2015年12月11日金曜日

GPIF年金8兆円損失 総活躍どころか「1億総下流」のアベノリスク―【私の論評】マスコミはGPIFのリスクを重箱の隅を突くように報道するくらいなら、特別会計の埋蔵金について報道せよ(゚д゚)!

GPIF年金8兆円損失 総活躍どころか「1億総下流」のアベノリスク

GPIFを成長戦略に使いたい安倍首相と塩崎厚労相

年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、約8兆円の損失を出したことを11月末、発表した。

昨年から市場関係者の間で「安倍政権はPKOをやっているのでは」とささやかれていた。PKOとは1990年代にあった、政府主導で株を買い支えるプライス・キーピング・オペレーション(PKO)、つまり官製相場のことだ。

GPIFで株価を吊り上げるカラクリは、いたってシンプルだ。GPIFが国内株への投資比率を1%上げれば、単純計算で1兆3500億円の資金が市場に流れ込む。東証1部の1日の売買代金は2兆~3兆円程度だから、その影響がいかに大きいかがわかる。さらに、昨年から市場では不可思議な現象が起こっている。

東証では、株式売買の6割以上を占める海外投資家の動向が、株価に大きな影響を与える。昨年はじめごろから、海外投資家の売りが続くと、それに反して国内の信託銀行が買いに入った。これが何度も繰り返されている。

市場関係者が目を疑ったのは、今年8月に入ってからの信託銀行の動きだ。上海株価の暴落を受けて、海外投資家の売り越しが続いたが、この期間になぜか買い越しを続けていたのが信託銀行だった。経済ジャーナリストの磯山友幸氏は言う。

「株価が下落している中で、信託銀行を介してGPIFが株を買い支えたのではないか。官製相場は、いつか必ずしっぺ返しがくる。海外投資家の信頼を失い、国内市場から引き揚げられかねない」

政府がGPIFの資金で狙っているのは、株価の吊り上げだけではない。

安倍政権は、企業に対して設備投資の拡大と賃上げを繰り返し要求しているが、政府内にはGPIFを利用して企業に圧力をかけるべきとの意見もある。

安倍首相も出席した、政府の経済財政諮問会議でも、そんなやりとりがあった。民間議員であるサントリーホールディングス社長の新浪剛史氏が、GPIFが運用委託している機関投資家に、株主として企業経営に介入することを提案。内部留保の多い企業に、

<3年以内に設備投資するのか賃上げするのか、どうするか決めさせる>(11月27日議事要旨)

という。埼玉学園大の相沢幸悦教授(金融政策)は、驚きを隠せない。


「賃金や設備投資は、企業にとって重要な意思決定で、政府が指図してはいけない。それが、安倍政権はGPIFを使って、株価浮揚という目的を達成しようとしている。来年夏には参院選があるので、今後はゆうちょ銀行やかんぽ生命の資産なども政治利用されるのではないか」

人為的に作られた相場は、いつか必ず滅びる――。これがマーケットの鉄則だ。今年1月、政府はリーマンショックが再来した場合、GPIFが受ける損失の試算結果を公表した。その額はなんと、26.2兆円。実際にリーマンショックのあった08年度の損失額は9.3兆円だったので、約2.8倍に膨らむことになる。これにより年金基金の2割以上が消える。

「株式は高値で売って底値で買うのが基本。しかし、GPIFは資産が巨大すぎて、売りに転じたら国内市場が暴落する。危機の時にも枠がいっぱいなら、機動的な対応ができない。海外の投資家は、それを見越して容赦なく日本株を売り浴びせてくるでしょう」(経済評論家の斎藤満氏)

また、政府は今年10月から格付けが「ダブルB」以下の高リスクな外国債券にも投資できるようにした。これらは「ジャンク債」とも呼ばれ、財政不安に苦しむギリシャ国債も含まれる。こんなリスクは許されるのか。民主党の山井和則衆院議員は言う。

「年金基金は、国民が積み立てたお金を政府が預かっているだけ。だからこそ、安定的な運用が求められる。ハイリスクに運用するのであれば、国民にきちんとした説明をしなければならない。ところが、安倍政権は国会が閉じている時に、審議会の議論だけで変更してしまったのです」

では、ハイリスクな運用をやめ、元のように国内株式の投資比率を10%前後に戻せばいいのかというと、そう簡単な話でもない。野党の幹部は戦々恐々としている。

「安倍首相の退陣後に政権を取っても、国内株への投資比率を下げることは、市場への影響が大きすぎてできない。まともな経済政策に戻すと官製相場が崩壊して、日本発の世界金融危機がおこりかねない」

前出の山井衆院議員は、今のアベノミクスを1912年に沈没した豪華客船「タイタニック」に例える。

「氷山に衝突することがわかっていても、舵を切って避けることができない。安倍首相のやっていることは、とんでもない時限爆弾を抱えることなのです」

一時的な株高に沸いても、いつか現実に戻される日はやって来る。自民党内からも異論が出ている。村上誠一郎衆院議員はこう話す。

「アベノミクスは金融緩和で円安誘導し、財政出動で景気回復を目指したが、経済成長に結びつかなかった。本来であれば、その反省と総括をしなければならない。ところが、GPIFによる運用やさらなる金融緩和で人為的に株価を上げて、経済政策がうまくいっていると国民に思わせようとしている。しかし、これではいずれ財政と金融が同時に大変になる時が来る」

そのとき、日本人の老後の生活を支えるはずの年金が消える。総活躍どころか、やがて「1億総下流」へ転落する日が来るかもしれない。

(本誌・西岡千史、永野原梨香、長倉克枝)

週刊朝日  2015年12月18日号より抜粋

【私の論評】マスコミはGPIFのリスクを重箱の隅を突くように報道するくらいなら、特別会計の埋蔵金について報道せよ(゚д゚)!

上の記事は、週刊朝日のものですが、他にもGPIFのリスクを指摘する記事もあります。さて、GPIFはそんなにリスクが高いものなのでしょうか。私自身は、それほどでもないと思っています。上の週刊朝日の記事は、リスクを煽りすぎていると思います。

その根拠としては、私自身で説明するよりも、『週間闇株新聞』というサイトが非常にわかりやすく解説していたので、その記事を以下に引用します。


「7兆円の運用損」は、何の問題もない! 
闇株新聞がGPIFの運用成績を精査 
国債から株式へのシフトはひとまず成功
昨年秋にポートフォリオを「国債中心から株式での積極運用へ」と大転換したGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用成果を検証! 
■7-9月期は7兆8899億円ものマイナスだったが… 
 11月30日に発表されたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2015年7~9月期運用収益は7兆8899億円ものマイナスになっていました。さっそく「年金が危ない」などとする報道もありましたが、あまり目くじらを立てる必要もなさそうです。 
 確かに2015年7~9月期の期間収益率は運用資産比5.59%ものマイナスですが(年率換算ではありません!)、これは2015年8~9月の世界の株式が大きく下落したためです。10月以降の世界の株式市場は大きく回復していますから、2015年10~12月期の運用成績はいくらなんでも回復しているでしょう。 
 そもそも年金運用は超長期の運用なので、短期的な相場変動に一喜一憂する必要はありません。相場が上昇時でも下落時でも指標(インデックス)に大きく見劣る運用でなければ一応は合格です。指標を上回る運用などハナからアテにしないことです。 
■ポートフォリオの大転換は見事なタイミングだった 


