2024年5月19日日曜日

親中と言われるパプアとソロモン 中国が日本から盗めなかったもの―【私の論評】南太平洋島嶼国では、中国による歴史修正を繰り返させるな


まとめ
  • ソロモン諸島議会は親中派のマネレ前外務・貿易相を新首相に指名し、中国への接近路線を継承する見通し。
  • 中国はメラネシア地域への影響力を強めており、ソロモン諸島と2019年に国交を樹立、2022年には安全保障協定を締結。
  • 中国のメラネシア進出は日米豪にとっての懸念材料であり、現地住民の警戒心も高まっている。
  • 太平洋地域では日本への親近感が残っており、日本軍の宣撫工作が成功した背景がある。
  • 今後、ソロモン諸島の親中路線は続くが、中国が現地住民の反発をどう対応するかは不透明。

ソロモン諸島の国旗

ソロモン諸島議会は5月2日に親中派のソガバレ前首相が推したマネレ前外務・貿易相を新首相に指名し、安全保障や経済分野で中国に接近する路線を継承する見通しだ。ソガバレ氏の与党OURは4月の総選挙で第1党になったものの、過半数には届きませんでした。田中宏巳防衛大学校名誉教授は、中国の太平洋島嶼国進出が10年余り続いているが、現地の人々の警戒心が高まっていると述べている。

太平洋地域はミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの三つの地域に分かれ、中国は近年メラネシアに注力している。中国は2019年に台湾と断交したソロモン諸島と国交を樹立し、2022年には安全保障協定を締結した。2022年夏にはソロモン諸島が米沿岸警備隊の寄港を拒否したことが明らかになった。また、2018年にはパプアニューギニアのメナス島を巡り中国企業が開発を打診したが、軍用施設の整備につながるという懸念から米豪が介入し、共同で開発を担うことになった。

田中氏は、中国が第2次世界大戦中の日本の戦略を学び、メラネシアに目をつけたと指摘している。日本軍はガダルカナル島やラバウル航空基地を拠点に米豪の分断を図った。現代では弾道ミサイルの脅威が問題となり、中国軍の中距離ミサイルが米軍基地を射程に収めている。今年2月に行われた日米共同統合指揮所演習でも、豪州北部ダーウィンに兵站基地を設け、グアムや沖縄への補給支援を確認した。

日本の安全保障専門家は、中国がパプアニューギニアやソロモン諸島にミサイルを配備すれば米軍の戦略が大きく狂うと懸念している。中国のメラネシア進出は日米豪にとって頭痛の種だが、ソロモン諸島の総選挙結果を見ると順調ではないことが示唆されている。2021年にはソロモン諸島の首都ホニアラで反政府デモが暴動に発展し、中華街が焼き討ちに遭った。中国からの移民が土地や建物を買い占めたことが反感を招き、親中派の支持が伸び悩んだ一因とされている。

一方、太平洋地域では親日感情が広く残っている。田中氏は、日本軍が太平洋地域で現地住民の支持を得るために宣撫工作を行い、比較的成功したと述べている。現地住民への犠牲が少なかったことも大きな要因だ。中国が旧日本軍の戦略や戦術を学んだが、現地住民の反発をどう対処するかまで考慮していなかったと指摘している。

今後、ソロモン諸島の親中路線は続く見通しですが、中国が総選挙結果を受けて対応を変えるかどうかは不透明だ。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】南太平洋島嶼国では、中国による歴史修正を繰り返させるな

まとめ
  • 日本の宣撫工作は、中国やフィリピンでは失敗したが、南太平洋の島々では成功したとされる。この違いは中共や米民主党政権のプロパガンダの影響が少なかったことが一因。
  • 中共は日本の戦争犯罪を強調し、米国は戦時中に日本の残虐行為を広く伝えることで、現地住民の反日感情を煽り、日本の宣撫工作を妨げた。
  • 戦後しばらくの間、韓国や中国、フィリピンでは日本に対する大きな批判はなかったが、1990年代以降に体系的な反日政策が展開され、反日感情が高まった。
  • 米主導の極東軍事裁判は、国際法上不当だが、その後朝鮮戦争や、中国との対抗のため日米同盟は強化され、日本に対する批判は収まっているがときおり頭をもたげることが今てもある。
  • 中国が南太平洋の島々で歴史修正を試みる可能性があるため、日本は歴史修正を防ぐための対抗措置を取るべきである。現在、日本の統治時代を知る人々がいる間に、正しい歴史認識を維持する努力が必要。

