだ。恩を売ることで、文科省を消費増税の応援団にしようとしたのである。

「給付型奨学金を容認してもいい」と財務省が文科省に伝えたのは、安倍首相が意向を固めた5月28日の前である。ここにも、財務省の計算が見て取れる。

消費増税の延期は、これから参院選の公約となって、参院選後に正式に政府方針となる。そのときには、2017年度の予算編成方針も決まる。

だが、消費増税の先送りが決まったため、予算は抑制されることになり、給付型奨学金もご破算になる可能性は高い。そこで財務省は、給付型奨学金を導入したいならば、やはり消費増税が必要であるという、文科省関係者の意見を引き出すつもりだろう。

来年4月の消費増税は難しくなった。だが財務省としては、「その次」の際は、何としても先送りをさせたくない。そこで今回、奨学金問題でその布石を打ったわけだ。財務省の長期戦略は侮れない。

【私の論評】負けたふりの安倍総理!年内衆院解散でデフレ根絶か?

まずは、上に記事で日本には「給付型奨学金」がないというのは間違いです。ブログ冒頭に掲載したグラフでは、ゼロになっていますが、これは違います。「給付型奨学金」は存在します。ただし、一部の本当に優秀な学生にしか給付されません。実際私が学生だったときに、私の先輩の大学院生が「給付型奨学金」を受けていました。

確か、月十数万程度だったと思います。ただし、その方はかなり優秀でした。大学院卒業と同時に、アメリカに数年公費留学しました。今はどうされているかわかりませんが、そのまま研究室に残っていたとすれば、いずれ母校か、いずれかの大学の教授になられたのではないかと思います。
返さなくていい給付型奨学金をくれる団体
先のは、大学院生の例ですが、経済的に恵まれていなくて、かなり優秀な学生(大学・高校)についても昔から、そうして今も「給付型奨学金」があります。ただし、並の学生は、対象になりません。優秀でないともらえません。だから、上のグラフは、並の学生がもらえる「給付型奨学金」のことを指しているのだと思います。

優秀な人で経済的に恵まれていない人は、このようなところに問い合わせてみるべきです。というより、本当に優秀であれば、学校の先生などが黙っていても教えてくれるのではないかと思います。


さて、ブログ冒頭の記事にもあった、日本の「貸与型奨学金」の惨状について、NHKクローズアップ現代で、報道をしていました。その内容を元にして以下に簡単にまとめます。
『奨学金破産』の衝撃 若者が...家族が...
奨学金が返済できずに自己破産するケースが、累計で1万件になりました。大学は出たが、非正規の仕事で収入が少なく、滞納、督促、裁判所命令と追い込まれて、累が家族にまで及ぶケースもあるといいます。昔はこんな話はあまり聞いたことがありません。どこかがおかしいです。

仙台で自己破産した29歳の保育士の女性は、母子家庭で、高校、大学と奨学金を受け残債は約600万円ありました。非正規のため月収は14万円前後で、生活費を差し引くと月5万円の返済ができませんでした。「自力でやっていけると思っていたのですが、返せず、延滞金がついて、このままでは一生払い続けないといけないと思ったのです」。

自己破産は苦渋の決断でした。「迷惑をかけたくない」と婚約も解消しました。悲惨です。彼女が何か悪いことをしたのかと言いたくなります。

自己破産を申請中の愛知県の20代の女性は正社員で4年働いたのですが、昨年失業して返済ができなくなりました。借りた奨学金はまだ407万円あります。自己破産で女性の支払いは免除されるのですが、請求は身元保証人の60代の父親に行きます。毎月2万2000円を払って15年かかります。「共倒れになりそうで怖い」。 
子どもは自己破産。保証人の老親に数百万円の督促
奨学金は経済に余裕のない家庭の子が仕送りやアルバイトで足らない分を補うものですが、大学の授業料は私立でいま86万円、国立で53万円です。親の仕送り額は2015年の平均は8万6700円と最低を更新しました。学生の2人に1人が奨学金を借りています。それに伴って返済の滞納は14年は32万人で増えつつあります。

日本学生支援機構はこの数年、回収を強化しています。返済予定日を過ぎると5%の延滞金、3か月続くと個人信用情報機関に登録、さらに債権回収専門会社の督促が始まり、自宅訪問や会社に電話がきます。9か月後には一括支払いの督促が裁判所からきます。まるでサラ金です。2014年、裁判所からの督促は8400件、10年で40倍になりました。