 GPIFは昨年(2014年)10月31日付で、厚生労働大臣の認可を受けた「中期計画の変更について」というリリースを出していました。その主な内容は基本ポートフォリオの大幅な変更でした。その内訳は以下の通りです。 
・国内債券60%(上下8%)→35%(上下10%)大幅減
・国内株式12%(上下6%)→25%(上下9%)大幅増
・外国債券11%(上下5%)→15%(上下4%)やや増
・外国株式12%(上下5%)→25%(上下8%)大幅増 
 ところで、このリリースが出された2014年10月31日は、いわゆる「黒田バズーカ2」(日銀の追加量的緩和)が発表された日です。ご存じの通り、そこから日経平均は急上昇し、円安が加速していったのでした。 
 追加量的緩和で株高・円安にしてGPIFの運用成果を向上させようとしたのか、あるいは逆にGPIFの資金を使って一層の株高・円安にしようと考えたのかはわかりませんが、とにかく「見事に連携を取っていた」ことになります。 
 これには「よくやっていたじゃないか!」と少し感心しています。2012年12月に安倍政権が発足して急激に円安・株高が進んだ局面では、ジョージ・ソロスらヘッジファンドに収益機会を提供しただけだったことを考えれば、大変な進歩です。 
■GPIFの運用成果を詳しくチェック! 
 運用方針が変更される直前(2014年9月末)の国内株式の運用残高は23兆8635億円、年金積立金全体に占める構成割合は17.79%でした。9月末の株価は日経平均1万6173円/TOPIX1326.29ポイントでしたが、10月17日に日経平均1万4532円/TOPIX1177.22ポイントの安値を付けています。 
 運用方針の変更は株価的にも絶好のタイミングだったのです。 
 次に、四半期毎に収益額(運用資金の増減ではなく純粋の運用成果だけです)と期末のTOPIXを比べてみます。 
 この1年間の国内株式の収益合計は2兆1022億円で、その間のTOPIXは1326.26から1411.16まで6.4%上昇、2014年10月17日の安値からだと19.9%も上昇しています。 
 2015年9月末の国内株式の運用残高がなぜか記載されておらず、年金積立金全体に占める比率が21.35%とだけ記載されています。 
 同時点の運用資産額は135兆1087億円ですが、年金積立額はこれより3~5%多いはずです。とすれば、国内株式の運用総額はだいたい29兆7000億円~30兆3000億円だったと見積もることができます。 
結論:GPIFの積極運用への変更は「成功」 
 2014年9月末~2015年9月末の国内株式の収益額合計は2兆2011億円で運用資産は6兆1365億円も増えています。ということは、GPIFはこの1年間に国内株式を約4兆円買い増していたことになります。 
 仮に2014年9月末時点の国内株式運用残高23兆8635億円をそのまま1年間維持していたとすれば、運用収益はTOPIXの上昇幅(+6.4%)と同じとして、1兆5272億円のプラスです。 
 つまり、この1年間で4億円買い増したことで収益額は6000億円ほど多くなったことになり、買い増した4兆円も15%の収益を上げていたことがわかります。 
 以上から、追加量的緩和とタイミングを合わせたGPIFの積極運用への変更は、とりあえず「成功」だったと言えるでしょう。
以上のように、GPIFの運用は、とりあえずは「成功」と見て良いようです。ただし、「とりあえず」という言葉通り、 そもそもそもそも年金運用は超長期の運用なので、短期的な相場変動に一喜一憂する必要性など全くありません。

株式運用というと、日本人は忌避感が強く、単なる個人の博打のように考えてしまう人も大勢います。確かに、一般の個人が株式運用するのは、博打に近いものがあります。しかし同じ個人でも、最低1億円以上の資金を株式に運用できる人であれば、博打とは言えないと思います。なぜなら、この程度の資金を運用できるのであれば、分散投資をすることにより、リスクを回避することが可能になるからです。

しかし、上の朝日新聞の記事はこのことを無視して、GPIFの株式運用をまるで、個人の博打のように危険なものとしています。

以上のようなことから、ブログ冒頭の週刊朝日の記事は、話半分に読んでおくべきでしょう。

それにしても、この週刊朝日の記事に限らず、マスコミはなぜか、経済特にマクロ経済に関しては頓珍漢、奇妙奇天烈な報道ばかりします。そうして、とにかく煽り報道をするのが常です。

極めつけは、国の借金国民一人あたり、1000万円超というものです。これに関しては、最近でもこのブログに掲載し、その間違いを指摘したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
税収上ぶれで国庫収支改善 「国の借金」1054兆円だが資産も653兆円―【私の論評】日本国借金まみれ説は、財務省と追従者が築く馬鹿の壁(゚д゚)!


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、国には国民一人あたり1000万円の借金があるなどというのは、全くの間違いであり、国民一人あたり政府に1000万円の金を貸し付けているというのが真実です。

そもそも、国の借金=政府の借金ではなく、日本政府は確かに多大な借金をしていますが、日本国は借金どころか、世界で一番お金を貸し付けている国です。

そうして、政府の借金(負債)とはいっても、日本の政府は世界で一番金融資産を持つ政府であり、この資産と負債を相殺すると、日本政府の借金は確かに実額は巨大ですが、GDP比で比較すると、他の先進国と比較してさほど多くもありません。

日本政府は世界で一番金融資産を持つ政府なのですが、ではそれはどこにあるかといえば、そのほとんどが、財務省により特別会計に計上されています。

この特別会計には、様々なものがありますが、以下に3つの特別会計を説明します。

まず、国債整理基金特別会計です。一般会計又は特別会計からの繰入資金等を財源として公債、借入金等の償還及び利子等の支払いを行う経理を一般会計と区分するために設置された特別会計です。定率繰入れ等の形で一般会計から資金を繰り入れ、普通国債等の将来の償還財源として備える「減債基金」の役割もあります。

この「減債基金」は、先進国で日本しかありません。他の先進国では昔はありましたが、公債市場が大きくなって整備されると償還財源はその都度借換債で調達するので、「減債基金」はなくなったのです。そういえば、民間会社で社債の「減債基金」もありません。将来の借金償還のために、さらに借金をする必要がないわけです。

この観点から見ると、2015年度予算の11.6兆円の定率繰入は過大な計上で、不要です。
また、利払費が9.7兆円です。しかし、この積算金利は1.8%と過大です。おそらく2兆円くらいは過大計上になつています。

次に労働保険特別会計。労災保険と雇用保険を経理するために設置された特別会計です。労災保険は、業務上の事由等による労働者の負傷等に対して迅速かつ公正な保護をするための保険給付及び被災労働者の社会復帰の促進等を図るための社会復帰促進等事業を行うもの、雇用保険は、労働者の失業中の生活の安定、再就職の促進等を図るための失業等給付及び雇用機会の増大等を図るための雇用保険二事業を行うものです。

2013年度の労働保険特別会計財務書類をみると、雇用勘定のバランスシートで7.1兆円の資産負債差額があります。いわゆる埋蔵金です。これは、高めの雇用保険料にもかかわらず失業保険給付が少ないために生じたものです。これは、国民に還元すべきでしょう。

最後に、外国為替資金特別会計。政府が行う外国為替等の売買に関し、その円滑かつ機動的な運営を確保するため外国為替資金が設置されるとともに、その運営に伴って生じる外国為替等の売買、運用収入等の状況が区分経理するために設置された特別会計です。

