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2016年8月5日金曜日

【スクープ最前線】首相、二階幹事長&稲田防衛相で中国封じ込め 習政権は不穏な対日工作―【私の論評】習近平は国内政治力学のため尖閣を奪取する(゚д゚)!


二階幹事長と稲田防衛相 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
安倍晋三首相が、軍事的覇権を強める中国を封じ込める、新たな陣容を敷いた。内閣改造・自民党役員人事(3日)で、歴史問題などで中国に毅然と対峙してきた稲田朋美氏(57)を防衛相に抜擢し、中国に独自のパイプを持つ二階俊博氏(77)を幹事長に起用したのだ。硬軟織り交ぜた対中戦略だが、習近平国家主席率いる隣国の暴走は止まらない。南シナ海をめぐる中国の主張を「完全否定」したオランダ・ハーグの仲裁裁判所の裁定を「日本の陰謀だ」と批判し、挑発を続けている。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

中国が危ない。7月に仲裁裁判所の裁定を「紙クズだ」「従わない」と、国際法無視を宣言して以来、孤立を深めて常軌を逸している。外務省関係者がいう。

「ニューヨークのタイムズスクエアにある中国系広告スクリーンに、『仲裁裁判所の裁定はデタラメだ』というビデオを、1日100回以上も流している。米国人は『クレイジーだ』とあきれている」

「中国と南シナ海で対立するベトナムでも先月末、首都ハノイと南部ホーチミンの国際空港が中国のハッカー攻撃を受け電光掲示板に『南シナ海は中国領』というメッセージが流された。ベトナム人は激怒している」

今月1日東シナ海で大規模な軍事演習を行った中国海軍 
艦艇100隻、潜水艦一隻、航空機十数機を動員した。
だが、中国が総力をあげて攻撃しているのは、実は日本だ。ふざけたことにメディアを総動員して、仲裁裁判所の裁定は「日本の謀略だ」などと、嘘八百を国内外に吹聴し、すべての罪を日本にかぶせようとしている。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議が先月26日、ラオスで開かれた。これに合わせて行われた日中外相会談で、王毅外相は「これ以上(日本が各国と南シナ海問題で)介入を続ければ、別の意図があると証明することになる」と、岸田文雄外相を恫喝(どうかつ)した。

この2日後、中国国際放送のウェブサイト国際在線は「(日本は)誰の目にも明らかな陰謀を企てている」「尖閣諸島問題において中国に勝利するためだ」と報道した。要は、日本が尖閣諸島を中国から奪うために、陰謀を働いて裁定をクロにさせたというのだ。

笑止千万。尖閣諸島は沖縄県に属する日本固有の領土だ。卑劣な手段で奪おうとしているのは中国の方ではないか。

外務省関係者がいう。

「中国は必死だ。国内報道は『日本悪玉論』一色で、人民と軍を洗脳している。仲裁裁判所の裁定は致命傷で、習氏は追い詰められた。日本を悪玉にしなければ、人民と軍の不満が爆発して政権は持たない。だが、このまま反日感情をあおれば、人民と軍が暴走する。極めて危険だ」

追い詰められた習近平
私(加賀)は、夕刊フジ7月20日発行号で《習氏が追い詰められ、8月に尖閣で軍事衝突を画策している》という衝撃情報を報告した。中国が国内外で「日本悪玉論」「日本陰謀論」を吹聴するのは、衝突時の中国の暴走を正当化する世論作りと思える。

こうしたなか、中国海軍は1日、軍創立記念日を名目に、東シナ海で艦艇100隻、潜水艦1隻、戦闘機十数機を出動させた大規模な実弾軍事演習を行った。

さらに、とんでもない情報が飛び込んできた。

日中交流団体幹部の日本人男性が先月、「国家安全危害の疑いがある」として中国当局に拘束された件についてだ。習政権が発足した2012年以降、これで日本人10人がスパイ容疑などで逮捕・拘束された。実は、大変な動きがある。以下、複数の情報当局関係者から得た情報だ。

「中国は数十人の『日本人スパイ容疑逮捕者リスト』を作成している。だが、今回の団体幹部はリストに入っていない。今回の拘束は『中国に逆らうなら、今後は誰でも捕まえる』という、日本に対する脅しだ。今後、中国がスパイ容疑を名目に、日本人狩りを行う危険がある」

「日本国内でも危険な兆候がある。中国は『逮捕者リスト』に載った(親中派の)マスコミ関係者や学者を『(中国に来れば)逮捕するぞ』と脅して利用してきた。裁定以降、彼らに、南シナ海問題や尖閣問題などで『安倍政権批判をもっとやれ、と命令している』という情報がある」

中国は最近、南シナ海でロシアとの合同軍事演習を9月に実施すると発表した。これも、「南シナ海に手を出すな」という中国の脅しだ。米韓両国が配備を決定した、最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」に反対する意思表示でもある。

再度言う。日本の危機が高まっている。中国の卑劣な工作に断固屈してはならない。日本は、米国とオーストラリア、インド、そして世界各国と連携を強め、「法と自由と民主主義」を守り抜く積極外交を行うべきだ。日本は正々堂々、真正面から立ち向かえばいい。

加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】習近平は国内政治力学のため尖閣を奪取する(゚д゚)!

中国が、近々尖閣で軍事衝突を企んでいることは他のソースでも公表されています。その代表的なものを以下にあげておきます。
「中国軍はヘリで尖閣を急襲する」と米研究機関
中国海軍のヘリコプター「Z80」
 中国軍が尖閣諸島など日本の領海や領空への侵犯を重ねる中、中国の軍事動向を調査する米国の研究機関が「中国軍部はヘリコプター急襲や洋上基地の利用によって尖閣諸島を奪取する戦略を着実に進めている」とする分析を明らかにした。 
同研究機関は、中国は長期的には東シナ海での覇権を確立するとともに、沖縄を含む琉球諸島全体の制覇を目論んでいると明言している。 
■ 尖閣制覇の目的は?  
   ワシントンで中国の軍事動向を研究する民間機関「国際評価戦略研究センター」の主任研究員リチャード・フィッシャー氏は、中国人民解放軍の東シナ海戦略についての調査結果を報告書にまとめ、このほど公表した。 
   同報告書は、まず中国が南シナ海で人工島建設による軍事化を推進し、同時に東シナ海でも、2013年11月の防空識別圏(ADIZ)の一方的な設置宣言に象徴されるように、軍事能力を高めていることを指摘する。特に、尖閣を含む琉球諸島の南部を重点的な対象とした(1)レーダー網や電子諜報システムの近代化、(2)J-10やJ-11など第4世代戦闘機の配備、(3)新型の早期警戒管制機(AWACS)や電子諜報(ELINT)の配備や強化、(4)以上のような戦力の演習の頻度増加――などが最近、顕著にみられるという。

また同報告書は、中国は尖閣諸島の軍事奪取のための能力を特に強化しているとし、尖閣の制覇には二重の目的があると分析する。つまり、“台湾攻略のための戦略拠点を確保する”、および“2020年頃までに東シナ海全域で中国の戦略核潜水艦活動の自由を確保する”という目的である。 
■ 着々と進んでいる尖閣奪取の準備 
   同報告書はそのうえで、尖閣諸島の軍事奪取に向けた中国人民解放軍の最近の動きとして、以下の諸点を列記していた。 
  • 浙江省の南麂列島で、ヘリコプター発着を主な目的とする新軍事基地の建設を始めた。この基地は尖閣諸島から約300キロの地域にある。中国軍ヘリのZ-8やZ-18は約900キロの飛行距離能力があり、尖閣急襲用の新基地と目される。  
  • 2015年6月以降に、浙江省の温州市で、日本の海上保安庁にあたる「海警」の新しい基地の建設を始めることが明らかになった。温州市は尖閣諸島から約320キロの地点にある。温州市の海警基地はまず尖閣諸島方面での任務につくとみられる。  
  • 中国海軍は新型のホバークラフトをすでに東シナ海に配備した。さらに新鋭の重量級ヘリの開発にも着手し、尖閣諸島や宮古列島、八重山列島への敏速な軍事作戦の実施能力を高めている。  
  • 中国海軍はウクライナ・ロシア製の時速50ノット、運搬量500トンの大型ホバークラフト2~4隻を購入し、同様の国産艦も製造中である。その結果、中国軍は、ヘリコプターの急襲部隊を後方から敏速に支援することが可能になる。  
  • 中国軍は、搭載量15トン、飛行距離400キロの新型ヘリコプターも独自に開発している。完成して配備されれば、尖閣諸島の占拠にきわめて効果的な手段となる。 
  • 中国は、2015年7月に公開した巨大な「洋上基地」の東シナ海への配備を実際に進め、尖閣攻略の有力な武器にしようとしている。この洋上基地は軍用航空機と軍艦の洋上の拠点として機能するため、中国が占拠した尖閣諸島に曳航すれば、即時に新軍事基地となる。 
■ 沖縄や先島諸島も狙われている 
さらにフィッシャー氏は同報告書で、尖閣諸島だけでなく沖縄や先島諸島(宮古列島と八重山列島)をも日本から奪取しようとする中国の長期戦略の存在を指摘した。 
同報告書によると、中国人民解放軍の羅援少将(軍事科学研究院所属)らは、中国共産党機関紙「人民日報」などに2013年半ば以降一貫して「沖縄を含む琉球諸島は本来は中国の主権に帰属する」という主張を発表してきた。中国と沖縄や先島諸島との歴史的な関わりを強調するその主張は、中国政府の意向の反映とみられるという。フィッシャー氏は、中国の尖閣諸島への攻勢は、沖縄などを含む日本領諸島へのより広範な長期戦略の一環であるとしている。 
米国で明らかにされた、こうした中国の尖閣諸島、沖縄その他の琉球諸島、さらには東シナ海全体への軍事的野望の実態は、当然ながら日本でも深刻に受けとめなければならない動きである。
この一連の動きは、以前このブログに掲載した中国による南シナ海の中国の戦略原潜の聖域化と無関係ではありません。