大阪の62歳の男性は4人の子供を育て上げ、いまは離婚して独り暮らし。老後のため中古マンションをローンで購入した直後、次男の奨学金の一括返済の督促状が届きました。次男は大学院に進学して、850万円の奨学金を受けていました。非正規のカウンセラーをしているのですが収入が少なく返済できませんでした。父も住宅ローンがあります。民事再生で200万円に減額して分割払いとしましたが、残り600万円の請求が、もう1人の保証人である別れた妻にいきました。元妻は自己破産するしかありませんでた。

東京大の小林雅之教授は「終身雇用制なら安定して返済できたんでしょうが、非正規だとこれができない。社会全体の問題です」といいます。 
授業料高く給付型支援少ない日本!「教育の公的負担」先進国で最低
日本は先進国の中でも教育の公的支援が非常に少ない国です。北欧やドイツは私的負担はありません。アメリカ、イギリス、カナダは授業料は高いですが、給付型の補助が多いです。フランス、イタリアなどは授業料が安く、給付型の補助があります。授業料が高く、給付型が少ないのは日本くらいのものです。

教育評論家の尾木直樹さんは「これが僕が育った国なのかとショックです」といいます。日本学生支援機構の仕組みを「金融機関の教育ローンと同じ。スカラーシップの精神がまったくない。サラ金より酷い」といいます。

支援機構は日本育英会から奨学金事業を引き継いだのですが、焦げ付きの解消が命題でした。「自己責任」を前面に出して回収強化となりました。「次の世代のための奨学金の原資を作らないといけない」といいます。その結果がサラ金化です。

政府は2日(2016年6月)に一億総活躍プランを決定して、給付型奨学金の創設に向けて議論を進めるとしました。これに尾木さんは「非常識な国家なんです」と手厳しいです。国際人権A規約では高等教育は無償となっていますが、日本はこの条項を外して1996年に批准しました。2012年にようやくこれを受け入れたのですが、「この4年間何もしてなかった」(尾木さん)

親に負担をかけまいと借りた奨学金が老後の親を苦しめる。そうして取り立てた資金が次の奨学金になり、新たな破産予備軍を作り出すという構図です。「未来への投資」どころか、「未来を潰す」奨学金とは何なのか。根本から考え直す必要があります。

このような酷い状況は、従来はあまりありませんでした。少なくとも20年くらいまえまでは・・・・。なぜそういうことになったのかといえば、日本はいわゆるデフレ気味になってから、20年近くにもなるからです。最近では、もうデフレとは言えない状況になっていますが、それても過去のデフレの悪影響が色濃く残っています。まずは、このことを忘れるべきではありません。

過去の日本は深刻なデフレ・スパイラルのどん底に沈んでいた

そうして、デフレの元凶はなんであったかといえば、それは官僚です。特に、財務省の官僚は、景気が悪かろうが、なんであろうが、お構いなしに、とにかく増税を推進してきました。これが、日本をデフレ・スパイラルのどん底に陥れました。

その他にもありとあらゆる手段を講じて国民に対しては、緊縮財政を強いる一方、自分たちは、金を貯めこみ、その貯めこんだ金を特別予算につみあげたり、官僚の天下り先である外郭団体などに大量に貸し付けました。

何のためにそうしたかといえば、財務省などの官僚の引退後の天下り生活をハッピーライフにするためです。そうして、その体質は今も続いています。そのため、GDPの60%を占める個人消費が低迷して、GDPは下がる一方でした。しかし、財務省は国民生活など二の次にして、財務省の省益を一番に優先して、今でも増税体質を変えていません。

一方、デフレの元凶は、少し前までの日銀の官僚もそうでした。不況であろうがなんであろうが、とにかく何かといえば、金融引き締めをくりかえし、日本がデフレになりかけても、金融緩和をすることなく、さらに引き締めをし、日本が完璧にデフレスパイラルのどん底に入った後でも、それを繰り返しました。そのため、雇用環境がかなり悪化して、非正規雇用が増え、失業率も増えました。

しかし、日銀は2013年から金融緩和に転じ、それ以降緩和を継続して今日に至っています。そのために、雇用環境が改善して、正規雇用の人数も増えましたし、大卒・高卒の就職も最高水準にまで達し、今日に至っています。

雇用状況が劇的に改善された日本、ただし過去のデフレの悪影響は色濃く残っている
クローズアップ現代の酷い事例の数々は、過去の日銀の政策があまりにも悪い結果によるものです。今後も、現状のまま推移すれば、このような酷い事例はなくなるはずです。ただし、これにはいくつかの条件をクリアしての話です。

