2016年2月16日火曜日

安倍自民党に塩を送る民主党 お家芸の内ゲバ体質変わらず ―【私の論評】次の選挙で民主党は、PKO法案後の選挙で姿を消した社会党と同じ轍を踏む (゚д゚)!



民主党の参院ポスター

 『週刊文春』が報じた金銭スキャンダルで辞任した甘利明・経済再生相。疑惑の渦中に民主党は〈民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい〉という自虐的なコピーの参院選ポスターを発表し、岡田克也代表自身、代表質問(1月26日)で安倍首相を相手にこう懺悔した。

 「2009年夏、私たちは政権を担うことになりました。(中略)いろいろ足らざる点はありましたが、何よりも、日本が直面している困難に立ち向かい、説得し、乗り越えるだけの覚悟が足りなかったことを深く反省しています」

 いくら安倍政権が金権まみれでも、野党第一党の党首が、「困難に立ち向かう覚悟がなかった」と告白するのだから、国民は期待したくてもできるはずがない。結果、甘利辞任後の各社の世論調査では内閣支持率が2~8ポイント上昇するという異常事態を招いた。

 夏の参院選に向けても、岡田民主党は「負ける準備」を着々と進めている。参院選ではこれまで全選挙区に候補者を立ててきた共産党が「安保法制廃止」を掲げた野党の選挙協力体制を条件に独自候補擁立を見送る方針を打ち出した。民主党にすれば、死に票となるはずの共産党の「700万票」が転がり込む千載一遇のチャンスだった。

 だが、岡田氏は「共産党と組めば票が逃げる」と排除の論理で協議を拒否してしまった。

 新潟選挙区では野党の候補者一本化調整が進められるなか、公認候補を決めていなかった民主党が突然、現職衆院議員の菊田真紀子氏の鞍替え出馬を決定。自ら乱立に拍車を掛け、野党共闘はほとんど不可能な状況に陥っている。まさに安倍自民党に塩を送っているのだ。

 「岡田さんに“共産党と組むな”と圧力をかけているのは連合サイドだ。連合はアベノミクスの恩恵を受ける大企業労組の発言力が強く、原発再稼働、TPP、消費税10%という安倍路線に賛成の立場だから、反自民勢力の結集を妨害したい。それが薄々わかっていても、民主党は選挙もカネも労組におんぶに抱っこだから岡田執行部は逆らえない」(民主党元議員)

 さらに党内で参院選大敗を待ち望んでいるとみられるのが前原誠司氏、細野豪志氏らの右派勢力だ。

衆院本会議中、話し込む細野豪志環境相(左)と前原誠司政調会長=2012年8月2日午後、国会
(肩書は当時)
 「右派は参院選敗北後に解党して保守主義新党をつくり、安倍政権と憲法改正で共同歩調をとろうとしている。岡田さんに勝たれては困るから、共産党排除を唱えている」(民主党中堅議員)

 この党のお家芸である内ゲバ体質は政権を失っても変わらないのだ。永田町取材に精通したノンフィクションライター・常井健一氏は呆れ顔だ。

 「本来、健全な野党があれば政権に不祥事が起きたときに内閣支持率が下がり、与党は国民の支持を失うのが怖いから反省して行動を改める。

 しかし、民主党は野党になっても党内抗争に明け暮れ、それを有権者に見透かされているから政権批判の受け皿になれない。これでは自民党はスキャンダルが出ても怖くないと安心して一層傲慢になる」

 こんな民主党、いっそ解散して消滅してしまっても構わないと思っている有権者は少なくないはずだ。
 ※週刊ポスト2016年2月19日号

【私の論評】次の選挙で民主党は、PKO法案後の選挙で姿を消した社会党と同じ轍を踏む
(゚д゚)!

最近の民主党はまるで、週刊文春の下請けのような有様です。政策論争そっちのけで、週刊誌のスキャンダルネタで与党に対峙しようとしていることは、すでに多くの国民が見抜いています。これも手伝って、ブログ冒頭の記事にあるように、甘利大臣の問題があったにもかかわらず、内閣支持率はあがっても、民主党の支持率は微動だにしないという異常事態を招いてしまったのです。

昨年の民主党で目立った動きといえば、安保法案に対する「戦争法案」というレッテル張りでした。安保法の本質は、①同盟関係の強化により戦争リスクを最大40%減らし、②自前防衛より防衛費が75%減り、③個別的自衛権の行使より抑制的(戦後の西ドイツの例)になるという点です。これについては、高橋洋一氏の記事をご覧いただければ、その詳細がおわかりになると思います。(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44375)。

それにもかかわらず、民主党はまったくトンチンカンで、「戦争法案」との誤ったレッテル貼り一辺倒でまともな国会審議ができませんでした。これでは極左政党と何ら変わりはないです。民主党内でも意見は対立、良心的な松本剛明氏が離党し、比較的まともな党内右派はだんまりを決めてしまいました。

そうして、これはあの社会党のPKO法案成立のときの、牛歩戦術などを彷彿とさせます。彷彿というより、やり方が違うだけで、民主党のやり方は本質的にこの時の社会党のやり方と変わりません。

1992(平成4)年6月6日、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)協力法案に反対する社会党や共産党などが参院本会議で関連採決に徹底した牛歩戦術を実行しました。投票に11時間半もかけるなど4泊5日の徹夜国会となりました。衆院でも徹夜が続き社会党議員が集団で議員辞職願を出す異常事態の中、最後は自公民3党が採決をしました。

平成4年のPKO法案成立のときの国会での乱闘騒ぎ
さらに、民主党幹部のマクロ経済音痴には、目に余るものがあります。ブログ冒頭の記事には、"連合はアベノミクスの恩恵を受ける大企業労組の発言力が強く、原発再稼働、TPP、消費税10%という安倍路線に賛成の立場だから、反自民勢力の結集を妨害したい"とありますが、そもそもアベノミクスの第一の矢である、金融緩和は、EUなどの多くの国が雇用枠を広げる労働者にとって良い政策ということで、労働組合が支持する政策です。

にもかかわらず、民主党は金融緩和と雇用との関係が全く飲み込めていないようで、国会でも全く頓珍漢な質問や発言を繰り返しています。

これに関しては、このブログでも過去に何度か掲載しています。その代表的なものを以下に掲載します。
「最低賃金1000円」の目標 枝野氏は「民主党は正しかった」というのだが… ―【私の論評】また、民主党幹部のマクロ経済音痴炸裂!このままだと来年の衆参同時選挙で民主両院同時崩壊だ(゚д゚)!
民主党枝野幹事長
民主党の枝野氏は、民主党政権のときも安倍政権が掲げた「最低賃金1000の目標」にたいして、民主党もこの目標を掲げていたという強弁をしていました。しかし、これはマクロ経済的にいうと全く頓珍漢で奇妙奇天烈で、無意味な強弁としか言いようがありません。以下のその部分のみこの記事よりコピペします。
民主党政権時代、最低賃金1000円という目標があったのは事実であるが、まともな金融政策をしていなかった。その結果、傾向的に就業者数は30万人程度減少した。それに比べて安倍晋三政権では金融政策はしっかりしているので、就業者数は100万人以上増加している。 
賃金の動きは、就業者数が増加して、失業率が完全雇用状態に近づくと、急に伸びてくる。 
しかし、民主党時代は就業者数が減少していたので、そこで最低賃金を引き上げるという目標は、企業側に過度な負担を与えるだけであるので、経済政策としてはまずい。 
一方、安倍政権では、きちんとした金融政策が行われた結果として就業者数が増加しているので、賃金はおのずと上昇に向かうはずだし、最低賃金を引き上げても企業にとって過度な負担とはならず、労働者にとっても労働インセンティブ(動機付け)を増すという意味で、整合的な政策になる。
はっきりいえば、民主党時代の最低賃金目標はいいとしても、それを達成する政策手段を取り違えていた、つまり民主党の経済運営はまったく間違っていた。枝野幹事長はかつて、「経済成長のために金利を引き上げるべきだ」との見解を示していた。そのような金融政策の元で強制的に最低賃金を引き上げたら、さらに経済は悪化する。 
その証拠がある。民主党時代の2010年、最低賃金を730円、前年比2・4%と大幅に引き上げた。しかし前年の失業率は5・3%と高かったので、就業者数の増加を妨げてしまった。本来は引き上げ率を0・5%程度にとどめるべきだった。政策の無知が生んだ失敗だといえる。 
安倍政権になってから、「実質賃金ガー、下がった」とか既存の正社員たちから「アベノミクスの恩恵を受けていない」などとの声があがっていますが、それは当然のことです。金融緩和をしたからといつて、すぐに既存の正社員の給料があがったりすることはありません。

金融緩和をしてから数年かかり、雇用は改善していきます。まずは、アルバイトや非正規の人たちの雇用が増えます、そうしてこの人たちの賃金が上がります。そうなると、実質賃金の平均値は当然のことながら、下がります。

さらに金融緩和を続けていくと、今度は正社員の雇用が増えます。そうしてさらに緩和を続けていくと、正社員の賃金があがっていきます。その次に中途採用する会社では、幹部の雇用が増え、さらにその後に幹部の給料があがっていきます。

