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2018年10月3日水曜日

中国、米国留学禁止を通達…米中貿易摩擦で米国による人質化を懸念、機密情報が中国に流出か―【私の論評】中国人留学生は、本人の意志に関係なく既にスパイか工作員か国家の意志によりいつでもそうなり得る(゚д゚)!

中国、米国留学禁止を通達…米中貿易摩擦で米国による人質化を懸念、機密情報が中国に流出か

トランプ大統領

 中国共産党指導部はこのほど、トランプ米大統領が「米国に来るほとんどすべての学生はスパイだ」との内容の発言を行ったことを受けて、北京や地方の党・政府組織に対して、「幹部子弟の米国留学の禁止および留学中の幹部子弟の年内帰国に関する通達」と題する内部文書を伝えたことが明らかになった。

 米中貿易摩擦が激化し、両国関係が日増しに悪化するなか、党政府幹部子弟が「人質」化することや、スパイの嫌疑をかけられて拘留されることなどを危惧するとともに、留学費用などで米国を経済的に利することを嫌ったためとみられる。

留学生による機密情報の国外流出を懸念

 米政治メディア「ポリティコ」は8月8日、トランプ氏が7日夜、ニュージャージー州の自身のゴルフ場で開いた経営者との夕食会で、「中国人学生スパイ説」を唱えたと伝えている。ホワイトハウスは発言の内容を確認していないものの、米国務省報道官は記者会見で、「米国は中国と強い人的つながりを持っているが、学生の一部が米国の技術や情報を持ち帰ることを懸念している」と述べて、留学生による機密情報の国外流出の事実を認めたかたちだ。

 トランプ政権は昨年12月、安全保障政策の基本方針を示す「国家安全保障戦略」のなかに、競争相手国への知的財産の流出を防ぐためビザ発給手続きを見直し、「特定国からの理工系留学生への規制を検討する」ことを明記している。これを受けて、今年に入り、すでに中国の知的財産権侵害に対抗する制裁措置を発動した。

 このようななか、国務省は今年6月、ロボット工学や航空工学など高度な製造技術を専攻する中国人学生へのビザ発給を厳格化しており、オバマ前政権が1年から5年に拡大した有効期間を逆に1年に戻してもいる。

 さらに、トランプ政権は中国からの輸入品に25%もの関税をかけるなどの対中制裁を次々に発表していることから、「中国指導部は貿易摩擦問題が短期間で解決するのは難しく、米中関係の悪化も長期化するとみて、党幹部子弟の帰国および今後の米国留学禁止を打ち出した」と北京の外交筋は明かした。

 米国国務省教育文化局などの調査によると、昨年6月末現在、米国の中国人留学生は前年比6.8%増の約35万人で、11年連続で増加中だ。2016-2017年度における米国の大学の留学生数は前年比3.4%増の107万8800人だが、そのうち中国大陸部からの留学生の比率は32.5%を占めており、大半は中国における特権階級である党幹部の子弟とみられる。

 同筋は「習近平国家主席の一人娘の習明沢さんがハーバード大学に留学していたのは有名だ。米中関係が良好な時期には米政府も幹部子弟に配慮したが、トランプ政権下では逆に目をつけられ人質化することを中国指導部は恐れているようだ」と指摘。

 さらに、指導部による留学禁止通達の狙いをもう一つ付け加えると、経済的な問題だ。米国国務省教育文化局などの調査によれば、留学生が昨年度1年間で米国にもたらした経済効果は369億ドル(6273億円)で、45万人の雇用を創出している。

 同筋は「指導部から見れば、留学により、幹部子弟が米当局に目をつけられるほか、貿易摩擦で中国の経済的な基盤が切り崩されるなか、中国人留学生が米国経済にも利益をもたらしていることに我慢ができないのではないか」との分析も明らかにしている。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

【私の論評】中国人留学生は、本人の意志に関係なく既にスパイか工作員か国家の意志によりいつでもそうなり得る(゚д゚)!

