2020年7月17日金曜日

顕在化する中国によるカナダへの〝人質司法〟— 【私の論評】人質を取って相手国を脅し確信的利益を守ろうとする中共は、世界の敵!(◎_◎;)

顕在化する中国によるカナダへの〝人質司法〟

岡崎研究所

 ワシントンン・ポスト紙のコラムニストであるデビッド・モスクロップ(オタワ在住)がHuaweiのCFO孟晩舟の解放と引き換えに中国が拘束しているカナダ人2人を釈放するという中国の取引の誘いをトルドー首相が拒否したことを支持する論説を、6月27日付の同紙に書いている。


 2018年12月1日に孟晩舟がカナダで逮捕されて間もなく、カナダ人の2人が中国においてスパイ容疑で拘束された。Michael Kovrig(元外交官でシンク・タンクInternational Crisis Group勤務、12月10日に北京で拘束)とMichael Spavor(コンサルタント、同じ頃居住していた丹東で拘束)の2人である。中国による報復に違いない。拘束されて既に1年半が過ぎた。報道によればKovrigの妻は夫の解放のために各方面に働き掛けを行っている様子である。

 6月24日、中国外務省報道官の趙立堅(Zhao Lijian)は記者会見においてMichael Kovrigの妻の「司法相は孟晩舟の米国への引き渡しを止める権限を有する」とのメディアへの発言に言及して「そのようなオプションは法の支配の範囲内にあり、2人のカナダ人の状態の解決のための空間を開き得よう」と述べた。

 趙立堅は「(孟晩舟の件)は深刻な政治的事件である。それがカナダ側が主張するように法的なケースだとしても、Kovrigの妻が言ったように、カナダの司法相は如何なる時点においても引渡しのプロセスを停止する権限を有する。このことはカナダ政府がこの事件をカナダの法律に従い正しい方法で現に扱うことが可能であることを示している。我々はカナダ側に対し法の支配の精神を真に尊重し、中国の厳粛な立場と懸念を真剣に受け止め、政治的ごまかしを止め、孟晩舟を直ちに解放し、彼女の中国への安全な帰還を確保するよう、再度強く要請する」とも述べた。

 中国は2人の逮捕は孟晩舟の件とは無関係との立場を維持して来たが、ここに来て、孟晩舟の件との取引をあからさまに示唆するに至った。趙立堅による法の支配についてのレクチャーは噴飯ものである。

 カナダ人2人の境遇は悲劇である。同情の他ない。引渡し法(Extradition Act)の下で司法相が進行中の裁判所による引渡しの審理を止める権限を有することは確かなようである。モスクロップの論説では、トルドー首相宛の19人の元政治家や外交官からの書簡について書かれている。書簡は、このままでは結局カナダ人2人は孟晩舟が中国に帰国するまで中国の牢獄に繋がれることになること、引渡しの可否の審理は2024年までかかり得ること、パンデミックのために2人の生命が重大なリスクに晒されていることなどを指摘するとともに、孟晩舟の1件は2人だけでなくカナダの外交をも人質に取っている(5Gの構築にHuaweiの参加を認めるかの決定を為し得ず、香港問題についても発言に注意を強いられる)と指摘して司法相が引渡しの審理を停止すべきことを進言している。

 トルドー首相は、この進言を斥けた。そうするしかない。モスクロップの論説もこの決定を正しいと支持している。しかし、論説はどこか歯切れが悪い。米国に言及している部分は意味が判然としないが、どこか米国の行動に釈然としないものを感じているように思われる。

 カナダは実に苦しい立場にある。カナダ当局が孟晩舟を逮捕した時、中国が米国あるいはカナダの企業幹部を逮捕する危険は予知出来た。カナダは米国から逮捕の要請を受けた時点で或る程度の時間的余裕をもって中国が汚い手で報復に出る危険を予知出来たはずである。あるいは、それを理由に米国の要請を断ることも出来たかも知れない。どうしてカナダは予め危険を防ぐ手を打たなかったのか。

 日本としても、他山の石とすべき1件である。

【私の論評】人質を取って相手国を脅し確信的利益を守ろうとする中共は、世界の敵!(◎_◎;)

うえの記事にもあるとおり、カナダが孟氏の身柄を確保した直後に、カナダ人2人が中国によくわからない理由で逮捕されました。

このカナダ人逮捕に対して、中国側は「拘束されたカナダ人と孟氏の問題は無関係」と公式見解を述べていますが、カナダのトルドー首相は「明確な関連がある」と述べています。

トルドー首相

確かに、いくら国際法無視の中国であっても、「孟氏が外国の法律を犯したとしても、中国の要人なのだから逮捕するのは許せない。だから、何も法律を侵していないカナダ人を2人の身柄を拘束する。カナダ人を返してほしければ、孟氏を返せ」とは表立っては公言できないのだと思います。

しかしながら、尖閣で何かがあった時や、中国政府が日本政府の対応に怒った時には、日本人もよく中国で逮捕されています。

こうしたことから、中共は人質を取って相手国を脅して中共の我儘(彼らの言葉では中国の革新的利益)を通そうとする事を、外交交渉の一つの手法として採用している可能性が高いです。

閣僚経験者や外交官など19人が「孟氏の身柄引き渡し手続きを停止すれば、中国がカナダ人2人を釈放する可能性が高まる」とトルドー首相に書簡を送ったこと自体も本当なのでしょうか。

閣僚経験者や外交官など19人が、何の根拠もなくて首相に書簡を送ることは、ありえないでしょう。私の考えでは、この19人は中国の外交官と接触した際に「孟子を米国に引き渡さなければカナダ人一人を開放する。孟子を中国に返せば2人とも開放する」などなどの中国側からの要求を、その耳で聞いたのだと思います。

しかし中国政府は、国民の信任を得ていなければならない、トルドー首相の考えが全く読めないようです。

現在、欧米ではコロナ発症国でありながら謝罪もせずに我がもの顔で振る舞っている中国に対して、国民レベルで怒りが燃え上がりつつあります。彼らの心の奥底には、自由・平等・人権という価値観を生み出し、先日もこのブログにも掲載した世界初の近代的な条約であるウエストファリァ条約により生み出された世界秩序による、西欧文明こそが、世界の本質であると考えています。

価値観が全く異なる、異質な成金の中共が国際社会で我儘一杯にふるまうのが不愉快でたまらなかったのでしょうが、自国の経済の繁栄のために我慢していたところがあります。元々嫌いだったのが、今回のコロナ禍の原因を作っても、謝罪するどころか、世界中で我が物顔で振る舞い、さらにマスク外交で攻勢に出た中国に対して、怒りが頂点に達したものと見えます。それが、ネガティプな面に繋がり、欧米でアジア系に対する差別や、暴力事件が起こっています。

  イギリスに留学していたシンガポール人男性が現地の男達に「コロナを持ち込むな」等の
  差別的暴言を吐かれ、殴る蹴る等の暴行を受けた

確かに、差別や暴力はいけませんが、こうなると欧米は、中国叩きでは一致団結します。なぜなら、中国嫌いは国民レベルなのですから、中国の嫌がらせによる不快感は、国民を反中国で団結させる原動力になるからです。政府も、こうした国民感情を無視することはできません。

このようなことから、中国がオーストラリアに対して、「牛肉を買わない」と脅しても、オーストラリアは「すいません。ご意向通りにします」と態度を変えずに、「買わないのは、そちらの自由」と却って反発したのです。

今まで欧米諸国の首脳が中国に対して「買ってください」と低姿勢だったのは、その方が国内で支持が集まると判断したからです。つまり、中国に牛肉を売りつけるのは、自分の政権を盤石にするための《手段》であって《目的》ではありません。真の目的は自らの政権の支持率を上げることです。牛肉を中国に売る事ではありません。

そのため、「オーストラリアが、中国のコロナの調査を求めるという正しい行動をしたにも関わらず、中国は牛肉を買わないと脅してきた。こんな強迫に屈するわけにはいかない。国民の皆さん、中国のせいで広がったコロナ感染の危機を乗り切る為に一致団結を」と呼び掛けた方が、支持率が上がるのですから、そちらを選ぶのです。

だからカナダのトルドー首相も、中国の提案を蹴りました。「中国を軽蔑する」と言外に述べながら…。

このように欧米と世界の人達の中国への嫌悪感は、中国との外交関係を左右する所まで大きく広がっています。

しかし、この嫌悪感や軽蔑は人の心の中にあるので、目には見えません。だから中共には見えないのか、見て見ぬ振りをしているのかは解りませんが、とにかく現状の彼らは、西欧の常識から見れば、やめた方がよい事ばかりしています。

中共からすれば、自国内では、それが当たり前であり、何か問題が起きれば、警察や軍隊を用いて、すぐに鎮圧してしまうのが習い性になっているので、鈍感になっているだけかもしれません。元々、中国はこのブログでも何度か掲載してきたように、他国との関係も自国の都合で動く国柄です。そのため、外交にあまり重きを置いていません。

日本では、日本の外務大臣と同様に思われている、王毅氏は、王氏は党政治局(25人)メンバーではなく、200人ほどいる党中央委員の一人にすぎないです。画数順で公表される中央委員の序列は不明なので、26位から200位までの間ということになります。

さらにいえば、王氏は外務省トップとはいえ、中国外交の責任者ですらないのです。とにかく中国では、外交はもともと重要視されていないのです。そもそも、いよいよになれば、人質をとって脅して、革新的利益を守れば良いのですから、外交など重要視する必要性などありません。

王毅氏は日本で言う外務大臣ではない、かなり下のレベルの位置づけ

そのような国柄ですから、先に述べたように、中共は人質を取って相手国を脅して中共の我儘(彼らの言葉では中国の革新的利益)を通そうとする事を、外交交渉の一つの手法として採用している可能性が高いのもうなずけるところです。

日本も、この問題に関して深刻に考えているようには見えません。どのように対応して良いのかわからず右往左往しているようにも見えますが、はた眼には何にも考えず深刻に捉えてないようにも見えます。

せめて、冒頭の記事のように、カナダのニュースを大きく報道して、中国は人質外交をする国なのかもしれない、スパイ罪なら、中共の恣意で誰でも逮捕できるので、渡航は注意すべきとか、中国ビジネスは危険とか、世論を盛り上げるくらいのことはすべきです。

とにかく、国際法は無視、西欧的価値観やイスラム圏の価値観には鈍感というか、日本も含めた世界中の文化・価値観に鈍感で、先日も述べた弁証法的な考えすらできなくなった中共は、今後西欧的価値観から計り知れない、とんでもないことをしでかす可能性が大です。そのことは、心に留めておくべきでしょう。

現在中共に親和的とみられる国々にもいずれ離反していくでしょう。

そうして、中共は西欧のみならず、世界中の敵になる可能性が高いです。

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2020年7月16日木曜日

米国が一線越えの果たし状、風雲急を告げる南シナ海— 【私の論評】尖閣諸島すら自ら守れないようでは、日本は中共なき後の新世界秩序づくり参加できなくなる!(◎_◎;)

米国が一線越えの果たし状、風雲急を告げる南シナ海

中国の領有権主張に、ついに堪忍袋の緒が切れた米国

         マイク・ポンペオ米国務長官。2020年7月13日、中国の南シナ海
         領有権主張に対する米国の立場を公式文書で表明した
(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカ政府は、これまで永年にわたってアメリカ外交の伝統の1つとしてきた鉄則からついに一歩を踏み出した。南シナ海での中国の領域主張を否定するだけでなく、中国と領域紛争中の諸国側を支持する立場を明確に表明したのである。