このように逐次雇用が改善していくのが、通常のパターンです。最初は、賃金の低い人達の雇用が増えるので、賃金の平均値が減るのは当然のことです。

そんなことは、会社の業績が良くなったときの会社の平均賃金を考えて見ればよくわかります。業績が良くなり、店や営業所を増やすということになると、まずはアルバイトなどの雇用を増やします。そうなると、会社全体の平均賃金はどうなるかといえば、当然のことながら下がります。

しかし、いずれ正社員や、幹部社員も増えて賃金の平均もあがつていきます。繰り返しいいますが、金融緩和で雇用が改善するにしても、最初の段階では、最初に低賃金の人たちの雇用が増えるので、実質賃金がマイナスになるのは当然のことです。

しかし、民主党の幹部はこのようなことを全く理解せずに、「実質賃金ガー」などと叫びまくるわけです。本当に、モノを知らないということはいかんともしがたいです。

それから、まともな会社に雇われている正社員で「アベノミクスの恩恵を受けていない」などとテレビのインタビューで後先も考えず、億面もなくこういうことをいう連中は、嫌なら会社を辞めれば良いと思います。

2014年12月の衆院解散総選挙の際に、安倍首相
がTBSのNEWS23に出演した際の街の声
デフレの回復からやっと、立ち直りかけている企業の状況や、勤めたくても勤められなかった人の苦労も知らず、自分たちのことだけを考えるような正社員は、まともな会社に雇用されているというありがたさを全くわかっていません。そんな見方しかできないような、正社員は会社にとっても良くない存在です。私は、このような軽薄な連中が民主党政権を生み出す原動力になったのかもしれないと思います。

さて、民主党の経済オンチぶりについての記事のリンクをもう一つ以下に掲載します。
民主党議員よ、頼むから少しは経済を勉強してくれ!~『朝ナマ』に出演して改めて感じた、日本の野党のお粗末さ―【私の論評】第二社会党の道を歩む民主に期待は無駄!本当は増税政党の自民も無理!期待できるのは今は次世代の党のみ!
これも、詳細はこの記事をご覧ください。ここでは、詳細は説明しません。ただし、この記事には民主党の議員が、グラフもまともに見ることができないようなので、視力検査の必要性があるのではいなかと思われるほどであることを掲載してあります。

さらに、ブログ冒頭の記事では、党内で参院選大敗を待ち望んでいるとみられるのが前原誠司氏、細野豪志氏の存在のことが掲載されていましたが、これもモノになりそうもありません。

民主党と維新の党との合流を前提として、前原誠司元代表や細野豪志政務会長らは民主党の解党を呼びかけています。案としてはあり得なくもありませんが、プロセスには問題ありです。前原氏はそうではありませんが、細野氏は政務会長であり、執行部の一員です。

細野氏が民主党と維新の合流を前提するような、提案をするのは問題があります。最初は、執行部で話をしてからにすべきでした。それができないというのなら、まずは総務会長を辞めて、それから提案すべきでした。

民主党岡田代表
民主党の岡田克也代表は、このような解党を求める動きに不快感を示したと言われています。これは、現実的ではないということで、来年の通常国会までに維新の党との統一会派を目指す考えを表明しています。

維新の党との統一会派結成は現実的ではありますが、これではあまりにインパクトがありません。一強の自民党、さらに強い自公連立政権に立ち向かうには全くの力不足です。
前原―細野ラインが突っ張って、どこまでも民主、維新の合流を進めれば、単に民主党と、維新の党から、このラインに賛同する数人の議員が集まり、結局民主、維新以外に中途半端な新党が成立するだけに終わりそうです。

右から江田憲司氏、松野頼久氏、細野豪志氏
それから、最近はいわゆる、高市早苗総務相の「電波停止」発言が問題となり、民主党が気色ばんでいますが、これも結局のところ、民主党にとってはブーメランとして帰ってきそうな状況です。それに関しては、以下の記事をご覧ください。
菅元首相、鮮やかなブーメラン 菅政権で言及の電波停止を「安倍政権は憲法違反」 「独裁」批判も自身はかつて容認
菅直人元総理大臣
 民主党の菅直人元首相は16日のブログで、放送局が政治的公平性を欠く放送法違反を繰り返した場合の「電波停止」の可能性に高市早苗総務相が触れたことに関し、安倍晋三政権に対して「憲法21条の国民の知る権利を侵害し、憲法に違反している」と批判した。 
 安倍首相を「独裁」とも糾弾した菅氏だが、菅政権時代にも政府見解として電波停止の可能性に言及し、菅氏自身も「独裁」を肯定する発言をしていただけに、ブーメランのような批判となった。 
 菅氏はブログで「自民党政権に都合の悪い放送は『公平性』に欠くと判断され、放送を停止させることができることになる。まさに独裁国家だ」と強調。さらに安倍首相の憲法観について「国民の権利を国家のために制約するのが憲法だという考えで、立憲主義に真っ向から反する」とし、「憲法を破壊する安倍総理を一日も早く退陣させるために何をすべきか。野党は次期国政選挙で共闘して安倍政権にあたる必要がある」と訴えた。 
 ただ、菅政権の平成22年11月、当時の平岡秀夫総務副大臣は参院総務委員会で「放送事業者が番組準則に違反した場合には、総務相は業務停止命令、運用停止命令を行うことができる」と答弁していた。菅氏も副総理時代の同年3月16日の参院内閣委員会で、「私は、議会制民主主義とは期限を切ったあるレベルの独裁を認めることだと思う」と述べていた。
本当に鮮やかなブーメランです。しかし、このブーメランは、国会で気色ばんで安倍総理や、高市総務相に質問していた民主党議員へは、無論のこと民主党にとっての大ブーメランでもあります。

とにかく、民主党はこのブーメランもそうなのですが、とにかくやることなすこと、政策論争はそっちのけで、自民党と対峙することばかり考え、とにかく安倍総理や自民党、自民党議員をこき下ろすことばかり考えているようです。

そんなことは、もう国民に見透かされています。週刊誌の下請けばかりやって、安全保障に関しても、経済に関してもまともに政策論争ができない民主党であれば、次の選挙では、社会党がPKO法案直後の選挙で消滅したのと同じく、民主党も安保法案成立直後の今年夏の参院選と次の衆院選で消滅することになります。

今のままであれば、そのほうが良いです。こんな議員に給料を支払ったり、政党助成金を支払っているのが勿体ないです。民主党の中でもまともに政策論争をするような議員は、他の党に移るか、無所属でこれからも努力していただきたいとは思いますが、そうではない議員は、もう議員になっていただきたくないです。

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<民主党>自民党政権と対決する覚悟ある人公募―【私の論評】キャッチをみれば、民主党の末路が見える(゚д゚)!




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2016年2月15日月曜日

【湯浅博の世界読解】尖閣衝突「5日で日本敗北」 衝撃シナリオに見え隠れする中国のプロパガンダ―【私の論評】内実は他先進国とは渡り合えない、儀仗兵並の人民解放軍だが?

【湯浅博の世界読解】尖閣衝突「5日で日本敗北」 衝撃シナリオに見え隠れする中国のプロパガンダ

RAND corporation(ランド研究所) 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日中衝突で「日本は5日間で敗北する」という衝撃のシミュレーションが、インターネット空間で飛び交っている。米外交誌「フォーリン・ポリシー」の1月15日号に掲載された仮想シナリオの紹介記事である。特に国防総省に近いランド研究所が実施したとの触れ込みだから、その衝撃は余計に増幅された。

原文にあたってみると、記事は2人の記者が連名で書いており、ランドが実施した詳細なシミュレーション報告ではない。本文も「ホワイトハウス地下の危機管理室ではなく、ランド研究所で専門家にたずねる形で行われた」と、ただし書きをつけている。

5日間の初日は、日本人の右翼活動家が尖閣に上陸し、中国の海警に逮捕されるという前提ではじまる。2日目は、外交か警察案件のはずが、いきなり日本が護衛艦、戦闘機を派遣し、米国が駆逐艦や潜水艦をだして中国の軍艦とにらみ合う。

3日目は、中国のフリゲート艦が射程内に入った空自機を機関砲で攻撃。交戦状態になって、海自艦2隻が撃沈される。4日目と5日目は中国がサイバー攻撃で日米の送電や証券取引システムを破壊する。米国は潜水艦と航空機を増派して、海自艦隊の撤退を支援した。かくて尖閣は中国が確保して終わる。

一読して、現実離れしていることに気づくはずである。活動家は日本の巡視船に阻まれるし、上陸できても中国側でなく日本側に逮捕される。2日目に米艦船が現場に出現した時点で、中国艦船は矛を収めざるを得ないだろう。交戦状態になっても、米軍や海自潜水艦の威力が過小評価され、米国が都市機能マヒに追い込まれて、報復に出ないことなど考えられない。

2人の記者から取材を受けたのは、確かにランド研究所のシュラパク氏で、文字通り戦争ゲームのプロだ。元来、ランドのシミュレーションは、政府関係者を招いて行われ、綿密な研究分析の上に、多様な動きを検討し、独自の裁定を下すのが通例だ。ところが、記事にはそうした周到さはみられない。

