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2月29日と3月1日に開催された衆院政治倫理審査会において、審査の結果や進行に関する検証が行われたが、期待されたほどの成果は得られなかった。政治に関わる問題では通常、検察の追及が強力な手段とされるが、これまでのところ国会議員3人のみが立件されており、野党による追及が検察を超えることは難しい。また、筆者が提案した「税務上の質問」にもあまり焦点が当てられなかった。
特に注目を集めたのは、キックバック(還流)再開の経緯についての不透明さである。安倍晋三元首相がその停止を指示したはずなのに、その後死後に再び話が持ち上がった経緯が複数のジャーナリストから伝えられている。安倍氏主導の幹部会合で再開中止が決まり、それが所属議員にも連絡されたとの報告があるが、その後の再開に関する経緯がはっきりしないままである。
7月8日に安倍氏が暗殺された後、再びキックバックの再開が議論されたが、具体的な結論は得られなかったとされる。武田良太元総務相が「パーティー券のノルマなどは事務局長が行っていた」と発言し、金子恵美元衆院議員は事務局長にはそのような権限はないはずと、驚きを表明するなど、事務総長と事務局長の権限についての混乱も浮き彫りになった。
これらの質疑は一般の視聴者にとっても不透明で奇妙に映るものの、国会審議では解明が難しい状況となっている。さらに政倫審自体が、来年度予算案の衆院通過との交換条件として進行しており、実態解明に向かいにくい要因となっている。加えて、本来議員の弁明のために設けられた政倫審が、マスコミによって実態解明の場として報じられ、かつての「モリカケ」のような状況に陥っている。
最終的に政倫審が衆院予算の通過と引き換えに行われ、政治的な動きが進展する中で、岸田文雄首相の国賓訪米や衆院補選が予定されており、ポスト岸田選びや衆院解散時期の検討が進展することが予想される。
まとめ
- 2月29日と3月1日に開催された衆院政治倫理審査会は想定どおりに期待外れのものとなっている。政治に関連する事件では検察の追及が強力であるが、国会での野党議員の追及が検察の成果を上回ることは難しい。
- キックバック再開の経緯については不透明で、安倍晋三元首相の指示にもかかわらず、その後復活した経緯が明らかにならなかった。
- 二階派事務総長と武田良太元総務相の発言に矛盾が見られ、ノルマの決定に関して事務総長と事務局長の権限についての混乱が指摘されている。
- 政倫審は、予算の成立という時間制約の下で行われたことや、審議自体が元々議員の弁明のために存在している。実態解明には至らず、「政治とカネ」の問題の抜本的解決にはなっていない。
- 費用面上は、衆院補選や岸田文雄首相の国賓訪米も予定されているが、衆院解散やポスト岸田の選出に関する動きが水面下で進行している
マスコミは政倫審を実態解明の場であるかのように報じたが・・・・ |
特に注目を集めたのは、キックバック(還流)再開の経緯についての不透明さである。安倍晋三元首相がその停止を指示したはずなのに、その後死後に再び話が持ち上がった経緯が複数のジャーナリストから伝えられている。安倍氏主導の幹部会合で再開中止が決まり、それが所属議員にも連絡されたとの報告があるが、その後の再開に関する経緯がはっきりしないままである。
7月8日に安倍氏が暗殺された後、再びキックバックの再開が議論されたが、具体的な結論は得られなかったとされる。武田良太元総務相が「パーティー券のノルマなどは事務局長が行っていた」と発言し、金子恵美元衆院議員は事務局長にはそのような権限はないはずと、驚きを表明するなど、事務総長と事務局長の権限についての混乱も浮き彫りになった。