アメリカ外交の鉄則とは

 アメリカは第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くことを外交の鉄則としてきた。

 様々な手段を用いて、“味方をする”側を実質的に支援することも少なくなかった。しかしながら、そのような場合でも表面上は中立を保っていた。すなわち、アメリカ政府として領域紛争当事者の一方の主張を公式に否定し、他方の主張を支持するという、外交的立場を明確にすることは断固として避け続けてきたのである。

その鉄則は、南シナ海全域で中国が強大な海洋戦力を振りかざして近隣諸国を威嚇し、南シナ海全域に対する中国の軍事的支配を確立しつつある状況に対しても適用されてきた。アメリカ政府はこれまで懸念を表明し続けてはいるものの、中国政府の主張を完全に否定して、中国と紛争中のフィリピン、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、インドネシア、台湾などの主張を明確に支持するという立場を明確かつ公式に表明することは避けていた。

 中国に対して融和的であったオバマ政権はもちろんのこと、トランプ政権といえども、これまでは南シナ海領域紛争に関する明確な立場を表明してはこなかった。

外交の鉄則に制約されてきたFONOP

 ただし、アメリカがまったく無策でいたわけでない。中国が南沙諸島に人工島まで建設し始めると、オバマ政権は中国に対して懸念を表明した。そして、南シナ海に軍艦を派遣して公海自由航行維持のための作戦(FONOP)を実施し、アメリカの威信を示して同盟国や友好国の信頼をつなぎ止めておこうとした。

 だが、オバマ大統領はFONOP(南シナ海での、以下同じ)にそれほど積極的ではなく、オバマ政権下でのFONOPは数カ月に一度のペースで極めて散発的に行われたにすぎなかった。

 トランプ大統領も就任直後は習近平主席との関係が悪くなかったため、FONOP実施のペースは若干上がった程度に留まっていた。しかし、米中関係がギクシャクし始めると、昨年(2019年)初頭あたりからのFONOPのペースは目に見えて上がってきている。

 FONOP実施の真意は、中国が南シナ海の大部分を中国の主権的海域であると主張している状況に対する牽制にある。とはいえアメリカは、第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くという鉄則から逸脱することはできない。そこで、あくまでFONOPは「南沙諸島や西沙諸島などの周辺海域で領域紛争中諸国の双方の主張は、公海における自由航行を妨げる恐れがあるので、双方ともに必要以上の主張をせず、トラブルを生ぜしめないよう」という警告を発するための軍艦派遣である、という名目で実施されてきた。

 つまり、軍艦を派遣しても、中国に対して露骨に軍事的威圧を加えるような行動は極力とらない。たとえば中国が中国領と主張している人工島などの沿海域を通航するときは、国際法上認められている無害通航原則に従って、直線的針路を可及的速やかに通過する。途中停船させたり、射撃レーダー波を発したり、艦載機(ヘリコプターやドローン)を飛ばしたり、といった軍事的行動は封じ込めてきた。

 その結果、FONOPの米駆逐艦が、中国が中国領と主張している島嶼環礁に接近してくると、中国軍艦が接近してきて追尾を開始し、米軍艦がそれらの島嶼環礁から遠ざかるまで並走するという場面が繰り返された。

 そして中国当局はその都度、「中国の主権を踏みにじり、中国の主権的海域に侵入して軍事的威嚇を加えてきたアメリカ軍艦を、中国海軍が駆逐した」といった声明を発していた(中国は国内法で、あらゆる外国船舶艦艇は中国領海に接近通過するときは中国当局に対して事前に通告しなければならない、と規定している)。

 このようにしてFONOPは、形骸化した行事のようなものになってしまっていた。

新たな局面を迎える南シナ海

 オバマ政権が渋々FONOP実施を認めた当初から、米海軍や米海兵隊などの間には、「何らの軍事的威嚇にならない無害通航原則に従うだけのFONOPでは、中国の人工島建設をはじめとする南シナ海の軍事化を牽制する効果は全く期待できない」「アメリカは、領有権紛争で劣勢に立っている同盟国や友好国を明確に支持する立場を表明しなければならない」と主張する対中強硬論が存在していた。

 7月13日、それらの強硬論がようやく日の目を見ることになった。

 マイク・ポンペオ国務長官が、「南シナ海における中国による全ての主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「アメリカ政府はフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイの排他的経済水域や島嶼に関する領有権の主張などを支持する」との立場を明記した公式声明を発したのである(「U.S. Position on Maritime Claims in the South China Sea」)。

 アメリカ外交当局は、これまでの外交鉄則を大きく変針した。これにより、FONOPも含めてアメリカ海軍や空軍による南シナ海での対中軍事牽制行動も新たな局面を迎えることになるのは確実である。

次は尖閣問題について立場を表明か

 トランプ政権がさらに対中強硬姿勢を強めるであろう次のステップは東シナ海だ。これまで永年にわたってアメリカ政府は尖閣諸島の領有権紛争に関しても中立的立場を貫いてきた。

 日本政府高官は、米側高官たちが「尖閣諸島に対して日本が施政権を行使していると認識している」と表明すると、あたかも日本の主張を支持しているかのように手前勝手に解釈して胸をなで下ろす。しかし、アメリカ政府は「日本が尖閣諸島の領有権を保持している」あるいは「中国による尖閣諸島の領有権の主張は認められない」といった領有権に関する公的コメントを発することを避け続けてきている。

 だが、数年前から米軍関係者などの間では、アメリカ政府として公的に「尖閣諸島の領有権は日本にある」といった明確な立場を表明すべきであり、そうしなければ南シナ海のように東シナ海での中国の軍事的優勢が確立してしまう、と警告を発する者も少なくない。

 トランプ政権がそのような主張に従い、尖閣諸島をめぐる領有権紛争に関して「中国の領有権主張は、アメリカ政府としては認められない」という立場を示すならば(ただし台湾も領有権を主張しているため、そう単純にはいかないのだが)、極めて強力な対中強硬姿勢を明示することになる。

 もちろん我々としては、尖閣諸島に対する日本の領有権を確保するのはアメリカではなく日本自身であることを忘れてはならない。

【私の論評】尖閣諸島すら自ら守れないようでは、日本は中共なき後の新世界秩序づくり参加できなくなる!(◎_◎;)

このブログにもよく登場する米国の戦略家ルトワック氏は、2018年12月28日の産経新聞のインタビューに応えて、以下のような発言をしています。

エドワード・ルトワック氏
 ルトワック氏は現在の中国との「冷戦」の本質は、本来は「ランドパワー(陸上勢力)」である中国が「シーパワー(海洋勢力)」としても影響力の拡大を図ったことで米国や周辺諸国と衝突する「地政学上の争い」に加え、経済・貿易などをめぐる「地経学」、そして先端技術をめぐる争いだと指摘した。 
 特に先端技術分野では、中国はこれまで米欧などの先端技術をスパイ行為によって「好き勝手に盗んできた」とした上で、トランプ政権が今年10月に米航空産業へのスパイ行為に関与した疑いのある中国情報部員をベルギー当局の協力で逮捕し米国内で起訴するなど、この分野で「米中全面戦争の火ぶたを切った」と強調した。 
 一方、中国が南シナ海の軍事拠点化を進めている問題に関しては、トランプ政権が積極的に推進する「航行の自由」作戦で「中国による主権の主張は全面否定された。中国は面目をつぶされた」と強調。中国の軍事拠点については「無防備な前哨基地にすぎず、軍事衝突になれば5分で吹き飛ばせる。象徴的価値しかない」と指摘した。



であれは、米国としては今後もFONOPを実施するにしても、実際に南シナ海の中国軍の基地を叩くまでのことはしないと考えられます。

ただし、一つ懸念があります。それは、中国が南シナ海を中国の原潜の聖域とすることです。

中国が南シナ海で従来から、外国の軍事活動を許さないとの強硬姿勢を取っているのは、領土問題もあるでしょうが、本当の理由は、南シナ海を中国の戦略原潜の基地に接続する原潜の展開水域として確保したいから、ということは以前もこのブログでも述べています

どういうことかといえば、南シナ海は海南島の三亜を基地とする中国の戦略原潜の展開水域なのですが、中国は、対潜水艦兵器や海洋調査船を展開している米国と、インド・太平洋地域の米国の同盟国網によって、第一列島線の中に閉じこまれかねないと感じているのです。



そうして紛争の際には、戦略原潜が第一列島線の外に出る前に、米海軍に発見され、無力化されてしまうのではないかと懸念しているのです。

中国が南シナ海で外国の軍事活動にますます不寛容になっているのは、この懸念のためでしょう。

中国は南シナ海での外国の軍事活動に対して、公には領土問題の観点から抗議していますが、中国の為政者たちは内々には戦略原潜が基本であり、いかに将来の原潜による抑止を守るかが重要な関心事である、従来から述べています。

冷戦中、ソ連の戦略原潜は遠隔のバレンツ海やオホーツク海を基地としていましたが、中国が原潜の基地として選んだのは世界で最も重要なシーレーンの真っ只中に位置しています。

中国の原潜は新型の「晋」級戦略原潜に、射程距離4600マイルの弾道ミサイルを搭載するものと見られ、この原潜は現在海南島を基地としていると見られています。ただし、中国の原潜は未だ、ステルス制に劣り、先日も日本の海自に、日本近海での行動を暴露されてしまいました。

中国の南シナ海における強硬姿勢が、単なる領土主権の主張に留まらず、戦略原潜展開の必要性に基づくものであるとの見解は、第一列島線、第二列島線の概念を中心とする中国の海洋戦略、そして戦略ミサイル搭載原潜という大きな抑止力を持つ対米核抑止戦略に照らせば、当然のものでしょう。

このような見解は、私をはじめ日本でも述べられてきています。中国は南シナ海を、かつてソ連が冷戦中に対米核戦略の拠点としたオホーツク海のようにしようとしている、あるいは南シナ海を、中国の戦略原潜のための「聖域」としようとしている、といった見解です。

今のところ、中国の南シナ海の軍事基地のいずれかを、中国原潜の基地にしようという動きは見られません。しかし、そのような動きが見られた場合は、米国は躊躇わず、原潜基地を5分で吹き飛ばす可能性は十分にあります。

さて、一方尖閣諸島についてはどうでしょうか。米国では超党派の米上院議員グループが5月23日、南シナ海と東シナ海における中国政府の活動に関与した中国人や団体に対して、米国政府が制裁を科せるようにする法案を改めて提出しました。

共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)とトム・コットン上院議員(アーカンソー州)、および民主党のベン・カーディン上院議員(メリーランド州)が提出した「南シナ海・東シナ海制裁法案」は、中国に圧力をかけ、中国が領有権を主張する中国沖の海域の実効支配をやめさせることを目的としていると、香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は伝えています。

この「南シナ海・東シナ海制裁法案」は未だ審議中ですが、いずれ成立するするのは間違いないです。だからこそ、7月13日、マイク・ポンペオ国務長官は、「南シナ海における中国による全ての主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「アメリカ政府はフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイの排他的経済水域や島嶼に関する領有権の主張などを支持する」との立場を明記した公式声明を発したのでしょう。