この記事に対する日本国内の反応にランドは、あくまで記者たちと東シナ海で考えられる可能性を短時間、議論したもので、ランドの公式シミュレーションではないことを強調している。

なぜいま、シュラパク氏が絡んで記者2人が、米国の「巻き込まれ脅威論」のシナリオを発表したのだろうか。結果として、「米国が小さな無人島に関与して中国との紛争に巻き込まれ、米国の国益を損なう」という中国のプロパガンダに沿ったものになっている。

最近、中国の対外宣伝は米欧紙への寄稿やシンクタンクを活用して、ソフトに語りかける手を使う。とかく世論は、目立った主張や甘いささやきに幻惑されがちだからである。この記事に効用があるとすれば、日本の安保法制に穴はないかを確認し、日米同盟の紐帯(ちゅうたい)を確認するよう促したことだろうか。

横須賀生まれの日系人である米太平洋軍のハリー・ハリス司令官
外交誌の公表から12日後、米太平洋軍のハリス司令官が講演で、尖閣防衛について「中国の攻撃を受ければ、米国は間違いなく日本を防衛する」と述べて、クギを刺したのは妥当であった。

しかもここ数年、ワシントンで発表されるアジアの戦略報告書の主流は「中国の軍事的台頭にどう対処すべきか」であることを銘記すべきだろう。(東京特派員)

【私の論評】内実は他先進国とは渡り合えない、儀仗兵並の人民解放軍だが?

尖閣に関しては、上記とは別にYouTubeでは、中国がアメリカ軍撃破というシナリオの「3D模擬奇島戦役」というタイトルの動画が掲載されています。その動画(コピー)を以下に掲載します。



この動画は、昨年9月からYouTubeに掲載されています。9月というと、中国で抗日記念70周年軍事パレードが行われました。

昨年9月3日に北京で挙行された「抗日戦争勝利70周年記念軍事パレード」と歩調を合わせて、中国艦隊がアラスカ州アリューシャン列島沖のアメリカ領海内で“パレード”し、アメリカ海軍を憤慨させたなどということもありました。 

中国のイージス艦もどきの鑑定 能力はイージス艦にはるかに及ばない

しかし、中国によるアメリカ軍人の神経を逆なでする動きはそれにとどまりませんでした。直接人民解放軍当局が発表したものではないのですが、「某軍事同盟軍が中国に奇襲攻撃を仕掛ける。中国人民解放軍が反撃し、その軍事同盟軍の島嶼に位置する基地を占領する」というシナリオの「3D模擬奇島戦役」というタイトルの動画がネット上を駆け巡り、再び米軍関係者を憤慨させました。

この「3D模擬奇島戦役」と銘打ったシミュレーション動画は、人民解放軍の基地が攻撃される場面から始まります。そして「20××年に、某軍事同盟が国際法を無視して海洋での紛争を引起し、綿密に計画された奇襲作戦によって、いくつかの人民解放軍基地が攻撃された」というテロップが流れます。

わざわざ「某国」ではなく「某軍事同盟」としているのは、明らかに日米同盟を暗示しています。同様に「綿密に計画された奇襲作戦」はまさに真珠湾攻撃を暗示しており、「抗日戦争勝利70周年記念」を意識した演出のようです。

そうして、この動画で中国軍は、島嶼を攻撃するのですが、これは尖閣を想起させます。これは完璧に中国のブロパガンダです。

そうして、ブログ冒頭の記事におけるシミレーションも、やはり中国のブロパガンダに利用されたものと考えられます。

ブログ冒頭の記事では、「米軍や海自潜水艦の威力が過小評価」と掲載されていますが、まさにそのとおりだと思います。

それに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国海軍、尖閣接近のウラ 米爆撃機の威嚇に習政権“苦肉の策”か ―【私の論評】日本と戦争になれば、自意識過剰中国海軍は半日で壊滅!東シナ海で傍若無人ぶりを働けば撃沈せよ(゚д゚)!
B52を空母に搭載するとこんな感じです 合成写真

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、中国海軍は、日本の自衛隊とまともに対峙すれば、一日で壊滅するであろうこと、米国とまともに対峙すれば、数時間で壊滅するであろうことを掲載しました。

米国と本気で対峙したとすると、数時間で勝負がつくのは目に見えています。航空兵力、海軍力のいずれをとっても、中国は米国の敵ではありません。

まともに戦えば、海上自衛隊の敵でもありません。この記事でも説明しましたし、このブログでも何度か掲載しましたが、日本の対潜哨戒能力は世界一です。潜水艦建造技術も世界一です。

日本の潜水艦は、技術力が非常に高いので、今のトップクラスの「そうりゅう」型だと、原子力潜水艦よりは多少短いですが、それでもかなりの時間潜行できますし、それにスクリュー音がほとんどしないため、どこの国の海軍であれこれを発見することはほぼ不可能です。

オーストラリアも新型の導入を検討している日本の「そうりゅう」型潜水艦
これに対して、中国の対潜哨戒能力は日本には全く及ばず、中国側は日本の潜水艦の動向を全くつかむことができません。いざ戦争になったら、日本は中国の艦船や潜水艦の動向をつぶさに把握できますが、中国側は、どこに日本の潜水艦がいるのか、全く把握できません。

特に潜水艦に関しては、製造技術がお粗末なので、中国の潜水艦は、まるでドラム缶をドンドンとハンマーで殴るようなけたたましい音をたてながら、水中を進むので、簡単に敵国に発見されてしまいます。

この状況で日中がまともに、海にまみえることになると、中国の空母、艦船、潜水艦などは、一方的に日本の潜水艦の餌食になることになり、あっという間に海の藻屑と消えてしまうことになります。

その他航空兵力も現実はかなりお粗末なので、自衛隊の敵ではありません。この状況では、中国は尖閣に人民解放軍を派遣しようにも、到達する前にことごとく撃沈・撃破されてしまいます。はっきりいえば、自殺行為です。

これが、中国大陸の陸の上ということになれば、ゲリラ戦も可能なので、状況は多少なりとも変わるかもしれませんが、海・空戦ということになれば、ゲリラ戦というわけにもいかず、中国に勝ち目はありません。

中国の第五せだい戦闘機といわれる殲20 ステルス性能も低く、
米専門家は第三世代の戦闘機と費用するものも存在する

自衛隊に対してもこの有様ですから、米国相手だと、数時間で中国海軍は戦闘不能に追い込まれてしまうことでしょう。日米同盟軍と戦うことになれば、どうあがいても、全く勝ち目はありません。

それにしても、なぜ中国がこのようなことをするのかといえば、無論プロパガンダのためですか、では、なぜプロパガンダを行うかといえば、もう軍事力の差異ははっきりしすぎるくらいはっきりしているので、中国としては、これ以上南シナ海での示威行動や、尖閣付近での示威行動をできないことは明らかなので、習近平としては、苦肉の策として、これらを実行する以外に道はなかったのだと考えられます。

習近平というと、国内では、腐敗の撲滅などといいながら、実際には権力闘争の続きを実行しています。そうして、人民の憤怒のマグマは従来から煮えたぎって、いついかなるとき大噴火するかわからない状況です。

そのような状況の中で、日本に対しても、アメリカに対しても、強気の態度をみせて、相手に譲歩を迫るようでなければ、国内の人民や、反習近平派の重鎮たちも納得しないどころか、習近平体制を崩しにかかることになります。

特に最近では、経済が悪化しているので、ただでさえ、人民の不満が募っています。しかし、だからといって、本格的に日米と対峙すれば、先に示したようにボロ負けするだけです。そうなれば、習近平はさらに窮地に追い込まれることになります。

だから、昨年は、日本とも戦ったこともない中共が、抗日70周年記念軍事パレードをしてみたり、アリューシャンで米国相手に示威行動をしてみたり、尖閣に機関砲装備の公船を派遣したり、挙句の果てに、上記のようにランド研究所の記事を流布したり、動画を流したりして、本当は無意味なのに、いかにも自分は、やっているぞとばかり、パフォーマンスを演じているわけです。

以下に中国で昨年行われた抗日70周年記念軍事パレードに向けて練習をする女性儀仗兵の動画を掲載します。



この助成儀仗兵は、平均身長1・78メートル、平均年齢22歳で統一されていました。本番では計17人12列の正方形の隊列を組んで行進しました。

儀仗兵とは、儀礼,警護のために,元首,高官,将官に配置される将兵のことです。日本では 1945年まで,天皇,皇族の儀礼に際しては,近衛兵がその任にあたりました。

ところで、儀仗兵は戦闘のための兵ではありません。中国の人民解放軍は、非常に不思議な組織で、そもそも、他国に見られる軍隊とは異なります。この組織実は、商社のような存在で、様々な事業を展開しています。

日本でいえば、商社が武装しているというのが、人民解放軍の真の姿です。そうして、人民解放軍は、人民を解放する軍隊ではなく、共産党の配下にある組織です。そうして、内部もかなり腐敗しており、それこそ、習近平の腐敗撲滅運動の標的にもなっています。

