2023年3月27日月曜日

【速報】岸田総理、物流「2024年問題」で近く関係閣僚会議開催へ―【私の論評】外交で覚醒した岸田首相は、経済でも覚醒すれば、長期政権を手に(゚д゚)!

【速報】岸田総理、物流「2024年問題」で近く関係閣僚会議開催へ

岸田総理は、「2024年問題」を受け、近日中に新たな関係閣僚会議を設置し、緊急に取り組む施策を取りまとめる考えを明らかにした

 岸田総理は、物流業界のいわゆる「2024年問題」を受け、近日中に新たな関係閣僚会議を設置し、緊急に取り組む施策を取りまとめる考えを明らかにしました。

 物流業界では来年4月に改正労働基準法が施行され、トラックドライバーの拘束時間が現状の1日最大16時間以内から15時間以内に制限されます。

 労働環境が改善される一方、1人が運べる荷物の量が減るほか、運送事業者の売り上げの減少、ドライバーの収入減などによって輸送量が減ることが懸念されています。

 これらの問題は「2024年問題」と呼ばれ、これまで当たり前に届いていた荷物が遅延してしまう、届ける手段がなくなるなど大きな影響が出かねないことから対策が急務となっています。

【私の論評】外交で覚醒した岸田首相は、経済でも覚醒すれば、長期政権を手に(゚д゚)!


「2024年問題」に関して、以下に問題点と、それに対する対処法をあげておきます。この内容をすでにご存知の方は、この部分は読み飛ばしてくだい。

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2024年問題とは、働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称のことです。

これまでトラックドライバーの労働環境は、長時間労働の慢性化という課題を抱えていました。

若手不足と高齢化による労働力不足の中、EC市場の急成長による宅配便の取り扱い個数の増加により長時間労働が常態化していたのです。

2024年の法施行では自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限を設定することでトラックドライバーの労働環境を良くしようという狙いがあります。

一見、物流業界がホワイト化する良いきっかけとなるように思われますが、この法施行によってどのような問題が生じるのでしょうか。

一つ目は、運送・物流業者の売上、利益が減少する問題です。規制により、1日に運べる荷物の量が減るため、運賃を上げなければ収入が減少してしまいます。

しかし、運賃を上げることは容易ではありません。6万社を超える運送業者の過当競争の中、荷主企業はより運賃の安い業者へ依頼するため、運送業者が荷主と価格交渉しにくい現状があります。

また、中小企業で月60時間の時間外労働が発生した場合には、2023年の法施行により割増賃金率が25%から50%へ引き上げられることから人件費が増加し、利益の減少に繋がります。

二つ目は、労働時間の減少によりドライバーの収入が減少するという問題です。トラックドライバーは走行距離に応じて運行手当が支給されるため、本来であれば走れば走るほど収入が増えるのですが、労働時間の規制により走れる距離が短くなれば収入が減少してしまいます。収入が低いとなれば離職に繋がる可能性もあり、労働力不足に拍車がかかる恐れもあります。

この問題への対処法は以下があります。

1.労働環境・条件の改善、働き方の柔軟化
時間外労働時間に上限が設定されることで、1人あたりの売上は減少すると想定されます。したがって、会社全体の売上や利益を減らさないためには、より多くのトラックドライバーを確保することが大切です。

働き手を確保するためには、「労働環境・条件の改善」や「働き方の柔軟化」などに取り組み、求職者が働きたいと思うような会社作りを行うことが効果的です。 
具体的には、低賃金や長時間労働といった問題の解決、時短勤務制度をはじめとした多様な働き方の導入、住宅補助をはじめとした福利厚生制度の充実などが挙げられます。
2.ITの活用
2024年問題への対処には、積極的なITの活用が効果的です。

たとえば、トラックの予約受付システムを導入すれば「荷待ち時間の短縮」、車両管理システムを導入すれば「トラックの稼働率向上」の効果が期待できます。こうした効果が発揮されれば、労働時間の削減や生産性の向上につながるでしょう。

より簡単なものでいえば、遠隔地にいても打ち合わせや点呼を行えるコミュニケーションツールを導入することで、労働時間の短縮や生産性向上などの効果を期待できます。
3.M&A(合併、売却・買収)の実施
2024年問題の解決には、M&A(合併売却買収)の実施も効果的です。M&A(Merger And Acquisition)とは、会社や事業を1つの会社に統合したり、会社同士で事業や株式を売買したりすることです。

他の運送・物流会社を買収すれば、トラックドライバーを一度にまとめて獲得し、人材不足の問題を解消できます。

また、事業規模・領域の拡大やITシステムの獲得などにより、売上や生産性を高めることも期待できるでしょう。

一方で売り手としてM&Aを行う場合、大手企業の傘下に入ることで、「採用力の強化」や「より良い労働条件への変更」、「売上増加」、「顧客獲得」などの効果を期待できます。

また、一部の事業だけを売却することで、獲得した資金を労働環境・条件の改善やITシステムの導入などに充てることが可能です。

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岸田首相、このブログにも掲載したように、最近ではウクライナ電撃訪問などにより、まさに面目躍如ともいえる状況です。

このブログにも掲載したように、岸田首相は、日中関係を構造的に変えてしまいました。もう、中国が先狼外交をしようが、親・媚中議員が騒いでも、どんな行動をしても、日中関係が元に戻ることはないでしょう。

キーウを電撃訪問した岸田首相

岸田首相は、外交においては安倍路線を継承し、発展させる覚悟を見せたといえます。3月16日の日韓首脳会談、20日の日印首脳会談、21日の日・ウクライナ首脳会談と一連の首脳会談は見事でした。

最近の岸田首相は、最近自信に溢れ、何か吹っ切れたように見えます。24日の参院予算委員会において、立憲民主党の石垣のりこ氏の高市大臣罷免要求に対し、「文書の正確性は確認できなかったという結果が出ている」と指摘し「いきなり更迭というのはあまりにも論理が飛躍していると思う」と一蹴しました。

ただ、外交や安保では、吹っ切れて、党内外の雑音も気にせずに、わが道をいくことを決めた岸田総理のようですが、残念ながら経済問題ではそうではありません。

物流「2024年問題」で近く関係閣僚会議開催をして検討をするのは結構なことですが、それにしても対策を打つとなると先立つものは資金です。

これを増税で賄うとか、そこまでいかなくても、みすぼらしい予算で、ほとんど意味を持たない対策をしてしまえば、せっかく外交で得たプラス評価もかすんでしまいかねません。

そもそも、財務省のいうように、経済対策をなんでも増税で賄うのが正しいかのような考えは、完全に間違いです。

有効需要を作るために、政府は財政出動する必要があります。そのために政府は国債を発行し、同時にカネを増やすために中央銀行が国債購入します。これが、安倍首相の言う政府日銀の連合軍です。歴代政権では安倍・菅首相のみ理解しました。実際に安倍・菅両政権のときには、両政権合わせて政府日銀連合軍方式で100兆円の資金を調達し、コロナ対策を実行しました。

こうした大胆な政策を実行したため、日本は他国と比較すれば、失業率が高まることもなく、経済に落ち込みもあまりありませんでした。現在は、その余波が未だ続いていると言っても良い状況です。岸田政権になってからも、失業率の低さは続いています。

「有効需要」とは実際の貨幣支出をともなう需要のことです。ケインズによれば、生産水準の大きさは有効需要の大きさで決まるとされます。さらに、有効需要=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入) という式であらわすことができます。

「需要」とは何かが欲しい・必要というものですが、単なる消費の欲求や潜在需要とは異なる貨幣支出をともなうものが「有効需要」です。つまり需要として有効なもの、実際に実現されるものということになります。

マクロ経済学では、失業をなくし完全雇用を実現するための理論が最重要です。ケインズの理論によれば、雇用水準や生産水準は国全体の有効需要の大きさで決まるので、政府が積極的に経済に介入し、公共投資により有効需要を増やすことが完全雇用につながり、生産規模も拡大するとしています。

つまり、公共投資等を増大することなどで有効需要を作り出し、不況を克服するなどの景気調整を行い、完全雇用を目指す政策をとるようにすることは、国の経済を拡大し国民にとっても有効な経済政策になるというものです。

このように政府が介入する資本主義を「修正資本主義」といいます。自由放任主義の経済学を批判し、積極的に政府が経済に介入すべきであるという考え方です。この考え方は、特に不況やデフレあるいは、インフレのときには今でも当てはまる重要な考え方です。

有効需要というと、多くの人は、「何に投資すべき、あれに投資すべき、これに投資しても貯蓄にまわるだけだ」などと言う人もいますが、有効需要を作り出すには、政府が量的支出をすれば良いのです。対象は何であっても良いのです。ただ、すみやかに支出をすべきです。

実際、昨年ノーベル経済学賞を受賞した元FRB議長バーナンキ氏は、「日銀はケチャップだろうが何だろうが買えばいい」と語ったことがあります。

バーナンキ氏

このあたりを理解したのが、安倍氏であり、菅氏だったのです。ただ惜しむらくは、日本の場合経済対策のほとんどが、補助・助成金によって行われることです。本来は減税を主体にしたほうが良いです。なぜなら、補助・助成金となると、審査等が必要であり、事務が滞りごちになり、支給が遅れたり、せっかく予算が割り当てられているのに、未消化という事態を招きがちだからです。

岸田首相には、このあたりのことを理解し、財務省や財政再建派の議員の雑音など、跳ね除けてていただき、外交で行った対中外交構造改革を経済の面でも成し遂げ、減税主体の経済対策に切り替えて、実行していただきたいものです。

そうすれば、岸田首相は内外から、安倍元首相の正当な後継者であるとみなされるようになり、政権も安定し、長期政権になることでしょう。長期政権が見えてきた後になってから、岸田カラーを出すこともできるでしょう。ただ、今のままだと、政権がなかなか安定しないです。

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2023年3月26日日曜日

中国で拘束男性はアステラス社員 国内法違反か―【私の論評】中共による邦人拘束等では牽制できなくなった、岸田政権による日本の対中国構造変化(゚д゚)!

