北京の在中国日本大使館 |
メールでは、外出する際には不必要に日本語を大きな声で話さないなど、慎重な言動を心がけるよう呼び掛けた。また、大使館を訪問する必要がある場合は、大使館周囲の様子に細心の注意を払うよう求めた。
日中関係は、2012年の尖閣諸島国有化を機に悪化した。当時は、中国各地で大規模な反日デモが発生し、日本大使館前でも暴動が起きた。
今回も、中国の国内で反日感情が高まる可能性があるとの懸念から、日本大使館は在留邦人に注意喚起を行っている。
【私の論評】日本の水産物輸入規制で、思わぬ副作用に見舞われる中国(゚д゚)!
一昨日のこのブログの記事では、経済・軍事的に日本を弱体化させることが中共の処理水放出反対の背景にあるとしました。中国共産党は、日本を弱体化させることはには余念がなく、ありとあらゆる方法を使ってこの目論見を実現しようとします。
そのため、日本の原子力行政や開発を邪魔してあわよくば潰してしまいたいという狙いがあるのは確実だと思います。
ただ、もう一つのことを忘れていました。というか、あまりにも当たり前なので、ついつい掲載しませんでした。
中国では、中共に対する憤怒マグマは長年にわたって蓄積されてきました。それは、建国以来毎年全国で暴動が数万件発生したという事実にも裏付けされています。2010年あたりからは、推計では毎年10万件暴動が発生しているとされ、中国政府はこのあたりから暴動の発生件数を公表するのは控えるようになりました。
憤怒のマグマ AI生成画像 |
中共は、国民の憤怒のマグマが自分たちに向けて直接噴出されるのを恐れて、様々な画策をしてきました。その一つの手法が反日です。それまで、中国では反日活動はあるにはあったのですが、江沢民が主席の時代に、組織的、体系的に反日活動が行われるようになりました。
これは、教育現場はとより、軍隊等も含め社会のありとあらゆるところで、反日活動が体系的に行われるようになりました。
反日活動は、当初は「愛国無罪」などとして、政府が許容したため、多数の反日サイトが登場したり、反日デモが行われるようになりました。それどころか、政府が関与しているとみられる「官製デモ」も頻繁に行われるようになりました。
これにより、中共は国民の憤怒のマグマを避けることに成功しました。
中国の反日デモ |
上の記事では、「日中関係は、2012年の尖閣諸島国有化を機に悪化した。当時は、中国各地で大規模な反日デモが発生し、日本大使館前でも暴動が起きた」としています。この頃がいわゆる反日デモの最盛期だったといえます。
日本大使館などでは、この頃の記憶があるので、注意喚起をしたのでしょう。
ただ、中共は、2012年の後半あたりから、反日サイトは全部閉じさせ、反日デモも強力に取り締るようになりました。これは、中共が反日をやめたとか、日本政府などの圧力などによるものではありません。
反日サイトに関しては、当初は反日的書き込みなどが多かったのですが、いつの間にか反政府に対する書き込みが増えてきたのです。サイトの中には、反日を口実に開設したものの、実際には反政府サイトであるものもかなり多くなりました。
そのため、2011年あたりから政府はこれを閉じることにしたのです。反日ということでサイトに書き込みをしていた国民が、政府への不満が鬱積しているため、政府批判も書き込むようになったのです。
これを阻止するため、中国政府は反日デモをさせないように方針転換をし、2012年を境に中国では、反日デモが開催されることはなくなりました。
これと同じく、今回の処理水を巡っても、反日デモが開催されたり、反日サイトが開設されたりということはないでしょう。それを許せば、反日デモは反政府デモになり、反日サイトは反政府サイトになることが十分に考えられるからです。
現状では、中国政府は、反日サイトの開催は許さないものの、「処理水」に関連したSNSなどへの書き込みは許容しています。反日サイトを許せば、それが反政府サイトに変わる可能性を用意に想像できるからです。
中国は最近経済の落ち込みが顕著となり、国民の憤怒のマグマがさらに蓄積されているのは間違いないと思われます。このマグマそらすためには、処理水放出は格好の出来事ともいえます。しかし、政府がこれを利用して、反日を煽り続ければ、同じことの繰り返しで、反日デモや反日サイトは、いつの間にか反政府に変わってしまうことが十分予想されてます。
反日サイトに投稿する中国人女性 AI生成画像 |
中国当局が「買いだめは不要」と沈静化を呼びかける事態となっています。中国政府と国営メディアは「(すでに塩の買い占めが起こった)韓国のまねをするな」「我々は韓国人よりも理性的だ」などと呼びかけ、事態の沈静化に乗り出しているそうです。
今回の処理水を巡っての対日批判も、このように思わぬ副作用を生んでいます。この副作用は、さらに中国の水産業にも波及しています。現在中国の水産品の市場などでは、閑古鳥がないているそうです。
日本が海洋汚染をしていると中国政府が虚偽の主張をしたがために、日本の海と中国の海とは繋がっていることを認識している多くの中国人が水産品の買い控えをおこしつつあります。今のままでは、他にも様々な中国政府が予期せぬ副作用がおこることでしょう。
政府が自由市場に干渉するとき、常に意図しない結果が生じるものです。貿易や通商を制限することは、必然的に経済活動を予測不可能な方法で歪めてしまいます。
無論米国の中国に対する経済制裁もそのような可能性もありますが、米国としては、そのような事は重々承知の上で、中国の不正を放置するよりは、制裁した方が良いという考えで、実施しているもので、中国のように自国民のガス抜きなどのために実行するのとは根本的に違います。
中国政府による愚かな日本産水産物の輸入禁止令は、明らかに中国国民に塩の買いだめをさせ、品不足を引き起こし、中国の水産業にも打撃を与えることになりました。その他にも、以下のような副作用が考えられます。
品薄から利益を得ようとする悪徳塩商人による意図的な塩の価格つり上げが起こるかもしれません。他の産品も価格のつりあげや品不足が起こる可能性があります。自由市場こそが最も効率的な価格決定メカニズムであり、政府の姑息なコントロールによるものではありません。
継続的な需要を満たすために、日本の水産物の闇市場が拡大する可能性があります。人々が欲しがる商品やサービスを禁止することは、本質的に逆効果です。
中国には日本の水産物を輸入する産業とそれを支える企業があります。これらの企業における雇用の損失が考えられます。
日本との外交関係の緊張。このような恣意的な貿易制限は、国家間の誠意と協力を損なうことになります。
選択肢の欠如と生活費の上昇に対する国民の憤り。共産主義の中央計画が失敗するのは、少数の官僚(中国には選挙がなく、西側諸国でいう政治家は存在しません)が何百万もの個人が市場で自由に選択するほどの知恵を持ち得ないからです。諺にもあるように、地獄への道は善意で舗装されているとされています。
いかなる動機があったとしても、他国を罰したいという願望は、しばしば高い代償を伴います。中国による日本の水産物輸入規制もその例外にはならないでしょう。予測のつかない事態が発生する可能性も十分あります。
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