ソロモン諸島に残された日本軍の大砲

上の記事の元記事では、"太平洋島嶼国に残る親日感情について「中国大陸で住民の強い反発に遭った日本軍は、南太平洋で、現地の人々の宣伝や教化に力を入れるようになりました」"とか、"宣撫工作は、米国の影響が強く、ゲリラ組織がすでに存在していたフィリピンなどの例外を除き、太平洋地域ではおおむね成功していたという"などの解説があります。

中国大陸や、朝鮮半島、フィリピンで宣撫政策は失敗したのに、南太平洋の島々だけでは成功しているという見方と、その背景の説明には違和感を感じます。

日本の宣撫工作が失敗したとされる背景には、中国共産党や米民主党政権のプロパガンダが大きな影響を与えたのは間違いないでしよう。中国共産党は南京事件などの戦争犯罪を強調し、日本軍の暴虐を広く宣伝しました。

日本軍将校からキャラメルを貰ってよろこんでいる中国の子供たち(南京1937年11月6日撮影) 

このようなプロパガンダは、現地住民に対する日本軍の支持を得る難しさを増大させたのはある程度間違いないでしょう。また、中国共産党の八路軍(当時の中国共産党軍)は、日本軍と直接交戦することはなかったものの、ゲリラ部隊が現地で反日プロパガンダを展開し、日本軍の宣撫工作の効果をさらに減じようとたのも事実でしょう。

同様に、米国では戦時中に制作された戦争映画やニュースリールが、日本軍の残虐行為を広く伝えました。これらの映像は、国内外の世論を反日方向に誘導し、日本軍の評判を悪化させようとしました。また、米国の心理戦争部隊(OSS)は、占領地での宣伝活動を行い、現地住民に対して日本軍の悪行を強調しました。これらのプロパガンダは、日本軍の宣撫工作の成果を妨げた可能性があります。

このような状況下で、日本の宣撫工作は期待したよりは効果を上げることができなかった可能性はあります。特にフィリピンや中国北部など、中国共産党や米民主党政権の影響が強かった地域では、日本軍の宣撫工作は大きな成果を上げられなかっとしても無理はないでしょう。その結果、現地住民の反日感情が高まり、日本軍の統治が困難になった可能性もあります。

これが一般にいわれている当時の日本の宣撫工作の失敗といわれているものです。しかし、これすら米国民主党政権や中国共産党のプロパガンダである可能性もあります。これらの勢力は戦後から現在に至るまで、日本の行為を一方的に悪く描写し、その影響力を広範囲に及ぼしてきました。その結果、多くの中国人や米国人がこのプロパガンダを信じ込むようになり、日本の宣撫工作は失敗だったという評価が定着してしまったという背景があるとみられます。

しかし、南太平洋の島々そうして台湾等では、こうした中国共産党や米国民主党政権などによる積極的なプロパガンダなどなかったので、「太平洋地域ではおおむね成功していた」と見られるようになったと解釈できるのではないでしょうか。

日本の宣撫工作がすべて失敗だったわけではないことは。戦後しばらくは、韓国、北朝鮮、中国、フィリピンなどの一部地域では、日本に対する大きな批判があまりなかったことでもある程度理解できます。

しかし特に1990年代以降、韓国や中国などで体系的な反日政策が展開されるようになり反日感情が高まるようになったという事実があります。この時期以降、歴史認識問題や領土問題などに関連して、日本に対する批判が増加しました。

これは、かつての宣撫工作の影響が薄れ、新たなプロパガンダにより、新たな政治的、社会的状況が影響を与えた結果と考えられます。

米国民主党政権は、極東軍事裁判を主導しましたが、これに関して、国際法上の不当性が議論されています。主な理由として、法的根拠の不明確さ、裁判所の権限の問題、対象の選定の政治的動機、裁判手続きの不適正さが挙げられます。これらの要因から裁判の公平性や正当性に疑問が投げかけられています。

ただし、朝鮮戦争や最近では中国との対抗上、日米同盟は重要になったので、米国民主党政権も日本に対するプロパガンダは控えめにするようになりました。

しかし、こうした対日プロパガンダに関しては、いまだに米国内でもくすぶり続けています。最近では、ティム・ウォルバーグ米下院議員(共和党)が集会で、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザで、ハマス打倒のため原爆を投下するべきだとの見解を示唆したことが分かった。米メディアが3月31日までに報じました。

