2012年5月23日水曜日

MIT から低線量被曝影響の研究論文〜自然放射線の400倍でもDNAへの過剰影響なし―【私の論評】なぜこのような重要な情報が顧みられないのか?

MIT から低線量被曝影響の研究論文〜自然放射線の400倍でもDNAへの過剰影響なし:

アメリカでも、トップクラスのマサチューセッツ工科大学(MIT)
MITからマウスで低線量被曝のマウスを用いた研究論文が出され、それと同時に広報からプレスリリースが発表されました。

自然放射線の400倍というレベルでマウスを5週間飼ってもDNAへの過剰な影響は認められなかったというもの。(追記:外部被曝の実験です)

同様の研究はこれまでにもありますが、今回の研究は DNAへの影響の最新の評価法を多数用いているという科学的なものに加え、

・米国の環境放射能の8倍という退避基準は疑問
・福島での避難は犠牲に見合ったものか疑念を表明
と、明確にしていることで反響を呼んでいます。



特に、福島での非難に関しては、以下のように掲載されています。

「興味深いことだが、およそ10万人が避難したにもかかわらず、日本政府はさらなる避難を強制していないことで、批判された。我々の研究からは、避難せずに福島に残った人に過剰なDNA損傷は起こらない、と予言できる。これが、私たちが最近実験室で開発した技術を使って検証できる成果です」

染色体異常の例(↑)
なお、『DNAへの悪影響なし・ダメージ無し』と書いておられる方もいますが、自然放射線レベルでもDNAへの修飾や切断は起こっていますので、『過剰な影響無し・リスクの増加なし』と読みかえてください。

また、発がん率や寿命についての影響を直接評価した試験ではないことにもご注意ください。

【MIT news】
A new look at prolonged radiation exposure
MIT study suggests that at low dose-rate, radiation poses little risk to DNA.
http://web.mit.edu/newsoffice/2012/prolonged-radiation-exposure-0515.html

【原著】
Integrated Molecular Analysis Indicates Undetectable DNA Damage in Mice after Continuous Irradiation at ~400-fold Natural Background Radiation
http://ehp03.niehs.nih.gov/article/fetchArticle.action?articleURI=info:doi/10.1289/ehp.1104294

【日本語ブログでの紹介】
MIT(マサチューセッツ工科大学)の新研究は 低線量率放射線被ばくはDNAに対してほとんど害がないことを示している

http://shinobuyamaneko.blog81.fc2.com/blog-entry-87.html

【私の論評】なぜこのような重要な情報が顧みられないのか?
本日は、放射能に関しての正しい知識を多くの人々と共有したかったので、上記の記事を掲載することにしました。本日は、珍しい優秀なMITのビキニ姿の女の子たちの画像とともに提供させていただきます。



MITのの上の、「大量一発被ばく」と「少しずつ長期間被ばく」は、トータルの被ばく量が同じでも影響は「別物」なのだということが、改めて明らかにされたと思います「積算被ばく線量」だけでなく、むしろ「線量率」=単位時間当たりの放射線量に注目すべてぎであることがはっきりしました。


MITといえば、アメリカの私学の中でも、トップクラスの大学です。しかも、私学です。私学であるということは、政府の補助金とともに、寄付金で成り立っている大学です。この大学の研究成果には、定評があります。まずは、内容は、ほぼ信用しても間違いはないでしよう。



それに、似たような調査結果は、すでに、1990年代にアメリカでだされており、2000年代に入ってからは、専門家の意見もかなり変わってきていました。それどころか、低線量の放射線は、体に良いという「ホルミンス効果」なども指摘されていました。しかし、これは、昔から良く知られていて、昔は、ネックレスや、指輪などで、放射性物質が含まれているものが、健康器具として販売されていました。あるいは、天然温泉などでも、放射性物質が湯成分としてあるところがあり、そのお湯に入ると健康に良いといわれているところもありました。



皆さんも、ラドン温泉や、ラジュム温泉などという温泉名を聞いたことがあると思います。ラドンやラジュウムは、無論放射性物質です。これらの温泉が体に良いことは、昔から知られていました。

ホルミンス効果などに関しては、以下の動画をご覧いただくと良くわかります。



だから、私自身は、このMITの結果報告に関しては、別に驚きもしません。そのせいもあるのでしょうか、住んでいるところが、函館ということもありますが、あまり放射能を気にしたこともありません。


また、実際チェルノブイリでは、かなり放射線が高いはずなのに、そこから退去せずに生活している人も存在しています。これらの人で、特に影響もみられない人が多数いることが指摘されています。



それにしても、このようなことが理解されれば、遅々として進まない、瓦礫の処理がもっと進むと思います。それにしても、こうした情報が日本で顧みられないのは、なぜでしょうか?石油メジャーとか、電力、天然ガスを日本にも売りたいと考えているロシアの影響もあるのでしょうか?とにかく、みえないももの恐怖にさいなまされて、真実を見失うことだけは、避けたいものです。



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2012年5月22日火曜日

【はじめて物語】トリンプ、ブラジャーに世相盛り込む!―【私の論評】失われた20年で、世相を盛り込みにくくなってきた?

【はじめて物語】トリンプ、ブラジャーに世相盛り込む!:


先頃、下着メーカーのトリンプが「スーパーCoolブラ」を発表した。同社は1987(昭和62)年以来、話題づくりにと変わったブラジャーを発表、最近では世相を反映した作品がマスコミをにぎわせる。



今回は夏の節電がテーマ、「電力に頼らず涼しさ実現」として日本の伝統的な夏の風物詩を表現した。凍らないジェル素材でできたブラジャーのカップは見た目も涼しい金魚鉢をデザイン、冷凍庫で一定時間冷やすとつけたときにひんやりとした触感も得られるという。

さらに、ブラのサイドにはミニサイズの柄杓と扇子も装着させるというしゃれっ気も覗かせ、ボトム部分はすだれや蚊帳をイメージさせたスカートに仕上げるという念の入れよう。

昨年の「なでしこ応援ブラ」
同社はこれまでも、2000円札の発行時には札の絵柄をプリントした和紙素材の「消費刺激ブラ」を発表したり、2008(平成20)年の裁判員制度導入時にはバランス感覚という意味でカップが天秤(てんびん)になる「裁判員制度ブラ」、昨年の女子サッカーブームを反映した「なでしこ応援ブラ」などを発表している。


トリンプのブラも当初はパブリシティーを意識したおもしろさを狙ったというが、最近では世相を題材としたものが主流、マスコミからも心待ちにされているとか。これらのように、世相を商品に取り込み話題づくり、という発想は他の企業でも応用できるのでは。(広告・イベント研究家 熊野卓司)


【私の論評】失われた20年で、世相を盛り込みにくくなってきた?

