2022年8月29日月曜日

人心掌握から武力統一へ 中国の台湾政策の変化―【私の論評】ペロシ訪台で露呈した、弥縫策を繰り返す中国の不安定化に日本は備えよ(゚д゚)!

人心掌握から武力統一へ 中国の台湾政策の変化

岡崎研究所

 ワシントン・ポスト紙(WP)コラムニストのジョシュ・ロウギンが8月11日のWPに「ペロシの台湾訪問への中国の過剰反応はわれわれに何を教えているのか」との論説を書いている。
 ペロシ下院議長の訪問後の台湾に対する過剰反応と報復措置は、平和統一ではなく、武力によって台湾をとることに北京が焦点を合わせていることを示している。習近平の戦略は台湾の人心を掌握することから、台湾に恐怖と憎悪を起こさせることに変わった。

 中国の激烈な反応は危険な新しい時代の始まりを示している。中国は米国に対し、軍間の対話をやめ、気候変動と麻薬対策に至る諸問題での2国間協力計画を停止した。

 中国の行動の大部分は台湾の政府、経済、人々に向けられたものであった。中国は初めて台湾の都市を超えてミサイルを撃った。台湾周辺での前例のない軍事演習は封鎖または侵攻の予行演習でありうる。

 経済的には中国は100の台湾商品の輸入を制限した。8月3日、中国当局は中国のビジネスマンを「台湾独立論者」として拘束したが、中国でビジネスをしている台湾の会社への明確な脅しである。

 台湾での中国の過剰反応と、新しい危険な現状を作ろうとする努力は世界にとっての警鐘である。台湾支援を増やし、中国が侵攻は成功しないと考えるようにするための時間はなくなってきているが、そうすることが紛争を避ける最善で多分最後の手段であろう。

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 この論説は説得力がある論説である。

 習近平は中華民族の復権を唱え、強国路線を突き進んでおり、台湾政策においても、平和的な両岸間の話し合いを通じた再統一路線は投げ捨ててしまった感がある。

 鄧小平は香港について「一国二制度」を提唱し、香港の中国返還を成し遂げ、台湾に対しても同様のことを考えていたと思われるが、習近平は香港の「一国二制度」を英中共同声明に反して期限前に壊し、中国の愛国者による統治を実現した。西側民主主義諸国は、香港問題について、中国に対してもっと強硬に対応すべきであったが、そうしなかったので、習近平にとって香港の体制転換は成功体験になっているのではないかと考えられる。

 そして、これが台湾問題についての対応にも反映されている気がする。台湾に対する強硬政策で、台湾独立分子を孤立させることが可能であると考えている怖れがある。

必要となる日本と米国の覚悟

 台湾有事の発生を防ぐ為には、米国も日本も相当覚悟を決めてかかる必要がある。脅威は意図と能力の掛け算で決まるが、こちら側も軍事能力で抑止する必要がある。日本は防衛力を強化する必要があるし、米国も台湾支援を強化すべきであろう。

 ここ2年は中国の台湾侵攻はないとの予想や、2026年、27年までに中国は台湾攻撃の準備はできないとの推定で安心するわけにはいかない。これらの期限はすぐにくる期限である。

 日米が協力して中国に対し抑止力を備えること、そのためには何が必要かを具体的に図上演習もして、はっきりさせていくことが必要ではないか。ロウギンが言うように残された時間は少ない。また、日本としては、中国の考え方に影響を与えるために、台湾をめぐり紛争になることは許容できないことをこれまでも表明してきたが、これからも対中外交の中でさらに強調すべきことであろう。

【私の論評】ペロシ訪台で露呈した、弥縫策を繰り返す中国の不安定化に日本は備えよ(゚д゚)!

ロウギン氏の「中国の激烈な反応は危険な新しい時代の始まりを示している」という論説は、説得力のあるものなのでしょうか。

ペロシ氏の訪台での発言では、良く知られているものの他に以下のようなものもあります。

「この地域と世界の民主主義に対する民主主義の防衛を支援し続けているため、米国の台湾国民との連帯はこれまで以上に重要になっている」としているのです。

要するに、米国は民主主義陣営のために闘うというわけです。

米国は、世界各地で民主主義のタネを蒔いてきました。ところが、民主主義国になって経済発展したのは、極東アジアの日本、韓国、台湾くらいです。

ただ、以前もこのブログにも掲載した高橋洋一氏のグラフによれば、民主主義と経済発展とは、ある別の特徴とともに、相関関係があるの事実です。

ある別な特徴とは、いわゆる中進国の罠というものです。途上国が、政府が音頭をとり、投資をすれば、どのような国でも経済発展します。しかし、一人あたりのGDPが1万ドル前後になると、民主化している国はそこからさらに発展するのですが、そうでない国はそこから足踏みして、1万ドル近辺からなかなか成長しなくなるのです。

これは、中進国の罠と呼ばれるものです。1万ドルを超えたあたりから、民主化と経済発展には明確な相関関係があります。

中国は、国全体ではGDPは世界第二位とされていますが、一人当たりの名目GDPでは12,359ドルにすぎません。これは、日本はもとより、韓国や、台湾よりもかなり低いです。

日本、韓国、台湾は、アジアの中にあっては例外的な存在で、戦後に急速に経済発展しました。これは米国の成功例ともいえます。これらの国々を見捨てたなら、米国の存在意義にも関わることにもなります。もちろん防衛は、まず自国が防衛努力することが前提ですが、その上で米国は台湾を助けるつもりであることを明らかにしたのです。

これに対し、中国は猛反発しました。台湾を「海上封鎖」するのかと見間違うくらいの6ヵ所での軍事演習は、ペロシ氏訪台が中国の痛いところをついたことの裏返しでもあります。日本のEEZ(排他的経済水域)に弾道ミサイルを落とすなど暴挙ですが、中国はこうした国際秩序無視を平気で行う国です。中国は、日本のEEZはあり得ないと暴言を吐きました。

中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内着弾という中国の暴挙は世界中に知れることとなったので、中国は重大なヘマをしたといっても良いです。実際、日米豪はこれで結束しました。

中国は台湾統一という名目で、民主主義国の台湾への侵攻を野望を隠しません。中国が民主主義を専制主義で蹂躙するのは、香港の例を見てもわかります。民主主義の雄である米国がかなり本気になってきたともいえます。

台湾は戦後共産主義国の中国と別の道で、豊かな民主主義国となりました。しかし、中国は自国の民主主義を潰した上、台湾を自国の一部だと主張しています。この主張に世界のどれだけの人が賛同するでしょうか。

ところが、中国ではペロシ訪台直前に信じられないようなことが起こっていました。これは、以前このブログも述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
台湾と香港の「心をつかめ」、習近平氏が中国共産党に要求―【私の論評】米中の真の戦争は「地政学的戦争」、表のドタバタに惑わされるな(゚д゚)!
中国共産党中央統一戦線工作部についての会合で演説する習近平氏(中央)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、元記事より一部を引用します。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席は2日までに、中国共産党に対して香港、マカオ、台湾の人々の「心をつかむ」ことを強く求めた。それこそが「国家を再生する」取り組みの一環だとの認識を示した。

 習氏の要求は、週末にかけて開かれた高位の当局者が集まる会合でのもの。中国共産党中央統一戦線工作部(統戦部)に向けて提示された多くの重要任務の一つだった。この組織は中国内外で影響力を獲得する任務を担う。

 国営新華社通信によると、習氏は北京での会合で統戦部について、中共が敵を打ち破るための重要な保証になると指摘。国の統治と再生のほか、国内外の全中国人を結集させ、国家再生を実感させることも請け合う組織だと強調した。

 具体的な取り組みとしては、国内において「共通性と多様性の適切なバランスを取り」「香港、マカオ、台湾、さらに海外の中国人の心をつかむ」ことを含むべきだとの見方を示した。

2日というと、ペロシ訪台の3日の前日です。前日に会議で習近平がこのような発言をするその意図はなんなのでしょうか。

それについては、この記事の「私の論評」で述べました。 これも一部を引用します。

習近平が、もし本気でペロシが訪台すれば、軍事的報復に打って出ると考えていれば、いずれの会議においても台湾の人々の「心をつかめ」などと言う必要性など全くありません。

習近平として、恫喝は恫喝、本心は本心と使い分けているのかもしれませんが、これは本当に不自然です。それに、中国外務省の華春瑩報道官は2日、予想されるペロシ米下院議長の台湾訪問について、米国と連絡を取り合っていると述べました。

これは、結局米国のペロシ訪問を受けて、中国はこれに対して反対したり恫喝したりするものの、恫喝は恫喝であり、中国も本気ではないし、米国もそれを重々承知しているとみるのが妥当だと思います。

このうよな事実を見聞きしても、私自身はあまり不思議には感じませんが、これを不思議に感じる人も多いかもしれません。そうい人には、ある情報が欠けているのかもしれません。それは、中国は当然のことながら、米国でもあまり報道されませんので、仕方ないことなのかもしれません。

さらに一部を引用します。

ASW(Anti Submarine Warfarea:対潜戦)においては日米に著しく劣る中国海軍には、これに対抗する術はほとんどありません。中国軍は、米攻撃型原潜が台湾沖に恒常的に潜むことになり、米軍がそれを公表する事態になれば、第三次台湾海峡危機(1995年-1996年)において、米軍の空母に対応できず、軍事恫喝を継続することができなかったときのように、再度米国の攻撃型原潜に屈服することになります。 

中国海軍は現在でも、世界トップ水準の能力を有する日米に対潜哨戒能力でかなり劣っており、台湾を巡って日米などに真っ向から海戦を挑めば、中国海軍は瓦解します。

このあたりは、ここでは詳細に説明していると長くなるので、この記事をご覧になってください。

中国は、米国等と本気で武力で正面衝突するつもりなどないのです。そうして、米中の真の戦いのフィールドは武器を使用しない「地政学的戦争」であり、表のドタバタに惑わされるべきではないのです。

米国としても、中国と武力で真正面から衝突すれば、米国は間違いなく一方的に勝利するでしょうが、それにしても、中国により、台湾や日本も攻撃されるでしょうし、最悪米国本土も核攻撃されかねません。だから、米国も中国との軍事衝突は避けたいのです。

この記事では、解説しませんでしたが、ではなぜペロシ訪問に対して、中国があのような苛烈ともいえるような軍事演習をしたかというと、それは米国や日本などに向けたものではなく、国内向けと考えるのが妥当です。

ペロシ訪台でも、習近平政権が何もしなければ、共産党内の他派閥から糾弾され、国民からも非難され、そうなると、習近平の統治の正当性が毀損されかねません。だからこそ、大演習をして、牽制したのです。中国という国は、元々、対外関係などより、自国の都合で動く国です。

しかし、これは一方では、日米などとの対立の激化をまねきかねません。だからこそ、わざわざ、訪台前日に習近平がわざわざ"台湾と香港の「心をつかめ」"と発言したり、ペロシが台湾を去ってから軍事演習を始めたり、米国の神経を逆撫でしかねない対潜水艦訓練は、演習の最終日に行うなどして、対立をの激化を招かないように配慮しているのです。

これと似たようなことは、経済面でもみられます。ここ数年、習近平が資本主義行き過ぎ一掃のキャンペーンを行っていますが、これも矛盾に満ちています。それについては、以前このブログで解説しました。その記事のリンクを以下に掲載します。

習近平の反資本主義が引き起こす大きな矛盾―【私の論評】習近平の行動は、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせる弥縫策(゚д゚)!

