この記事が気に入られたら、是非左プラスボタンをポチッとお願いします。また、この記事の内容をツイートしたい場合は、このブログの一番上にあるバーの共有をご利用ください!!条件付きで400万円の価値のお店をたった7800円で売った男 / その条件とは?:(ロケットニュースより)
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ナショナル・カフェ & テイクアウェイの入っている建物 |
アメリカのとある飲食店経営者が、
3年前に開業したお店をたった100ドル(約7800円)で売却し、話題となっている。本来であれば、彼のお店は5万ドル(約400万円)の評価額がついていた。しかし彼は売却に当たってある条件を購入者につけて、破格の売却に応じたのである。その条件とは一体どのようなものなのだろうか?
お店は売却したのは、マイケル・ジュードリックさん(40歳)である。彼は2008年にミルウォーキーに、オーガニックレストラン「ナショナル・カフェ & テイクアウェイ」をオープンさせた。元々ウェブデザイン事務所を同じ建物の3階に持っていた彼は、将来的にお店を手放すつもりであった。
では、なぜ手放すつもりで開業したのか? それには訳があった。彼はいつか人の夢に貢献したいという強い思いがあり、その手助けのためにお店を開いたのである。現在アメリカでは、失業の問題が深刻化している。ミルウォーキーもその例外ではなかった。彼の周りでも、職を探す料理人が多くいたために、それらの人を助けるつもりで店舗を設けたのである。
そしてついに、彼の考えに共感してくれる女性の料理人があらわれた。失業中のネル・ベントンさん(35歳)はたしかな料理の腕を持っているだけではなかった。マイケルさんと食や健康に対する考え方が完全に一致したために、お店を譲ることにしたのである。
その売却価格はなんと100ドル。失業中のネルさんが負担なく自らの腕を生かせるようにと、破格でお店を譲ったのである。その代わりに次の3つの条件がついた。まず1つに
「現在働いている従業員を解雇しないこと」、そして次に
「少なくともこの先2年間、メニューを変更しないこと」、そして最後に
「マイケルさんと妻に、この先1年間、1日1食無料で提供すること」、以上である。いずれも難しいものではなかった。
お店を譲り受けたネルさんは、今度は彼女がマイケルさんにしてもらったように、失業者や難民の支援を行うようになったのである。非営利団体のためにお店を開放したり、アメリカにいる難民を支援する活動も行っているとのことだ。
本当は100ドルよりも、高い金額で購入を申し込んだ人もいたそうだ。しかしマイケルさんは、彼の条件を引き受けてくれる人としてネルさんを選んだそうだ。彼は今回の店舗売却について、こう説明している。
「私は、我々がしばしば忘れていることをしただけ。人の夢の実現を、手伝えるということを」。
参照元:
ODDITY CENTRAL(英語)
【私の論評】三島由紀夫氏も語っていた「人間は自分のためだけに生きて死ねるほど強くはない」という真実に今一度目覚めよ!!これは、一種の賭けであることには間違いないことと思います。賭けというと、ギャンブルなどのネガティブな印象ばかりついてまわりますが、しかし、新規事業など展開するにしても、そこには、リスクはつきものであり、いくら調査をしようが、立派な事業計画をたてようが、資金手当てをしようが、優秀な人員をつぎ込もうが、最後の最後は、賭けであることには間違いありません。
しかしながら、全くネガティブな賭けもあることも事実で、最近で印象に残るのは、例の大王製紙のあの事件です。
大王製紙の井川意高(もとたか)容疑者(47)の父で、同社社長などを務めた高雄氏(74)が、100億円超の連結子会社からの借入金の使途について「借入金をカジノで使っていたことは、報道で初めて知った」と、朝日新聞の取材に語っていました。子会社には高雄氏にだけは言わないように釘を指すなど、最後まで高雄氏を恐れていたことがわかります。
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井川意高(もとたか) |
会社法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された井川容疑者。その父で息子に帝王学を授けた高雄氏が、騒動が表ざたになって以来初めてのインタビュー。3月にすでに、息子を激しく叱責したことは明らかになっているものの、意高容疑者は使途について高雄氏に説明しなかったのだといいます。
結局、意高容疑者が子会社には、口止めをしたために高雄氏には伝わらなかったそうです。知ったのは報道だったそうです。かつては、東京・広尾の豪邸に父母と暮らしていた意高容疑者。だが、離婚後は家を出て別居していた。高雄氏が息子の私生活を知る由もなかったようです。