外為資金として127.9兆円(2013.3末)。このうち外貨債権は103兆円(証券は99.5兆円、貸付3.5兆円)です。ちなみに、外貨証券の満期は1年以下1割、1年超5年以下6割、5年超3割)となっています。一方、外貨負債はありません。ということは、円安は資産を膨らませるだけであり、政府財政にとっては確実にプラスである。ざっくりみると、外為資金での円安による評価益は20兆円程度ありそうです。

この3つの特別会計だけでも、10兆円もの特にすぐに必要とも思えないようなお金が財務省によって積み上げられています。

この特別会計余分なもの全部とはいいませんが、少なくとも10兆円くらいは国民に還元すべきものと思います。こんなに金があるんですから、そもそも増税など必要ありません。1

10兆円というと、現在日本にはデフレギャップが10兆円ほどあるいわれています。これを元手に補正予算を組めば、10兆円で様々な対策が実行でき、日本は完璧にデフレから脱却して、緩やかなインフレに一直線に飛躍することができ、実体経済もかなり良くなります。そうなれば、増税しなくても、経済成長によって、景気が良くなり税収も増えます。

GPIFのリスクを重箱の隅をつつくように報道するくらいなら、マスコミは以上のようなことを報道すべきものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月10日木曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ  消費増税は延期すべきだ 新聞の「手のひら返し」ありうる―【私の論評】軽減税率に頭を悩ますな!五つの観点から、10% 増税はあり得ない(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ  消費増税は延期すべきだ 新聞の「手のひら返し」ありうる

前回の本コラムで書いた軽減税率の自公間協議がようやく終わろうとしている。争点となっていたのは軽減税率をどこまで対象とするかであり、その必要財源について「政治的には4000億円に増額調整が加えられて、自公間では決着するだろう」と書いたが、1兆円規模というから、内容としては公明党の要求の丸呑みである。公明党の後ろにいる官邸が自民党・財務省を押し切った。

軽減税率が論じられているが、これに頭を悩ます必要はないかも?


4000億円なら食品のうち生鮮食品のみ、1兆円ならそれに加工食品まで含めるということだ。政治家同士の話なので、軽減税率の対象に「梅干しやノリ、豆腐、納豆が含まれないのはおかしい」という、朝食の定番メニューを例にして加工食品を適用すべしとのやりとりがあったようだ。

新聞への軽減税率の適用は絶望的

ところで、新聞への軽減税率の適用は絶望的である。かつては、「米、味噌、醤油、新聞」とやはり朝の食卓風景の一角で、新聞を軽減税率対象にするとのスローガンがあったが、今回の話は「米、味噌、醤油」までだ。

これで、これまで軽減税率を受けたいがために、消費増税に賛成していた新聞の論調がどうなるのかが見ものである。

軽減税率については、低所得者以外も恩恵が及び、消費税税収が減るなどの問題点がいわれている。その批判はもっともであるが、日本では確定申告者数が少なく、税務申告時に給付・還付を行いにくいという事情もあるので、軽減税率でもやむを得ない面もある。公明党は、そうした批判を承知しつつ、納税者の分かりやすさや手間を考慮して、選挙で軽減税率を訴えてきた。

また、軽減税率の問題を指摘する人の多くが、2017年4月からの消費再増税に前のめりなのは気になるところだ。

ただ、軽減税率にかかわる懸念は、その消費再増税がないなら、杞憂となる。筆者の見立てでは、その方向になりつつある。


選挙対策上からも「延期」やりやすい

一つには、民主党の枝野幹事長が、軽減税率の導入について「明確に民主、自民、公明の3党合意が破棄されたと言わざるを得ない」と述べ、消費増税に反対する意向なのだ。

3党合意をよく読めば、軽減税率の導入がそれに反しているとはいえない。政治合意文章は、融通無碍に書いてあるからだ。にもかかわらず、枝野幹事長がそういう主張をするのは、消費増税で先手を打ちたいからだ。軽減税率での自公間協議の中、消費増税延期で来16年7月に衆参ダブル選挙という噂が流れた。昨14年の総選挙で、民主党の海江田代表(当時)は当初消費増税賛成といったが、慌てて取り消して、ぶれまくり、結局惨敗したトラウマがあるのだろう。

GDP統計の改定で、2期連続マイナス成長は免れたものの、消費低迷によってGDPがさえないのは事実だ。しかも、補正予算は3兆円余で力不足だ。こうした状態だと、これまで消費増税を主張していた新聞も今後ゆっくりと意見を変えていくだろう。

そう考えると、今回の軽減税率の政治決着は絶妙だ。まず新聞を対象としないので、新聞が、消費増税延期に世論を向けやすい。またかなりの減収になるので、財政当局から見ても「消費増税延期でもやむなし」になりやすい。さらに、野党からの消費増税延期発言を引き出し、選挙対策上からも消費増税延期をやりやすい。

こうした点を踏まえると、今回の軽減税率の政治決着から、2017年4月からの消費増税はかなり可能性がなくなったことが見えてくる。


【私の論評】軽減税率に頭を悩ますな!五つの観点から、10% 増税はあり得ない(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の論評に賛成です。かなりの確率で、2017年4月からの消費税増税はないでしょう。私としては、100%なしと言い切りたいくらいです。なぜそう思うのか、本日はそれを掲載しようと思います。

第一には、新聞の軽減税率の適用が完璧に除外されたことは高橋洋一氏が指摘するように、大きいです。新聞への軽減税率の適用については、このブログでも以前何度か掲載したことがあります。ここでは、一番古いものを掲載します。この記事は2011年のものです。
「米国債はデフォルト危機」と大騒ぎする日本の新聞は「財政破綻」「増税」は好きだが、自分たちだけ「軽減税率」求める浅ましさ ―【私の論評】消費税率アップが、新聞業界と財務省の共通の利益だが、アメリカの利益にはならない!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、新聞に対する軽減税率の適用に関する部分のみ下にコピペします。
その一方で、新聞協会は7月12日、経済産業省が募集していた来年度の税制改正要望に対して、要望書を提出し、消費税については軽減税率の適用を求めている。新聞業界は、消費税軽減のために海外調査を行う等なりふりかまわぬスタンスだ。つまり消費税率アップが、新聞業界と財務省の共通の利益なのだ。 
新聞は消費税アップによっても新聞代の引き上げを避けられる。一方財務省にも利権が発生する。というのは、消費税率がアップすると、必ず軽減税率やゼロ税率の話が出てくる。新聞業界もそのひとつだ。社会的使命を主張しながら、消費税の軽減税率を財務省に働きかけている。これはもちろん新聞では報道されないが事実だ。どの業界に軽減税率を適用するかどうかは財務省の胸先三寸である。 
財務省の事務次官であった丹呉泰健氏が読売新聞に天下りしたことは昨年11月22日の本コラムで述べている。消費税率引き上 げと新聞業界の軽減税率・ゼロ税率の願望とは無縁とはいえない。 
新聞業界と財務省は既に蜜月関係にあると見ていいだろう。だから、新聞が行う世論調査で、増税が必要かというものはあてにならないことを留意する必要がある。そんなものは質問の仕方によってかなり変わるからだ。
新聞業界と財務省はその後も、つい最近まで蜜月関係が続いていて、新聞は財務省の資料などに基づき、増税の正当性を報道してきました。財務省としては、新聞にそのような対応をしてもらうことを引き換えに、新聞に軽減税率を適用することをちらつかせ、自分たちに都合の良い報道をするように圧力をかけてきたのです。