東シナ海の尖閣諸島については、上にもあるように、中国だけではなく、台湾も領有権を主張しているため、日本と台湾などと調整しなければならず、13日のポンペオ長官の公式声明には、盛り込まれなかったのでしょう。

ただし、尖閣諸島については、台湾の領有権は正統性に乏しく、しかも蔡英文政権が主張し始めたものではなく、国民党政権時代から主張されたものです。

これは、米国の後押しなどで、台湾と日本の間で漁業権問題などが平和的に解消できれば、十分に解決できるものと考えられます。

となると、いずれポンペオ長官は、「東シナ海における中国による尖閣諸島の主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「米国政府は日本の排他的経済水域や尖閣諸島に関する領有権の主張などを支持する」と声明を発表することになるでしょう。


ただし、尖閣諸島は日本の領土であるため、その防衛は日本が担うべき筋のものです。現状を打破するためには、まずは日本が独力で、尖閣周辺に海自の艦艇などを派遣して、中国の艦艇などを排除すべきです。

このような行動は、以前だとある程度の危険がありましたが、米国が日本の尖閣諸島領有をはっきり認めた後には、かなり実施しやすくなります。

私としては、これを実施するのは当然と思います。流石に、日本国内の勢力を排除するというのですから、これは現行の憲法の範囲でも十分にできそうです。

少なくとも米国はそう思うでしょう。それに関しては、このブログでも従来から述べているように、現状の自衛隊の能力でも、それは十分にできます。

ただし、現行法では、難しい点もあります。まずは、現行法を、平時の自衛権を発動できるような法律に変えていくべきです。この努力をすぐに始めなければ、米国から日本は自衛するつもりがあるのか、米国から疑われてしまうことでしょう。

以前からこのブログで述べているように、現在は自由主義陣営と、中国の全体主義との戦いの真っ最中であり、日本もこれに向けて、自由主義陣営に貢献しなければ、中共敗戦の後の、新世界秩序作りに日本は参加できなくなるかもしれません。

日本は、新たな理念を提唱できる可能性が大です。しかし、尖閣諸島すら自ら守れないようでは、その機会は訪れないかもしれません。

それどころか、日本は戦後レジームから逃れられなかったように、新世界秩序の中でも、一人前に扱われず、半人前の地位に甘んずることになりかねません。

それだけは、避けたいものです。

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2020年7月15日水曜日

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア— 【私の論評】安倍総理は、次のちゃぶ台返しで、財務省の嫌がる”家賃補填、休業補償の拡充””消費税減税”を実行せよ!(◎_◎;)

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア 
高橋洋一 日本の解き方


 
 英国が飲食、宿泊、娯楽業界の付加価値税の時限的引き下げを発表した。すでにドイツは引き下げを実施している。日本でも自民党の若手や国民民主党などが減税に積極的だが、現状で減税に反対する人はどんな人なのか。その理屈は妥当なのだろうか。

 コロナ・ショックは消費需要の消失という形で現れるので、消費需要をアップさせる政策が望まれる。そのため可処分所得を増加させる減税や給付金が有力な政策手段だ。特に、消費に直接的に働きかける消費減税は、現状では交付に時間がかかる給付金と異なり、家計がその果実をすぐに受けることができるというメリットがある。

 もちろん企業サイドへの補助金や給付金も政策としてはあり得るが、配布基準など公平性の確保が難しい。消費者サイドへの減税や給付金のほうが問題が出にくい。

 しかし、消費減税には、財務省が猛烈に反対する。財務省のいいなりの経済界、財政学者、マスコミも反対だろう。経済界は法人税の減税、財政学者はポストの確保、マスコミは軽減税率の確保とそれぞれ目的は異なるが、財務省の肩を持つ。

 消費税は1989年の創設以来、97年4月、2014年4月、19年10月の3回しか増税していない。ほぼ30年間で3回、つまり10年に1回なので、1回引き下げるとまた上げるのが大変だというのが財務省の本音ではなかろうか。

 もちろん、建前は社会保障財源が少なくなり、高齢化社会に対応できないというものだ。しかし、そもそも消費税を社会保障目的税としている国はないので、両者をリンクして考えること自体がナンセンスだ。社会保障の充実であれば、社会保険料で対応するのが、国民にも分かりやすく納得できる方法で、消費税は無関係であるべきだ。

 「1回下げると上げにくい」というのは、今回のようなコロナ対策では心配することではない。ドイツも英国も消費減税は一時的な措置であり、恒久的ではない。

 例えば、2次補正の予備費は10兆円であり、うち5兆円はまだ使い道が決まっていない。ここに2000億円を追加すれば、消費税率を10%から8%への2%減税を1年間実施できる。これなら既に財源を用意できているので、社会保障の支出に関する心配も杞憂(きゆう)となり、財務省の建前の理屈も本音も木っ端みじんになる。

 こういうとき、財務省は消費減税の声が大きくならないように、近い議員に働きかけることが多い。先日、安倍晋三首相のところに税収を上げるような政策を申し入れた議員らはその一例と筆者はにらんでいる。もちろん、「税収を上げるような」とは成長戦略の意味も含むので、増税ではないという言い訳もちゃんと用意されているが、「将来世代にツケを残さないように」と、今回の補正が通貨発行益で賄われていることを無視しているのは、意見の出所が推察できる。

 いずれにしても、消費減税とは言わないことは、海外の消費減税の日本への影響力を弱める結果となっている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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米国も当然減税します。トランプ米政権はすでに6月の段階で、新型コロナウイルスの追加経済対策として、労使双方が負担する「給与税」の減免の検討に入りました。

トランプ政権はコロナ以前から様々な減税策に取り組んでいる

同税は年1.2兆ドル(約128兆円)の税収がある基幹税で、実現すれば2017年末以来の大型減税となります。米経済は失業率が10%を超えて戦後最悪の水準になると予想され、減税とともに雇用の受け皿となるインフラ投資も打ち出す方針です。

トランプ大統領は6月3日、米テレビ番組で「雇用を立て直すため、給与税減税が必要だ」と表明しました。米政権と議会は新型コロナ対策として、既に過去最大の3兆ドル弱もの財政出動を決めています。トランプ氏はさらに給与税の全面免除を議会に働きかける方針で、1兆ドル規模の追加の財政出動となる可能性があります。

これまでの新型コロナ対策は、中小企業(従業員500人以下)の給与支払いを連邦政府が肩代わりする雇用維持策などが中心で、倒産や失業を防ぐ「止血」に焦点を当てていました。ただ、米経済は4~6月期の実質成長率が前期比12%減、年率に換算すれば40%ものマイナスになると予測されます。失業率も10%を大きく超えそうで、新たに雇用の受け皿の確保が必要になっています。

トランプ氏が減免対象に挙げた給与税は、全歳入の3分の1を占める基幹税です。社会保障費の財源として労使がそろって給与の6.2%分を納税する仕組みで、全面免除すれば企業と労働者の双方の負担減となります。

法人税の引き下げなどを盛り込んだ17年末の「トランプ税制」は、年間の減税規模は1500億ドルでした。給与税を全額免除すれば年1兆ドル規模の巨額減税となります。

トランプ氏としては、大統領選挙の兼ね合いもあり、ここぞというときに、超大大型減税を打ち出すのは、確実です。

英国スナク財務相
上の記事にもあるとおり、英国も当然減税です。英国のスナク財務相は8日、飲食店など新型コロナウイルスの影響が大きい業種を対象に、付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)を現行の20%から5%に引き下げると発表しました。同日発表した総額300億ポンド(約4兆円)の追加経済対策の一環とされています。
英国では飲食店や劇場などが4日に再開したのですが、客足の戻りが鈍いため、減税によって消費を促し、雇用維持につなげる狙いです。15日から来年1月まで半年間の期間限定。減税規模は41億ポンドを見込んでいます。
新型コロナを受け、ドイツも1日から年末までの期間限定で、VATを19%から16%に引き下げました。食料品などを対象にした軽減税率も7%から5%にしました。
さて、減税を実行する予定の英国ですが、15日イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のテンレイロ委員は、同国の景気回復が「不完全なV字型」になる可能性が高いとの見通しを示しました。

消費者が新型コロナウイルスの流行を警戒するほか、社会的距離を確保する戦略で経済活動が制限され、失業が増える見通しというのです。

同委員はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス主催のオンラインイベントで「行動反応を踏まえると、英経済の見通しは、引き続き国内外の新型コロナ感染症の流行状況に左右される」と指摘しました。

「感染拡大ペースが緩やかに低下すると想定した場合、国内総生産(GDP)が途中で遮られる形の不完全なV字型の軌道をたどるというのが、私の基本シナリオだ。四半期ベースで最初に回復するのは第3・四半期になるだろう」と述べました。

同委員は「強制的な休業だけが原因だった支出の落ち込みについては、すでに急激な回復の兆しが見られる」と指摘。

「ただ、リスク回避姿勢の継続や、一部セクターでの自主的な社会的距離戦略、また他のセクターに依然適用されている規制、失業全般の増加を背景に、回復は中断されるだろう」と述べました。

同委員は、物価の下押し圧力がしばらく続く公算が大きいと予想。需要には「かなりの下振れリスク」があると述べました。

「必要に応じて、経済を下支えするさらなる対策に賛成票を投じる用意が依然としてある」としています。

マイナス金利については、ユーロ圏などで、おおむね前向きな結果が出ているとの認識を示しました。

次回の金融政策委員会の決定は8月6日に発表されます。

金融政策委員会は先月、債券買い取り枠を1000億ポンド拡大することを決定。政策委員9人のうち8人が買い取り枠の拡大に賛成する一方、チーフエコノミストを務めるハルデーン委員は、景気の回復が「これまでのところ非常にV字型」だとして反対票を投じました。

新型コロナウイルスを受けて、世界では巨額の財政・金融政策が打ち出されています。これら刺激策はすでに4月の段階で、世界GDPの3%超に匹敵する規模となっている他、政策金利の追加利下げや量的緩和プログラムが開始となり、中央銀行からは低金利の融資ファシリティが提供されています。

米国における刺激策の第一段はGDPの6%相当で、経済を幅広く支援する内容となっています。しかし、外出禁止などロックダウンによる生産損失が出ている事から、この刺激策を使ってリセッション入りを回避する事は不可能です。

とはいえ、失業率の行き過ぎた伸びを防ぐ観点から刺激策は必要不可欠であり、最終的な経済回復局面で力を発揮するでしょう。そうして、先にも述べたように、トランプ政権は第二段の対策として、大規模減税を計画しているのです。

そうして、欧米では何らかの原因があって、景気がかなり落ち込んだ場合には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和というのが〝定番政策”になっています。

だから、コロナ禍による経済による落ち込みにも、この定番政策が実行されるため、財政出動としての減税策は当然の如く実行されるのです。間違っても、増税とか、減税しないという選択肢はないのです。日本も、早くこのようになって欲しいです。

一方日本違います。何かと、財務省が邪魔をします。4月17日、安倍首相のちゃぶ台返しがありました。「所得制限つき、1世帯あたり30万円の現金給付」が覆り、「所得制限なし、1人一律10万円の現金給付」となりました。このブログではこの政策変更は正しいと評価しました。

30万円の所得制限をつけた給付だと、確認などに時間がかかり、ひょっとすると今でも給付が十分進んでおらず、そのことで、安倍政権は自民党内外から責められ、国民からも不興を買ったに違いありません。これは、倒閣に結びついた可能性が十分あります。無論財務省主導によるものでしょう。