それにしても、100億円以上もの大金をギャンブルに費やすとは、一体どうなっているのかと思ってしまいます。このお金で、上記のような夢の実現のお手伝いをすれば、小さなお店どころか、いくつもの会社を設立できたかもしれません。同じ賭けでも大違いです。世の中には、許される賭けとそうではない賭けがあるということです。
そうして、この事件や、上の記事からいろいろ考えさせられるところがあったので、本日は、そのことについて掲載します。
話は、変わりますが、皆さんは、ビジョナリーカンパニーという書籍をご存知でしょうか?数年前に、かなり流行った書籍です。無論現在でも、読まれ続けている書籍です。
一度も読まれたことのない方は、是非以下のURLを御覧になってください。これは、ビジョナリーカンパニー2の要旨をまとめたものです。
https://docs.google.com/document/d/10H-XwvmJxPMzr-VMTitwugoPIh9Slc_kY2FPalomHtM/edit?hl=ja 偉大な企業への飛躍を導いた指導者は、まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、つぎにどこに向かうべきかを決めている。
ビジョナリーカンパニーでは、このことを重視しています。このことは、書籍の中でも豊富な事例で解説してありました。だから、私も、いわゆる頭というやつでは、理解していました。
しながら、どうもしっくりとは、きていませんでした。何しろビジョナリーカンパニーの事例は、すべて外国の事例で、しかもほとんど大企業のものばかりで、しかも新規事業の事例は少ないからです。
ここまで書いてしまえば私の言いたいことは、お分かりいただけるものと思います。上の記事で以下のようなくだりがありました。
彼の考えに共感してくれる女性の料理人があらわれた。失業中のネル・ベントンさん(35歳)はたしかな料理の腕を持っているだけではなかった。マイケルさんと食や健康に対する考え方が完全に一致した。
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ネル・ベントンさん |
これは、まさしく、ビジョナリーカンパニーでいうところの、適切な人をバスに乗せるという行為に他なりません。このレストランの
オーナー、ミッシェル・デイドリック氏は、時間をかけてバスに乗れる人を探していたのだとおもいます。無論レストランにもスタッフは、いましたが、経営者としてバスに乗せられる人は、いなかったのだと思います。
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マイケル・ジュードリック氏 |
一方、大王製紙の井川意高(もとたか)容疑者は、本来バスに乗せられないにもかかわらず経営者の親族と言うだけでバスに乗せてしまったということだと思います。大王製紙といえば、大会社ですが、バスに乗せる乗せないは、上の記事の小さなレストランと何も変わらないと思います。
さて、この二つの事例などみているうちに、私は、ビジョナリーという言葉に違和感を覚えています。なぜなら、日本人である私たちは、ビジョンとか、ビジョナリーなどの言葉をわざわざ使わなくても、昔からこれに相当するというより、もっと上位概念の言葉を遣っているし、昔からあったからです。それは、「大儀」という言葉です。
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三島由紀夫氏 |
そうして、この「大儀」という言葉は、41年前の、11月25日に自決された故三島由紀夫先生のことを思い起こさせます。無論、先生は、ご存知のように大儀に殉じたわけですが、先生は、生前からこの「大儀」という言葉をしばしば口にしておられました。
しかし、三島先生が語っていた「大儀」は、無論ビジョナリーなども含むし、日本国とか、地域のためとか、会社のため、自分の属する組織のためということもありますが、私が最も印象に残っているの以下のような言葉です。
「人間は、自分のことだけ考えて、生きて死んでいけるほど強くない。自分のこと以外を考えなければ、生きていけない。この自分のこと以外というものが、大儀であります」
三島先生の語り口は、いつもこのような感じでした。一つも押し付けがましいことはいわず、真理をついている言葉だったと思います。
この言葉の持つ意味、今はほとんど忘れさられているようにも思われましたが、私は、あの東日本大震災で、そうではなかったことを思い知らされまた。そうです。あの震災直後の被災地の人々の沈着冷静さです。それに、自分の命もかえりみず、地域の人々を助けようと奔走した人々です。食料や水の配給のときも、列を乱さずに、騒ぐこともなく、じっと耐えながら待っていた多くの人々です。
そうして、あの状況の中本当に粉骨砕身して、生存者を救うばかりか、ご遺体の収集に奔走した自衛隊員たちです。これは、まさに、自分自身以外のことで生き死にすることだけを考えている人の所業ではありません。普段は、そうでもないように見えていても、いざというときに、出てきた、多くの人々の本当の姿だと思います。