しかし、いつの間にか、新聞への軽減税率の適用は完璧に立ち消えになってしまいした。これは、最近の報道をご覧いただければ、おわかりになると思います。生鮮食品、加工食品、外食、酒類に関しては、軽減税率の論議が行わていますが、新聞に関してはなしのつぶです。

新聞は、過去に本当に増税に関しては、積極的に推進すべきという報道を繰り返してきました。特に、2013年はそのピークに達した感がありました。すべての新聞が、安倍総理が増税すると発表する前から、「安倍総理増税決断」と何度も連呼していました。この状況は全く異常としか言いようがありません。

おそらく、財務省が周到に根回しをして、識者、新聞などに増税の連呼をさせた結果であると思われます。

これに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【衆院選】首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…―【私の論評】産経新聞ですらのってしまった昨年の総理増税決断の虚偽報道!今年は破壊的革命集団財務省が、安倍総理の解散時期をはやめた、その意味するところは?
昨年10%増税を見送り、解散総選挙を表明する安倍総理

この記事は、昨年11月20日のものです。この記事から、新聞の平成13年の増税報道の異常ぶりを示す部分を以下にコピペします。
まず、主要メディアの報道をざっと振り返っておきます。実際には、これ以外も、多くの報道がありましたが、代表的なもののみにとどめます。報道に間違いがなければ、安倍首相は11日から20日にかけて、少なくとも4度(11日、12 日、18日、20日)にわたり「決断」を繰り返したことになります。
"安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めた。出典:読売新聞9月12日付朝刊1面「消費税 来年4月8% 首相、意向固める 経済対策に5兆円」
安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。出典:共同通信9月12日「消費増税 来年4月8%に 首相、10月1日表明へ」
安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率を、消費増税関連法に沿って2014年4月に8%に引き上げる意向を固めた。出典:時事通信9月12日「消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え=安倍首相、来月1日にも表明」
安倍晋三首相は、現行5%の消費税率を、来年4月に8%へ予定通り引き上げる方針を固めた。出典:毎日新聞9月12日付夕刊1面「消費増税 来年4月8% 安倍首相『環境整う』判断 経済対策、5兆円規模検討」
安倍晋三首相は18日、現在5%の消費税率について、来年4月に8%に引き上げることを決断した。出典:産経新聞9月19日付朝刊1面「消費税来春8%、首相決断 法人減税の具体策検討指示」
安倍晋三首相は来年4月に消費税率を8%に引き上げる方針を固めた。(…)複数の政府関係者が19日、明らかにした。出典:日本経済新聞9月19日付夕刊1面「消費税来春8% 首相決断 法人減税が決着、復興税廃止前倒し 来月1日表明」
安倍晋三首相は20日、来年4月に消費税率を現在の5%から8%に予定通り引き上げることを決断した。出典:朝日新聞9月21日付朝刊1面「首相、消費税引き上げを決断 来年4月から8%に」
安倍首相は10月1日の発表の前までは、自らの肉声で「決断」の意思を表示したわけではありません。仮に会見等の場で表明していれば「~を表明した」と報じられるし、一部の関係者に伝達していれば「決断したことを~に伝えた」と報じられるのが普通です。しかし、昨年はどのメディアも「表明」「伝達」いずれの事実も報じておらず、「意向を固めた」「決断した」といった表現で報じていました。
「意向」とか「決断」とかいう内面的事実を、メディアは一体どのように確認したというのでしょうか。さまざまな周辺情報(増税に備えた経済政策の検討を指示した等)から「決断している可能性が高い」と推測できるからといって、「決断した」と断定していいはずはなかったはずです。 
もし、「決断」の裏付けを取れたなら、その根拠となる事実関係や、ソース(情報源)を読者に示してしかるべきでした。ところが、各紙の「決断」報道は、日経新聞だけが「複数の政府関係者によると」と書いたほかは、全くソースについて触れていませんでした。
これは、本当に異常で異様なことでした。最近の大手新聞は、発行部数がかなり減っており、そもそも8%増税のときも、できるなら軽減税率を適用して欲しいというのが本音でした。ご存知のように、それは単に間に合わないという理由で、見送りされました。

10%増税では、何がなんでも軽減税率適用をと考えていた大手新聞にとっては、これは財務省の裏切り以外の何ものでもありません。

浅ましいといえば、浅ましいのですが、それにしても、財務省のために増税すべきと報道してきたのに、 肝心要の新聞への軽減税率の約束は反故にされたわけですから、恨み骨髄というところだと思います。

こんことから、もう、新聞がかつてのように狂ったように、増税の連呼をするということはないでしょう。それどころか、もう財務省の手にのらず、手のひらをかえしたように、まともな報道をして、今度は減税すべきなどと報道し始めるかもしれません。

第二には、そもそも増税する必要性は全くないということがあります。それに関しても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
税収上ぶれで国庫収支改善 「国の借金」1054兆円だが資産も653兆円―【私の論評】日本国借金まみれ説は、財務省と追従者が築く馬鹿の壁(゚д゚)!
 

この記事では、あらゆる方向性から、増税する必要性など全くないことを掲載しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を掲載します。
以上のような考え方をすれば、日本政府は決して他国に比較して、借金まみれではないことが良く理解できると思います。

日本国借金まみれ説は、奇妙奇天烈、摩訶不思議な論理であり、とても受け入れることはできない戯れ言に過ぎないことがわかります。そうして、これを理解すれば、8%増税は必要なかったし、10%増税などとんでもないという結論になります。

それにししても、財務省はこのような戯れ言で、本当に日本借金まみれ説をすべての人に信じこませることができると思ったのでしょうか。私のように経済に疎い人間でも、上記のようにこのような戯れ言は受け入れらないのですから、まともな経済学者などはこのようなことは、すぐに見破るどころか、最初からわかりきったことだと思います。

日本国借金まみれ説は、財務省およびこれに追従する識者が築く馬鹿の壁に過ぎないのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
財務省の官僚はこのようなことは、良く知っていると思います。しかし、そのようなことは、おくびに出さず、新聞や識者、政治家などの増税の正当性を主張してきたし、これからもそうすることでしょう。何のためかといえば、財務省益のためであり、国民や政府がどうなろうと、自分たちによる税金の配賦権を強化し、権力を掌握しつづけるためです。結局政治だ何だといっても、予算がすべてで、政治家も他省の官僚も予算がなけば何もできません。

第三には、経済成長なくして財政再建なしという事実があります。日本のGDPの60%は個人消費によるものです、増税すれば、個人消費が冷え込み、経済成長ができなくなり、結局のところ税収も減ります。増税すれば、増税したばかりの年などは、一時的に税収が増えることもありますが、次の年あたりから消費がかなり減り、税収はもかなり減ります。

これについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済成長なくして財政再建なし 歳出カットのみ主張なら財務省の術中―【私の論評】財務省・内閣府の嘘吐き官僚には、徹底した報復人事を行い、政治主導を達成せよ(゚д゚)!
各国の名目GDP成長率 (1997-2012)
出所:IMF WEO Apr 2013 縦軸:パーセント
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、増税などしなくとも、金融緩和だけしていれば、税収弾性値とGDPデフレーターの計算をまともにするだけで、2020年から23年度ぐらいには財政再建はできてしまうという見込みは十分になりたつことを掲載しています。

第四には、大勢の識者が8%増税の影響は軽微としていたにもかかわらず、実際に蓋を開けてみれば、甚大な影響がありました。これからもどうなるかは、わかりません、結局のところ2015年は全体でマイナス成長ということも十分ありえます。