このトリンプの企画ブラは、このブログにも過去に何回か掲載してきたことがあります。そうして、毎年それなりに、世相を反映していたと思います。何かその時代の企画ブラをみると、確かに、その時代を思い出すことができます。

トリンプマイ箸ブラ
たとえば、昨年のものは、「やまとなでしこ」応援ブラということで、二人の女性が着用している、ボトムを二つあわせると、日の丸になるというデザインは、「絆」の大切さを表していたと思います。それは、もちろんのこと、昨年の大震災でわたしたちが、思い知らされた「絆」の大切さを思い起こさせるデザインであり、ただそれだけではなく、「やまとなでしこ」応援ということで、暗い世相の中でも、明るい話題を提供していたという点で秀逸なものであったと思います。

裁判員制度ブラ
しかし、今年の企画ブラ、これはという訴求点がありません。特に、昨年の震災という最中にあってさえも、「なでしこ」という明るさがあったのに、明るさが微塵もありません。そのためでしょうか、上のZAKZAKのもとの記事でも、今年のものは、記事の中で紹介するにとどめ、写真は昨年のものを掲載しています。

優勢民営化ブラ
これは、どうしてなのかと考えるに、今の日本、政治や経済の課題が一向にかたづかず、閉塞感に溢れているからだと思います。昨年は、大震災がおこってしまったということで、「絆」の大切さを訴えるということで、うまくいったのですが、今年は特になにがあるのかと、見回してみたところ、本当にこれといったものはないです。

太陽光発電ブラ
地震の復興は、まだまだですし、原発を含むエネルギーの問題も何も解決していません。それどころか、ご存知のように日本の原発は、全部が稼働中止の状態になってしまいました。そうなると、今年の何は、電力需要が逼迫するのは、必定です。ですから、今年の企画ブラは、夏の節電がテーマであり、「電力に頼らず涼しさ実現」ブラということになっています。結局節電しかなく先に、希望がみあたらないということです。
婚活ブラ
このブログでは、以前トリンプの企画ブラといえば、「レジ袋ブラ」を掲載したことがあります。この年には、良くも悪くも、「エコ」がかなりの話題になりました。猫も杓子もとにかく、「エコ」ということで、いろいろな試みも行われ、とても、エコとは思えないような、高級ブランドの「エコバッグ」なども売れていました。しかし、この「エコ」もそんなに長続きはしませんでした。数年まえから、いわゆる「エコ疲れ」という現象が目立ってくるようになりました。

レジ袋ブラ
それに、マスコミも従来のように「エコ、エコ」と連呼することはなくなりました。これに関しては、そもそ地球温暖化二酸化炭素説や地球温暖化災厄説がかなり疑わしいいことや、あれほど、脚光をあびていた、二酸化炭素取引市場なるものも、低調であり、さらに追い打ちをかけるように、今の世界は、欧州の経済危機や、アメリカの経済の不振というところで、それどころではないという雰囲気です。

投票率アップブラ
そうして、極めつけは、今の政府の増税論議です。この増税論議を正当化するため、総理自らが、財政破綻論をぶちあげ、なんと、国民の資産である、政府の国民への借金を国民の借金であるかのごとく国会で演説するという有様です。なんと、国民一人当たり、平均700万円も借金をしているなどと、あからさまに、デタラメを言う始末です。あの演説には、さすがの財務省も驚いたのではないかと思います。そうして、多くのマスコミは、これを正すような報道をするのではなく、後押しするような報道ばかりします。

エコ地球儀ブラ
そうして、特に政府のやることは、本当におかしいです。日本が財政破綻するというのなら、それに見合った行動をすべきなのに、そうではありません。たとえば、野田佳彦首相が昨日の衆院社会保障・税一体改革特別委員会で、自民党の石原伸晃幹事長から過去の“発言”を追及され、陳謝する場面がありました。

大江戸ブラ
首相は平成20年12月に自身のホームページに掲載したコラムで、当時の麻生太郎首相が国際通貨基金(IMF)に1000億ドルの支援を決めたことを「米国次期大統領はバラク・オバマさん。日本の首相はバラマキ・オバカさん」と酷評しました。

マイ田んぼブラ
石原氏は首相が先日の主要国(G8)首脳会議(キャンプデービッド・サミット)でIMFへの600億ドル拠出を表明したことを取り上げ「首相こそバラマキ・オバカだ」と批判。首相は表現について「妥当ではなかった」と謝罪しましたが、「当時は個別国の危機がいわれていたが、今回は欧州全体の危機で世界経済に伝(でん)播(ぱ)する可能性もあり、状況は違う」と反論しました。

少子化対策ブラ
麻生さんは、そんなことはいいませんでしたが、政破綻をするといっている野田首相が、IMFになぜ、600億ドルもの拠出をするのか、全く理解できません。財政破綻するなら、逆でしょう。IMFに日本にお金を出すように働きかけるのが、矛盾しない行動だと思います。それに、最近で、1兆円近く、中共政府の許可がないと売ることもできない、中国国債を買うこともきめています。そうして、アメリカ国債も買いますし、経済危機におちいりそうな韓国には、向こうから頭を下げて、頼まれる前に、多額の円借款を確約しました。財政破綻する国の首相なら、中国に大量に日本国債を購入してもらうように頼むとか、アメリカには、日本のアメリカ国際を買い戻してもらうように依頼するとか、韓国には、円借款などしないというが当たり前なはずです。でも、やっていることは、その逆です。こうした、矛盾に、野田さんも、安住さんも気づいていません。