ちなみに、この言葉を語っている先生の生前のインタビューの動画がありますので、それをしたに掲載しました。
私たち、日本人には、この「大儀」という言葉のほうが、ビジョン、ビジョナリー、バスに乗せる乗せないという言葉よりもしっくりきます。私がしっくりしなかったのは、結局のところ、「大儀」という言葉を遣わずに、回りくどい表現だったからかもしれません。この本の翻訳者は、「大儀」という言葉を遣っていませんでしたが、これを遣えば、よほど理解しやすかったと思います。
再び、三島先生のお言葉を借りますが、本当に人間は、「自分のためだけに生きて死ねるだけ」強くはないのです。そのことを従来の日本人は、良く理解していたのですが、最近では、東日本大震災のような未曾有の危機の場合以外は、それがなかなか表に出てこなくなりました。
少し前の経営者であれば、ほとんどの人は「大儀」という言葉の意味を理解していたと思います。だから、わざわざ、「ビジョナリーカンパニー」などという書籍を読んだりしなくても、この本に書かれていることなど、直感的に理解できたどころか、その上を行っていたのだと思います。
日本の古の精神構造に戻れば、こんなことは当たり前で、だからこそ、日本は世界に類をみない無血革命でもあり、それまでの東洋史、西洋史という歴史区分を撤廃し、世界史という歴史観をもたらした偉大な明治維新のような大変革を一夜にして成し遂げたのです。また、その直後の大国ロシアとの戦争に勝つことができたり、さらには、大東亜戦争の廃墟の中から、立ち上がり、短期間に世界第二の経済大国をつくることができたのだと思います。
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維新の立役者 坂本竜馬 |
にもかかわらず、日本人は、戦後の民主教育などの名のもとに、まるで、「自分のためにだけ生きて死ぬ」ことが自由であり、良いことで、価値あるかのような観念を植え付けられ続けてきたと思います。これでは、弱い人間ができあがるのも無理はないです。井川意高もそのような人間の一人なのだと思います。
そうして、これは、何も、人だけのことではないと思います。弱い人間から構成される、家庭は弱い家庭となり、弱い人間の多い会社は弱い会社になります。弱い人間の多い、社会は、弱い社会になります。弱い社会を数多く内包する国は弱い国になります。
それにしても、日本古来の思想からいえば、本当に当たり前の真ん中の「大儀」について、ビジョナリーカンパニーなる書籍でそれに近い考えを学ばなければならない、今のニッポン人、どこかおかしいです。
無論、私は、ビジョナリーカンパニーが駄目な書籍などというつもりは毛頭ありません。おそらく、アメリカでは、さまざまな価値観のある社会ですから、このような書籍も必要で有用なのだと思います。そうして、今のニッポン人にも必要なのかもしれません。しかし、一昔前の日本人なら、「大儀」ということばを語れば、すぐにその意味するところは、多くの人が理解したに違いありません。
さて、ここでもう一つ皆さんに、思い出していただきたいことがあります。これは、このブログでも過去に掲載したことですが、今年なくなったあのスティーブ・ジョブズ氏ですが、この人は、日本通であり、日本にも頻繁に来ていて、多くの日本人経営者などとも親交があり、一時は、富山県で出家しようと考えたこともある方です。
ジョブズ氏は、56歳でなくなっています。だから、ジョブズ氏が頻繁に訪れていた日本は、戦前や、戦中の日本ではなく、すでに、「大儀」を忘れた多くのニッポン人が跋扈していた時代にあたります。しかし、彼は、そのような「大儀」を忘れたニッポン人には目もくれませんでした。「大儀」を中心に据える日本人とのつきあいを大切にしました。
そうして、ジョブズ氏の大儀は、「社会に"one more thing"を付け加えること」でした。そうして、彼自身は、伝説のスピーチともいわれているスタンフォード大学でのスピーチで「死を意識する生き方」を提唱しています。これは、「武士道とは死ぬことと見つけたり」とあの葉隠れでもいわれている、日本の武士道精神そのものだと思います。
ジョブズ氏には、「大儀」の意味が良くわかっていたと思います。そうして、「大儀」のために、一生を貫いたのだと思います。だからこそ、あのような偉業を成し遂げることができたのだと思います。そうして、最期の最期まで、精力的に活動できたのだと思います。あのアングロサクソンの価値観が息づいているアメリカでさえも、ビジョナリーカンパニーにも紹介されていた、根底では、日本流もしくは、それに近い考え方をする経営者や、企業が結局良い業績を収めているということです。
この「大儀」を忘れてしまったのが、今のニッポン人だと思います。今のわたしたちは、「人間は自分のためだけに生きて死ねるほど強くはない」という真実に今一度目覚めなければなりません。
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