2022年9月10日土曜日

ウクライナ軍の北部進軍、ロシア軍の兵たん脅かす-既に補給路遮断か―【私の論評】今すぐ戦況を判断するのは、プロパガンダに踊らされるだけ、それは今の日本の政局も同じ(゚д゚)!

ウクライナ軍の北部進軍、ロシア軍の兵たん脅かす-既に補給路遮断か

南部ヘルソンの反攻は犠牲多く停滞か、WP紙やロシア側が伝える
北部では親ロシア派軍事ブロガーも驚く速度でウクライナ軍が進軍


  ロシア軍に対するウクライナ軍の反転攻勢は北部で進展している様子だが、より注目度の高い南部ヘルソン州ではロシア軍の配備立て直しもあり、苦戦を余儀なくされている。

  ウクライナ軍の北部での進撃は予想外のスピードだと、同国当局者だけでなくロシアの軍事ブロガーも8日、声を合わせて認めた。ウクライナ軍がロシアの防衛線を戦術的な越境にとどまらず本格的に突破したのは、戦争開始以来で初めてだ。

  ロシアのプーチン大統領が欧州のエネルギー市場への圧力を強めているさなかで、ウクライナとしては同盟国に戦争に勝利する能力があると緊急に示す必要もあった。

  ウクライナ軍報道官のオレクシー・フロモフ氏によると、北部の反攻は同国第2の都市ハルキウの南東約90キロに位置するバラクリヤでの戦いで開始。数日後にはロシア軍の占領地域内50キロの地点まで進軍し、20の集落を奪還したという。

  「敵の士気は一部で落ちているが、抗戦を続けている」と同報道官は8日の記者会見で語った。

  ゼレンスキー大統領は同日夜のオンライン演説で、9月に入ってからウクライナ軍が合計1000平方キロの被占領地を解放したと主張。親ロシア派の軍事ブロガー、アレクサンドル・コッツ氏によると、一部のウクライナ軍部隊は砲撃支援のレンジから外れるほど進撃速度が速い。

  ソーシャルメディアのテレグラムで50万人を超える視聴者を抱えるコッツ氏は、ドンバス地方のロシア軍にとって重要な兵たん拠点であるクピャンスクとの補給路をウクライナ軍が既に遮断したと懸念。ウクライナ軍はロシア国境に向かう道路を遮断するためクピャンスクの北方に進路を変えたようだと指摘し、「状況は厳しい」とテレグラムのチャンネルで述べた。

  ただ、南部のヘルソン戦線に関しては、ウクライナ軍の戦況がはるかに厳しい様子を一部の親ロシア派ブロガーらは伝えており、死傷者が多く、進軍が停滞しているという。こうした内容は、米紙ワシントン・ポスト(WP)がインタビューしたウクライナ軍負傷兵の話と符合する。

  ウクライナやロシアのブロガーの主張を独立して検証することはできていないが、両者の情報はいつになく一致している。

【私の論評】今すぐ戦況を判断するのは、プロパガンダに踊らされるだけ、それは今の安倍元総理を恐れる日本の政局も同じ(゚д゚)!

ロシアが占拠するウクライナ南部ヘルソン州で、ウクライナ軍が占領地奪還を目指し大規模な反攻に出ているもようだとされています。ウクライナ軍は29日、フェイスブックで「ロシア軍の防衛線を突破した」と主張。英国防省は30日、「ウクライナ軍が南部の最前線で砲撃を強化している」との見方を示しました。

ウクライナ軍は、ロシア軍が使用する大型の橋のほぼ全てを破壊したと説明。ロシアは一方的に併合したクリミア半島からの補給路を断たれたと述べ、「領土を取り戻す大きなチャンスだ」と強調しました。

ウクライナ南部ヘルソン周辺の前線で砲撃の準備をするウクライナ兵(7月)

これは、ウクライナ軍が南部で苦戦している、上の記事とは矛盾する内容です。ただし、冒頭の記事が信じられるかといえば、そうともいえないところがあります。

昔から軍隊でいわれていることがあります。

それは、「後でどんなに圧倒的な勝利を収めたとされた戦闘においても、戦闘時に現場に問い合わせると、悲観的な報告ばかりである。現場の報告のみを信じてすぐに撤退させれば、戦闘にまけてしまう。かといって現場の報告を一切信用しないで、そのままにしておけば、軍が壊滅することにもなりかねない。だからこそ、優秀な指揮官は5つ程度の判断基準をもたなければならない」というものです。

軍人ではない、米紙ワシントン・ポスト(WP)の記者が負傷兵から聴いたとしても、そもそも現場の意見は悲観的になりがちであり、しかも負傷兵に聴いたというのですから、それが正しい戦況を示しているかどうかなどわかりません。

そのため、南部でウクライナ軍が苦戦しているか、善戦しているのかなど、今の段階ではわからいないと判断すべきだと思います。

現状では、ウクライナ側、ロシア側の双方のプロパガンダが入っているとみるべきです。それこそ、ウクライナ側からすれば、南部侵攻をするようにみせかけて、北部での戦闘を有利に導くためにプロパガンダを流している可能性もあります。

ロシア側も何らかのブロパガンダを発しているのは間違いないでしょう。

このようなプロパガンダに左右されて、ウクライナが優勢とか、ロシアが優勢などとその時々で判断すべきではありません。そうすれば、期せずして、ロシアやウクライナのいずれかを応援することになりかねません。ウクライナ擁護になれば良いですが、そうではない場合もあり得ます。ただ、一月もすれば現状を後から追認できます。それに、戦争はいつかは終焉を迎えます。