南シナ海を中国の戦略原潜の聖域にするというのは、南シナ海に戦略原潜(SLBM(潜水艦発射型弾道弾)装備)を他国に気づかれぬよう潜ませておき、核による先制攻撃や、報復攻撃を可能にすることです。

中国はかねてより、中米の対等な二国間関係(G2)を追求してきました。そうして、この二国で世界の覇権を分け合うというのが、中国の最終目標です。そのためには、まずは軍事的に米国と対等にならなければなりません。

そのためには、核戦略が重要になります。米国と対等になるため、米国に対して先制核攻撃および報復核攻撃ができるようになってはじめて、対等な二国間系関係が構築できると、中国は考えています。

そのためには、南シナ海の環礁を埋め立てて、軍事基地化して、この一帯を中国の実行支配下におくことが必要不可欠です。

ここに戦略原潜を潜ませておくことにより、米国にさとられずに、原潜を西太平洋方面に定期的に航行させ、常時米国を戦略核(SLBM)の標的にすることができます。

なぜ、ここまで中国が南シナ海にこだわるかといえば、東シナ海を含む中国の近くの海域は、浅い海であり、中国の原潜の行動は監視衛星や、対潜哨戒機、音響測定艦などによって、完璧に把握され、丸裸にされるからです。そのため、比較的近くの南シナ海の深い海は、中国にとって垂涎の的なのです。

ただし、中国は核兵器を使って、米国と核戦争をしようという意図があるわけではありません。あくまで、米国と対等の核戦略を持ち、対等な二国関係を保ち、最初はアジア全域に、いずれは世界の半分を自らの覇権の及ぶ範疇にして、全世界を米国と中国で分け合おうというのが、中国の意図です。

経済的にも軍事的にも台頭してきた、中国に対して、いずれ米国も中国と対等の二国間関係を築くことを望むであろうと長年中国は考えてきました。そうして、これに対して日本も追随するだろうと考えていました。

しかし、現実は違いました。南シナ海で米国は「航行の自由作戦」敢行しました。これは、この一帯を中国の戦略原潜の「聖域」にはさせないことの意思表示でした。そうして、それは、米国が中国と対等の二国間関係など望んでいなことの表明でもありました。

そうして、さらには今回のオランダ・ハーグの仲裁裁判所による裁定です。これに関しては、中国側はもっと中国に配慮した穏健なものになることを予想していたようです。

しかし、その期待は見事に裏切られて、仲裁裁判所は中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表しました。


これによって、中国の南シナ海の戦略原潜の「聖域化」は、国際社会からはっきりと「ノー」をつきつけられたのです。

しかし、米中の対等な二国間関係を目論む中国にとっては、これは絶対に許容できないことでした。

南シナ海の聖域化を是が非でも、実行しようとする中国は、この裁定を完全無視し、国際社会から孤立しました。

しかし、それでも中国は諦めません。南シナ海の実行支配をさらに強化するためには、米国はもとより、日本の艦艇やなども南シナ海からシャットアウトしなければなりません。

そのためには、東シナ海と南シナ海にある台湾はいずれ、中国の傘下に完璧に収めて、台湾を中国の軍事基地化して、東シナ海方面から入ってくる日米の艦船を完璧シャットアウトする必要があるのです。

台湾は、東シナ海と南シナ海の境目にある 尖閣諸島は、その台湾に近い

そうして、習近平がこれを推進する理由が別にもあります。それは、中国の国内事情です。米国の「航行の自由作戦」や、仲裁裁判所の裁定など、中国にとってはどれも到底許容できないことばかりです。それどころか、これらによって、習近平の権威は、地に堕ちました。

中国では、習近平による腐敗撲滅運動が展開されているのは皆さんご存知だと思います。しかし、これの本当に意味するところは、習近平派と、反対派による壮絶な権力闘争です。

権力闘争とは、中国内の派閥が、いずれの派閥が統治の正当性があるかをあらゆる手段を用いて、争うことです。権力闘争の最終目的は、自らの派閥の統治の正当性を最高に高めることです。

最近国内で権威が失墜しっぱなしの習近平 失脚の恐れもでてきた

現在の状況は、先ほど述べたように、米国による「航行の自由作戦」や仲裁裁判所による裁定により、習近平の権威は地に堕ち、習近平にとっては最悪の状況にあります。

習近平は、国内で自らの権威を強め、統治の正当性を強める必要があります。そのためには、南シナ海以外でも、何らかの行動を起こさなければなりません。

その行動を起こす先としては、南シナ海の周辺諸国や、台湾、尖閣諸島などがあります。しかし、南シナ海周辺諸国に関しては、仲裁裁判所の裁定もあり、ここに手を出せば、国際社会が黙っていません。軍事的制裁もあり得ますし、大規模な経済制裁は当然予想されることです。

台湾に関しては、いずれ自分の傘下に収めるつもりではあっても、ここにはすでに、反中国的な新政権が誕生しています。ここを拙速に手中にすれば、これも国際世論をさらに激高させることになります。

そこで、浮上するのが、尖閣諸島です。日本は、軍事的にも、経済的にもかなり強い国ですが、最近集団的自衛権の行使を容認する安保法制が整備されたとはいえ、まだまだ戦争・紛争などに関する法整備がなされていません。そもそも、真の意味での軍隊すら存在しません。自衛隊は軍隊ではありませんし、自衛隊員は公務員です。

実際に戦争をするということになれば、他国にない縛りがかなりあります。そういう意味では、日本の尖閣諸島は習近平にとっては狙い目です。

このあたりに習近平はつけいって、尖閣諸島付近で軍事衝突をしたり、あるいは尖閣諸島を奪取することにより、中国内での自らの権威を高めることによって、統治の正当性を得るという冒険に出るかもしれません。

確かに、日本の自衛隊、特に海上自衛隊の力はこのブログでも掲載してきたように、侮ることはできません。それに、沖縄には米軍の海兵隊が駐留しています。それに、日本の他の地域にも米軍基地が存在し、日本に手を出せば、米国との戦争も覚悟しなければなりません。

しかし、習近平は、このまま権威を失墜し、統治の正当性を失い、失脚して座して死を待つくらいなら、これを避けるために、一気に大冒険に出るかもしれません。

中国の国内政治の力学によっては、習近平は尖閣で勝負に出る可能性は、大いにあります。

日本としては、これは絶対に避けるべきです。ブログ冒頭の記事では、"日本は、米国とオーストラリア、インド、そして世界各国と連携を強め、「法と自由と民主主義」を守り抜く積極外交を行うべきだ。日本は正々堂々、真正面から立ち向かえばいい"などとしていますが、私はそうは思いません。

もうすでにその時期は過ぎました。日本ももし中国が尖閣に攻め入ってきたときに、どのように軍事的に対処するのか、真剣に考えておくべきときがきたものと思います。

私は、法律の専門家ではないので、何ともいえませんが、自分の国の領土に中国の軍隊が攻め込んできたとしたらということを予め想定して、それに対処する方法を考えておくべきです。

憲法改正などすぐにはできないのはわかりきっているので、現行憲法のまま、現行の法律体型のままで、対処する方法を早急に考えておくべきです。場合によっては、超法規的措置も実行する勇気と胆力が必要になると思います。その面では、稲田防衛相には期待できそうではあります。

いずれにしても、私たちも、習近平が大冒険をする可能性があることだけは、忘れるべきではありません。そのときは、本当に尖閣は危ういです。

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2016年7月22日金曜日

日本経済に打撃を与えた日銀「ダメな会議」 首相は10年前に“目撃“していた―【私の論評】政策決定会合に馬鹿な会議をやらせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!