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、以下に一部を元記事より引用します。

 習近平が展開している反資本主義キャンペーンは習政権の将来を左右するものだが、危険に満ちている、と10月2日付の英Economist誌の社説が論じている。

 習近平が資本主義行き過ぎ一掃のキャンペーンを行っているが、その範囲と野心は壮大だ。2020年、当局がアリババ傘下のアント・グループの新規株式公開を阻んだのが最初で、以来、タクシー配車サービスDiDiは米国で株式を上場して罰せられ、巨額の負債を抱える恒大集団は債務不履行に追いやられつつある。暗号通貨による為替取引も、学習塾も、事実上禁じられた。

どうしてこのようなことを習近平政権がするのかといえば、一番大きいのは、資本の海外逃避を防ぐのが目的でしょう。ただ、そのようなことをしても中国の流動性の罠や、国際金融のトリレンマによる構造的な問題を解決しなければ、抜本的な解決にはなりません。

この構造的な問題を解決するには、変動相場制に移行するとか、市場を閉鎖し、中国と諸外国の資本のやりとりを原則禁じて、政府の管理下におく( 昔の中国に戻る)かどちらかしかありません。中途半端をしていては、 構造的な問題はいつまでも解決しません。

この構造的な問題を簡単に考えていて、かつて日本がやったように不良債権処理をすれば、何とかなると考えている人もいるようですが、中国の構造的な問題は、それだけでは解決しません。

この記事で、以下のような結論を述べました。

中国の路線変更は大きな問題であり、「毛沢東主義への回帰」とか「鄧小平路線の変更」というよりも、もっと細かく見ていく必要があります。ただ、習近平の今のやり方は中国経済にとってはよい結果をもたらさないということと、中国はますます独裁的な国になることは確かです。共産党と独裁には元々強い親和性があります。

しかし、国民の不満は爆発寸前です。私自身は、習近平の一連の行動は、結局のところさらに独裁体制を強め、国民の不満を弾圧して、制度疲労を起こした中国共産党を生きながらえさせるための弥縫策と見るのが正しい見方だと思います。実際は本当は、単純なことなのでしょうが、それを見透かされないように、習近平があがいているだけだと思います。

習近平に戦略や、主義主張、思想などがあり、それに基づいて動いていると思うから、矛盾に満ちていると思えるのですが、習近平が弥縫策を繰り返していると捉えれば単純です。2〜3年前までくらいは、戦略などもあったのでしょうが、現在は弥縫策とみるべきと思います。

今や習近平の戦略や、主義主張、思想などは、弥縫策であることを見破られないようにするためのツールに過ぎないのです。
一つだけ確かなのは、習近平は様々な弥縫策を打ち出し、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせようとしているということです。
習近平は、様々な弥縫策を繰り出し、自ら築いた体制、自分の地位の温存をするために、日々邁進しているともいえます。

これは、経済面だけではなく、軍事・外交面でも、顕著になってきたといえます。それが、ペロシ訪台による対応で露わになったともいえます。

日本は、かつて構造改革にばかり着目して、官僚の誤謬により、基本的なマクロ経済政策である、金融・財政政策を間違い続け、「失われた30年」に突入しました。

しかし、中国は違います、国際金融のトリレンマにより、資本の海外逃避が続き、金融・財政政策そのものが有効性を失いつつあり、構造改革をしないと、「失われた100年」を迎えることになるかもしれません。

中国が弥縫策を継続するというのなら、中国は経済・外交・軍事の面で、これから引き続きかなり不安定になります。習近平は、これからも弥縫策を繰り返すでしょう。我が国は、こうした中国の不安定化に備える必要があります。


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安倍元首相暗殺とFBIトランプ氏捜査の共通点 既得権益層の不都合、偏向メディアによるプロパガンダも 大原浩氏が緊急寄稿―【私の論評】暗殺事件の真相は、これからの裁判の過程の中で見えてくるかもしれない。予断を持つべきではない(゚д゚)!

安倍元首相暗殺とFBIトランプ氏捜査の共通点 既得権益層の不都合、偏向メディアによるプロパガンダも 大原浩氏が緊急寄稿

強固な日米関係を築いた安倍氏(右)とトランプ氏

 日米の政界で激震が続いている。7月8日に安倍晋三元首相が暗殺され、米時間8月8日(日本時間9日)にはドナルド・トランプ前米大統領のフロリダ州の邸宅に米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索が入った。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、親密だった元首脳が狙われた2つの事件について、「共通点」や「つながり」があると指摘する。

 FBIの家宅捜索についてジョー・バイデン大統領は、「事前にFBIから説明を受けておらず、司法省独自の考えだ」と強調したが、良識ある米国民のほとんどはそのような「言い訳」を信じていないであろう。

 実際、FBIは民主党政権に絡んだ多数の「疑惑」はスルーしてきたといえる。アフガン撤退の大失敗、ロシアとの駆け引きでやられっぱなし、さらにはインフレ対策も効果を現さず、景気後退の足音も聞こえるなど、追い詰められたバイデン政権の「中間選挙における救済」を目指した捜査だといわれても仕方がないであろう。

 2020年にバイデン氏が大統領就任し「政権政党」となったにもかかわらず、前大統領のトランプ氏をなぜこれほど恐れるのか。民主党と結託したかのような偏向メディアやビッグテック(巨大IT)がどんな情報を流そうとも、「国民の支持」がトランプ氏に集まっているからだろう。

 トランプ氏はクリーンな政治家だといえる。本業の不動産ビジネスでのやんちゃなイメージが災いしているが、大統領職では年間40万ドル(約5500万円)の給料を四半期ごとに連邦政府の機関へ直接寄付することによって、「実質的に全てを返納」していたという。

 「金で動かない」大統領が、米国の巨大な既得権益層にとって極めて不都合であることは言うまでもない。大統領になるまで政治経験が全くなかったトランプ氏は、政治家としての過去のスキャンダルも皆無に等しい。だから、議事堂襲撃事件で騒ぎたてたわけだ。

 安倍氏も「政治で稼ぐ」必要など全くなかった。それゆえ、既得権益層の思い通りにならずに憎まれるというのもトランプ氏と似ている。

 安倍氏暗殺事件は、いつの間にか「政治と宗教」の問題にすり替えられたが、偏向メディアを中心としたプロパガンダは真実を覆い隠すための煙幕だとも思える。山上徹也容疑者の個人的恨みによる単独犯であるとの話が流布しているが、本当にそうであろうか。

 1865年のエイブラハム・リンカーン大統領暗殺事件は、熱烈な民主党支持者の犯行との印象が強いが、実際には同時に要人を複数暗殺することで政権転覆を狙ったクーデターだった。暗殺犯が大統領の背後に近づけたのは、警備担当者が酒場にしけこんでいたからだという。

 1963年のジョン・F・ケネディ大統領暗殺もリー・ハーベイ・オズワルドの単独犯だと発表された。しかし、ビルの屋上にいたはずの彼が撃てるはずがない、車列前方からの銃弾がケネディの額に当たる瞬間がフィルムに残されている。

 安倍氏の暗殺でも、銃弾2発のうち1発が消え去っている。

 JFK暗殺の捜査資料はトランプ氏が2017年に公開を指示したが、関係者の抵抗があったようで一部にとどまった。バイデン政権下で21年に全ての機密情報が公開される予定だったが、22年末、つまり「中間選挙の後」に延期された。

 安倍氏暗殺事件も、「単独犯説」一辺倒でいいのか。安倍氏の存在が邪魔だったのは「アベノセイダーズ」だけではない。外国政府などにも動機がある。われわれは暗殺事件の「背景」をもっと真剣に考えるべきではないだろうか。

■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】暗殺事件の真相は、これからの裁判の過程の中で見えてくるかもしれない。予断を持つべきではない(゚д゚)!

大原氏は、『安倍氏暗殺事件も、「単独犯説」一辺倒でいいのか』と疑問を呈していますが、私もそう思います。

一色正春氏は、すでに7月10日に自らの体験をもとに、これに関する疑問を呈していました。これについては、この美ログにも掲載しました。
一色正春氏「捜査当局がリークする情報への注意点」をFBで公表―【私の論評】不可解な安倍元首相暗殺報道(゚д゚)!

 

一色正春氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一色正春氏が自身のFBで公表した「捜査当局がリークする情報への注意点」の内容を以下に再掲させていただきます。

一色 正春
7月10日 ·

暗殺事件の動機が「特定の宗教団体の恨み」というような情報を捜査当局がリークしているようですが、ある意味「政府転覆を狙ったテロ」と非難され、おそらく今回の容疑者と同じような取り調べを受けた私の経験から、この情報に対する注意点を述べておきます。

捜査当局は筋読み(ストーリー作り)を行い、それに沿って取り調べ、その中から自身に都合の良い部分のみをリークする。そしてメディアがそれに色を付けて報道します。私の時も特定の政治団体や宗教団体、外国政府などの関与を疑わせる記事が出ていたそうです(私自身は見る事が出来る環境になかった)また、素直に供述していたにもかかわらず「動機が不明」などと報道され、現場の捜査官は事実に基づいて取り調べを行っていましたが何としても政府転覆の意思があったかのような話に持って行きたい人たちが背後にいたようで、再三、捜査に横やりが入っていたようでした。

つまり、現段階で、この情報を鵜呑みにするのは危険だという事です。加えて言うならば、そのストーリーを作っているであろう組織が、世紀の大失態を犯した奈良県警である可能性が高い事も問題です。警察も人間ですから、警護の失態と捜査に何らかの影響が出る可能性は否定できません。

とにかく私が自由に報道に接することができるようになってから目にした報道は、一言で言えば出鱈目。これを多くの人が(いまだに)信じるのかと恐怖を覚えたほどです。捜査当局は都合の良い犯人像、都合の良い動機をつくることが可能であること、身柄を拘束されている被疑者はそれに対して一切の弁明ができないという客観的事実を無視して報道を信じるのは危険なのです。