これらの質疑は一般の視聴者にとっても不透明で奇妙に映るものの、国会審議では解明が難しい状況となっている。さらに政倫審自体が、来年度予算案の衆院通過との交換条件として進行しており、実態解明に向かいにくい要因となっている。加えて、本来議員の弁明のために設けられた政倫審が、マスコミによって実態解明の場として報じられ、かつての「モリカケ」のような状況に陥っている。
最終的に政倫審が衆院予算の通過と引き換えに行われ、政治的な動きが進展する中で、岸田文雄首相の国賓訪米や衆院補選が予定されており、ポスト岸田選びや衆院解散時期の検討が進展することが予想される。
【私の論評】岸田首相の責任論と衆院補選の行方:安倍政権の政策継承で政権安定への展望が開ける
まとめ
- 4月28日に行われる衆院補選(東京15区、島根1区、長崎3区)で与党の負けが続けば岸田首相の責任論や退陣論が浮上する可能性がある。
- 衆院東京15区補欠選挙では野党候補が乱立し、与党には都民ファーストの候補に相乗りする動きがあるものの、共倒れの可能性も指摘されている。
- 岸田首相の在職日数が7日で886日となり、田中角栄元総理に並び、来月22日には在職932日で橋本龍太郎元総理に肩を並べることになる。
- 第二次安倍政権の安倍首相は有力な総裁選候補とはいわず、消去法で選ばれたが、長期政権を築いた。岸田政権の安定には、安倍イズムの継承が必要。
- 地震対策や経済政策を含む安倍政権の政策を継承・発展させる姿勢が、岸田首相の政権の安定と成功につながる可能性がある。
もっとも、東京15区では野党候補が乱立し、共倒れの可能性が指摘されています。一方の与党には都民ファーストの候補に相乗りする動きも見られるますが、いつ状況が変わるかも知れず、与党にとって楽観視できるものではないでしょう。
衆院東京15区補欠選挙(4月16日告示、28日投開票)で政治団体「日本保守党」から出馬するイスラム思想研究者の飯山陽氏が5日、産経新聞の取材に応じ、「今の政治家は日本を貧しく、弱くするような政治をしている。座視するのは忍びない」と述べ、「日本を豊かに強くする政策理念を掲げる日本保守党に共感した」と出馬の動機を語っています。
飯山陽氏(左)と百田尚樹氏(右) |
ところで、岸田総理の在職日数が7日で886日となり、田中角栄元総理に並びました。戦後の総理大臣としては歴代9位タイとなりました。
岸田総理は6日夜、政権課題として震災対応や政治の信頼回復、賃上げなどを挙げたうえで「これからもその都度その都度、こうした課題に思いをめぐらし決断をしていく、こうした積み重ねが続いていくと思う」と語りました。
岸田総理の在職日数は、7日で戦後の総理大臣としては田中角栄元総理と並んで歴代9位タイとなりました。
来月22日には、在職932日の橋本龍太郎元総理に肩を並べます。
消去法で選ばれたリーダーは、意外にしぶといです。 本来は 「つなぎ」 のはずなのに、 「次」が簡単に現れないのが世の常だからです。 そこに幸運が加われば、 立場は堅固になります。 自民党の派閥解消という捨て身の賭けに出て当面の延命に成功した総理大臣 岸田文雄氏も、 この類のようです。
以下に、消去法で選ばれた首相が長続きした例をあげます。
まずは佐藤栄作首相です。佐藤内閣は、昭和39年(1964年)に池田勇人首相の病気辞任を受けて発足しました。佐藤栄作氏が自由民主党の総裁に就任し、第5代総裁として首相に選出されたのが幕開けです。
中曽根康弘内閣は昭和57年(1982年)11月に、魅力的な総裁選挙を経て成立しました。鈴木善幸内閣の退陣後、自由民主党内での総裁選挙の結果、中曽根氏が第十一代総裁に選出されました。
中曽根康弘 |
ただ、このお二人の事例は、現在ではあまり参考にならないと思います。
やはり、参考にすべきは安倍首相でしょう。何と言っても、憲政史上最長の政権を築いたわけですから、これを参考にしないという手はありません。それに、安倍首相も、岸田氏以上に「消去法」で自民党総裁に選ばれたといえると思います。