ナイスカップINブラ
これが、本当に財政破綻する国のトップや財務大臣が行う行動でしょうか?無論違います。それに、財政破綻する国の貨幣の価値があがるなんてこと、日本でいえば、円高になるなどということはあり得ません。日銀が、市中銀行から国債を買おうとしたところ、札われが生じてしまいました。要するに、日銀が買おうとしていた合計金額よりも、実際に市中銀行が買い取りを希望した金額のほうが低かったということです。また、国債の長期金利も低めで推移しています。要するに、日本国債は、あいかわらず、日本国内市場で人気が高く、信用もあるということです。これらは、日本が財政破綻するという考えとは、全く矛盾します。現実の日本は、国としての借金は全くないどころか、世界で一番金を外国に貸している国です。その額は、貸し借りの差額を差し引いた対外純金融資産で、260兆円にのぼります。これは、過去20年間世界一という水準でバブルの頃より増えています。だからこそ、政府も安心して、お金をポンポン拠出したり、貸したりできるし、円高になるし、日銀買いオペで札われが生じたり、日銀の長期金利があがらないのです。とてもとても、借金国の政府の行動や、そうした国でおこる現象ではありません。

楽天イーグルスブラ
こんな事実から、国民は、まるで、仮想現実世界にいるような気分になっていると思います。これだけ余裕のある国の国民が、政府、財務省、日銀それにこれらを後押しするマスコミによって、無理やり、日本が借金大国であるかのような誤ったバーチャル・ワールドに押し込められているようなものです。これでは、あのオームが、信者に対して行っていた、マインド・コントロールと何も変わりありません。しかし、マスコミもこぞって、このような報道をするので。最早、日本の大手新聞の特に、マクロ経済に関する報道の95%は間違いといっても過言ではありません。こんな、マインド・コントロールにかかっていない人は少数です。

ようこそ日本ブラ
このような世相ですから、まともな企画ブラのアイディアが出てこないのも無理もありません。今年のブラまさしく、期せずして今の世相をあらわしています。政府、日銀がまともな働きをしないために、雇用はいつまでたっても、回復せず、増税すれば、国民の所得はますます、減り、税収も減ることになります。その前に本来であれば、デフレ回復の手立てであるはずの、積極財政、金融緩和をすべきなのに、さらに、増税でデフレ政策を加速して、日本経済を半殺しにしようとしています。

Theプレミアム阪神タイガースブラ
政府、日銀の役割は、その時々の、財政や金融政策で、実体経済を正常に保つという任務があります。今の政府、日銀は、その義務を放棄して、さらに、増税、金融引き締めによって、日本の経済を半殺しにしようとしています。にもかかわらず、多くの人々は、仕事をしないどころか、成果をあげるのでなくその逆ばかりやり、日本の経済を疲弊させ、さらに、国民が借金をしているから、増税するなどという馬鹿なことを国民に吹き込んでいる政府や日銀を責めることもなく、本当の理由をしらされないままです。こうしたマインドコントロールにかけられている自分を疑いもせず、バーチャルワールドで、閉塞感にさいなまされています。そうして、多くの人は、自分を責めています。はなはだしい場合には、自殺する人もいます。このままだと、さらに自殺者が増えることになります。大企業の経営者もこのままだと、日本で事業を営めなくなるため、海外に拠点を移すことになります。そうなれば、ますます、雇用は減ります。こんな、堂々巡りはもうたくさんです。

頑張れ!ハルウララブラ
さて、このような世相来年こそは、その原因は、はっきりしているわけですから、早々に改めてもらいたいものです。これを積極的に推進するグループが力を得て、政府にデフレ下の増税をストップさせていただきたいものです。失われた10年といわれてから、久しく、もうすぐ、失われた20年になろうとしている日本です。 ちなみに、上記で掲載したブラはすべて、日本がデフレになってからのものです。こんなにデフレが続くのは、日本だけです。 こんな異常な状況には、そろそろ終止符を打たなければなりません。そうして、国民もバーチャル・ワールドから目覚めて、現実世界に復帰すべきです。そうして、この企画ブラを考える人が、明るい企画を考えられるようにまずは、経済だけでも、まともにするとか、少なくともまともにする目処がたつようにしてもらいたいものです。

さて、来年こそは、明るい企画ブラができて欲しいと、祈るのは私だけでしょうか?



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2012年5月21日月曜日

世界のエネルギー革命を成し遂げるのは日本か―ロシアの声 −【私の論評】日本のメディアがほとんど伝えないこの事実!!ロシアがみる極東の軍事バランス!!

世界のエネルギー革命を成し遂げるのは日本か―ロシアの声

原発反対運動で揺れる日本だが実は・・・・・・・・
―世界のエネルギー市場では近いうちに革命が起こり、それは日本によって成し遂げられる可能性がある―

メタンハイドレートは、メタンガスと水が結合したもの。雪あるいは融けかかった氷をおもわせるメタンハイドレートは、世界的に分布している。だがメタンハイドレートの開発は課題が多く、今までは採算が取れないと考えられていた。だが現在、日本の専門家らは採算が取れる技術をみつけたと主張している。

JOGMECの本社で新技術を視察した「ルスエネルジー」社のアナリスト、クルチヒン氏は、次のように語っている。

「メタンハイドレートには将来性があるため、探査の価値があると考えている。日本ではこのプログラムに3億6000万ドルが拠出された。

日本近海にはメタンハイドレートが7兆立方メートル(天然ガスで1148兆立方メートル)

