2023年8月28日月曜日

中国の若者失業率 過去最高―【私の論評】中国内で、無能で手前勝手な中国政府への不満はさらに高まる(゚д゚)!

中国の若者失業率 過去最高

まとめ
  • 中国の若年失業率は過去最高を記録し、その実態はさらに深刻である。
  • 家賃の高騰や経済の停滞が、新卒者の就職難に拍車をかけている。
  • 中国政府は、若年失業率の発表を停止した。


中国の若年失業率は、2023年6月に21.3%と過去最高を記録した。これは、2020年から3年間続いた新型コロナの流行によるものである。

北京大学の張丹丹准教授は、3月時点で、中国の本当の青年失業率は最大46.5%に達すると指摘した。これは、非労働者である「寝そべり」や「ニート」をすべて失業者と見なした場合の数字である。

最近、家賃の高騰と経済の停滞に直面し、新卒者が増えているという。実際、2022年度卒業生の47%近くが、学業を終えてから6ヶ月以内に実家へ戻ったという。

8月15日、中国国家統計局は青年失業率の発表を暫定的に中止すると発表した。中国外務省は、統計改善の努力の一環として、関連部門が統計指標を調整・削減するのは普通の事だと開き直った。しかし、海外SNS上では、中国の公的な経済データの透明性に対する疑問の声が広がっている。

【私の論評】無能で手前勝手な中国政府への不満はさらに高まる(゚д゚)!

まとめ

  • 雇用は、マクロ経済学において最も重要な指標である。
  • 日本の安倍政権は、金融緩和によって雇用を改善し、政権の安定につなげた。
  • 中国は、国際金融のトリレンマによって、独立した金融政策ができない。そのため、雇用が悪化し、社会不安が高まっている。
  • 中国政府は、雇用改善のために金融緩和を実施すべきだが、権威主義的支配を維持するためにそれをしない。
  • 中国の若者の失業率は高く、彼らは政府への不満を抱いている。
  • 日本は、中国の迷惑電話に対して毅然と対応すべきだが、動静を冷静に見守ることも重要である。

マクロ経済学では、政府の経済政策の中で、最も重要なのは雇用であるとされています。他の指標が悪くても、雇用さえ良ければ、政府の経済政策は及第点であるとされます。

これは、日本の憲政史上で最長となった安倍政権の経済対策をみれば、理解できます。

日本の憲政史上で最長となった安倍政権

安倍政権下においては、結果として二度も消費税増税が行われました。しかし、安倍政権の経済政策におけるいわゆる3つの矢のうちの、黒田日銀総裁総裁時代の日銀では当初は異次元の包括的金融緩和が実施され、その後もイールドカープ・コントロールを導入するなどの後退局面はあったものの、金融緩和自体は継続されました。

そのため、安倍政権時代にはかなり雇用が改善されました。特に新卒者の雇用は劇的に改善されました。そのため、多くの若者が雇用の改善をリアルタイムで認識することができ、若者こそが日銀の金融緩和による雇用改善の最大の、受益者になったといえます。これが若者の安倍政権支持につながったとみられます。

雇用の改善は若者以外の国民にも良い影響を及ぼし、これが安倍政権が憲政史上最長の政権になったことの原動力の一つになったのは間違いありません。

金融緩和は現在の植田日銀総裁も継続しています。ただ、長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定し、実質的に利上げともみられるようなことをしています。今後はどうなるかはわかりません。安易な金融緩和政策の変更は、厳に慎むべきです。そうでないと、日本も雇用が悪化し、円高を招きせっかく回復しかけている輸出産業を毀損することになりかねません。

雇用の劇的改善を喜ぶ日本の若者 AI生成画像

雇用はそれだけ重要なのです。しかし、最近の中国では雇用が悪化するばかりで、改善される兆しはありません。これは、習近平政権の経済対策は、失敗であることを明確に示しています。

これには、多くのメディアが様々に現象面だけを捉え、説明していますが、いくら現象面を多数あげたにしても、これだけの雇用の悪化とそれを政府が改善できない根本要因は理解できません。