そもそも、このような組織が、他国の軍隊なみに機能するとは考えられません。日本の商社の社員に軍隊なみの武装をさせたらどうなるか、想像に難くないです。さらに、中国では長い間の一人っ子政策のため、人民解放軍の兵士たちもほとんどか一人っ子です。そうなると、中国内での苦しいゲリラ戦なども無理かもしれません。

そうして、この武装商社は、技術的にはかなり遅れた、空母、潜水艦、航空機などを持っています。これらは、先進国の軍隊とまともに対峙した場合、ほとんど役立たずです。ただし、外見はそれらしく、場合によっては美しくさえもみえます。

モデルなみの中国人民解放軍の儀仗兵
ところで、ロシアの軍事米空母1隻を撃沈するのに中国人民解放軍の海軍力の40%が犠牲 になると、ロシアの軍事専門誌「Military-Indust rial Courier」が2013年に分析しています。中国が毎年国防予算 を2けた増加させ、軍事力で米国に追いつこうとしているが、まだ 格差は少なくないということです。 

同誌は、中国が米空母との海戦を念頭に置いて非常に効果的な武器 体系を備えてきた、と紹介した。世界初の対艦弾道ミサイルと呼ば れる東風21Dは射程距離が3000キロにのぼり、日本やグアム の海上の米空母を狙うことができる。鷹撃83などの誘導ミサイル
を装着した12隻の駆逐艦も、アジア・太平洋地域の米艦隊に大き な脅威になる可能性があります。
 
中国は最近、ロシアからモスキットSSM P-270対艦ミサイ ルを備えた駆逐艦4隻を追加で購入した。空母「遼寧」と中距離艦 対空ミサイル紅旗16を搭載した護衛艦「江凱」15隻も敵艦を沈 没させる威力を持ちます。

米空母が率いる艦隊が中国領海に入れば、中国海軍は対艦ミサイル を搭載した駆逐艦10隻とミサイル艇40隻をまず投入し、ゲリラ 戦術で米艦隊を苦しめようとすると予想た。もし空母1隻が沈没 すれば、米海軍は海上制空権の約10%を喪失し、数千人の乗務員
が犠牲になります。
しかし同誌は中国軍が米空母を撃沈するのは容易でないと分析しました。 ひとまず中国が人工衛星・攻撃機・レーダー網を総動員しても、移 動を続ける空母の位置を正確に追跡して打撃するのが容易でない。 米空母は巡洋艦・駆逐艦・潜水艦はもちろん、偵察機・対潜ヘリコ プターなどの護衛を受けます。。 

また、最も発展した艦隊防空網というイージスシステムを通じて、 飛んでくるミサイルをほぼ正確に迎撃することができます。 

空母に搭載されたF35ステルス戦闘機と無人攻撃機は数百キロの 長距離飛行が可能で、中国本土のミサイル発射台など軍事施設を打 撃できます。米空母は中国領海に入らず十分に攻撃できるということです。 

同誌はこのような分析で、中国が米国のジェラルド・R・フォード 級空母1隻を撃沈するには中国海軍戦力の30-40%を消耗する と計算しました。(ジェラルド・R・フォード級空母は2015年進水予定のジェラルド・Rフォードをはじめ、現在のニミッツ級空母に 代わる米次世代原子力空母)

ただ、カギは米海軍が保有する11隻の空母など強大な海上戦力を どれほど迅速に西太平洋に投入できるかだと分析しました。現在、西太 平洋を管轄する米海軍第7艦隊には、空母「ジョージ・ワシントン 」をはじめ、60-70隻の軍艦が配属され、18隻は日本とグア ムに常時配備されています。また、緊急事態が発生すれば、まず最大 6、7隻の空母を西太平洋に投入できます。

米国の空母一隻を撃沈するのに中国は海軍力の40%が犠牲になる

さて、上の分析もっともらしくもあるのですが、2つ大きな見落としがあります。それは、潜水艦と対潜哨戒能力です。上の分析はロシアの分析なので、やはり、自国の兵器の優秀さをアピールする反面、自国の弱みである潜水艦についてはほとんど触れません。

冷戦末期には、日本の自衛隊は、対ソ対潜哨戒を徹底に的に実施し、ソ連の原潜などの潜水艦の行動を逐一偵察しました。そのため、日本の対潜哨戒能力は世界一のレベルになりました。当時のソ連の潜水艦も、現在のロシアの潜水艦も日本の技術には到底及ばず、対潜哨戒能力もかなり低レベルです。

先に述べたように、日本の潜水艦はステルス性が抜群で、中国側には全く発見できません。米国の潜水艦も、日本の潜水艦ほどではありませんが、中国よりははるかに高く、中国を相手とするならステルス性は十分です。

だから、日米の潜水艦は、中国側に察知されずに自由に行動することができます。一方中国の潜水艦は、日米に逐一その所在が確認されてしまいます。

こんなことから、中国が日米などと海戦をするということになると、無論日米は潜水艦を多用することになります。そうなると、中国は初戦で潜水艦からの攻撃に晒され、海軍力はすぐに消滅することになります。その後に、日米は余裕をもって、作戦を遂行することができます。

こんな事を考えると、先ほど中国の儀仗兵について触れましたが、それこそ、人民解放軍自体が、儀仗兵のようなものであるといえなくもないかもしれません。儀仗兵であったとしても、他国の軍隊とはまともに渡り合えないかもしれませんが、人民を弾圧したり、周辺の弱小国などに対しては、戦いを挑むことができるかもしれませんが、日米豪などの先進国の軍隊とは無理というものです。

とは言いながら、人民解放軍は、核を保有しています。商社のような組織が、軍備をするどころか、核武装をして、技術的には稚拙ながら、原潜も保有しているという、とんでもない組織が人民解放軍です。

中国のプロバガンダに対しては、上記のような中国の内部事情を熟知したうえで、一体何のためにやっているのか、想像しながら分析をするといろいろなことが見えてきます。

私たちは、中国を等身大に見る習慣をつけるべきと思います。いたずらに中国に脅威を抱く必要はありませんが、それにしても、核武装をしている厄介な国であることには変わりありません。その核ミサイルは日本を標的にしていることを忘れるべきではありません。こんなことを考えると、現状ではやはり日米同盟がいかに重要であるのか、集団的自衛権がいかに重要であるのか、認識を新たにする必要がありそうです。

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2016年2月14日日曜日

【緯度経度】日本が発信しない「拉致」英文本 古森義久―【私の論評】政府の機関など、成果をあげず単なる「良き意図」で終わらせないためには何が必要か?

【緯度経度】日本が発信しない「拉致」英文本 古森義久

The Invitation-Only Zone: The True Story of North Korea’s Abduction Project
書籍『招待所・北朝鮮の拉致警告の真実』の表紙

ワシントンにある韓国政府系の研究機関「米国韓国経済研究所」(KEI)で2月3日、「招待所・北朝鮮の拉致計画の真実」と題するセミナーが開かれた。その題名の新刊書の内容を著者の米国人ジャーナリストのロバート・ボイントン氏が紹介し、米側専門家たちが討論する集いだった。

実はこの書は、北朝鮮による日本人拉致事件の内容を英語で詳述した初の単行本だった。事件を英語で紹介した文献は米側の民間調査委員会の報告書などがあるが、商業ベースの英文の単行本はなかったのだ。

だから拉致事件を国際的に知らせる点で意味は大きく、日本側も重視すべき書である。米国とカナダで一般向けのノンフィクション作品として、1月中旬に発売されたのだ。

ニューヨーク大学のジャーナリズムの教授でもあるボイントン氏は日本滞在中に拉致事件を知り「この重大事件の奇怪さと米国ではほとんど知られていない事実に駆られて」取材を始めたという。この本はニューヨークの伝統ある「ファラー・ストラウス・ジロー」社から出版された。

ボイントン氏は数年をかけて日本や韓国で取材を重ね、とくに日本では拉致被害者の蓮池薫さんに何度も会って、拉致自体の状況や北朝鮮での生活ぶりを細かく引き出していた。また同じ被害者の地村保志さん、富貴恵さん夫妻や横田めぐみさんの両親にも接触して、多くの情報を集めていた。その集大成を平明な文章で生き生きと、わかりやすく書いた同書は迫真のノンフィクションと呼んでも誇張はない。ただし、ボイントン氏は拉致事件の背景と称して、日本人と朝鮮民族との歴史的なかかわりあいを解説するなかで、日本人が朝鮮人に激しい優越感を抱くというような断定をも述べていた。文化人類学的な両民族の交流史を奇妙にねじって、いまの日朝関係のあり方の説明としているのだ。

しかし同セミナーでの自著の紹介でボイントン氏はそうした側面には触れず、ビデオを使って、もっぱら日本人被害者とその家族の悲劇に重点をおき、語り進んでいった。

「なんの罪もない若い日本人男女が異様な独裁国家に拘束されて、人生の大半を過ごし、救出を自国に頼ることもできない悲惨な状況はいまも続いている」

ボイントン氏のこうした解説に対して参加者から同調的な意見や質問が提起された。パネリストで朝鮮問題専門家の韓国系米人、キャサリン・ムン氏が「日本での拉致解決運動が一部の特殊な勢力に政治利用されてはいないのか」と述べたのが異端だった。そして、同じパネリストの外交問題評議会(CFR)日本担当研究員のシーラ・スミス氏が「いや拉致解決は日本の国民全体の切望となっている」と否定したのが印象的だった。

だがなお残った疑問は、日本にとってこれほど重要な本の紹介をなぜ日本ではなく韓国の政府機関が実行するのか、だった。KEIは韓国政府の資金で運営される。日本側にもワシントンには大使館以外に日本広報文化センターという立派な機関が存在するのだ。だが同センターの活動はもっぱらアニメや映画の上映など日本文化の紹介だけなのである。安倍政権の重要施策の対外発信はどうなっているのだろう。(ワシントン駐在客員特派員)

【私の論評】政府の機関など、成果をあげず単なる「良き意図」で終わらせないためには何が必要か?