日本経済に打撃を与えた日銀「ダメな会議」 首相は10年前に“目撃“していた

量的緩和政策を解除した金融政策決定会合後、記者会見する福井俊彦・日銀総裁 (2006年3月9日)
 日銀は2006年3月8、9日の金融政策決定会合で量的緩和政策を解除した。性急にマネタリーベース(日銀が供給する通貨)を減少させた結果、リーマン・ショックを迎える前の段階で、日本経済は伸びなくなっていた。

 この失敗は、海外の中央銀行ではよく研究されている。06年1~6月の決定会合の全発言を記録した議事録が公表されたことで、その失敗がどのように決定されたがわかる。

 量的緩和を解除するかどうかの大きな判断材料となったのが、総務省が所掌する消費者物価統計(全国、除く生鮮食品)だが、06年1月の数字は3月の政策決定会合の前に公表され、前年同月比0・5%だった。問題はこれを、解除の条件となる「安定的にゼロ%以上」とみるかどうかだった。

 筆者は当時、総務大臣補佐官を務めていた。消費者物価統計は5年ごとに改定されるが、その年の夏には改訂作業を行う予定だった。この改訂作業は、各品目のウエートを消費家計調査などから見直すというものだ。

 その夏に行う作業の大半は3月時点で分かっているので、改訂の結果、1月の0・5%がどのように見直されるかは予測ができた。筆者の見立ては、改訂によって0・4~0・5%程度下がるというものだった。

 これがいわゆる物価の「上方バイアス」である。価格の高いモノは消費が抑制されるが、物価統計では過去の高いウエートで計算されるので、見かけの物価が高く算出される。

 筆者は、1月に0・5%といっても安定的にゼロ以上とはいえないと当時の竹中平蔵総務相に訴えた。竹中氏は量的緩和解除に反対し、中川秀直自民党幹事長も反対だった。当時の小泉純一郎政権内では、与謝野馨経済財政相が賛成だった。

 結果として、日銀は量的緩和を解除した。その様子を見ていたのが、当時の安倍晋三官房長官だった。後日、安倍氏は「高橋さんたちが正しかったね」と話していた。

 ちなみに、消費者物価は、その夏に改定され、1月の数字はプラス0・5%からマイナス0・1%になった。

 筆者は、06年3月の政策決定会合の様子について、政府内にいたので知っていたが、正式な議事録が公表されていなかったので言及できなかった。今回、議事録が公表されたので、はっきり言うことができる。当時の決定会合では、消費者物価の1月の数字について、誰も疑問を呈していなかったのだ。これは「ダメな会議」の典型である。

 筆者は当時、1月の数字がプラスとはいえないことを竹中総務相を通じるなど、あらゆるチャンネルで政府内はもちろん日銀にも伝えた。消費者物価統計を所管する立場であれば当然のことだ。しかし、はじめに結論ありきだったのだろうか、ことごとく無視されていたことが、議事録で確認できる。

 議事録では、早川英男調査統計局長が「しばらく前に私どもは今回基準改定の影響は0・1%~0・2%であろうと申し上げた」とあるが、結果として的外れだった。

 この失敗は日本経済に打撃を与えたが、安倍首相が何が正しかったのかを知るよい教訓となったことが救いだった。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】政策決定会合に馬鹿な会議をやらせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!

上の記事で、2006年当時の状況ならびに、馬鹿な会議と高橋洋一氏が呼んでいるその内容議事録を掲載します。
日銀は2016年7月15日、2006年1月から6月に開かれた金融政策決定会合の議事録を公表しました。当時は物価がマイナス圏からプラスに浮上し、株価も上昇、2001年に始めた量的緩和政策をいつやめるかが焦点でした。 
米国経済の減速懸念などもあるなか、政府からは当時の安倍晋三官房長官を中心に早期終了を強くけん制する声が出ていましたが、福井俊彦総裁らが早期終了にまい進する姿が浮き彫りになりました。 
当時の日銀は現在と同様、金利ではなく日銀のバランスシートを増減する量的緩和政策を行っていました。現在と異なり満期の短い金融資産の買い入れが主体だったのですが、政府の為替介入と平そくを合わせたことで円安・株高を演出する効果が評価されていました。 
もっとも、2004年の追加緩和で目標額を30兆─35兆円に引き上げた後は、追加緩和の限界も意識され、政策の方向転換が時間の問題となっていました。 
当時も政策運営の目安であった消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は2005年2月に前年比0.4%のマイナスまで落ち込んでいたのですが、05年10月以降ゼロ%近辺で安定し始めていました。物価のプラス転換も量的緩和解除の議論を勢いづかせていました。 
<海外からの円安けん制、福井総裁が指摘> 
1月の会合で福井俊彦総裁が「国際会議に出ていて感じることは、円の為替相場が安くなり過ぎると、これを単純にエンジョイするのかというような感覚は、そこはかとなく共通の認識となっている」と発言していました。 
量的緩和は円安誘導策との批判が海外で出ていることを暗に伝えているような発言がありました。円安を背景としたキャリートレードに関し、高金利国から「迷惑がかっている」と言われていたことも指摘しています。 
もっとも株式市場では1月、証券取引法違反容疑で、東京地検特捜部がライブドア本社などに強制捜査に入ったことを受けて株価が暴落。政府側は拙速な量的緩和終了をけん制していました。 
量的緩和終了に踏み切った3月の会合で、政府側出席者の赤羽一嘉・財務副大臣は「デフレに逆戻りすることがないよう責任を持って、金融面から経済を支えていただきたい」とクギを刺しています。 
ただ、日銀の福井総裁は「株がおかしくなりそうだから、量の調節を手加減するという概念はないのではないか」と強気の姿勢を示しました。 
もっとも政策委員の中でも「日銀は元々余裕を持って対応すると言ってきたのに、なぜそんなにここにきて急ぐのかという声があるのは事実。市場との対話が必ずしも円滑に進められてきたとは言い難い」(中原真委員)と、緩和解除は時期尚早との異論も出ました。 
<解除で非難浴びる覚悟必要━福井総裁> 
日銀が苦慮したのが、市場との対話でした。市場が4月末会合での量的緩和解除を織り込む中、福井総裁らは2月会合で、3月終了を織り込ませようと苦慮していました。「市場の期待形成に気になる点がある」「少なくとも4月まで解除はないと取られるような発言は、慎むべきである」(須田美矢子委員)との声が出ていました。 
福井総裁は「マーケットで予断をもって臨んだ人が損をした結果、我々に非難を浴びせるが、そのコストは我々が被るという覚悟は、ある程度必要でないだろうか」(2月会合)と述べ、リスクを伴う決断に踏み切る姿勢をにじませていました。 
<インフレ目標導入圧力に苦慮> 
日銀は3月会合で量的緩和解除と同時に、その後の政策運営の指針として望ましい物価の水準を「中長期的な物価安定の理解」として公表しました。
現在の黒田日銀が掲げる物価安定目標の遠い祖先です。当時の日銀関係者の多くは一度掲げると政策運営を自動的に縛るとして警戒。妥協策として「理解」が誕生する様子が浮かび上がります。 
委員らの間では、量的緩和終了後の金利形成に指針を与えるために「望ましいインフレ率について、事実上ある種のコンセンサスが必要」(中原真委員)との意見が増えました。 
しかし、須田委員は、物価目標を掲げても金融政策は最終的に総合判断が必要と強くけん制。「増税や歳出削減が難しいとなると、政治的なそれをインフレタックスに求めがちである。そうすると政治サイドから出てくる物価目標は、自ずと高いものになりがち」(2月会合)と、物価目標の提示と政治サイドからの「情報発信」による複雑な現象を分析するような発言もありました。 
<妥協の産物『物価安定の理解』に異論百出> 
委員らの間で望ましい物価水準が異なることも、議論を複雑にしました。西村清彦委員は0.8%プラスマイナス0.5、岩田一政副総裁が1─2%、水野温氏委員が0.5%ぐらい、中原真委員が1─2%ただし当面スタートとしては0.5─1%ぐらいを挙げました。須田美矢子委員は「中長期的に見て物価が安定していると理解する物価上昇率の中心値はゼロに近いプラス」としていました。 
福井総裁も「数値というのはなかなか皆さん幅があって、一文では表しがたいところがある。ゼロ─2%ということであれば、各委員のご理解の範囲と非常に大きく離れているということはない」としたうえで「わたしはやはりゼロ─2%。少し絞れば0.5%─1.5%。中心値は1%以下である」。武藤敏郎副総裁は「私自身はゼロ─2%といっても、ゼロと2%を含まないイメージ」「1%前後で分散しているぐらいは言わないと、せっかくやるにしてはあまりに透明性が低過ぎないか」と総括しました。 
「物価安定の理解」との表現をめぐっても、異論が百出しました。福井総裁は「これはターゲットではないし、ルール・ベースのマネタリー・ポリシーをやる訳でもなく、新しいものだということを伝えなければならない」と力説しました。 
だが、「理解という名前、少しわかりにくい。できれば『望ましい物価上昇率』という言葉が使えればよい」(春英彦委員)、「『理解』という言葉の意味が、そうでなくとも分かりにくい。せっかく公表したものの、持つ意味がかえって市場等に混乱をもたらしてしまうのを避けなければならない」(須田美矢子委員)など異論が飛びかいました。 
<きっとうまくやれる─福井総裁> 
量的緩和解除で警戒された金融市場の大きな混乱は回避されたものの、その後の市場の関心は、ゼロ金利解除のタイミングと利上げペースに集中しました。景気が日銀の見通しに沿って回復を続ける中、日銀が「極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持できる」と強調しているにもかかわらず、市場の思惑は広がっていきました。 
早くも06年度内に複数回の利上げを織り込むなど、中期ゾーンまでの金利が不安定化し、長期金利も上昇。量的緩和解除後で初めてとなった4月10、11日の会合では「やや過剰な織り込みだ。今後の市場との対話によって、場合によっては修正する、あるいはそもそも対話の姿勢を極めて慎重なものとする必要がある」(中原委員)など市場とのコミュニケーションに苦慮する委員の様子がうかがえました。 
こうした議論を踏まえ福井総裁は「きっとわれわれは、うまくやっていける」と述べました。 
その後は、日銀による慎重な情報発信の徹底が奏功し、市場の過度な織り込みは沈静化に向かいました。 
一方で景気回復が続き、当座預金の超過準備の縮減が順調に進む中、ゼロ金利解除を意識した発言も出始めました。 
5月18、19日の会合で、須田委員は「展望レポートのシナリオから下振れているということでなければ、その時にはすぐにゼロ金利を解除するのが望ましい」と言及。 
次の6月14、15日の会合で、水野委員は「経済のファンダメンタルズからみれば、7月を待たずに今回の決定会合でゼロ金利を直ちに解除できる要件は整っているように思う」と発言。0.25%の利上げに踏み切る7月会合に向けて、環境が整備されていきました。
結局のところ、ブログ冒頭の高橋洋一の記事にもあるように、 物価の「上方バイアス」を無視した結果、当時の日銀政策決定会合では、消費者物価の1月の数字について、誰も疑問を呈していなかったのです。これは本当に「ダメな会議」の典型です。