今回どの様な取り調べが行われて(弁護士が誰なのか等)いるのか、どのようなリークが行われているのかを私には知る由もありませんので、私の時と同じであるとは言いませんが、生前の安倍元総理に対する出鱈目な報道に鑑みても、メディア発表を鵜呑みにするのが危険であることを喚起しておきます。

※本当に宗教団体への恨みである可能性もあり、現段階の発表を100%否定するものではありません。
現時点で変わったことといえば、警察庁は襲撃を防げなかったとして奈良県警察本部の鬼塚友章本部長の減給3か月の懲戒処分を発表し、59歳の警備部長についても減給1か月の懲戒処分としたや、鬼塚本部長と警備部長は辞職する意向を示したということくらいです。

内閣改造で新たに就任した谷公一国家公安委員長は22日、奈良市・近鉄大和西大寺駅北口前の銃撃現場で黙禱をささげました。

 山上容疑者が供述で、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への恨みを挙げたことで、一部メディアは「宗教と政治」の関係ばかり強調しており、動機や背後関係への深掘りは少ないです。

「消えた弾丸」の問題もある。 安倍氏には銃弾2発が命中したとみられ、約1センチの弾丸1つが見つかったのですが、捜査関係者によると、もう1発が見つかっていません。 救命処置中に行方が分からなくなった可能性があり、奈良県警は事件5日後、現場検証で弾の捜索も行ったのですが発見できませんでした。

事件を立証する重要な物証が欠けてしまったかたちです。 警察庁は、演説する安倍氏の背後を警戒する警護員がおらず、現場の連携も不十分で、山上容疑者に2発の発射を許した問題点などを検証しています。ずさんな警備と不可解すぎる経緯が相まって、ネット上では共犯の存在を示唆する見解もあります。真相解明が急務です。

警護の問題点を検証していた警察庁は25日、「奈良県警の現場対応や警護計画に問題があった。適切な対応があれば結果を阻止できた可能性が高い」とする報告書をまとめました。再発防止策として「警護要則」を見直し、都道府県警の計画を事前に審査するなど同庁の関与を強化します。警護体制も増強するとしています。


報告書は、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=が安倍氏に接近した際、後方(南側)を主に警戒する警護員がいないという「空白」が生じたことが、現場で銃撃を阻止できなかった主な要因と認定しました。

その上で、現場指揮官である奈良県警警備課長らの対応を問題視。後方警戒担当の県警警護員は演説直前、別の警護員の指示で警戒方向を安倍氏の右(東側)に変更したことを目視で確認しながら、後方警戒を補強する指示をしませんでした。

背景には、奈良県警による警護計画に問題があったと分析しました。安倍氏の後方には県道があり、車両や歩行者が通行するなど「明らかな警護上の危険」がありながら、計画の起案や決裁過程では見落とされ、警護員や制服の警察官が適切に配置されませんでした。

ただ以上は、警備体制についての報告であり、これだけでは事件の全容のうちの数%に過ぎないです。

 メディアの論点は旧統一教会と政治の問題に完全に傾いています。

「宗教と政治」という論点とテロ行為は分けて考えるべきです。旧統一教会ばかりに焦点が当たると問題が矮小(わいしょう)化され、山上容疑者の思惑通りになってしまいます。

政治家が街頭に立って演説し、国民の声を国会に届けてきた日本の民主主義に対する挑戦と捉えるべきです。政治家の街頭活動が萎縮するリスクもありますが、こうしたテロ事件に屈するべきではありません。

そうして、そもそもマスコミも野党もあまりにも単純なミスをおかしていると思います。そもそも、奈良県警が容疑者を尋問して、尋問した内容を事実であるとみなすようでは、とてもまともな尋問をしているとはいえません。

それは、普通に考えればわかることだと思います。警察が容疑者を尋問するときに、容疑者の供述は正しいと予断を持っていれば、まともな捜査などできません。しかし、最初の段階から容疑者の供述のリークがなされることには、ある一定の意思が働いているとしか思えません。

山上容疑者が旧統一教会の話を持ち出したのは、後付けの可能性もあります。もしかしたら本当に安倍晋三氏という政治家の政治信条に反対して襲撃した可能性も否定できません。民主主義を壊す挑戦という意味で襲撃したのが本当で、供述は後付けの動機という可能性も十分あるはずです。

そこには、共犯者あるいは、共犯までいかなくても、それをたきつける人物がいたかもしれない可能性は否定できません。事件によって一番利益を得る人物、組織のことも考えるべきです。

警察庁

警察組織にとっては「宗教が原因」のほうが言い訳しやすいです。なぜなら、政治目的のテロと個人の経済的な恨みでは、事件の構図が全く変わってくるからです。今回の警護、警備を完全に失敗した警察の立場からすると、個人的な経済面での恨みに基づく犯行ではなく、政治目的のテロを防げなかったということになれば、かなりの落ち度、不手際になり、非難のされ方が随分違い、警察の威信は地に落ちることになります。

警察としては、それだけは避けたかったので、「宗教が原因」という山上容疑者の供述を意図的に漏らし、マスコミや政治家がそれに乗ってしまったというが本当のところかもしれません。

そのようなことでは、真実は解明されません。やはり、これから始まる裁判に期待したいです。

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2022年8月27日土曜日

日テレ「24時間テレビ」に旧統一教会信徒が募金、ボランティア 連日追求『ミヤネ屋』MCの宮根誠司は〝反省〟「われわれも自己点検していかなければいけない」―【私の論評】現在の宗教問題の本質は、宗教法人は寄附金控除の対象ではなく、寄附金額の縛りもないこと(゚д゚)!

日テレ「24時間テレビ」に旧統一教会信徒が募金、ボランティア 連日追求『ミヤネ屋』MCの宮根誠司は〝反省〟「われわれも自己点検していかなければいけない」


 今年も27、28日に放送される日本テレビ系の名物番組「24時間テレビ」をめぐり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、教団のサイト上で、「信徒がボランティアスタッフとして7年間参加していた」と発表。変更前の正式名称「世界基督教統一神霊協会」の名前が番組のテロップに映っているとしたテレビ画面の画像も掲示した。日本テレビは、画像は系列局のものだとしたうえで、「ボランティアの思想・信条は確認しない」とした。

■きょうから放送

 教団は25日、24時間テレビで女性信徒がボランティアスタッフとして7年間、番組ボランティアをまとめる中心的な立場で活躍していたと公表。「七尾市/世界基督教統一神霊協会能登教会」とテロップに映し出された2014年の放送分とされるテレビ画面の画像も添付した。


 教団広報部は「能登教会の名義で24時間テレビに募金させていただいている経緯があって、個人の信者様もボランティアスタッフとして貢献したいという旨で参加していた」と説明。女性信徒については「長年やっておられて、番組側としても信頼がおけるからこういった役割を任せられるようになっていた」と話した。

 21日には「過熱報道」によって被害を受けているとして、各報道機関との関わりを調査し、公表すると発表していた。

 日本テレビは26日、リリースを公表、教団名のテロップについて《この画像は、弊社系列のテレビ金沢が2014年7月27日にローカルエリアで放送したものと、テレビ金沢から報告を受けています。2014年の弊社「24時間テレビ」の中で放送されたものではなく、全国放送はされていません》とした。

 《「24時間テレビ」では、番組の趣旨に賛同していただける方にボランティアとして参加していただいております。一般的に、参加される方の個人的な思想・信条について確認することはいたしません》ともしている。

■CM一部で10回

 テレビ金沢は、テロップはボランティア団体の紹介ではなくCMの一部で、14年7月26日から31日に計10回放送したと明らかにした。

 旧統一教会問題を連日報じている日テレ系情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」の26日の放送で、MCの宮根誠司(59)が、個人の考えと前置きし、「われわれも関係がひょっとしたら分からないうちに、あったのかなかったのか」「政治家の方ばかり責め立てるのではなく、われわれも自己点検をしていかなければいけないなとは思いますね」と語った。

【私の論評】現在の日本の宗教問題の本質は、宗教法人に対する寄付は控除の対象ではなく、寄付金額の縛りすらもないこと(゚д゚)!

日テレが、24時間テレビを放映すること自体には特に問題はないと思います。先日もこのブログで示したように、そもそも日本国憲法では、憲法 20 条で「信教の自由」は認められています。ただ、一方で日テレが統一教会問題で自民党や議員を批判する報道をするのは、二重基準といわれても致し方ないとも思います。

以前このブログでも述べたように、伝統的な法学の世界で使われる「政教分離」という用語は、英語では「Separation of Church and State」と表現され、文字どおり「教会と国家の分離」を意味します。「政」は「政治」や「政党」ではなく「国家」なのです。国家が国教などを定めることや、国家が特定の宗教を支持したり、保護したりすることを禁じるものです。

国家に対して〝宗教への国家の中立性〟を求めるものであって、国民に対して〝宗教者の政治参加〟を禁じたものではありません。詳細は当該記事をご覧いただものとして、結果として、創価学会のような、宗教団体が政治に関与することも、ましてや、旧統一教会のような宗教団体が選挙運動の応援をすることも違憲ではありません。

国およびその機関が宗教に介入・関与するのがいけないのであって、政治家が宗教と関係を持つことまで禁止していないのです。

違憲ではないのですから、無論それを取り締まる法律など存在しませんし、存在すれば大変なことです。なぜなら、特定の宗教の信者を、信者であるからという理由だけで、排除すれば、それは明確な憲法違反になるからです。

とはいうものの、その関係性について、懸念を持たれることは政治家として避けたほうが良いでしょう。ただし、選挙運動員を募集するときに、「統一教会」などの所属するかを聞くわけもいかないわけですから、これは仕方ないとしか言いようがありません。

これは、政治の世界だけではなく、民間企業などの民間組織でも同じことです。特定の宗教の信者だからといって、面接等でこれを排除すれば、これは人権侵害であって、違憲です。

とはいいながら、なにやら上記のことだけでは、もやもや感が拭い去ることはできません。なぜなのでしょう。やはり、この問題の本質が見えないからでしょう。

以下をご覧になれば、もやもや感は幾分なりとも解消すると思います。ぜひ最後までご覧になってください。

最近テレヒなどで報道される旧統一教会は、50年以上昔のことですが、旧統一教会系の政治団体「国際勝共連合」が創設され、反共産主義団体として知られていました。

その後、1980年代には旧統一教会の霊感商法が社会問題化した、むしろ問題はこれでした。

ただ、霊感商法に関してはここ数年でかなりの前進がありました。安倍政権だった頃の、2016年10月から、いわゆる「消費者裁判手続特例法」が施行されました。それまで、消費者が企業(事業者)から何らかの財産的被害を受けた場合、自らその被害回復を図るためには、自力で事業者を相手に交渉するか、訴訟を提起する必要がありました。