古森義久氏
上の記事にある、この書籍私も、さっそくキンドル本をダウンロードして読み始めていますが、確かに平明な文章で生き生きと、わかりやすく書れた同書は迫真のノンフィクションのようです。これだと、比較的短時間で読めそうです。

さて、ブログ冒頭の記事で、古森氏は、「だがなお残った疑問は、日本にとってこれほど重要な本の紹介をなぜ日本ではなく韓国の政府機関が実行するのか、だった。KEIは韓国政府の資金で運営される。日本側にもワシントンには大使館以外に日本広報文化センターという立派な機関が存在するのだ。だが同センターの活動はもっぱらアニメや映画の上映など日本文化の紹介だけなのである。安倍政権の重要施策の対外発信はどうなっているのだろう」と批判しています。

まさしく、そのとおりだと思います。アニメ映画の上映などの日本文化の紹介だけするというのでは、日本公報文化センターの役割をまともに果たしているとはとても思えません。

すでにアニメなど、国の機関が紹介するまでもなく、世界中にファンが多数存在しており、そんな中で、国の機関が、一切放映するなどなどということは言いませんか、アニメ映画を放映したり、日本文化の紹介のみにとどまっているとしたら問題です。

安倍政権に限らず歴代の政府はこのような活動には、あまり熱心とはいえないようです。最近では、外務省あたりが、竹島や尖閣問題に関するYouTubeに複数言語で視聴できる動画をアツプするなど、多少改善されているようではありますが、まだまだすべきことがあると思います。

このような活動は、政府も直接取り組むべきとは思いますが、それにも限界があります。やはり、こういうことを使命とする、日本広報文化センターのような組織や、NPO、NGOなどの非営利組織が実行すべきものと思います。

非営利企業こそ、使命をはきりするべき。そのためには、
まずビジョンや価値観をはつきりさせなければならない。

そうして、そのような組織においては、使命が第一に重要あり、リーダーがまずなすべきことを、よくよく考え抜いて、自らあずかる機関が果たすべき使命を定めることが重要です。

そして使命があるからこそ、はじめて明確な目標に向かって歩くことができ、目標を成し遂げるために組織の人間を動員することができるのです。

そして使命には、「何が機会であり、何がニーズであるか」「しかるべき成果が上げらそうか」「能力を有しているか」「信念をもってやれるか」つまり、“機会”“能力”“信念”の3つが表現され、組織の一人ひとりが目標を達成するために自分が貢献できることはこれだと思える現実的なものにすべきです。

そうして、特に成果をあげるには、成果を定義するだけではなく、それと実行する時間も加えて、目標として具体的に定めるべきです。定量化できるものは、定量化し、定性的なものであっても、なるべく具体的にして、組織の誰もが理解できるものにしなければなりません。

このような組織の中には、“使命”を掲げていない、あるいは意識すらしていない組織もあります。たとえ“使命”があっても、きれいな言葉が並べられ、形式的ものだったり、職員ひとり一人には理解されていないような状況では、まともな成果などあげられません。おそらく、日本公報文化センターなどもそのような状況なのではないでしょうか。

非営利組織に限らず、すべての組織の最終的な評価は成果であるはずです。営利組織における、利益も成果を測定する尺度の一つに過ぎません。経済的利益だけでは、すべての成果を表すものとはいえません。

良き意図と、大儀があるがゆえに成果や結果を重視しない傾向にある非営利機関も多いようですが、何が成果であるのかをはっきりと定義して、その成果を上げ続ける努力をすることが、非営利組織のあるべき姿であり、高い成果をあげための努力をしない非営利組織こそ、社会にとって罪なのです。

特に、NPOやNGOと異なる、政府の機関ともなれば、特に存続の努力などしなくても、政府から資金を得て活動するわけですから、余程成果の定義と成果を達成するための、目標がはっきりしていないと、その存在がすぐに無意味なものになってしまいます。

そうして、何よりも、そんなことになれば、組織の構成員が堕落してしまいます。

そんなことにならないないように、日本文化広報センターなどもまともな成果をあげるよう努力していただきたいと思います。

やるべきことはいくらでもあります。たとえば、ブログ冒頭の書籍は、英語の書籍ですが、このブログでは、以前慰安婦問題に関わる、ハングル語の書籍で、日本語には翻訳されているものの、英語には翻訳されていない書籍を紹介したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「帝国の慰安婦」裁判 問われる韓国司法 弁護側は“メディア経由”の曲解報道を問題視 ―【私の論評】韓国で慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代前に時計の針を戻せ(゚д゚)!
帝国の慰安婦 ハングル語版の表紙
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、「帝国の慰安婦」という書籍に関連して、私は以下のような論評をしました。
この書籍は、日本語には翻訳されていますが、残念ながら未だ英語には、翻訳されていません。この書籍が、他の多く国々の言語に翻訳されて、多くの国の人々に読まれることになれば、慰安婦問題に関して、他国でも理解が深まるものと思います。

日本側としては、この書籍はあくまで韓国人の視点によって書かれたものであり、レトリックによって、ファンタジーとはらないギリギリのところまで日本側に慰安婦問題での譲歩を求める方向で書かれていること、当時日本が植民地支配していたのだから、日本に責任があるという方向で貫かれていることを主張すれば良いと思います。

そのほうが、かえって、日本の保守派の人が日本人の立場から、書いたものより、理解を得られ易いと思います。

とにかく、この書籍やその他の歴史的資料などによって、日本でも韓国でも、韓国における慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代より前に時計の針を戻すことが、この問題の早期解決につながると思います。
この書籍を英語に翻訳し、米国で公開することなども、日本広報文化センターなどのしこ度として、良いと思います。そのようなことをすれば、韓国政府は非難するかもしれませんが、この書籍を読んだ米国人など、学術書であるこの書籍を韓国政府がなぜ問題にするのか、理解に苦しむと思います。そこから、慰安婦問題への理解が深まると思います。

それにしても、ただ紹介するというだけでは、何も成果はあがらないと思います。たとえば、この書籍を紹介するにしても、慰安婦問題に関してあらかじめ多くの米国人にアンケートをとっておき、慰安婦問題に関する理解、それもはっきりと定義をした理解が5%程度であったとすると、5年以内に50%にするなどの目標を定めるべきです。

そうするこによって、はじめて、自らが成果をあげているのか、あげていないのかをはっきりと理解することができます。そうでなければ、このような活動はただの「良き意図」で終わってしまうのです。

これが、手弁当で集まっている有志の「勉強会」などであれば、それでも良いかもしれません。しかし、政府からの資金で動く政府の機関がそうであってはならないのです。まともな、組織はすべからく、成果をあげなければ、存在意義が失われるのです。存在意義が失われれば、その機関に属する人々は早晩堕落してしまうのです。

それは、当然のことです。自分たちの組織が、あってなくても良いどうでも良い組織なら、その構成員がいくらまともであったにしても、その状態が長く続けば、堕落するのは当然です。そうして、堕落した組織は、社会に悪をなすことになります。

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2016年2月13日土曜日

【ニッポンの新常識】小林節・慶大名誉教授の批判にはガッカリした 主張は空論にすぎない ―【私の論評】果たすべき説明責任を果たさない人の言うことは、全く信用できない(゚д゚)!