中国で拘束男性はアステラス社員 国内法違反か


 中国の国内法に違反したとして北京市で今月、当局に拘束された日本企業幹部の50代の日本人男性が、アステラス製薬の社員であることが26日、分かった。アステラスの広報担当者が共同通信の取材に「拘束されたのは当社の社員で間違いない」と明らかにした。

 男性の肩書や年齢、拘束に至る経緯といった詳しい内容は「個人情報の観点に加えて、分かっていないことも多い」として明らかにしなかった。アステラスは「外務省を通じて情報収集をしていく」と説明している。

 男性は反スパイ法などの疑いをかけられた可能性もある。日本政府は早期解放を中国政府に求めている。

【私の論評】中共による邦人拘束等では牽制できなくなった、岸田政権による日本の対中国構造変化(゚д゚)!

昨日は、このブログで、岸田政権が中国に対峙する姿勢をとってきたことを述べました。

岸田首相は、昨年9月安倍元総理の国葬の時に、台湾は献花の際、国名や国際機関名などを読み上げる「指名献花」の対象とし、今年1月には新日英同盟を締結、2月には岸田文雄首相に対する孔鉉佑(こう・げんゆう)中国大使の離任あいさつの申請を断り、その後今月は丁度習近平がロシアを訪問していた時の、インド訪問直後にウクライナ訪問をしていました。

日本人が中国で拘束されたニュースは今月25日ですが、実際に拘束したのは、ウクライナ訪問の前であったと考えられます。絶好のタイミングの岸田首相のウクライナ訪問で、中国はメンツを潰された形になりました。

中国としては、中国大使の離任挨拶を断った日本に対して、意趣返し、もしくは牽制のため、日本人を拘束した可能性があります。こうした圧力にも屈せず、岸田首相はウクライナ電撃訪問を果たしたと見られます。

ただし、日本政府関係者は「首相と大使は対等ではない。外交儀礼上は何ら問題ない」と説明。日本の前駐中国大使の離任時に習氏ら最高指導部との面会が実現しなかったため日本側には「相互主義の対応を取る必要がある」との判断もあったといいます。

令和元年(2019年)6月11日、当時の安倍総理は、総理大臣官邸で中華人民共和国の着任したばかりの孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使による表敬を受けました。孔鉉佑大使の大使着任目的の一つには、2020年春に予定されていた中国の習近平国家主席の国賓としての日本訪問を実現させることがあったと考えられます。

孔鉉佑駐日大使の表敬訪問を受けた安倍総理(当時)

2019年7月2日、孔鉉佑大使夫妻は東京のホテルニューオータニで盛大に着任パーティーを開催しました。日本の福田康夫、鳩山由紀夫両元首相、世耕弘成経済産業大臣、吉川貴盛農林水産大臣、西村康稔官房副長官、阿部俊子外務副大臣、和泉洋人首相補佐官ら政府高官、自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口那津男党首、日本維新の会の片山虎之助共同代表ら与野党の首脳および衆参両院の百名近い国会議員、友好団体、経済界、主要メディア、シンクタンクの学者ら各界の人々、各国駐日使節および在日華僑華人、留学生、中国系企業の代表ら1000人余りが出席しました。

しかし、2020年3月に安倍政権は、コロナ感染症の拡大などを理由にし、習近平来日を断っていました。それ以来、日本政府は未だ、習近平の国賓待遇での来日を実現させていません。

習近平の国賓待遇での日本への招待が実現していれば、中国の国際社会の復帰への拍車がかかった可能性があります。さらに、この後に天皇陛下が中国訪問ということになれば、1996年の天皇(元上皇)中国訪問の再来になりかねませんでした。

当時は、1989年6月4日の天安門事件に対する西側諸国による厳しい対中経済制裁が行われていましたが、天皇訪中を皮切りに、西側諸国は制裁を解除したのです。

ところが、安倍元総理の国葬が執り行われた、9月27日のわずか2日後の9月29日、日中国交正常化50周年記念レセプションが、都内のホテルで開催され、林外相をはじめ、二階俊博元自民党幹事長(日中国交正常化50周年交流促進実行委員会最高顧問)、福田康夫元総理(同委員会最高顧問)、河野洋平・元衆院議長など、自民党の「親中勇士」たちが顔を揃えたのです。

いずれも日中友好を讃え、「中国なくして日本の経済は成立しない」というトーンの中で祝い合ったのです。

以下の写真は、日中国国交正常化50周年レセプションで乾杯する(右から)林芳正外務大臣、二階俊博衆議院議員、河野洋平日本国際貿易協会会長、福田康夫元内閣総理大臣、十倉雅和・日中国交正50周年交流促進実行委員長、孔鉉佑・中国駐日大使です。


当然のことながら、これには多くの保守派が憤り、林外務大臣の参加を放置したともみられた岸田政権にも批判が集まりました。

しかし、今回の一連の岸田総理の動きで、これらの動きはことごとく葬り去られたといえます、中共はもとより自民党内の親中派議員も、ことごとく梯子を外され、地面に叩きつけられたと言って良い状況になりました。

中国で邦人がスパイ容疑で逮捕された場合、日本が普通の国であれば、国内の中国人スパイをスパイ容疑で逮捕、身柄交換をします。ただし日本でまともなスパイ防止法がないので、今後は、これをまともに整備すべきです。

特定秘密保護法やセキュリティクリアランスはそのための前提です。このような制度改革が行われたとしても、普通に生活している人には、何の関係もありません。にもかかわらず、これに反対する人はどういう人なのか、誰にもでも理解できます。


岸田文雄首相は24日の参院予算委員会で、放送法の「政治的公平」を巡る総務省の行政文書を「捏造(ねつぞう)だ」と主張した高市早苗経済安全保障担当相について、野党から要求された罷免を拒否しました。立憲民主党の石垣のりこ氏への答弁において「いきなり更迭うんぬんはあまりに論理が飛躍している」と述べました。

セキュリティー・クリアランスを推進している高市大臣がこのような扱いを受けたことに対して、岸田首相がこのような発言をするのは当然のことだと思います。

先日このブログでは、岸田首相がキーウを訪問した2023年3月21日は、21世紀の世界において、日本と中国が真逆の立場を鮮明にして、別の道を進み始めた「運命の日」として記憶されることになり、 これから、日中関係が大きく変わることになると記しました。

しかし、説明が足りなかったので、何のことかご理解いただけない部分もあったと思います。本日は中国での邦人拘束を題材としながらも、この補足説明もさせていただきました。

もうこの方向性は、岸田首相によって誰も変えられない次元にまで変えられてしまい、構造変化を起こし、親中・媚中派議員が、今後何をしても、騒いでもほとんど意味を持たなくなりました。中国も日本人拘束などで、日本に牽制をしたとしても、尖閣で暴れても、その他の戦狼外交等を仕掛けたとしても、この流れは変えられなくなりました。

来るG7サミットにおいても、岸田首相はこの路線を固辞し、G7広島サミットに臨み、中国への対峙の姿勢を明確にし、日本はかつての安倍政権の時のように、世界をリードする可能性が高まったといえます。

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2023年3月25日土曜日

首相が中国大使の離任面会断る 世論硬化に配慮―【私の論評】安倍元総理逝去により、懸念された日本外交の後退が、また元の軌道に戻ることを予感させる一連の出来事(゚д゚)!

首相が中国大使の離任面会断る 世論硬化に配慮


 日本政府が2月末に帰国した中国の孔鉉佑前駐日大使からの岸田文雄首相に対する離任あいさつの申請を断っていたことが25日、分かった。歴代大使の大半は離任時に首相面会を受けており、岸田政権の対応は異例。慎重な対中姿勢が浮き彫りになった。硬化する国内の対中世論に配慮したという。複数の日中関係筋が明らかにした。

 関係筋によると、日本政府は1月ごろに中国側から孔氏の離任に際した首相面会の希望を打診された。その後に「日程上の都合」を理由に受けられないと中国側に回答。林芳正外相が代わりに孔氏と面会したが、外務省は公表を見送った。

 日本政府関係者は「首相と大使は対等ではない。外交儀礼上は何ら問題ない」と説明。日本の前駐中国大使の離任時に習氏ら最高指導部との面会が実現しなかったため日本側には「相互主義の対応を取る必要がある」との判断もあったという。

【私の論評】安倍元総理逝去により、懸念された日本外交の後退が、また元の軌道に戻ることを予感させる一連の出来事(゚д゚)!

