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自民党内では、積極財政派と緊縮財政派の対立が再び激化しつつある。
安倍派の解散により、緊縮財政派の存在感が高まっていた。しかし、積極財政派の議員らが、安倍前首相の「遺志」を継ぎ、デフレ脱却と経済成長を実現するため、再び動き出した。
具体的には、積極財政派の議員が渡海政調会長と直接交渉し、党内の「財政政策検討本部」を再起動させることに成功した。この検討本部は、安倍前首相の肝いりで設置された積極財政派の拠点である。検討本部の再起動により、積極財政派は党内での主導権を回復することができた。
さらに、積極財政議連が渡海政調会長に「討議資料」を提出し、財務省が策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に含まれる歳出制限の撤廃を直談判した。2015年以来の骨太の方針には「非社会保障費の純増を3年間で1000億円以内に抑える」というルールが潜り込ませられており、これが教育無償化など重要政策の実現を阻害し、日本経済の成長を妨げていると積極財政派は強く主張している。
一方、財務省を支持基盤とする緊縮財政派も、党内 の積極財政派を徹底的に封じ込める体制を敷いている。今年6月に策定される2024年度の骨太の方針をめぐって、財務省vs積極財政派の熾烈ない牙を剥く戦いが繰り広げられることになるだろう。
日本経済の行方は、公共投資と財政出動を重視する積極財政派か、増税と財政再建を優先する緊縮財政派のどちらが主導権を握るかにかかっている。自民党内の財政運営の舵取りをめぐる論争の行方が、日本の経済政策の大きな分岐点となることは確実だ。デフレ脱却を最優先課題と位置づけるのか、財政健全化を優先するのか。歴史的な選択を迫られている。
安倍元首相 |
安倍派の解散により、緊縮財政派の存在感が高まっていた。しかし、積極財政派の議員らが、安倍前首相の「遺志」を継ぎ、デフレ脱却と経済成長を実現するため、再び動き出した。
具体的には、積極財政派の議員が渡海政調会長と直接交渉し、党内の「財政政策検討本部」を再起動させることに成功した。この検討本部は、安倍前首相の肝いりで設置された積極財政派の拠点である。検討本部の再起動により、積極財政派は党内での主導権を回復することができた。
さらに、積極財政議連が渡海政調会長に「討議資料」を提出し、財務省が策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に含まれる歳出制限の撤廃を直談判した。2015年以来の骨太の方針には「非社会保障費の純増を3年間で1000億円以内に抑える」というルールが潜り込ませられており、これが教育無償化など重要政策の実現を阻害し、日本経済の成長を妨げていると積極財政派は強く主張している。
一方、財務省を支持基盤とする緊縮財政派も、党内 の積極財政派を徹底的に封じ込める体制を敷いている。今年6月に策定される2024年度の骨太の方針をめぐって、財務省vs積極財政派の熾烈ない牙を剥く戦いが繰り広げられることになるだろう。
日本経済の行方は、公共投資と財政出動を重視する積極財政派か、増税と財政再建を優先する緊縮財政派のどちらが主導権を握るかにかかっている。自民党内の財政運営の舵取りをめぐる論争の行方が、日本の経済政策の大きな分岐点となることは確実だ。デフレ脱却を最優先課題と位置づけるのか、財政健全化を優先するのか。歴史的な選択を迫られている。
【私の論評】岸田政権は「積極財政派」と手を結び、財務省に立ち向かえ
要点を箇条書きにすると以下の通りです。
まとめ
- 2015年の骨太の方針に、社会保障費以外の歳出増を3年間で1000億円に抑えるというルールが脚注で盛り込まれ、その後も踏襲された。
- このルールは当時の安倍首相も知らず、財務省がこっそり盛り込んだとみられる。
- 財務省は国民から税金を搾取する存在で、予算の見直しをせず緊縮財政を正当化してきた。
- 岸田首相は財務省に対抗するため、積極財政派などの議員の支持を得るべきだ。