第一次安倍政権は、安倍首相が病気で自ら辞任し、崩壊しました。そうした過去を持つ安倍氏による第二次安倍政権の誕生は、今から考えると奇跡と言っても良いようなものでした。大方の人は、第一次安倍政権の崩壊で、安倍氏の首相への返り咲きなどあり得ないと思っていたでしょう。
私自身も、実は第一次安倍政権のときには、あまり安倍首相を支持はしていませんでした。支持するようになったのは、第二次安倍政権がまともな経済対策を打ち出したからです。そうして、支持率を落としてまでも、安保法制の改正など実施を実行したことで、その支持はゆるぎないものになりました。
さらに、コロナ禍においては100兆円の需給ギャップが生じたといわれており、安倍政権では増税なしで、国債発行により賄うことを政治決断し、60兆円の補正予算を組みました。60兆円では少ないとも思ったのですが、増税なしということで、これもさらに安倍首相に対する支持を強めるものとなりました。
その後、安倍首相は辞任し、菅政権が成立しましたが、菅政権においては、40兆円の補正予算をこれも増税なしで、国債発行で賄う方式で組みました。これは、当然のことながら、安倍首相の政策を引き継いだものと思われます。これらの措置により、他国では、コロナ禍において失業率がかなり上昇しましたが、日本では失業率はあがることなく2%台で推移しました。
これで、さらに政治家としての安倍氏への支持は強まりました。
菅氏(左)と安倍氏(右) |
これが多くの自民党保守岩盤層の本音でしょう。ただ、この支持が離れつつあるとみえます。であれば、岸田首相としては、安倍政権の政策を引き継ぐ政策を実施すべきでしょう。さらに、菅政権で補正予算40兆円を組んだように、安倍政権の政策を引き継ぐだけではなく、それを発展させるような政策を実行すべきでしょう。
その後、残念ながら、菅政権は崩壊し、安倍元首相は暗殺されてしまいました。しかし、岸田首相は、安倍イズムは継承できるはずです。
このブログでも以前掲載したように、能登半島地震の対策は、補正予算を組まず、予備費でまかなわれています。過去においては、政府はマグニチュード7以上の地震が発生した場合は、例外なく補正予算を組んでいます。
その理由は、マグニチュード7以上の地震が発生した場合、これに対応するためには予備費でもなんとかなるかもしれませんが、他の大きな自然災害が発生した場合には、予備費だけでは足りなくなる可能性があるからです。
しかも、高橋洋一氏などは、昨年時点で15〜16兆円の受給ギャップが存在していると主張しています。
だとすれば、20兆円程度の補正予算を組むべきです。これで、地震対策だけではなく、需給ギャップも埋められるはずです。そうして、これは無論、増税ではなく安倍首相のコロナ禍対策のように、国債を発行して賄うべきです。
これを皮切りに、安倍政権の政策を継承発展させていくようにするようにすれば、岸田政権の運営は安定する可能性があると思います。
私としては、岸田政権にはLGBT促進法案などを拙速に成立させたということで、到底許しがたいところもあるのですが、それにしても、現状では岸田政権が年度中にも崩壊すれば、現状では野党は脆弱で、自民党政権そのものは崩壊する可能性はない上に、次の総理は岸田首相よりもさらに駄目な首相になる確率が高く、何よりも、官僚機構やマスコミに岸田政権を潰したという実績を与えてしまい、ますます政治が混乱するように思われます。
少なくとも、もう一期くらいは、岸田政権が継続し、政治が比較的安定した状態で、次の展開が考えられるような状態になって欲しいと思います。
そのために、岸田首相には安倍政権の政策を継承する姿勢を強力に打ち出し、実行していただきたいものです。これを強力に打ち出せば積極財政派や保守派の議員たちが味方についてくれる可能性もあります。
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