そんなときに、10%増税をししまえば、さらに消費は冷え込むことは、はっきりしています。考えてみてください、10%増税といえば、非常に計算しやすいです。1000円の10%は、100円、10000円のそれは、1000円、10万円のそれは1万円です。これは消費者の心理にかなり大きな影響を及ぼし。経済は致命的な打撃を受けます。

そうなれば、増税時の政権が安倍政権であれ、他の政権であっても、政権が崩壊するのは必至です。そんな冒険を侵す必要性などありません。

それに、上で述べていた選挙対策という第五の観点もあります。

以上五つの観点から、10%増税は見送られる可能性がかなり高いどころか、私自身は100%そうだと踏んでいます。これだの観点から見て、増税はすべきではないのに、実施してしまえば、本当に愚かしいことだと思います。

それにしても、大手新聞は、財務省から裏切られても、増税すべきという愚かな報道を続けるのでしょうか。そうして、来年の選挙が衆参同時選挙となり、自民党の公約の一つに増税見送りがなったとしたら、またぞろ「大義なき解散」などと馬鹿げた報道をするのでしょうか。そうだとすれば、本当にジャーナリズムとしての、プライドも能力もなく、愚かとしか言いようがありません。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月9日水曜日

「イスラム国」が習政権に“宣戦布告” ウイグル周辺に中国語で聖戦呼び掛け―【私の論評】国境溶解で、中国はISの侵入を防ぐことは困難、崩壊の序曲がはじまる(゚д゚)!

ISは中国を新たな標的に定めたのか 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

過激派組織「イスラム国」(IS)は9日までに、中国語でジハード(聖戦)を呼び掛ける音声の声明をインターネット上で発表した。中国語による呼びかけは初めてとみられる。中国国内にはイスラム教徒が2000万人以上いるとされ、ISが習近平国家主席率いる共産党政権に“宣戦布告”したともいえそうだ。

音声は約4分間の宗教歌。中国の標準語である北京語で歌われており、題名は「われらは聖戦士」。「戦場で殉死するのはわれわれの夢だ」「武器を取れ」などと呼び掛けている。

ISは先月、人質として拘束していた中国人を殺害したと発表した。中国政府は対テロ対策を強化する方針を表明しており、同組織が対抗して中国での活動をてこ入れする姿勢を示した可能性もある。

ISに殺害された4、8歳のノルウェー人オレ・ヨハン・グリムスガールド・オフスタッドさん
(左)と、50歳で北京生まれで
コンサルタントを職業としていた中国人のファン・ジンフィさん
 中国には、ウイグル族や回族、カザフ族、トンシャン族など、イスラム教を信仰する民族が10ほどあり、大部分が中国西北部に集中している。共産党政府によるウイグル弾圧は知られているが、他のイスラム教徒に対する管理・統制も強化している。

香港系週刊誌「鳳凰週刊」は昨年8月、《イスラム国/数年後に新疆ウイグルの占領を計画/中国を『復讐ランキング』1位に》という記事を掲載した。IS幹部が、共産党政府によるウイグル弾圧に怒り、中国を潰すと報復宣言をしたという衝撃的な内容だった。
現に、ISには、ウイグル族を中心に数百人の中国人が参加し、戦闘訓練を受けて帰国した若者が多数いるとされる。ウイグル周辺に「アジア版イスラム国」を建国する計画があるとの情報もある。

中国情勢に精通する元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「中国語による音声声明が事実なら、『ISによる習政権への宣戦布告』といえる。これから、中国ではホームグロウン(自国育ち)テロなど、さまざまなことが起こる」といい、続けた。

元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏
 「中国では近年、イスラム教徒だけでなく、キリスト教徒への弾圧も強まっている。環境汚染や格差拡大、汚職など、一般大衆の不満も高まっている。中国の歴代王朝は宗教的な大衆の反乱で崩壊している。宗教的な呼びかけは影響力が強い。ISで戦闘訓練を受けた者が中核となって、混乱を引き起こす可能性は十分ある。習政権は戦々恐々としているだろう」
【私の論評】国境溶解で、中国はISの侵入を防ぐことは困難、崩壊の序曲がはじまる(゚д゚)!

ISが中国を標的にするであろうことは、以前にもこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)


詳細は、この記事に掲載した、上の動画をご覧いただくものとして、この動画で佐藤優氏が述べている内容を以下に簡単にまとめておきます。
上の動画で佐藤優氏は、中国の海洋膨張は終わるとしています。なぜかといえば、それどころではない状況が、中国に起こっているからです。それは、東トルキスタンと言われる、現在は中国領である新疆ウィグル自治区、その他キルギスさらに、カザフスタンの東部を含む地域には、すでにイスラム国の影響が及んでいるからです。 
佐藤氏にいわせると、中央アジアに第二イスラム国ができるあがるのは、時間の問題であるとしています。現状は、イスラム国から随分とテロリスト・グループが入っており、キルギスあたりでは統治不能の状態になっているそうです。そうして、新疆ウィグル地区にも相当過激派が入っている状態になっているそうです。
上の記事は、今年の6月30日のものです、以前にもこの中国の危機をこのブログに掲載したことがあります。以下は、今年7月8日のものです。
【スクープ最前線】習主席“暗殺テロ”情報 ウイグル周辺で不穏な動き…「イスラム国」と連動か ―【私の論評】迫る第二イスラム国の脅威!株価下落の中国にさらに追い打ちをかける悲報(゚д゚)!
習近平は第二イスラム国の脅威を跳ね除けることができるだろうか?
これも、以下にこの記事から一部、コピペします。

 だが、驚かないでいただきたい。その中国で、尋常ならざる事態が発生している。以下、複数の日米情報当局関係者から得た情報だ。
 「6月25日午前、『習氏に何かあった』という緊急連絡が入り、情報当局が慌てた。現地協力者が調べると、習氏はその時間、移動中だった。翌26日、中国軍幹部の間で『習氏への暗殺未遂テロがあった』という情報が流れた」 
 その26日が興味深い。何があったか。フランスとチュニジア、クウェートで、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の関係者の犯行とみられるテロ事件が相次いで発生したのだ。爆破や銃撃戦で約70人が犠牲となった。
 そして、情報当局者らは次のような驚愕すべき分析を行っている。
 「習氏は5回以上、命を狙われた。犯人は、敵対する軍や公安勢力といわれるが、今回は違う。イスラム国と連動した可能性がある。なぜなら、イスラム教徒が多く住み、中国当局が弾圧を加える新疆ウイグル自治区周辺で近々、『アジア版イスラム国』建国が本格化しているからだ」
 「情報では、イスラム国で戦闘訓練を受けて帰国したウイグル族の若者数百人が中核となって動いている。武器や弾薬、自爆テロ要員など、戦闘態勢も整っている。今後、習氏を狙ったテロが多発するのは間違いない。航空機ハイジャックによる自爆テロも否定できない」