埋蔵されていると試算された。

1立方メートルのメタンハイドレートは天然ガスの164立方メートル分に相当する。」

※天然ガス1立方メートルあたりの国際取引価格は29円

(ロシアの)専門家らは、北極圏には化石燃料の埋蔵量と同等のメタンハイドレートが埋蔵されていると試算している。メタンハイドレートは将来、天然ガスに代わる可能性があると考えられている。

そのような時代が訪れるのはいつになるのだろか?それについては日本が示してくれることを期待する。


The Voice of Russia 12.05.2012, 16:53

http://japanese.ruvr.ru/2012_05_12/nihon-enerugi-kakumei/

http://ecodb.net/pcp/


【私の論評】日本のメディアがほとんど伝えないこの事実!!ロシアがみる極東の軍事バランス!!
さて、このニュース日本などから発信されたものではなく、ロシアからであることが注目されます。本日は、これが何を意味するのか読み解いてみたいと思います。まず、第一にロシアのメディアは、どんなものであれ、日本の反日マスコミとは異なり、ロシアの国益のために報道します。たとえ、政府への批判を掲載したにせよ、それは、ロシアの国益という視点から掲載しているのであり、日本のマスコミのように、日本国弱体化を意図するものではありません。特に、プーチンがまた、大統領になってからその傾向が強いです。


そんなロシアの「ロシアの声」というサイトが、上記のような報道をしています。これは、無論、日本のためにされているということではありません。ロシアにとって、有益な内容であることはいうまでもありません。

では、なぜ、この内容がロシアにとって、有益なのかといえば、まずは、これを見た日本人には、好印象を与えることはいうまでもありません。それから、諸外国にも、日本の良い部分を強調するロシアの報道により、何らかの影響を与えようと目論んでいるのは間違いありません。これらの背景には、最近とみに軍事的に成長を遂げる中国への備えという意図がみてとれます。中国が一方的に強くなれば、ロシアとしても都合が悪いわけで、極東における、日露中印のパワーオブバランスを考慮して、その中で最も有利に動けるように画策しています。その一環における、ロシアの声とみるべきです。台頭する中国に対して、日本が近い将来新エネルギーで、台頭することを印象付けロシアに対する脅威をかわすという意図が感じ取れます。

この文脈を読み解くには、さらに、最近のプーチン大統領の発言も見逃せません。プーチン氏が大統領になるのが確実視されていた、本年3月1日夜(日本時間2日未明)、モスクワ郊外の首相公邸で朝日新聞の若宮啓文主筆ら日欧などの主要紙編集トップと会見しました。日ロの懸案である北方領土問題について、柔道家として「引き分け」という日本語を使い、相互に受け入れ可能な妥協点を探り、「最終決着させたい」と表明しました。

旧ソ連によって、不法に掠め取られた北方領土

プーチン氏が日本について本格的に語るのは、2009年5月に首相として訪日した時以来となる。大統領1期目の00年9月には、ロシアの最高指導者として初めて、歯舞・色丹の2島引き渡しに言及した1956年の日ソ共同宣言の有効性を認めています。

プーチン氏は、この日も56年宣言に言及し、「我々はゴルバチョフ・ソ連大統領が遂行を拒否した56年宣言に戻る用意をしたが、日本側が『四島』を言い出して全てが最初の地点に戻った」と指摘。その上で、「我々が前進できるような接点が見つかることを期待する」と述べました。

さらに、「日本との領土問題を最終決着させたいと強く望む」とも主張。解決策は、貿易や投資といった経済分野などの相互協力を拡大する中で見つかるとし、領土問題が後ろに引っ込むような状況が必要だと強調しました。

ロシアといえば、ソ連時代から、領土問題に関しては、譲歩するということを知りませんでした。それを今頃、向こう側から、蒸しだすということには、何か意図して意識した魂胆があることは明々白々です。日本対して、メディアなどの報道で親日的な態度を見せつつ、北方領土もちらつかせ、日本の関心をひき、極東でのロシアのパワーオブバランスの地位を少しでも高めるために利用しようとしているということです。

ミグ29
さて、さらに、意図を読み解くためには、インドの存在も見逃せません。3月13日付ロスアンジェルス・タイムズ紙は「インド、ロシアの武器を採用:ニューデリは戦闘機、空母、原発を買うための5つの取引に署名」との見出しで、この訪問の結果を報じています。その概要、次の通り。
3月12日、インドはロシアから空母、ミグ29戦闘機、防衛宇宙技術、少なくとも12の原発を含む70億ドル以上の装置や技術を買う5つの取引に調印した。
さらに、ロシアと中国との関係でも気になる動きがあります。

中国とロシアの久しぶりの、合同軍事演習が4月27日、6日間の日程を終えています。これは、両海軍にとって初めての大規模で実戦的な海上訓練で、その「蜜月関係」をアピールしました。ともに演習の先に見据えるのが、アジア太平洋シフトを進める米国の動きです。

海上協力2012と命名された、中ロ共同軍事演習

ロシアは今回の中国海軍との合同演習に、アジア太平洋国家としての存在感を誇示する狙いを込めています。米オバマ政権が中国の台頭を意識したアジア太平洋重視の新国防戦略を打ち出したのに伴い、中国との良好な関係を再確認しておきたいところなのだと思います。

ただ、急速に国力を高める中国はロシアにとっての潜在的脅威でもあります。中国の「弟分」として埋没せず、他のアジア太平洋諸国とも関係を拡大したいのが現在のロシアの本音です。

ロシア国営天然ガス企業は今月、ベトナム国営石油とベトナム沖大陸棚の2鉱区を共同開発することで合意。これに対し、南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権をベトナムと争う中国が強い警戒感を示し、事業中止を求めていることにも中露の「隙間風」がうかがえます。

軍事面でも中国の技術力向上に伴い、ロシア製武器の中国への大型売却契約は2000年代半ばに途絶えたとされます。ロシアの軍需産業はベトナムやインドといった国々への輸出増大に活路を見いださねばならない状況です。