しかし、消費者契約に関する共通の原因により相当多数の消費者に生じた財産的被害の集団的な回復を図ることを目的として、本法が制定されました。いわゆる日本版クラスアクションです。これには、霊感商法の被害も含まれます。

さらに、19年6月から、消費者契約法改正が施行されました。その結果、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取り消しができるようになったのです。

このような消費者被害の救済について、それまでは公序良俗違反による無効(民法90条)や不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)といった一般的な規定に委ねられていたのですが、これらの規定は要件が抽象的でしたので、どのような場合に適用されるかが、消費者にとって必ずしも明確ではない部分がありました。

消費者契約法改正により、霊感商法は取り消せるとなったので、かなり対応は楽になりました。消費者裁判手続特例法も消費者契約法改正もともに第2次安倍晋三政権での成果です。消費者契約法を厳格に適用すれば、霊感商法は成り立たなくなります。

今や残る問題は霊感商法ではなく、宗教団体が受け入れる多額の寄付金だといえます。

寄付金には様々な課題があります。

宗教団体の中には「宗教法人」として法人格をもつものがあります。宗教法人が受け取ったお布施やお賽銭には税金がかかりません。

宗教法人とは、宗教法人法により法人となった宗教団体をいいます。宗教団体のすべてが法人格をもつわけではありません。宗教活動自体は、個人でも可能です。ただし、同じ信仰を持つ個人があつまり、集団が形成されると個人の物とは区別された共有財産が発生し、管理・運営しなくてはならなくなります。そこで、個人とは別個の法人格が必要となります。この維持管理を目的としたのが宗教法人です。

そうして、宗教法人というと、どのくらいの数があるかということも知っておくべきです。

すごい数です。これでは、政治家が敵に回したくない相手であることも良く理解できます。信者数も日本の総人口を上回っています(図表2)。

個人のより集まりに過ぎない宗教団体が受け取ったお布施などについては、宗教法人法の適用がないのて、税法的には、PTAや同窓会と同じく「人格のない社団等」として、株式会社や合同会社といった普通法人と同様の存在とみなされ、お布施などの寄附についても「受贈益」として法人税が課税されます。

ただし、宗教法人を設立する場合、以下の要件をクリアしなくてはならないのです。
1.礼拝の施設その他の財産を有していること
2.布教活動をしていること
3.日頃から儀式行事を行っていること
4.信者を教化育成すること
一見単純ですが、各要件の現実的な運用は厳格です。1.は自宅でやっていればいいというものではなく、境内建物などのように公開性を有していなくてはならなりません。2から4については、宗教法人の実態の証明が必要です。

そのため、設立申請時には、設立以前からの活動実績報告(3年が目安)や所轄庁認証された規則、信者名簿などといった、宗教法人の健全な実態を証する書類を提出しなくてはならなのです。そうして認可そのものは実際3年程度かかることが多いです。宗教法人になるためには、このようなハードルを乗り越えなければならないのです。

設立・維持に関する義務への労力がクリアし、税金は免れたとしても、日常の維持管理費は避けらません。つまり、宗教法人であれ、支出がある以上、収入は不可欠です。

しかし宗教法人は、普通法人よりもお金を稼ぐための活動が制限されます。普通法人は営利活動、つまり稼ぐ行為それ自体が目的ですが、宗教法人はあくまで宗教が目的だからです。

そのため、宗教法人が収益事業を行えば、その部分には課税されます。収益事業とは以下の業種です。


そのため、宗教法人の主な収入は檀家や氏子からのお布施や寄附など、多くが他人依存的なものに限定されます。今の宗教法人の大変さのひとつは、この限定的な本来事業による収入が年々減少してきていることです。理由は、檀家や氏子といった支援組織の衰退・解散にあります。

この大変さは、「世界基督教統一神霊協会」も例外ではありません。このことが、宗教法人が高額の寄付金を信者に求める原因の一つなっていることは否めないです。霊感商法も、現在では根拠法ができ、取締が厳しくなってきたので、できなくなりましたが、根拠法がなかったときに横行していた背景にはこのようなことがあったと考えられます。

この問題を解決するには、まずは寄付金控除を宗教法人にも適用すべきです。現在の日本では、寄付金控除という制度はあるものの、それはNPO 法人などに寄付した場合寄付者に適用されるものです。残念ながら宗教法人には適用されていません。

お寺などの宗教法人への寄付の場合、その寄付が財務大臣の指定を受けたものであり、「特定寄付金」に該当する場合は、寄付金控除の対象になりますが、それ以外の場合は寄付金控除の対象となりません。ですから、ほとんどの宗教法人に寄付したとしても控除の対象にはならないのです。

この制度が宗教法人にも適用されれば、お金持ちなど自発的に、寄付する人が増えるでしょう。寄付といえば、私の叔父は住職と友人関係にあった寺に多額の寄付をしていました。寺の改修を賄えるくらいの金額だったと記憶しています。当時は税制上の優遇措置もあまりなかったと記憶しています。

なぜそのようなことをしたのか、子供の頃は理解できませんでしたが、いまになって思えば、叔父はいわゆる町の名士と呼ばれるような人で、かなり裕福でしたので、きっと町や町民に利益を還元するという意味合いで多額の寄付をしたのだと思います。もし、税制上の優遇措置があれば、叔父以外にももっと多くの人が寄付していたと思います。

宗教法人に寄付して、税制上の優遇措置があれば、今よりも自発的に寄付する人も増えると思います。米国では、慈善行為を尊重する歴史的、文化的な背景により、拭き金に対する税控除の範囲が広く設定され、控除限度額も日本より高いです。公益目的の寄付金は、法人の種類によって所得の30%もしくは50%を限度として認められます。

米国では古くから寄付金文化が根付いてきたこともあって、寄付に関しても様々なブログラムがあります。

米国における寄付の相当部分は個人(87%)により賄われており、寄付金の配分先としては宗教団体が31%で最も多く、次が教育機関(15.5%)、社会福祉団体(12.4%)、財団(10.6%)の順でした。

米国の寄付文化の特徴としては、計画寄付(planned giving)が普遍的に実施されていることや多様な寄付プログラムが存在していることが挙げられます。

計画寄付には、寄付者助言基金、遺贈、寄付年金、合同所得基金、慈善残余信託、慈善先行信託、個人財団などのプログラムがあります。

寄付年金は、寄付者が現金や資産を社会団体などに寄付すると、寄付した現金や資産の所有権は社会団体や財団に移転されるのですが、寄付された社会団体や財団から、寄付者あるいは寄付者が指定した受給者に対して、生存中は一定額の年金が受け取れます。寄付と引きかえに終身年金を受け取る権利が得られる仕組みです。

以上については、以下のリンクに詳細が記されています。興味のある方は、こちらを参照願います。
米国における501(C)(3)団体に係る寄付金税制の概要
公益法人制度の国際比較概略
アメリカにおける寄付や寄付年金の現状―どうしてアメリカ人は巨額の寄付をするのか?―

このような仕組みがあれば、資産を持っていても、収入が少ないとかか年金以外の収入がない寄付者が多額の寄付をしたとしても、寄付後にも生活などが成り立つわけです。

日本でもすみやかにこのような制度をとりいれるべきです。無論寄付金文化が根付いていない日本で、これをすべてすぐに実行するのは無理だとは思いますが、それにしても、宗教法人に寄付をすれば、寄付者が税金の控除されるとか、あるいは計画年金ブログラムが根付くまでの間の経過措置として、寄付金額の上限を年収の 10%以内にするなどの措置はすぐにできると思います。

こうすれば、資産は持っているものの、収入のない宗教法人の信者が法外な寄付金を寄付するというようなことを防ぐことができると思います。

私は、これを実行するのに最大の障害となっているのはおそらく財務省だと思います。

日本の場合欧米に比較すると、NPOをはじめとする、公共政策はお粗末です。そもそも、日本には寄付金の文化がなく、それを阻止しているのは、財政民主主義を建前とする財務省でしょう。

財政民主主義の立場から、なぜか宗教法人への寄付に税制上の優遇措置を設けず、さらに寄付金の縛りもつけないがために、ブラック宗教法人が信者に法外な寄付金を収めさせることを放置しているとすれば、これは全く本末転倒と言わざるを得ません。

彼らは、大勢の金持ちが多額の寄付をすることは、財政民主主義の立場からすれば良くないと考えているようで。宗教法人に対する寄付を解禁すれば、宗教法人の数の多さから、税収が減ることを嫌がっているのかもしれません。

ただ、宗教法人とはいっても大きい法人の数はわずかであり、他のほとんどは小規模な法人です。しかも、そこに寄付金額の縛りのある個人が寄付したからといって、いくら寄付者が多くなったとしても、国の財政を脅かすような深刻な事態になることにはなりません。

それに、日本の法人税法上、実は昭和25(1950)年まで公益法人( 税制上の分類では宗教法人も含まれる)はまったく非課税だったのです。その中心的理由としてよくいわれてきたのが、①公益法人は専ら公益を目的として設立され、営利を目的としないというその公益性と、②たとえ収益事業を行ったとしても、それから生じる利益は特定の個人に帰属する性格のものでない、ということでした。

①は、換言すると、公益法人が本来国や自治体が行うべき教育や福祉などの公益的活動を行い、そのことによって国等は本来支出すべき歳出を軽減できる、ということです。公益法人の活動によって、国や自治体が十分にまかなえない公益サービスが提供され、本来国等が負担すべき財政支出が軽減されるのなら、そのような団体に課税せずに、むしろ公益的活動の増進と歳出の軽減を図る方がいい、ということです。

 特に、地域に密着した公益法人は、国や地方自治体にはにはできない地域に密着した公益サービスができます。実際、欧米ではNPOや宗教法人などが、様々な社会貢献活動を行っています。ここでは、詳細は説明しませんが、日本ではとうてい考えられはないような巨大なブロジェクト、たとえば低所得者層の住宅と雇用のための包括プログラムを実行したりしています。

そうして、このような仕組みが古くから根付いている欧米では、優秀な大学や大学院を卒業した将来有望な学生が、宗教法人を含む公益法人に就職することは珍しいことではありません。あるいは、優秀な民間営利企業の経営者が、公益法人の経営者に転身することも珍しくはありません。日本では、考えられないことです。

日本では、宗教法人の衰退に象徴されるように、公益法人が社会に貢献する力は大きくありません。江戸時代には、寺子屋などが、大きな役割を担ってきたことをもう一度思い起こすべきです。それに、道徳とか公共の利益に関わることなど、宗教法人を含む公益法人のほうが、国や地方自治体よりはるかにやりやすいはずです。