そうして、以上からわかるように、福井総裁は量的緩和解除に邁進していたことが良くわかります。

そうして、日銀は日本経済がまだ、完璧にデフレから脱却していないにもかかわらず、デフレから脱却したものと判断して、金融緩和を打ち切りとんでもないことになりました。

福井総裁の後は、ご存知のように白川氏が、日銀総裁となりましたが、白川も福井総裁とかわらずどころか、量的緩和解除どころか、何が何でも、金融引き締めをするという方針を貫き通しました。

そのおかげて、日本経済はせっかく2006年当初には、景気が良くなりかけていたにもかかわらず、デフレスパイラルの泥沼に陥り、国内でモノは売れず、国外では超円高で、輸出企業が大変目にあいました。

そうして、2008年にはあのリーマン・ショックを迎えることになります。リーマン・ブラザーズの破綻により、アメリカやEUなどは景気が停滞しました。しかし、これらの国々では、中央銀行がこれに対処するため、徹底した金融緩和策を実行しました。

そのため、米国はリーマン・ブラザーズの破綻による影響を直接蒙り、EUも米国のサブプライムローンなどかなり取引をしていたので、かなりの悪影響を受けにもかかわらず、徹底した金融緩和のおかげて、比較的早く立ち直ることができました。


しかし、他国が量的緩和をするなか、日銀は量的緩和解除の姿勢を変えることなく、何もしなかったため、さらにデフレ・円高が進行し、日本経済はとんでもない状況に陥り、他国にはない和製英語であるリーマン・ショックという言葉が用いられることになりしまた。世界の中で、このショックから一番遅く立ち直ったのは、日本という有様でした。

日本では、当時証券会社などで、サブプライムローンなど扱うような余裕もないくらいだったので、本当は一番影響が少ないはずでした。にもかかわらず、リーマン・ショックという和製英語がつくられくらい、その悪影響をもろに被りとんでもないことになりました。

もし、リーマン・ブラザーズが破綻した直後に、他の国々が金融緩和に走る中、日銀も大規模な金融緩和を実行していれば、多少経済が停滞したにしても、リーマン・ショックと呼ばれる程の痛手を被らなくてもすんだと思います。

そのため、私はリーマン・ショックという言葉を用いるのは適当ではないと考えたため、このブログでは、リーマン・ショックではなく日銀ショックと呼ぶことにしています。このことについては、以前のこのブログに掲載したことがあります。

2008年リーマン・ブラザーズ破綻 取り外された看板
私自身は、確かに2006年当時の日銀金融政策決定会議は、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が述べているように馬鹿な会議だと思います。

とはいいながら、人間とは間違うこともあるものです。しかし、2006年で判断ミスをしたとしても、2008年にサブプライムローンの破綻によるリーマン・ブラザースの破綻の直後他国が気合を入れて、金融緩和に走った後まで、大規模な金融緩和に踏み切らなかったことは本当に愚かだと思います。

そうして、そのような決定をさせなかったのは、無論当時の日銀政策決定会議の結論です。これこそ、本当に大馬鹿会議です。

このようなことは二度と繰り返すべきではありせん。そもそも、日本では、日銀法が改悪され、日本の金融政策の目標が大馬鹿会議であった日銀政策決定委員会という会議で決定されるというのが異常です。

どんな時でも、金融引き締めの姿勢を崩さなかった白川前日銀総裁
これは、あくまで政府が決定するべきです。実際、他国では中央銀行や中央銀行の委員会で自国の金融政策の目標を定めることはありません。目標を定めるのは、あくまで政府であり、中央銀行はその目標を実現するため、専門家の立場から、方法を自由選べるというのが、標準です。

そうして、他国では、中央銀行が専門家的立場から、政府が決定した金融政策の目標を実現するために、自由に方法を選ぶことができるというのを、中央銀行の独立性としています。

しかし、日本では、なぜか日銀が日本国の金融政策の目標を定めることになっています。これは、異常です。

今後、これを改め、日本国の金融政策の目標は、あくまで国民によって選ばれた、議員による政府が定めるようにすべきです。

そうでなければ、馬鹿な会議をした過去の政策決会合のように、また馬鹿な会議をして、愚かな決定をすることもあり得ます。

それだけは、絶対に避けるべきです。そのために、日銀法を一日も早く改正すべきです。

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2016年5月17日火曜日

橋下徹氏が都知事選出馬なら首相にとって一石三鳥の戦略―【私の論評】橋下氏は積極財政・金融緩和政策で東京都のデフレを克服し、国政にジャンプせよ(゚д゚)!


橋下徹氏 都知事選出馬はある得るか?
舛添要一・東京都知事が絶体絶命のピンチに立たされている。公用車での毎週末の別荘通いや税金を使った海外出張時の大名旅行ぶりへの批判に加え、政治資金で家族旅行をしていたのではといった疑惑が次々発覚、釈明はしたものの都民の不信感は高まるばかりだ。

ここに来て都議会自民党関係者からは、6月1日辞任、7月10日に都知事選挙と参議院選挙をWで行なうといった憶測も急浮上してきた。都議会自民党の背後には当然官邸の思惑がある。

官邸の思惑通りに舛添電撃辞任によって参院選と都知事選のW選挙となった場合、焦点は新たな「東京五輪の顔」となる都知事候補が誰になるのかだろう。

自民党都議の1人は、「知事を辞任させるべきだという声は強いが、ネックは有力な後任が見当たらないこと。都連は参院選の東京選挙区に2人候補を擁立する方針だが、乙武洋匡氏がスキャンダルで出馬断念した後、参院でも2人目の候補がいまだに見つからないというのが実情。ましてや都知事候補となると高い知名度がいる。候補が決まりさえすれば一気に選挙戦に動くことができるのだが」と語る。

自民党内の人材難は、前回都知事選で党を除名されていた舛添氏を担がざるを得なかったことが証明している。

そこでウルトラCの候補として浮上しているのが「無役」となったあの人だ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。

「舛添氏を降ろして出直し都知事選となれば、短期決戦だから、有権者にとって顔と名前が一致する知名度の高い候補でなければ勝負にならない。その意味で、大阪府知事と大阪市長を経験し、首長としての経験十分な橋下徹氏の名前が官邸周辺で囁かれています」

