検索キーワード「トランプ ウクライナ 原潜」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示
検索キーワード「トランプ ウクライナ 原潜」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示

2025年6月21日土曜日

中東危機と日本の使命:世界の危機の連鎖を打ち破れ

 まとめ

  • 中東危機:2025年6月、イスラエルがイランを空爆。原油15%急騰。イランは原油4%を供給、ホルムズ海峡封鎖で混乱。報復ミサイルがハイファ港を襲う。日本は中東原油90%依存。物価高でGDP0.6%減。試練である。
  • ロシアとウクライナ:原油高でロシアの戦争資金増。イランのドローン供給途絶。ウクライナへの関心薄れ、トランプがゼレンスキー会談キャンセル。ロシアにとって有利。
  • 米国の限界とクアッド:米国はイスラエル支援も二正面作戦は無理。トランプはイラン介入に揺れる。クアッドは中国牽制。日本は台湾海峡監視、米国は海軍力、インドはインド洋監視、オーストラリアはフィリピン支援。2025年演習で結束。
  • 日本の覚悟:6月12日、護衛艦「たかなみ」が台湾海峡通過。中国挑発に対抗。国際法を守り、同盟固める。米国は防衛費3.5%要求。原潜購入、F-35進化、艦艇にSMR搭載で未来を開く。
  • 日本の使命:原発再稼働で電力30%回復。LNG増。イラン核協議支持、G7対話主導。自衛艦台湾海峡通過常態化、クアッド演習拡大。ウクライナにLNG供給。ガソリン補助で日本経済守る。SMRで2030年実用化。原油高はロシアを利し、台湾を危険に晒す。「たかなみ」は日本の魂だ。クアッドで中国封じ、原発・原潜・F-35・SMRで立ち上がる。日本は危機の連鎖を打ち破り、アジアの希望となる。世界を変えるだけの潜在能力を有する。
原油高騰と戦火の連鎖

16日イスラエルがイランを空爆

2025年6月、イスラエルがイランの核施設と軍事基地を空爆。原油価格は15%急騰した。イランは世界の原油4%を握り、ホルムズ海峡の封鎖をちらつかせる。イランの400発のミサイルがイスラエルを襲い、ハイファ港が炎上。この混乱はロシアに力を与える。原油収入が15%増え、ウクライナ戦争の資金が膨らむ。だが、イランのドローン工場が壊滅し、ロシアの武器供給に暗雲が立ちこめる。米国はイスラエルを支えるが、大規模な二正面作戦をに戦えない。トランプはイラン介入を迫られるが、反戦派が猛反発。中東の火はウクライナを苦しめ、台湾に影を落とす。中国は米国の隙を狙い、海軍演習で台湾海峡を挑発。日本は中東から原油の90%を輸入。物価高で国民が苦しみ、GDPは0.6%減の予測だ。この危機は日本の試練である。

日本の覚悟とクアッドの力


日本は黙っていない。6月12日、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が台湾海峡を堂々と通過。中国の空母演習への答えだ。この行動は日本の誇りである。国際法を守り、中国の横暴を許さない。米日同盟を固め、台湾やASEANに信頼を示す。米国が中東に縛られる今、日本の旗は希望の光だ。

Quad(日本、米国、インド、オーストラリア)は中国の脅威を封じる。日本はP-1哨戒機で台湾海峡を監視。米国はP-8哨戒機と海軍力で中国の潜水艦を牽制。インドはインド洋で中国の動きを監視し、情報共有を強化。オーストラリアはフィリピンの防衛を支援し、南シナ海で演習を拡大。2025年には日本とインドの海保当局が連携訓練 米豪も視察、意見交換もおこなった。クアッド(日本、米国、インド、オーストラリア)の「宇宙協力法案」(Quad Space Act of 2025)は、2025年6月に米上院議員ケビン・クレイマーとマイケル・ベネットが提出。中国やロシアの宇宙進出に対抗し、インド太平洋の安定を確保する。Quadはさらに結束を固める。


米国は日本に防衛費をGDP比3.5%に増やすよう迫る。現在の1.6%(8.7兆円)から倍増だ。重荷ではない。日本の未来を切り開く鍵だ。米国からバージニア級原潜を買えば、さらにASW(Anti Submarine Warefare:潜水艦戦)能力を高められ、タンカーの航路を守ることができる。F-35の計画全納入数147機を国産ミサイルで進化させる。さらに将来は小型モジュル炉(SMR)を潜水艦や艦艇に積み、レーザー兵器を、レールガンなどを実用化すべきだ。無論民生用にも活用する。

日本の使命:世界を変える

日本は危機を力に変えるべきだ。エネルギー防衛を固める。再生可能エネルギーの幻想を捨て、原発の早期再稼働に舵を切る。福島事故後の停止で電力の30%を失ったが、最新の安全基準で再稼働すれば、中東依存を減らし、安定供給を確保できる。北米やオーストラリアのLNGを増やし。外交ではイラン核協議を支持し、G7で対話を主導。台湾海峡では自衛艦の通過を常態化。2025年のクアッド演習を拡大し、中国を牽制。ウクライナにLNGを供給し、2024年の20億ドル支援を続ける。ガソリン補助を延長し、GDP押し下げを0.3%に抑える。SMR研究を米国と始め、2030年実用化を目指す。米国の3.5%要求に応じつつ、原潜やF-35で日本の主体性を確保。


原油高騰はロシアを利し、ウクライナを苦しめる。米国の限界は台湾を危険に晒す。だが、「たかなみ」の通過は日本の魂だ。クアッドは中国の野望を封じる。原発を再び動かし、原潜、F-35、SMRで日本は立ち上がるのだ。エネルギー、外交、軍事、経済の全てで、世界の火薬庫を断ち切る。日本は試練を跳ね返す。アジアの希望となり、世界を変えるのだ。日本の誇りが未来を切り開く。それだけの潜在能力を日本は有している。

【関連記事】

日本の護衛艦が台湾海峡を突き進む!中国の圧力に立ち向かう3つの挑戦と今後の戦略 2025年6月20日

トランプのイラン強硬策:核危機と中東の命運を賭けた対決 2025年6月18日


2025年4月21日月曜日

〈提言〉トランプ関税にどう対応すべきか?日本として必要な2つの分野にもっと支出を!—【私の論評】トランプ関税ショックの危機をチャンスに!日本の柔軟な対応策と米日協力の未来

〈提言〉トランプ関税にどう対応すべきか?日本として必要な2つの分野にもっと支出を!


