光海底ケーブルEMCSルート図 |
本件は、日本・米国・豪州の各政府が連携支援する「東部ミクロネシア海底ケーブル事業」に基づくプロジェクトで、3か国の資金提供のもとで実施されます。
NECは、過去50年以上にわたり海底ケーブルシステム事業を手掛けるトップベンダーです。地球10周分のべ40万kmを超える敷設実績があり、グローバルに事業を展開しています。また、海底ケーブルや海底中継器、陸上に設置する伝送端局装置などの製造、海洋調査とルート設計、据付・敷設工事、訓練から引渡試験まで、全てをシステムインテグレータとして提供しています。なお、海底ケーブルはNECの子会社である株式会社OCC(注1)で、海底中継器はNECプラットフォームズ株式会社(注2)で製造しています。
本件に関する各社のコメントは以下のとおりです。
コスラエ州はミクロネシア連邦で唯一、海底ケーブルに接続していない州です。本プロジェクトにより、ミクロネシア連邦の全4州における平等なデジタル接続環境を実現し、様々な情報や必要なサービスへのアクセス能力を大幅に向上します。プロジェクトパートナーの皆様のご支援とご協力に感謝いたします。
キリバスやミクロネシア地域にとって重要な意味を持つ本プロジェクトを嬉しく思います。BNL社は、EMCSのパートナーである日米豪政府、NECおよび太平洋地域の皆様とともに、本プロジェクトを実現できることを楽しみにしています。
本プロジェクトによってナウルに初めて海底ケーブルが敷設されることになり、将来の通信システムの生命線としてナウルに大きな利益をもたらします。海底ケーブルの製造、供給、敷設において豊富な経験と実績で業界をリードするNECと契約の締結に至ったことを大変嬉しく思います。同様に、日米豪政府並びにミクロネシア連邦及びキリバスの皆様と協働できることをうれしく思います。本プロジェクトの完遂を心待ちにしています。
近年のデジタル化の進展により、インターネットへの接続性やデジタル技術へのアクセスが、その国や地域の経済的及び社会的発展に及ぼす影響はますます大きくなっています。NECグループが長年培ってきた光海底ケーブル通信技術によって、太平洋島嶼国地域の通信インフラを強化し、より快適で安全な暮らしの実現に貢献できることを大変光栄に思います。
以上
【私の論評】日米と中国の南太平洋での覇権争いは前からすでに始まっている(゚д゚)!海底ケープルのイメージ |
- 中国は、安全保障協定を締結する代わりに、3カ国への経済援助を申し出ている。
- 中国は、国連における影響力を利用して、3カ国に協定に署名するよう圧力をかけている。
また、日本は米国の安全保障上の緊密なパートナーです。日米両国は相互防衛条約を結んでおり、定期的に合同軍事演習を実施しています。また、日本はミクロネシア連邦、キリバス、ナウルの主要な経済パートナーでもあります。
6月2日ナウルで行われた「東ミクロネシア海底ケーブルプロジェクト」の交換公文の署名式 |
南太平洋の戦いで雷撃を受けた米空母「ワスプ」 |
この地域に中国が軍事的拠点を持てば、太平洋のパワーバランスが変わるという、戦略的重要地域であることはわかっていながら、財政上の問題で大使館を閉めるなど、いわば手を引いていた米国は、今になって大使館を復活させたり、クアッドで500億ドルを超える新たな支援・投資を始めたり躍起になっています。コツコツじわじわ積み上げてきた中国とは対照的です。
そうしてさなかに、日本の会社であるNECが、今回太平洋島嶼国を結ぶ光海底ケーブルの供給することになったのは、まことに喜ばしいことですし、この地域の安全保障にも寄与することになります。