安倍総理は、当初から10万円、所得制限なしの給付を考えていたようですが、岸田氏任せたところ、いつの間にか30万円の所得制限の給付に切り替わっていたというのが、真相のようです。そのため、安倍総理の岸田氏への信頼は崩れたようです。

これで、安倍総理による岸田氏への総理の席の禅譲という話は、消えたようです。

安倍首相には2度目の〝ちゃぶ台返し〟で、家賃補填、休業補償の拡充と消費減税を是非実現してもらいたいです。

最近東京では、感染者数が増え、コロナ感染の第二波が始まるのではと危惧されています。現史上では東京都も政府も有効な手立てを打ちあぐねています、これは、潤沢な資金で、大規模な家賃補填、休業補償の拡充ができれば、それを前提として様々な手段を講じることができるはずです。

ただし、安倍総理のまわりは緊縮イデオロギーに染まった人たちが囲っています。それだけではなく、30万円給付のような、もっともらしい政策等で第二、第三の倒閣運動が企てらている可能性もあります。

与野党問わず政治家は相変わらずですし、軽減税率という〝毒まんじゅう〟を喰らった新聞も、社会保険料の据え置きや法人減税というニンジンをぶら下げられた経済界も財務省の味方です。

それでも第1弾の緊急経済対策はギリギリながらも合格でした。安倍総理の政策は、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟に近づいています。そうして国民のマクロ経済政策への理解は、東日本大震災のときよりはるかに高まっています。これが日本経済復活への一縷の望みです。

ただ若い世代には、ずいぶんとマクロ経済への理解は、広まったようですが、高齢世代は、経済情報の情報源は、テレビのワイドショーなので、財務省やその走狗どもの言いなりです。しかも、高齢者の方が人口が多いのです。まだまだ、油断できません。

とにかく、安倍総理のもとで、景気が落ち込んだ時、落ち込みそうな時には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟が実現できるように道筋をつけていただきたいものです。総理大臣がちゃぶ台返しをしないと、まともな経済対策ができない今の日本は異常です。

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2020年7月14日火曜日

“帝国主義的覇権国家”の異常ぶり…中国とまともに付き合うのは限界だ! 日本は欧米諸国と安保・経済の連携を— 【私の論評】世界の中国の全体主義との戦いの終わりに、日本は新世界秩序の理念を提唱せよ!(◎_◎;)

“帝国主義的覇権国家”の異常ぶり…中国とまともに付き合うのは限界だ! 日本は欧米諸国と安保・経済の連携を 

高橋洋一 日本の解き方

習近平国家主席
自民党は中国による「香港国家安全維持法(国安法)」に対する非難決議を了承した。習近平国家主席の国賓来日に関し、「党外交部会・外交調査会として中止を要請せざるを得ない」としている。沖縄県の尖閣諸島にも連日中国船が接近するなかで、日本の国益を守るためには、対中外交でどのようなスタンスが得策なのか。

 最近の中国は、周辺国と数々のトラブルを抱えている。英エコノミスト誌に掲載された風刺漫画で、ドラゴンに見立てられた中国が、右手でインド、右足で南シナ海諸国、左足で台湾とそれぞれ押し合い、尻尾は香港の自由を奪っている様子が描かれている。今のところ、左手は地面をつかんでいるが、筆者には日本の尖閣を伺っているように思えた。

 先日の本コラムで、国安法のことを書いたが、香港での国際公約である50年間の「一国二制度」を破ったことにとどまらず、同法の域外適用は異常である。域外適用とは、逆にいえば他国の国家主権を無視することであり、全世界を支配下にするという宣言のように筆者には見える。また、それは世界は中国のものという「中華思想」そのものだ。

 当然、隣国である日本も警戒すべきだ。尖閣での日本の主権侵害も放置できない。国安法を前提とすれば、わが国固有の領土である尖閣諸島で領有権を主張することは、世界のどこで言っても同法違反になってしまう。

 仮に、習主席を日本に招いて、安倍晋三首相が同氏に尖閣諸島の領有権を主張しても、同じく安倍首相は同法違反となりかねない。安倍首相が日本にいれば、中国と日本との間には犯罪人引き渡し条約はないので問題ないが、例えばフランスのように中国との同条約締結国に安倍首相が行ったとき、中国は国安法違反を理由として中国への引き渡しを求める可能性すらあるのだ。

 もう西側民主国家の常識では想像できないくらい、中国は帝国主義的国家になっている。国安法について、ポンペオ米国務長官は、自由のない言論統制を「全体主義的」と批判したが、世界制覇をもくろむ拡張覇権主義といってもいい。

 当然日本は各国の主権を尊重し、自国主権を守る立場なので、帝国主義の拡張覇権国家と付き合うのには限界がある。中国が国安法の自由抑圧・拡張覇権主義を取り下げないと、まともに対中外交はできないと言ったほうがいい。

 もちろん習主席の国賓としての訪日などありえず、今の中国とは一線を画したほうがいいのは明らかだ。でないと、西側民主主義国に間違ったメッセージを送ってしまう。

 その上で、日本の取るべき外交は、中国の周辺国で困っている国と連携して、中国の拡張覇権主義をどのように食いとどめるかだ。さらに、民主主義の欧米諸国とも共通の価値観を確認しつつ、安全保障と経済の連携を図り、その他の国へ民主主義を広めることも重要になる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】世界の中国の全体主義との戦いの終わりに、日本は新世界秩序の理念を提唱せよ!(◎_◎;)

日本の取るべき外交は、良くも悪くも米国の外交にかなり影響されます。日本は、まずは米国の姿勢を理解しておくべきです。

貿易戦争で始まった米中対立は、ハイテク覇権、香港問題、ウイグル人弾圧問題など、中国共産党の基本路線と真っ向からぶつかる展開となっています。米国としてもハイテク覇権の維持、民族自決、宗教の自由といった、国家の基本理念に関わる問題だけに、米中の歩み寄りは難しいです。

中国共産党旗の前で記念撮影する中国の人々
私は、米中対立における米国の究極の目的は中国共産党の壊滅にあるのではないかとみています。1983年にアメリカのレーガン大統領は「スターウォーズ計画」を発表し、当時のソ連に宇宙軍拡競争を仕掛け、ソ連の国力の消耗を狙いました。

その結果8年後の91年、ソ連は崩壊しました。宇宙軍拡競争をソ連に仕掛けた段階で、米国はソ連共産党の壊滅を目的としていたと考えられます。米国は日本に対しても、日露戦争終結直後から日本攻略を目的とした「オレンジ計画」という長期戦略を策定し、40年後にはこれが実現することになりました。

米国は自らの世界覇権を守るためには、長期で慎重な戦略を策定し、これを挙国一致で実行に移す能力のある国であることを忘れるべきではありません。

日本としては米中対立の中で、「和を以って尊しとなす」という聖徳太子以来の和の精神を基に、日本独自の共存共栄の世界観を世界に示し、対立を回避したいところですが、特に「国安法」の施行の後からは、もうこの争いは単なる覇権争いではなく、日本をも直接脅かす中国の全体主義的価値観と米国の自由・平等・人権などの西欧的価値観の戦いになってきました。

西欧的価値観は、長期間にわたって醸成され、今日に至っています。その中の一つにウェストファリア体制というものがあります。

ミュンスター条約(ウェストファリア条約)締結の図
ウエストファリァ体制とは、1648年のウェストファリア会議で成立した世界最初の近代的な国際条約とされている、三十年戦争の講和条約による体制です。66か国がこの条約に署名し、署名までに4年の歳月を費やしています。

この体制によって、プロテスタントとローマ・カトリック教会が世俗的には対等の立場となり、カルヴァン派が公認され、政治的にはローマ・カトリック教会によって権威付けられた神聖ローマ帝国の各領邦に主権が認められたことで、中世以来の超領域的な存在としての神聖ローマ帝国の影響力は薄れたました。

スイス、オランダの正式な帝国離脱が認められ、フランスはアルザス地方を獲得しました。

現代の世界を見渡せば「ウェストファリア体制」がどれぐらい残っているでしょうか。

主権国家の並立体制は、建前上は残っています。その意味でいえば、世界はいまだに「ウェストファリア体制」と言えます。

「ウェストファリア体制」とは、煎じ詰めると以下の3点です。
一 心の中では何を考えてもよい
二 人を殺してはならない
三 お互いの存在を認めあおう
という三要素です。そして、これらは最も確立された国際法であり、法則なので否定のしようがありません。

しかし、現実はどうでしょうか。

この三要素が当然だという価値観を持った国はどれぐらいあるのでしょうか。日米、そのた西欧先進国は、全てこの価値観を持っている言って良いでしょう。

ところが中国もロシアも、そうして無論北朝鮮もこのような価値観は持っていません。習近平、プーチン、金正恩共通しているのは、自分が殺されなければ、やっていいと考えるところです。むしろ、すでにバンバンやっています。

どっちつかずなのが韓国です。無論、韓国では中国やロシアのように人を殺すことはありませんが、それにしても、歴代の元大統領の多くは、無残な死に方をしています。

日本としては、明治以来西欧的価値観を受け入れ、全体主義的に陥ったこともなく(大東亜戦争中の日本の体制をナチズムと似たような全体主義というのは歴史を真摯に学んだことのないものの妄想です)、どちらかといえば、米国の方に与し易いのは事実です。

日本は米国の意図を汲み、強い方に従う劣位戦の発想ではなく、あくまで中国共産党の全体主義との戦いに挑み、日本人独自の世界観と歴史観に基づいた平和への道を世界に提示すべきです。

西欧諸国等の中国の全体主義との戦いは、中国共産党の崩壊によっていずれ終焉します。その後の世界は、日米やその他の戦勝国によって決められることでしょう。そうして、その時も結局「ウェストファリャ体制」は温存されることになるでしょう。特に上記で示した、三要素は必ず温存され、その上に新たな世界秩序が構築されることになるでしょう。

第二次世界大戦の終焉直前のヤルタ会談などでは、結局その後ソ連や中国、北朝鮮を台頭させ、ソ連時代の東欧の悲劇、アジア地域の不安定を招く結果となりました。日本は、独立国でありながら、そうではないような状況に悩むことになりました。

ヤルタ会談
今後の新世界秩序づくりにおいては、無論日本が積極的に関与し、リードし当面の世界にとって最も良い秩序を構成すべきです。おそらく、米国主導では、他国が反発してまとまらないでしょう。

その時に、日本が米国と他国との橋渡しとなり、まともな新世界秩序を作る架け橋となるべきです。そのようなことは、日本でなければ、なかなかできないことです。なぜなら、日本は自由主義陣営においては、経済力は第二位でありながら、第二次世界大戦後、一度も戦争したり、地域紛争などに介入したことがないからです。

さらに、最近ではTPPや欧州とのEPA協定を結ぶなど、世界に先駆けて大規模な自由貿易協定を結んだという実績もあります。インド太平洋地域では、日本は米国と当該地域の国々との橋渡しをしました。日本の安倍首相による橋渡しがなければ、米国のインド太平洋戦略など成り立たなかったことでしょう。

日本は第一次大戦後のパリ講和会議において、史上初めて国家として人種平等を提唱し、この時は米国の先日もこのブログに掲載したように、非常に問題のあるウィルソン米大統領の独断により廃案とされましたが、第二次世界大戦を経て、人種平等の世界が実現したのです。日本は歴史をリードする理念を提唱できる国家であることを日本人は忘れてはならないです。