原田 泰( 名古屋商科大学ビジネススクール教授)
まとめ
  • トランプ大統領の相互関税政策は世界経済を揺らし、株式市場の下落とドルの下落を引き起こすが、政策は一貫性がなく影響が不透明。
  • 製造業を米国に戻す意図は理解できるが、造船業や半導体産業の衰退と戦略不在により、関税政策だけで復活は困難。
  • 日本は関税ショックに備え、給付金(1人5万円、総額約6.35兆円)や減税を検討するが、関税の詳細不明で議論は停滞。
  • 輸出額21.6兆円に24%関税が課されると仮定すると、約5.3兆円(GDPの1%弱)の需要減が発生し、一律給付金や減税が有効な対策とされる。
  • 防衛装備増産や老朽インフラ整備など必要性の高い投資を優先し、特定産業への補助金は産業構造転換を遅らせるリスクがある。
各国との相互関税に関する説明をするトランプ大統領

 トランプ大統領の相互関税政策により、世界経済は大きく揺れ、株式市場は下落と反発を繰り返し、ドルも下落している。トランプ氏は高関税を掲げる一方で、特定の製品への関税を免除したり延期したりと政策が場当たり的で、実際の影響は不透明だ。米国への輸出品に24%の関税が課されると仮定すると、日本からの輸出額約21.6兆円(2024年)が影響を受け、約5.3兆円の需要減(GDPの約1%)が発生する可能性がある。

 トランプ氏の目指す製造業の米国回帰は、歴史的に米国が第二次世界大戦で兵器供給の中心だったことを考えると理解できる。しかし、造船業や自動車、半導体産業が衰退した現状では、武器や軍服すら国内生産が難しい。包括的な戦略や同盟国との分担計画が見られず、朝令暮改の関税政策では製造業の復活は困難とされる。

 日本は関税ショックに備え、1人あたり5万円の給付金(総額約6.35兆円)や消費税減税、ゼロゼロ融資の復活など景気刺激策を検討中だ。しかし、関税の詳細が不明なため、議論は収束しつつある。特定産業への補助金は産業構造転換を遅らせるリスクがあり、恒久的な関税なら尚更問題だ。一方で、一律給付金や減税は需要ショックへの一般的な対策として有効だ。

 さらに、防衛装備品の増産や老朽インフラの整備など、必要性の高い分野への投資が推奨される。防衛装備は国産と同盟国からの輸入のコスト比較やウクライナ戦争の教訓を反映すべきだ。インフラ整備は限界を認め、必要な部分に集中投資する。また、ミサイルや戦闘機を守る施設の建設は公共事業として既存予算を再配分できる。

 トランプ関税の影響がどうなるかはまだ分からないから、どう対応すれば良いのかが分かるはずがない。しかし、影響が需要ショックであることは確かだから、需要ショック対策の準備はしておいた方が良い。

 ショックを受ける産業に個別に対応するより、減税や給付金などの一般的な対応が望ましい理由もある。また、軍備の増強、老巧インフラの立て直しなど、どうせ必要なことを早めに進めるという方策もある。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】トランプ関税ショックの危機をチャンスに!日本の柔軟な対応策と米日協力の未来

まとめ
  • トランプ関税の不確実性により具体的な対策は困難だが、需要ショックが予想されるため、一律給付金や減税、防衛・インフラ投資などの一般的な対応を準備し、経済の安定と長期強化を図るべきである。
  • 日本はトランプの貿易不均衡是正要求に応え、攻撃型原潜購入、エンタメ企業買収、大学投資で協力姿勢を示し、関税リスクを軽減しつつ米日関係を強化する。
  • 関税ショックは日本や他国の長年の問題解決の契機となり得るため、報復関税を避け、柔軟な対応で米中対立を静観しつつ、経済改革のチャンスと捉えるべきである。
需要ショックとは、経済全体や特定市場で商品・サービスの需要が急激に増減する現象だ。政策変更や自然災害、関税導入といった外部要因が、消費者や企業の購買行動を一変させる。需要が減れば、企業の売上が落ち、生産や雇用が縮小し、経済成長が鈍る。逆に需要が増えれば、供給不足や価格高騰を招く。トランプ関税の場合、輸出品の価格上昇で需要が減少し、経済にマイナスの需要ショックが予想される。

トランプ関税の具体的影響は予測不能

トランプ関税の展開は予測不能だ。どの産業が、どの程度影響を受けるのか、誰も見通せない。具体的な対策を今打つのは難しい。しかし、関税が需要ショックを引き起こすことは確実だ。だからこそ、一律の給付金や減税といった一般的な対策を準備すべきだ。さらに、防衛装備の増産や老朽インフラの整備など、必要不可欠な分野への投資を優先し、経済への打撃を和らげつつ、長期的な国力強化を図る。これが核心だ。関税の不確実性に振り回されず、広範で柔軟な対応が求められる。

トランプは米国の貿易赤字(2024年で1.2兆ドル)を問題視し、是正を掲げる。日本は同盟国として協力姿勢を示し、関税リスクを軽減する必要がある。攻撃型原潜の購入、エンタメ企業の買収、大学への投資は、米国の輸出を増やし、米日関係を強化する有効な手段だ。これらは需要ショック対策を補完し、トランプの「相互的貿易」の要求に応える。

米海軍の原子力潜水艦「オハイオ」の後部デッキに上面にある巡航ミサイル「トマホーク」の発射口

原潜購入は米国の防衛産業を支え、米日同盟を固める。日本のF-35購入(230億ドル)やAUKUSの原潜計画(30億ドル)は成功例だ。財政負担や米国の生産制約が課題だが、トランプの経済強化の目標に直結し、関税交渉を有利にする。エンタメ企業の買収は、米国のサービス輸出(2023年黒字2780億ドル)を拡大する。ソニーのコロンビア買収(1989年、34億ドル)は米コンテンツ輸出を増やした好例だ。中規模企業への投資なら、米国の投資審査(CFIUS)を回避しつつ、シナジーを生む。

大学への投資は、米国の教育サービス輸出(2023年450億ドル)を支援する。特に、リベラル系大学への公的支援縮小(例:2024年ハーバード大学の連邦資金削減議論)で、投資の可能性が広がっている。韓国のサムスンの研究投資(1億ドル)は参考になるが、ビザ制限が壁だ。研究協業なら、日本の協力姿勢を効果的に示せる。これらの施策は、赤字の大幅削減には及ばないが、トランプの経済強化の目標に応え、関税回避に役立つ。EUのLNG輸入拡大(2018年)や安倍氏の投資約束(2017年、1500億ドル)は、その成功を示す。


日本だけでなく、EUなど他国も同様の柔軟な対応が求められる。国柄を踏まえ、協力姿勢を示すべきだ。報復関税や非関税障壁の新設は愚策だ。中国は報復関税を選び、米国との対立を深めた。自ら墓穴を掘ったのだ。日本を含む他の国々は、柔軟な姿勢で関税ショックを和らげ、米中間の争いに収斂させるのが賢明だ。様子見が最上の策である。