日中関係は、岸田首相のキーウ訪問以降確実に変わるであろうことをこのブログでも先日力説したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
岸田氏訪問、ウクライナに大きな意義 「タフな首相」との声も―【私の論評】ベストタイミングの岸田首相キーウ訪問でかすむ中露首脳会談(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみを掲載します。
2023年3月21日は、21世紀の世界において、日本と中国が真逆の立場を鮮明にして、別の道を進み始めた「運命の日」として記憶されることになるでしょう。 これから、日中関係が大きく変わることになります。

習近平がロシアを訪問しているときに、意図して意識してこの日焦点合わせて、岸田総理がキーウを訪問しているわけですから、これは、間違いないです。 

ただ、上の記事をよく読むと、中国の孔鉉佑前駐日大使が離任したのは、2月末ですから、岸田首相は中国に対して厳しい態度を取ることこの時点ですでに決めていたとみることができます。

だからこそ、習近平がロシアを訪問する日付がわかった直後に、ウクライナ行きを決めたものと思われます。

岸田首相が安倍外交を継続し、発展させようと考えていたとみられることは、すでにその兆候が、みられていました。たとえば、安倍元総理の国葬の時に、台湾は献花の際、国名や国際機関名などを読み上げる「指名献花」の対象とされました。

さらに、実質的な新日英同盟の締結でさらに確かなものとなりました。これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

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「円滑化協定」の署名を終えて握手をする岸田首相とスナク英首相

これは、1月14日の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
やはり、日英というシーパワー国が、ランドパワー国のロシア、中国を間に挟んで、両側から対峙しているという構図のほうが英国にとっても良かったし、これかもそうだといえると思います。

先の日英同盟を結んでいた100年前と、時代は変わりましたが、この構図は変わらないどころか、中国の海洋進出、ロシアのウクライナな侵攻等により、増々顕著になってきたといえます。

ユーラシア大陸があり、そこにランドバワー国が存在し、シーパワー国日英が、それを挟む形になっていることから、日英は、地政学的にもともと関係を強化することが運命づけられているともいえます。

とはいえ、100年間も途切れた日英同盟を復活されることに貢献された、安倍元総理と、実際に「円滑化協定(RAA)」に署名し事実上の同盟関係を築いた岸田総理には敬意を表したいです。

 旧日英同盟は、当時のロシアというランドパワー国に対する牽制ですし、新日英同盟は、現在の中国というランドパワー国に対する牽制です。

少し前までの英国は、ランドパワー国中国が自国から離れていることもあり、あまり警戒していませんでしたが、横暴な中国の振る舞いに警戒感を強め、英国との協定を破り一国二制度を捨て去り香港を手中に収めたことにより、その警戒感は頂点に達しました。

現在の英国は、ユーラシア大陸に位置する中露を警戒するようになり、特に中国の脅威に目覚めました。だからこそ、日英同盟を復活させたのです。

日英同盟の復活は、岸田総理が安倍元総理の外交方針を踏襲することの意思表示であったと考えられます。

その岸田首相が、2月には中国大使の離任あいさつの申請を断り、さらに習近平中国主席が、ロシアを訪問している時期に、ウクライナに訪問したのです。

これは、岸田首相が完璧に安倍元首相の外交の継承し発展させることを内外に示したものです。

ゼレンスキー大統領との首脳会談で「法の支配に基づく国際秩序」を訴え、「民主主義対専制主義」のようなグローバルサウス(発展途上国)が嫌がるような概念を持ち出さなかったことは注目すべきです。

直前のインドでのモディ首相との首脳会談では、1月にグローバルサウスサミットを主催した同首相と、グローバルサウスへの支援への連携に合意したばかりです。岸田政権の外交メッセージの一貫性が見て取れます。

その岸田首相は、G7においても、安倍外交の継承を明確化させ、特に中国に対峙することを明確に示すでしょう。岸田総理のキーウ訪問等の一連の出来事は、安倍元総理大臣の逝去により、懸念された日本外交の後退が、また元の軌道に戻ることを予感させるものであったと思います。

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2023年3月24日金曜日

対話型AIの影響受ける職業 国会質疑もかなり対応可能か 知識切り売りは大変な時代に―【私の論評】AIの普及で、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアに(゚д゚)!

日本の解き方


 IT各社が「対話型AI(人工知能)」に力を入れている。将来どのようなことに使われる可能性があるか。政策の決定にも活用されることはあるだろうか。

 対話型AIは大ざっぱに言えば、質問に対する答えをインターネット上から探してくれるものだ。これまでは検索で用語を書き込むと、それに関連したネット上の情報の一覧が出てくる。それをどのように取捨選択し、どの部分をコピー・アンド・ペーストするかは検索者の判断に委ねられ、回答文の作成も検索者がやっていた。しかし、対話型AIではその部分を人ではなくAIが行い、しかも回答文にするまでをやってくれる。

 筆者は、ネット上で番組を持っていて、その中で視聴者からの質問を受け付けている。従来は、スタッフが視聴者の質問をコピペして筆者に渡してくれた。正直いって、質問になっていない文の場合も多く、視聴者の意図を読み取りかねることがしばしばだった。そこで、今では視聴者の質問をコピペしたものを対話型AIにかけるようにしている。そうすると、対話型AIは質問になっていないものを的確に指摘してくれる。さらに、質問になっている場合、ネット上での情報を網羅的に検索してくれるので、その範囲であれば、無難な回答をすることもできる。

 もちろん、筆者はネット上に転がっている無難な回答では面白くないので、それに付加価値をつけるようにしている。ネット上の情報としてウィキペディアがあるが、「本当の専門家かどうかはウィキペディアの間違いを指摘できるかどうかだ」とすら言われているので、ここでは差別化できるチャンスとも考えている。

 筆者のネット上の番組を書籍化している人もいるのだが、単に筆者の話をコピペしているだけだ。その後のデータのアップデートはできないので、今後は対話型AIを活用して、文字起こしや書籍化を考えてみようと思う。

 筆者の身近な例でも予想されるが、対話型AIが発展すると影響を受けやすい職業は定型的な対応をするもの、とりわけ教師だろう。

 米プリンストン大学の研究チームは、影響を受ける職業ベスト20を発表している。それによれば、電話勧誘業者、英語と英文学の教師、外国語と外国文学の教師、歴史の教師、法律の教師、哲学と宗教の教師、社会学の教師、政治学の教師、刑事司法と法執行機関の教師、社会学者、ソーシャルワークの教師、心理学の教師、コミュニケーションの教師、政治学者、文化研究の教師、仲裁人・調停者、裁判官、地理の教師、図書館学の教師、臨床心理医・カウンセリング・学校心理学者だ。

 日本の国会質疑なども過去の質問と回答で、かなりの程度、対話型AIで対応できるのではないか。便利な時代になったが、知識のみの切り売りの人には大変な時代だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】AIの普及で、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアに(゚д゚)!

ChatGPTに以下のような質問をしてみました。
ChatGPTの登場により、影響を受ける職業は何だと思いますか。将来なくなってしまう職業もありますか。
この質問の答えは、以下です。

"
ChatGPTの登場により、以下の職業に影響を受ける可能性があります。

  1. カスタマーサポート: ChatGPTの登場により、多くのカスタマーサポートの業務は自動化される可能性があります。顧客が自分で問題を解決できるように、ChatGPTが提供する情報や支援によって、カスタマーサポートの需要が減少する可能性があります。
  2. 翻訳者: ChatGPTは多言語翻訳にも利用されるため、翻訳者にも影響を与える可能性があります。簡単な翻訳業務はChatGPTによって代替される可能性がありますが、専門的な翻訳や文化的なニュアンスを伝える翻訳業務は、人間による翻訳に引き続き需要があると思われます。
  3. ニュース記事の作成: ChatGPTは自動的に記事を書くことができるため、ニュース記事の作成に影響を与える可能性があります。しかし、ChatGPTによって生成された記事は、人間によって作成された記事とは異なるクオリティになる可能性があるため、ニュース記事の作成にはまだ人間の関与が必要となるでしょう。
将来的になくなってしまう職業は存在するかもしれませんが、全ての職業がChatGPTによって代替されるわけではありません。技術の進化に伴い、新しい職業も生まれることがあります。ただし、将来的にChatGPTのような自動化技術が発展し続けることで、特定の職業が不要になる可能性があることは否定できません。

"

確かにいずれ、こうなるでしょう。高橋洋一氏も知識のみの切り売りの人には大変な時代になるだろうと指摘していましたが、本当にそうです。

国会での質問なども、ChatGPTが使われるようになる可能性もあります。そうなると、下らない質問ばかりしている国会議員は無用の長物になります。

このような時代には、なんでもAIにまかせてしまえば、良いのでしょうか。そんなことはないと思います。

以前このブログにも掲載したように、人間の思考方法には三種類あります。その記事のリンクを以下に掲載します。

成田悠輔「高齢者は集団自決した方がいい」NYタイムズが発言報じて世界的大炎上「この上ないほど過激」―【私の論評】成田悠輔氏のような学者に、徹底的に欠ける統合的な思考方法とは(゚д゚)!