南シナ海をめぐる中国と近隣国の関係が不安定な中で行われる今回の中露演習について、一部有力紙は「ロシアが中国側についている」との印象を与えることへの懸念も伝えました。ロシアは今夏、米海軍が主催する環太平洋合同演習(リムパック)に初参加する方針も示しており、米中両にらみで自らの立場を固めようとしています。

こうした、ロシアの現状は、以前このブログにも掲載した、ロシアの人口その他を考慮すると、ロシアのあせりが感じられます。その部分を以下にコピペしておきます。
日本は多民族国家ではなくいわゆる、国民国家であり、ほぼ単一の文化と、人種の国としては、世界最大といっても良いかもしれません。何とあの広大な面積を持つロシアも、日本よりわずか2000万人人口が多いくらいのものです。こうしてみると、海まで含めた国土の領域といい、人口といい、日本は大国です。中国、インド、アメリカなどは、多民族国家であることはいうまでもないですし、それに、比較的新しく人為的にまとまった国です。どの国も、省とか、州があり、それらがかなり独立した行政単位となっており、日本などのような国とはまったく成り立ちが違います。国民国家の中でも、もっともそれらしい日本とこれらの複合新興国家(これらの中で比較的歴史の長いアメリカですか、200年くらいの歴史しかない)を国と呼んでいるからといって、単純に比較するのはかなり無理があります。
ロシアの女の子
ロシアは、現在も複数民族からなる国であり、昔から現在に至るまで、いわゆる、支配階層は、すべて、数としては圧倒的に多数のロシア人でした。それに、現在のロシアの版図にある人口でも、中国には、遠く及ばず、日本と同程度に過ぎません。一昔前までは、強大な軍事力で、版図を拡大してきましたが、ご存知のように、ソ連崩壊とともにかなりを失いました。

1866年のロシア帝国の最大版図

現状のロシアをみてみると、人口でも、実質上日本に負けているといわざるをえません。日本の場合は、人口がロシアと横並びであるとはいいながら、日本は、単一民族であるという強みがあります。

中央アジア系の女の子
経済的にも、今では、日本は、もとより、中国以下です。とは、いいながら、核保有国であることや、過去の強大な軍事遺産、軍事技術があります。だから、過去においては、日本に対しても、一方的に圧力をかけ、思いどおりにしてきました。

中国に対しても、一方的に強力な圧力をかけて、打ち負かしてきました。

たとえば、1999年末、中共とロシアは「中ロ境界調査協定」を締結し、それによって、清朝がロシアとの間で結んだ一連の不平等条約を承認し、台湾の数十倍にも相当する100万k㎡あまりの国土を売り渡しました。また、2004年の「中ロ東部国境補充協定」によって、黒龍江省黒瞎子島の半分の主権を失っいました。特に、2004年の中国側のロシアに対する一方的な譲歩は、中国国内では、ほとんど報道されず、この事実は、中国国内ではほとんど知られていません。

黒龍江省黒瞎子島
新しいところでは、2009年2月13日にロシア沿岸警備隊が中国貨物船を銃撃し、船員8人が死亡しました。密輸を疑われて出航許可を得られなかったにも係わらず、強引に出航しようとしたため、ロシア側は貨物船に対し機関銃を500発以上を発砲しましたここれは、中国側にとって「惨事」であるにも係わらず、中国当局は事件から6日経ったのち、ロシア側に対して事件の徹底調査を求めました。

中国の軟弱な姿勢の裏には、事件直後の17日にロシアと石油開発条約の締結が控えていたことが関係しています。「政権維持の安定に必要な石油のため、中国当局は8人の人命を軽んじた」と中国問題評論家の李天笑氏が批判しました。当時の中国国内メディアは、「貨物船が発砲された」という事実を伝えず、「貨物船が遭難した」と表現をごまかし、国民に真実を伝えることはありませんでした。

ソ連時代はおろか、帝政ロシア時代から、ロシアは、このように中国に対して、絶対に譲歩することなく、徹底的に一方的に押しまくってきたということです。尖閣問題で見せた、日本の中国に対する対応ぶりをみていて、プーチンは、せせら笑っていたことでしょう。

しかし、状況はかわりつつあります。ここしばらく、中国に対する強硬な態度を崩すことはないと思います。しかし、10年後、20年後まで、このような姿勢を保っていられるでしょうか?ロシアは、中国と陸続きです。しかも、この陸続きの多くに住んでいるのは、被支配層の、中央アジア系の民族が大多数です。しかも、ソ連崩壊後領土をかなり失ったとはいえ、いまだに広大で守備範囲がかなり広いです。

グルジアに侵攻したロシア軍
であれば、台頭してきた中国に対抗するためは、ロシア一国だけではなく、これも急速に発展しつある、インドや、日本などとも共同であたったほうが良いのはいうまでもありません。ただし、そんなことはおくびにもださず、強面ロシアの姿勢は崩さず、中国、日本、インドのパワーオフバランスを操り、自らに最も良い状況を生み出すべく、前準備をしているということです。

さて、日本としては、こうした背景を知りつつ、ロシアが報道するように、日本は新たなエネルギー大国になる可能性が大きいことも視野にいれながら、このようなロシアと付き合っていく必要があります。また、直近ですぐに、日本のメタンハイドレートが使えるわけではありません。ロシアとしては、天然ガスや、電力を日本に売りたいという意向もあります。ですから、上のメタンハイドレートなどの報道は、日本の原発再稼動の反対や、原発全廃の世論を誘導して、一時日本のエネルギー源を断ち、ロシアが日本に対してエネルギーを輸出しやすくするという意味もあります。

ロシアは、さきほど言ったように、多民族国家であり、外見はまるで日本人という人も大勢います。日本は、スパイ防止法のないスパイ天国であるため、外見は全く日本人であるロシア人を日本に潜伏させ、このような世論を誘導しているという可能性も十分あります。また、こうしたことに、すぐに、扇動される、人も大勢います。