この関税ショックは、実はチャンスかもしれない。日本や多くの国は、長年の問題を抱えている。解決には戦争のような大きなショックが必要だが、関税ショックはそれに次ぐ力を持つ。戦争と違い、人的被害や国土の荒廃はない。トランプ関税は、日本の停滞を打破し、問題解決の端緒となる可能性がある。柔軟に対応し、未来を切り開くべきだ。

【関連記事】

高橋洋一氏 中国がわなにハマった 米相互関税90日間停止 日本は「高みの見物」がいい―【私の論評】トランプの関税戦略は天才か大胆不敵か? 中国との経済戦を読み解く2025年4月15日

「米国売り」止まらず 相互関税停止でも 国債・ドル離れ進む―【私の論評】貿易赤字と内需縮小の誤解を解く! トランプの関税政策と安倍の知恵が示す経済の真実 2025年4月13日

米国は同盟国と貿易協定結び、集団で中国に臨む-ベッセント財務長官―【私の論評】米のCPTPP加入で拡大TPPを築けば世界貿易は変わる? 日本が主導すべき自由貿易の未来 2025年4月10日

「AppleはiPhoneを米国内で製造できる」──トランプ政権―【私の論評】トランプの怒りとAppleの野望:米国製造復活の裏で自公政権が仕掛ける親中裏切り劇 2025年4月9日

二大経済大国、貿易戦争激化へ 中国報復、米農産物に打撃 トランプ関税―【私の論評】米中貿易戦争の裏側:米国圧勝の理由と中国の崩壊リスクを徹底解剖 2025年4月6日


2025年4月7日月曜日

<主張>中国軍の演習 無謀な台湾封鎖許されぬ―【私の論評】中国の台湾封鎖は夢想!76年経っても統一が実現しない理由と西側の備え

<主張>中国軍の演習 無謀な台湾封鎖許されぬ

まとめ
  • 中国軍が台湾海峡封鎖を想定した大規模演習「海峡雷霆―2025A」を2日連続で実施。空母「山東」や数十隻の艦船、軍用機を動員し、船舶拿捕や港湾攻撃で封鎖能力を検証。台湾に心理的圧力をかけ、トランプ新政権の出方と頼清徳政権を牽制する狙いがある。
  • 北東アジアの平和を乱す行為として、日米が強く反発。米国防長官は「中国の侵略阻止」を掲げ抑止力強化を表明し、米国務省は緊張悪化と地域安全への脅威を非難。日本の石破政権にも厳しい対峙が求められている。
  • 2027年までの台湾侵攻準備を指示し、海上封鎖を鍵とする。軍事侵攻に加え、威圧と米台離反で28年の総統選を影響下に置き、統一を目指すシナリオも追求。今回の演習は侵略への威嚇として警戒が必要だ。


 中国がまた無謀な軍事行動に出た。台湾海峡の封鎖を想定し、2日連続で大規模演習を実施したのだ。台湾国防部によると、空母「山東」や数十隻の軍艦、海警船が台湾を包囲し、軍用機が中間線を越えた。北東アジアの平和を乱す許されざる行為だ。中国軍は「海峡雷霆―2025A」と名付け、船舶拿捕や港湾攻撃で封鎖能力を検証。映像公開で台湾に圧力をかけた。昨秋も似た演習を行い、今回はトランプ新政権下で初の公表だ。頼清徳政権を牽制し、米国の反応を探る狙いがある。

 日米は抑止力強化を打ち出し、米国務省は「中国の攻撃性が地域と世界を危険に晒す」と非難した。習近平は2027年までに台湾侵攻準備を指示し、海上封鎖を鍵とする。米シンクタンクは、軍事侵攻せずとも威圧と離間で統一を狙うシナリオも指摘。28年の台湾総統選を睨んだ心理戦だ。今回の演習は侵略への威嚇であり、警戒が必要だ。中国は日本の懸念に「強烈な不満」を表明したが、石破政権は毅然と対峙すべきだ。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】中国の台湾封鎖は夢想!76年経っても統一が実現しない理由と西側の備え

まとめ
  • 中国の台湾封鎖は「夢想」:台湾の対艦ミサイル(雄風II・III)、潜水艦(海鯤・剣龍級)、米軍の原潜、台湾の空対空(AIM-120等)・地対空ミサイル(天弓III等)と航空戦力、中国の海上輸送力の限界とASWの弱さ、地理的条件(山岳と狭い海峡)が封鎖を困難にする。
  • 核使用の非現実性:核ミサイルで簡単に終わるという考えは夢想。ウクライナ戦争でロシアは核を使わず3年経過し戦況は膠着し、国際的反発(バイデン警告、RAND報告)を恐れた例が証明。大量の通常ミサイルでも降伏は無理。
  • 陸続きでないことが難易度を高める:台湾と中国は海峡で隔てられ、上陸作戦は補給が命。ウクライナ戦争でのロシアと違い陸で兵を送れず、CSIS報告が「史上最大の水陸両用作戦」と失敗リスクを警告。
  • 76年経っても統一できず:1949年から毛沢東が統一を宣言し、76年経過。歴代指導者の試み(1979年、1995-96年、2019年)も失敗。台湾の抵抗と国際圧力が壁。
  • 準備の必要性:封鎖・侵攻は無理でも、追い詰められた中国の予測不能な行動に備え、台湾と西側は政治・軍事的準備を怠れない。ウクライナの教訓から戦争を防ぎ、戦争になつって早期終結を目指すべき。