その条件とは、まずは日銀が日本経済がデフレから完璧に脱却し、経済が順調に推移するようになりまで、金融緩和を継続することです。それと、財務省が、日本経済が順調に推移するようになるまで、増税などは止めて、できれば積極財政をすることです。

この条件がクリアできなければ、またまた、クローズアップ現代のような酷い事例が発生することになります。そうして、日本経済がデフレから完璧脱却できなければ、たとえ給付型の奨学金が増えたにしても、根本的には問題は解消されないことになります。

折角デフレが解消しかけている今の日本で、増税を実施すれば、デフレからなかなか脱却できないばかりか、せっかく金融緩和で良くなった雇用環境もいずれ悪化することになります。

現状増税をするとせっかく金融緩和で良くなった雇用も悪化するおそれがある!
そうすると、どういうことになるかといえば、せっかく給付型奨学金をもらい、大学や大学院を卒業したとしても、就職先がないということになります。そうなると、奨学金の返済がない分は、楽なのですが、非正規雇用などに甘じたり、場合によっては、それさえも得られないような人たちが大勢でてくることになります。そうなると、とんでもないことになります。

大学や大学院を卒業しても、正規雇用がないということになれば、当然のことながら給料が少ないわけですから、多くの人々が消費を控えることになります。そうなるとどうなるかといえば、税収が減ります。そうなると、どうなるかといえば、財務省はまたまた増税キャンペーンを行うことになります。

そうして、増税が実施されると、個人消費が減り、税収が減ります、そうなるとまた財務省は増税キャンペーンを行うことになります。結局どういうことになるかといえば、いつまでも増税が繰り返されることになり、増税の無限ループになってしまいます。

平成14年度からの8%増税が大失敗だったことは明白

しかし、そうすることによって、財務省の省益はますます堅固なものになり、官僚のハッピーライフはより確かなものになります。そうして、これにさらに日銀が金融引き締めに走れば、日本は再びデフレ・スパイラルのどん底に沈むことになります。

そうなると、大学や大学院を給付型奨学金で金銭的には楽に卒業できたとしても、雇用環境がかなり悪化して、そもそも正規雇用の道がかなり閉ざされ、ほんの一部の人しか正社員になれなくなります。

運良く正社員になったとしても、いつリストラされるのかわからいな状況に陥ります。そうなれば、また増税しなければならなくなり、当然のことながら、いつまでもこのようなことは繰り返すことはできないので、いずれ財務省の増税路線も頓挫して、特別会計の資金や、外郭団体などに貸しつけた資金を使わざるを得なくなります。

しかし、それでもデフレは継続し、政府の使えるお金にも限度があるので、役所の人間をリストラするか、給料を少なくせざるを得なくなります。そうなると、官僚の定年後のハッピーライフどころではなくなります。増税路線を堅持するにしても、いずれ限界がくるのは明らかです。

こんな馬鹿げたことを防ぐには、結局のところ、日本経済がデフレから完璧に脱却して、経済が加熱気味で完璧にインフレ傾向になるまで、日銀は金融緩和を継続し、財務省は減税、給付金、公共工事などの積極財政をすることです。

それによって、日本はデフレから完璧に脱却し、成長軌道にのります、そうすると経済成長ができるようになり、そうなると無論のこと税収も増えます。税収が増えると、それだけで、給付型奨学金の財源も増えるわけです。

一部の経済学者など、日本は成長しないという人もいますが、これ暴論です。過去の日本がデフレでないにもかかわらず、経済成長しなかったのなら、この話も理解できまが、デフレのまっただ中では、成長しないのが当たり前です。

いずれの道を選ぶべきかといえば、当然のことながら、本当は財務省にとっても、景気が上向くまで、積極財政を実行することです。

しかし、現在の財務省はそんなことはおかまいなしに、とにかく何が何でも増税するという姿勢は崩していません。


そのことは、安倍総理の「増税見送り」という言葉にも現れています、結局のところ未だ財務省は全面敗北はしていないので、「増税凍結」とはならなかったのです。ただし、これは実質的には、「凍結」と同じです。安倍総理は、「負けたふり」をしているのです。

なぜなら、増税予定だった17年4月から2年半後の2019年10月といえば、安倍首相の自民党総裁任期である18年9月を過ぎてしまいます。実務的にも19年10月から増税しようとすれば、ぎりぎり19年3月ごろまでに決断すれば良いことになります。