日本として、このようなロシアを等身大に捉えて、要求すべきところは、要求し、最終的には、日本固有領土を全部取り返すべきです。

いずれにせよ、こうした、世界情勢をみていれば、今のままの日本では、どうしょうもありません。まずは、憲法は必ず改正すべきです。そうして、核武装もすべきです。日本国憲法と、ロシアの関係としては、以下のようなとんでもない事実もあります。

GHQ
戦後、日本に入ってきた、GHQには、かなりの部署にいわゆるコミンテルンの手先(ソ連のスパイ)がいたことが明らかになっています。さらに、コミンテルン以外のものは、相当できの悪い連中で、いわば、GHQは、馬鹿とスパイの集まりであったことが、明らかになっています。こんな、GHQが作成した日本国憲法など、内容も粗悪な占領地法に過ぎません。このようなものを大切におしいただいて、金科玉条のように守っているなど異常です。

今のままでは、ロシアのプーチンの思い通りに、ことが運ばれてしまう可能性が大です。このようなことは、絶対に避けるべきです。世界は、日本の国内事情だけで動いているわけではないという当たり前の事実を認識すべきです。しかし、上の内容から、ロシア側は、かなりこれからの舵取りに、苦慮していることがうかがわれます。こうした、ロシアの弱体化兆候の機会に乗じて、日本は、活路を見出すべきです。さらに、アメリカも世界の警察官を自認することもかなわなくなりつつあることを考慮にいれるべきです。




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2012年5月20日日曜日

創業150年以上の老舗企業は中国にわずか5社、日本に大きな後れ―中国メディア―【私の論評】日本に多くの老舗企業が存在するのは、「信頼」「規範」「ネットワーク」という社会の基盤からあるからである!!

創業150年以上の老舗企業は中国にわずか5社、日本に大きな後れ―中国メディア

 2012年5月18日、中国メディア・網易は日本に多く存在する老舗企業について分析した。中国には創業150年を超える企業はわずか5社しかなく、日本に大きな後れを取っている。

中国最古の企業、漬物店の「六必居」
韓国銀行が発表した報告書「日本企業の長寿の秘密と啓示」によると、日本には創業200年を超える企業が3146社あり、世界最多となっている。7社は1000年以上の歴史を持つ。世界最古の企業トップ3はすべて日本企業だ。東京商工研究機構のデータでも、創業100年以上の日本企業は2万1666社に上り、1975年以降に創業した会社はわずか620社しかない。創業100年以上の日本企業の89.4%は従業員300人未満の中小企業であり、多くが家族経営で、大部分は食品製造、酒蔵、薬品、伝統文化関連の経営である。

200年を超える歴史を持つ企業はヨーロッパにも多く、ドイツには837社、オランダには222社、フランスには196社存在する。しかし中国は、最古の企業は1538年創業の漬物店「六必居」、続いて1663年創業のハサミメーカー「張小泉」、漢方薬局「陳李済」と「同仁堂」、飲料「王老吉」と、150年以上の歴史を持つ老舗企業はわずか5社。中国中小企業の平均寿命はわずか2年半、グループ企業であっても7~8年と、欧米企業の平均寿命40年に遠く及ばない。

日本の家族経営企業の多くは「終身雇用制」と「年功序列制」といった特徴を持ち、血縁を超えて継承者を選定する。家族経営企業は往々にして婿を取り、養子とすることで財産が分散しないようにし、血縁関係がなくても後を継げるようになっている。また、目先の利益を追わずに細く長く経営するという理念を持っているため、日本の家族経営企業には多角経営が少ない。さらに、100年という歳月をかけて特定の領域に注力し信頼を勝ち取っているため、この信頼を最も貴重な財産として、企業リスクに対抗できる力を高めている。誠実な経営に加え、徹底した職人気質、さらに保守的な企業経営などが日本企業の長寿の秘訣となっている。対して、脚光を浴びつつある中国の家族企業は、均等分割制の継承方法、会長や社長が一手に握る人事システム、社員の極めて低い忠誠度が相対的に見劣りしてしまう。

なぜ中国には長寿企業が存在しないのか?一企業として、創業者が苦労して立ち上げ、困難を克服してきたところに大きな差はない。いかに次世代に引き継ぎ発展させるかがが最大の挑戦なのである。

【私の論評】日本に多くの老舗企業が存在するのは、「信頼」「規範」「ネットワーク」という社会の基盤からあるからである!!

日本最古の企業金剛社の本社
上の記事を読んでいて、まずは、中国には、創業150年以上の会社が、わずか5社しかないことに驚愕するとともに、納得しました。また、「会社の寿命は何で決まるのか?潰れない会社の持続力の源を探る」をテーマに、世界的に珍しいという老舗企業大国ニッポンの実体をレポートした新書本があったことを思い出しました。数年ほど前に読んで印象に残っていたのですが、あらためて拾い読みしてみました。

昭和初期の金剛社

その書籍は、『千年働いてきました~老舗企業大国ニッポン』(野村進著、角川書店 2006年11月)という本です。東京商工リサーチのデータベースによれば、当時創業100年以上の企業は、全150万社中1万5,207社(2002年現在)、個人商店や小規模企業を加えると10万以上と推定されるということでした。

日本最古の宮大工《金剛組》にて修理がおこなわれた太田地車


歴史の古いヨーロッパや中国でも創業100年以上の企業は稀だということです。これだけ老舗企業の数が多いのは、日本だけです。

その中に調査結果の分析から得られた「老舗製造業五つの共通項」が、なぜ、日本にこれほどまでに、老舗企業が多いのか非常に参考になります。以下にその部分を掲載しておきます。
1.同族企業は多いものの、血族に固執せず、企業存続のためなら、よそから優れた人材を取り入れるのを躊躇しないこと。 
2.時代の変化にしなやかに対応してきたこと。 
3.時代に対応した製品を生み出しつつも、創業以来の家業の部分は、頑固に守り抜いていること。 
4.それぞれの"分"をわきまえていること。 
5.哲学者で鳥取環境大学学長の加藤尚武氏が言う「町人の正義」を実践してきたこと。
1,2,3の各項は企業の継続性を考えれば、当然の意義があるものでしょう。しかし日本が世界に稀な長寿企業大国であることを納得させられる鍵は、4と5の中に隠されています。