夢想する習近平 AI生成画像
中国による台湾封鎖は無謀というよりは「中国側の夢想」に過ぎない。台湾の対艦ミサイル、潜水艦、米軍の攻撃型原潜、中国の海上輸送力の限界、台湾の空対空・地対空ミサイルと航空戦力、中国の対潜水艦戦(ASW)の弱さ、台湾の地理的条件からいってそういえる。
軍事に疎い奴が「中国が核ミサイルを数発ぶち込めば終わり」と考えるのも夢想だ。それをウクライナ戦争が証明してるし、台湾と中国が陸続きじゃないことが侵攻をメチャクチャ難しくしてる。そして、中国が台湾統一を言い出してから何十年経ってもできてない。それでも追い詰められた中国は何をしでかすかわからないから、台湾と西側諸国は準備を怠っちゃいけない。これを以下に解説する。
まず、台湾海峡を封鎖するには、中国人民解放軍が海上と航空を押さえる必要がある。しかし、台湾の地理がそれを許さないのだ。島は山だらけで、東側は海岸は切り立った崖。西側には平地もあるが、河川が複雑に入り組んでおり、上陸地点は限られている。このブロクでは何度か指摘してきたことだ。上陸は至難の業だ。
日本より狭い島嶼国の台湾だが、最高峰の玉山は日本の富士山の標高を上回る
さらに、台湾海峡は幅130~180kmと狭く、浅瀬と潮流が複雑。大規模艦隊を動かすには窮屈だ。ここで台湾は「雄風II」「雄風III」対艦ミサイルをぶっ放す。射程は150~400km以上。超音速の雄風IIIは迎撃がほぼ無理だ。2023年の台湾国防部報告でも実戦配備済み。中国の艦艇なんてボロボロになる。
潜水艦もヤバい。台湾は2024年9月に国産「海鯤」を進水させ、2025年には就役済みだ。最新の魚雷と機雷を積み、ディーゼル電気推進で音が静か。中国が探し出すのは無理だ。古いタイプの「剣龍級」も改修済みで、2020年代の台湾海軍発表によれば少数でも侮れない。水中で封鎖艦隊や補給線を狙う。中国の肝が冷える。
中国のASW能力は未だ低い。米軍や日本に比べりゃ子供だ。2023年の米国防総省報告でも、対潜機やソナーが足りず、技術も訓練も追いついてない。台湾海峡の浅瀬は雑音だらけで、潜水艦を見つけるのはお手上げだ。台湾の「海鯤」や米軍の原潜にボロ負けだ。封鎖なんて穴だらけだ。
アメリカも黙っちゃいない。インド太平洋にはバージニア級やロサンゼルス級の攻撃型原潜がうろついてる。射程2500km以上のトマホークミサイルや対艦ミサイルをぶち込む準備ができてる。米軍の潜水艦はいつも哨戒中で、台湾海峡にすぐ飛び込んでくる。米国防総省の報告でも実力は折り紙付きだ。米軍が動けば、封鎖線は一瞬で崩れる。
オハイオ型原潜のミサイル発射ハッチを全開した写真
中国の海上輸送力もボロボロだ。2023年で輸出額3.5兆ドルを支える商船隊はあるが、軍事用の輸送力は足りない。補給艦は10隻程度。2022年の米国防総省報告では、米軍の30隻には及ばない。民間船を引っ張り出しても改造と訓練に時間がかかる。戦場で台湾のミサイルや潜水艦に補給線を切られたら終わりだ。
台湾の空の力も半端じゃない。F-16戦闘機が140機あって、AIM-120 AMRAAM空対空ミサイルを300~400発持ってる。射程100~180kmだ。AIM-9XサイドワインダーもF-16Vに載ってる。地対空ミサイルは「天弓III」で射程125マイル。弾道ミサイルも航空機もぶち落とせる。パトリオットPAC-3は射程70km、2025年にはNASAMSが台北を守る。射程20マイルだ。国産F-CK-1経国号は50機あって、雄風IIIや「万剣」巡航ミサイルを積む。射程200~400kmで、海も陸も叩ける。中国の航空優勢なんて夢だ。
軍事に疎い奴が言う。「中国が核ミサイルを数発ぶち込めば終わりだろ」と。笑いものだ。ウクライナ戦争がそれを証明してる。2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻した時、核をちらつかせた。だが、2025年4月時点で3年目だ。ロシアは核を使わず、ウクライナは降伏しない。なぜだ?核を使えば、アメリカやNATOが黙っちゃいないからだ。2022年10月、バイデン大統領が「核使用は壊滅的な結果を招く」と警告した。
ロシアは経済制裁でボロボロだ。中国が台湾に核を撃てば、同じ道だ。アメリカは「台湾関係法」で支援を約束してるし、核戦争に発展すれば中国の都市も灰になる。2023年のRAND研究所の報告でも、核使用は国際的反発と報復を招き、中国の経済と政権が持たないと結論づけてる。核で終わりなんて夢想だ。核以外のミサイルを多数用いて攻撃にしても、それですぐに台湾が降伏するはずもない。実際、ウクライナ戦争であれだけロシアがウクライナを攻撃して破壊しても、ロシアは戦争に勝てず、膠着状態だ。これから戦況がどうなっても、ロシアの完全勝利などない。
しかも、台湾と中国は陸続きじゃない。これが侵攻をメチャクチャ難しくしてる。ロシアはウクライナと国境を接してるから、戦車や兵をガンガン送り込めた。2022年のキエフ攻勢では、数百kmの補給線を陸で確保した。だが、台湾は海を隔ててる。幅180kmの海峡を渡るには、船と飛行機しかない。上陸作戦は補給が命だ。中国の補給艦は10隻しかないし、台湾のミサイルと潜水艦に狙われる。陸続きじゃないから、兵力と物資を運ぶのは悪夢だ。2023年のCSIS報告でも、台湾侵攻は「史上最大の水陸両用作戦」になり、失敗リスクがデカいと警告してる。第二次世界大戦末期にも、米軍は台湾に侵攻しなかった。ノルマンディー上陸作戦を上回る史上最大の軍事作戦になることがわかっていたからだ。
中国が台湾統一を言い出したのは1949年だ。中華人民共和国が建国されてすぐ、毛沢東が「台湾は中国の一部」と宣言した。それから76年経つ。2025年の今でもできてない。1979年の「台湾同胞に告ぐ書」で「平和統一」を打ち出し、鄧小平が「一国二制度」を提案した。それでもダメだ。1995年や1996年の台湾海峡危機でミサイルを撃ち込んで脅した。結果はゼロだ。習近平は2019年に「統一は必然」と演説し、2049年を目標に掲げた。それでも進まない。なぜだ?台湾の抵抗と国際社会の圧力だ。76年経っても夢想のままだ。
中華人民共和国成立を宣言する毛沢東(紙をもっている人物) AIでカラー化したもの
国際社会も中国を見放す。台湾封鎖は日本、韓国、東南アジア、アメリカのシーレーンをぶった切る。アメリカは原潜や空母を繰り出す。2022年のペロシ訪台で中国が喚いた時も、世界は冷ややかだった。中国経済は輸出で食ってる。2023年で3.5兆ドルだ。封鎖で自分の首を絞めるなんてアホだ。