私など、子どもの頃お寺で、「地獄図絵」を見せられ、悪いことするとこういうところに堕ちると言われたことは今でも鮮明に覚えています。なぜか、ミッション系の幼稚園に入学し、そこで聴いた、イエス・キリストの自己犠牲の極地ともいえるシスターの話も鮮明に覚えています。

今の日本社会では、勉強して良い大学にいき、良い会社に行くことばかりが強調され、このような道徳心などの教育がおざなりにされ過ぎていると思います。また、政府や自治体の支援など、帯に短し襷に長しであり、公益法人の活動があまり活発ではないため、放置されている社会問題も数多く存在します。そのためでしょうか、なにやら社会が殺伐とした雰囲気になっているところはあることは否めないと思います。

しかし、現在の日本では、良い傾向もみられます。最近ではクラウドファンディングなどで、寄付金文化が根付きつつあります。

一部の富裕層が寄付するだけではなく、多くの人が寄付するようになれば、まともな公益法人には寄付金が集まりやすくなり、より社会貢献がしやすくなり、ブラックな法人には寄付金が集まらず、それでも無理をして寄付金を集めようとすれば、法律違反となりいずれ淘汰されることになります。

宗教法人の扱いは、微妙なところがあります。特定の宗教を排除するということになれば、明らかな憲法違反です。以上のようなやり方で、社会に貢献する宗教法人は栄え、ブラックな公益法人は衰退し淘汰されるというような方法が最善だと思います。

宗教の問題ということになると、日本では上記のようなことが議論されず、全く不毛な論議で時間が無駄になるばかりです。政治家も、マスコミもそうして私達もまともな論議をすべきです。そのためには、少なくとも上記のような知識が必要不可欠です。

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2022年8月26日金曜日

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 25日に安倍晋三元首相の四十九日を迎えた。安倍氏が暗殺されて以降、政界の動きに変化は生じているのか。

 自民党議員なら、表立って聞かれれば、ほとんどの人が「安倍さんの遺志を継いでいきたい」と答えるだろう。ただし、安倍さんの不在はあまりに大きく、まさに余人をもって代えがたかったことが改めて痛感された。

 もっとも、時は動いており、現実はかなり複雑になっている。その典型は安倍派の後継だ。当面は集団運営体制しかありえないが、裏を返せば、誰もが認める後継者がいないということだ。

 安倍さんの葬儀を仕切っていた安倍派幹部に対してさまざまな批判が出ていたが、これは水面下でさまざまな動きが渦巻いているということで、事態がただならないことを示していた。

 岸田文雄政権は事前の予想に反し、四十九日の前に党人事・内閣改造を急いだ。そして、党幹部・閣僚として、萩生田光一政調会長、西村康稔経済産業相、松野博一官房長官を指名した。安倍派のパワーバランスを効率した人事だろう。

 だが、内閣改造は岸田政権にとって逆風になっている。これまで内閣改造では、サプライズやご祝儀もあり、内閣支持率が上昇するのが常であったが、今回は各種世論調査で支持率が低下した。

 筆者の見るところ、以前の本コラムで書いたように改造人事がひどかったのが主因であるが、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)との関係も足を引っ張っている。

 あらかじめ断っておくが、マスコミが政治家と旧統一教会との接点を問題視するというアジェンダ設定はまったくばかげている。宗教との関係は、あくまで憲法で規定された政教分離にとどまるべきだ。

 宗教からみれば、その政党を支持しようと自由だ。政治の方からみても、内面の自由である宗教の自由があるので、事前に相手に宗教を聞くのは不適切だ。なので、結果として接点を持っても構わないだろう。政教分離は、国(政府)が特定宗教をサポートすることを禁じているだけだ。ただし、接点を持った相手が法令違反をしていれば別だ。

 旧統一協会との接点に関するマスコミの追及では、特定の政治家だけが叩かれるというイメージ操作が行われているように感じる。その背後には、「ポスト安倍」についての政治家の主導権争いも見え隠れして、各種の謀略的なリークが横行しているのかもしれない。

 ポスト安倍は混沌(こんとん)としているが、これから安全保障と財政について、安倍さんの先見の明が見えてくる。そのときに真の後継者が政策論の中で浮かび上がってくるだろう。ただちに、世界のリーダーからも認められることはないだろうが、国内での政策論争によりずぬけた人が出てこないと日本にとっても困ってしまう。

 誰なのかはいまの段階では分からないが、しっかり政策を継承し、国民からの支持もあり、政界内でも実力を発揮できる人を期待したい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍元総理の真の後継者は、岸信夫氏と菅義偉氏か(゚д゚)!

自民党の安倍晋三元首相の「四十九日」を迎えた25日、安倍派(清和政策研究会、97人)は党本部で総会を開き、約60人が出席して安倍氏を追悼しました。

出席者は冒頭、安倍氏の写真を前に黙禱(もくとう)をささげ、会長代理の塩谷立元文部科学相は「安倍会長の遺志を継いで、心を一つにして政治を進めていくことを誓いたい」とあいさつしました。山口県下関市で10月15日に予定される安倍氏の県民葬について「基本的には全員で出席したい」と述べました。

7月21日に自民党本部で集会を開催した安倍派

総会に先立つ幹事会で、先の内閣改造・党役員人事を受けた派内の人事を決めました。安倍氏の実弟である岸信夫首相補佐官らを副会長、萩生田光一政調会長を常任幹事、西村康稔経済産業相の入閣に伴い高木毅国対委員長を事務総長に充てました。

事務総長代理ポストが新設され、柴山昌彦元文科相、福田達夫前総務会長、野上浩太郎参院国対委員長が就きました。塩谷氏は記者団に「結束を固めるため事務的にもう少しきめ細かくする」と狙いを説明しました。

9月27日の安倍氏の国葬(国葬儀)後、同派は新体制への移行が必要か否かも含め、派の在り方について検討する予定です。

岸氏は股関節を患われているとされていますが、私自身股関節の手術をしたことがあるので、その大変さはよくわかります。ただ、私自身も含めて、骨密度が低くない限り、手術するなどして、療養すれば、ほぼ元の状態に戻ります。私自身も現在では、松葉杖も杖もつかず、歩いて、普通の生活をしています。

ただ、リハビリなども含めて完治するには3ヶ月程度はかかります。病状が悪い場合には、人工股関節を入れるのですが、現在では医療も相当進んでいて、この場合でも骨密度が低くない限り、普通に歩き生活できるまでに回復する例が多いです。実際、そのような方を何人か知っています。

岸氏、股関節の本格的治療には、相当期間を要するため、一旦療養に入ると長期間入院することになるため、今までは治療を避けてきたのではないかと思います。股関節を患っていたにしても、たとえば骨の癌などではなく、ヒビが入ったとか、削れたなどの場合は、命に全く別状はないので、無理をすれば、仕事は続けられますが、それにしても、人によっては相当の痛みを伴う場合あります。

私の時も、手術の順番待ちがあったので、それまでの間は会社に松葉杖を突いて行って、業務をこなしました。一ヶ月くらいしてからようやっと手術が受けられるようになりました。

手術後の痛みも特になく、ただ長期間ベッドに股に三角形の形の枕のようなものを挟み、寝ていなくてはならず、しかも寝返りをうつときもそれを股に挟んだままで寝返りをうたなければならず、これは大変でした。

岸氏の股関節の状況は、細かなことは報道されませんが、今回防衛相を退いたといことで、今が根治のチャンスなのではないかと思います。

病院に長期入院というと、マイナスのイメージばかり思い浮かべる人もいると思いますが、そうとばかりもいえません。私自身は、比較的若い頃に入院しましたので、病室に書籍を持ち込み、かなり読書をしました。そうして、その時に読んだ書籍などその後の人生に随分役に立っています。

さて話しは変わりますが、菅氏が首相になったときに、岸氏を防衛大臣に抜擢した理由は何だったのでしょうか。 

それは、安倍前首相に気を遣うと同時に、同盟国アメリカの当時のトランプ政権に、「安倍政権の継承」を示すためだったと考えられます。その頃の、トランプ政権は、「台湾シフト」を鮮明にしており、今後は日本にも役割を求めてくるとみられていた次期でした。そうした日米台の連携に、最もふさわしいのが台湾にパイプを持つ岸氏の起用だったと考えれます。

当の岸防衛大臣(当時)は、2020年9月16日の就任会見で、官僚が用意したペーパーを読み上げて、こう述べました。

「今月11日に発表された(安倍)総理大臣の談話や菅総理大臣の指示を踏まえ、憲法の範囲内で国際法を順守し、専守防衛の考えのもとで厳しい判然保障環境において、平和と安全を抜く方策を検討していきたいと思います」

11日の総理談話」とは、次のようなものです。

<迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか。そういった問題意識の下、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を検討してまいりました。今年末までに、あるべき方策を示し、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境に対応していくことといたします>

いわば安倍前首相の「遺訓」とも言うべき「敵基地攻撃能力の保有」です。「敵」とは表向きは北朝鮮ですが、実際には中国です。


当時から、日本の目の前には大きな地政学的リスクが横たわっていました。このことをしっかり認識していなければ、まともな「政策論」もできず、安保や経済政策について、何を話しても、何を考えても、浮いたような浅薄な内容になってしまいます。

そのようなことを考えると、岸氏こそ、高橋洋一氏の言う「しっかり政策を継承し、国民からの支持もあり、政界内でも実力を発揮できる人」なのではないかと思います。

ただ、高橋洋一は、政界にも一定の影響力があり、岸氏こそ安倍元総理の真の後継者であるなどと言ってしまえば、岸氏の芽を摘むことにもなりかねないので、敢えて言わなかったのだと思います。

菅前首相は、仕事師であり、安倍元総理の政策を着実に進めることはできると思いますが、新たな政策をつくり提唱するということになれば、やはり今では、岸氏に並ぶ人はいないのではないかと思います。

私は、菅氏も立派な安倍元総理の後継者ではあるとは思いますが、将来のことを考えれば、岸氏が一番だと思います。

菅総理(当時)と岸防衛大臣(当時)

菅氏と岸氏との良い協力関係ができ、それによって、安倍元総理の政策が確実に継承されることを期待したいです。

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2022年8月25日木曜日

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与党、防衛費概算要求を了承 抜本強化へ過去最大額

防衛費の概算要求について自民党会合であいさつする浜田防衛相

 自民、公明両党は25日、党安全保障調査会などの会合をそれぞれ開き、いずれも防衛省の2023年度予算概算要求を了承した。同省は岸田内閣が掲げる防衛力の抜本的強化に向け、過去最大の5兆5947億円を計上。さらに具体的な金額を示さない「事項要求」を多数盛り込み、最終的な予算額は22年度より1兆円以上多い6兆円台半ばを視野に入れている。

 自民会合やそれに先立つ幹部会では、増額に必要な財源について、国債発行で確保すべきだとの意見や、財務省に議論の主導権を握られると増額幅が圧縮されかねないと懸念する声が上がった。

【私の論評】中露北という核兵器を持った専制国家のすぐ隣にある日本が、防衛費を増やさなければ岸田政権は国内外から不興を買う(゚д゚)!

