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2016年11月14日月曜日

どうなる日米同盟 「基地問題を見直す好機」「日本を自ら守る気概を」 軍事評論家が激白―【私の論評】トランプ氏は米軍駐留経費負担だけでは満足しない(゚д゚)!

どうなる日米同盟 「基地問題を見直す好機」「日本を自ら守る気概を」 軍事評論家が激白

火箱芳文(ひばこ・よしふみ)氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利したことで、危惧されているのが「日米同盟」の行方だ。トランプ氏は選挙戦で「日本ただ乗り論」を主張し、在日米軍の撤退もチラつかせていた。日本の安全保障の基軸はどうなるのか。元陸上自衛隊幕僚長の火箱芳文(ひばこ・よしふみ)氏と、元在沖縄海兵隊政務外交部次長のロバート・エルドリッヂ氏に聞いた。

火箱氏は、米軍に太いパイプを持つだけに「誰が米大統領に就任しても、日米同盟の根幹が揺らぐことはないが、日本人が目覚める良い好機になるのではないか」といい、こう分析した。

「トランプ氏は『日本は在日米軍の駐留経費の全額負担をすべきだ』『応じなければ在日米軍の撤収を検討する』と主張していた。それは、『自分の国は自分で守れ』とも解釈できる。自衛隊単独で日本を完全に防衛することは難しいが、筋論としては当然だ。日本人は自らの手で国を守る気概を持つことが大事だ」

トランプ氏は、日本に「負担増」とともに「役割増」も求めてくる可能性があるとみられる。

「自衛隊の役割が増えれば、これまで米軍に流れていた予算が国民の財産として自衛隊に積み上がることになる。むしろ歓迎すべきだ。日米の軍人レベルでのつながりは強固だ。米国と対等に渡り合うチャンスだ」

火箱氏は東日本大震災時の陸幕長として7万人の陸自隊員を指揮し、米軍との共同作戦でも陣頭に立った。2011年8月に退役するまで、日米同盟の最前線に立ち続けた。

エルドリッヂ氏
 一方、エルドリッヂ氏は東日本大震災の際、米軍の「トモダチ作戦」を発案した1人である。

今回のトランプ氏の当選について、「沖縄の基地問題を見直す好機だ。(次期政権での)駐日米国大使には安全保障の専門家が就任すべきだ」といい、続けた。

「今の基地問題の基本線は約20年前、クリントン大統領と橋本龍太郎首相が合意したことがベースだ。それから世界は大きく変わり、新しい時代になった。トランプ氏の日米同盟に対する認識はかなり古い。今後、その認識は改まるだろう」

日米同盟は単なる軍事同盟ではない。「民主主義」「法の支配」「人権尊重」という基本的価値観の共有が重要である。

エルドリッヂ氏は「日本に求められるのは、米国のカーボンコピーではない。日本は人道支援などソフトパワーでの国際貢献が得意だ。同盟は夫婦関係と同じ。日本と米国はお互いが努力して良い方向に持っていくしかない」と語った。

【私の論評】トランプ氏は米軍駐留経費負担だけでは満足しない(゚д゚)!

トランプ氏の大統領選のときの発言として、日本を含む同盟国との軍事関係を経済面から見直し、在日米軍の経済的負担を日本が担わなければ、米軍撤退、そして日本の核兵器保有を容認するという発言に不安を感じる人も多いと思います。

このこのトランプ氏の発言に、日本の左派と、右派の一部が、何も考えずに単純に賛意を表明していました。ただし、左派の人たちは、核兵器保有ではなく、憲法9条が在日米軍の代わりになると考えているのが、右派の人とは違います。

しかしながら、単純に経済的負担だけを理由に在日米軍が日本から去っていくことはあり得ないと考えられます。なぜかといえば、これは米国の東アジアや太平洋の安全保障政策を大幅に縮小し、対中国・対ロシアなどを含めて、これらの脅威をいたずらに高めることになるからです。米国が、東アジアと太平洋になんの緩衝地帯もなく、海洋進出政策を活発化させ、米国が隙をみれせば、すぐにも行動を起す中国に大きな隙を与えることになるからです。

それに、すでに日本は在日米軍の駐留経費の過半を負担しています。2016年予算でも防衛省関連だけで約5400億円の巨額であり、その負担率は70%を超えています。韓国、ドイツ、イタリア、イギリスなどに比べてもその何倍、何十倍の負担額であり、負担率も米国の同盟諸国のなかでも他をかなり引き離しての一位です。