- 岸田政権の崩壊は、官僚機構の力を強める恐れがあるため、政治が安定してから交代すべきである。
骨太の方針(ほねぶとのほうしん)は、正式名称を「経済財政運営と改革の基本方針」といいます。政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針で、年末の予算編成に向けて、政権の重要課題や政策の基本的方向性を示します。
首相が議長を務める経済財政諮問会議で毎年6月ごろに策定され、閣議決定されます。各省庁の利害を超えて官邸主導で改革を進めるために策定されます。
2023年度版の骨太の方針は6月16日に閣議決定されました。今年も6月に2024年度版が閣議決定されることになるでしょう。
首相が議長を務める経済財政諮問会議で毎年6月ごろに策定され、閣議決定されます。各省庁の利害を超えて官邸主導で改革を進めるために策定されます。
2023年度版の骨太の方針は6月16日に閣議決定されました。今年も6月に2024年度版が閣議決定されることになるでしょう。
上の記事で、「2015年以来の骨太の方針には「非社会保障費の純増を3年間で1000億円以内に抑える」というルールが潜り込ませられている」ことに関しては、安倍元総理も激怒していたとされます。それについては、このブログにも掲載したことがあります。
岸田「30兆円」経済対策で、またぞろ「大増税」誘導…財務省のペテンの手口―【私の論評】『骨太の方針』に見る、財務真理教団騙しの手口(゚д゚)!
2015年に閣議決定された『骨太の方針』によって「社会保障関係費以外の歳出の増加は3年間で1000億円以内にする」ことが明記されており、その後、毎年の『骨太の方針』でこれが継続的に踏襲されています。はっきり言えば、これは財務省による騙し討ちといっても良い暴挙だったといえます。一般企業などにおいて、たとえば長期経営計画などに、当該企業にとって重大な事項が、本文にはかかれておらず、脚注にかかれてあるようなものです。それも、社長などの判断ではなく、長期経営計画書の原案を作成する部署の長の判断で勝手に入れられたようなものです。
即ち、3年間で1000億円ということは、社会保障費以外の歳出、例えば防衛費や教育費は年間333億円までしか増額できないという枠が嵌められているわけです。
実は財務省が緊縮財政を正当化する法的根拠はここ(骨太の方針2015)にあったのです。
しかも驚いたことに、『骨太の方針2015』の本文中にはこの記述はありません。
注釈として「安倍政権のこれまでの3年間の取り組みでは一般会計の総額の実質的な増加が1.6兆円程度となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続させていくこととする」の一言を添え、本文中に「社会保障関係費の増額を3年間で1.5兆円までに抑える」と記載されていることから、差し引きして「社会保障費以外の歳出の増額は3年間で0.1兆円(1000億円)とする」ことが盛り込まれているのです。
仄聞するところによると、当時の安倍総理でさえ、この注釈のことを知らなかったとされています。
2022年「骨太の方針」を巡る財政政策検討本部の議論で、このキャップのことが分かりました。
安倍元総理は次のようなことを話していました。
社会保障費の5,000億以外について議論した記憶が全然ない。もちろん、私は当時、総理大臣であった私の責任ではある。だか全く気付かなかった。当時の官邸官僚や、いろんな人に聞いているんですが、「そんなこと議論していないよね」ということでした。脚注に書いてあることを盾にとって、あまりにも不誠実ではないか。
おそらく、文書とりまとの職員が、財務省から要求されて文章を入れたのでしょう。
財務省は脚注のところの説明をしませんでしたし、審議する人たちも脚注でから重要でないと判断し読まなかったのでしょう。
当時の安倍総理がが知らなかったというより、おそらくは財務省が総理に知られないようにこっそりと注釈で盛り込んだ、と言ったほうが正確だと考えられます。
総理を辞任された後にこのことを知った安倍氏は、我が国の財政運営を積極財政に転じさせるために財務省と闘っていく決意を顕にしていたそうです。