さて、日本の防衛費の概算要求は了承されましたが、台湾では行政院院会(閣議)は25日、2023年度の中央政府予算案を決定しました。歲出は2兆7191億台湾元(約12兆2932億円)、歲入は2兆5565億元(約11兆5580億円)で過去最大規模。国防費には過去最高の5863億元(約2兆6503億円)を計上しました。22年度比13.9%増となります。

台湾空軍のF16V戦闘機

戦闘機などの装備のための1083億台湾ドルの追加支出や国防部(国防省)向けの特別予算を盛り込んだ。詳細な内訳は公表していません。

防衛予算の増加率は17年以降4%未満に抑えられていましたが、一気に2桁の大幅増となりました。

特別予算を除く防衛予算の伸び率は12.9%。全体の予算案は20.8%増でした。防衛予算が歳出全体に占める割合は14.6%と、項目別では社会保障、教育・科学・文化、経済発展に続き4番目に大きくなりました。

国防部は声明で、予算は「敵の脅威」を全面的に考慮したもので、来年の域内総生産(GDP)予想の2.4%相当と説明。「近年の中国共産党による継続的な標的を定めた軍事行動や、台湾周辺の空海域への侵入の常態化に直面し、軍は戦争を求めず力で国家の安全を守る戦争準備の原則を順守する」としました。

蔡英文総統は軍の近代化を優先事項としています。


こうしてみると、日本の防衛費も結構なものと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そうともいえないです。

日本と台湾のGDPを以下に掲載します。( 単位:百万US$)
日本 4,912,147
台湾 841,209
日本のGDPは台湾の5.8倍であるにもかかわらず、防衛費は2.3倍に過ぎません。それも6兆円で計算してこの程度です。少なくとも3倍くらいにはすべきです。現状の世界情勢を考えれば、もっと増やしても良いくらいです。

防衛費を増やすと大変だと思われるかたもいらっしゃしゃるかもしれませんが、現在の日本の防衛産業は、防衛省の出す条件が悪すぎで青い気吐息であり、防衛省が競争入札をしても、これを引き受ける企業が少ないと有様です。

もっと良い条件にして、長期にわたって取引をし、国内防衛産業が繁栄するようにすれば、そのお金は国内にも循環して、日本経済も潤うことになります。

そのためにも防衛費を増やすべきです。そうして、増額の財源としては、安倍元総理が主張していたように、日銀政府の連合軍で、調達すべきです。政府が国債を大量発行して、日銀がそれを買い取る形にすべきです。

政府が防衛費を支出すると、そのお金がこの世から消えるなどということはありません。

防衛産業に従事する人たちが、賃金などとして受け取り、経済活動を活発化させ、そのお金はまた税金として政府に戻ってくるのです。

ここが、一度支出するとお金がなくってしまう家計とは大違いです。さらに、政府の下部組織である日銀は、お金を増やすこともできるのです。これらを家計と同じように考えれば、安保、福祉も、教育も何もできなくなります。

これを実行したとししても、以前からこのブログでも、主張したように、現状の日本経済の状況でインフレになることも、将来世代へのつけになることもありません。むしろ、未だ需給ギャプが30 兆円も存在する日本では、防衛費を増やし、国内の防衛産業に様々な仕事をしてもらったほうが、経済にも良い影響を及ぼすのです。

しかし、緊縮命、増税命の、財務省は、こうしたことにことごとく反対するでしょう。それも、様々な手段を駆使して、防衛費の増額を阻止するように行動するでしょう。


例えば、防衛費2%の議論においては、財務省が怪しげな手を使ってきているのですが、これは北大西洋条約機構(NATO)基準というもので、入れるときに海上保安庁の予算を一緒に加えて計算するのです。

こういうときに海上保安庁に関しては、適当に数字をかさ上げして入れたりするのです。本来海上保安庁の予算と、防衛省の予算は別の扱いでしたが、財務省はこのような操作を平気でやってのけるのです。

ただ、 海保の予算が優遇するということではなく、「海上保安庁は国交省のなかだから、国交省の予算でやってくださいね」ということにしそうです。そうすると旧建設、旧運輸の予算の取り合いのなかで、「そこまでは海保予算を削れませんよ」というようなことで、海保に十分な予算が割かれず、数字上のマジックで、海保の予算を一部防衛費に入れて、防衛費を大きくみせるというトリック使う可能性があります。

財務省からはこれから、そのような紛らわしい数字が多数出てくることが予想されますので、惑わされないようにすべきです。

ただ、今回のような閣僚人事だと、防衛省の方からもそういうものが出てきそうで、本当に困ったものです。

これは、一つの事例で、財務省は他にも様々なトリックをつかって、防衛費の嵩上げを計る可能性が高いです。

自民党そうして、岸田総理はこのようなトリックに騙されることなく、そうして、防衛費の増額は国債によって賄うことを貫いていただきたいものです。

それにしても、財務省が様々なトリックを行使して、財務省の嵩上げに成功したにしても、これはいずれ、明るみに出され、自民党内でも不興を買うことになるでしょう。

台湾は軍事費を増やしていますが、これは世界情勢がそうさせているのです。日本も財務省の意向に沿って、数字のトリックで増えたようにみせかけただけで、実際に増やさいないということになれば、国内だけではなく、米、英、豪、印のようなQuad諸国からも不興を買うことになるでしょう。それは、下のグラフをみても明らかです。


日本は、今のままだと、GDP比で防衛費は主要国の中で最低なのです。中国、ロシア、北朝鮮という核兵器を持った専制国家のすぐ隣にある日本が、今のままの防衛費でやり過ごすというなら、国内外から不興を買うのは当然です。

岸田首相は、このことを肝に銘じて、実質的な防衛費の増額を実現していただきたものです。

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2022年8月24日水曜日

自民・二階元幹事長「自民党はビクともしない」 旧統一教会との関係めぐり―【私の論評】国会議員やメディアは、憲法20条を良く理解した上で、旧統一教会問題を論じないと、大火傷する(゚д゚)!

自民・二階元幹事長「自民党はビクともしない」 旧統一教会との関係めぐり


旧統一教会と自民党の議員との接点が相次ぎ浮上している問題をめぐり、二階元幹事長は「自民党はビクともしない」と述べました。

自民党 二階俊博 元幹事長
「電報を打ってくれって言われりゃ打つんですよ。『応援してやろう』と言ってくれたら『よろしくお願いします』っていうのは、もうこれは合言葉ですよ。モノ買いに来てくれたら『毎度ありがとうございます』って商売人が言うのと同じなんですよね。究明し修正をしてやっていくべきだと思いますが、自民党はビクともしないよ」

二階氏は講演で自身と旧統一教会との関係を否定したうえで、「応援してくれる人たちをこっちが選択する権利はほとんどない」、支援者が旧統一教会関係者かどうか「すぐ瞬時にわかるわけがない」と述べました。

また、政府が決定した安倍元総理の国葬の実施については「当たり前のことで、やらなかったら馬鹿だ」と述べました。

【私の論評】国会議員やメディアは、憲法20条を良く理解した上で、旧統一教会問題を論じないと、大火傷する(゚д゚)!

自民党の二階俊博元幹事長は24日、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」関連の催しに祝電を送った自民党議員が相次いでいることに関し、「電報を打ってくれと言われりゃ打つ」と語っています。理由について「『応援してやろう』と言ってくれたら『よろしくお願いします』と言うのは『毎度ありがとうございます』と商売人がいうのと同じ」などと語ました。

政治解説者の篠原文也氏が主催する会合で講演し、質疑応答の中で言及しました。

自民党の茂木敏充幹事長は「社会的に問題が指摘されている団体との関係は一切持たない」としていますが、二階氏は「応援してくれる人たちを選択する権利ってのはそんなに無い」と主張。

「『この人は良い』とか『悪い』とか、瞬時に分かるわけがない。できるだけ気を付けてやったらいい」と述べました。そのうえで、問題が分かった場合に「見直していくということで良いんじゃないですか」としました。また「問題があればどんどん出して究明していくべきだ。自民党はびくともしない」とも述べました。

私自身は、二階氏は好きではないのですが、この発言は直截で、非常に良いと思います。現在1議員であり、閣僚でも、党内の要職にもついていないということで、言いやすい立場であることは間違いはないと思いますが、それにしても事実をはっきり発言しているところは、評価したいです。

立憲民主党は8月23日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と党所属議員の関係を調査した結果、新たに枝野幸男前代表ら7人が教団側と接点を持っていたと公表しました。接点が確認された立民議員は計14人となりました。そのなかには枝野前代表の名前もありました。岡田氏は既に報じられていました。


「旧統一教会側と“接触”したのは」と言う言い方は、まるでコロナのような言い方です。これは、濃厚接触者と一緒ではないですか。新型コロナもそうですが、濃厚接触者になった人が悪いわけでもないはずです。

旧統一教会の人々と接触してはいけないということになると、これはもう行き過ぎです。

接触しているというなら、マスコミも、接触しています。会報誌のバックナンバーを調べる方がいらっしゃって、「マスコミの広告が出ている」ということも言われています。

会報誌には、マスコミの広告は多く出ていますし、キャンペーン記事などで旧統一教会を持ち上げているものもあります。接触ということに限っていえば、マスコミのほうがはるか接触していると思います。

良く政教分離ということがいわれますが、この考えはどこの国にもあります。しかし、宗教の方からすれば、どんな政党を支持しても自由です。政治家も、いずれかの宗教に入信しても良いはずです。

政治家の接触が良くないというならば支持者全員に「あなたの宗教は何ですか?」と聞かなければならないことになり、内面の自由に反することになります。

唯一決まりがあるのは、「国が特定の宗教を助成してはいけない」ということだけです。だから「接触がダメだ」と言うのなら、政治家は事前に支持者一人ひとりに「あなたの宗教は何ですか?」と聞かなければならないことになります。これは、「内面の自由」に反します。

これは、憲法問題となる可能性があります。だから聞いてはいけないのです。内面の自由は尊重しなければいけないですから、「あなたの宗教は何ですか?」などと面接で聞いたら法律違反になります。

霊感商法は違法だが、宗教の自由、内面の自由には触れられないのです。他方、霊感商法と呼ばれるような問題は、30年ほど前からありました。これに関しては、さまざまな法整備等々が進められてきました。

霊感商法に関しては宗教とは関係なく、消費者契約法の問題なのです。そこで違法行為をしていたら法律違反です。宗教とは関係なく、消費者契約法によれば、取り消しができますが、消費者契約法ができる前は詐欺や公序良俗などの法的措置で対応していたのです。