中国の軍事力は伸びている。だが、空母や遠洋作戦はアメリカに比べりゃ子供だ。2023年の国際戦略研究所の分析でも、遠洋補給も対潜能力も貧弱だ。台湾の対艦ミサイル、潜水艦、米軍の原潜、空の戦力、天然の要塞のような地理、中国のASWの弱さに耐えられるわけがない。補給線を保つ力も経験もない。潜水艦戦じゃボロ負けだ。
台湾の地理、対艦ミサイル、空対空・地対空ミサイル、潜水艦、空の戦力、米軍の原潜、中国の輸送力の限界とASWの弱さ、核の夢想、陸続きじゃない現実、76年経っても統一できない事実。これを並べると、封鎖も侵攻も無理ゲーだ。「夢想」以外の何ものでもない。だが、威嚇や心理戦は仕掛けてくるのだ。
それでも、追い詰められた中国は何をしでかすかわからない。経済が傾き、政権が揺らげば、ヤケクソでロシアのように無茶をする可能性はゼロじゃない。ウクライナ戦争は膠着状態にいたり、もはやロシアにもウクライナにも勝利はない。しかし、戦争によって失われた一般市民や軍人の命は戻ってこない。台湾も西側諸国も、中国にそもそも戦争させない、仮に起こったにしても、初戦で木っ端微塵に打ち砕き戦争を早期終了させるようにするために、前もって政治的にも軍事的にも準備を怠ってはないけないのだ。
【関連記事】
二大経済大国、貿易戦争激化へ 中国報復、米農産物に打撃 トランプ関税―【私の論評】米中貿易戦争の裏側:米国圧勝の理由と中国の崩壊リスクを徹底解剖 2025年4月6日

台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「中国版ノルマンディー上陸作戦」か―【私の論評】台湾侵攻がとてつもなく困難な理由: ルトワックのパラドックスと地理的障壁 2025年1月20日

中国軍の侵攻描く台湾ドラマ、大きな反応と議論呼ぶ-市民に危機感―【私の論評】台湾ドラマ『零日攻擊ZERO DAY』:高橋一生出演と台湾の現実的な防衛力分析 2024年7月26日

中国軍による台湾包囲演習はこけおどし、実戦なら台湾のミサイルの好餌―【私の論評】中国による一方的な情報、プロパガンダに基づく見解には慎重であるべき 2024年6月1日

台湾が初の自主建造潜水艦を披露 対中防衛を強化―【私の論評】台湾の技術力、潜水艦計画の光輝なる未来 2023年9月29日

2025年3月15日土曜日

もう海軍力で中国にはかなわない…!危機感を募らせるトランプが、プーチンにおもねってでもウクライナ和平を急ぐ「深刻な理由」―【私の論評】トランプの危機感と日本の誤読:5年後の台湾有事を米海軍の現実から考える

もう海軍力で中国にはかなわない…!危機感を募らせるトランプが、プーチンにおもねってでもウクライナ和平を急ぐ「深刻な理由」

まとめ
  • 中国の海軍力増強とトランプの危機感:中国の造船業が世界シェア7割を占め、2030年までに艦船460隻を目指す中、米海軍は260隻に減少し、東シナ海・南シナ海での中国の優位性にトランプが危機感を抱いている。
  • トランプの造船業復活策:MAGA戦略に基づき、造船局新設や中国製船舶への高額入港料(1回100万ドル)を提案し、アメリカの製造業・国防基盤の強化を目指す。
  • ウクライナ戦争と米国防力の衰退:西側がロシアを抑えきれず、バイデン政権下で国防予算が実質削減され、アメリカはウクライナ支援と中国抑止の両立能力を失いつつある。
  • コルビーのリアリスト戦略:トランプ政権はエルブリッジ・コルビーを起用し、ウクライナ支援を欧州に委ね、中国の台湾侵略阻止を優先。日本には対中強化を求める。
  • ロシアの疲弊と停戦可能性:ロシアは戦争で経済・軍事的に疲弊し、トランプは「マッドマン戦略」で停戦を誘導しつつ、国力を中国対応に集中させる狙い。
トランプはマッドマンなのか?

近年、中国の海軍力が急速に増強される中、トランプ前大統領はその軍事戦略において、独特の「マッドマン戦略」を展開している。この戦略は一見狂気を装うような大胆な動きに見えるが、その裏には中国との軍事バランスが崩れつつある現状への強い危機感がある。とりわけ、米中の製造業や造船業における力の差が、トランプの懸念の中心にある。

中国は現在、世界の造船業のシェアの約7割を握り、その圧倒的な生産能力を背景に、中国海軍の艦船数を2030年までに460隻にまで増強する計画が予測されている。一方、アメリカ海軍は現状のままでは艦船数が260隻にまで減少する見込みであり、しかも米軍の艦船が世界各地に分散しているのに対し、中国は東シナ海や南シナ海にほぼ集中的に展開している。この限られた地域での優位性が中国に傾きつつあり、その傾向は今後もさらに強まると考えられる。老朽化した米軍艦船が退役する一方で、中国の艦船が充実していくのは想像に難くない現実だ。

この危機感から、トランプはMAGA(Make America Great Again)戦略の一環として、アメリカの製造業復活を強く掲げ、特に国防を支える造船業の強化に注力している。例えば、ホワイトハウス内に造船局を新設する計画を発表し、民間と軍用の造船能力を再構築する方針を示した。さらに驚くべきことに、米通商代表部(USTR)は中国製の船舶がアメリカの港を利用する際に、1回あたり100万ドル(約1.5億円)の入港料を課す案を公表した。

ここで注目すべきは、対象が「中国籍の船」ではなく「中国製の船」である点だ。これは極めて異例かつ大胆な政策で、船舶が長期間使用される性質を考えると、中国製船舶の所有者にとって事実上の入港禁止とも言える打撃となる。中国製船舶は世界中に所有者が存在するため、この政策は国際的な反発を招く可能性が高い。それでもトランプ政権は、中国に造船業が集中する現状を打破する必要性を真剣に捉えているのだ。

一方、ウクライナ戦争の状況も、トランプの戦略に影響を与えている。西側諸国はロシアの軍事侵攻を阻止できず、核の脅しに怯えながらウクライナへの支援を中途半端に留めた結果、戦争を長引かせ、ウクライナを疲弊させるだけに終わった。さらにバイデン政権下では、アメリカの国防力が大幅に削減された。

ウォール・ストリート・ジャーナルの2024年3月13日の社説によれば、バイデン大統領が2025会計年度に提案した国防予算8500億ドルは、前年度比わずか1%増に過ぎず、インフレ調整後では実質マイナスとなる。これが4年連続で続き、軍事予算の縮小と武器在庫の枯渇が進んだ。この結果、アメリカはウクライナ支援を続ける一方で、中国の台湾侵略を抑止する力を失いつつある。

トランプ政権の国防戦略を理論的に支えるのは、リアリストとして知られる戦略家エルブリッジ・コルビーだ。彼は、アメリカの現在の国防力では中国の台湾侵略を抑止するのも困難だと見ており、台湾にGDPの10%、日本に3%の国防費を求めるなど、現実的な危機意識を示している。コルビーは、ウクライナ支援に注力するよりも、中国への対抗を優先すべきだと主張し、「アメリカはすでにウクライナに1700億ドルと大量の武器を提供した。今後は欧州が負担すべきだ」と述べている。また、日本に対しては、ウクライナ支援に集中するのではなく、中国の長期的な脅威に備えるべきだと批判的な見解を示す。