成田悠輔氏


この記事より、一部を引用します。

"
ロジカル・シンキング(理論的思考)
物事を広く深く考え、分析し、相手にわかりやすく伝えるために、問題を構造化する思考法のこと。これは、ビジネスの基本です。最低限、この思考法ができない人は、ビジネス・マンとはいえません。特に、新人では、こうした思考法ができない人が多いです。 しかし、こうした思考方法ばかりして、そこから、一歩もはみ出さない人は、発展性がないですし、人間的魅力も感じられませんね。

しかし、まずは、こうした思考法を身につけるべきです。また、ロジカル・シンキングは、より上位の思考法である、水平思考や、統合思考の基礎なるものです。これができない人に、より上の思考をすることはできません。
ラテラル・シンキング(水平的思考)
ある問題に対し、今まで行われてきた理論や枠にとらわれずに、全く異なった角度から新しいアイデアを生もうとする思考法のこと。英国のデボノが1967年ころ唱えたものです。ロジカル・シンキングだけでは、出てくるアイディアは、確実にできるものではあるものの、どうしても月並みなものになってしまいがちです。
 
そんなときに、全く見方を変えて、新たなアィデアを出すのがこの考え方です。会社であれば、部長までのクラスの人は、この考え方ができなければ、今の時代は務まりません。
インテグレーティブ・シンキング(統合的思考)
相克するアイデアや問題事項の対立点を解消することにより、より高次の第三の解答を見つけ出す思考法のこと。理論的思考や、水平思考によって、いろいろなアイディアが浮かんできます。ただし、アイディアがたくさんあるだけでは、実行に移すことはできません。

それどころか、混乱するだけです。ここで、数多くのアイデアを取捨選択、統合するとともに、実施すべき順番を考える必要があります。また、数多くのアイデアを束ねるだけではなく、一言で言い表したりして、誰にも理解できるようにして、さらに高次元にする必要があります。それが、統合的思考です。経営者クラスはここまでできなければなりません。
理論的思考については、役人や学者に優れた人が多いです。そうして、彼らの職責からいって、彼らは理論的思考一本槍で十分につとまります。

民間企業となると、理論的思考一本槍では、月並みなイノベーションしかできませんから、水平的思考も必要になります。

ただ、理論的思考と水平的思考だけでは、いかなる組織でも、混乱を招くことになります。そこで、統合的な思考が必要になってくるのです。 安倍元首相を例にすると、第一次安倍政権までの安倍氏の思考方法は、論理的思考と、水平的思考にとどまっていたものと思います。しかし、総理を辞任し、自民党が下野していた期間を安倍氏は無駄にしませんでした。

様々な情報を吸収し勉強しただけではなく、思考法を変化させ、統合的思考を身につけたようです。そうして、これこそが政治家にとって、一番重要な思考方法です。政治家の中には、現場が重要などと語って現場を重視する政治家もいます。確かに現場を見なければなりませんが、統合的な思考ができることが、その前提です。それができずに、ただ現場ばかりみている政治家は、無意味どころか害をなします。政治家などやめて、社会事業活動などして、直接困った人たちを助けるべきです。
"

以上は、政治家の事例を出したのですが、本来の政治家は、統合的な思考方法をすべきでしょう。一方、現在の官僚は、理論的な思考だけでも良いでしょう。民間企業においても、中間管理職までは、理論的思考と、水平思考だけでよいでしょうが、上級管理職、役員ともなれば、統合的な思考方法も必要になってきます。

先日、産経新聞社の阿比留瑠比氏の公演を聴いたのですが、その中で阿比留氏は、安倍総理のことを常に戦略的に物事を考える人だったと評していました。一般的には、戦略的に物事を考えることが、統合的に思考と呼ばれるものと考えても差し支えはないと思います。

ChatGPTのようなAIに得意なのは、論理的な思考や、水平的思考の一部までだと思います。

ただ、ChatGPTのようなAIが普及してくれば、多くの人が、統合的な思考方法をするように促されるような社会になるでしょう。なぜなら、かつて機械が肉体労働にとって変わったように、論理的思考や水平的思考の大きな部分がやがて、AIにとって変わられるからです。

ただ、意思決定そのものはAIの助けを受けながらも、人間が行うことになるでしょう。

意思決定とは何かといえば、経営学大家ドラッカーは以下のように言っています。
意思決定が意思決定たるためには、次の4つのことを決める必要があります。

(1)実行の責任者

(2)日程

(3)影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人

(4)影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人

組織で行われている意思決定のうちあまりに多くが、これらのことを決めていなかったために失敗している。

意思決定とは、上記4つを決めなければ、意思決定とはなりません。これをAIの力を借りながら、実行することもできるでしょうが、最終的に意思決定するのは人間です。

ドラッカー氏

ただ、ルーチンで行われること、あるいはルーチンに近い事柄に関しては、日々の業務で、AIが決定したものを、人間が追認する形で行われるようになるでしょう。

ただ、戦略的な意思決定に関しては、AIや社員から情報を得つつ、経営者が統合的思考を行い決定することになるでしょう。

ただし、論理的思考ができない、水平的な思考もできない人が、いきなり統合的な思考ができるようにはなりません。やはり、論理的思考や水平的な思考の教育や訓練は、教育現場においても、企業などの組織においてもこれからも必要になるでしょう。

AIの力を借りつつもこのようなことは、これからも行われていくでしょう。それにしても、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアとなるかもしれません。今ままでの社会では、統合的思考が要求されたのは、企業であれば、取締役以上、学校法人などでは、理事・理事長であり、他の人はそれをさほど要求されませんでした。

これから、もっと現場に近い人たちにも、それが要求されるようになるでしょう。学校や企業でも、そのような訓練や教育がなされるようになるでしょう。

そうして、これからさらに少子高齢化が予想される日本においては、AIの活用やロボット化の進展などによって、少子高齢化による弊害を乗り越えていくことが可能になるでしょう。


これら、経済学でいうところの「装置化」をすすめることは、日本が新しい次元の社会に突入ることを意味しており、その意味では「少子化」は決して悪いことばかりではないと思いますし、少子化の原因がはっきりわかっていない以上、少子化対策を実施したからといって、人口が増大する確証はありません。

であれば、AIの活用やロボット化を推進し、少子高齢化が進んでも、豊な社会を築くことが、我が国が進むべき道だと思います。

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2023年3月23日木曜日

岸田首相の早期衆院解散、観測強まる ウクライナ電撃訪問で政権内に追い風期待―【私の論評】防衛増税見送りを大義名分として岸田首相が衆院解散に踏み切る可能性が高まってきた(゚д゚)!

岸田首相の早期衆院解散、観測強まる ウクライナ電撃訪問で政権内に追い風期待

握手する岸田首相(左)とゼレンスキー大統領

 岸田文雄首相によるウクライナの首都キーウへの電撃訪問を受け、今国会会期中(6月21日まで)の衆院解散の観測が与党内で強まった。関係正常化で合意した16日の日韓首脳会談後に内閣支持率が上昇し、ウクライナ訪問がさらなる追い風になるとの期待感が政権内にあるからだ。

世論調査で支持率向上

 「ロシアによる侵略を一刻も早く止めなければならない。G7(先進7カ国)議長国のわが国はリーダーシップを発揮しなければならない」。23日に帰国した首相は同日の参院予算委員会に出席し、ウクライナ訪問の成果と決意を強調した。

 首相は16日に日韓首脳会談に臨み、17日には記者会見で子育て世帯への支援強化策を打ち出した。直後の18、19両日の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では内閣支持率は45・9%。2月の前回調査から5・3ポイント増えた。

 ウクライナ電撃訪問の翌22日、自民党幹部の一人は「支持率はもっと上がるんじゃないか。選挙に勝てるかどうかだけを考えれば、こんなチャンスはない」と反応した。想定可能な衆院選日程で最も早いのは、3月下旬の令和5年度予算成立後に解散し、衆参5選挙区補欠選挙などと同じ4月23日投開票となる。

6月中旬「可能性高まってきた」

 ただ、首相周辺は「まだやることがある」と否定的だ。政府は3月末に少子化対策のたたき台を取りまとめ、4月1日にこども家庭庁を発足させる。広島市で5月19~21日に開くG7首脳会議(サミット)の準備も大詰めを迎える。

 6月中旬になれば、すでに広島サミットは閉幕し、具体的な少子化対策を盛り込む経済財政運営の指針「骨太の方針」も閣議決定できそうだ。このため、国会会期末間際の解散は「可能性が高まってきた」(閣僚経験者)との声が出ている。ある政府高官も、今年後半は国内経済や国際金融市場の不透明感が増す可能性があると指摘し、「今年前半に衆院選に打って出た方がよいという判断になるかもしれない」と語る。

 野党が会期末間際に内閣不信任決議案を提出し、岸田政権にノーを突き付ければ、首相が「国民の信を問う」と解散に踏み切る引き金になりうる。

【私の論評】防衛増税見送りを大義名分として岸田首相が衆院解散に踏み切る可能性が高まってきた(゚д゚)!