分とは何かを語る、老舗企業の経営者の言葉が記録されています。
西川会長
「僕らは株なんかも一切やってません。本業で社会に貢献する。それに反するものをやったら、長続きしないという理念があるんです。」(ふとんの西川産業、1566年創業、西川甚五郎会長) 
「儲かればいいと思って、本道からはずれたらあかん。どんな商売でも、なぜそういう商売をするのかという説明がつかんといかんわね。説明のつかん商売をしたら絶対潰れますわ。」(金箔製造から転写箔メーカーになったカタニ産業、1899年創業、蚊谷八郎社長)
平成バブルの崩壊を記憶に留めている私たちにとっては、この単純明解なことが巨大企業にも通用する真理であることが理解できると思います。

では5の「町人の正義」とは何でしょうか。前述の加藤尚武氏によれば、「売り手と買い手とが、公正と信頼を取引の基盤に据えてきた」ということです。考えてみれば、江戸時代の我が国は封建的な社会でありながら当時の世界でも珍しいほど高度に近代化した全国規模での物流と金流の経済システムを完成させていました。

江戸時代のジオラマ

法律の整備も曖昧な社会で公正と信頼を基盤にしなければ経済は成り立たなかったわけですし、これを破る者に対する社会的な制裁もたいへん厳しいものでした。しかし大切なことはこの町人の正義、お天道様に顔向けができないことはしない、という考え方が法律的な規制によるからというのではなく、自発的な経営規範として老舗と呼ばれる企業経営者たちには代々受け継がれてきたということです。

江戸時代の町人の服装


著者は「よく人間は遺伝子の"乗り物"にたとえられるが、人間は文化の"乗り物"でもある。老舗企業を語る際にも『企業のDNA』といった表現がしばしば使われるけれど、この『DNA』とは『文化』と同義語ではあるまいか。」と、老舗企業の永続性の秘密を解いています。

こうした、「町人の正義」何か、最近の社会学における、最新のテーマでもある、ソーシャル・キャピタルという概念を思い起こさせます。ソーシャル・キャピタルとは、日本語に直訳すると、「社会資本」となりますが、日本語で、単に、「社会資本」というと、いわゆる、道路、空港、港湾、鉄道、電気、水道などのインフラを指すことが多いので、これと区別するために、ソーシャル・キャピタルと言われることが多いです。



では、ソーシャル・キャピタルとは、どのうよなものかといえば、詳細は、wikipediaなどで検索して調べていたたくものとして、このブログで以前とりあげたことがありますので、そこから以下にコピペさせていただきます。

ある大学の社会学部の紹介をするサイトの扉の画像
民間非営利企業とは、平たくいえば、市民団体など、市民参加の自発的な組織であることが多いです。こうした組織が多くできるようになっていろいろと様変わりしているところがあります。たとえば、イタリアでは、閉鎖的な家族主義社会ということがいわれていましたが、最近は随分様変わりしています。特に、北イタリアでは、昔からの市民活動の動きがあり、南と北では随分と違いがあります。南と北では、料理にも違いがありますが、それ以上に州政府の成果に大きな違いがあるのです。アメリカのパットナムの長年の研究によれば、北のほうが州政府の統治による成果がはるかに高く、この主要な原因として、北のほうが、いわゆるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が充実しているそうです。 
ソーシャル・キャピタルとはアメリカの政治学者のパットナムの定義によれば、「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴」ということです。ソーシャル・キャピタルを高めるためには、やはり、ありとあらゆる種類のNPO、それも、市民が自発的に参加するものが設立されている必要があります。この、ソーシャル・キャピタルが充実している地方ほど、健康的で、犯罪も少なく、経済的にも恵まれる傾向があるという統計資料もOECD、世界銀行から出されています。 
だからこそ、先進国ではNPOがかなり多く設立されて、実質的に政府がやっていた社会福祉など、いわゆる社会問題の分野に積極的に介入できるような仕組みを構築しているのだと思います。
この記事を書いていた当時、私は、現在のように、政府が、増税するなどということなど思いもよらず、その当時もデフレで、生かさず殺さずという状況にあった、日本の社会をさらに、増税などで、半殺しにすることなどなど思いもよらず、これ以上経済が悪くなることなど、全く想定していませんでした。これから、良くなることは、あっても悪くなるとは想定していませんでした。もともと、民主党は、野党時代に増税に大反対していたはずです。そのため、社会を良くするための方法をいろいろ考えていました。その一環で、日本では、弱小なものしかない、西欧型NPOが日本でも有効であると考えこれに関する記事を良く書いていたものです。



最近は、増税などで、社会が半殺しにされることを懸念しているので、増税反対に関する記事や、増税の根拠となっている、日本国財政破綻の虚偽に関する記事を掲載するようになっています。しかし、私自身としては、あの当時から経済より社会を優先するという考え方は今でも変わっていません。今は、デフレの真っ只中にあり、増税すれば、税収はさらに減り、社会が疲弊することが目に見えているため、増税に反対にする内容うの記事が多くなっているだけです。日本社会のためにも、増税は避けるべきです。

さて、話を本筋に戻すと、日本国では、諸外国と比較すると、このソーシャル・キャピタルが著しく発達していたということです。まさに、日本の社会では、「信頼」「規範」「ネットワーク」が、昔から「町人の正義」などといわれ、尊ばれ、発展してきたということです。「信頼」「規範」については、上記でも説明されていましたが、「ネットワーク」についても、日本では、昔からかなり充実していました。昔から日本全国で、北は、サハリンから、南は沖縄や台湾まで、随分昔からネットワークが張り巡らされていました。また、通信手段も昔から発展していて、のろしなどを使って、江戸と大阪などの遠隔地同士でも、数時間で情報のやりとりをしていました。

