2022年9月23日金曜日

岸田首相「万事休す」…物価高騰、国葬、旧統一教会問題「八方ふさがり状態」が10月にいよいよヤバくなる―【私の論評】岸田政権が長期政権になる道は絶たれた、最長でも来年5月のサミットまでか(゚д゚)!

岸田首相「万事休す」…物価高騰、国葬、旧統一教会問題「八方ふさがり状態」が10月にいよいよヤバくなる


「火だるま」の岸田首相

 10月4日、岸田文雄首相は第100代内閣総理大臣に就任してから1年の節目を迎える。

 従来であれば、番記者たちが、朝、官邸入口で岸田首相を待ち構え、「総理、就任1年の感想は?」と質問を浴びせ、岸田首相も気軽に応じるはずが、「国民の声に耳を傾けながら、1つ1つ結果を出してまいりたい」と、9月20日、報道陣の前で述べたフレーズを眉間にしわを寄せながら繰り返すしかないのではないか。

 参議院選挙での圧勝からわずか3ヵ月足らず。岸田首相は今、安倍晋三元首相の国葬問題、次から次へと新たな関係が明らかになる旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題で、「10月を乗り切れるのか」(自民党菅グループ中堅議員)と危惧される状況下にある。

 おまけに10月は、食料品や生活必需品など約6500品目で値上げが想定されている。これに、1ドル=150円近くまで下落するとの予測もある円安、OPECプラス(石油輸出国機構加盟国とロシアなど産油国の枠組み)で合意された原油の減産が追い討ちをかける。

 新型コロナウイルスこそ、新規感染者の数が頭打ち傾向にあるが、10月から水際対策を大幅に緩和し、入国の上限撤廃を撤廃したり、個人旅行を解禁したりすれば、第8波を招く可能性も否定できない。

 そうした中、国会では臨時国会が始まり、岸田首相は、野党からの厳しい追及に防戦一方となることを余儀なくされる。

 そこで説得力のある答弁ができなければ、NHKや全国紙などが毎月中旬に公表する世論調査では、内閣支持率が、9月の毎日新聞調査(9月17日、18日実施で内閣支持率29%)と同程度の水準にまで下落することも予想される。そうなれば、危険水域だ。

内閣支持率が上昇する材料はゼロ

 問題なのは、この先、岸田内閣への支持率が上昇する材料が見当たらないことだ。

 岸田首相は、国連総会での一般演説で、ウクライナ問題をめぐって国連改革を強く訴え、ロシアを名指しで批判してみせた。また、英国のトラス首相と会談するなど、外交日程も予定どおりこなしているが、支持率を回復させるような材料にはならない。

 それ以上の課題が山積しているからである。改めて整理しておこう。

■国葬に伴う弔問外交は極めて短時間
 ・9月27日に開催される安倍元首相の国葬。国葬にした根拠、約16億6000万円もかかる費用の問題に、二階俊博元幹事長の「国葬やらなかったらバカ」「黙って手を合わせて見送れ」発言が火に油を注ぎ、東京では当日まで大規模な抗議集会が続く。

 ・安倍元首相の業績に懐疑的な村上誠一郎元行革相が欠席を決め、「国民の半数以上が反対している国葬を強行したら国民の分断を助長する」と述べたことは、自民党内にも波紋を拡げている。

 ・海外からは、アメリカのハリス副大統領、カナダのトルドー首相、インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相、それに韓国の韓悳洙首相など現職の首脳級700人が来日する予定で、岸田首相は50か国の首脳級とそれぞれ短時間でマラソン会談を実施する。ただ、1か国当たり10分~15分程度の会談で、成果が上がるかは微妙。第一、巨額の国費投入への批判は、弔問外交の成否に関わらず当面続く。

■旧統一教会問題での相次ぐ“報告漏れ“
 ・自民党が9月8日に発表した党所属国会議員の調査結果で氏名が公表されなかった木原誠二官房副長官らの関わりが新たに浮上。山際大志郎経済再生相も旧統一教会のイベントに出席していたことを認めた。

 ・相次ぐ“報告漏れ“には、筆者も含め、国民の不信感が募る。茂木敏充幹事長が再度、調査結果を公表したとしても焼け石に水。

■物価高対策は付け焼刃
 ・政府は低所得者層への5万円給付を決定。しかし、対象となるのは住民税非課税世帯の約1600万世帯のみで全体の3割程度。値上げが相次ぐ10月に大胆な対策が打てるのか疑問。