今後、岸田内閣の支持率低下が止まらず、仮に支持をしないが40%前後を維持することになれば、党内政局などにより内閣総辞職に至る可能性が出てくると考えられます。福田政権から野田政権まで、いずれも支持しないが40%を超えて退陣となっています。当時はそのほとんどの期間がねじれ国会であったため、単純比較はできないものの、一応の目安となりそうです。

2023年中に総辞職があるとすれば、支持率の低下があとサミットが終了してもほど止まらないケースでしょう。その場合、岸田首相の悲願とも言える5月のG7広島サミットを「花道」とした、辞職となるでしょう。


ただし、上のグラフをご覧いただいてもわかるように、ウクライナ訪問前より、支持率は上げ調子となっています。これで、ウクライナ電撃訪問で支持率があがり、さらにG7後に支持率があがることになれば、解散総選挙は可能になります。

早期の衆院解散は岸田政権にとってメリットはあるが、デメリットも相当に大きいです。

メリットとしては、野党の衆院選への共闘態勢が整っていない点を挙げることができます。立憲民主党と日本維新の会は、臨時国会の運営や審議にあたって共闘態勢を構築しました。ただ、両党の関係が、立候補者調整など選挙協力に発展するかはまだ不透明です。

これまでの国政選挙で構築されてきた野党共闘の枠組みの先行きも不透明で、早期に衆院解散に踏み切れば、野党が分断した状態で与党は選挙に臨むことができます。

一方、デメリットとしては、政権の安定を目指して衆院解散に踏み切っても、議席を大きく減らせば、その責任を問われるなどかえって政権が不安定化しかねない点が挙げられます。

2021年秋の衆院選において、総裁選が盛り上がった余韻が残る中、感染収束や野党共闘失敗にも助けられ、自民党は単独で絶対安定多数を獲得する大勝を飾ることができました。今後どのタイミングで衆院解散に踏み切っても、現状の議席を維持するハードルは高いのではないでしょうか。

もし今の状況で衆院解散に踏み切れば、有権者の支持を得られるか疑問符がつきます。

岸田首相が長期政権を志向する場合、最も望ましい衆院解散時期は、やはり自民党総裁選の直前となる2024年夏頃でしょう。衆院選で勝利すれば、総裁選を無投票再選で乗り切る可能性が高まるためです。

では、2023年中の可能性はどうでしょうか。もし行われるとすれば、やはりG7広島サミットを終えた後の年央以降でしょう。内閣支持率が持ち直し、勝てそうな、もしくは負けを抑えられそうなタイミングがあれば、衆院解散はあり得るといったところでしょう。

広島サミットの主会場に決まったグランドプリンスホテル広島


2023年の経済政策はどうなるでしょうか。これも、解散総選挙があるか否かの目安になります。

まず、岸田政権は20日付で氷見野、内田両氏を副総裁、4月9日付で植田氏を総裁に任命します。

植田氏は国際経済学が専門。金融緩和に積極的だった現職の黒田 東彦はるひこ 総裁に比べ、金融緩和による効果とともに悪影響にも配慮するとみられています。2月の衆参両院における所信聴取で、植田氏は金融緩和を継続する意向を示しつつ、「政策には効果と副作用が常にある。冷静に比較考慮し、適切な政策を実施していく」と語りました。

日銀との関係では、1998~2005年、金融政策の決定に関わる審議委員を務めた。ノーベル経済学賞を受賞した元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ氏らとも交流があり、国際人脈が豊富です。

副総裁となる氷見野氏と内田氏も、当面は金融緩和を続ける考えを示しています。氷見野氏は金融庁時代、主要各国が集まる国際的な金融規制の協議体でとりまとめ役を務めました。内田氏は日銀理事などとして現在の金融緩和策の大半の立案・設計に携わりました。

植田氏は、このブログでも以前に述べたように、どちらかというと金融システム重視派であり、国民経済や失業率などよりも、金融システムを重要視する傾向があります。しかしながら、現状の日本経済は、金融システムにとっても、緩和をすすめるほうが良い状況にあります。

金融緩和をやめて、引き締めに転じたほうが良いと考えるのは、金融機関のなかでも特殊ないわゆる債権村と呼ばれる人たちだけであり、金融システム重視であっても現状ですぐに金融引締に転じるべきとは、植田新総裁でも考えないでしょう。

副総裁となる氷見野氏と内田氏も当面は金融緩和を続ける考えを示していることを考えると、日銀がすぐに禁輸引き締めに走るなどのことは考えられません。すぐに、本格的な利上げを図ることもないとみられます。

財政を巡る自民党内の積極財政派と、財政再建派の路線対立は続いていますが、どちらかと言えば数的には、財政再建派のほうが多く、財政規律は緩む方向にあります。

防衛増税の実施時期決定が先送りされたように、内閣支持率が低迷する中、積極財政派の主張が通りやすくなっています。党内政局を引き起こさないよう、岸田政権は積極財政派の主張に配慮しています。仮に国民民主党が連立入りするなどのことがあれば、積極財政派の主張は勢いを増すでしょう。

積極財政派は増税反対で一枚岩ではなく、賛否が分かれているため、防衛増税が正式決定される可能性もあります。ただ、仮に景気が悪化すれば、防衛増税が見送りとなる可能性が出てきます。その場合、防衛増税見送りの信を問うため衆院解散に至るというシナリオは考え得ます。


過去を振り返れば、安倍政権は消費増税延期や軽減税率導入を大義名分として3度国政選挙に臨み、いずれも勝利しました。2014年12月の衆院選では、10%への消費増税延期の信を問うことを大義名分としました。2016年7月の参院選では、増税再延期を掲げました。2017年10月の衆院選では、軽減税率導入を掲げました。

あくまでも以上は、リスクシナリオにもとづく見立てですが、防衛増税見送りを大義名分として岸田政権が衆院解散に踏み切る可能性を頭の片隅に入れたほうが良いでしょう。

防衛増税の時期も、何年何月からということではなく、失業率やその他の経済指標などをもとに、指標を作成し、それを超えた場合に増税するなどのことをすれば、自民党内の積極財政派も納得するでしょうし、有権者も納得するベストシナリオになるかもしれません。

その次の段階では、防衛増税だけではなく、すべての増税に関して、これを適用するようにすれば、岸田政権は長期政権になるかもしれません。ウクライナ外交で大成功した現在、G7サミットでも大成功すれば、このシナリオは十分あり得るものとなってきました。

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2023年3月22日水曜日

岸田氏訪問、ウクライナに大きな意義 「タフな首相」との声も―【私の論評】ベストタイミングの岸田首相キーウ訪問でかすむ中露首脳会談(゚д゚)!

岸田氏訪問、ウクライナに大きな意義 「タフな首相」との声も


 ウクライナにとって、岸田文雄首相から対ロシア圧力の強化と幅広い支援の継続、将来的な復興面での尽力など全面的な支持を取り付けられた意義は大きい。先進7カ国(G7)全首脳の訪問が実現し、ロシアへの抗戦は「民主主義を守る闘い」だとの色付けを改めて鮮明化できた上、5月の広島市でのG7首脳会議などを通じて自由主義陣営のさらなる結束の強化が期待できるためだ。

 ゼレンスキー大統領は岸田首相と会談した21日、「国際秩序の真の守り手だ」と日本を評価。日本の国力やアジアでの発言力、G7議長国としての役割を考慮すれば「本日の会談は世界的な成果をもたらすことができる」と強調した。

 岸田首相は会談で、制裁逃れをロシアに許さない仕組みづくりを日本やG7が主導すると表明。財政・復興支援で日本が役割を果たすとも述べた。日本は被爆国としてロシアの「核の威嚇」を容認しないことをG7首脳会議でも強く発信すると約束。いずれもウクライナが望んできた内容だ。

 ウクライナは後ろ盾とする米欧諸国に「支援疲れ」が広がることを危惧している。G7議長国の日本が強い姿勢を打ち出したことで、支援の継続や拡大が担保された形だ。

 同じ日にはロシアで中露首脳会談が行われ、和平の仲介に意欲を示す中国のロシア寄りの姿勢が浮き彫りになった。ロシアに侵略を断念させるためにもウクライナには日米欧との連携の重要性が増している。

 22日朝にワルシャワの首相府に到着した岸田首相はポーランドのモラウィエツキ首相に出迎えられた。前日にウクライナを訪問したばかりだったが、スーツ姿の岸田首相は疲れた表情を一切見せず、モラウィエツキ氏と笑顔で談笑する場面も。写真撮影では、満面の笑みで握手を交わした。取材に訪れた海外メディアの関係者からは「タフな首相だ」との声が漏れた。
共同記者会見で岸田首相は、ポーランドと日本の協力関係などについて語るモラウィエツキ氏を時折、じっと見つめながら真剣な表情で聞き入っていた。

【私の論評】ベストタイミングの岸田首相キーウ訪問でかすむ中露首脳会談(゚д゚)!

岸田首相のキーウ訪問、昨日の時点ではわからなかったことが本日明らかになりました。それは、岸田首相キーウ訪問のロシア側に対する事前通告ですが、通告されていたことが本日判明しました。

政府関係者によりますと、今回のウクライナ訪問について、日本政府はロシア側に対し、外交ルートを通じて事前に通告していたということです。

一方、課題となっていた岸田総理大臣の安全確保について、松野官房長官は22日の参議院予算委員会で、「ロシア軍の攻撃についての情報の入手やその情報に基づく避難など含め、ウクライナ政府が全面的に責任を負って実施した」と明らかにしました。

訪問の際の安全確保をめぐり、岸田総理大臣は現地で記者団に、「秘密の保持や危機管理、安全対策に万全を期すべく、慎重にウクライナ側と調整し、実現した。戦時下にあることから安全対策などの観点もあり、事前には厳格な情報管理を行った」と述べていました。

昨日は、岸田政権の、情報管理の甘さを指摘しましたが、どうもこれも違うようです。

岸田首相のポーランド着とキーウ行きの列車に乗った時間を確認すると、以下の通りです。
08:00 ポーランド着 
09:00 キーウ行列車に乗る
このことから、日本でテレビなどで、第一報が出た11:30には完全にウクライナ国内でした。岸田総理が列車に乗り込む映像のインパクトが強すぎてリアルタイムかのように錯覚した人が多ようですが、あれすら9:00より2時間半前の映像です。私自身も、踊らされたといえるかもしれません。岸田政権重要なことでは、情報統制も効いているようです。

ただ、具体的な日時までは、出ていなかつたものの、訪問予定自体が、マスコミに流れていたのは、事実でこのあたりは何とかすべきでしょう。

岸田総理大臣がウクライナを訪問したことについて、ロシア政府はこれまでのところ目立った反応は示していません。

ロシア国営のタス通信は、「岸田総理大臣は、ロシアに事前に通告したかどうかは記者団に明らかにしなかった。ロシアによる特別軍事作戦の開始以来、日本の総理大臣がウクライナを訪問したのは初めてで、G7では最後の首脳となった」などと伝えています。