その時に様々な情報を集めていずれの時点で戦況が変わって、戦争が終わることになったのか、より正確な分析ができると思います。軍事専門家は、そのようなことを丁寧にするので、戦況を正しく判断することができるのです。そうして、そのような分析は将来何らかの形で役に立つことになります。

ただ、多くの人は自分の仕事もありますし、自分自身が分析をするのは難しいです。であれば、軍事専門家の出す情報を検討するというのも一つの手です。最初は、複数の専門家の出す情報を検討すれば、誰が正しい情報を出し続けるのかを判断できるようになります。そうなれば、正しい情報を出す専門家の情報を信じるなどのことができるようになります。

このようなことをしない人は、ロシアやウクライナのプロパガンダに騙され続けることになります。

このようなこと、ウクライナ戦争だけではありません。政局などもそうです。「もり・かけ・桜」などのマスコミ報道を鵜呑みにする人たちは、これらの出来事を後から検証するとか、後から専門家などが検証した情報を吟味するなどということはしていないと思います。

こうしたことに関する報道もブロパガンダではないという保証はありません。後になって検証してみたり、検証した専門家の情報を吟味する、習慣のない人は、プロパガンダに煽り続けられることになりかねません。

最近の「国葬」「統一教会」問題とされる事柄についても、後から検証すべきです。その渦中にあるときのマスコミ報道や野党の言説などを単純に信じ込んでしまえば、ウクライナ戦争と同じく期せずして、ロシアのプロパガンダに載せられて、ロシアを擁護するこようなことと同じようなことになりかねません。

ウクライナ戦争自体は、日本に間接的な影響は及ぼしますが、「もり・かけ・桜」「国葬」「旧統一教会」に関しては、日本に間接的に影響を及ぼしかねません。

ただ、過去にも同じようなことが何度もありながら、安倍元首相の首相在職日数は憲政史上最長を記録しました。国政選挙も過去最多の6連勝でした。


この要因に関して、安倍政権勝利の秘訣は支持固めの手法と野党分断のタイミングを狙った解散にあり「戦略、政局観、タイミングの読み方が完璧」と評価するむきもありますが、それだけでしょうか。

無論そうした側面もないとはいいませんが、これだけが安倍政権勝利の秘訣だといわれると、そうとは言い切れないと思います。

やはり、有権者の多くの支持があったからこそ、長期政権になったのだと思います。有権者の支持の中には、積極的な支持の他にも「野党には任せれば大変なことになるから」という消極的な支持もあるでしょうが、それにしても支持がなければ、選挙に連戦し、憲政史上最長の政権になりえるはずはありません。

基本的には、そういう支持があった上に、「戦略、政局観、タイミングの読み方が完璧」だったからこそ、最長政権になり得たのです。

ということは、国民はさほどプロパガンダにのせられていないということを示しているのかもしれません。

マスコミや野党は、「安倍がー、安倍がー」と、何かといえば安倍元総理大臣を貶め政治利用しようと躍起になっているようですが、これは「安倍氏」を恐れているようにしかみえません。しかし、これは間違いです。

安倍政権が選挙で6連勝し、憲政史上最長になったのは有権者の支持があったからこそであり、マスコミや野党が恐れるべきは本当は多く「有権者」なのです。

こういうと、マスコミや野党は「ポピュリズム」に走れば良いと考えるかもしれません。しかし、安倍政権はそれで長期政権になれたわけではありません。

時によっては、支持率を下げてでも、やるべきことは実施しました。たとえば、2015 年の安保法制の改定で、集団的自衛権の部分的な行使をできるようにしました。このときは、「もり・かけ・桜」どころではなく、新聞テレビは毎日批判を繰り返し、多数の人が国会前の反対デモに押しかけました。


それでも、安倍政権はこれを断行しました。そうして、今になって振り振り返ってみると、あのときにあのような安保法改正を行わなければ、世界情勢が激変した現在とんでもないことになっていましたし、現在のように他国と連携しつつ、中露などに対峙することなどできなかったはずです。

これを保守派は評価したのでしょうし、保守派でない人でも当時から評価した人や、当時は反対しても後になってから賛成した人もいたでしょう。結局、国会前に集まった多数のデモ隊も、ノイジー・マイノリティーにすぎないことがはっきりしました。このような姿勢を多くの人が評価したからこそ、安倍政権は、長期政権になりえたのです。

ちなみに、現在の岸田政権が単純に「ポピュリズム」に走り、「戦略、政局観、タイミングの読み方が完璧」だったとして、それだけで安倍政権と同程度がそれ以上に長期政権になるなどということはとても考えられないと思います。

日本の多く国民は、執拗なマスコミや野党のプロパガンダには一時煽られても、ある程度の期間をおけば、そのようなものには振り回されることがなくなるのです。

だから、マスコミや野党は、安倍元総理を恐れるのでしょうが、恐れる相手が間違っています。恐れるべきは国民なのです。

その本質を一番良く知っていたのは、安倍元総理その人だったのではないかと思います。そうして、マスコミ、野党は未だに多くの国民を恐れることなく、安倍元総理が亡くなってしまった現在でも安倍元総理を恐れているのでしょう。この誤りを是正しない限り、マスコミ、野党はもとより、岸田政権も衰退することになるでしょう。

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