そうして、取締役会で、長期経営計画が承認されたから、その計画に従って、財務部が財務を実行しているというようなものです。
これは、一般企業ならあり得ないことで、長期経営計画の脚注に重要事項が勝手にもりこまれていることが発覚すれば、脚注は取締役会で議論して削除、作成部署の長はすぐに降格にされたりなどの懲罰を受けるのが当然です。
この当然のことを、積極財政派議連が実行しようとしているのです。この当たり前のことすらできないのが、日本の政府の現実なのです。積極財政派議連には、これを実現するため、頑張っていただきたいもてのです。
自民党積極財政派議連 |
昨年は、政権の浮揚を目論んだとみられる岸田首相は所得税と住民税の定額減税を打ち出し、自民党税調はその存在意義が問われるような状況となりました。無論、財政再建派議連もそのような傾向がありました。これに、財務省はかなり危機感を抱いたことでしょう。
しかし、この傾向は、財務省の必死の反抗や安倍派の解散で、情勢が変わりました。国会で、経済対策で「税収増還元」を訴えた岸田総理に対し、鈴木財務大臣は「国債償還」を理由にあっさり却下しました。トリガー条項発動にも難色を示し、国民の苦境を無視する姿勢を露呈しました。これは、あるまじきことです。財務省を中心とする官僚機構は、日本の権力中枢に君臨し、増税を是とするマスコミや学者は官僚と結託し、国民不在の政治が行われています。
近代化や高度経済成長を支えた官僚制は、バブル崩壊後(本当は日銀の誤謬による金融引き締めが原因)の経済停滞に無策でした。政治主導への転換がなされず、過去30年給料は上がらず、国民の可処分所得は減少しつづけました。財務省は予算の見直しをせず、国民から税を搾り取るだけです。
財務省こそ本当の国民の敵です。岸田総理は「減税」を主張するも、鈴木大臣は「財源がない」と抵抗。本来、総理の指示に従うべき大臣が財務省に逆らえない構造になっています。民間企業でいえば、取締役会などが形骸化して、財務部長などが実質的に会社を統治しているようなものであり、これはあり得ないことです。
財務省 |
このような状況は望ましくありません。国民から選挙で信任を受けていない官僚が政府の重要な方針を決める現状がそのままにされ、さらにそれが推進され、財政・金融政策から、安全保障から何から何まで、官僚が主導権を持って国政をすすめることになれば、それはもはや民主的体制とはいえず、実質的に全体主義の共産主義に近い政治になってしまいます。
このようなことを避けるためにも、岸田首相は、自らの派閥を解消したのですから、積極財政派議連や、消費税推進派の議員たち、憲法改正派の議員たちや、いわゆる保守派の議員の力を結集して、憲政史上長期政権となった安倍首相の政策を継続できる体制を整えるべきです。
そのような体制を整えられるかが、今後岸田政権が安定するかどうかを決めることになるでしょう。岸田首相は現在でも、外交などにその活路を見出しているようですが、それはもはや効力がなくなったのは明らかです。
やはり、積極財政派や、積極財政派にも多く存在する保守派と手を結び、財務省と戦える体制を築くことが焦点となるでしょう。
岸田政権を叩くことだけに夢中な人は、このことを見逃していると思います。岸田政権が崩壊した後はどうなるでしょうか。残念ながら、現状では、誰が首相になっても、岸田政権より良くなることなく、ますます悪くなるだけでしょう。それだけならまだなんとかなるかもしれませが、財務省をはじめとする官僚機構が岸田政権の崩壊を機に政治権力をさらに強めれば、とんでもないことになります。
私は、個人的には岸田首相は大嫌いです。しかし、いずれ交代するにしても、もっと政治が安定してからにすべきです。特に、官僚機構やマスコミなどに時の政権を崩壊させたという、成功体験を提供すべきではないです。
混乱の巷の最中の交代は、官僚機構やマスコミをさらに強化するだけに終わる可能性が高いです。増長した彼らは、次にどのような政権がでてきても、減税しようとする政権はすべからず潰すことになるでしょう。
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