小林節慶應義塾大学名誉教授
憲法学者で、慶應義塾大学の小林節名誉教授が先月、神奈川県・鎌倉で開かれた講演会の中で、私を名指しで批判したという話を聞いた。「ついに本格的な論客と議論できそうだ」と大いに期待した。

さっそく、動画サイト「ユーチューブ」で講演動画を見つけて、視聴した。結論から先に言えば、がっかりした。ツッコミを入れたい場面は数限りなくあったが、話が散漫にならないよう論点を2つに絞る。

1点目は、私も呼びかけ人となった「放送法遵守を求める視聴者の会」に関する論評だ。小林氏は、われわれの「メディアは放送法4条を守れ」という新聞意見広告を批判した。主な批判内容は3つである。

(1)放送法は訓示(倫理)規定に過ぎない。

これに対し、高市早苗総務相は8日の衆院予算委員会で「政治的に公平であること」を定めた放送法は「単なる倫理規定ではなく法規範性を持つ」もので、放送局が違反を繰り返した場合の電波停止は「将来にわたり可能性が全くないとは言えない」と語った。小林氏はご立腹だろう。

(2)意見広告は戦前のような事後検閲を招く。

小林氏は「大日本帝国やナチスは事前・事後を問わず検閲を行ったが、戦後の日本は憲法第21条2項で検閲を絶対的に禁止した」と主張する。終戦直後、GHQ(連合国軍総司令部)が命じたプレスコード30項目と、それに基づく大々的な検閲の事実を知らないのだろうか。事実を知ったうえで、あえて触れないのであれば「情報弱者のコントロールをもくろむ人物」と思わざるを得ない。

検閲の禁止を第21条2項に規定した日本国憲法の施行後も、占領終了まで続いたGHQの検閲が日本のメディアをゆがめた。プレスコード違反を恐れた自己検閲が、多元的な情報が入らない日本を生み出し、現在に至る。歴史的事実を踏まえないならば、小林氏の主張は空論というしかない。

(3)広告掲載した読売と産経は検閲に加担した。

まったく理解できない。広告掲載に反対する勢力こそが、われわれや新聞社に圧力をかけて、反対意見を封殺する事後検閲を試みている。単純な自己矛盾に気付かないのは、左派論客の常だ。

2点目の論点は、私が「日本は憲法改正を行うべきだ」と主張する件への批判である。米国人が日本の憲法論に口を挟むなと言いたいようだが、日本国憲法の草案は米国人の素人集団が約1週間で書いた。知らぬはずはない。

30年以上前から、憲法第9条改正や集団的自衛権行使を正々堂々と訴えていた小林氏は、ここ数年で安全保障法制を「戦争法」と呼ぶ人に変わった。

日米両国にとっての大損失を喜ぶ国はどこだ。

■ケント・ギルバート 

【私の論評】果たすべき説明責任を果たさない人の言うことは、全く信用できない(゚д゚)!


上の記事で、ケント・ギルバート氏が憲法学者で、慶應義塾大学の小林節名誉教授が先月、神奈川県・鎌倉で開かれた講演会としていたのは以下の動画です。



この動画をで小林節氏の公演全部を視聴しても、上のケント・ギルバート氏の主張はもっともであると思います。

小林節氏というと、記憶にあたらしいのは、昨年の安保法案審議の過程の公聴会で、今回の安保法案は違憲であると述べた憲法学者らの一人です。その時の動画を掲載します。


ケント・ギルバート氏は、ブログ冒頭の記事で "30年以上前から、憲法第9条改正や集団的自衛権行使を正々堂々と訴えていた小林氏は、ここ数年で安全保障法制を「戦争法」と呼ぶ人に変わった。"と述べています。

これは、事実です。これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
反安保の急先鋒となったあの憲法学者の「いかがわしさ」を明かそう ~わずか2年前は「解釈改憲論者」。だから彼らを信用できない!―【私の論評】虚実皮膜の間も成り立たない180度時代に逆行した転換(゚д゚)!
長谷川幸洋氏
この記事の元記事は、長谷川幸洋氏によるものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、小林節氏は、確かに2年と少し前までは、解釈改憲論者でした。しかし、なぜかいつの間にか護憲派に変わってしまいました。そうして、変わった理由を一切説明しません。

この記事の結論部分で長谷川幸洋氏は以下のように主張しています。
小林教授と(民主党)岡田代表に共通しているのは、程度の差こそあれ、集団的自衛権について当初は容認していた姿勢を後になって修正し、否定する。ところが「転向」を外に向けて説明しない点である。 
意見を変えてはいけないとは言わないが、少なくとも小林教授や岡田代表はなぜ変えたのか、本人が説明すべきではないか。私はこれほど重要な問題で、小林教授のように正反対に意見を変えておきながら「私が言ったとはとうてい信じられない」と国会で居直る姿勢には、それこそ信じられない思いがする。 
発言自体を「なかったことにする」姿勢は政治やジャーナリズムの世界だったら、完全にアウトだ。学者の世界ではそれが通用するのだろうか。そんな学者のいかがわしさを明白な証拠をもって世間に示したのは、間違いなく小林教授の功績である。
この主張は正しいです。そうして、小林節氏は未だになぜ自分が、意見を変えたのか、説明をしていません。これは、説明責任を果たしていないということです。

説明責任とは何かといえば、政府・企業・団体・政治家・官僚などの、社会に影響力を及ぼす組織で権限を行使する者が、株主や従業員(従業者)、国民といった直接的関係をもつ者だけでなく、消費者、取引業者、銀行、地域住民など、間接的関わりをもつすべての人・組織(ステークホルダー:stakeholder、利害関係者)にその活動や権限行使の予定、内容、結果等の報告をする必要があるとする考えをいいます。

小林節氏は、すでに名誉教授であり、社会に影響力を及ぼす組織で権限を行使するものとはいえないです。だから、特に名誉教授となった後に、立場を変えて様々な言論活動をしても、それはそれで良いことだと思います。

しかし、国会の公聴会での陳述人としては、説明責任を果たすべきです。少なくとも、公聴会の中、中でなくても公聴会の前にそれを公の場などでしっかりと説明すべきでした。

特に、小林節氏の話しぶりは、自信たっぷりで、比較的強面の人相ですから、この説明責任を果たしていないことを知らないような人たちに熱心に話をすれば、何の抵抗もなく話を受け入れてしまう人も多いのではないかと思います。

実際、上の小林節氏の講演会を聞いている人々もそうなのではないかと思います。彼らのうち、一体どのくらいの人が、小林節氏が比較的最近憲法解釈の立場を変えたことを知っていることでしょう。

しかし、本来憲法解釈などという重要な内容について、公聴会などで陳述するというのなら、30年間も保持してきた考えを、ここ数年で変えたというのであれば、その説明責任は、絶対に果たさなければなりません。本来政府側も、立場を変更した理由も陳述させるべきでした。

しかし、そうはしなかったので、公聴会における陳述も信ぴょう性が疑われるものになってしまいました。

そうして、今後も小林節氏が説明責任を果たさないというのなら、憲法解釈に関する小林氏の意見は信ぴょう性の低いものと見なさざるを得ません。

最近は、憲法学者に限らず、経済学者が説明責任を果たさない例も多いです。特に、日本の主流の経済学者のほとんどが主張した、8%増税の日本経済に対する影響は軽微とした見解は、これが完璧に間違いだたこと明らかになっても、誰もそのことに対して説明責任を果たしていません。

この事例に限らず、どんな事柄についても、立場を変えたとか、前に述べた意見と異なる結果になつた場合、それに対する説明責任を果たさない学者の意見は、信ぴょう性が低いものとみなし、真に受けるべきではありません。

しかし、この文書を書いていて、何か虚しさを感じてしまいました。考えてみれば、これは当たり前のどまんなかです。

大の大人で、重要な地位についている人でもまともに説明責任わ果たせない人が・・・

学者であろうが、なかろうが、どんな立場の人であろうが、どんな事柄についても、立場を変えたとか、前に述べた意見と異なる結果になった場合、特にそれが重要な事柄であれば、説明責任を果たすのは当然のことです。

そうして、誰だって、間違いをすることはあります。しかし、説明責任を果たすことにより、大抵の間違いは、明らかな犯罪や、余程のことがない限り、それが納得の行く説明なら、間違いは多くの人から許容されるのです。

また、間違いを許容するような組織や社会でなければ、硬直した組織や、社会になるだけで進歩などありません。ただし、何か間違いが起こったときに、責任のある人が説明責任を果たせば、原因も究明され、また同じ間違いが起こることの確率を低くすることができ組織や社会も進歩します。

それが不十分だと、何も変わらず、何度でも同じ間違いをおかしていまうことになります。

学者や、政治家、マスコミ、官僚などがその例外であるということはあり得ません。私たちは、説明責任を果たすべきなのに、果たさないでそれに関することを言い続ける人の意見には耳を傾けるべきではないし、どんな組織であれ、それを組織から排除していくべきです。

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2016年2月12日金曜日

TPP合意にかけた或る外交官の死―【私の論評】日本のエリートの本質である、現代にも存在する武士道精神!