一方、ロシアの有力紙コメルサントは、同じ時期に首都モスクワで中国の習近平国家主席とプーチン大統領の首脳会談が行われていたことに言及したうえで、「日本の総理大臣のウクライナ訪問は、日本政府がウクライナを支援する姿勢を示すうえで、部外者でないことに重みや象徴性を持たせようとしたのだろう」と論評しています。

ただし、ロシア国防省は先ほど、核兵器が搭載可能な戦略爆撃機2機が日本海の上空を飛行したと発表しました。 ロシア国防省は21日、ロシア軍の長距離戦略爆撃機「ツポレフ95MS」2機が日本海の上空を飛行したと発表し、その映像を公開しました。

飛行は7時間以上におよび、戦闘機の護衛がついたとしています。 「ツポレフ95MS」は核兵器の搭載も可能で、ロシアは「戦略爆撃機」を「弾道ミサイル」「核ミサイル搭載潜水艦」とともに核戦略の三本柱としています。 岸田総理が昨日ウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領との会談に臨もうとする中で、ロシア側の発表には日本をけん制する狙いもあるとみられます。

一方、プーチン大統領と習主席の一連の会談は、アメリカとNATOが注目する中で行われました。3月21日に、彼は奇妙なほど大きな国旗の横で中国の習近平国家主席と写真を撮った。NATOは、ウクライナの戦場で使用するための軍事的な支援をロシアに提供しないよう中国に警告しており、中国は以前、検討しているもののまだ進めていないと述べています。

しかし、これまで中国は西側諸国からの広範な制裁に直面するロシアに経済的・外交的支援を提供してきた。バイデン政権の関係者は今週、世界におけるアメリカのリーダーシップに対する反感を共有することで、両国はより親密になっていると述べた。

ホワイトハウスのジョン・カービー(John Kirby)国家安全保障会議報道官は20日、記者団に対し、プーチンは習近平を、戦況が思わしくないロシアにとっての「命綱」と見なしていると述べました。

ただ、この会談岸田首相のキーウ訪問というベストタイミングで、すっかりかすんでしまいました。このタイミングでの訪問は、世界に対し日本のスタンスを示す上で重要です。
習近平が露に行っている間に、岸田総理がウクライナを電撃訪問したことで、海外メディアはアジアの大国の日本と某国の価値観を分けたと報道しました。

同じ時期に日本の指導者がウクライナを訪問したことは、地政学的な混乱の中で日本の立ち位置について強いメッセージを送るものとなりました。

今回の岸田首相のキーウ訪問は大成功です。台湾有事にも世界の注目が集まりました。日本外交の大勝利です。

空から見てる安倍さん、岸田さん素晴らしい外交をやってくれました。安倍元総理も喜んでいらっしゃるでしょう。


これで、習近平の露とウクライナの仲介等の外交パフォーマンスは事実上、潰れたともいえます。プーチンは、習近平との会談の前に、論文を発表しましたが、これもほとんど無意味になってしまいました。 岸田首相のキーウ訪問は、侵略者ロシアと戦うウクライナへの連帯と支援の継続を伝える上で意義があります。高く評価したいです。

2023年3月21日は、21世紀の世界において、日本と中国が真逆の立場を鮮明にして、別の道を進み始めた「運命の日」として記憶されることになるでしょう。 これから、日中関係が大きく変わることになります。

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2023年3月21日火曜日

安全確保、国会の承認…ハードルも実行 首相のウクライナ電撃訪問―【私の論評】問題はあったものの、我が国が普通の国になりつつある手応えを感じた岸田首相のキーウ訪問(゚д゚)!

安全確保、国会の承認…ハードルも実行 首相のウクライナ電撃訪問

20日、記者団の取材に応じる岸田首相=ニューデリー

 岸田文雄首相は昨年以降、ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウへの訪問を模索し続けてきた。ウクライナ情勢が主要な議題となる5月の広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国を務めるにあたり、現地を訪れてゼレンスキー大統領と直接言葉を交わすことが不可欠だと考えていたからだ。だが、首相の安全確保や国会の事前承認などのハードルが立ちふさがり、実現までの道のりは難航を極めた。

 「私自身、ウクライナに招待されてから訪問の時期は検討し続けてきた。今は何も具体的に決まったものはない」

 19日夜、インドを訪問する前、首相は公邸で記者団にこう語った。だが、水面下ではインドを訪れてモディ首相との会談などを行った後、ウクライナに電撃訪問する手はずを整えていた。

 首相が現地入りする計画を立てたのは今回が初めてではない。昨年6月にはドイツでのG7エルマウサミットに合わせたウクライナ訪問を検討した。隣国のポーランドを経由し、陸路で首都キーウを目指す案だったが、他の外交日程との関係で両立できなかった。

 同様の計画は昨年末にも持ち上がった。だが、ロシア軍によるキーウに対するミサイルや自爆型ドローンの攻撃が激しさを増し、実現には至らなかった。

 「簡単なことではない」。首相周辺は頭を悩ませた。

 訪問が難航したのはNATO(北大西洋条約機構)などに加盟しておらず、安全上の制約があったことが大きい。戦後、日本の首相が戦闘が行われている国や地域を訪れたことはない。

 加えて、今年1月の国会召集後は海外出張の慣例となる国会の事前承認がネックとなった。渡航の日程が明らかになれば首相の安全確保が難しくなるからだ。

 ただ、2月にバイデン米大統領がキーウへの電撃訪問を果たし、現地を訪れていない首脳が首相だけとなると、与野党から「(事前承認が)当てはまらない場合もある」(自民党の高木毅国対委員長)などとの声が相次いだ。首相は事前承認がなくても国会の理解は得られると見極めた。

 それでも首相自身の安全上のリスクが消えたわけではなかったが、電撃訪問の決断を下した。

【私の論評】問題はあったものの、我が国が普通の国になりつつある手応えを感じた岸田首相のキーウ訪問(゚д゚)!

G7首脳テレビ会議に出席した岸田首相。画面はウクライナのゼレンスキー大統領=2月、首相公邸

岸田総理 のキーウ電撃訪問、ゼレンスキー大統領 との直接会談は大変有意義です。しかも中国の周主席が訪露しプーチン大統領との会談直後のタイミングで行われたことは、重要です。

日本では、閣僚が国会開会中に海外訪問するには国会の事前承認を得る慣例があります。政府は渡航日程が明らかになることで安全確保が難しくなるとの懸念があります。このため、インド訪問に合わせて、ウクライナに電撃訪問する形を取ったとみられます。

しかし、総理が列車移動中でのマスコミ報道合戦、危機管理が憂慮されます。米大統領訪問は事後の報道でした。

岸田首相がウクライナ電撃訪問と言いながら「インドから極秘でウクライナに向かった。ポーランドでの姿を日テレのカメラが捉えた」等このような、過剰報道 がキーウへのミサイル攻撃を誘発し、ゼレンスキー大統領や岸田首相に危険が及びかねないということをマスコミは懸念しなかったのでしょうか。

岸田首相が、ウクライナに到着する前に報道されてしまって良いのでしょうか。これまでの「電撃訪問」は、各首脳がキーウでゼレンスキーと手を握っている写真とともに第一報が伝えられたはずです。これこそ、電撃訪問です。


ロシアで安全保障会議副議長の立場にあるメドベージェフ前大統領は2月20日、ウクライナの首都キーウをバイデン米大統領が電撃訪問したことについて「事前に身の安全の保証を受けた」ものだったと通信アプリ「テレグラム」でコメントしました。

米高官は、ロシア側には訪問を知らせていたと説明しています。メドベージェフ氏の投稿は、事前通告を踏まえてロシアが安全を保証し、短時間の滞在中に空爆を行わなかったことを意味していると言えそうです。

ロシア当局も、バイデン大統領がキーウを訪問することを知りながら、これを表にだすことなく、報道などで明るみに出た直後、これに対して批判を表明したのです。

このような事前通知は、岸田首相のキーウ訪問直前になされたのでしょうか。

他国における、電撃訪問では、同行記者が皆が訪問の事実を知っていて同行しています。報道機関も知っていても報じないのです。また、事前通告された国でさえ、それを公にするのは、電撃訪問が公にされた後に行うてのです。だからこそ、電撃訪問が成り立つのです。普通の国では当たり前の、このようなことを日本は未だにできないのです。

岸田首相は、周りの人に相談をしすぎるきらいがあるので、情報が漏れやすいようですが、それにしても、首相個人や相手国の人たちの安全を考えれば、迂闊に事前に報道などできないはずです。

それに、事前の報道は控えたほうが、電撃訪問が成り立ち、よりインパクトがある報道になると思います。

日本以外の国々では、一般的には、政治的な訪問や会議の計画は慎重に進められ、関係者間での情報共有が必要不可欠です。もし情報が漏れてしまう場合、それは計画が狂う可能性があります。また、外交や国際関係においては、相手国との信頼関係を築くことが非常に重要であり、情報漏洩が発生した場合は信頼を損なうことにつながるため、非常に厳しい対応が必要となります。

このあたりの認識が、政府も報道機関も認識の甘さもあり、戦後、日本の首相が戦闘が行われている国や地域を訪れたのがはじめてということもあり、たとえば誘拐報道に関する協定などあるはずもなく、法律や規定なども整備されていないことが露呈されたともいえます。

この状況で情報が漏れたこと、スクープとでも言いたげに報道する事、情報をコントロールできなかった政府日本の情報統制等など仕組みに問題ありと思います。今後このような閣僚の戦地への訪問など、あり得ると思います。今後こうした場合に備えて、法律、制度なども含めた仕組みづくりをしていくべきです。

2017年インドのモディ首相とともにオープンカーに乗り、沿道の人たちから歓迎を受ける安倍首相(当時)

ただし、このようなことが問題視される事自体が、我が国も普通の国になりつつ事の証でもあり、岸田政権における成果ともいえるでしょう。戦後日本の首相は、誰も戦地を訪問していません。数年前までは、日本の首相が戦地を訪れるなど考えられませんでした。それが、ウクライナ戦争という未曾有の事態が生じている最中でありながらも、実現したことは驚くべきことです。

首脳会談が無事終わり、岸田首相が安全に日本に帰国できるよう願います。

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2023年3月20日月曜日

放送法文書問題、高市氏追及の構図崩壊か「謀略なら予算審議と切り離し特別審議を」―【私の論評】忘れてはならないのは、高市大臣は被害者であること(゚д゚)!