橋下氏は「政界を引退する」と大阪市長を退任した後、『おおさか維新の会』には正式に参加せずに現在は弁護士業とテレビ・コメンテーター業を務めているが、安倍官邸、特に菅義偉官房長官との太いパイプを持つことで知られる。

そもそも菅氏は橋下氏に政界入りを説得した人物で、橋下氏も引退会見で菅氏を「とんでもない政治家だ」と手放しで絶賛するなど、いまだに強い信頼関係がある。

もし、橋下氏が無所属で都知事選に出馬し、安倍政権と自民党が全面支援すれば、知名度からいっても野党側が対抗できる候補を擁立するのは難しいだろう。政治評論家の浅川博忠氏もこう語る。

「現在の安倍政権は外交・防衛に力を入れ、世論が求めている社会保障や景気回復がおろそかになっている。アベノミクスの限界も見えてきた。そういう状況の中で参院選と都知事選のダブル選挙になった場合、大都市圏は革新が強い傾向があるため、通常であれば野党にアドバンテージがあると考えられます。

ただし、安倍政権が橋下氏を擁立できれば風向きはガラリと与党有利に変わる可能性が高い。橋下氏にはそれだけのインパクトがある。橋下氏の出馬が前提なら、安倍政権にとって都知事選とのダブルは切り札的になるでしょう」

安倍首相は参院選で公明党、おおさか維新などを合わせた改憲推進勢力で3分の2の議席確保を目指している。橋下氏自身は参院選出馬に否定的だが、都知事選に出馬すれば、相乗効果でおおさか維新の参院選での議席の上積みも見込める。首相にとっては参院選のテコ入れと都知事選勝利、改憲勢力の拡大というまさに一石三鳥の戦略だ。

橋下氏も憲法改正について「今度の参院選がワン・チャンスだと思っている。泣いても笑っても、ここを逃せば、10年、20年と憲法改正の機会は遠のく」と語るなど首相と同じ考えだ。

※週刊ポスト2016年5月27日号

【私の論評】橋下氏は積極財政・金融緩和政策で東京都のデフレを克服し、国政にジャンプせよ(゚д゚)!

橋本氏が都知事選に出馬という話は、おそらく根も葉もない話ではないのだと思います。まずは、舛添氏に対してはさらなる追及、刑事告発、自民党離反の可能性もあります。

それについては、高橋洋一氏が、あるサイトのコラムで指摘していましたので、その記事のURLを以下に掲載します。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、要旨だけ以下に掲載させていただきます。
舛添都知事が火だるまだ。 
これまで、豪華な海外出張、公用車で週末に湯河原の別荘通いが報じられたが、さらに参議院議員時代に家族旅行とおぼしきものの費用まで政治資金収支報告書に計上していたことなどまで明るみになった。 
今年3月、都有地を韓国人学校のために貸し出すことが批判された。その当時、保育所問題がさかんに議論されており、「東京都は保育所より韓国を優先するのか」という批判だった。その背景にあったのが、舛添氏は、海外出張が多く、そのための経費が石原都知事時代に比べて多いというものだ。 
舛添氏の「都市外交」は、やりたくても、実行するための基盤ができていない。いずれにしても、地方自治体の長がどこまで外交もどきをやるのかということであり、豪華な海外出張を見直すといわざるを得なかったのは当然である。 
次に、4月に発覚した公用車での別荘通いだ。舛添都知事は、2015年度の1年間ほどで、神奈川県湯河原町にある別荘兼事務所に公用車で、ほぼ毎週、48回も都庁との間などを往復していたと報じられた。 
この、過去の二つの問題は、法令に反するものでなく、政治姿勢などの倫理的な問題であるので、遅ればせながらではあるが、見直しをすれば、批判は沈静化していくはずだった。 
しかし、政治資金の問題は、政治資金規正法にふれるかどうかという点で、前2件とは決定的に異なる深刻な問題だ。 
政治資金の支出について、政治資金規正法違反で刑事責任を問われた例は、おそらく過去にはない。 
しかし、昨今ではこの種の話は必ずと言ってよいほど、市民団体によって刑事告発される。捜査当局も、政治家が記者会見までしているので、市民団体の告発を受ければ無視することはできないかもしれない。 
記者会見では、誰に会ったかは言えないという方便ができても、捜査当局が事情聴取すれば、「会議」が実際にあったかどうかは、簡単にわかるだろう。 
政治的な見方からすれば、ポイントは、政治資金の使い方で今後さらに新たな問題が出てくるのかどうかという点だ。 
記者会見を踏まえて、(市民団体などが)刑事告発が行われるかどうか、また、都議会がどのように対処するのか、百条委員会(自治体の事務について疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するために設置される委員会)を設置するのかどうかである。 
7月上旬に参院選もあるので、都議会自民党や公明党が、世間からの批判の矛先がこちらに向くのを恐れて、舛添都知事に対する姿勢が一気に変わる可能性もあり、予断を許さない。そうなったら、舛添都知事はかなり危うくなるだろう。
都議会議員選挙は今年ではなく、来年になりますが、それにしても舛添知事が知事のままで、都議会議員選挙をむかえるとなると、都議会自民党や公明党にとってかなり不利になると考えられます。

もともと、舛添氏は自民党を脱党した人間ですから、そもそも都知事選に自公の公認にすると反対した自民党議員も大勢いますし、都議会自民党や公明党もそのような議員が多かったとされています。

さて、舛添知事に対する批判としては、上記のような観点ばかりではなく、経済学者の田中秀臣氏も経済政策の面から厳しい批判を行っています。その記事のリンクを以下に掲載します。
デフレとの闘いを辞めた舛添氏には即刻退場を求む!
田中秀臣氏
 舛添氏の税金を利用した都市外交などに伴う豪勢な消費は、経済学では「見せびらかしの消費」(誇示的消費)として知られるものだ。異能の経済学者、ソースティン・ヴェブレンが『有閑階級の理論』(1899年)に提示した考え方だ。この書籍の表題になっている有閑階級とは、自分は生産に一切貢献せずに、合法・非合法を問わず、自分の既得権益に基づいて、世間に対して影響力を与えようとする階級のことである。舛添氏のような政治的既得権(知事や国会議員などで得た収入や権力)を所持している人物は、ヴェブレンのいう有閑階級の代表といえるだろう。
 今の日本経済と東京都経済は、ここでも解説したように、消費増税の影響を特に強く受けてデフレ的な経済のままである。雇用状況は堅調であるものの、人々の名目所得の伸びは鈍く、税金が非常に重くのしかかっている。昔と同じ主張をもつのであれば、まず舛添氏がすべきは、無駄にしか思えない都市外交ではなく、政府に対する消費再増税凍結、むしろ消費減税の提案であろう。
 だが、そのような発想はない。これには理由がある。消費増税の一部分は地方消費税として東京都の財源にも組み込まれるうまみがあるからだ。この既得権を捨てるわけにはいかない。また冒頭でも解説した、都知事という社会的ステータスがもたらす「見せびらかしの消費」もこのデフレ的経済の中ではむしろ威力を発揮するものだ。簡単にいうと、舛添氏はそのデフレ経済との戦いという初心を失ったのだろう(もし初心というものが本気であったのならばだが)。いまの彼の行動や発言はすべてデフレ的経済の申し子そのものである。
 実は東京都には、デフレ的経済と闘う手段がある。例えば私はかつて、東京都で地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行するという提案をしたことがある。この地域通貨と、現在行われてる地域通貨と決定的に違うのは、これを取得したものは一定期限に利用しないと事実上のペナルティ(追加の増税)を受けることにある。最寄りの地方自治体の窓口に行き、この「日付け貨幣」を受け取った者(希望者に限定する)は、一定の期間に消費してしまわないと、むしろ追加の税負担を要求されるのである。そのためこの追加の税負担を避ける目的で、「日付け貨幣」を得たものは積極的に消費する、という政策の枠組みである。これに類した政策の枠組みは多数ある。要はやる気の問題なのだ。
 東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献するだろう。だが、いまの東京都の現状では、むしろ低所得者層の状況を悪化させている消費増税の負担で、社会保障を充実しようという倒錯した形になってしまっている。そしてそれは東京都だけではなく、日本全体の縮図でもある。
 このようなデフレ的経済の申し子になった舛添氏には、一刻も早く都知事の座からの退場をお願いしたいというのが偽ることのできない私の意見である。
さて、このようなことから、批判のかなり多い舛添知事です。自ら辞任するのを決意するには、さらなる厳しい追求でもなければ、すぐにとはいかないと思います。