■観光支援策は両刃の剣
 ・円安のメリットとなる部分を活かし、海外旅行客の増大を図ったり、「全国旅行支援」を実施すれば、観光業にはのプラスになるが、新型コロナウイルスの感染拡大を招く恐れも。また「全国旅行支援」は、都道府県判断のため、コロナ患者の全数把握同様、混乱する可能性もある。

■衆議院選挙区の「10増10減」で与党内は泥仕合
 ・140選挙区で区割りが見直しになる。自民党は、選挙区が大幅に増える東京や神奈川などでは新たな支部長を決め、「この区は自民、ここは公明」と割り振る必要性が生じる。区割り変更は議員にとって政治生命に直結するため、大もめになる。言葉は悪いが、泥棒に刑法をいじらせるようなもの。合意形成には骨が折れる。

 ・とはいえ、これらを解決しなければ、岸田首相は解散もできない。調整に失敗すれば、その不満や怒りは総裁の岸田首相や茂木幹事長に向けられる。

思い起こされる「青木率」

 こうした中、思い起こされるのが「青木率」だ。「青木率」とは、かつて「参議院のドン」と呼ばれた元自民党参議院議員会長、青木幹雄氏が唱えた方程式で、「内閣支持率と政党支持率の合計が60%を切ると黄信号が灯り、50%を切ると政権運営がおぼつかなくなる」というものだ。

 その点からすれば、岸田内閣の場合、どの世論調査を見ても、「内閣支持率+自民党政党支持率=70%以上」という状況であるため、行き詰まるまでには至っていない。

 ただ、筆者は別の見方をしている。

 「内閣支持率+自民党内での岸田首相支持率<50%」になれば、岸田首相は極めて厳しい状態に追い込まれると見ている。

 それは、岸田首相の党内基盤がぜい弱だからである。

 総理・総裁派閥の岸田派は、衆参合わせて43人の党内第4派閥だ。安倍派(97人)、茂木派(54人)、麻生派(51人)には数の上で及ばず、自民党所属国会議員(衆参議長含め381人)の中で言えば、その割合は11%にすぎない。

 つまり、他派閥から見放され、岸田交代論が強まれば、急降下している内閣支持率との足し算で、比較的早い時期に50%を切る可能性があるということだ。

何しても首筋寒し秋の風

 「このまま行けば、来年春の統一地方選挙はボロ負けになる。そうなると我々は、地元で市議会議員や県議会議員を失うので次の国政選挙への打撃も大きい。来年5月の広島サミットで花道を…では間に合わない」(自民党安倍派若手議員)

 「岸田さんは『聞く力』を、国民ではなく安倍派に向けて発揮してしまった。安倍派に配慮して国葬実施に走り、旧統一教会問題に関しても、安倍派の重鎮、細田博之氏を衆議院議長だからという理由で調査対象にしなかった。この先、東京五輪汚職事件で、事実上、安倍派をとりまとめてきた森さん(森喜朗大会組織委員会元会長)にまで捜査の手が及べばアウトだ」(前出の自民党菅グループ中堅議員)

 自民党内からはこのような声が聞こえてくる。「物言えば唇寒し秋の風」(松尾芭蕉の句)などと言われるが、岸田首相にとっては、「何しても首筋寒し秋の風」といったところだろうか。

清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師)

【私の論評】岸田政権が長期政権になる道は絶たれた、最長でも来年5月のサミットまでか(゚д゚)!

上の記事、間違いもあり、掲載するかどうかは迷いましたが、現在の政局を表しているという点では、わかりやすいのであえて掲載しました。

旧統一教会問題に関しては、そもそも発端は、安倍派潰しだったと考えられます。今から振り返ってみると旧統一教会と関係が深い閣僚などを排除するという趣旨のことをあらかじめ発言した上での内閣改造でした。

その結果をみると、岸防衛大臣を外すなどの、安倍派外しの人事が目立ちました。これに、統一教会問題を利用したようですが、なんと蓋をあけてみると、岸田派閣僚にも統一教会と関係があることが明らかになったものも存在しており、特に安倍派だけが、統一教会との関係のある議員が多いということもありませんでした。

岸田派も含め、多くの自民党派閥に統一教会との関係ある議員が存在したことが明らかとなりました。

特に、旧統一教会との「関係」というあいまいなところで線を引こうとしたことに無理があり、新閣僚にも統一教会との「関係」がある人が出てしまったのです。

統一教会問題については、霊感商法などについては、安倍政権時代に法律が整備されて、かなり減っていることが明らかになっています。寄付金に関しては、たしかに問題にあるケースもあるのですか、これに対しては新たな立法で対処する旨を丁寧に説明すべきでした。