ロシア側もウクライナ戦争で疲弊しており、装甲車両の損失や経済的な歪みから、停戦に応じる可能性がある。トランプはこれを見越し、停戦を最優先事項に掲げ、ロシアを交渉のテーブルに引き込むための「ロシア寄り」の発言を戦略的に用いたとされる。しかし、ウクライナが求める主権と独立を守る条件と、ロシアの要求が一致する保証はない。

それでもトランプの最終目標は、アメリカの国力を中国対応に集中させることであり、そのためには欧州がウクライナ支援の負担を引き受ける意識変革が必要だ。こうした状況下で、トランプのマッドマン戦略は、欧州を揺さぶりつつ現実的な力の再配分を目指すものだ。

朝香 豊(経済評論家)

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】トランプの危機感と日本の誤読:5年後の台湾有事を米海軍の現実から考える

上の浅香氏の見解に近い話を、このブログで既にぶち上げている。そのリンクを以下に掲載する。
詳しい話はこの記事を読んでいただくものとして、結論部分だけをここに掲載する。
現在のアメリカ海軍の戦闘艦艇数は中国の半分以下だ。トランプはこれを変えようとしたが、バイデンでは動かなかった。でも、単純に数だけ比べても意味はない。中国は小型艦艇を大量に抱え、アメリカは持たない。それに海戦の主役は潜水艦だ。水上艦はミサイルや魚雷の的でしかない。対潜戦の力が勝負を決める。中国の対潜戦能力はアメリカに遠く及ばない。アメリカは攻撃型原潜を50隻、中国は6~7隻だ。さらに、攻撃能力でも米国には及ばない。
オハイオ型原潜のミサイル発射ハッチを全開した写真 人との対比でみるとその巨大さがわかる
だが、アメリカには弱点もある。太平洋と大西洋に戦力を割かねばならない。2023年10月、ハマスとイスラエルの衝突で、USSジェラルド・R・フォードが東地中海へ飛び、2024年初頭にUSSアイゼンハワーが紅海へ、2025年2月にはUSSトルーマンがフーシー派を睨んでジェッダ沖に現れた。中国が世界中で動けば、アメリカは全てに対応できない。中国が台湾を「ハイブリッド戦争」と武力で押し潰そうとするなら、台湾は核を持つしかなくなる。核がない今、中国の物量と核戦力に最後の切り札がないからだ。 
結局、台湾問題は理念では動かない。現実の力が動かす。アメリカ以外の国が軍事力を強化し、中国が世界で暴れても対抗できるようにしないと、台湾は飲み込まれ、世界は中国の都合に塗り替えられるかもしれない。

だからトランプは各国に軍事費を増やせと叫ぶ。ウクライナはEUに任せろと言うのも同理屈だ。アメリカの現実を見れば、これは単なる「アメリカ第一主義」ではない。しかし、現状では中国が今すぐ台湾に侵攻するのは難しい。だから両者とも理念を振りかざす。理念が薄れ、力が静かに動き出す時が真の危機だ。
これが米海軍の今だ。台湾有事を騒ぐ識者が多いが、私は数年はないと見ている。米海軍が圧倒的で、台湾は天然の要塞だ。ルトワックの語る軍事的なパラドックス「大国は小国に勝てない」も効いている。ルトワックは、台湾有事には米国は強力な攻撃型原潜を2、3隻派遣すれば対処できると断言している。が、5年後はどうだ。
米国の最も代表的といえるイージス艦、アーレイ・バーク級は起工から進水まで2~3年、進水から就役まで1~2年、合計3~5年だ。これも米国の潜水艦として最も代表的といえる攻撃型原潜のバージニア級は起工から進水まで3~4年、進水から就役まで2~3年、合計5~7年だ。今すぐ作り始めても、就役は5年後だ。造船所や予算でブレるが、これが現実だ。アーレイ・バーク級はバス鉄工所やインガルス造船所で効率よく進む。だが、バージニア級は原子炉のせいで時間がかかる。ジェネラル・ダイナミクス社でも5年未満は無理だ。無論バイデン時代の計画も続行されているが、十分ではない。

フィリピン東方海域での日米仏共同訓練「パシフィック・ステラー」

米海軍は今でも二正面作戦はキツい。5年後、中露北イランがどこかで大暴れし、中国がアジアで大規模に動いたら、おそらく米国海軍の強さ自体は継続されているだろうが、それでもこれにすべて対応するのは困難で、アメリカの圧倒的優位は怪しい。おそらく、どこかで手を抜いたり、無視せざるを得ない場合もでてくる。
日本ではトランプ叩きがうるさいが、2024年11月の選挙で米国民がトランプを選んだ事実を無視している。激戦州を制した勝利を「予想外」と片付ける。要するに支持者を舐めているのだ。
朝日新聞やNHKは「過激」と連呼し、イメージで殴りつける。アメリカのメディアは民主党寄りだ。CNNやニューヨーク・タイムズはトランプの関税を「保護主義」と叩く。2024年の世論調査は保守派の声が埋もれる構造だ。それでも日本は丸呑み。トランプ支持者の声は届かない。読売とギャラップの2024年11月調査で、日本人の63%が「不安」と言った。だが、アメリカでは55%が「期待」だ。このズレを誰も突かない。テレビでは外国人タレントがトランプを叩く。TBSで米国人コメンテーターが「時代遅れ」と吐いたが、根拠はゼロだ。 
トランプ批判で、批判されたバックン(右の人物)

日本メディアや識者はトランプの主要なブレインともいわれるアメリカ第一主義研究所(AFPI)を無視だ。取材もしない。2025年1月、AFPIは「貿易不均衡是正と産業保護」を掲げたが、日本では、「暴走」としか報じない。トランプ政策の誤読は、文脈を捨て、反トランプ派の声を大きくくし、CNNやワシントン・ポストにすがるからだ。日本では、特に2025年2月のワシントン・ポスト記事がそのまま引用されている。

日本では、トランプの関税を無根拠に叩くが、日本の米(コメ)の関税はかつて778%だたし、現在でも米国から輸入するコメにかかる関税率は、ミニマムアクセス枠内では0%、枠外ではおおよそ200~340%だ。日本はコメに対して高関税、生産調整、政府買い取りなどの保護政策を実施しており、国内農業と食料自給率を守る姿勢を堅持している。これに比較するとアメリカの25%案など可愛いものだ。

AFPIは対中不正、歳入、外交の狙いを明示している。2025年2月の首脳会談でトランプは「日米同盟は揺るぎない」とぶち上げた。なのに朝日は「圧力」と歪める。世界各地で大規模紛争が同時的に起こって、それに対処するためには各国は戦争経済に移行しなけれならなくなるかもしれない、そうなれば、米国の関税がどうのこうのという次元ではなくなる。各国は、それを想定しているのか。
 