遺跡などから、推定された、縄文ネットワーク


そうして、これを模範的に、具体的に具現化してきたのが、創業150年を超える、老舗企業だということです。上の記事では、どちらかというと、企業のDNAとして、老舗企業の側から、説明していましたが、それだけではなく、日本国の社会のDNAとして、多くの人々に受け継がれ、発展してきたからこそ、今日その証として、多くの老舗企業が存続しているのだと思います。

また、先の書籍には日本の老舗企業の特徴として、「職人」の技術に対する最大限の敬意があげられています。講談や落語の世界に江戸時代の名工、名人噺がたくさん残され今なお語り継がれているように、職人の技術に対する信仰にも近い思いが底流となって、我が国の近代化と戦後復興が達成され、世界第二位の経済大国へと発展したことだけは確かです。

漆塗りの職人
それがバブル経済が生み出した拝金主義、単なる交換価値でしかない金が金を生み出すという神話を今も捨てきれないところに、現在の企業不祥事の根本原因があり、また同時にこれが日本人が営々と築いてきた莫大な資産を米国に掠め取られている原因であると考えざるを得ません。また、現在の韓国は、掠め取られるどころか、実質上のアメリカの経済植民地になっていることは、このブログにも以前掲載したことがあります。

この辺りは、NYB嘆きの世直しブラザース長兄平川克美さんの著書『株式会社という病』(NTT出版)に明らかにされていますので、ご一読をお薦めします。また、日本国民の資産が必然的合法的に米国に掠め取られるしくみについては『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(水野和夫著 日本経済新聞出版社刊)に明らかにされていますのでご興味のある方はどうぞ。

この書籍の根本となっている、アメリカのいわゆる社会ではなく、経済至上主義、自由主義の名のもとに、日本をはじめとする多くの国から、富を簒奪する仕組みは、アジア通貨危機の頃から、アメリカのワシントンを根拠地とする、IMFや、世界銀行、ならびに他の金融機関などの間の合意事項であるワシントン・コンセンサスによってかたちづくられていきました。このコンセンサスは、もともとは、金融界出身の人々の自分たちにとって、都合の良い仕組みの構築という意味合いが強いです。これに、関しては、本日は本題ではないので、また、日を改めて掲載します。


日本国は、他国と比較すると、昔から、社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴をもっていたということです。いわゆる、文明国などでは、日本ほどではありませんが、これらが、ある程度以上根付いています。日本人は、これが当たり前だと思っているので、しばしば海外では、カルチャー・ショックを受けることがあります。たとえば、中国、韓国などでも、「信頼」「規範」「ネットワーク」意識がない人や、あっても、かなり低い人に遭遇して、驚く人も大勢います。しかし、それは、海外の人が悪いとか、野蛮というのではなくて、日本が特殊であると見るべきです。無論特殊だからといって、日本が遅れているなどと一部の愚かもが主張するようなことはいいません。日本国や、日本人が、高い次元にあると認識すべきです。

そのため、日本では、昔から商売がやりやすいです。特に、明治維新や、戦後の復興などでみせた、日本の急激な成長は、こうした、基盤がなければ、成し遂げられなかったことでしょう。特に、日本の高度経済成長は、そのほとんどが内需拡大によって支えられていたことは、特筆に価します。多くの人は、日本は、貿易大国であるかの幻想をいだいていますが、現在でも、日本においては、GDPにしめる輸出の割合は、16%に過ぎません。10年以上前までは、わずか8%にしか過ぎませんでした。

日本の高度経済成長の象徴でもある新幹線
こうした内需拡大の推進力となったのは、経済の専門家などは、中間層の拡大と指摘しています。その、とおりだと思います。そうして、その根底にあったのは、やはり、「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、高度な日本独自の、ソーシャル・キャピタルが大昔から形成されていたことだと思います。

そうして、どうして、このようなソーシャル・キャピタルが日本にだけ高度に昔から発展していたのかといえば、それは、日本独自の国柄があると思います。

他国には、ない国柄といえば、日本には、古くから朝廷が存在していて、天皇陛下が存在していて、そのどきどきでの為政者とは、別の権威が存在しており、日ノ本の民に徳を説き、民の安寧を願い祈り続けてきたという古い歴史があるからです。


無論、長い歴史の中では、朝廷の政治利用などということもあり、世の中が乱れたこともありましたが、そうした乱世の中にあっても、多くの人が、徳であるとか、安寧という理想の原型が失われたことはなく、今まで連綿と受け継がれてきました。

カトリックでは、神の偶像が存在します。カトリックに限らず、宗教では、偶像がつきものです。宗教全体からみれば、キリスト教の他の宗派などは、例外的といえるかもしれません。それらだって、十字架というものはあります。人間は、何かはっきりと目に見えるものや、何とかして見ようとすれば、見られるなり、接触することができるものがなければ、そのようなものの存在や価値をなかなか信じることはできません。日本では、まさしく、朝廷や、天皇がそのような役割果たしてきたということです。しかも、それが、2670年以上も続いてきたということです。

上の記事や、上の私が読んだ書籍などでは、日本に老舗企業があることをさまざまな方向から分析していますが、どれも、表層的なことにすぎないと思います。私たちの日本は、このような国柄であるということをもう一度再認識すべきです。


そうして、ワシントン・コンセンサスや、新自由主義などという、歴史の浅い浅薄な考え方に惑わされることなく、日本の国柄を守って、長い間存続してきた、老舗企業のように「信頼」「規範」「ネットワーク」という、すでに日本大昔からある、すぐれた、ソーシャル・キャピタルをますます高度化していくべきと思います。

こうした、私たちの日本の国柄がある限り、たとえ、昨年のように千年に一度ともいわれる、大震災にみまわれようと、今の為政者の誤った政治によって、一時間違った方向に行ったとしても、私たち日本の心は、うちひしがれることなく、日本にあまたある老舗企業のように、これからも悠久の歴史の中に燦然として輝き続けるどころか、さらに輝きを増すことでしょう。




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