 以下は、1月15日のものです。
「イスラム国」“報復テロ”におびえる中国 弾圧で国外逃亡のウイグル族が合流―【私の論評】少数民族抑圧政策により、ここ数年毎年暴動が年平均10万件以上発生する中国で、イスラーム過激派のテロは苛烈さを極めることになる(゚д゚)!
新疆ウィグル自治区の暴動における犠牲者 写真はブログ管理人挿入以下同じ
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部以下にコピペさせていただきます。
 「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件を受け、中国政府は国内にテロが“飛び火”することへの警戒を強めている。中国では、ウイグル族に対する弾圧政策の結果、イスラム教徒らの国外逃亡が相次いでおり、出国後に「イスラム国」に合流するケースも少なくないとされる。中東でテロのノウハウを学んだ者が帰国し、中国当局への「報復テロ」に打って出る可能性が現実味を帯びているのだ。 
 「習近平国家主席体制になって、ウイグル族への弾圧は激しさを増している。新疆ウイグル自治区にはイスラム教徒が多く、耐えかねて、逃げ出した人々の中には、『イスラム国』に加わる者もいるようだ。こうした人々が報復してくることは十分に予想される」 
 中国事情に詳しい評論家の石平氏はこう指摘する。 
 石平氏は「中国にとってイスラム国によるテロは人ごとではなく、当局も警戒し始めている」と語る。 
 当局が危ぶんでいるのは国内でのテロだけではない。中国はイラクなどに巨大な石油利権を持っており、中国が開発する油田などがテロの標的になる可能性も否定できないからだ。
これだけ複数の筋から、ISが中国を標的にしていることが指摘されているわけですから、これはもう間違いないと見て良いでしょう。

そうして、中国は、このISを防ぐことは非常に難しい特殊事情があります。それは、国境溶解という現実です。これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、国境溶解に関する部分のみ以下にコピペさせていただきます。
国境の溶解現象とは、中ロ国境を中国人が多数超えてロシア領内に入り、様々経済活動をしているため国境そのものが曖昧になっていることをさします。 
黒竜江とウスリー江を挟んだ対岸は、中国有数の農業地帯であり、 渤海、金以来のさまざまな民族の興亡の地として歴史に残る遺跡も多いです。 わずかに川ひとつ隔てただけで、一方は衣食を外からの供給に仰ぎつつ資源を略奪しつづけ、 年々人口を減らしつづけているシベリアであり、一方は年々人口を急増させつつある 黒龍江省です。 
ロシア側の、全シベリアの人口を総和しても、数十分の一の面積しかない黒龍江省の半分にしかならないのです。この救いがたい落差は、 つまるところ社会的な圧力になります。ソ連政府はだからこそ国境地帯に厳しい軍事的な緊張を 作り出すことによって、中国からの圧力に対抗していたといえるでしょう。
 国境を挟んだ中国側の吉林省、遼寧省と北朝鮮、 内モンゴル自治区とモンゴル、新彊とカザフスタンおよびウズベキスタン、中国の雲南省とミャンマー、 中国の広東省とベトナムなどを比較してみると、常に面積の少ない中国側の各省が人口ではるかに勝っていることがわかります。
 この明白な不均衡こそが、国境を超えて大量の中国人が流出あるいは進出しつつある 根本的な原因です。この点から言えば、シベリアも例外ではないばかりではなく、 最も典型的なものです。ソ連の軍事的圧力が解消し、 国境貿易が開始されたことは、この過程を一気に促進させました。

中越国境の橋
 ソ連の崩壊によってシベリアのロシア人社会は、直ちに危機に陥いりました。 政府は給与を支払うことができず、多くの労働者が引き上げていきました。 シベリアに市場はなく、シベリア鉄道もいたるところで寸断されようとしていました。 だから、中国からの輸入が不可欠のものとなりましたが、一方で中国に売り渡すものを シベリアのロシア人社会は何も持っていませんでした。その結果、 中国人がシベリアに入り込んできて、役に立つものを探し出し、作り出してゆくしかなくなりました。
こうして、国境溶解が進んていきました。この国境溶解は、無論中国にとっては、軍事的脅威がなくなったことを意味します。
特に現在のロシアは、ご存知のようにウクラナイ問題を抱えており、中ロ国境にソ連時代のように゛隊規模な軍隊を駐留させておけるような余裕はありません。
かつてのソ連の脅威がなくなったどころか、国境溶解でロシア領内にまで浸透できるようになった中国は、この方面での軍事的脅威は全くなくなったということです。
各地で軍事的な脅威がなくなった中国は、これら国境地帯にかつのように大規模な軍隊を派遣する必要もなくなり、従来から比較すると経済的にも恵まれてきたため、海洋進出を開始刷るだけの余裕を持ち、実際に海洋進出を始めました。
この国境溶解現象は、上では、ロシアと中国の国境について掲載しましたが、実は、多かれ少なかれ他の国と中国との国境でも発生しています。

国境を超えて、中国人や外国人が大勢出入りするようになり、国境での決済においては、人民元が用いられるようになりつつあります。だからこそ、最近では元を国際通貨として認める動きもでてきているのです。先日もこのブログには、人民元がSDRに採用されたことを掲載したばかりです。

今までは、国境溶解は中国にとっては、良いことでした。他国との国境付近の中国は、貧困地帯が多いのですが、国境溶解はこれらの地域の人々にとっては、福音でもありました。中国内では僻地ですが、国境を超えさえすれば、すぐ近くにまだ手付かずの市場が市場があり、様々な物品を販売することが可能だったのです。

しかし、今回のように、ISが中国に宣戦布告しとなると、この国境溶解が裏目に出ます。人々が自由に往来できるということは、テロリスや武器も自由に往来できるということです。

さて、中国は、これにどう対応するのでしょうか。国境を封鎖するのでしょうか。あるいは、それを実施するにしても、中国と他国の国境線はとてつもなく長いです。これを完璧に取り締まるには膨大な人員が必要です。

どこかで、取り締まりを強化すれば、別のどこかが疎かになるということで、これはなかなか困難です。それに、中国と他国の国境は、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、チベット自治区などの自治区が多いです。

これらの自治区には、無論のことイスラム教徒が大勢いるところもありますし、そうではなくても、中国政府に迫害を受けた人々が大勢住んでいます。

それに、これらの地域に住む人々には、自分たちが中国人という自覚もありません。そうして、特に遊牧民など、昔から国境など関係なく、自分たちの行きたいところに行くといのが当たり前です。

こうしたことから、ISを積極的に支援したり、国境を通過させたり、そこまでしなくても、黙認するということになると思います。そうなると、中国はこれに対処することはなかなかできません。

多くの人員や、武器がやすやすと国境を超え、中国に入国することになります。

現在、経済的にも社会的にも疲弊している中国、ISとも対峙しなくてはないないとすると、上の動画で佐藤優氏が述べていたように、南シナ海や東アジアへの海洋進出などやっている場合ではなくなります。

国内では、毎年10万件にも及ぶ、暴動に対処して、国境では、ISと対峙しなければならないことになります。このようなことには、さすがに中国も耐え切れなくなるものと思います。

行き着く先は、現体制の崩壊です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月8日火曜日

普天間飛行場跡地にディズニーリゾート 菅官房長官「全力で誘致」―【私の論評】いかれ左翼にはできない、沖縄振興の望ましい形(゚д゚)!


菅官房長官(右)に、米軍普天間飛行場の跡地利用についての
要望書を手渡す沖縄県宜野湾市の佐喜真淳市長=8日午後、首相官邸
沖縄県宜野湾市の佐喜真淳市長は8日、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、米軍普天間飛行場(同市)の跡地利用の一環としてディズニーリゾートの施設を誘致するため、優遇措置を含めた政府の支援を要請した。菅氏は「政府として全力で誘致実現できるようにと誓いたい」と応じ、前向きな姿勢を示した。

 菅氏はその後の記者会見でも「宜野湾市の強い要望の橋渡しなど全面的に協力していきたい」と強調した。佐喜真氏らは会談後、記者団に対し、東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)を運営するオリエンタルランド幹部と今月2日に面会した際、同社側も「前向きに検討したい」と応じたことを明らかにした。

 沖縄県では、北部地域に米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」を誘致する構想もあり、菅氏は相乗効果について「ものすごく大きい」と評価した。

【私の論評】いかれ左翼にはできない、沖縄振興の望ましい形(゚д゚)!