日米メディアはトランプは「女性軽視だ」と騒ぐが、トランプはサラ・サンダースやニッキー・ヘイリーを初代政権で使い、2025年政権でも複数の女性を閣僚に据えている。日本は大東亜戦争、日米安保、ベトナム戦争で米国を見誤ってきた。今、またトランプを見誤っている。ウクライナやロシアに気を取られる連中は、米国の現実とトランプの焦りを見ていない。

浅香氏は「マッドマン戦略」と言うが、私は本音で動いていると見る。5年後の危機に備え、各国が軍事力を強化しないと、台湾も世界も中国に蹂躙される危険はリアルだ。トランプへの見方を正し、国際情勢をしっかり掴む。それが日本の急務だ。

【関連記事】

モスクワに過去最大の無人機攻撃、3人死亡 航空機の運航一時停止―【私の論評】ウクライナのモスクワ攻撃が停戦交渉を揺さぶる!核の影と日本の覚悟 2025年3月12日

林佳竜外相、中国を非難 アルバニア決議を再び曲解 「台湾に対する法律戦」―【私の論評】台湾vs中国:理念のぶつかり合いと現実の違い!林外相の正しさと核の影 2025年3月9日

トランプ大統領が「日本の消費税廃止」を要求? JEEP以外のアメ車が日本で売れない理由は「そこじゃない」―【私の論評】トランプの圧力で変わるか?都内の頑丈な鉄橋の歴史が物語る日本の財政政策の間違い 2025年3月6日

海自の護衛艦が台湾海峡を通過 単独での通過は初 中国をけん制か―【私の論評】あきづき、パシフィック・ステラー、トランプ談話が一本の糸で共鳴!インド太平洋地域の団結を誇示
2025年3月3日

「硫黄島の戦い」から80年 トランプ大統領が談話「日米同盟は平和と繁栄の礎となった」―【私の論評】トランプのゼレンスキー塩対応と硫黄島80周年談話の驚くべき連動を解き明かす
2025年2月20日

2025年3月9日日曜日

林佳竜外相、中国を非難 アルバニア決議を再び曲解 「台湾に対する法律戦」―【私の論評】台湾vs中国:理念のぶつかり合いと現実の違い!林外相の正しさと核の影

林佳竜外相、中国を非難 アルバニア決議を再び曲解 「台湾に対する法律戦」

まとめ
  • 中国の王毅外相は国連総会アルバニア決議が台湾を含む中国の代表権を解決したと主張し、台湾を「中国台湾省」と呼ぶとしたが、台湾の林佳竜外相は同決議が台湾に言及していないと反論。中国が法律戦で解釈を歪めていると非難。
  • 林外相は、中国が台湾問題を内政化し国際支持を阻む「ハイブリッド戦争」を仕掛けていると指摘。米国や欧州などが同様の見解を示す中、台湾が中国の一部と見なされれば国際介入が困難になると警告。
1971年10月25日、中華民国の劉鍇国連常駐代表(中央)や楊西崑外交部次長(劉氏の後方)らは、国連総会でアルバニア決議の表決が行われる前に議場を去った

 中国の王毅外相は、国連総会2758号決議(アルバニア決議)が「台湾を含む中国全体の国連での代表権問題を解決した」と主張し、台湾の国連での呼称は「中国台湾省」だと述べた。これに対し、台湾の林佳竜外相は、同決議が台湾に言及していないと反論し、中国が法律戦で決議を歪め、台湾問題を内政化して国際社会の支持を妨げようとしていると非難。

 米国や欧州などの民主主義国も決議が台湾に触れていないと指摘しており、中国がこれに危機感を抱き解釈をねじ曲げていると説明。台湾が中国の一部と見なされれば、台湾海峡が内海化され、中国の併合を国際社会が阻止できなくなる「ハイブリッド戦争」だと警告した。台湾外交部は王氏の発言を事実の歪曲とし、強く非難した。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】台湾vs中国:理念のぶつかり合いと現実の違い!林外相の正しさと核の影