違法の部分に関しては、法的に対応すれば良いですが、宗教の自由、内面の自由があるので、そこに触れるようなことは、すべきではないです。

政教分離に関しては、フランスで行われている「ライシテ」と呼ばれるような、かなり厳格なことを日本も実施するか否かというのが問題の本質です。

ロンドンのフランス大使館前でフランスのブルキニ禁止令に抗議する人々(2016年)

立法論でそういうものはあり得ますが、日本ではかなり難しいです。公共の場でスカーフを巻いてはいけないという事例も出てきて、「ここまでいくとやりすぎだろう」と意見がフランスのなかでも出ています。

人にとっては、内面の自由は重要ですから、要はルールをはっきり決めた上で、対応しなければいけない問題です。

ただ、そもそも論として、現行の憲法論として、宗教団体を教義等を理由に規制する事はできないです。教義に踏み込むには憲法20条(信教の自由に関する条項)の改正が必要ですが、それは同時に宗教弾圧のリスクも伴います。だから、宗教という枠組みでない「消費者契約法」実態規制ということになるのです。

このあたりの状況を二階元幹事長は、しっかり理解しているのでしょう。だから、明瞭に意見を述べる事ができたのだと思います。

日本国憲法第20条は、次のような条文です。
1 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第20条は「信教の自由」を定めたものです。その「信教の自由」を実質的に支えるために、国家および公権力が宗教や個人の信仰に介入することを禁じています(政教分離原則)。

なぜなら大日本帝国憲法でも、文言のうえでは「信教の自由」は謳われていたのですが、
安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ(国家の安全と秩序を妨げず、国民の義務に反しない限りにおいて)
という条件付きなのです。

伝統的な法学の世界で使われる「政教分離」という用語は、英語では「Separation of Church and State」と表現され、文字どおり「教会と国家の分離」を意味します。「政」は「政治」や「政党」ではなく「国家」なのです。

国家に対して〝宗教への国家の中立性〟を求めるものであって、国民に対して〝宗教者の政治参加〟を禁じたものではありません。

最高裁判例でも、「政教分離原則」とは「国家の非宗教性ないし宗教的中立性」を意味すると示され、これらは日本の憲法学界の通説(多数説)として定着しています(「最高裁判所判例集」)。

このことは、日本国憲法の草案が帝国議会で議論された際、すでに確認されています。

これは、1946年7月16日の衆議院の「帝国憲法改正案委員会」における、松沢兼人議員(日本社会党)の質問と金森徳次郎・国務大臣の答弁の議事録をご覧いただければご理解いただけると思います。以下に議事録を現代語に直したものを掲載します。
松沢委員  「いかなる宗教団体も…政治上の権力を行使してはならない」と書いてあるのであります。これは外国によくありますように、国教というような制度を我が国においては認めない、そういう趣旨の規定でありまして、寺院やあるいは神社関係者が、特定の政党に加わり、政治上の権利を行使するということはさしつかえがないと了解するのでありますが、いかがでございますか。

金森国務大臣  宗教団体そのものが政党に加わるということがあり得るかどうかは、にわかには断言できませんけれども、政党としてその関係者が政治上の行動をするということを禁止する趣旨ではございません。(「帝国議会議事録」)

 

「帝国議会議事録」の原文より

 

ここで松沢議員は、「いかなる宗教団体も――」の条文が、特定の教団やその関係者が特定の政党に参画して政治上の権力を行使することを禁じていないことを政府に確認している。これに対し、政府(金森大臣)も「禁止する趣旨ではない」と明言しています。

この解釈によれば、創価学会のような、宗教団体が政治に関与することは、そもそも違憲ではないということになります。ましてや、旧統一教会が選挙運動の応援をすることも違憲ではないということになります。

22日、“統一教会”がホームページで、「異常な過熱報道に対する注意喚起」として文書を公表しました。現在の報道について、「不当に当法人等を貶(おとし)める報道に対しては、法的手段を講じて厳重に対処させていただく」と批判しました。法的手段も辞さないとの考えを示したのです。

統一教会のメディアに対する訴訟でメディア側が敗訴すれば、メディアの浄化も進むでしょう。さらに、問題発言した出演者はとんでもないことになるかもしれません。メディアは責任をとらず、出演者に責任を押し付けることになるかもしれません。

国会においても、野党議員などが、憲法20条の信仰の自由を無視した、問題発言をすれば、自滅するということにもなりかねません。

国会議員や、メディアはまずは、日本国憲法20条の内容を良く理解した上で、旧統一教会問題を論じるべきです。そうでないと、メディアや野党、識者、コメンテーターの中にも大やけどをする人がでてくるかもしれません。野党も半端な気分で、旧統一教会と自民党の議員の関係など国会でつついていると「内閣法制局」あたりにピシャリとやられ、大赤恥をかくことになるかもしれません。

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バイデン政権はロシアにもっと強硬に

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視」



【まとめ】

・今まで一定以上のウクライナ支援を抑制してきたバイデン政権だが、ロシアへの姿勢が軟弱すぎるとの批判が高まっている。

・バイデン政権は、アメリカが強硬な軍事措置をとれば、ロシアは全面戦争も辞さない反撃措置に出る可能性があると説明してきた。

・しかし戦略研究家マックス・ブート氏は、プーチン氏は自滅的ではなく合理的な判断をしており、バイデン政権は必要のない譲歩や後退をしていると批判した。

 ロシアのウクライナ侵略もこの8月ですでに半年が過ぎた。戦況は膠着状態とも、消耗戦とも評される。ウクライナ側の善戦にもかかわらず、ロシアの侵攻は止まらない。そのウクライナを支援するアメリカ国内ではバイデン政権のロシアへの姿勢が軟弱に過ぎるという批判が高まってきた。バイデン政権がロシアのプーチン大統領の爆発的な反撃を恐れて、抑止のための強固な措置がとれないというのだ。

 だがそのバイデン政権のプーチン大統領に対する「なにをするかわからない危険な人物」という認識はまちがいだとする意見がアメリカ側の著名な戦略研究家から発せられた。この意見はプーチン大統領もアメリカの戦力の強大さを知る現実的で合理的な指導者だから、バイデン政権がもっと強く出れば、自制を効かす、と強調している。

 バイデン政権ではロシアのウクライナ侵略に強い反対を表明しながらも、一定以上のウクライナ支援には一貫して慎重な抑制を示してきた。アメリカ軍を直接にウクライナに投入するなどという案は最初から「飛んでもない暴挙」として排除された。

 アメリカと同盟を結ぶNATO(北大西洋条約機構)の加盟国が軍隊を送ってロシア軍と戦うという案にも、バイデン政権はもちろん大反対だった。バイデン政権はNATO側のポーランドが自前の戦闘機を隣国のウクライナに送って支援することも明確に反対した。

 バイデン政権のこうした姿勢の説明としては大統領国家安全保障担当のジェイク・サリバン補佐官の「ロシアとの第三次世界大戦を引き起こすわけにはいかないから」という言葉がいつも引用されてきた。つまりアメリカ側がある程度以上に強硬な軍事措置をとると、ロシアのプーチン大統領はアメリカ側との全面戦争をも辞さない反撃措置に出るだろう、という示唆だった。その背景にはプーチンというロシアの最高指導者は大規模で破滅的な戦争をも仕掛けてくる爆発的、破滅的な傾向を有する人物だ、という推定があるわけだ。

 さてこうした背景のなかで、バイデン政権の対プーチン観、対ロシア観に正面から反対する見解がアメリカの戦略研究でも著名な学者から発表された。外交関係評議会の上級研究員でワシントン・ポストなどの主要メディアに国際問題についての寄稿論文を定期的に発表しているマックス・ブート氏である。ロシア生まれで幼い時期に家族に連れられてアメリカに移住したブート氏は教育はすべてアメリカで受けて、1990年代から保守派の論客として活躍するようになった。ただしトランプ前大統領に対しては批判を表明してきた。

 ブート氏のワシントン・ポスト7月28日付に掲載された論文は「アメリカはロシアよりずっと強い。われわれはそのように行動すべきだ」という見出しで、バイデン政権のロシアへの姿勢を軟弱に過ぎると批判していた。そのブート論文の骨子は以下のようだった。

〇バイデン政権はロシアのウクライナ侵略に対して一定以上に強硬な対策をとると、プーチン大統領が無謀で非合理な行動で反撃し、核兵器までを使用しかねないと恐れている。だがプーチン氏はこれまで5ヵ月にわたるウクライナでの戦争で冷酷かつ残虐的であることを示したが、自滅的ではなく、合理的な判断を下していることが明確になった。

〇プーチン氏はウクライナの首都キーウの攻略を当初、目指したが、その実現が難しいとわかるとすぐにその作戦を撤回した。ウクライナ軍が一時、ロシア領内の標的にまでミサイル攻撃を加えたが、冷静に対応して、報復としての戦線拡大はしなかった。プーチン大統領はウクライナの兵器や弾薬の供給発信地となっているポーランドにも攻撃はかけず、NATOへの加盟の動きをとったスウェーデンとフィンランドに対しても威嚇の言葉を述べても、実際の行動はなにもとっていない。

〇プーチン氏はこうした実際の言動から弱いとみなす相手(たとえばジョージア、ウクライナ、シリアの反政府勢力など)には容赦のない威嚇と実際の攻撃をためらわないが、アメリカやその他のNATO加盟国との直接の軍事対決はあくまで避けるという合理的かつ計算高い行動様式が明確となった。実際の戦闘でもウクライナ軍を相手にしてすでにこれだけ苦労するのだからNATO軍との衝突はあくまで避けるという合理性を有することは確実だといえる。

〇アメリカは核戦力ではロシアと互角の水準にある。非核の通常戦力ではアメリカはロシアよりはるかに優位にある。しかしバイデン政権はあたかもアメリカ側の軍事能力がロシアよりも弱いかのようにふるまっている。その結果、プーチン大統領はアメリカがウクライナにより強力な軍事支援を供することを抑止することに成功してきた。

〇ウクライナでの戦闘ではロシア軍はすでに戦車1000台以上を失い、6万人以上の戦傷者を出した。今後ウクライナ軍がこれまでよりも強力な戦術ミサイル・システムなどをアメリカから得れば、ロシア側の敗北は確実となる。だがバイデン政権はなおロシア側の自暴自棄的な反撃を恐れて、その種の兵器のウクライナへの供与をためらっている。このロシア認識は変えるべきだ。

 以上、要するにプーチン大統領はいざとなればアメリカとの全面戦争をも辞さないような強気の言動をみせてはいるが、それはたぶんに演技あるいは、はったりであり、実際にはアメリカの軍事能力の優位を認め、自国の安全保障保持のためには合理的な判断を下して、アメリカやNATOと全面衝突するような方途は選ばない――という分析だといえる。だからその分析はバイデン政権がプーチン大統領のその真の姿を読みとれず、必要のない譲歩や後退をしているのだ、という批判につながるわけである。

☆この記事は日本戦略研究フォーラムの評論サイトに掲載された古森義久氏の寄稿論文の転載です。

【私の論評】バイデン政権は、これから段階的にいくつも強硬策のカードを切ることができる(゚д゚)!