菅氏が宜野湾市の佐喜真淳市長協力姿勢を示した背景には、沖縄振興や基地負担軽減への取り組みをアピールし、名護市辺野古移設への沖縄県内の理解を促したい狙いがあるのだと思います。

会談後、菅氏は記者会見で、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの幹部を佐喜真氏に紹介したことを明らかにしていました。

これは、なかなか良い案だと思います。最近だと、本日は沖縄に龍柱が立ってしまうという馬鹿げたことが残念ながらおこってしまい忸怩たる思いがしていました。

それについては、以下のリンクをご覧になってください。
姿を現した2体の龍柱 那覇で設置工事完了 「翁長市政」で推進 中国向け?事業に批判も
設置された龍柱=7日、那覇市若狭

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部引用させていただきます。
 沖縄県の翁長雄志知事が昨年10月まで務めた那覇市長時代、沖縄振興一括交付金の活用を計画して進めたシンボル像「龍柱(りゅうちゅう)」が那覇市内に姿を現した。 
 龍柱は高さ約15メートル、幅約3メートルの2体の龍の形をした柱。那覇市が中国・福州市との友好都市締結から30年の記念事業として平成24年度に設置を決定し、旅客船の停泊場所近くに置いた。
 龍柱事業をめぐっては、中国産の石材を使って中国の業者が製作し、事業費も中国側に流れるため、交付金事業としてふさわしくないとの批判があがっていた。 
 龍は元来、中国皇帝の権力の象徴とされている。「5本爪」の龍の図柄は中国皇帝のみが使用でき、朝鮮など中国の冊封体制に入った周辺諸国は「4本爪」を用いてきた歴史がある。琉球王朝も冊封を受け、首里城の龍柱は4本爪。設置が進められている今回の龍柱も4本爪となっている。
このような龍柱を多額の経費を中国の業者に支払って、日本にとって、沖縄県民にとって、何のメリットがあるというのでしょうか。龍柱が何か生み出すことはありません。それよりも、まるで、沖縄が中国の属国であることを示すシンボルのようではありませんか。

しかし、ディズニー・ランドや、ユニバーサル・スタジオがたてば、無論経済効果はありますし、それに地元に雇用が生まれます。特に普天間の跡地では、基地の雇用が喪失しても、ディズニー・ランドの雇用が生まれるということで、非常に良い話です。

宜野湾市の佐喜真淳現市長は、翁長氏が那覇市長時代に残した負の遺産ともいえる、龍柱建設とは、180度方向性が異なる、前向きなプランを考えたということで素晴らしいことだと思います。

それにしても、翁長氏の龍柱はいただけません。もし翁長氏のように親中派の立場だったにせよ、どうせ、何かやるのだったら、このようなことを実行して、中国などから観光客を多数呼び込めるものを設置して、その一貫として龍柱も立てるというようなことをすべきだったと思います。

翁長氏の行動をみてみると、沖縄県民のことなど本当はどうでも良く、ただただ、中国二媚を売っているようにしかみえません。本来なら、媚を売るにしても、何らかの形で沖縄にメリットがあるように中国に働きかけるべきと思いますが、そんなことはせず、ひたすら単なる媚中行動を繰り返しています。

しかし、翁長氏のようなことをしても、本当の意味で沖縄県民からの支持は得られないと思います。

しかし、翁長氏が龍柱を建立するなど馬鹿真似を繰り返してくれたので、ある意味かえって良かったと思います。

下手に、中国から観光客を多数呼び寄せるような、まともなことを実行し、実際にそれで沖縄県民の懐が潤うになれば、さらに沖縄が中国に近い存在になったかもしれません。

まあ、現実にはそんなことはあり得ないとは思います。なにせ、中国の対外投資など、世界中のあちこちで、結局失敗し、結局中国人の労働者が入り込み、地元にはほとんどメリットがなく、地元の人から嫌われているというのが、現実ですから、沖縄が中国に接近したとしても、結局はそのようになり、民心は離れることになると思います。



沖縄にディズニー・ランドとは、これはなかなか良いです。そもそも、気候が年中暖かいので、真冬でも多くの客が集まるのではないかと思います。それに、沖縄自体がもともと観光地であり、そこにディズニー・ランドや、ユニバーサル・スタジオができれば、さらに観光地としての魅力が増します。

それにご存知のように、普天間基地には、住宅街などが隣接しているため、人里離れたところではなく、住宅密集地のところにできるわけですから、当然のことながら、アクセスも便利だし、ショッピングやグルメも期待できます。

なかなか良いアイデイアですので、一日もはやく実現していただきたいものです。

そうすれは、地元の方々も、本州方面から行く暇な年寄りどもの、デモや座り込みなどを見なくてもすむようになります。

このようなことがどんどん推進され、市街地などには、このような施設が設立され、基地は人里離れたところに移るようになり、左翼どもは、人里離れたところに集まるようになり、市街地などには、観光客が集まるようになります。そうして、いずれ龍柱は、馬鹿の壁の象徴となり、左翼とともにその存在そのものが忘れ去られることになります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月7日月曜日

米軍機レーザー照射 逮捕男、照射ほのめかす書き込み認める―【私の論評】かつて理想の共産主義を実現した日本で、未だ存在するソ連、中国礼賛の愚かしさ(゚д゚)!


12月7日(月)20時2分配信帽子を目深にかぶり、マスク姿で警察車両に乗せられる男

沖縄・普天間基地周辺で、上空を飛行するアメリカ軍機に、レーザー光とみられる強い光線が照射された事件で、写真家・平岡克朗容疑者(56)が7日に逮捕された。

平岡容疑者は、「レーザーか何かの話ですか? 今おっしゃったのは。それは、何か問題になってるんですか?」と話した。

FNNは、逮捕前日の6日、平岡容疑者に電話インタビューを行い、その行動をただした。

平岡容疑者は、「去年でしたかね、頻繁に起きているってことを書いた時に、ネタとして書いた記憶がある。俺も、普通に仕事のレーザーポインターを持っているけど、みたいな話から始まって、じゃあ、やってやろうじゃないかみたいなノリのネタは、確かにありました」と話し、平岡容疑者は、レーザー照射をほのめかす内容のブログを以前書いたことを認めた。

平岡容疑者は、2015年7月1日午後9時すぎ、普天間基地の周辺上空で飛行訓練中のアメリカ軍ヘリコプターに、緑色の光線を照射した威力業務妨害の疑いが持たれている。

警察は、2014年7月からの1年間で、あわせて6回のレーザー照射を確認。

平岡容疑者のものとみられるフェイスブックには、2015年9月、「打倒!! 軍国主義 打倒!! 日米同盟 そして平和の基本は日露友好」などの書き込みも残されていた。

日米同盟に批判的なメッセージ。

そうした記述については、「基地とか戦争とかは反対していて、キャラクターを作っている仕事をしているので、それに基づいて、そういうネタは、確かに書いたことはあります。現実に人さまに迷惑をかけて、何か面倒くさいことを起こすような立場でも、いい大人なので、ありませんので」と話していた。

たなびく、旧ソ連国旗。

車や表札には、ロシア語が記され、自宅は、外壁が見えないほど植物に覆われていた。

また車内には、モデルガンのようなものも。

警察は7日、平岡容疑者宅の家宅捜索を行い、レーザーポインター数点や、パソコンを押収した。

目に直接当たれば、最悪の場合、視力の低下や、失明のおそれもあるレーザー光線。

これまで、航空機事故には至っていないものの、その危険性を元パイロットは指摘する。

航空評論家・小林宏之氏は、「パイロットが着陸寸前の時に、レーザー照射された場合、注意力がそがれた場合は、飛行機が不安定になる。場合によっては、悪いことが重なった場合は惨事に至るということで、非常に危険だということ」と語った。

警察の調べに対し、平岡容疑者は、「レーザーポインタを照射したことは間違いありません」と容疑を認めていて、警察は、動機の解明などを急いでいる。

【私の論評】かつて理想の共産主義を実現した日本に、未だ存在するソ連、中国礼賛者の愚かしさ(゚д゚)!