早逝された、外務省前経済連携課長松田誠氏

2月4日、ニュージーランドで署名されたTPP=環太平洋パートナーシップ協定。日本が参加してから2年余りに及んだ交渉には、外務省、経済産業省、農林水産省など霞が関から多くの官僚たちが交渉官として携わりました。
12か国の国益が激突し、時に夜を徹して続いた厳しい協議。そうしたなか、内外の交渉官から信頼を集めながら49歳で急逝した外交官がいました。『彼なくしてTPPは実現しなかった』と首席交渉官が語るその人はどのような官僚だったのか、経済部の伊賀亮人記者が報告します。

首席交渉官が合意を報告した相手は


「難しく長い交渉でしたがようやく合意できました。感謝申し上げます」

去年10月、日本のTPP交渉団の事務方トップ、鶴岡公二首席交渉官が合意の直後、現地アメリカから真っ先に報告した相手がいました。

TPPの関税分野の交渉官で、合意の半年前、49歳で急逝した外務省の前経済連携課長、松田誠さんの妻・智子さんです。

「松田さんなくしてTPPは実現しなかった。できるかぎりの誠意を示したかった」

鶴岡氏は、亡くなった松田前課長が最期に携わった交渉の成果を本人に伝える気持ちで報告をしたかったと振り返ります。

交渉がいよいよ大詰めを迎えた局面での松田さんの突然の訃報は、霞が関に大きな衝撃を与えました。

鶴岡氏が真っ先に報告したかった松田さんとはどんな官僚なのか。

同僚たちに話を聞きたいと持ちかけると、ふだんはマスコミ対応に慎重な人まで「彼のことなら」と口を開き、「『こういう官僚がいた』ということを知らせてほしい」と多くの同僚が心を許して語り始めました。


異色のキャリアと数々の功績

松田さんの経歴は異色です。京都大学工学部で原子核工学を学んだあと、経済学部に転籍し外務省に入りました。英国留学をへて中東地域や安全保障政策、国際法を担当する部署などを歴任。優れた分析力と学生時代、陸上部のキャプテンを務めたリーダーシップで、次々と業績を上げました。

2002年、当時の小泉総理大臣が初めて北朝鮮を訪れキム・ジョンイル(金正日)総書記と首脳会談を行なった際には、担当課で交渉にあたりました。また、ワシントンの日本大使館勤務では、2004年のアメリカ大統領選挙の分析などを担当。共和党・ブッシュ大統領と民主党・ケリー候補の激しい選挙戦をち密で科学的に分析した報告は「理想の情勢分析」と今でも外務省内で語り草になっています。

責任感の強さ

同僚たちは能力の高さだけではなく、外交官としての使命感や責任感の強さを指摘します。

ワシントン勤務のあと松田さんは人事課に配属されました。人事課は、国益を代表する世界各地の大使館に誰を送り込むか、重要な国際交渉の担当に誰をつけるか検討する重要部署です。しかし、危険な紛争地域に同僚を送るつらい仕事でもあります。

人事課のあと、松田さんはみずからアフガニスタン大使館への赴任を志願しました。当時、2010年ごろ、アフガニスタンでは自爆テロなどが後を絶たない不安定な情勢が続き、志願の配属に省内では驚きが広がったといいます。

その理由を多く語らなかったそうですが、「人事課にいた自分が行くからこそ意味がある」と話していたそうです。

親しい同僚は「危険な任地を受け入れた人たちに感謝していたからこそみずからも赴く必要があるという考えだったのではないか」と語ります。

緊張した生活が続くアフガニスタンでは、2012年に日本の呼びかけで開かれたアフガニスタンの復興と開発を支援する会議を担当。参加した約80の国と国際機関の調整役を担い、総額160億ドル規模の支援策を取りまとめ、ここでも大きな功績を残しました。

交渉能力の高さと信頼を集めた誠実さ

その松田さんがTPP交渉の責任者の1人に就いたのは2014年8月。日本が交渉に参加して1年余りがたった頃でした。

その頃、取材で向き合った私自身、「TPPは日本にとってどのような意味、価値があると思うか」と問いかけられたことを思い出します。物事を本質から理解して臨もうとする松田さん特有の問いかけでした。

松田さんは、先に交渉を担当していた同僚や部下が驚くほどのスピードで交渉の経緯や内容、課題を把握していったそうです。

まず取り組んだのが世界の貿易に関するルールづくりの基礎となるWTO(=世界貿易機関)協定を読むことでした。読むといっても1000ページにも及ぶ大部。通常は自分が担当する部分だけ読むという外交官が多いそうです。しかし、松田さんは交渉を統括する立場としてすべて読み込んだだけでなく、わずか1か月ほどの間に専門の担当官よりも内容に精通していたといいます。


また、松田さんの誠実な姿勢が難しい交渉を前進させたと多くの同僚が指摘します。TPP交渉に参加する東南アジアや南米の新興国は保護主義的な制度を多く残しており、先進国との交渉は難航する場面がよく見られました。松田さんは、交渉相手国の交渉官に対して、一方的に要求を押し付けるのではなく、相手の事情を理解したうえで一緒になって解決しようという姿勢を貫き、大きな信頼を獲得していったそうです。

通商交渉のなかでも最も難しい分野の一つとされる関税分野の交渉は、ちょうど松田さんが担当になった頃、厳しさを増していました。

鶴岡首席交渉官は「松田さんは最終的にできあがった合意の基本線をつくった責任者の1人だ」と証言します。

あまりに突然の死

松田さんは、その能力の高さだけではなく、部下からも尊敬されていました。「憧れの存在でした」と語る後輩もいます。

上下の関係なく他人の話をよく聞き、部下を信頼する人だったと周囲が口をそろえます。趣味が料理という意外な一面もあって後輩たちを連れてよく食事に出かけ、家族を大切にするよう日頃から説く家族思いの人でした。

健康にも気を遣い、ランニングをしたり無駄な残業はしないという人だったため、亡くなったことを今でも信じられないと話を聞いた全員が言います。

ただ、私自身、交渉会合の度に連日深夜、時には夜を徹しての交渉や国内との調整が行なわれている様子を見てきました。特に亡くなる直前の3月中旬に行なわれた首席交渉官会合は、毎日数時間の睡眠もとれない状況だったということで、知らず知らずのうちに健康が蝕まれていたのではないかと思います。

松田さんは桜が咲く去年3月下旬、自宅で倒れ、虚血性心不全で亡くなりました。49年の人生を駆け抜けて行ったのです。

松田さんの死は、TPP参加国の交渉官らにも衝撃だったそうで、交渉会合では直接の交渉相手だけでなく、その上司である首席交渉官からも弔意が示されたということです。

TPPの先を見すえて

その松田さんが、最後に取り組んでいたのが、TPP交渉後の日本の通商戦略をどう打ち立てるかということでした。

当時、交渉が最終局面を迎えていたとは言え、まだ合意できるか分からない状態で、すでにその先を見すえていたというのです。

交渉に参加していない国に今後どのように加盟してもらい、TPPのルールを国際的に共通化し、日本にメリットをもたらすのか考えていたというのです。

取材のたび、私は「『国益』のために頑張ってください」と声をかけられました。何が日本のためになるかを常に思い巡らしていたからこそ発せられたことばだったと思います。

TPPは日本企業の海外進出にメリットがある一方で、農業を初めとした国内産業への影響が懸念されているのは事実ですが、志半ばにして亡くなった松田さんが思い描いたTPP後の世界が「国益」にかなうことを願ってやみません。



最近ニュースを見ていると、何やらうんざりすることばかりで、我が国日本や日本人はどうなってしまったのかなどと、鬱々とした気持ちで過ごしていました。

そんな中で、上の記事を読んでいて、亡くなったことはとても残念なのですが、そうではない人も存在するということを思い起こしました。

しかしながら、本日の大きなニュースというと、例の"ゲス不倫"宮崎氏の不倫騒動です。先には、清原の覚せい剤使用のニュースがありました。何やら、最近はこの種の報道が多かったように思います。

このような問題だけではなく、国内ではマスコミの報道ぶりがまた一段と劣悪になっていることをうかがわせるものが多いです。

マスコミは、世界経済の変動による最近の株安・円高をまるでアベノミクスの失敗のように囃し立て、あろうことか、マイナス金利まで、その要因の一つであるかのごとく報道していて、この低劣ぶりは本当にどうしてしまったのかと忸怩たる思いがしました。

それに関しては、長谷川幸洋氏が、最近の株安・円高は断じてアベノミクスの失敗によるものになく、中国の経済低迷なども含む世界経済の変化であることを主張しておられます。以下に、その記事のリンクを掲載します。
円高・株安は断じて「アベノミクスの限界」ではない!~中国の大不況が原因なのに、政権批判に転じるマスコミは破綻している

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、現在の株安・円高は国際情勢の変化によるものであって、どの方向から検討してみても、絶対にアベノミクスの限界などではありません。

ましてや、マスナス金利が関連しているなどとは全くの間違いです。日本の日銀が何か国内で有効な政策を打ったからといって、世界の経済を変えることはできません。日本国内ですら、金融緩和やマイナス金利政策を行ったからといって、すぐに国内の実体経済がすぐさま変わるということはありません。

にもかかわらず、ほとんどの新聞が、あろうことか、産経や夕刊フジまで、マイナス金利が悪影響を及ぼしたかのうよな報道ぶりです。

長谷川氏の主張を簡単にまとめると、円高・株安が進んだ原因は、一言で言えば、世界経済が先行き不透明で「安全資産」とみなされた円に投資マネーが集中したからということです。中国のバブル崩壊やそれを一因とした原油安、欧州の金融不安、米国の利上げなどが重なって世界経済の不透明感が強まったのです。

そんな中で世界の投資マネーが日本円と日本国債に逃げ込んだのです。だから円高、長期金利の低下になって、かつ円高が株安を招いたという構図です。日銀のマイナス金利政策は導入直後のマーケットがそうだったように本来、円安・株高につながるのですが、政策効果を帳消しにするほどグローバルな投資マネーの勢いが強かったのです。

こんなことは、少し考えれば、当たり前のどまんなかで、誰でも容易に理解できるはずでです。

そうして、このあたりをきちんと理解して書いていたのは読売新聞(11日付)やフィナンシャル・タイムズ(10日付)の社説くらいだそうです。

ほんとうに驚くほどの、マスコミの破綻ぶりです。長谷川氏は、このマスコミの破綻ぶりで触発された民主党の細野豪志政調会長が10日の衆院予算委員会で「マイナス金利によって円高・株安になった」と批判したことを糾弾しています。