しかし、橋下氏が都知事候補として、参院都知事同時選挙ということになれば、確かに非常に良いことだと思います。

非常に良いことという中身は、上の記事のようにあるように、安倍自民党、都議会自民党や公明党にとって良いという意味と、他にもう一つあります。

それれは、橋下氏にとって良いということです。私自身は、橋下氏は地方の首長としては、申し分なく随分努力されたと思っています。

ただし、国政ということになると、一抹の不安がありました。それは、何かというと、国政と地方行政の大きな違いであるマクロ経済です。

確かに、橋下氏は大阪府知事としても、大阪市長としても努力されていたと思います。しかし、この努力どちらかというと、緊縮財政的な観点からでした。府として、入ってくるお金は決まっているのですから、それに対して、予算の切り詰めを行うのは知事として当然のことだと思います。

だから、その面では評価します。無論無駄な経費を切り詰めることは、本当に重要なことです。ただし、国政はそれだけでは通用しません。

金融や、財政など地方自治体の首長のようにしかみられなければ、とんでもないことになります。家庭の主婦的な感覚で、切り詰めばかりに走れば、デフレ傾向に拍車をかけるだけになります。

さらに、国政となれば、金融と雇用とは密接に結びついてるということも、理解しなければなりません。そうして、金融緩和をすることにより雇用状況が良くなることを理解する必要があります。さらに、デフレのときには、金融緩和と積極財政をしなければならないというマクロ経済の基本中の基本を知らなければなりません。

実は、このことを全く知らない国会議員は大勢います。民進党などの野党では、理解している人はほんの一握りです。自民党でも、安倍総理とそのブレーンの方々のうち、稲田政調会長等を除いて他の人くらいは理解していますが、それ以外というとほんの一人握りです。



橋本氏は、国政に参加したことがないので、この点に関してはあまり明るくないと思います。実際、過去の経済に関する発言は、あまりマクロ経済政策を意識しているとは思えないことが多かったように思います。そのため、私は前から、今のままの橋下氏であれば、国政には参加しないほうが良いと思っていました。

橋下氏が大阪府知事首長時代に、上記の田中秀臣氏が提案しているような、地域通貨を大阪府で発行し、大阪府のデフレから脱却をはやめるというようなことは実施していませんでした。

もし、橋下氏が東京都知事になったとして、旧来のように緊縮だけではなく、田中秀臣氏のいうような、地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行して、東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献することができるでしょう。

これは、都が行うといことから、国の積極財政や金融緩和政策とは異なります。しかし、東京都のGDPは韓国と同程度です。さらに、地域通貨を発行することから、都内で擬似的に、金融緩和策と積極財政を擬似的に行うことができます。

特に、雇用に関してはかなりのことができそうです。在任中に実施すれば、東京オリンピックの頃にはかなり景気が良くなることになります。そうなると、都財政もかなり充実しますから、保育園の問題なども全国に先駆けたモデル的な事業を展開できます。いや、それどころか、マクロ経済政策における優良モデルになり、社会・経済活動が活発化して、様々な社会事業の魁となることも十分考えられます。

こうした東京都の繁栄は、大阪都構想の推進にも大きな影響を与えることとなります。さらには、道州制にも影響を与えるかもしれません。

こうすることによって、橋下氏は、マクロ経済政策の金融政策や積極財政を実地で学ぶことができます。その後に、国政入りすれば、マクロ経済音痴の他の国会議員にはできなかったような様々な政策に取り組むことができるようになると思います。

もし東京都知事になることができたら、有象無象の政治家や、経済学者などと親交を深めるではなく、高橋洋一氏や、田中秀臣氏、片岡剛司氏、村上尚己、上念司氏(頭に浮かんだ人を掲載しました。他にもまともな方々は随分いらっしゃいます)などのまともにマクロ経済を知っている人たちと親交を深めるべきでしょう。東京にはそうした人材が集中しています。

もし、橋下氏が東京都知事になり、地域通貨を発行し、金融緩和策、積極財政の真髄を東京都で学び、その後の国政に参加した場合かなり有能な政治家になると思います。しかし、もしこのプロセスを欠いた場合には、凡庸な政治家になり、かつての輝きを再び発揮することはないでしょう。

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2015年4月9日木曜日

「国立大で国旗、国歌を」首相、入学式などで―【私の論評】「筋」を通し、「けじめ」をつける社会にするためには、まずは国立大学から国旗・国歌を(゚д゚)!


予算案が可決、成立し、一礼する安倍首相=9日午後
安倍晋三首相は9日の参院予算委員会で、国立大の入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱に関し「税金によって(運営が)賄われていることに鑑みれば、教育基本法の方針にのっとって、正しく実施されるべきではないか」との認識を示した。同時に「学習指導要領がある中学、高校ではしっかり実施されている」と強調した。

次世代の党の松沢成文氏が、国立大での実践例がほとんどないと指摘したのに対し答弁した。

松沢氏は「各国立大に実施するよう指導すべきだ」と下村博文文部科学相に要求。下村氏は「各大学で、適切な対応が取られるよう要請していきたい」と述べた。

【私の論評】「筋」を通し、「けじめ」をつける社会を復興するため、まずは国立大学から国旗・国歌を(゚д゚)!

ここ数日、マスコミを賑わせた例の上西議員について、このブログでも掲載して、「筋」を通して「けじめ」をつけることのできない国会議員がでてきたことについて、いろいろと掲載してきました。

このようなことは、2年ほど前にもありました。2013年3月22日の参院予算委員会で、安倍晋三首相が、ヤジを続けていた民主党の小西洋之氏に対し「うるさいから黙ってもらえますか。 小西さん。子供みたいですよ」と指を指して自粛を求める一幕がありました。

小西氏のヤジは、自民党の憲法改正草案の条文解釈をめぐって議論がヒートアップしていた最中でした。

首相は「指を指さないと分からなかった」と説明。議事を進行する石井一予算委員長が「委員会の気分が緩んでいる。 閣僚席も委員席も私語はやめてください」と一喝すると、騒然としていた議場は静まり返りました。

首相は3月29日の予算委で、憲法の条文に関して細かい質問を続けた小西氏に対して
「クイズのような質問は生産的ではない」とたしなめた経緯がありました。



三馬鹿元首相もこのようなことができないのですから、このような首相を許容した社会にも問題があり、とうとう小西議員や上西議員のような国会議員が出てきてしまったのです。

その背景として、戦後のGHQのWGIPにより、日本人が洗脳されてしまい、日本は悪、欧米の戦勝国は善という刷り込みを受けたなかで、戦前からある価値観がことごとく破壊されてきたということが大きかったと断じました。

「筋」を通し、「けじめ」をつけるということは、社会人として、当然のことであり、これは戦前であろうが、戦中であろうが、戦後であろうが、当たり前のことです。しかし、この当たり前のことができない人が、巷に溢れ、挙句の果てに国会議員や、元総理大臣のなかにもそのような人がいることは実になげかわしいことです。

ここで、もう一度日常生活でも、職場でも、不可欠な「けじめ」と「筋を通す」ことについて考えてみましょう。こんなことは、本来このブログにも何やら上から目線のようでもあり、それに本来はこんなことは学生や新社会人に言うべきことなのですが、敢えて以下に述べてみます。

社会で生きていく上は勿論のこと、日常生活でも、仕事をする上でも「けじめ」は、なくてはならない大切なことです。それは、人としての「礼・義」を示すことであり、「筋を通す」、「誠実さ」を表すことでもあります。

これは、人から愛されたり、尊敬されたり、親しまれるために、私生活で信用、信頼され、職場では、キチンと円滑に業務を行い信頼され期待される人となるために必要です。

自らの立場を弁え(わきまえ)、人として確り(しっかり)とした「精神の指標」(=筋)を弁えた上で「言うべき時か、否か」や「正しい・良し悪し」の判断をし、「言うべきことは言う」、「言うべき時には言う」
をすることが「けじめ」であり人として「筋を通す」ことです。

それには、先ず、社会や職場の ルールをキチンと守ること。また「良いことは良い、悪いことは悪い」と判断し、「出来ない時は出来ない、出来る時には出来る」などの、「けじめ」や「筋を通す」ことを心掛けることです。

そうして行く中で、何が良いのか、何が悪いのかが、少しずつ理解出来て来ます。そうして同時に、正しい判断の仕方や決断力が身に付くようになります。

大切な人に接する時の心構えに、「けじめ」と「筋を通す」ことが有ります。「けじめ」とは、“今は、何をする時か?”をよく考えてすることを指しています。たとえば、お葬式のときに、「ニタニタ」してはいけないなどは、その典型的な例です。「筋を通す」とは、“道理にかなうようにする。物事の首尾を一貫させる。”ことです。

人は、「和」を大切にする余り、「けじめ」を忘れたり、人として「筋を通す」ことをから逃避してしまう場合もあります。よほど悟った人でない限り、人間は放っておくと、楽で安易な方に流れてしまいます。中途半端な考えから「和」を実践しようとすると、人間関係が乱れてしまいます。