中国の情報当局の工作員がアメリカの大学に入り込み、テクノロジー分野などの情報を入手している疑いがありますが、大学側はこの重大な問題にほとんど気づいていないと、クリストファー・レイFBI長官が2月13日に警告しています。

クリストファー・レイFBI長官

レイは上院情報委員会の公聴会で、中国人スパイとおぼしき人々は「教授、研究者、学生」など様々な立場でアメリカの最高学府に入り込んでいると述べました。オンライン紙マクラッチーDCの報道によれば、中国のスパイ網は全米に張り巡らされているため、全米各地のFBI支部が捜査に乗り出す必要があると、レイは訴えました。

FBIは中国政府が資金援助を行っている大学の教員らを監視しているが、それらの大学はキャンパスでのスパイ活動にまったく気づいていないと、レイは語りました。。

「大学関係者があきれるほど無防備なことが問題だ。アメリカでは研究開発の場は非常にオープンで、それは素晴らしいことだが、彼らはそこにつけ込んでいる」

マクラッチーによれば、全米各地の大学にいる中国人留学生はざっと35万人。アメリカで学ぶ外国人留学生は100万人なので、その35%にも上ります。

レイによれば、中国がアメリカの大学に目をつけたのは、次世代テクノロジーが次々に生まれる場だからです。

「アメリカはイノベーション大国で、大学発のベンチャーで有望な技術がどんどん生まれている」

大学は研究者や学生が情報を盗むことなど想定していないため、現状では情報が漏れ放題になっているが、大学当局の意識を変えれば、有効なスパイ対策ができると、レイは指摘しました。

「民間部門は(スパイ活動を)見抜くことに慣れていない。何に気をつけるべきか、彼らを教育する必要がある」

米国での中国人留学生は、単にスパイの脅威だけではありません。他にも重大な脅威があります。

中華人民共和国(PRC)には「国防動員法」という法律があります。2010年2月26日に採択・公布され、同年7月1日から施行されています。ちなみにこの法律は、準備期間に26年もかけたのだそうです。

まず、「国防動員」とは何でしょうか。手元にあるブックレット「中国『国防動員法』-その脅威と戦略と」によると、「国家あるいは政治的集団が平時体制から戦時体制に移行し、戦争に必要な人力、物資、財力などの調達を統一的に行うためにとる措置、および行動」であって、「武装力動員、国民経済動員、人民防空動員および政治動員に区分」されると書いてあります。

一言でいえば「国防動員」とは「戦争動員」のことです。日本でもかつて「国家総動員法」が制定されていました。学徒動員や女子挺身隊などは、国家総動員法に基づいて実施されました。

ところが中国の「国防動員法」は、日本の「国家総動員法」とは少し違います。戦争中だけでなく、平時であっても中国人民を動員できるのです。いや、動員できるのは中国人民に限りません。PRCの領土内にある外国系企業も動員の対象です。

つまり、この法律が適用された場合、例えば兵器に転用できる部品を生産するようPRCが外国企業に要請し、その要請に応じない場合、外国企業は罰金などの処罰を受ける可能性があるということです。

ちなみに動員対象の中国人民については、「18歳から60歳の男性公民と18歳から55歳の女性公民は、国防勤務を請け負わなければならない」という規定があり、妊婦など一定の条件に当てはまる人は動員を免除されます。しかし、その免除条件の中に、「外国に居住する人」とは書かれていません。

つまり、米国に数三十五万人はいる中国人留学生や技能研修性も、中国から戦争のための動員命令が来たら、それに従うしかないのです。武器さえあれば、兵士に早変わりです。

長野オリンピックの聖火リレー沿道に翻った「五星紅旗」

そうして中国は国防動員法に基づく動員命令の予行演習を、2008年4月に日本の長野県で実施済みです。この時は、4000人の中国人留学生が長野に動員されたと言われています。私は、当時テレビでこの様子をみましたが、本当に異様な光景でした。

中国が北京オリンピックの聖火リレーの際、長野県の善光寺に協力を仰いだところ、仏教徒であるチベット人民を弾圧する中国に協力は出来ないと善光寺が断り、さらにチベット支援者が長野に集結することになったので、中国も中国人留学生を動員して、この運動を邪魔しようとしたわけです。

外出先から家に帰ると、自分の部屋の中に最寄駅から長野まで往復の切符と動員の指示書、そして大きな「五星紅旗」(PRC国旗)が置いてあったと証言した中国人留学生もいたそうです。

日本の大手マスコミはこれをほとんど報じなかったので、知っている人は今でも少数派です。これについては、YouTube やGoogleで「長野 五星紅旗」と検索すれば、今でもかなりの動画や写真を見ることができます。

https://goo.gl/210hqb
https://youtu.be/JAdrqYcrcxE

これらの写真や動画を見れば、中国による「日本侵略」が、とっくの昔に始まっている事実が分かるはずです。それに危機感を持たない日本人が多いことに、焦燥感を覚えています。