放送法文書問題、高市氏追及の構図崩壊か「謀略なら予算審議と切り離し特別審議を」

放送法文書問題で、高市氏への追及が続くが…

安倍晋三政権下で、放送法の「政治的公平」を協議した経緯とされる総務省の「行政文書」が流出した問題が迷走気味だ。総務省の調査で、当時の高市早苗総務相(現経済安保担当相)と安倍首相が放送法の解釈をめぐって電話で協議したとする文書は「作成者不明」「確認されず」と説明されるなど、文書の真偽に疑問が深まっている。高市氏は「(内容が)捏造だ」と明言しているが、一部野党は、20日の参院予算委員会でも追及するという。

【写真】総務省が公表した「行政文書」に関する調査結果の資料

「政治的立場を離れて客観的に分析しても、高市氏の説明が正確だったとの見方が強まっている。野党がさらに追及するなら、新たな手段で真相究明する局面ではないか」

官僚組織に詳しいジャーナリストの石井孝明氏はこう指摘した。

総務省は17日、「『政治的公平』に関する行政文書の正確性に係る精査について(追加報告)」を公表した。

これには、《作成者および同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった》《高市大臣から安倍総理又は今井秘書官への電話のいずれについても、その有無について確認されなかった》とあった。

つまり、高市氏らによる放送側への圧力や、放送法の解釈変更を図ったとする〝構図〟が崩れつつあるのだ。

そもそも、問題の行政文書は作成者不明のものも多いうえ、公文書管理法に基づく「行政文書ファイル管理簿」に記載されないなど、不適切管理が判明している。

石井氏は「高市氏や安倍氏を巻き込み行政文書が偽造された疑いがある。また、情報漏洩に関わった人物には国家公務員法違反の疑いもある。万が一、そのような〝謀略〟だったとすれば、大問題だ。もはや、予算審議と切り離し、国会の委員会などで別途、特別審議を開いて証人喚問などを行い、その結果、事件性があれば刑事告発をすればいい」と指摘する。

ただ、一連の騒動で、高市氏の消耗は激しいようだ。

高市氏は18日、自身のツイッターで《総務省文書騒動で役所の公務は殆どできなくなりました》《多くの企業が参加される経済安全保障の講演会もドタキャン。「国会軽視」はしていません》などと書き込み、担当する機密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス」の法整備が影響を受けている現状に苦悩を明かした。

【私の論評】忘れてはならないのは、高市大臣は被害者であること(゚д゚)!

総務省が公表した「行政文書」に関する調査結果の資料に関しては、以下の総務省のサイトからご覧いただけます。
「政治的公平」に関する行政文書の正確性に係る精査について

 3月7日、当省が公表した総務省の「行政文書」の正確性に係る精査(本体PDF参考資料PDF)について、お知らせします。

本体は4ページですし、参考資料は78ベージです。まずは、今回の出来事について、論評する人は、まずはこのくらいは読んでからにすべきと思います。特に本体は絶対に読むべきでしょう。

本体を読めば、参考資料はとてもまともな「行政文書」とはいえないことが誰にでも理解できます。

いわゆる、「もりかけさくら」問題に関しても、このような文書がいくつも公表されていましたが、ほとんど読まないで批判している人もみかけました。そのような愚かな真似はすべきではありません。

この参考資料が、今回のいわゆる「行政文書」というものです。総務省の調査内容が書かれたある本体を読むと、この文章の信憑性を疑わせる内容で満載です。総務省が調べた結果を捏造することもないと思いますが、高市氏を批判する人たちは、この文書の内容を真摯に受け止めているのでしょうか。

そうして、この文書は総務省から違法に持ち出されたものです。こうした内部告発は公益通報として保護される公益通報者保護法がありますが、偽造文書であるならば、この制度でも守られることはありません。まずは、この違法行為の責任が追及されるべきです。

公文書漏洩は国家公務員法違反(110条)として、罪に問われます。そしてそのそそのかしも罪に問われます(同111条)。外務省機密漏洩事件(西山事件、1971年)で、毎日新聞記者の西山太吉氏は、機密漏洩を依頼しそれを公表したことで罪に問われ逮捕、起訴され、最高裁で有罪が確定しました。


この総務省文書騒動では、これを漏らした総務官僚は罪に問われます。また詳細の解明が必要ですが、それをそそのかした場合に、小西氏は罪に問われます。小西議員には不逮捕特権が国会議員としてあるが、それは国会会期中のみです。また捜査は可能です。

総務省は、情報漏洩について、違法行為がある以上、当然、刑事告発の義務を負います。総務省は情報漏洩の懸念で左派からマイナンバー制度への批判を繰り返されています。職員が堂々と情報漏洩をしているのです。その懸念が正しいことになってしまうでしょう。行政の信頼を失わせることになります。

偽メール事件で議員辞職した永田議員

また虚偽情報によって、高市早苗大臣の政治責任を追及した、小西議員、そして立憲民主党は当然批判されるべきです。2006年の偽メール事件を覚えているでしょうか。民主党の永田寿康衆議院議員が堀江貴文氏のメールを根拠に武部幹事長への堀江氏からの不正献金をを国会で追及した事件です。メールは偽物で、民主党首脳部は総辞職、永田氏は議員辞職の後に自殺しました。

今回も似たような構図です。しかし、これは公文書偽造と、首相と大臣を電波官僚が騙した疑惑とセットになっています。偽メール事件より悪質な事件です。小西議員は、3月19日に高市氏に辞職を迫る焦ったようなおかしなツイートをしています。しかし客観的に、違法性が問われるのは彼です。動揺しているようですが、精神的にも法的にも社会的にも彼は大丈夫なのでしょうか。

小西洋之議員の3月19日ツイッター

最初から最後まで、この騒動での小西洋之氏の意図が不明なのですが、結果として彼は何事も成し遂げでおらず、道化師の役割を果たしただけです。

つまり物事を混乱させて、それを進めてしまう人の役割を果たしたのです。余計なことをしたばかりに、彼がかつて関係を持った上司や同僚を犯罪者にしてしまったのかもしれないです。

ただ、不思議なのは、情報漏洩者は、小西氏のような「小物」に文書を渡して何をしたかったのかと言うことです。これが政府を攻撃する重要文書とでも勘違いしたのでしょうか。これも解明が待たれるところです。

さらに、不思議ことですが、現在野党は高市早苗大臣を個人攻撃しています。日本の野党は政策の提言ではなく、政府を大混乱させることを狙って、常に国会活動をしています。

政府を混乱させるという視点に立てば、総務官僚が首相と大臣を騙したという大スキャンダルを追及した方が、騒ぎは大きくできると思います。それに最近でいえば、防衛増税など、与党を追求するなら、現状なら事欠かないと思われるのですが、そちらのほうはしないで、今回のような真偽も明らかでない「行政文書」に集中するのですから、本当に頭がどうかしているとしか言いようがありません。

誠に不思議な人たちです。頭が悪いのでしょうか、あるいは電波利権を守ろうとしているのでしょうか。また自民党も、岸田首相も、高市さんをかばわないのが本当に不思議です。首相候補とされる彼女の政治生命を潰したい考えがあるのでしょうか。この件に関しては、高市さんは明らかに被害者です。

自民党がこの問題で、関係者の証人喚問した上、総務省、もしくは同党が刑事告発をすべきです。もしくは、これだけ人権侵害された高市早苗内閣府大臣ご自身が自らしても良いでしょう。捜査機関によって、この疑惑を明らかにする必要があります。

今回の問題のメディアや野党の大騒ぎはずれています。私は以前から小西洋之氏の幼稚で愚かな発言と行動にずっと不快感を持ってきました。彼が政治的、社会的自爆をするのは喜ばしいことです。しかし、個人的な好悪を離れても、この騒動は不思議さに溢れています。早く決着すべきです。

国会は開催に経費が1日約3億円かかります。こんな無駄な馬鹿騒ぎをするより、司法の手に委ねるほうがはるかに合理的です。そもそも、「もり、かけ、桜」などの問題も司法の手に委ねていれば、裁判にもならなかったでしょう。国会で無駄な審議が繰り替えされることもなかったでしょう。

今回の件は、予算審議や、高市大臣の進めるセキュリティクライアンス(情報の保護)の問題から切り離し、総務委員会の下に特別委員会を作り、関係する電波官僚を証人喚問し、その結果を受けて刑事告発をする等行動が、速やかな解決をもたらすでしょう。この無駄な空騒ぎは、国益にも、国民のためにもならないです。

国会においては、このような馬鹿騒ぎをするのではなく、ウクライナ戦争ですっかり変わってしまった世界情勢に対して日本はどうするかなどの、真摯な議論をすべきです。

本日も習近平がロシアを訪問しています。中露が結託を強めれば、ウクライナ戦争は長引く懸念もあります。蔡英文台湾総統が、今年の8月訪米します。日本はどうするのでしょうか。そもそもG7の首脳は、岸田総理を除いてすべてウクライナを訪問しています。岸田総理はどうするのでしょうか。国会で馬鹿げたから騒ぎで高市いじめを続ける時間などないはです。

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2023年3月19日日曜日

プーチン氏の威信失墜 カギ握る国際社会の協力―【私の論評】今回の「子供連れ去り」の件での逮捕状は国内法でいえば別件逮捕のようなもの、本命は"武力行使そのもの"の判断(゚д゚)!