トランプ氏にいわれるまでもなく、今までの日本は米国から軍事的に「見捨てられる」可能性が起きないように、自国で在日米軍のコストを大きく引き受けてきました。
さらに、この政府予算に現れないコストも存在します。たとえば、沖縄などでの在日米軍に関するコストも無視できません。武田康裕氏と武藤功氏(共に防衛大学校教授)の著作『コストを試算!日米同盟解体』(毎日新聞社)によると、沖縄の米軍基地が存在しないときに、跡地利用などで経済効果が1兆6000億円超も生まれるそうです。



これは、それだけの金額を日本は現時点で無駄にしているといえる。これを「機会費用」といいます。また、政治的・社会的な摩擦も当然に経済評価が可能な部分があり、実際にはさらに機会費用は膨らみます。

ただし、この書籍では、日本が自主防衛に転じた場合、どの程度のコストがかかるかの試算も掲載してあります。これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ氏、共和党の指名確実な情勢 クルーズ氏が撤退―【私の論評】元々自衛戦争はできる!護憲派も、改憲派も牛丼を食べるのは違憲とするのはもうやめよう(*_*)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より、日本が自主防衛に転じた場合のコストに関する部分のみを以下に掲載します。
自国の防衛を行う場合には、他国との共同防衛か自主防衛かという選択肢があります。前者は日米同盟を考えると現状に近いものです。後者は、対米追随ではなく完全自主防衛であれば、当然のことながら核兵器保有を考えなければなりません。
以下には、核兵器のコストは特に含まれていませんが、そのまま引用します。

同書には、日米同盟のコストは1・7兆円、自主防衛コストは24~25・5兆円であると掲載されています。
自主防衛コストについては、いろいろな見方があるとはいえ、日米同盟コストに今の防衛関係費を加えても6・7兆円ですが、自主防衛コスト24~25・5兆円より小さいというこの結論にはあまり変わりないでしょう。 
この現実を知れば、日米安保と自主防衛のどちらを選ぶべきかといえば、当然のことながらコストの問題から、現実問題としては日米安保にならざるを得ないです。自主防衛とすれば、トランプ氏が言うように核兵器配備は必須です。 
日本が集団的自衛権を認めれば、米国側も日米安保にメリットがありますから、日本側の負担は抑えられます。一方、集団的自衛権を認めず、日本が専守防衛に固執するなら、日本側の負担が際限なく大きくなり、米軍も撤退ということになります。 
集団的自衛権の否定論者は、トランプ氏の提案にどう答えるのでしょうか。
米軍が日本から撤退することは、米国からみれば軍事的な公共支出の削減につながり、経済面だけをみればメリットのほうが大きいことでしょう。ただし、米軍が日本から完全撤退しつつも、同等もしくはそれ以下の軍事力でも、新たなに東アジア、太平洋地域に展開することになれば、これもとてつもなくコストがかかります。

こちらの試算は、ありませんが、空母打撃群や潜水艦など、定期的に米本土や他の地域から派遣して、中国やロシアに備えるということになれば、これもかなり莫大なものになることは容易に想像きがつきます。

それを考えると、やはり日米間で集団的自衛権を行使できるように、日米安保体制は、堅持したほうが、両方にとってかなりメリットがあります。それを考えると、米軍が日本から徹底することはあり得ないです。

ただし、米国は、今まで通り日本に駐留するものとして、駐留経費負担の増額や、全額負担を政治的に迫ってくる可能性は十分にあります。

ただし、政治的・社会的コストをあえて無視すれば、予算的な規模ではたかだか2000億円を超える程度であり、金額的には限定されたものです。ただし、そのような要求をトランプ次期政権が要求してくれば、日本国内で政治的・社会的な問題化は避けられないこことでしょう。

以上のことから、米軍が日本から撤退する可能性は低いですが、日本に対し駐留経費のよりいっそうの負担増を迫る可能性はあるでしょう。ところで、日本の核兵器保有許容ですが、日本から在日米軍がいなくなれば、トランプ氏にいわれるまでもなく、国論が二分するかたちで核兵器保有が争点化することは間違いないでしょう。

それにしても、あくまで、米国に日本の防衛を丸投げしようなどという考えは、たとえ日本が米軍の駐留費用など全部負担したとしても、トランプ氏には通用しない可能性は十分あります。

それについては、以下の動画をご覧いただけると十分にご理解いただけるものと思います。江崎道郎氏は、日本では唯一といっても良いほど、トランプ氏が大統領になる可能性とその根拠を指摘した人物であり、トランプ政権になってからの、アメリカの出方や、日本の進むべき道に関して誰よりも最初に参照すべき人物であると思います。