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2020年7月13日月曜日

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「国安法」施行で日本人が注意すべき“危険な国”は? 石平氏「習主席には地球全体を支配しようという思惑が? もし日本人が香港民主派に賛同する言動すると…」

香港への統制を強める習近平氏はあまりに危険だ。国際社会は警戒感を強める

中国政府による統制を強化する「香港国家安全維持法(国安法)」施行に伴い、自由主義諸国は「自国民に影響が出かねない」と警戒している。同法が定める違法行為を、外国人が香港だけでなく、香港以外の場所で行った場合でも、香港・中国側が求めれば拘束・移送される危険性があるのだ。香港や中国と「犯罪人の引き渡し条約」を結んでいる国は大丈夫なのか。日本人が注意すべき国を調べてみた。


 「中国が香港に国安法を導入した結果、香港との関係が根本的に変わった。『犯罪人引き渡し条約』は停止する。中国にも伝えた」

 オーストラリアのスコット・モリソン首相は9日の記者会見で、こう表明した。

 国安法は、中国への抗議活動などを取り締まるため、国家分裂や政権転覆、外国勢力と結託して国家の安全に危害を及ぼす行為だけでなく、それらを扇動、教唆することも禁止している。

 これらは香港で適用されるだけでなく、「香港の永住権を有しない者が、香港以外の場所で本法律に規定する罪を犯した場合、本法律が適用される」(38条)という。

 つまり、外国人が香港以外で「香港は独立すべきだ」と発言しても、同法が適用される可能性があるのだ。

 このため、冒頭のオーストラリアだけでなく、カナダのジャスティン・トルドー首相も3日、同様の条約停止を発表した。ニュージーランドも9日、引き渡し条約の見直しを表明した。



  日本は幸い、香港や中国と「犯罪人引き渡し条約」は結んでいない。ただ、同様の条約を、香港や中国と結んでいる国は多い=別表。ビジネスや観光で訪れる際は注意すべきだ。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「習主席には、国際法や国際関係の基本ルールが通用しない。地球全体を支配しようという思惑でもあるのではないか。日本人が香港の民主派に賛同する言動をすれば、香港や中国はもちろん、香港や中国と親しい国で拘束される危険性がある。日本政府は『国安法は受け入れられない』と断固たる声明を出すべきだ。中国の属国になるわけにはいかない」と語っている。

【私の論評】先進国は国際法を守らない中国の高官が自国を訪問したら、逮捕して裁判せよ!(◎_◎;)

香港で国安法が導入された当初から、上の記事で示されている懸念については、私もこのブログで表明しました。

これ一つを持ってみても、もはや習近平は世界の指導者にでもなったつもりで、世界中を自分に従え、世界中のいかなる国において誰かが中国や香港を批判しても、それを罰するつもりです。

すでに、多くの国々が犯人引渡し条約を破棄するか、その方向で、進めているのも当然出す。まともな民主国は、この条約を破棄することでしょう。

この中国の暴挙には、まずはほとんどの国で条約を破棄することで、ある程度対応することができます。条約を破棄しない国は、ロシアなどのわずかの国々になることでしょう。

ロシアなどのわずかな国々に、行かなければ良いのです。これは、米国などに行けなくなるのとは違いますから、個人に取っては、ほとんど問題にならないでしょう。

ただし、企業などでは、中国や、中国と「犯人引渡し条約」を結んでいる国に、拠点がある場合は、深刻な問題になりそうです。

しかし、これも中長期的には拠点を引きあげれば良いと思います。現状では、中国や中国と関係の深い国々でのビジネス展開は非常に危険です。一時的に利益が出たとしても、この先どうなるかわかりません。

そうして、この件に関して、中国を牽制する手段は他にもあります。それは、かつて台湾が行ったことです。それに関しては、随分前ですが、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【日本で報道されない激レアニュース】台湾訪問中の中共高官2人、相次ぎ刑事告訴される―【私の論評】及び腰日本はなぜこのようなことをしないのか?

  スペインの国家裁判所に、ジェノサイドと拷問の罪で
  刑事告訴された江沢民・元国家主席を含む5人の中共高官

この記事は、2010年のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、この記事では当時台湾訪問中の中共高官2人が相継ぎ刑事告訴されたことを掲載しました。以下に一部を引用します。
中国宗教事務局の王作安・局長は、先週15日(2010年9月15日)に台湾を訪問した際、台湾法輪大法学会に、法輪功への集団弾圧を陣頭指揮した罪で告訴された。前日の14日、台湾を訪問中の陝西省趙正永・代理省長が同団体に刑事告訴されたばかり。 
台湾法輪大法学会は、台湾の高等裁判所の検察署にジェノサイドと民権公約違反の罪状で二人をそれぞれ刑事告訴し、身柄拘束を要求した。同検察署は訴状を受理した。
この時の台湾総統は、当然のことながら現在の蔡英文ではなく、中国寄りの馬英九でした。そのこともあって、これは大ごとにはならず、二人の中国高官も結局早期に釈放されたようです。それにしても、台湾検察が刑事告訴をしたということ事態が今から考えると、とてつもないことです。もしこの時に、本格的裁判をしていたらどうなったでしょうか。

2013年には、スペインの裁判所がチベット族の虐殺に関与した疑いで、中国の江沢民元国家主席(当時:87)ら元幹部5人に出した逮捕状が波紋を呼びました。

このようなことがあった後に、2013年3月14日には、習近平政権が成立しました。このようなことがあったせいでしょうか、習近平が初めて、米国の当時のオバマ大統領を訪問した時には、ひょっとして自分は米国司法当局に逮捕されるのではないかという危惧の念を抱いていたようです。

2013年オバマ大統領と習近平主席の初会談

なぜなら、法輪功信者は米国にも大勢いて、習近平の米国訪問の反対運動をしていたという事実があります。実際にオバマ政権の時の司法当局がそのようなことをしていたら、その後の中国の暴走を防げたかもしれません。

台湾やスペインがこのようなことをしているのですから、中国が実際に、国安法で他国に、中国を批判した個人などの引渡しを求めるようなことをした場合は、その報復として、中国人高官が米国などを訪れた場合、司法当局が身柄を拘束して、起訴して裁判を行えば良いのです。

習近平が日本を訪問したいというなら、訪問させて、検察が身柄を拘束して、裁判を行うというようなことをすれば良いです。そのようなことをすると、意外と現在の八方塞がり中国は、喜んでそれを受け入れ、八方塞がりの原因を作った習近平はあっさり失脚するかもしれません。

何しろ、これから、米国は中国に対する制裁をさらに強化し、多数の中国高官の資産を凍結しようとしています。そうなれば、金の切れ目が縁の切れ目で、習近平は中国の幹部からも敵ということになります。

理想も信念もない中国共産党幹部たちの、結びつきは金だけです。金を儲けさせてくれるから、習近平について行ったものを、その金がなくなれば、習近平に忠義立てする必要もなくなります。その習近平が身柄を拘束されるということになれば、大喜びする幹部も多いことでしょう。

中国の高官であれば、過去に虐殺や虐待に関わっているものも多いはずです。だから、起訴理由はいくらでもあります。そうして、それを米国だけが行うというのではなく、多くの国々で行うようにすれば良いでしょう。

国際法を守らない中国は、それくらいのことをされても当然です。

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中国軍が中東に基地を構える日――中国は「第二のアメリカ」になるか— 【私の論評】中共が力を分散すれば、対中勢力にとってますます有利になる!(◎_◎;)


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2020年7月12日日曜日

中国軍が中東に基地を構える日――中国は「第二のアメリカ」になるか— 【私の論評】中共が力を分散すれば、対中勢力にとってますます有利になる!(◎_◎;)

中国軍が中東に基地を構える日――中国は「第二のアメリカ」になるか

訪中したイランのザリーフ外相を迎える王毅外相(2019.8.26)
  • 中国は中東イランのキーシュ島を25年間租借する権利を得て、ここに軍事基地を構えようとしていると報じられている
  • 事実なら、中国はアジア、中東、アフリカを結ぶ海上ルートを確立しつつあるといえる
  • ただし、イランに軍事基地を構えた場合、中国自身も大きなリスクを背負うことになる
 海洋進出に合わせて中国はアジア、アフリカ各地に軍事基地を構えてきたが、今度は中東がそのターゲットになっている。

ペルシャ湾に中国軍基地ができる?

 中東の大国イランは今、コロナだけでなく、あるウワサによって揺れ動いている。イラン政府が中国との間で、4000億ドルの資金協力と引き換えにキーシュ島を25年間貸し出すことに合意したというのだ。

 ペルシャ湾のキーシュ島は91.5平方キロメートルで、約4万人が暮らす小島だが、大きな港がある他、平坦な地形のため飛行場もあり、交通の便は悪くない。



 その立地条件から古代から人が行き交い、古い街並みが観光名所にもなっている。最近では自由特別区としてショッピングセンターや高級ホテルが立ち並ぶリゾート地としての顔ももつ。

 このキーシュ島を中国に長期リースするという情報は、債務をタテに中国がスリランカの港の使用権を手に入れた一件を思い起こさせるため、イランで政府への不信感と批判が高まっているのだ。何が合意されたのか

 では、この情報は確かなのか。

 問題になっているのは、2016年に交わされた「中国・イラン包括的パートナーシップ協定」だ。昨年9月、米ペドロリアム・エコノミストは関係者の証言として、8月にイラン外相が北京を訪問した際、この協定に以下の内容がつけ加えられたと報じた。

・中国がエネルギー開発に2800億ドル、インフラ整備に1200億ドル、それぞれイランで投資すること

・その引き換えに、中国はイラン産原油を12 %割引き価格で購入できること

・中国の施設を警備するため中国兵5000名がイランに駐留できること(イランへの訓練も含まれるといわれる)

 これだけでも中国のプレゼンスがかなり増す内容だが、さらに追い討ちをかけるように今年2月、イランの民間メディア、タスニム通信が内部情報として「修正された協定にはキーシュ島のリース契約も含まれる」と告発した。それによると、キーシュ島に中国が恒久的に軍事拠点を構えることになる。
これをきっかけに、イラン国内の様々な立場から批判が噴出。反米的な保守強硬派のアフマディネジャド元大統領がナショナリストらしく「イラン国民はこの協定を拒否すべき」と主張する一方、もともとイラン現体制に批判的な亡命イラン人組織、イラン国民抵抗会議も「イラン史上最悪」と酷評している。

 イラン政府は合意内容を明らかにしておらず、中国政府もこの件には沈黙したままだ。しかし、いずれも明確に否定しないことは、キーシュ島租借に関するウワサに真実味を与えている。

誰がリースに向かわせたか

 仮に一連の報道が事実なら、中国はイランが困り果てた状況でキーシュ島の租借権を手に入れたことになる。イラン外相が北京を訪問し、協定が修正されたといわれる昨年8月は、ちょうどアメリカとの対立が激しくなった時期にあたるからだ。

 トランプ大統領は「イランが核開発に着手している」と主張し、2015年のイラン核合意を一方的に破棄。2018年暮れには経済封鎖を再開し、特に2019年春頃からは段階的に制裁を強化しただけでなく、戦略爆撃機などを派遣してイランを威嚇し始めた。