プーチン氏の威信失墜 カギ握る国際社会の協力


 国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は17日、ロシアのプーチン大統領に対し、ウクライナからの子供連れ去りに責任があるとして、戦争犯罪容疑で逮捕状を出した。国連安全保障理事会の常任理事国の元首にICCが逮捕状を出すのは初めて。身柄拘束は困難とされるが、ウクライナ侵略を巡る戦犯容疑者として扱われることで、国際社会でプーチン氏の威信は失墜し、孤立が強まる可能性がある。

 ICCの発表によると、プーチン氏は指導者としてウクライナ占領地からの住民連れ去りに加担し、部下の犯罪を止めなかった責任などを問われた。戦時の文民保護を定めたジュネーブ諸条約は、住民の違法な移送や追放を禁じている。

 ICCのカーン主任検察官は、少なくとも子供数百人が孤児院や施設から連れ去られ、多くはロシア国籍を押し付けられて養子に出された疑いがあるとした。ICCは養子縁組を進めたリボワベロワ露大統領全権代表の逮捕状も出した。同代表は子供の権利問題を担当している。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は逮捕状発行について、「歴史的な決定だ」と歓迎。バイデン米大統領は17日、記者団に「正しいことだと思う」と支持を表明した。米国はICC非加盟だが、カーン氏らの捜査に協力する姿勢を示してきた。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は「ロシアの責任を追及する過程の始まり」とした。

 一方、ロシアは猛反発した。ペスコフ大統領報道官は「言語道断で容認できない」と逮捕状発行を批判。ロシアはICC非加盟であり、ザハロワ外務省報道官も逮捕状は「法的に無効。ロシアは(身柄拘束の)義務を負わない」とした。

 ICCが現職の国家最高指導者に逮捕状を出したのはプーチン氏で3人目。他の最高指導者2人の裁判はいずれも実現していない。

 ICCはこれまでアフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)の国内武力紛争を巡り、政府当局が身柄を引き渡した武装勢力指導者を裁くなどしてきた。だが、ロシアが今回、プーチン氏を引き渡すことは望めず、重要となってくるのは国際社会の協力となる。

 ICCの加盟国は容疑者の逮捕や身柄引き渡しで協力義務を負う。ICCは拘束を強要することはできず、過去にはICCに逮捕状を出されたスーダンの大統領が周辺国などを外遊していた事例もある。ICCのホフマンスキ所長はこのため、「逮捕状の執行は国際社会の協力にかかっている」と訴えた。

 プーチン氏が訪問したICC加盟国が協力するかは見通せない。ただ、拘束される可能性がある以上、ICC加盟国への外遊に慎重にならざるを得なくなることも想定される。国際司法が戦犯としての責任追及の姿勢を明確にしたことで、「各国の指導者はプーチン氏との握手や会談を熟慮する」(ウクライナのコスチン検事総長)との効果を期待する声も出ている。


 国際刑事裁判所 ジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略罪を犯した個人を訴追、処罰する常設の国際刑事裁判機関。2003年にオランダ・ハーグに設置された。日本を含む123カ国・地域が加盟。国連安全保障理事会の5常任理事国のうち、米国、ロシア、中国は加盟していない。

 ICCは各国の国内刑事・司法制度を「補完」するもの。関係国が被疑者を捜査・訴追する能力や意思がない場合に管轄権が認められる。管轄権を行使するためには、犯罪行為が行われた国または被疑者の国籍国が加盟国であるか、管轄権を認めていることが必要。ウクライナは非加盟だが、管轄権を受け入れている。

【私の論評】今回の「子供連れ去り」の件での逮捕状は国内法でいえば別件逮捕のようなもの、本命は"武力行使そのもの"の判断(゚д゚)!

上の記事では、「子供連れ去りの責任」について述べられていますが、そもそも、侵略戦争に関してはどうなのでしょうか。それについては、以前このブログで述べています。その記事のリンクを以下に掲載します。
ロシア軍「ジェノサイド」確実 耳切り取り歯を抜かれ…子供にも拷問か 西側諸国による制裁長期化 「ロシアはICCで裁かれる」識者―【私の論評】プーチンとロシアの戦争犯罪は、裁かれてしかるべき(゚д゚)!

この記事は、昨年4月4日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を引用します。特に、他国への侵攻ということになれば、国際法に関係してくるので、その部分を中心に引用します。
際社会は、プーチンを「露骨に国際法を破った無法者」と非難しています。国際法とは、法律のように誰かに強制される法ではありません。国際社会の合意として成立している慣習です。この慣習は掟でもあり、従えない国は文明国として扱われないのが普通です。

国際法には、大きく二種類あります。一つがユスアドベルム(戦争のための法)、戦いの正当性に関する掟です。もう一つがユスインベロ(戦争における法)、戦い方の正当性に関する掟です。
ユスアドベルムには、以下の5つの条件があります。
  1. 正しい理由(攻撃に対する防衛・攻撃者に対する処罰・攻撃者によって不正に奪われた財産の回復)の存在
  2. 正統な政治的権威による戦争の発動
  3. 正統な意図や目的の存在
  4. 最後の手段としての軍事力の行使
  5. 達成すべき目的や除去すべき悪との釣り合い
ユスインベロには、以下に条件があります
  1. 戦闘員と非戦闘員の区別(差別原則)
  2. 戦争手段と目標との釣り合い(釣り合い原則=不必要な暴力の禁止)
テレビ、特にワイドショーなどでは、このあたりを曖昧にして論議をしていて、結果として米国批判、ロシア擁護のようになっている論調が見受けられることには驚くことがあります。

国際法ついては、詳細は以下の記事をご覧下さい。非常にわかりやす行く解説されています。
敵基地攻撃の装備を検討 脅威高まり「専守防衛」拡大
プーチンはユスアドベルムとユスインベロの双方に違反しています。

さらに、この記事から一部を引用します。

ユスアドベルム(戦争のための法)において、その戦いの正当性が証明されなかった場合は、単なる違法です。負ければ、国が領土や賠償金を払って償わなければならないです。逆にユスインベロ(戦争における法)を犯した者は、戦争犯罪人として牢屋行きです。

スロボダン・ミロシェビッチやサダム・フセインは容疑の証明が曖昧だったにもかかわらず、牢屋に送られて死にました。 日本人はプーチンを甘やかしてきましたが、奴は日本とって味方でも何でもないことを認識すべきでしょう。
ウクライナの占領地から子供を連れ去るなどは、明らかに「ユス・イン・ベロ」に違反する行為です。これは誰がみても理解しやすいです。

ICCとしては、まずは誰にでも理解出来る「子供連れ去り」に関しては、「戦争行為」違反ということで、逮捕状を出したのでしょう。これによって、仮に逮捕できたとしたら、余罪として「武力行使そのもの合法性」へ侵犯の疑いでも裁く意図があるのでしょう。

国際法は、国内法とは違いまずか、これは国内法でいえば「別件逮捕」のようなものです。

上の記事で、ICC加盟国の協力が不可欠ということが言われおり、いますぐ、あるいは戦争が終了した段階で、すぐにプーチンを拘束して裁判というわけにはいきませんが、今回逮捕状が出されたことにより、その道は開けたといえます。

プーチン氏への逮捕状について、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は17日夜のビデオ演説で、「歴史的な決定だ。テロ国家の指導者らが公式に戦争犯罪の容疑者となった」と述べました。これは、武力行使そのものに関する裁判への道がひらけたことに対する発言であると考えられます。

ウクライナ政府の集計によると、ロシアによる1万6226人の子供の強制移送が確認され、このうちウクライナに戻ったのは308人だけとなっています。ゼレンスキー氏は「最高指導者の指示なしに、このような犯罪行為は不可能だ」と指摘しました。

米国のバイデン大統領は17日、記者団に対し「妥当だ。とても力強い指摘だと思う」と述べました。

一方、タス通信は、ロシアの大統領報道官が「言語道断で容認できない」と激しく反発したと伝えました。


プーチン大統領は先月16日、子どもの権利担当相ベロワ氏との会談で、「ドネツク州やヘルソン州などで現地の住民から子どもの養子縁組の申請が増えている」と述べ、ロシア国内への移送の正当性を強調しました。ただ、これはロシア側の一方的な主張であって、ウクライナ側にしてみれば、連れ去られたとの主張になるのは当然です。ロシア側の独善的な態度が、この戦争の実態を表しています。

中露北等はいまでも、「必要とあらば人を殺しても構わない」という価値観を有している国です、このような国と我が国のような「人を殺してはならない」という価値観の国とは理解し合えるはずもありません。日本は同じ価値観の国々と生きるしかないのです。

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