必要特定の人に対し、大局から見て「けじめ」をつけること、人としての「筋を通す」ことは、長い時間の流れから見て、人間が性善であることの表れと言えます。

先にあげた、お葬式の時に、「ニタニタ」してはいけないなどということは、当たり前のど真ん中のように思われるでしょうが、これは非常にわかりやすい例です。

しかし、国の教育機関である、国立大学などが、入学式で国旗掲揚、国歌斉唱が執り行われていないという事実があります。これは、そもそ国立大学が、国立であることを考えれば、国の教育機関としては、落第です。

これを国が義務化したとすれば、国立大学として、義務とし実行すべきです。そうして、国旗掲揚や、国歌を斉唱することに忌避感を持つ方々は、間違いなく、自虐的歴史観の呪縛にとらわれています。



日本国の教育機関である国立大学がこの有り様ではとんでもないことが起こってしまうのも無理はありませんでした。その顕著な例として、忘れもしない、民主党が政権交代をして、鳩山総理が、新しい内閣を組閣したとき、各大臣が記者会見したときに、会見場に設置してあった日章旗に鳩山首相などほんの数名だけが、登壇の際に挨拶をして敬意を示ていましたが、他のほとんどの閣僚がそれをしませんでした。

この記者会見、私はテレビで見ていましたたが、あの様は異様であり、民主党政権とはこんなものかと思いました。そうして、これは大変なことになったと思いました。ある自衛隊の元幹部の人は、あれを見て、「こんな奴らのために、国を守るのかと思うと情けない」と言い放っていました。

日の丸を背負って戦った澤穂希
そうして、案の定民主党政権の三年間は、何もできず、何も決められず漂流していたというような有り様でした。しかし、これは私の予想通りでした。というのも、私は会社でキチンと挨拶のできる新人は、その後期待通りの活躍をしてくれるのですが、そうではない新人はほんどが挫折することを経験的に知っていたからです。

無論、きちんと挨拶ができる新人が、入社十年後、二十年後までも全員がキチンと仕事ができるなどとはいいません、そこに至っては、挨拶以上のものもあるからです。しかし、入社して数年間では、挨拶がキチンとできる新人は即戦力になるという傾向が強く、そうではない新人は、挫折するか、即戦力になるまで相当苦労するというのは事実です。

これは、やはり挨拶がコミュニケーションの第一歩であるということがあるのだと思います。そうして、挨拶にも様々な段階があります。最初は、当たり前の挨拶を元気にできるだけでも良いのですが、その時々で間のとり方や、表情、態度などで、挨拶によってかなりのことを相手に伝えることがてきます。ここまでできるようになるには、意図して意識して練習して場数を踏んでようやっとできるようになります。

ここまでくると、普通の組織では、管理職はもとより、それ以上も目指すことができるようになっているものです。挨拶を馬鹿にする人には、そのような機会は訪れません。

新人の挨拶

記者会見などで、登壇する際に、壇上に国旗が配置してある場合、これは組閣記者会見などでなくても、国旗に会釈して敬意を示すのでは日本では当たり前のこととされています。国旗を掲揚するとか、国歌を斉唱する、国旗に敬意を表するという行為は、それ自体がコミュニケーショでもあるのです。

コミニケーションに問題のある人は、当然仕事も支障がでるはずです。それは、新人でも、議員でも、閣僚、総理大臣いや、社会人にはあてはまる現実です。

荒川静香さんはなぜ最後のオリンピックのウィニングランで日章旗を手にしたのか

しかし、これができない閣僚が多数存在したというのは、本当にショックでした。こういう人たちが、海外に行ったら他国の国旗や、権威の象徴などにどのような態度をとるのだろうと思い、忸怩たる思いがしました。

閣僚や国会議員なども、国旗に敬意を表することもできない人たちは、新人がまともな挨拶ができないのと同じようなもので、やはりまともに仕事はできないのだとつくづく思いました。

今後、こういう馬鹿な閣僚や、その他にも「筋」を通して、「けじめ」をつけられない、首相や議員をこれ以上出さないように、またそのような閣僚や、議員を許容する社会を醸成しないためにも、まずは国立大学から、国旗掲揚、国歌斉唱などを実行するようにしていくべきです。それも、ただ掲揚する斉唱するというだけではなく、その意味を新入生認識させながら実施するということが肝要です。

天皇皇后両陛下は、本日パラオ・ペリリュー島をご訪問され、献花をされました。戦後七十年の節目にあたって、素晴らしい「筋」の通し方と、「けじめ」のつけ方だと思います。

「筋」を通して、「けじめ」をつけるということが希薄となってしまった今の社会、これはそのまま放置できません。それこそ、どこかで「筋」を通して「けじめ」をつけて、まともな社会に復興していかなければなりません。これは、東日本大震災からの復興にならんで、今の日本では重要な事柄であると思います。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2015年3月22日日曜日

首相 防衛大卒業式で訓示「安保法制整備進める」―【私の論評】時代が変わった!防大卒業式第一回目の訓示は吉田首相による「日陰者」発言だった!このような理不尽は二度と繰り返すな(゚д゚)!



安倍総理大臣は、神奈川県横須賀市にある防衛大学校の卒業式で訓示し、「不戦の誓いを­現実のものとするためには決然と行動しなければならない」と述べ、集団的自衛権の行使­を可能とすることなどを含む、安全保障法制の整備を着実に進めていく考えを示しました­。

この中で、安倍総理大臣は「戦後、わが国は、ひたすらに平和国家としての道を歩んでき­た。しかし、それは平和国家ということばを唱えるだけで実現したものではない。日米安­全保障条約の改定、国連PKOへの参加など、果敢に行動してきた先人たちの努力のたま­ものだ」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「行動を起こせば批判にさらされる。過去においても『日本­が戦争に巻き込まれる』といった、ただ、不安をあおろうとする無責任な言説が繰り返さ­れてきた」と指摘しました。

そのうえで、安倍総理大臣は「大量破壊兵器の拡散やテロの脅威など、国際情勢は絶えず­変転している。不戦の誓いを現実のものとするためには、先人にならい決然と行動しなけ­ればならない」と述べ、集団的自衛権の行使を可能とすることなどを含む、安全保障法制­の整備を着実に進めていく考えを示しました。

ことしの防衛大学校の卒業生は、留学生を除いて472人で、このうち任官を辞退したの­は25人でした。

【私の論評】時代が変わった!防大卒業式第一回目の訓示は吉田首相による「日陰者」発言だった!このような理不尽は二度と繰り返すな(゚д゚)!

安倍総理の防衛大学卒業式における訓示の内容は以下のとおりです。
 本日、伝統ある防衛大学校の卒業式に当たり、今後わが国の防衛の中枢を担う諸君に対し、心からのお祝いを申し上げます。 
 卒業おめでとう。 
 諸君の礼儀正しく誠にりりしい姿に接し、自衛隊の最高指揮官として大変頼もしく大いに誇りに思います。本日は、卒業生諸君が幹部自衛官として新たな一歩を踏み出す、門出の日でありますので、一言申し上げたいと思います。 
 その日のガダルカナル島には、70年前と同じように雲1つなく、強い日差しが降り注いでいたそうであります。昨年秋、練習艦「かしま」のタラップをのぼる諸君の先輩たちの胸には、かの地で収容された137柱のご遺骨がしっかりと捧持(ほうじ)されていました。そして、ご遺骨に無事祖国へのご帰還いただく。今回の練習航海ではその任務に当たってくれました。
海自艦でガダルカナル島から帰国した遺骨
(2014年10月24日午前10時36分、東京都中央区の晴海ふ頭で)
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 遠い異国の地において、祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場で倒れられた多くの尊い命。そのご冥福を、戦後70年という節目の年に幹部自衛官への道を踏み出す、諸君たちとともにお祈りしたいと思います。そして、こうした尊い犠牲の上にわが国の現在の平和がある。そのことを私たちは改めて深く胸に刻まなければなりません。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。私たちにはその大きな責任があります。