この動画でも指摘しているように、トランプ氏は7日の演説の中で以下のように語っています。

「私は今日、外交政策で常に中心に据えるべき重要な3語を伝えるためにここにいる。それは『peace through strength(強さを通じた平和)』だ」

トランプ氏は任務に就いている陸軍兵士の数を現在の49万人から54万人に増員し、海兵隊の大隊数を23から36に増やす(1万2480人の増員)ことを提案しました。海軍では水上艦と潜水艦を合わせて現在の275隻から350隻へ拡充し、空軍では戦闘機を約100機追加して総計1200機にすることも約束しました。

ただ、そのためにどれだけの予算が必要かについては明らかにしませんでした。保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマッケンジー・イーグレン研究員は、トランプ氏の計画を実行すれば、国防予算が年間で550億ドル(約5兆6000億円)から600億ドル上乗せされることになると試算しています。

例えば、現役の陸軍兵士を54万人に増員した場合、その費用は4年間で推定350億〜500億ドルに達するといいます。海軍の保有艦船を350隻に増やせば4年間で約130億ドル、海兵隊の大隊を36に拡充すれば4年間で約150億ドルが必要だとイーグレン氏は見込んでいます。

オバマ大統領により、ここしばらく削減され続けてきた軍事費をオバマ大統領以前の水準まではいかないものの、それでもかなり増強する意思を示したわけです。

この動画でも語っている通り、日本が米軍の駐留費をさらに負担するということだけでは、トランプ氏は満足しないでしょう。やはり、日本も太平洋が中国の海にならないように、一役買うこと表明しそれだけではなく、それを裏付ける予算措置も示さなければ、トランプ氏は納得しないでしょう。

それこそ、ブログ冒頭の記事で火箱芳文がかたるように、トランプ氏は、日本に「負担増」とともに「役割増」を求めることになるでしょう。そうして、エルドリッヂ氏がかるように、日本と米国はお互いが努力して良い方向に持っていくしかないのです。

日本としては、もう今年度は無理にしても来年度から防衛費を大幅に増大させなければならなくなると思います。これをどこに用いるのが、最も効果的なのか、日本政府の能力が問われることになると思います。

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2016年5月13日金曜日

【痛快!テキサス親父】トランプ旋風には理由があるんだぜ 日本では伝えられない米国の危機的事情―【私の論評】たった1割しか保守系メディアが存在しない米国で国民は保守を見直し、覚醒しつつある(゚д゚)!

【痛快!テキサス親父】トランプ旋風には理由があるんだぜ 日本では伝えられない米国の危機的事情

トニー・マラーノ氏
 ハ~イ! みなさん。

 米大統領選の共和党指名争いで、不動産王のドナルド・トランプ氏(69)が指名獲得を確実にしたぜ。日本では、過激な発言ばかりが報道されているようだが、今回は、日本のメディアではきっと分からない、トランプ氏を後押しした米国の危機的な事情について説明したい。

 トランプ氏がカリフォルニア州で集会を開いた際、会場の外で激しい抗議活動が行われた。世界各国のメディアはその現象だけを取り上げて、「トランプ氏に抗議殺到」などと伝えていたが、伝統と規律を重んじる米国民の感覚・感情はまったく違うものだった。

 抗議団の中では、多くのメキシコ国旗が得意げに振られていた。メキシコからの不法移民が多数参加していることは一目瞭然だったぜ。さらに、プラカードに書かれたメッセージなどから、抗議団に社会主義者が入り込んでいることも明らかだった。

 米国は「移民の国」だ。俺の先祖もイタリアから移住してきた。米国の「建国の理念」に賛同する移民たちが、わが国に活力を与え、発展させてきた。ただ、それは合法でなければならない。トランプ氏が「不法移民を強制送還させる」と主張していることは、ある意味当然といえる。

 社会主義者の増長は、米国型リベラリズムが、民主党や教育機関、映画などの大衆娯楽を乗っ取った結果だ。彼らは幼稚園のころから「資本主義の邪悪さ」と「社会主義への同情」を刷り込まれた。洗脳だ。自由主義や資本主義の象徴であるトランプ氏は「叩きのめすべき敵」なのだろう。