今から振り返ると、開戦前から、ロシアの「強気」な姿勢に対し、アメリカ及びNATOの動きは弱いうえに遅いのが目立っていました。

バイデン大統領は、1月19日、就任1年を迎えたスピーチにおいて、ロシアはウクライナに侵攻するとの見解を示した上で、「深刻で高い代償を払うことになる」との警告を発していましたが、同時にロシアがウクライナを侵攻する脅威について問われた際、「小規模な」攻撃ならアメリカやその同盟国の対応はより小さくなるかもしれないと示唆していました。

トランプの大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)だったキャスリーン・マクファーランドはFOXニュースに対して、バイデンの発言はプーチンにとって、ウクライナ侵攻の「ゴーサイン」を意味したと主張しました。

「バイデン大統領が先週、プーチンにゴーサインを出すような発言をしたことで、今やプーチンがどんな行動に出る可能性もあると思う。ウクライナ侵攻の可能性もあるし、ハイブリッド戦争を仕掛ける可能性もある。今すぐ、もしくは今後1年の間に、彼は何らかの方法で自分の目的を達するだろう」

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官はその後、ロシア軍がウクライナとの国境を越える動きがあれば、それは全て「新たな侵攻」であり、「アメリカと同盟諸国は迅速に厳しく、一致団結して」対応すると説明。バイデンの発言を事実上修正しました。

昨年12月の段階ではウクライナへの米軍の派遣は明確に否定していました。それどころか、1月23日、米国務省は、ウクライナの首都キエフにある米大使館職員家族に退避命令を出したことを明らかにしていました。

バイデン氏は、昨年8月の米軍のアフガニスタン撤退でも、米軍幹部の反対にもかかわらず、早い段階から「8月撤退」を公言し、発言を撤回しませんでした。撤退時期を事前に言ってしまえば、武装派勢力がそれに合わせて攻撃計画を練るのは当然だ。結果として、撤退直前にテロ攻撃され、米兵13人の命が失われてしまった。重大局面での大統領の失言、妄言は、いまや定番です。

米軍のアフガニスタン撤退

NATOは、1月12日の「NATO・ロシア理事会」終了後、ロシアが求めるNATO東方不拡大の法的保証を拒否したことを伝えていましたが、次回会合に望みをつなげること以外、具体的方針は示していませんでした。むしろ、米国がウクライナへ武器供与を承認したのに対し、ドイツがウクライナからの武器供与の要請を拒否したことが伝えられており、NATO内での不協和音も認められました。

1月24日、NATOのストルテンベルグ事務総長は、NATO諸国が東欧の防衛力増強のため部隊の派遣を進めていることを発表し、米国防省も、8,500人規模の部隊に派遣に備えるように指示を出したことを明らかにしました。NATO諸国がロシアの強硬姿勢に、遅ればせながら力による対応措置を講じ始めました。

チキンゲームの観点からは、ウクライナに対するロシアの「強気」に対し、NATOの「強気」の範囲はNATO域内にとどまっていました。これにより、ロシアのウクライナに対する「強気」を、アメリカを含むNATOが是認する可能性が高くなったいえます。

ウクライナはNATOへの加盟を希望しているものの、現時点では加盟国ではなく、NATOとしても集団防衛の義務は負ってはいません。また、バイデン大統領は8月のアフガニスタン撤退に関し、国内外から批判を浴びたことから、海外への米軍派遣には消極的と見られています。

これらのことから、ロシアのウクライナに対する軍事力行使という「強気」に対し、NATOが軍事力行使という「強気」に出て、両者が直接軍事衝突する可能性は低いと見積もられていました。

これらが、プーチンのウクライナ侵攻を後押ししたことは間違いないでしょう。

それもそうですが、実際に侵略が起こった時点でも、即時にHIMARSのような武器が使えるように早めに支援を行い、ロシア側にもその事実を知らせるとか、場合によっては、NATOがロシア国内を攻撃するなどのことを告知していれば、ロシアのウクライナ侵攻を事前に防げたかもしれません。

そういうと、後知恵のように思われるかもしれませんが、私自身は、ロシアのウクライナ侵攻は無理であると当初から考えていて、その根拠の一つとして、いくらロシアがソ連の核兵器や軍事技術を継承した国であり、決して侮ることはできないものの、現在のロシアのGDPは韓国を若干下回る程度あり、東京都と同程度であり、とても NATOと対峙できる状態ではないということがありました。

しかも一人あたりのGDPでは、韓国を大幅に下回る状況です。にもかかわらず、広大な領土を抱えており、ロシア連邦軍の守備範囲も広く、現在のロシアには、ウクライナに攻め込むような大戦争は到底できないと考えたからです。

しかし、結局バイデンの弱気発言などが、ロシアのウクライナ侵攻を後押ししてしまいました。

ただ、プーチンは驕りから失敗しました。しかし、バイデンは駆け引きがあまりに下手すぎです。トランプだったら脅してすかしていなして、最後には「わが友、プーチン」くらいは言って侵攻を止めさせたかもしれません。それがビジネスマンです。

【G7サミット】膝詰めで議論を重ねる安倍晋三首相(中央)トランプ米大統領(手前右)ら

バイデン大統領の外交については、当初から危惧されていました。バイデンが副大統領をつとめたオバマ大統領は外交経験に乏しく、外交の中心はバイデンが担っていました。ところが、オバマ政権で国防長官だったロバート・ゲイツはバイデンについて「過去40年、ほぼ全ての主要な外交、国家安全保障問題で間違っていた」と回顧録で切り捨てています。

「誤り」として挙げられるのはイラク戦争への対応のほか、国連決議に基づいていた1991年の湾岸戦争への反対、2011年のイラク撤退でテロ組織の台頭を許したと批判されていること、アフガニスタンへの増派反対などがあります

米企業公共政策研究所の外交政策専門家コリ・シェイクも、バイデン外交について「軍事力をいつどのように使うかという一貫した哲学に欠けている」と米誌アトランティックへの寄稿で批判しています。

シェイクは、トランプの外交よりは良いとしながらも「バイデンが混乱し、誤った外交政策を唱え続けていることは見落とされるべきではない」と警告していました。

擁護の声もあります。プリンストン大教授アーロン・フリードバーグは「湾岸戦争への反対もイラク戦争への賛成も、同じ投票をした民主党議員はほかにもいた。バイデンは基本的には海外での軍事介入に熱心でなく、党内でもリベラル寄りだ」と語つてまいす。

バイデンはトランプが「同盟国との関係を損ない、北朝鮮など独裁国家の首脳との関係を重視してきた」と非難しました。民主主義国との同盟を再構築すると訴えました。

ただ、フリードバーグは、バイデン外交について「対中国を含め自身は強い信念を持っていない。そのため、政策は周囲の助言に左右される」とその不確実性を指摘しています。

一方、米国は昨年にアフガニスタンからの撤退を完了させ、今回のロシアのウクライナ侵攻にも、軍の直接介入を行わず、兵力を温存しています。これによりバイデン政権は国内政治的なリスクも回避したことも事実です。

しかも、今回のウクライナ軍のロシアの侵攻への善戦の背景に、米国の武器供与、財政支援、インテリジェンス情報共有、サイバー空間での協力などがあることは明らかです。バイデン政権は、米国との同盟国でなくとも、米国の支援を得ることできれば、大国を相手に自国を守ることができるという構図を世界に印象付けつつあります。

過去に米国民に多大な犠牲をもたらし、国内外からの批判に晒されたベトナム戦争やイラク戦争などと異なり、米国の負担を最小にして、世界からは支援と賛同も得られる効果的な協力を行っています。

1960年代フロリダ大学の学生による反戦運動

今後、ロシアがウクライナの戦争の継続あるいは停戦のカギは、ロシアのパートナー国である中国の動き次第です。ウクライナ侵攻前の2月4日、中ロ共同声明において、両国の友情には「限界はない」と宣言しましたが、中国は必ずしもロシアに全面的な支援を与えてはいません。

もし中国が、バイデン政権が再三警告する対ロシア軍事支援に踏み切れば、ウクライナでの戦争はさらに長期化するでしょう。一方で、中国がロシアの長期化する軍事作戦を支えることは、中国の体力も奪うことになり、米国にとって中国との長期的な競争には、米国が優位に展開することになるでしょう。米国にとって中国へのけん制は、いわば「王手飛車取り」です。中国が軽々にロシア支援に動けない理由がそこにあります。

ロシア・ウクライナ戦争は、軍事介入への高いハードルという米国のおかれた状況を考えると、インテリジェンスの先制的な開示という非常手段をとっても、抑止できませんでした。また、結果として、バイデン政権の軟弱な対応が、プーチンを後押ししたという面は否めません。

しかし、この戦争がどのように終結するかどうかで、その帰結は変わってくるため、軽々に結論づけることはできないですが、一方で、軍事介入への制約ゆえに、黒子に徹することしかできない米国に、あらたな戦略と優位性を与える可能性は十分あります。

その優位性を与える一つの方法として、バイデン政権は時にはロシアに対してもっと強硬に出るという方法もあるのではないかと思います。現在まで、バイデン大統領は強気な発言をしたことはありますが、それを実行したことはありません。しかし、そのせいで、バイデン大統領には、さまざまなカードか残されているということができます。

たとえば、NATO軍や米軍のウクライナへの派遣、派遣でも様々な段階があります。軍事訓練から、実際の戦闘に加わることか、戦略の一翼を担うまで、様々な段階があります。さらに強力な武器の供与、これも通常兵器から核兵器に至るまで様々な段階があります。

「飛行禁止空域」の設定も様々な段階があります。ウクライナの一部の空域から、ウクライナ全土まで様々な段階があります。

いきなり、過激な段階ではなく、米国側が何らかの条件を出し、その条件をロシアが満たさなかった場合、段階的なさまざまなカードを切れば良いのです。それも、はっきり目にわかるかたちで切れば良いのです。

この方針の転換が、プーチンを恐慌状態に陥れ、さら追い詰めることになります。今からでも遅くありません。十分できます。それに、ロシアが残虐なやり方をしてきたから今だからこそ、強硬な手段をとっても、国内外から非難を受けることもありません。それどころか、称賛の声が沸き起こるかもしれません。

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