さらに、米連邦議会のグラム上院議員(共和党)は5月12日、日本への原爆投下について「正しい決断だった」と発言しました。8日に上院歳出委員会の小委員会でも同様の趣旨に言及し、日本政府が「受け入れられない」と申し入れたばかりでした。

共和党の議員にまで、歴代の民主党政権のプロパガンダは影響を与えており。それがいまでも時々こうして姿を現すのです。

しかし、米国保守派特に草の根の保守派は、日本を別の観点から捉えています。これは、過去のブログにも何度か掲載しています。

米国の草の根保守を牽引してきた米国の「保守のチャンピョン」ともいえる、フィリス・シュラフリー女史は、「ルーズベルトが全体主義のソ連と組んだのがそもそも間違いだ、さらにルーズベルトはソ連と対峙していた日本と戦争をしたことが大きな間違いだ」としています。さらに、女史はなくなる直前には、「全体主義のソ連と組んだために、今日米国は中国や北朝鮮の核の脅威を被っている」と語りました。

フィリス・シュラフリー女史

かつて日本を占領したマッカーサー元帥は、
朝鮮戦争に赴き、現地を調査した結果「当時の日本はソ連と対峙するため朝鮮半島と満州を自らの版図としたのであり、これは侵略ではない。彼らの戦争は防衛戦争だった」との趣旨の証言を後に公聴会で証言しています。

大東亜大戦中、日本は戦略上の要衝でもある、南太平洋の多くの島嶼国を占領していました。日本の敗戦により、これらの地域は元の宗主国の統治に移管されました。

主な例としては、ミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル諸島、ナウル、パプアニューギニアなどが挙げられます。

これらの島嶼国は、1960年代以降の脱植民地化の流れの中で、次々と宗主国から独立を果たしていきました。

例えば、ミクロネシア連邦は1986年に、パラオは1994年に、マーシャル諸島は1983年に、ナウルは1968年に、パプアニューギニアは1975年に、それぞれ独立しました。

つまり、日本の敗戦により、南太平洋の島嶼国は元の宗主国の統治に戻り、その後の脱植民地化の過程で独立を果たしていったのです。

南太平洋地域で未だ非独立の島嶼領土があります。その領土とその宗主国は以下のとおりです。
  • フランス領ポリネシア - フランス
  • ニューカレドニア - フランス
  • ワリス・フツナ諸島 - フランス
  • ピトケアン諸島 - イギリス
  • トケラウ諸島 - ニュージーランド
  • ニウエ - ニュージーランド自治領
  • クック諸島 - ニュージーランド自治領
  • アメリカンサモア - アメリカ合衆国
  • グアム - アメリカ合衆国
  • 北マリアナ諸島- アメリカ合衆国
フランス、イギリス、ニュージーランド、アメリカがそれぞれ太平洋の島嶼地域に非独立の領土を持っています。中でもフランスが最多の3つの領土を有しています。ニウエとクック諸島はニュージーランドの「自治領」と表現するのが適切です。ニュージーランドと自由連合関係にあり、実質的には独立国家に近い立場にありますが、国際法上はニュージーランドの領土とされています。

中国は南太平洋の島々でも、プロパガンダを行い、日本軍が南太平洋の島々で、残虐の限りをつくしており原住民におびただしい犠牲者が出たとか、南太平洋の島々は日本と戦い、日本に勝利して独立を勝ち得たなどの、歴史修正を試みるかもしれません。

無論、日本に対してではなく、フランス、イギリス、ニュージーランド、米国に対してもこの地域で敵対的プロパガンダを行う可能性があります。

日本は、かつて中国や朝鮮、フィリピン等でした失敗を繰り返すことなく、中国に歴史修正を繰り返させるべきではありません。

現在、南太平洋の島嶼国には、日本の統治時代を知る人もかろうじて残っています。しかし、100年もたてば、そのような人々はほとんど生存しなくなり、人の記憶も薄れていきます。大東亜戦争が終わって今年で78年目です。100年の節目はそんなに遠くない将来に必ずやってきます。今から、日本はこの地域における歴史修正をさせないように対抗措置をとっておくべきです。

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