 トランプ大統領の主張はオバマ政権の業績を否定するとともに、北朝鮮との協議が行き詰まるなかで、大統領選挙に向けたアピールだったとみてよい。
ともあれ、アメリカによるこれまでにない圧力は、イランをそれまで以上に中国に接近させ、国内から批判が噴出することが目に見えていたキーシュ島の租借にまで足を踏み入れさせたといえるだろう。
中国の軍事展開への警戒感

 いずれにしても、このままキーシュ島に軍事施設ができれば、中国はユーラシアからアフリカにかけてのインド洋一帯での展開能力を高めることにもなる。

 「一帯一路」構想を掲げる中国は、その沿線上にこれまでにもジブチやセーシェルに軍事基地を構え、南沙諸島にも施設を建設してきた。


 これは「中国企業関係者の警備のため」というのが中国側の言い分だ。

 中国は2011年、「アラブの春」でカダフィ体制が崩壊したリビアに、油田で働く中国人労働者を救出するため軍艦を派遣した。この一件は、中国に中東・アフリカ一帯での展開能力を高める必要性を感じさせたとみられる。

 とはいえ、中国軍の海外展開が警戒感を招きやすいことも確かだ。それは西側諸国やインドなど周辺の大国だけでなく現地でも同じで、特にイランの場合、ジブチやセーシェルなどの小国と異なり、地域の大国としての自負もある。だとすると、イラン政府が協定の内容を明らかにしないことは不思議でない。
中国は「第二のアメリカ」になるか

 その一方で、キーシュ島に軍事拠点を構えれば、中国にとって新たなリスクが浮上することにもなる。

 外国軍隊の駐留はどこでも摩擦を生みやすいが、イスラーム圏ではとりわけ「異教徒の軍隊」への拒絶反応が強い。国際テロ組織アルカイダを率いたオサマ・ビン・ラディンがアメリカを断罪した一つの理由は、湾岸戦争(1991)でイラク軍を攻撃する拠点としてサウジアラビアに米軍が基地を構えたことにあった。

 このパターンに照らしてみると、イランに軍事拠点を構えた場合、中国はインド洋からペルシャ湾にかけての一帯でのプレゼンスを高められるだろうが、そのプレゼンスが大きいだけに、過激派から標的にされる公算も大きくなる。それは中国の中東進出におけるアキレス腱になり得る。

 中国政府はこれまで米軍の海外展開をしばしば「帝国主義」と批判し、「中国はアメリカと違う」と強調してきた。しかし、イスラーム圏で敵意の的になった場合、中国とアメリカの違いはこれまでになく小さくなるとみられるのである。

【私の論評】中共が力を分散すれば、対中勢力にとってますます有利になる!(◎_◎;)

上の記事の主張に関しては、私は概ね賛成です。中国が中東に本格的に、進出することは、そもそも不可能と私は思います。

これに関しては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中東で、中国が米国に取って代わることはできない―【私の論評】中国は中東への危険な一歩を歩みだした(゚д゚)!
イランのザリフ外相(左)と中国の王毅外相
この記事は、今年1月22日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の元記事から以下に一部を引用します。

 ロシアはロシア帝国とソ連の後継であり、ロマノフ王朝時代から中東と深い関係にある。ソ連時代も中東において米国と覇を競った。土地勘もあり、やり方も知っている。しかし今日のロシアは、依然として強大な軍事力を誇っているものの、英国際戦略研究所(IISS)によれば2017年の軍事支出は日本より少ない。GDP(国内総生産)は韓国より小さく日本の3分の1にまで縮んでいる。総合国力において昔の面影はもはやない。影響力においても限りがあるということだ。 
 中国はどうか。国力を急速につけてきているが、歴史上、中東と全く関わってこなかった。中国の経験と知識には限界がある。 
 中国の一帯一路構想が、世界制覇に向けた中国のグランドデザインのように喧伝(けんでん)されている。しかし中国の現場から伝わってくる感触は、それとはほど遠い。大きなスローガンを次々に打ち出すものの、それを支え実行する理念、原則、ルール、実施の仕組みは、現場に近づけば近づくほど中身が見えなくなるのだ。 
 それに進出地域における経験と知識の不足という壁が立ちはだかる。これが中国の実態と言ってよい。 
 中国の中東への進出は、中国が新たに大きな危険を抱え込むということでもある。 
 一帯一路構想を、中国を中心にかつて存在した朝貢貿易システムの再現と捉える人もいる。だが昔は、マルコポーロの例から分かるように、中国に来る人たちが道中のリスクをすべて負担した。しかし今度は中国が自ら出かける。リスクは中国が負わなければならない。中国が中東に積極的に関与するということは、宗教や民族など様々な理由から怨念が渦巻き、複雑で、世界一危険とみられる場所に足を突っ込むということなのだ。

最近ロシアと中国の中東進出を懸念する向きもありますが、ロシアには中東に関する知識や経験があるものの、GDPは東京都並で、これでは如何ともしがたいです。

中国は、最近は米中冷戦で経済は低迷気味ですが、国家単位で見れば、ロシアよりはかなり潤沢ながら、中国には中等の知識も、経験もありません。これでは、どうしようもありません。

結論から言えば、中露とも中東に本格的に進出することは困難です。この記事から、【私の結論】部分からも以下に引用します。
やはり中国の中東における経験と知識の不足という壁が立ちはだかっています。これが中国の実態です。中国の中東への進出は、中国が新たに大きな危険を抱え込むということでもあります。 
そもそも、イスラム教の本質など中国人の多くはほとんど理解していないのではないでしょうか。私達の先進国の人間が、想定する平和とは、戦争のない状態です。少なくとも、中国でもこの考えは、先進国と変わらないかもしれません。

ところがイスラム教の想定する平和は、これとは随分違います。いくら戦争がなくてもイスラム教が世界を支配していない場合は平和ではなく、だからその平和を実現するために戦い続けなければならないというのがイスラムの考えで、これをジハードというのです。私達から見るとテロでも彼らから見ると宗教的な義務なのです。そういう観点からすると、イスラム教は平和の宗教ではありません。
テロも宗教的義務
これは、意外と習近平の考えとあい通ずるところがあるかもしれません。なぜなら習近平も世界の新たな秩序、それも中国の価値観でそれをつくりあげようとしているからです。
ただし、中国の国内のようなやり方で、中東でもゴリ押しすると、とんでもないしっぺ返しを食らうかもしれません。東南アジアでやっているように、多額の借款で中東諸国の港や、施設などを取り上げる等のことをすれば、それこそテロの標的になるということも十分考えられます。
日米にとって、中国の中東進出はどうなのかといえば、一言で言ってしまえば、歓迎すべきことかもしれません。なぜなら、中国が中東に進出すれば、テロ攻撃などにより、泥沼に嵌まり込み、とんでもないことになり、中東での軍事力を増強せざるを得なくなり、インド太平洋地域での、中国の軍事力が削がれることになるからです。

以前のこのブログにも述べたとうり、米国の外交、安全保障は、対中国を最優先としているようであり、その他のことは、中国と対峙するための制約要因としか見ていないようです。マスコミなどでは、トランプ大統領が個人的に北朝鮮に興味がないような報道をしているのを見かけますが、あれは間違いだと思います。

それにしても、中国は先日も述べたように、中東だけではなく、アフリカでも存在感を強めようとしています。さらには、EUでもマスク外交などを展開して、存在感を高めようとしています。

トランプ大統領が中国との対峙に集中しようとしているのとは、対照的です。とにかく、中共は、なんでも総合的に実施しようとしているようです。実施すべき事柄に優先順位をつけたり、当面何かに集中するという方式は、しばしば成功を修めることになりますが、何でも同時並行的に実施するとか、総合的に様々なことに取り組むことは、必ずと言って良いほど大失敗します。

軍事でも、外交でも、企業における仕事でも同じことが言えます。どのような仕事でも、実務上では、優先順位をつけて実行しなければ、物事はうまくは進みません。なぜなら、実務に投入する資源は限られているからです。

これは、企業でまともに、マネジメントをした経験のある人間なら、誰でも知っている原則です。トランプ大統領は長い間実業のマネジメントをしてきたので、これを骨身に染みているでしょう。しかし、中共はそうではありません。。

物事に集中しない、優先順位をつけないのは、官僚の特性でもあります。どこの国でも官僚は、総合的なやり方を好むようであり、毎年総合的対策を実施し、結局何も達成していないということが多いようです。

中国では選挙制度がないので、先進国のように選挙で選ばれた政治家はいません。その意味では、習近平を含む中国の指導者は、全員が指名制で選ばれ、その本質は官僚のようなものです。そのため、集中したり、優先順位をつけたりして、仕事をこなしていくべきことを理解していません。

特に民間であれば、営利企業であろうと、非営利企業であろうと、優先順位をつけずに業務を遂行すれば、いずれ弱体化し倒産します。しかし、官僚は違います。何をしようが役所は潰れることはありません。

これからも、中共は、南シナ海、東シナ海、太平洋、アフリカ、EU、中東などに手を出しつつ、ロシア、インド、その他の国々との長大な国境線を守備しつつ、米国と対峙して、軍事力、経済力、技術力を分散させる一方、日米加豪、EUなどは、中国との対峙を最優先すれば、中共にとってはますます不利な状況になります。

かつてのソ連も、世界中至る所で存在感を増そうとし、それだけでなく、米国との軍拡競争・宇宙開発競争でさらに力を分散しました。当時は米国も同じように力を分散したのですが、それでも米国の方が、国力がはるかに優っていたため、結局ソ連は体力勝負に負け崩壊しました。

今日、中共は、習近平とは対照的な、物事に優先順位をつけて実行することが習慣となっているトランプ氏という実務家と対峙しています。今のままだと、中国も同じ運命を辿りそうです。

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2020年7月11日土曜日

【ニュースの核心】中国問題が「ポスト安倍」の最大の焦点 親中勢力に“忖度”か批判加速か…候補の正念場が迫っている— 【私の論評】政治の世界は一寸先は闇、解散総選挙はおろか、禅譲できる人材が存在しない今安倍四選もあり得る!(◎_◎;)

【ニュースの核心】中国問題が「ポスト安倍」の最大の焦点 親中勢力に“忖度”か批判加速か…候補の正念場が迫っている

トランプ大統領は、空母「ロナルド・レーガン」を南シナ海に派遣し、習主席率いる中国軍を牽制した

米軍と中国人民解放軍が南シナ海で同時に、軍事演習を展開した。新型コロナウイルスへの対応で、世界各国が手いっぱいな間隙を突いて、中国が存在感を誇示する一方、米国は「思うがままにはさせない」と牽制(けんせい)した形だ。

 米軍は4日から、原子力空母「ロナルド・レーガン」と「ニミッツ」、駆逐艦などを加えた空母打撃群2つを南シナ海に派遣し、演習を始めた。

 公式には、「いかなる政治や世界の情勢を反映したものではない」と説明している。だが、同じ時期にパラセル(中国名・西沙)諸島付近で、中国海軍が軍事演習をしているのは、もちろん織り込み済みだ。

 米国は北朝鮮情勢が緊張していた2017年11月、空母3隻を同時に日本海へ派遣し、合同演習した。このときはドナルド・トランプ大統領が韓国国会で演説し、「われわれを甘く見るな」と警告した。

 今回は2隻だが、南シナ海の人工島に軍事基地を建設し、わが物顔でふるまう中国に対する警告であるのは明らかだ。マイク・ポンペオ国務長官は3日、ツイッターで中国に対し、「中国による南シナ海の係争海域での演習は非常に挑発的だ」と批判した。