 彼らが、トランプ氏を政治的に貶めようとすればするほど、それが逆効果になっている。米国民の多くは「抗議団=米国を3等国に転落させたい連中」とみている。最近、テロリストを支持する集会が開催されたことが、トランプ氏への得票につながったことも、米国民は知っている。
 かつて、カリフォルニア州は米国全体の流れを決めていたが、今や、他の49州の「軽蔑の対象」でしかない。現在のトランプ旋風は「伝統的な米国を守れ」という国民的運動ともいえる。

 俺は、日本でも危機的な事態が起きていることを知っているぜ。不法滞在している連中が日本を壊そうと画策・暗躍しているうえ、一部の政党や教育現場、メディアにも「反日勢力」が浸透している。

 日本は世界屈指の歴史と伝統を持つ国であり、成熟した伝統や文化を大切にしながら、時代に合わせて新しい手法や思考を取り入れてきた。だが、そこに悪意(=日本を壊す)があったらどうするんだ?

親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。俺は、日本は日本らしさを守ってこそ、日本だと思うぜ。

では、また会おう!

 トニー・マラーノ

【私の論評】たった1割しか保守系メディアが存在しない米国で国民は保守を見直し、覚醒しつつある(゚д゚)!

上のテキサス親父の記事では、"社会主義者の増長は、米国型リベラリズムが、民主党や教育機関、映画などの大衆娯楽を乗っ取った結果だ。彼らは幼稚園のころから「資本主義の邪悪さ」と「社会主義への同情」を刷り込まれた。洗脳だ。自由主義や資本主義の象徴であるトランプ氏は「叩きのめすべき敵」なのだろう。"としています。

米国リベラル・メディアの偏向を揶揄するポスター

それでは、米国では、政治的に保守といわれる人々と、そうではない人々の比率はいかほどのものなのでしょうか。

その前に、日本はどうなのかを概観してみます。日本においては、保守と革新(非保守)の割合は、55年体制が築かれた当時では、2:1といわれていました。保守派が圧倒的に多かったわけです。

55年体制(ごじゅうごねんたいせい)とは、日本において、与党第1党は自由民主党が占め政権を維持し、野党第1党は日本社会党が占めていた体制。1955年(昭和30年)に保守が合同し自由民主党を築いた後この構図が成立したためこう呼ばれます。
初出は政治学者の升味準之輔が1964年(昭和39年)に発表した論文「1955年の政治体制」(『思想』1964年4月号)です。

この保守と革新の“2:1”の比率は、保守分裂のため社会党が第1党になった1947年(昭和22年)の総選挙の時点で既に現れていました。

55年体制は、自由民主党から日本社会党への政権交代が実現できない一方、保守政党は国会で憲法改正のための3分の2以上の議席を確保できなかったことから、政権交代と憲法改正のない体制とされています。


戦後しばらくは、いわゆる諸派・ミニ政党がしばしば議席を獲得していました。しかし55年体制成立以降は、参議院で一時的にミニ政党が進出した時期もありますが、衆議院で議席を獲得することはほとんどなくなりました。

とはいいながら、現在の自民党をご覧いただくとわかるように、保守派の議員も大勢いるにはいるのですが、現在の自民党は、それ以外にも、リベラル派や左翼に近いような人たちも混じっています。

政治信条が異なっても、自由民主党という看板の下に集っています。結局、自民党=保守派とは呼べない状況になっています。

そうなると、一見非保守派のほうが優勢のようにもみえますが、一方野党第一党の現在の民進党も、保守派の議員がいます。

結局自民党は、選挙のために政治信条の異なる人々が集う、まるで選挙互助会のような組織です。そうして、民主党(現民進党)も自民党をコピーしたような、選挙互助会組織です。ただし、コピーした分だけ、劣化しています。それを私たちは、民主党が政権与党だった時代に嫌というほどみせつけられました。

このような状況ですから、保守といわれる人々はどの程度なのか、それを特定するのは難しいです。それに、単純に保守といっても、受け取る人によって、その定義が異なります。だから、保守はどのくらいいるのかということは、政治の世界ですら、それを特定するのは難しいです。

ここで、保守の意味を正確に定義します。保守とは、保守主義の立場をとる人たちの集まりということになります。そうして、保守主義(ほしゅしゅぎ、ラテン語: Conservatismus、英: Conservatism)とは、古くからの伝統・習慣・制度・社会組織・考え方などを尊重して、古くからの伝統・習慣・制度・社会組織・考え方を保存したり、維持するために、急激な改革に反対する社会的立場や政治的立場です。

そのような立場を取る者のことも保守(英: Conservative)、あるいは、保守派と呼びます。対義語は革新もしくは進歩主義。一言でまとめると、中庸の徒ということになると思います。