サンフランシスコでもパリでも、五星紅旗が沿道に林立しました。各国の在住中国人に動員がかかっていたからです。

パリ共和国広場に集合した中国人留学生たち
米国は、現在中国に貿易戦争を挑んている最中です。この米国で中国人留学生が「国防動員法」に基づき、何か米国内で工作をする可能性は否定できません。米国に限らず、日本や他の先進国なとは要警戒です。

これは、人種差別とか中国差別という問題ではありません。日米などにいる中国人の背後には中共が背後に控えてるということであり、中共の命令一で、中国人がいつどこで何をするかわからないということで、非常に危険です。これは、個人的資質とか、人柄などとは全く関係のない問題です。国家が法律で、個人を縛っているということです。

いずれの国でも、中国人留学生は、本人の意志に関係なく既にスパイか工作員か国家の意志によりいつでもそうなり得るということです。

中国が「国防動員法」が廃止しない限り、いずれの国でも中国からの留学生などは厳しく制限すべきです。原則留学禁止にすべきです。

このような異様な中共(中国人ということではなく、中国共産党のこと)はやはり、ぶっ叩き潰すしかないようです。

いままで、日米をはじめとして、先進国は中共に対して甘すぎました。トランプ大統領のように、徹底的に中共の面子を潰すべきです。

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2018年8月24日金曜日

【米中貿易摩擦】手詰まり中国 時間稼ぎ トップ会談で「休戦」狙う―【私の論評】中国のミンスキー・モーメントが世界のナショナリズム回帰への先鞭をつける(゚д゚)!

【米中貿易摩擦】手詰まり中国 時間稼ぎ トップ会談で「休戦」狙う 


 米中両国は23日、160億ドル(約1兆8千億円)相当の追加関税第2弾を発動した。中国の習近平政権は「米中貿易戦争を望まないが、恐れてはいない」(外務省)と強気の姿勢を示すが、米国の2千億ドル規模となる第3弾の制裁にまともには太刀打ちできないのが実情だ。トランプ米大統領との首脳会談に持ち込み、北朝鮮問題などを取引材料に“休戦”を狙う。

 マルパス米財務次官、中国の王受文商務次官らが米首都ワシントンで開催中の貿易協議では、通商に加えて為替問題も議論されているもようだ。米側は、中国当局が貿易摩擦の悪影響を補うため、通貨・人民元を対ドルで安く誘導しているとみているが、中国側は「為替操作はしていない」との立場だ。対米輸出品の関税が引き上げられる中、元高ドル安になれば輸出品の価格競争力はますます損なわれてしまう。

 中国紙の環球時報は23日、「米中とも対話の意思があることを内外に示す必要に迫られている」として協議継続への期待を示した。背景には貿易摩擦による景気減速への懸念がある。中国株は下落傾向が続き、経済が悪化すれば社会不安を招きかねない。

米国の対米貿易戦争で追い詰められる習近平

 中国は当初、160億ドル相当の報復関税の対象に原油を含んでいたが、最終的に外した。原油価格上昇による中国経済へのダメージを懸念した可能性も指摘されている。

 今月中旬に終わったとみられる中国共産党の重要会議「北戴河(ほくたいたいが)会議」は米中問題が主要テーマになり、緊張した雰囲気だったと伝えられている。

 習国家主席への個人崇拝を批判する動きもある中、「党内対立の激化は米国を利するだけだ」として、習指導部は事態収拾を図ったもようだ。

 11月6日の米中間選挙後に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)や20カ国・地域(G20)首脳会議の場で米中首脳会談を開催し、北朝鮮問題での協力強化などをちらつかせながら、休戦への道筋をつける戦略とみられる。

【私の論評】中国のミンスキー・モーメントが世界のナショナリズム回帰への先鞭をつける(゚д゚)!

中国国内金融学者の賀江兵氏

中国国内金融学者の賀江兵氏はこのほど、アメリカにある中国語メディア「新唐人テレビ」の取材で、米中貿易戦を今後2カ月以内に解決しなければ、中国経済が「崩壊モード」に突入するとあらためて警告しました。

賀氏はかつて、中国メディア「華夏時報」金融部の主任を務めていました。現在相次ぐ破綻する個人間で投資を仲介する融通事業、「P2P(ピア・ツー・ピア)金融」サイトのリスクについて、4年前にすでに警告していました。中国で近年、その発言が注目されています。

米中貿易戦の激化で中国株式市場が低迷し、対ドルでの人民元相場が急落しました。賀江兵氏は、2カ月後に控える米国の中間選挙後、中国経済が崩壊モードに進むとみています。