さて、平岡容疑者の容疑は、単にレーザー照射をしたということではなく、レーザー照射をして、結果として米軍の訓練を中止させたことということです。

ブログ冒頭の平岡の写真をよく見るとCCCPのパーカーを着用しています。これって、若者ファッションで流行っているアイテムではありませんか。下に、これに近いパーカーをサイトで調べて、貼り付けてみました。CCCPとは、ソビエト社会主義共和国連邦のロシア語表記による略称。正しくはラテン文字のC(シー)とP(ピー)ではなく、キリル文字のС(エス)とР(エル)の組み合わせであり、Союз Советских Социалистических Республикの略(ラテン文字転写:Soyuz Sovyetskikh Sotsialisticheskikh Respublik, SSSR)。


ブログ冒頭の記事にもあるように、自宅には旧ソ連の旗がひらめいていたりいたりして、何やら、旧ソ連に思い入れがあるようです。

さらに、平岡のFacebookと思しきものをみてみました。こちらでは、"クラタノフ セルゲイ"をハンドル・ネームとしています。そのリンクを以下に掲載しておきます。


ブロフィール用の写真として、以下が貼られていました。


 フェイスブックなどのSNSではあまり活動していなようで、フェイブックのコメントをも以下のようなものしかありませんでした。

それから、フェイスブックのお友達としてしは、やはり福島みずほがいるのを確認できました。



平岡容疑者は「ヒラオカノフスキー・クラタチェンコ」の名前で、台湾出身のタレント・インリンオブジョイトイさんのプロデュースなどを行っていました。現在では、女性向け衣料品の販売などで生計を立てているとみられ、数年前に東京から沖縄に移住していました。
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 写真左、平岡容疑者 写真中央、福島みずほ
平岡容疑者のものと見られるブログにはインリンさんとのツーショット写真も多数掲載。自民政権やアメリカ政府への中傷、中国やロシア、共産主義を肯定する文言が書き込まれ、社民党・福島みずほ氏を応援する内容も、福島氏との写真と共にアップされています。
インリン・オブ・ジョイトイ
それにしても、動機が良く理解できません。そもそも、滅亡したソ連に思い入れがあるというのもほとんど理解できません。

そもそも、平岡は、かつてソ連のゴルバチョフ書記長が以下のように語っていたのを知っているのでしょうか。
「日本は世界で最も成功した社会主義国だ」
旧ソ連最後の書記長 ミハイル・ゴルバチョフ氏
無論これは、1990年代までの日本のことです。1970年代には、当時のソ連の経済学者が、資本主義を勉強するため、日本に来たのですが、「日本は共産主義国家なので、参考にならない」として、すぐに帰国しています。

ソ連崩壊直前には、当時のソ連の経済学者が、「我々の共産主義は失敗した。この地球上に理想的な共産主義を実現している国はないかと探してみたら、存在していた。それは日本である」と述べています。

今の日本は、かなり薄れてはいるのですが、当時の日本は以下のような特徴がありました。

1.国の主要部分が国営であったこと(鉄道・通信・塩など)

2.国家の企業に対する影響度が強いこと
企業が外貨で購入するのにいちいち国の許可が要りました。たとえば、HONDAが設備を輸入するのに間に輸出も行っている大倉商事に入ってもらって通産省と交渉するなどのことがありました。ビジコムがインテル(あのCPUのインテルです)にマイクロプロセッサの開発の費用を払うときにかなり通産省に責め立てられたということもありました。 
これは当時日本はまだ債務国(日本の黒字は1982年から)である日本としては仕方のないことだったかもしれません。また、行政指導という名の法的根拠に基づかない政府による命令もありました。
3.国家権力(官僚)の力が強い

 これは政治家の無能をカバーする役割もありました。

これら3つにより、日本は網の目のように規制があり、とても資本主義国家と素直に呼べるようなものではありませんでした。

とはいいながら、日本はその当時共産主義国家と呼ばれていた国々と比較すると、経済では奇跡の高度成長を成し遂げ、社会的にも他の共産主義国家より、はるかに自由で、何よりも「一億総中流」と呼ばれたように、平等な社会を実現していました。

無論、これはそのまま続くということはなく、金融ビッグバンなどから始まり、様々な規制が解除され今日に至っています。とはいいながら、その時々の時代で、時代に適した政治・経済・社会体制というものがあるというのも事実で、古代に現代の民主主義を適応しようとしても、無理だと思います。

日本型共産主義は、確かに1980年代あたりまでは、それなりに良く機能してきたと思います。

中国は、1970年代に当時の鄧小平主席が日本を訪問して、日本の経済成長をみて驚愕し、事実上共産主義を捨て去り、国家資本主義の道をひた走りました。ただし、彼らは日本の経済発展のみ参考にして、社会は全く省みませんでした。結局彼らは、理想の日本型共産主義は、参考にしませんでした。

私は、平岡容疑者のような人間を見ると、いつも思うのが、とうの昔にソ連とその共産主義は崩壊しているし、中国などとっくの昔に共産主義などやめて、国家資本主義に転向しているにもかかわらず、共産主義もしくは、その体制を運用していた、かつての大失敗したソ連や、現在大失敗している中国などに思い入れを持つという行為の馬鹿馬鹿しさです。

無論、その当時の芸術や、文学、ファッションなど、その次代背景を知った上で、それらに思い入れを持つというのは、個人の自由ですし、それが悪いなどとは思いません。しかし、それとその社会・経済・政治体制などを肯定して思いいれを持つということは別次元のことです。

ソ連で、失敗した共産主義をかつての日本は、ソ連のゴルバチョフや、政治学者らが、理想の形のものにまで発展させていたとかたっていた、日本型共産主義の存在というものがあるのに、未だにソ連や中国に入れあげるというその精神構造が全く理解できません。

そうして、それが、平岡容疑者などに及ばず、多くの人々が未だ共産主義や、ソ連、中国の幻影に酔っているということが全く信じられません。

理想の共産主義国家日本で起こった浅間山荘事件

そうして、1970年台あたりまでは、理想の共産主義国家である日本にいながら、本気で共産主義革命がおこると信じていた人たちがいて、その人たちが未だにそれを捨てきれないでいるという事実に忸怩たる思いがします。

社会がかわり、世の中が変われば、古いものはを捨て去らなければ進歩はありません。古い体制など、機能しないようなものは、すぐにでも捨て去り新しいもの、時代に即したものに変えなれば、ソ連や中国のように大失敗するのは必定です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思わますか?

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