戦後、わが国はひたすらに平和国家としての道を歩んできました。しかし、それは「平和国家」という言葉を唱えるだけで実現したものではありません。自衛隊の創設、日米安保条約の改定、そして国連PKO(平和維持活動)への参加。国際社会の変化に向き合い、憲法が掲げる平和主義の理念のもと、果敢に行動してきた先人たちの努力のたまものである。私はそう考えます。 
 「治に居て、乱を忘れず」 
 自衛隊、そして防衛大学校の創設の父でもある吉田茂元首相が防大1期生に託した言葉であります。昨日までの平和は明日からの平和を保障するものではありません。大量破壊兵器の拡散や、テロの脅威など国際情勢は私たちが望むと望まざるとに関わらず絶えず変転しています。 
 不戦の誓いを現実のものとするためには私たちもまた先人たちにならい、決然と行動しなければなりません。いわゆるグレーゾーン(事態)に関するものから集団的自衛権に関するものでまで、切れ目のない対応を可能とするための法整備を進めてまいります。 
 行動を起こせば批判にさらされます。過去においても日本が戦争に巻き込まれるといった、ただ不安をあおろうとする無責任な言説が繰り返されてきました。しかしそうした批判が荒唐無稽なものであったことは、この70年の歴史が証明しています。 
 「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」 
 この宣誓の重さを私は最高指揮官として常に心に刻んでいます。自衛隊に与えられる任務はこれまで同様、危険の伴うものであります。しかし目的はただ1つ。全ては国民の命と平和な暮らしを守り抜くため。そのことにまったく変わりはありません。 
 その強い使命感と責任感を持って、これから幹部自衛官となる諸君には、それぞれの現場で隙のない備えに万全を期し、国防という崇高な任務を全うしてほしいと思います。 
 東日本大震災をはじめ相次ぐ自然災害のたびに自衛隊は昼夜を分かたず、また危険を顧みず、救助活動にあたってきました。自衛隊に対する国民の信頼は、今や揺るぎないものとなっています。 
2011年4月11日、宮城県気仙沼市で津波の被害者に黙とうをささげるため整列する自衛隊員
 「軍事力は戦うためだけのものである」という発想は、もはや時代遅れであります。災害救援に加えて、紛争予防、復興人道支援。あらゆる機能を備えた軍事力の役割は、国際社会において大きく広がりつつあります。 
 24年前、ペルシャ湾における掃海活動から、自衛隊の国際協力活動の歴史は始まりました。湾岸戦争で敷設された1200個もの機雷がわが国にとって死活的な原油の輸送を阻んでいました。 
 「『爆破成功』の声で、世界は日本の存在を知った」 


 派遣された隊員の言葉からは、当時の誇らしげな気持ちが伝わってきます。気温50度にも及ぶ厳しい環境、それも海の中では石油パイプラインが縦横に走る、緻密さが要求される現場で、3カ月以上にわたり稼働率100%。自衛隊の高い士気と能力を、見事に世界に示してくれました。 
 内戦によって傷ついたカンボジアでは、初のPKO活動に臨みました。自衛隊が作った道路や橋が平和を取り戻し復興するための大きな力となったことは間違いありません。部隊が(カンボジアの)タケオの町から撤収する日には、感謝し、別れを惜しむ現地の皆さん、大勢の子供たちで沿道はあふれていたそうであります。 
カンボジア・タケオ市で、地元市民の協力を
得てPKO活動を行う自衛隊員(1992年10月8日)
 今この瞬間も自衛隊は灼熱のアフリカにあって、独立したばかりの南スーダンの自立を助けるため、PKO活動にあたっています。 
 (南スーダン首都)ジュバの町で自衛隊員が通う病院。その運営はカンボジアのPKO部隊が行っています。内戦から復興したカンボジアは今、PKO活動に積極的に参加し、ともに汗を流すパートナーとなっています。その隊長が現地の自衛隊員にこう語ってくれたそうであります。 
 「UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)での日本の活躍は母国カンボジアの人々の記憶に今も鮮明に残っている。このカンボジア病院も本当は誰よりも日本人に使ってほしい。私たちは日本人のためならば24時間いつでも診療する用意がある」 
 これまでの20年以上にわたる自衛隊の国際協力は間違いなく世界の平和と安定に大きく貢献している。大いに感謝されている。私は自信を持ってそう申し上げたいと思います。そしてのべ5万人にのぼる隊員たちの揺るぎない使命感と献身的な努力に心から敬意を表したいと思います。 
 海の大動脈アデン湾における海賊対処行動では本年5月、戦後初めて自衛隊から多国籍部隊の司令官が誕生します。これはこれまでの自衛隊の活動が国際的に高く評価され信頼されている証に他なりません。 
アデン湾を航行する貨物船(奥)と警戒監視活動を行う自衛隊P-3C哨戒機
 世界が諸君に大いに期待しています。世界が諸君の力を頼みにしています。その誇りを胸に自衛隊にはより一層の役割を担ってもらいたいと思います。 
 本日ここにはインドネシア、カンボジア、タイ、大韓民国、東ティモール、フィリピン、ベトナムそしてモンゴルからの留学生の皆さんもいらっしゃいます。言語や習慣の異なる中での生活、学びの日々は、大変なものであったと思いますが、この日を迎えられたことを心からおよろこび申し上げます。 
 それぞれの母国に戻ってからも、どうか、この(防衛大学校の所在地である横須賀市の)小原台で培った絆を大切にしてほしい。皆さんの母国とわが国との防衛協力を、さらに発展させていくため、皆さんの活躍を期待しています。 
 そして日本は、皆さんの母国をはじめ、国際社会と手を携えながら戦後70年を機に積極的平和主義の旗を一層高く掲げ、世界の平和と安定に、これまで以上に貢献していく覚悟であります。 
 南太平洋に浮かぶパラオ・ペリリュー島。この美しい島は、70年前の大戦において1万人を超える犠牲者が出る激しい戦闘が行われた場所であります。守備隊長に任ぜられた中川州男(くにお)中将は本格的な戦闘が始まる前に1000人に及ぶ島民を退避させその命を守りました。いよいよ戦況が悪化すると部下たちは出撃を強く願いました。しかし、中川中将はその部下たちに対してこのように語って生きて持久戦を続けるよう厳命したそうであります。 
ペリリュー島守備隊長に任ぜられた中川州男(くにお)中将
 「最後の最後まで務めを果たさなければならない」 
 諸君の務めとは何か。それは二度と戦争の惨禍を繰り返さない。そのために自衛隊の中核を担う幹部自衛官として常日頃から鍛錬を積み重ね隙のない備えに万全を期することであります。そしていかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くことであります。 
 私は諸君の先頭に立ってこの責務を全うする決意であります。どうか諸君におかれても全身全霊をかけてこの国民への務めを果たしてほしいと願います。 
 ご家族の皆様。皆様の大切なご家族を隊員として送り出していただいたことに自衛隊の最高指揮官として感謝に堪えません。 
 皆こんなに立派な若武者へと成長いたしました。これは防衛大学校での学びの日々だけでなく、素晴らしいご家族の背中を彼らがしっかりと見て育ってきた。その素地があったればこそだと考えております。本当にありがとうございます。大切なご家族をお預かりする以上、しっかりと任務を遂行できるよう万全を期することをお約束いたします。 
防衛大卒業式で訓示する安倍晋三首相
 最後となりましたが、学生の教育に尽力されてこられた国分(良成)学校長をはじめ、教職員の方々に敬意を表するとともに、平素から防衛大学校にご理解とご協力をいただいているご来賓、ご家族の皆様に心より感謝申し上げます。 
 卒業生諸君の今後のますますの活躍、そして防衛大学校の一層の発展を祈念して私の訓示といたします。
防衛大学校の卒業式で、高々と帽子を投げ上げる卒業生たち

以上の安倍総理の訓示。特に論評を付け加えることもない素晴らしい内容だったと思います。過去の先達の話もあり、まさに戦後70年を迎えた今年にふさわしい内容です。

安倍総理の今回の訓示は以下の3点に集約されます。

「平和を唱えるだけでは実現しない」

「戦争に巻き込まれるとの言説は荒唐無稽」

「諸君の務めとは二度と戦争の惨禍を繰り返さないために備えに万全を期すること」

すべて当然のことであり、このどれ一つが欠けても、日本の平和と安定を保つことは困難になります。当たり前といえば、当たり前なのですが、これができなかったどころか、発言すらできなかったのが過去の日本です。

日本の総理が、旧軍のガダルカナルの遺骨帰還やパラオ・ペリリュー島の戦いを、防衛大学校卒業式で言及するなどということは従来は考えられなかったことです。時代の変化が感じられます。

吉田茂総理の自衛隊「日陰者」発言も今や過去のことです。ちなみにこの発言を以下に記載します。
「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。」 
(吉田茂 昭和32年2月、防衛大学第1回卒業式にて)
昭和32年2月防衛大学校第1回卒業式似て訓示をする当時の吉田首相
日本を守る最前線に就こうとする人たち、日本以外の国ではエリートと目される人たちに、このようなことを言わなければならなかった当時の吉田首相も、何もこのようなことを言いたくて言ったのでないと思います。まさに、戦争に負けたばかりの、当時の日本の世相や空気がそうさせたのだと思います。

ただし、私としては、たとえそうであったとしても、このような発言はしていただきたくはなかったです。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今の日本は70年前の日本とは異なります、自分の仕事に誇りを持って二度と戦争の惨禍を繰り返さないために備えに万全を期していただきたいです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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