「与野両党のどちらが勝っても、トランプ政権が引き続き対中貿易制裁を進めていく」としています。

民主党が勝つ場合、党内の親中派がトランプ政権の対中政策にブレーキをかけるよう、中国は働きかけるとみられます。しかし、対中問題において、与野党は歩調を合わせています。同氏は「民主党も中国に対して警戒感を強めている。米国では、今や親中派議員には票が集まらない」と指摘しています。

「選挙後、貿易戦による票への影響などの懸念材料がなくなる。トランプ氏は中国にこれまで以上の圧力をかけていくだろう」と中国がこの2カ月の間に貿易摩擦を解決する必要があると述べました。

今年6月、賀江兵氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)を通じて、中国経済のミンスキー・モーメントを警告する評論を発表しました。同氏は「ミンスキーモーメントがやってきた。(株安・元安という)市場の激しい反応から見れば、中国経済のバブル崩壊はすでに始まった」と警鐘を鳴らしました。

ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)とは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントのことです。

経済成長は一般に債務の増加を伴います。企業部門は設備投資、家計は住宅投資など固定資本形成を行い、その多くは債務(クレジット)で賄われるからです(金融レバレッジ)。債務との見合いで有効な資産が増え、所得の増加や資産からの収益で債務が返済可能である限り問題はありません。

しかし、経済成長に伴う社会の楽観的な雰囲気は時に行き過ぎ、過剰な固定資本形成と資産価格の高騰が起こります。これが資産バブルです。たとえバブルであっても、旺盛な固定資本形成が行われている限り、それ自体が需要を生み出すので、国内総生産(GDP)で計測された経済成長率は高まります。

もっとも、明らかに過剰な固定資本形成は、最終的には生産設備の稼働率の大幅な低下、あるいは投資のインカム(配当や賃料などの)リターンの低下を招き、資産価格が下落に転じる局面が到来します。

時価評価した資産価値が低下する一方、債務はキャッシュで返済しない限り減少しないので、企業や家計の時価ベース自己資本(純資産)の減少が始まることになります。つまり評価損失の発生です。

その損失増加を食い止めるために資産の売却が始まれば、同様の状態にある他の債務者も売り急ぐので、売りが売りを呼んで資産価格の急落となり、債務超過となった企業や家計は債務の返済が不能となります。その結果、銀行をはじめ信用供与者の不良債権が急増し、信用収縮、債務者の破綻、失業者の増加というバブル崩壊過程に特有の現象が続くことになります。

住宅ローン形態での家計債務の膨張を中心とした2000年代の米国のバブルでは、07年前後がミンスキーモーメントだった。これが、日本ではリーマンショックにつながっていきました。企業部門の不動産関連投資と債務膨張を主とした日本のバブルでは、1990年代初頭がミンスキーモーメントだったと言えるでしょう。

賀氏は、2カ月以内に貿易戦の打開策がなく、米政府がより強力な制裁措置を行えば、中国経済のバブルが崩壊モードに突入するとの見解を示しました。

米政府は7月と今月23日に、合計500億ドル相当の中国輸入品に対して追加関税を課しました。

「この影響で、バブルがほとんど見られない中国株式市場まで下落した。貿易戦が続くと、深刻な住宅バブル、債務問題、人民元の過剰供給による金融バブルが次々と崩壊する」

賀氏は、中間選挙後、米政府による対中貿易制裁の強化で、中国国内のインフレ圧力が一段と強まると懸念しています。同氏は、インフレ圧力が「中国経済が崩壊モードに進む」要因の1つだとしました。

世界最大の食糧輸入国である中国では、大豆価格が急騰すれば、家畜の飼料価格や大豆関連製品の値上がりを招く。他の輸入農産品、燃料についても同じです。
インフレの対策は、中央銀行による利上げ実施などです。賀氏によると、景気鈍化が進む中国で利上げを実施すると、すでに高い法人税に頭を抱える企業は次々と経営破綻に追い込まれ、実体経済は現状より一層冷え込むことになります。一方で、「当局は、企業を救済する資金力がないうえ、膨大な地方政府の債務を抱えている」といいます。

賀氏は取材中、自身について「中国経済崩壊論を主張する者ではなかった」とし、過去2年間中国経済の実態を考察して「悲観的になった」と述べました。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁

ミンスキー・モーメントの脅威を主張するのは、無論賀江兵氏だけではありません。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は19日、過度の楽観主義が資産価格の突然の大幅下落を引き起こしかねないと警告しました。