 私は先週のコラムで、沖縄県・尖閣諸島を中国の侵略から守るために、周辺海域での日米合同軍事演習を提案したが、演習が有効な警告ツールになる実例である。

 そんななか、日本の永田町では「ポスト安倍」論議が盛り上がっている。もちろん着地点はまだ見えないが、新型コロナに加えて、香港情勢が緊迫するなか、中国問題が最大の焦点になってきた。

 日本は中国にどう立ち向かうのか。自民党は二階俊博幹事長が「親中派のドン」であるのは、よく知られた通りだ。外務省も中国専門家らが集う「チャイナスクール」を中心に親中派が強い。

 「ポスト安倍」候補は、親中勢力の意向を忖度(そんたく)して、中国批判をためらうのか、それとも批判を加速させるのか。私は中国に甘い態度をとれば、支持を失うとみる。

 なぜかと言えば、いまや一般国民だけではなく、中国をビジネスチャンスとみてきた企業にも、中国への警戒感が高まっているからだ。

 中国が香港に導入した「国家安全維持法」は香港市民だけでなく、外国人や外国企業にも適用される可能性がある(第38条)。加えて、トランプ政権の対決姿勢を見て、「中国ビジネスに深入りするあまり、米国を怒らせて制裁を食らったら元も子もない」と神経をとがらせているのである。

 政治家が中国に甘かったとすれば、最大の理由は支持者や支持企業が「中国とのビジネスを望んだ」、あるいは「働き手として、中国人就学生を必要とした」からだ。だが、その前提が新型コロナと香港問題で崩壊しつつある。

 同盟国である米国は、共和党も民主党も「反中国」だ。11月大統領選の結果にかかわらず、米国は対中対決姿勢を強めるだろう。この潮流を感じ取れないようでは、とてもじゃないが、日本の舵取りは任せられない。「ポスト安倍」候補の正念場が迫っている。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。
【私の論評】政治の世界は一寸先は闇、解散総選挙はおろか、禅譲できる人材が存在しない今安倍四選もあり得る!(◎_◎;)

7月に入ってから、永田町では「安倍首相が9月に始まる臨時国会の冒頭で内閣改造をし、同時に解散総選挙に打って出るのではないか」 という飛び交っているそうです。

突然浮上した解散総選挙の噂の震源地は、ネットなどによると、安倍首相の盟友の麻生太郎・副総理兼財務相だそうですが、これは確かめようもありません。そうして、この秋解散がまことしやかにささやかれる理由は、やはり、河井事件だというのです。

無論解散の判断は首相の専権事項ではあります。現在検察が克行容疑者から押収した資料、とくに会計帳簿と使途報告書に何が書かれているのかに注目が集まっています。

つまり、この先、何が飛び出すか分からないのです。検察も黒川問題で失墜した国民の信頼を取り戻そうと本気になっている中、安倍首相の責任問題にまで発展する可能性もあります。

そうした検察の動きを牽制するためにも、安倍総理が解散に打って出る可能性が出てきたというのです。さらに、もう一つの決断材料となりそうなのが「ポスト安倍」をめぐる思惑です。

安倍首相にとって理想的な展開は、自身の影響力を残しつつ、首相の座を禅譲できることです。

 「来年までに衆院選が行われる。自民党、政治の信頼回復のために努力しないと大変なことになる。しっかり努力したい」 2日、岸田文雄政調会長は、岸田派の会合でこうあいさつをしました。

「政治の信頼回復」は言うまでもなく、地元広島で起きた河井夫妻の事件への反省を示す言葉です。岸田氏はポスト安倍候補の一人ではあるが、岸田氏を推す声は世間でも、自民党内でも盛り上がっていません。そもそも岸田氏は政争を仕掛けられても、決して表では派手な喧嘩も立ち回りもしない温厚な人物です。

地元としては昨年は党本部から刺客まで送られているのですから、河井夫妻の辞職に伴う補欠選挙では、人選の段階から岸田氏に主導権を握って欲しいでしょう。ここで力を発揮し、存在感を示さなければ総理総裁の道はありません。

岸田文雄氏


岸田氏とは対照的に、首相の座への野心をむき出しにしているのが石破茂・元防衛相です。河井事件についても積極的にメディアで発言をし、安倍首相ら執行部の説明責任を求めています。

しかし、安倍総理としては、石破氏に総理の座を譲るくらいであれば、4選を目指して次の総裁選に出馬することも辞さないということも十分考えられます。 

安倍首相は、現実問題として現状では残念ながら、党内に総理の座を禅譲する相手がいなというのが現状でしょう。そうなると、かつて郵政解散に打って出た小泉純一郎元首相のように、解散した上でそれなりの成果を残し、任期を全うするという方法があります。

しかし、今の段階で郵政民営化のような奇策があるわけでもなく、コロナの第2波の危機感もあるなか解散のタイミングを見極めるのは非常に難しく、思案のしどころだったと思います。 

実際、相次ぐ首相自身の疑惑に河井夫妻の事件が重なり、安倍内閣の支持率は急降下しました。岸田派の会合が行われる数日前、自民党の党本部で行われた総務会では、村上誠一郎・元行革相が執行部に対し世間の厳しい声をこう訴え、怒号が飛び交う一幕があ理ました。 

ここにきて降って湧いたように、上記のような米国と中国の対立のかつて無いほどの激化です。その最中、石破氏は、とても考えられないような発言をしました。

石破氏は9日の派閥会合で、党外交部会などが中国の習近平国家主席の国賓来日の中止を日本政府に求めたことに苦言を呈したのです。「中国との関係にどういう影響を与えるかよく考えるべきだ」と述べたのです。



「礼儀は礼儀としてきちんと尽くさないといけない。その上で言うべきことは言うことが必要だ」とも語りました。

党外交部会と外交調査会がまとめた決議は中国が香港国家安全維持法を施行したことを非難しました。

このブログでも述べたように、中国は香港国家安全法で、世界中国々を対象として、他国の国家主権を認めないとしています。礼儀のある相手には礼儀は尽くすべきですが、日本はおろか世界中の国々の国家主権を認めない中国が相手であることを本当に理解しているのでしょうか。

この発言は、相当保守派の怒りを買っています。党内でも反発する人もかなり多いです。

上ので、長谷川氏の記事にもあるように、同盟国である米国は、共和党も民主党も「反中国」であり。11月大統領選の結果にかかわらず、米国は対中対決姿勢を今後ますます強めるでしょうし。無論、日本に対しても、中国に対して、厳しい態度をとり、それだけではなく米国の対中国制裁に呼応した動きを求めるでしょう。

そのような時に、日本政府が親中的な行動を取り続けていれば、必ず、米国から制裁されます。さらには、中共なき後、もしくは中共が存在していたとしても、かなり弱体化した後の新世界秩序において、日本は本来なれるはずだった、リーダー的地位からは放逐され、第二次世界大戦後長い間味わってきた、戦後レジームと同じような境遇に甘んじなければならないことになるでしょう。

現在は、まさに天下分け目の米中対立の最中にあり、中国には全く勝ち目がありません。石橋氏は、そのような潮流を認識できないようです。

この潮流を感じ取れないようでは、日本の舵取りなどは絶対に任せられないと、安倍総理自身も思うことでしょう。

検察は、河合事件について、安倍首相の責任問題にまで発展させることはできず、つもりもないでしょう。政治資金規正法や、公職選挙法は元々ざる法と言われている法律です。これらの法律によって、安倍総理を追及するということになれば、検察としては、有無を言わせない程の確実な安倍総理が何らかの犯罪を犯しているか、犯罪に関わっているという物証がないとできません。そ



それは、不可能です。しかし、そうであるにしても、自民党政権にマイナスのイメージがついてしまっことは明らかなので、これを払拭するためにも、安倍総理が解散総選挙に打って出る可能性があります。

また、石破氏や二階氏の相変わらずの親中ぶりや、岸田氏の頼りなさ、他のポスト安倍の、あまりのマクロ経済音痴ぷりには本当に頭が痛いでしょう。今のところ、禅譲できる適当な人材はいません。

であれば、みすみす親中派や、マクロ経済音痴で財務省等と張り合える人材がいない現状では、解散総選挙に打って出て、大勝しその勢いに乗って総裁選に出て、4選を目指すということも十分にあり得ます。

選挙においては、河合問題については有権者に分かり安いように説明をし、減税や、コロナ対策や、対中国政策や、現状や将来の水害などの自然災害対策のため大規模な積極財政並びに大規模な金融緩和策を同時行うことや、そのための財源などは全く何の心配もない(これは、このブログでも何度か解説してきたように、国債を大量発行しても財政負担が増えたり、将来世代への付けにはならないだけの話)ことなどもわかりやすく説明すれば、大勝利することも不可能ではありません。

特に、マグロ経済対策などについては、マスコミや経済学者や似非識者がいくら嘘を喚き散らしても、多くの国民の理解が従来よりはかなり進んでいるので、多くの有権者が理解してくれる可能性は大きいです。

そうして、これで大勝できれば、安倍四選も、あながち夢物語ではなくなります。

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2020年7月10日金曜日

中国ライバル視を顕著にしたEU委員長会見 — 【私の論評】到来する新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するため安倍総理は党内の雑音を取り除き正しい道を進むべき!(◎_◎;)

中国ライバル視を顕著にしたEU委員長会見
資格
岡崎研究所

 6月22日、EUと中国はテレビ形式で首脳会談を行った。EU側からはミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)とフォンデアライエン欧州委員会委員長が、中国側からは李克強首相と習近平主席が参加した。会談では貿易・投資から、気候変動対策、デジタル分野、香港問題、人権、新型コロナへの対応に至る、極めて広範な問題について議論された。会談後のフォンデアライエン委員長の共同記者会見での発言から、EU側の対中不信の高まりが窺える。発言のポイントをかいつまんでご紹介すると次の通り。


 EUと中国との関係は、最も重要な戦略的関係の1つであると同時に、最もチャレンジングな関係の1つである。

・EUにとり人権と基本的自由は交渉の余地のないものである。

・EUは中国の最大の貿易パートナーであり、中国はEUにとり2番目のパートナーであるが、依然として不均衡な貿易・投資関係が続いている。昨年の首脳会談の声明に盛り込まれた市場アクセス障壁への対処は進展していない。また、投資協定の交渉を妥結させるには、国営企業の行動、補助金の透明性、技術の強制移転の問題についての中国側の中身のあるコミットメントが必要である。

・中国は、WTO改革、特に産業補助金についての将来の交渉に真剣に取り組む必要もある。

・中国の過剰生産能力(例えば、鉄鋼・金属部門、ハイテク部門)への対応を継続しなければならない。中国がこの問題で国際的な交渉の場に戻ってくることが重要である。

・我々は会談で、デジタルトランスフォーメーションの重要性、中国によるデジタルネットワークやバリューチェーンのセキュリテイ、レジリエンス、安定性に対する攻撃的なアプローチについて指摘した。病院などへのサイバー攻撃があった。ネット上での虚偽情報も増えている。こうしたことは容認できない。

・気候変動対策では、中国はリーダーを自任しているが、リーダーになることは行動する責任を伴うことである。2050年以降できるだけ早く中国が気候中立(温室効果ガスの排出ゼロ)にコミットすることを求める。中国がパリ協定の下で行動を引き上げ、模範を示すことを期待する。