細野氏も、本当に破綻しています。細野氏は、新聞の下請けをやっているとしか思えません。それどころか、最近の民主党など、まるで週刊文春の下請けをしてるようなありさまです。

それにあの、"ゲス不倫"の宮崎などの話を聴いていると、本当に今のマスコミや政治家など一体どうしてしまったのだと本当に忸怩たる思いがしました。

記者会見で議員辞職する意向を表明し、頭を下げる自民党の宮崎謙介衆院議員
宮崎というと、最近では「不倫」問題ばかりが注目されていますが、その前のいわゆる「育休」に関する奴の発言は、まるでなかったかのような状況になっています。

私自身は、企業や役所などにおいて、男性も「育休」がまともにとれるようにすること自体に関しては、全く賛成です。

しかし、国会議員が率先して取得ということになると、疑問符がつきます。企業でも、「育休」の取得とか、休みの取得などは従業員当然の権利であって、これを妨げるような要件はいずれ取り除いていくべきものと思います。

しかし、同じ企業でも、取締役などの役員は別物だと思います。従業員の場合、何時から何時までと労働することを義務付けられています。しかし、役員は違います。朝定時に出て、夜定時に帰ったり、残業したら残業届けを、出して手当をもらうことなど義務付けられていません。

また、休みだって、定休があるわけでもないし、休みたければ自由に休むこともできます。無論、取締役会などの重要な会議には出席しなければなりませんが、一般の従業員のように就業規則の縛りがあるわけではありません。

役員の縛りは、取締役規程などに定められたもののみでそれには何時から何時まで働くとか、いつ休みをとるとか、細かいことなど定められていません。あくまで、大まかな方向性のみが記されているだけです。

そうして、責任は一般従業員よりははるかに重いです。さらに、雇用保険などもありません。労働基準法なども適用されません。無論、育休など適用除外というかそのような規則はありません。育児のため休みたいというのなら、自分の裁量で経営に差し支えない範囲で休むということになります。

国会議員といえば、公人です。企業の役員ですら、このようなことが当たり前なのですから、国民から選ばれた公人である政治家は、さらに責任が重いわけですから、「育休」などの制度を設ける必要などないはずです。休みたければ、わざわざ「育休」などといわず、自分の裁量で取ればよいだけの話です。

国会議員であれば、国会にだって、毎回必ず何時から何時まで、出席しなければならないという縛りもありません。確かに、選挙運動も忙しくて大変ではあると思います。しかし、その選挙運動だって、何時から何時までと、時間を拘束されるものではありません。

休みたければ、自分の裁量で休めば良いだけです。それで、選挙に落ちてしまえば、どうしようもないですが、そこは自分の判断で、活動をするときは活動して、休みにするときは休みにするということで良いはずです。

では、企業の役員や、政治家など、企業の一般従業とは異なり、なぜ時間を拘束されないかといえば、それは責任の重大さの違いです。役員は、労働者ではありません。一生懸命労働者にいり混じって、労働しても何も評価されません。評価されるべきは、経営に関することです。

政治家も同じことです。官僚などといり混じって、行政事務をしても何も評価されません。評価されるのは、国政に関することです。

責任が重いからこそ、企業の従業員のように勤務時間を拘束されたりすることはないのです。にもかかわらず、「育休」などとは何事かといいたいです。

マスコミや民主党の座右の銘?


この国会議員の「育休」に関しては、なぜか多くの人が、宮崎の主張におもねる人が多かったように思います。特にテレビなどの報道はそのようなものが多かったです。

これにあからさまに反対意見を述べたのは、橋下徹氏くらいなものだったと思います。「自営業者なら、休みたくても休めない、そのことを考えれば、問題外」と吐き捨てるように語っていました。実は、私もこの意見に賛成です。私自身も、中小企業ながら、比較的若い頃から役員だったので、なりたての頃は1年以上もほぼ休みなしで仕事をしていた時期もあります。

しかし、自営業者に限らず、企業の役員ともなれば、多かれ少なかれ従業員を雇用しなければならず、さらに多くの取引先の助けをもって、事業を展開しているわけですから、責任の度合いが全く違います。

国会議員だってそうです。国政が悪ければ、国は大変なことになります。それに、企業の役員などは、個々の企業の取締役会での選出ということになりますが、国会議員は、多くの有権者が選ぶのです。その責任は、本来は企業の取締役などの責任などとは比較の対象ともならないほどの、重いものであると思います。

そもそも、役員や国会議員は本来自分でなりたいと思ってなれるものではありません。役員は、取締役会での選出、国会議員は選挙での選出ということになります。

そういう意味では、役員や、国会議員はエリートということができると思います。エリートというと、倉山満氏が一度「エリートの定義」をツイートしていたのを思い出します。

そのツイートを以下に掲載します。
確かに、国会議員は東大を出ていないとなれないとか、偏差値の高い大学に入っていないとなれないなどということはありません。企業の役員だってそうです。一部上場の大企業であれば、東大卒などはいて捨てるほどいる中から選定されます。そんな中では、東大出身とか、偏差値が高かったなどということは何の意味も持ちません。

切腹の作法
あくまで、もっとも注目されるのは、責任の重大さに耐えられるかどうかの観点になると思います。ただし、国会議員の選挙や、企業の役員の選定にあたって、実際にこれが重視されているかは別問題です。最近の宮崎のような議員をみていたり、東芝の旧社長らなどをみていると、そうとは限らないことが良く理解できます。

しかし、本当のエリートの定義は「当人の命よりも責任が重い人」ということです。

責任のない人は、自分の命が大事なのだと思います。自分の命を太く未来につなげていくことが一大事なのだと思います。

"ゲス不倫"の宮崎は、そのような本能が人一倍強いのだと思います。まあ、そうはいいながら、昔から英雄色を好むともいわれで、女性と不適切な関係を持つエリートもいましたが、それでもエリートととしての矜持はもっていたし、責任は全うしたものと思います。だからこそ、許容されたのです。

そうして、大勢の命を未来につなげるために、本来の意味のエリートが命がけで、守るべきことを守り変えるべきことを変えているからこそ、国や産業が発展していくのだと思います。

宮崎に関しては、非常に悪いタイミングで不倫をして、さらに「育休」を取ることを宣言したことも手伝って、あのような結果を招いたのだと思います。

そもそも、本来エリートは命がけでなるものなのです。偏差値の高い大学に自分の子どもを入れようとしている親の大部分は、そんなことは考えてはいないでしょう。

一昔前ならば、武士の家に生まれれば、自分がどう考えようとも、そういうエリートになるものとして育てられたわけです。いざというときに、責任を取るために、切腹の作法も学ばせたのです。

しかし、今の時代は、エリートになるならないは自分の出自に関わることで決まるのではなく、選択することができます。そのためでしょうが、そのような自覚に乏しいエリートが増えたきたように思います。そのような自覚がない人は本らいエリートになるべきではないです。今の日本では、エリートにならないという道は本当に簡単に選択できます。

日本の武士の写真
しかし、今の日本は、様々なことが乱れているようではありますが、ブログ冒頭の記事の松田誠氏のような方もいらっしやるのです。松田氏は、まさに「自分の命よりも責任が重い」と自覚されていたのではないでしょうか。

無論亡くなったことは非常に残念なことなのですが、それだけとてつもなく大変な交渉だったのでしょう。本来ならば、この交渉の経緯を松田氏自身の言葉で聴きたかったものです。そのために、この記事を書いた記者も、松田氏に接触をしていたのでしょう。

松田氏は、本来の意味でのエリート意識が高い人だったのでしょう。それが悪い結果を招いてしまったのかもしれません。本当に残念です。

しかし、今の日本、本来はエリートであるべき人がエリートらしからぬ行動をとるのが、目立ちますが、それはやはり、目立っているのだと思います。マスコミも、目立つであろうことを想定して、報道するのだと思います。

だから、一見、エリートらしからぬ人が目立ってしまうのですが、一方で松田氏のように「責任感」が人一倍強い人もいるのです。

今回、このような報道がなされたので、松田氏のことを知る機会を得たのですが、おそらく今でも各界にこのように努力されており、責任感の強い人がこの日本には大勢いらっしゃるのだと思います。無論実数は全体から比較すれば、少ないのでしょうが、そもそもエリートなど少ないのが当たり前です。だからこそ、日本は何があっても、びくともせずに存在し続けているのだと思います。

無論、官僚の中にも、政治家の中にも、企業の中にも、マスコミの中にも存在していて、人知れず努力をされているのだと思います。

そのような責任感は、やはり武士道に相通じるところがあるものと思います。このような事実を知ると、現在にも現代風に姿形は変わっても、根底の大事なところでは変わらない、武士道が息づいているのだと思います。

マスコミも"ゲス不倫"のようなことばかり報道していないで、このように「責任感の強い」人を報道して、光をあてるようにしていただきたいものと思います。それが、将来の日本の本当の意味でのエリートを育てることにつながるかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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