いかにマスコミや、野党から批判されようとも、岸田総理の得意な「検討中」であると言っておけば急場しのぎができて、しかも後で本当に寄付金を防ぐための、税法等の改正をすれば、批判も収まった可能性も十分あります。

ただ、機械的に統一教会と関係のあった議員を事実上、排除するとい発言をしてしまったことが、本当に不味かったです。そうなると、多くの議員が、関係者に対して「あなたは統一教会と関係がありますか」と質問しなければならなくなり、これは憲法にも保証されている「信教の自由」を侵害することになり、それこそ人権侵害になるからです。

労働局などでは、就職差別になるので以下のような質問を面接時にしてはならないとしています。

就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例
  1. 本籍に関する質問 あなたの本籍地はどこですか。 ...
  2. 住居とその環境に関する質問 ...
  3. 家族構成や家族の職業・地位・収入に関する質問 ...
  4. 資産に関する質問 ...
  5. 思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問 ...
  6. 男女雇用機会均等法に抵触する質問
企業などの就職の面接では宗教や尊敬する人物を質問してはいけないのです。面接でこのようなことをしてはいけないのですから、議員が自らの関係者にそのような質問をすることも、かなり問題があることは明らかです。魔女狩りといわれても仕方ありません。

このようなことを自民党の議員に要求したわけですから、これはある意味、野党やマスコミ等の挑発に見事に乗ってしまい、相手の土俵にあがった形になってしまいました。そのせいか、いつの間にか、安倍元総理の国葬儀と統一教会問題が関連づけられて、マスコミや野党が語るようになってしまいました。そうして、岸田政権はそのブーメランで、支持率がかなり下がってしまいました。

現在日本においては、国葬と国葬儀も混乱して語られています。日本に於いての国葬は、憲法7条と皇室典範25条による天皇の国事行為である大喪の礼だけです。当然ですが安倍元総理は対象になりません。内閣府設置法により国家に貢献した人を弔う儀式が国葬儀で別のものです。私は、このような混乱はいずれ収まるものとみています。

上の記事で、村上誠一郎元行革相が、国葬儀に参加しないことを表明したり、安倍氏を批判してみせたようなことは、全くの問題外です。これは、自民党としては何らかの処分をすべきです。

安倍派幹部の萩生田光一政調会長と世耕弘成参院幹事長は21日、総務会メンバーの発言との理由で遠藤利明総務会長に事実確認と「けじめ」を要求。萩生田氏は茂木敏充幹事長とも意見交換しました。

岸田総理は信じがたいことに、魔女狩り発言中に中国のミサイルが日本のEEZ 内に着弾してもすぐに国家安全保証会議(NSC)を開催しないなど、危機管理能力がないことがはっきりしました。おそらく、この時岸田総理の頭の中は、内閣改造でパンパンになっており、会議を開催するという考えも及ばなかったように見えます。


岸田内閣は、危機管理能力が全くないということがこれで暴露されてしまったといえます。

岸田政権と菅政権を比較すると、菅政権はかなりまともだったと思います。少なとも、岸田政権よりは、はるかに危機管理能力は高かったと思います。

菅首相の所信表明演説をあらためて見返してみると、こと新型コロナワクチンに関してはすべて達成していることが分かります。菅前首相は、ワクチン接種のペースに関して「1日100万回」と発言し、テレビや雑誌で「非現実的だ」などと叩かれに叩かれたましたが、結局これも実行しました。

「明かりは見え始めている」発言もなぜか非難囂々でしたが、その後の感染者数の激減をみると菅前首相の認識は間違ってはいませんでした。菅政権に関しては、少なくとも新型コロナワクチンに関しての結果だけは認めるべきです。


病床確保については、尾身会長も抗えない、いわゆる医療村に阻まれて、失敗はしたものの、それでも医療崩壊を起こすこともなく、コロナをかなり収拾させたというのは、間違いなく大きな成果です。

新型コロナワクチンで大きな成果を上げた菅政権でしたが、在職日数384日で成し遂げた仕事はそれだけにとどまらないです。東京オリンピック・パラリンピックの開催、デジタル庁の創設や携帯電話料金の値下げ、不妊治療の保険適用、福島第一原発の処理水の海洋放出、2050年カーボンニュートラル宣言など、主に安倍元首相時代に積み残してきた問題や課題に次々とケリをつけています。