周総裁は「ミンスキー・モーメント」として知られる概念を使って脅威を指摘しました。

周総裁は第19回共産党大会に合わせて行われたイベントで質問に答え、「景気循環を増幅する要素が経済にあまりに多く存在すれば、景気変動のぶれが大きくなる」と発言。

「物事が円滑に進んでいるときに過度に楽観的であれば緊張が高まり、それが急激な調整につながる可能性がある。ミンスキー・モーメントと呼ばれる状況で、われわれは特にこれを防がなければならない」と述べました。

同総裁は価格が急落する可能性のある資産クラスを具体的に挙げることはありませんでした。企業と家計の債務リスクを広く警告した上で、一部企業の資本効率の低さと不適切な直接ファイナンスなどを背景に企業の借り入れは「非常に高水準」だと指摘。

家計の債務については非常に大きいとは言えないが急増しているとの認識を示し、「家計部門のレバレッジ縮小を進めるわけではないが、レバレッジの質を注視する必要がある」と述べました。

中国経済がミンスキー・モーメントを迎えることは、実は貿易戦争の前にもいわれていたことです。これはいず起こったのでしょうが、貿易戦争がそのきっかけをつくるかもしれないことは確かなようです。

習近平氏は当初、米中貿易戦争を楽観していた節が窺えるます。これを反映して、5~7月にかけ非金融貸出(社債+影の銀行貸出)を急速に絞った結果、企業の資金繰りに大きな影響を及ぼしています。デフォルトの多発がそれを物語っています。

中国銀行保険監督管理委員会(注:日本の金融庁)の当局者は23日、「中国の銀行セクターが新たに大規模な不良資産へのエクスポージャーにさらされていると警告した。また、銀行セクターは現在のところ、より大きな規模で融資の拡大を実施することに困難を抱えているとの認識を示した」(『ロイター』8月23日付)。

金融当局者が、「新たに大規模な不良資産へのエクスポージャー(リスク)にさらされている」と発言するのは、相当な危機レベルに達している証拠です。通常なら、このような重大な事実は隠すものです。だが、もはや隠しきれなくなった、とも読めます。

これを反映して、中国政府は各地方政府に調査団を派遣して地方経済の実態調査に乗り出している。「中国国務院(内閣に相当)は、主要政策の実施状況を調べるために国内各地に31の調査団を派遣した。調査団は各省で10~12日間にわたり、面談や事前連絡なしでの企業訪問などを通じた調査を行う予定」(『ロイター』8月22日付)という緊迫した雰囲気を伝えています。

中国経済はいずれ、かなり深刻な「ミンスキー・モーメント」を迎えるのは確かなようです。

こうしたこともあるので、習近平としては、トランプ大統領とのトップ会談で「休戦」っているのでしょうが、トランプ大統領はその手にはのらないでしょう。

なぜなら、トランプ大統領の貿易戦争の狙いはまさに、中国経済に甚大な被害を与えることが目的であり、このような事態がおこることは織り込み済みというか、これを起こすことがトランプの狙いだかです。

トランプ大統領

過去の、中国はまだ借り入れが増えている段階でした。しかし、ミンスキー・モーメント以降は、不良債権を処理せざるを得なくなり、実体経済が悪化し、企業が倒産、大量の解雇者が出て、失業者が急増、個人破産も急増し、自殺・暴動が起き、そうなると中国は軍事力でこれを抑えつけるしかなくなるでしょう。

軍事力で押さえつけなければならないとなると、必然的に軍隊が力を持つことになり、7つの大軍区は分裂してしまう可能性もあります。

2017年4月27日に行った外交演説でドナルド・トランプ大統領は、以下のように述べています。
我々は最早グローバリズムという誤ったイデオロギーによって国家を破壊し、米国の国民をその犠牲者としてはならない。国民国家こそ幸福と調和の真の基礎を成すものである。私は国際的組織というものを信用していない。
これはナショナリズムという言葉こそ使わなかったものの、まさしくアンチ・グローバリズムであり、国家の再建を意味するものです。また、米・英・中・露は、タックスヘイブンを潰そうとしていることも、猛威を振る舞った金融グローバリズムを崩壊させるものとなるでしょう。

これからは、世界の国々は自由貿易をしつつも、ナショナリズムの時代になっていくことでしょう。勿論、急に何もかもが変わっていくわけではないはずですが、徐々に変わっていくことになるでしょう。

私は、中国のポスト・ミンスキー・モーメントがその先鞭をつけるものではないかと思います。

トランプの戦いは、まさに悪い面でのグローバリズムの申し子でもある中国を潰しナショナリズムに復帰した世界を再構築することなのです。

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