・コロナウイルスのパンデミック対策では引き続き結束する。

・今や、我々の関係の極めて重要な分野について行動を加速し、前回の首脳会談以降の重要なコミットメントを果たし、相互主義と公平な競争条件に関する我々の懸念に対処する時だ。EUとして、我々は、迅速かつ実質的な進展を達成することにコミットしている。中国の指導者が我々の熱意のレベルに見合う行動をすることを期待する。

     *     *     *     *     *     *

 フォンデアライエン委員長の上記発言には、かなり強い表現も含まれている。中国の最近の行動に対する不満、不信、警戒の表れと見てよいであろう。香港問題、人権問題、貿易・投資における中国の不公正な慣行、サイバー空間における中国の無法ともいえる振る舞い(最近EUはデジタル分野を非常に重視している)は、EUの価値と利益に反するものであり、EUが警戒感を強めるのは当然である。新型コロナのパンデミックに際しての中国による情報の不透明な扱い、中国のいわゆるマスク外交、また、パンデミックに乗じた形で中国が欧州企業の買収を目指す動きなども欧州側の不信を高めている。

 フォンデアライエン委員長は、昨年9月に「閣僚」候補を決めるにあたり、自らが率いる欧州委員会を「地政学的委員会」にすると述べている。その意味には、自己主張を強める中国との関係を定義することが含まれている。その際に定義の具体的な内容は示されていない。しかし、上記会見での「EUと中国との関係は、最も重要な戦略的関係の1つであると同時に、最もチャレンジングな関係の1つである」といった発言からも察せられるように、中国を友好的なパートナーとしてよりもライバルとして見る傾向が強まるということになるだろう。

 もちろん、EUが米国のような乱暴なやり方で中国に対抗するとは考え難いし、EU加盟国の間でも中国への認識に温度差がある。それでも、EUは、従来よりも自らの主張を中国に強く伝えるようになり、両者の関係は緊張を強める場面が増えると思われる。EUと日本は、自由、人権、民主主義、国際規範の重視などの価値観を共有している。EUが中国に対しそうした価値観を明確に伝えてくれることは歓迎すべきことである。

 【私の論評】到来する新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するため安倍総理は党内の雑音を取り除き正しい道を進むべき!(◎_◎;)

EUと、中国とでは、全く価値観が合わないでしょう。そもそも、EUというか、ヨーロッパの国々は、現在の自由と民主主義、法の支配、人権など西欧的価値の生みの親であり、特に第二次世界大戦では、ドイツ第三帝国の全体主義により、直接大きな被害を被っています。

ドイツ第三帝国を統治したヒトラー
そのためでしょうか、EUの価値観は日米とも異なるところがあります。例えば、いじめの問題があります。米国人に日本のいじめの問題を話すと、大抵の人は一定の理解を示していただけるのですが、EUの人々には、なかなか理解してもらえません。

理解していないどころか、国を問わず、彼らと話しているとそもそも「いじめ」に関する日本人や米国人の考え方そのものが、間違いではないかと思えてくるのです。

それに関しては、このブログにも何度か掲載したことがあります。私は、英国人、ドイツ人、フランス人あるいは他のEUの国の人たちに、「いじめとは何か」という質問を受けたことが何度かあります。

私が、説明をし始めると、彼ら全員が、個々人の表現は違っていたにしてもとにかく、私の説明には納得がいかないようで、「それは犯罪です」というのです。

何度もこのようなことを繰り返すうちに、日本人米国人とEUの人々の間には、価値観が異なるところがあることに気づきました。

それは、私達日本人や、米国人が学校という空間を、何やら治外法権のような、そこまでは行かなくとも特殊な空間だと見做しているのに対して、EUの人たちは、そうではなく、学校だろうが、職場だろうが、病院の病室などの特殊な空間も含めて、全く分けることなく、同じ価値観や、法律などによって規制されるべきことを当然のことと思っていると感じたのです。

それに比較して、陰湿ないじめも多い日本人や、日本などよりもはるかに苛烈な暴力による「いじめ」が頻繁にある米国などでは、何やら学校には、学校の価値観があったり、そもそもそれぞれの学校で異なる価値観があることを暗に認め、その結果として、不思議な法律や価値観が異なる閉鎖空間のような、治外法権の空間を生み出しているように感じられるようになりました。

最初は、EUの人たちの方が変わっていると思っていたのですが、彼らの話を聞いているうちに、自分の方がおかしいのではないか思うようになってきたのです。

確かに、自由とかそれに伴う責任とか、民主主義、法の支配、人権などの価値観が組織が変われば、変わるとみなすのは、おかしなことです。もし、そのようなことをしてしまえば、そもそも価値観なるものも、法の精神も成り立たないことになります。

よく考えてみれば、当然のことなのですが、多くの日本人は、学校という組織や空間を無意識に他の社会とは異なるものと考えがちです。今では、数が少なくなりつつあるブラック企業内では、社会常識など無視して、独自の価値で運営されています。

私は、あるドイツ人に、ドイツでの「いじめ」の対処法について聞いたことがあります。このブログの読者の方は、もうご存知からもしれませんが、それはいたってシンプルなものです。

窃盗・殺傷など明らかな犯罪の場合は、警察に通知するのには無論ですが、それとともに、警察に通知しないものついても、学校の最高責任者である、校長が問題のある生徒の親に、問題のある生徒の行動の是正を求める手紙を書くのだそうです。この手紙を三回親が受け取ると、その生徒は自動的に退学になるそうです。

これでは、「いじめ」なるもの、実は「犯罪そのものの」行為ががいずれ学校にはなくなるのも当然言えば、当然です。何しろ「いじめ」を繰り返す生徒そのものが、学校からいなくなるわけですから・・・・。

もちろん、担任の教師から当該生徒に何度か注意があったり、その後さらに校長からの注意が何回かあったりした後で、それでも改まらなかった時に、校長が手紙を出すということのようです。

校長には、そのような権限が最初から認められています。これは、学校の民主主義、法の支配、人権などの価値観を守るものとしてドイツでは従来から社会に当然のこととして受け入れられるいるようです。民主主義、法の支配、人権などの価値観は何としても守り抜かねばらないという通念が定着しているのでしょう。

いつまでも、「いじめ=犯罪」をやめない生徒にはこのような運命が待っているのです。何回も退学になれば、おそらく受け入れる学校がなくなり、その生徒は将来アウトローになる以外にないようです。しかし、それはやむを得ないという考え方なのでしょう。社会には残念ながら、少数のアウトローがいるものですが、学校だけがその例外ではないという考え方でしょう。

ちなみに、ドイツでは、未成年の生徒が、学校以外の場所でタバコをすっていたとしても、学校の教師は、注意する必要ないそうです。学校内のことは、教師に責任はあるのですが、学校外のことは教師ではなく、親が責任を取るべきものとされているようです。

ドイツの民族衣装を着たドイツの女子高生

これもシンプルです。日本の学校の先生方から見れば、本当に天国のようかもしれません。ただし、ドイツにも全く「いじめ」はないということではないです。ただし、日本のいじめは、大人や先生に隠れて、肉体的にも、精神的にもという事例が多いようですが。ドイツのいじめは、おおっぴらに。手加減なしに殴る蹴などのことが多いそうです。

ちなみに、ドイツ以外の人には、それぞれの国の「いじめ対処」を聞いたことはないですが、それにしても、EU域内の人たちのほとんどの人が「いじめ=犯罪」とするのですから、他の国の学校でも似たような制度などがあるのだと思います。

ただし、EU内に全く「いじめ」がないということではありません。例えば、日本では、フランスにはいじめがないという話が一部でまことしやかに、流通していますが、実際は、ほかの国と同様にフランスにもいじめは昔から存在していました。

いじめがなかったのではなく、いじめは「タブーとされ、存在しないものとみなされていた」ため、その存在が大きく明るみに出なかったと言った方がいいかもしれません。どちらかといえば、いじめの件数は日本では約410,000人で、児童生徒1000人あたりの認知件数は30.9件であり、児童生徒全体の約3%であるのに対し、10%存在するフランスは、日本よりもいじめが多いとも言えます。

フランスでは昨年11月7日木曜日に、いじめ撲滅キャンペーンが行われました。2010年頃から時々行われていたキャンペーンですが、2015年からは11月の最初の木曜日に毎年開催されることになり、昨年で5年目を迎えました。

フランスでは、自由と民主主義、法の支配、人権など西欧的価値が根付きすぎていて、それに違うものは、「あり得ない」という域に達しているのだと思います。それが、このような悲劇を生んできたのでしょうが、そのような悲劇を生むくらいに西欧的価値は絶対的なものなのでしょう。

EUの人々の中には、「いじめ=犯罪=あってはならないもの」という考えがあり、その背景になっているのが、自由と民主主義、法の支配、人権を当然とする価値観なのです。

米国でもこの価値観はしっかりと根付いているのでしょうが、米国では学校内でも過激な暴力がしょっちゅう起こるし、場合によっては銃を待ちいたものや、それどこか麻薬の取引などもあるため、米国人の誰もが「いじめ」という特殊な問題があることを認めないわけには行かないのでしょう。

このような価値観を持つEU域内の人々なのですから、中共によるウィグル人迫害や、香港の一国二制度の破壊や、自国内の人民対する暴力や、不公正な貿易、知的財産の剽窃などとても許容できるものではないでしょう。EU域内の人々であれば、誰も現在の中国と価値観を共有できる人などいないでしょう。

だからこそ、今回のフォンデアライエン委員長による中共に対する厳しい発言になったものと考えられます。

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部を引用します。
中国共産党はあらゆる手段を講じて西側諸国を分断し、揺さぶりをかけて、最後には支配しようとしています。日本でも鼻薬を嗅がされ、知らず知らずのうちに中国共産党の「有益な愚か者」として利用されている政治家、企業家、大学関係者は少なくありません。 
自分の利益だけを優先して自由と民主主義、法の支配、人権をないがしろにして良いわけがありません。日本でも超党派の議員で中国が関わる全ての問題を詳らかにして公に議論し、国民に知らせるプラットフォームをつくることが重要です。 
日本も、穏健でリベラルな保守主義者パッテン氏の警鐘に耳を閉ざしてはならないです。 
香港最後の総督クリストファー・パッテン氏
そうして、安倍総理自身は、これから新世界秩序の構築に日本としてもこれに乗り遅れることなく、機先を制することには、前向きなようです。
G7のアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊、この二つをまとめ、さらには台湾とも関係を深めコロナ後の新世界秩序の中でリーダー的地位を獲得していただきたいものです。
今、世界は次の段階に向かって激しく動いています。その段階とは、「自由主義諸国」と「中国を中心とするロシア、北朝鮮などの全体主義の国々」の闘いです。その闘いは、米国などを頂点とする新世界秩序が出来上がるまで続きます。

にも関わらず、日本では中国の習近平国家主席の「国賓」招聘の中止すらはっきり決まりません。国際情勢を見ても、国民感情からも、中国国内で多数の人民が虐殺され、世界に感染症を撒き散らし、不公正な貿易や知的財産の剽窃の仕放題、そのような国の首領が天皇陛下に謁見するなどあり得ない話なのはわかり切っているはずなのに、いまだに決められないでいます。

このような有様では、新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するのはままならないかもしれません。そのようなことにならないように、安倍総理にはまずは党内の雑音などを取り除き正しい道を進んでいただきたいものです。

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