さらに、安倍・菅政権ともに、コロナが蔓延していた時期には、両政権あわせて100兆円の補正予算を組んだことと、日本には他国にはない「雇用調整助成金」という制度もあり、これも活用したことで、コロナが蔓延して、様々な規制が行われたときでさえ、失業率は2%台を維持していました。

そのせいですか、無論コロナで職を失った人もいましたが、だからといって、それが深刻な社会問題にまで発展したということはありませんでした。両政権のコロナ感染が続いていた期間においては、日本は世界で一番失業率が抑えられていました。これについては、マスコミなどはほとんど触れることもありませんが、安倍・菅政権の大きな成果です。

岸田政権においても、失業率の大きな変動はありませんが、これは岸田政権の成果でなく、安倍・菅政権によるものです。岸田政権は、これを引き継いだので、経済的にも安定しており、かなりやりやすかったと思います。ただ、岸田政権の決めた、補正予算は数兆円レベルであり、この秋にまともな補正予算を組んで、様々な経済対策をしなければ、今後は失業率も上がることになります。

確かに、菅前首相はやり方が強引に見えるところがあり、口下手で発信能力にも欠けいるとも批判されました。ただ、いまから考えると、こうした批判は、仕事師と異名をとる菅氏に対しては、総理としての仕事そのものには批判ができなかったので、このような批判をするしかなかったとも考えられます。

国会や記者会見での木で鼻を括ったような受けも批判されましたが、これも今から考えると、全く筋違いで見当違いな馬鹿げた、低レベルの野党議員や記者の質問に対して、このような態度をとったまでで、相手の土俵に乗ってしまう、岸田現総理と比べれば、至ってまともだったと思います。こうした点に不満を覚えて不支持に回った人も少なくないようですが、今一度菅前総理の仕事ぶりの、結果だけを見てみると、近年まれにみる「国民のために働いた内閣」と言っても良いです。

昨年26日、BSフジのプライムニュースに出演した菅前首相は以下のように語っていました。
(衆議院選挙の応援に行った時のことを聞かれ)私自身は、総理を辞めての選挙でしたし、街頭遊説は非常に怖かったですよね。行っても非難されるんじゃないか、批判されるんじゃないかと。しかし、行く先々で見たこともないような光景が続きましたね。本当に多くの人に足を運んでいただいて、あるいは通りすがりの人のほとんどが足を止めていただいて、『ワクチンありがとう』って声がかかったんですね。政治家冥利に尽きましたよね。

結局自民党は、マスコミや野党の挑発に乗ってしまい、このような仕事師内閣とも呼べるような、菅内閣を一年で終わらせてしまいました。現在仮に、菅政権が今も続いていれば、良かったと思います。 

それが、結局派閥の力学などで、菅政権は一年あまりで終わってしまいました。以下に、菅政権と岸田内閣の支持率の推移を掲載します。菅内閣の支持率も高くはありませんが、政権末期には、菅内閣の仕事ぶりが評価されたのが、上昇しつつありました。

岸田内閣の現在の支持率は29%であり、不支持率は64%です。これは、毎日新聞の調査です。他の調査も似たりよったりです。


私は、岸田政権は危機管理能力が欠如しており、短期政権で終わらせるべきだと思います。ただ、現在は安保・外交・補正予算などの懸案事項が多数あります。岸田政権でこれが、できるなら、今年あたりには岸田政権を継続し、これらの懸案事項を片付け、来年に入ってから、派閥の話し合いなどを行い、5月のサミットを終了した段階で、総裁選などのスケジュールにスべきと思います。

自民党は、菅内閣という仕事師であり、安倍路線を忠実に継承する内閣を短期政権で終わらせたという、前科があります。

今年あわてて、来年4月の統一地方選のためだけに、解散などに踏み切れば、混乱する可能性が大きいです。ここは、自民党自体をなるべく毀損しない方向で、来年5月のサミット終了時に花道解散という形にすべきと思います。

解散後には総裁選を行い、候補者には菅氏も含めるべきだと思います。これが、当面安倍路線を継承できる最上の策だと思います。

どのみち、岸田政権が長期政権になる道は絶たれたとみるべきでしょう。次の自民党総裁として、高市氏や安倍派の議員を待望する人たちも多いようですが、未だ残念ながら政治家としては、力不足です。仮に総理になれたとしても、何も成就できず漂流し、かつての民主党政権や岸田政権のようになってしまうでしょう。

当面は、菅前総理のような人が、総理として安倍路線を引き継いだ上で、自民党の中の誰か有力な人がメンター的な役割も果たし、次の総理候補者を育てていただきたいものです。

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