いずれにせよ安倍首相の任期が終わった時点なので、10%への増税をするかどうか本当に決めるのは、安倍総裁の任期が延長され首相に留任しないかぎり、次の首相という話になります。次の首相が誰になるか分からないのに加えて、次期首相が安倍首相の約束を守るかどうかもわかりません。

いまの衆院議員の任期は18年12月です。それまでに衆院選があればもちろんですが、任期満了で総選挙になったとしても、選挙結果次第で、最終決断する19年3月時点では自民党政権が続いているかどうかさえも分かりません。

つまり2年半後の政権が決まっていないのだから、増税がどうなるかは当然、分かりません。結局、はっきりしているのは「いまの安倍政権が続いている間は増税しません」という話だけなのです。

延期というなら、次は実施できる条件がそろっていなくてはならないはずですが、そんな条件はいま安倍政権の手元にはありません。だから、これは再延期というより実質的には「安倍政権による凍結」というべきです。
自民党「屋台村」、被災地名物に舌鼓 谷垣コック、牛タンカレー振る舞う。牛たんカレーをよそって配る
谷垣禎一幹事長(右)と稲田朋美政調会長(左から2人目)3月12日日午後、東京・永田町の自民党本部
増税推進派の麻生太郎財務相や谷垣禎一自民党幹事長、稲田朋美政調会長らが「増税を延期するなら解散を」と求めていました。

財務省は負けたふりがうまいです。そもそも、10%への消費増税は選挙を経ずに決めたのに、増税延期には国民の信を問わなければいけないということははまさに、「民主主義に対する官僚支配の構図」以外の何ものでもありません。「衆参同日選挙で消費増税の延期」という発想自体が財務省の「わな」です。

しかし、今回安倍総理は「衆院解散総選挙」で国民の信を問うということをせずに、増税延期を決めました。しかも、言葉では「増税延期」という言葉をつかいましたが、実質的には上記で説明したように「増税凍結」です。だから、私は先程、安倍総理は「負けたふり」をしていると掲載したのです。

このように実質的に財務省に対して、勝利をしている安倍総理ですが、以前のこのブロクにも掲載したように、過去の例では、サミット議長国の年は、ほとんどが衆院を解散して、総選挙を実施しています。

今年も、その例外ではないかもしれません。そうして、増税凍結を決めた参院選の後に、年内に衆院の解散総選挙を実施するかもしれません。

そのときの、争点は、以前のブログにも掲載したように、機動的財政・金融政策の実施の宣言ということになるかもしれません。

機動的財政政策とは、景気が悪すぎれば、減税などの積極財政を行い、景気が良すぎれば、増税などの積極財政を行うように財政政策を変えること、そうして財政政策の目標は無論のこと政府が定めます。財務省は、政府の目標に従い専門的な立場から、その目標を達成するための手段を自由に選ぶことができるようにします。

機動的金融政策とは、景気が悪すぎれば、金融緩和を行い、景気が良すぎれば、金融引き締め策ができるように金融政策を変えること、そうして金融政策の目標は政府が定めます。日銀は、専門家的な立場から、その目標を達成するための手段を自由に選ぶことができるようにします。

これが本当の意味で、中央銀行の独立性です。今の日銀法では、日銀の政策決定委員会で日本国の金融政策を決定するという、世界的にみても不可思議な決定方法になっています。これを是正するには、当然のことながら、日銀法の改正が必要です。

要するに、わざわざ選挙で国民の信を問うなどといことをしなくても、政府が財政・金融政策の目標を決定できるようにするという、世界の中では当たり前のことをできるようにするということです。

私は、これを機動的財政・金融政策であると解釈しています。そうして、安倍総理が伊勢志摩サミットで共同宣言に盛り込んだ、「機動的財政政策」とは当然のことながら、私の解釈と同じものであると思います。

もう国民も、デフレには飽々しており、一刻もはやくデフレから脱却したいと考えていると思います。無論安倍総理もそのように考えています。そうして、デフレから完全脱却できる方法が、政府による機動的な財政・金融政策です。安倍総理としては、これを国民にわかりやすく説明して、本当に機動的な財政・金融政策ができるようにして、デフレからの早期脱却を実現していただきたいものです。

それが実現できないうちに、給付型寄付金だけを導入しても、問題の根本的な解決にはなりません。「給付型寄付金+デフレから脱却、ならびにデフレに陥らない経済対策、デフレに陥っても素早く脱却できる機動的な財政、金融政策」を目指し、NHKクローズアップ現代のような事例などこれから起こらないように根絶していただきたいです。

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