まとめ
  • 林台湾外相の主張とその正しさ: 台湾の林佳竜外相は、アルバニア決議が台湾に触れず中国の代表権だけを扱ったと主張し、その文言と歴史的背景から正しい。中国が「一つの中国」を押し付けるのは歪曲だ。
  • 中国の解釈と現実: 王毅外相は決議が台湾を含む中国全体を解決したと言うが、原文に根拠はない。中国はナウルの事例のように決議を道具に使うが、かつては限界を認めていた。
  • 国際社会の支持: 米国、欧州議会、IPACが林台湾外相を支持し、中国の解釈に法的裏付けがないと示す。だが、中国の拒否権で台湾の国連参加は難しい。
  • 理念と現実のギャップ: 両外相の主張は理念に過ぎず、現実は力でしか変わらない。歴史上、理念で領土は動かず、戦争で動くのが現実だ。台湾は軍事力で抑止し、中国はそれを超える力が必要。
  • 台湾の戦略と核の可能性: 台湾への侵攻は難しいが、その価値は大きい。アメリカは潜水艦で優位だが分散が弱点。中国が押せば、台湾は核を持つしかなくなるかもしれない。トランプが他国の防衛増を主張する背景にはそれなりの根拠がある。
台湾の林佳竜外相
台湾の林佳竜外相が吠えた。国連総会決議2758号、通称アルバニア決議は、台湾のことなど一言も触れていない。ただ中国の代表権を決めただけだ、と。中国がこの決議を「一つの中国」なる旗印に結びつけ、台湾を締め上げるために歪めている、と息巻く。この言葉が正しいのか、決議の文言から歴史、国際社会の動きまで、じっくりみてみよう。
決議2758号の原文を見れば、「台湾」の文字は影も形もない。1971年10月25日、国連は中華人民共和国に席を譲り、蒋介石を追い出した。それだけだ。台湾の主権や領土など話題にすら上がっていない。林外相の「台湾には触れていない」は、紙に書かれた字面そのままの事実だ。国連の記録にも台湾の影はない。当時の議論は「中国の代表権」が全てで、サウジアラビアが台湾の自己決定を叫んだが、誰も相手にしなかった。決議は台湾の運命を決めるものではない。それが事実だ。
対する中国の王毅外相は胸を張る。「この決議は台湾を含む中国全体の問題を解決した。台湾は中国台湾省だ」と。だが、決議にそんな言葉はない。中国の言い分は原文を飛び越えた作り話だ。林外相が「法律戦でねじ曲げている」と怒るのも無理はない。面白いことに、1971年当時、中国自身がこの決議の限界を知っていた。キッシンジャーと周恩来が会ったとき、周は「決議が通っても台湾の地位は決まらない」と漏らしている。それが中国の本音だった。なのに今、2024年にナウルが決議を盾に台湾と縁を切り、中国にすり寄った。中国は決議を「一つの中国」の道具に仕立て上げているのだ。
世界はどう見ているか。米国は2024年5月、「決議は中国の台湾支配を認めていない」とズバリ言い切った。欧州議会も同年10月、中国の曲解と軍事的挑発をぶった斬る決議を出した。対中政策議員連盟(IPAC)は2024年7月、誤解を正す動きを見せた。林外相の叫びは民主主義国で響き合っている証拠だ。
林外相の言い分は法的に正しい。決議文と記録を見れば、台湾に触れていないのは明白だ。中国の解釈に法の裏付けはない。国際社会も味方につけ、「一つの中国」が皆の同意でないことを示している。だが、中国はカイロ宣言やポツダム宣言を振りかざし、「台湾は中国に戻った」と言い張る。法的力のない過去の紙切れにすがる姿は弱いが、歴史を無視していると突っ込まれる余地はある。そして、台湾が国連に入りたくても、中国の拒否権が壁だ。2007年、台湾の申請が跳ね返された事実がその現実を突きつける。
林佳竜外相の言葉は、決議の文と意図を真っ直ぐ見れば正しい。決議文、国際声明、ナウルの動きがそれを裏付ける。中国が決議を法律戦の武器にし、台湾を締め上げる姿は、WHOからの排除でもはっきりしている。だが、現実は甘くない。もっと国際的な後押しが要る。それでも、民主主義国の支持が広がる今、法的にも道義的にも林外相の正しさは揺るがない。
さて、ここで林外相と王毅外相の言葉をもう一度見直す。真っ向からぶつかり合っているようだが、実は同じようなところがある。どちらも理念を振りかざしているに過ぎない。国際関係では、理念など弱いものだ。いくら叫んでも現実は動かない。台湾側から見れば、中国がどんな理念を掲げようが、台湾は台湾が握っている。それが変わるには、中国が実力で奪うしかない。
中国側も同じだ。台湾を力で取らない限り、理念はただの空念仏だ。現実ではない。さらに、理念を叫んでも、奪われた土地が戻った例はない。取り戻すなら戦争しかない。ウクライナのロシアに奪われた土地が、ロシアが引かない限り戻らないように。逆に、理念で他国の土地を手に入れるなど夢物語に過ぎない。現実の支配を動かす力は理念にはない。
現実の力で見れば、台湾は強い。開戦前のウクライナ軍より近代的で、対艦対地ミサイル、長距離ミサイルを自前で持ち、空軍も海軍も一級品だ。ウクライナと違って、台湾政府の号令一つで中国の奥まで叩ける。ただし、核はない。この力は理念を超えた盾だ。中国が台湾を飲み込むには、この現実をぶち破らねばならない。
第二次世界大戦で、米軍は沖縄に侵攻したのに台湾には手を出さなかった事実がある。台湾への侵攻はこのブログでも過去に述べてきたように、現実には地理的な障壁があり、かなり難しいのだ。だが、見方を変えれば、台湾の価値は計り知れない。中国がここを握れば、地政学的にも軍事的も圧倒的に有利になる。現実の力関係は侮れない。
それに、現在のアメリカ海軍の戦闘艦艇数は中国の半分以下だ。トランプはこれを変えようとしたが、バイデンでは動かなかった。でも、単純に数だけ比べても意味はない。中国は小型艦艇を大量に抱え、アメリカは持たない。それに海戦の主役は潜水艦だ。水上艦はミサイルや魚雷の的でしかない。対潜戦の力が勝負を決める。中国の対潜戦能力はアメリカに遠く及ばない。アメリカは攻撃型原潜を50隻、中国は6~7隻だ。さらに、攻撃能力でも米国には及ばない。
オハイオ型原潜のミサイル発射ハッチを全開した写真 人との対比でみるとその巨大さがわかる

だが、アメリカには弱点もある。太平洋と大西洋に戦力を割かねばならない。2023年10月、ハマスとイスラエルの衝突で、USSジェラルド・R・フォードが東地中海へ飛び、2024年初頭にUSSアイゼンハワーが紅海へ、2025年2月にはUSSトルーマンがフーシー派を睨んでジェッダ沖に現れた。中国が世界中で動けば、アメリカは全てに対応できない。中国が台湾を「ハイブリッド戦争」と武力で押し潰そうとするなら、台湾は核を持つしかなくなる。核がない今、中国の物量と核戦力に最後の切り札がないからだ。
結局、台湾問題は理念では動かない。現実の力が動かす。アメリカ以外の国が軍事力を強化し、中国が世界で暴れても対抗できるようにしないと、台湾は飲み込まれ、世界は中国の都合に塗り替えられるかもしれない。

だからトランプは各国に軍事費を増やせと叫ぶ。ウクライナはEUに任せろと言うのも同じだ。アメリカの現実を見れば、これは単なる「アメリカ第一主義」ではない。しかし、現状では中国が今すぐ台湾に侵攻するのは難しい。だから両者とも理念を振りかざす。理念が薄れ、力が静かに動き出す時が真の危機だ。
【関連記事】

能動的サイバー防御、台湾有事も念頭に「官民連携」など3本柱 首相命令で自衛隊が対処も―【私の論評】安倍政権のサイバー防衛戦略は継承したが、アベノミックス・憲法改正推進の継承できない石破政権 2025年2月23日

中国の大学「海底ケーブル切断装置」を特許出願 台湾周辺で損傷も日本政府は見解避ける―【私の論評】危機に直面する日本!海底ケーブルの切断と国際紛争の闇を暴く 2025年2月21日

台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「中国版ノルマンディー上陸作戦」か―【私の論評】台湾侵攻がとてつもなく困難な理由: ルトワックのパラドックスと地理的障壁 2025年1月20日

アメリカ軍の司令部 「今、中東にいます」潜水艦の位置情報をSNSで投稿!? 異例の行為の狙いとは―【私の論評】日本も見習うべき米軍のオハイオ級攻撃型原潜中東派遣公表の真の意図 2024年12月8日

台湾が初の自主建造潜水艦を披露 対中防衛を強化―【私の論評】台湾の技術力、潜水艦計画の光輝なる未来 2023年9月29日

参政党の急躍進と日本保守党の台頭:2025年参院選で保守層の選択肢が激変

まとめ 参政党の急成長: 2020年結成の参政党は、2022年参院選で177万票、2024年衆院選で3議席、2025年東京都議選で3議席を獲得。支持率5~7%で、参院選の台風の目。「日本人ファースト」やリベラル政策で保守層や無党派層に支持拡大。 地道な活動の成果: 地方議員150...