『論語』で中庸について述べている部分

「中庸」という言葉は、『論語』のなかで、「中庸の徳たるや、それ至れるかな」と孔子に賛嘆されたのが文献初出と言われている。それから儒学の伝統的な中心概念として尊重されてきた。だがその論語の後段には、「民に少なくなって久しい」と言われ、この「過不足なく偏りのない」徳は修得者が少ない高度な概念でもあります。

ただし、これは、保守主義の理想であり、ここまで定義を狭めてしまうと、本当の意味での保守などあまり存在しないことになってしまいます。理想は、理想として、無理のない定義としては、「偏りのない」くらいで良いと思います。過不足なくまで定義に盛り込むと、それはもはや超人であり、それにあてはまる人はあまりいなくなることでしょう。

「偏りがない」を中庸として、中庸の徒が保守とするならば、政治の世界でも2〜3割くらいはいそうです。国民の中にも、少なくとも2〜3割くらいはいそうです。これに近い人も含めると、もしかしたら5割もいるかもしれません。

ところがです。米国はとんでもない状況になっています。なんと、いわゆる保守といわれる人々が本当は日本かそれ以上も存在しているにもかかわらず、メディアはリベラル・左派が9割という状況になっています。それは、以下の動画をご覧いただくとおわかりいただけるものと思います。



何と、アメリカでの特にマスコミの保守と非保守の割合は、1:9だというのです。ほとんどが、非保守の左翼、リベラルなのです。アメリカ最近は、いくぶん衰えたといえ、世界一の超大国です。経済的にも、軍事的に世界一ですが、何とマスコミには保守派1割しか存在しないということで、テキサス親父が語る"社会主義者の増長は、米国型リベラリズムが、民主党や教育機関、映画などの大衆娯楽を乗っ取った結果だ。彼らは幼稚園のころから「資本主義の邪悪さ」と「社会主義への同情」を刷り込まれた。洗脳だ。自由主義や資本主義の象徴であるトランプ氏は「叩きのめすべき敵」なのだろう。"と語っていることの意味が良くわかります。

とにかく、アメリカの保守の伝統や、価値観など数十年間でズタズタに引き裂かれ、破壊されてしまったというのが実情だと思います。

政治の世界では、今でもおそらく、マスコミが1:9の比率で保守が圧倒的に少ないということで、保守系の意見はほとんど無視されてしまうのです。そのため、保守派が発言したり、著述をしても、ほとんど取り上げられないというのが実情なのです。それは、教育、映画などの大衆娯楽に及ばず、ありとあらゆる方面でそうなっているのです。

日本はアメリカに比較すればメデイアなども保守が多目なのだと思います。とはいいながら、日本は敗戦国であるため、圧倒的に非保守に牛耳られているアメリカのメディア影響をかなり受けています。だから、保守がアメリカよりも比較的多くても、教育会や司法、マスコミなど多くの分野で非保守が幅を効かせているだと思います。

そうして、メデイアの世界では保守対非保守の比率が米国では、1:9ということで保守は過去のアメリカ社会は非保守が築いてきたのですが、その社会では、アメリカの保守派はリベラル等に負けっぱなしであることに多くの保守系米国民が、憤りを覚えたり、反感を覚えたり、危機感を感じているのです。


そうして、その受け皿になっているのが、トランプ氏なのです。そうして、上の動画でも語られているように、米国はリベラルに乗っ取られるため、トランプに関しては、ネガティブな報道しかせず、それを多くの日本人が鵜呑みにしているのです。

トランプ氏は、このアメリカの現状を何とか変えなければならないということで、大統領になろうとしているのです。そうして、選挙資金を自前で全部用意できるトランプ氏でなければ、このようなことはできません。現在のアメリカは、非保守に牛耳られているため、他の候補者では、選挙資金を非保守に頼らざるを得ません。だからこそ、過去においては非保守の立場は揺るがなかったのです。

しかし、これまでしばらく続いた候補者とは違い、トランプ氏は他者に操られておらず、これからも操られないことでしょう。これが、いずれは米国保守の反転攻勢の一里塚になるかもしれません。

この事実が日本では全く報道されないので、日本ではトランプは色物、際物扱いをされているのです。

トランプ氏が大統領になれば、非保守がアメリカを牛耳ってきた実体が暴かれ、アメリカ国民の多くは保守を見直し、覚醒すると思います。たとえ、トランプ氏が大統領になれなかったにしても、この傾向は続くことでしょう。

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