その根本要因とは、国際金融のトリレンマです。これによって、中国人民銀行は、独立した金融政策ができない状況にあります。実施すれば、キャピタルフライトやインフレの加速などに見舞われ、やりたくてもできないのです。

マクロ経済学の初歩理論では、いかなる国においても、中央銀行が金融緩和をしてインフレ率を数%でも高めることができれば、その他は何もせずとも、瞬時に大量の雇用が生まれることを示しています。

日本では、数百万、中国であれば、数千万人の雇用が生まれるかもしれません。実際の雇用はその時々で様々な影響があるので、数字を一般化することはできませんが、大きな括りでは、そのようなことがいえます。

実際アベノミクスの金融緩和政策においては、数百万の雇用が生まれています。

だからこそ、中国人民銀行は、アベノミクスのような異次元の包括的金融緩和をすぐにも実施すべきなのですが、先にも述べたように、中国人民銀行はそれができない状況にあるのです。

中国人民銀行が国際金融のトリレンマから脱して、人民銀行が独立した金融政策を取り戻すには、変動相場制に移行したり、資本の移動をさらに自由化するなどの対策をすべきなのですが、中国共産党はそれをしません。

それはなぜなのでしょうか。

中国共産党は、金融政策や通貨評価など、中国経済のあらゆる側面をコントロールすることに重きを置いています。変動相場制と資本フローの開放は、彼らの支配力を低下させるからです。

人民元が割安になることで、中国の輸出品の価格が安くなり、経済成長が促進されることになります。変動相場制は人民元が値上がりし、輸出企業に打撃を与えるリスクがあります。

開放的な資本フローが中国経済と金融システムを不安定化させることを恐れているという面もあります。急激な資本流出は、他国の新興市場でも危機を引き起こしています。

経済と金融システムのコントロールを緩めることは、中国共産党の権威主義的支配を脅かすことになります。中国共産党は権力を手放したくないし、社会が不安定になるリスクも冒したくないのです。

強力な国有企業や輸出企業は、現状を維持するよう中国共産党に働きかけているとみられます。たとえ経済全体が苦しくなっても、彼らは現在の政策から利益を得ることができます。

中国共産党は、急激な自由市場への変化よりも、緩やかな国家統制の改革の方が良いと考えているとみられます。しかし、彼らのいわゆる "改革 "とやらは依然として政府の介入と操作を伴います。要するに、中国共産党は、自らの統治の正当性維持しようとして躍起なのですが、結果として、中国経済は毀損され続けることになるのです。

これだけ雇用が悪化していると、これに対する国民の憤怒のマグマが煮えたぎるのは当然のーことと考えられます。私は、福島県などの飲食店などに「処理水」に関しての嫌がらせ電話が増えている背景にはこのようなこともあると思います。

上の記事では、中国の本当の青年失業率は最大46.5%に達すると指摘もあり。これは、非労働者である「寝そべり」や「ニート」含めた数字であるとされていますが、これらの人たちは、政府の無能に怒りを感じながらも、何もできずにいると思います。ただ、時間的な余裕は有り余っています。そこで、「処理水」による日本批判などに容易に扇動されて、「迷惑電話」かけている可能性もあると思います。これは、あくまで私の推測です。

中国の寝そべり族

ただ、このようなことをすれば、一時的には不満の発散になるかもしれませんが、失業状態という事実には変わりないですし、それに中国から日本に電話をかければ、ダイヤル直通通話〔通話料 約120 円/分〕、クレジットカードによる通話料支払い〔通話料 約 40~160 円/分〕です。失業者が一時的な不満の発散のためにこれを負担するのは、割高だと思います。

それにこれは、日本のKDDIなどの電話会社にも利益をもたらすことになります。

これでは、無能で手前勝手な政府への不満はさらに高まることが予想されます。

日本政府としては、中国に対して毅然と対応すべきであり、何らかの対応手段を用意しておくべきですが、しばらく動静を冷静に見守り対処するという姿勢も同時に重要だと思います。

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