- 米国の保守分裂:2015~2016年、トランプの「アメリカ・ファースト」で保守派が分裂。予備選は17人で泥沼化。ロシアのIRAとブティナが分断を煽り、2020年トランプ敗北に間接的に影響。コロナ対応が主因だが、分裂は結束を弱めた(Senate Intelligence Committee, 2020)。
- 日本の保守分裂:自民党の岸田・石破のリベラル路線(LGBT法、移民)が、高市や安倍派を冷遇。2023年LGBT法で保守無視(『産経新聞』, 2023年6月17日)。日本保守党は2024年衆院選で3議席獲得。自民は過半数喪失(191議席)。
- 飯山と保守党の対立:飯山陽は2024年補選敗北後、日本保守党を批判。2025年『日本保守党との死闘』出版。党は名誉毀損訴訟(2025年5月19日)。『Hanada』『WiLL』(2025年4月号)が対立を煽り、藤岡信勝、猫組長、井川意高、城之内みな、長谷川幸洋が批判に加担。
- 外部勢力の脅威:日本にロシアのような工作の証拠はないが、中国や左翼が分裂を悪用する恐れ。中国は台湾で工作強化。保守の亀裂は外部勢力に付け入られる。
- 団結の必要:米国の分裂は2020年敗北を招いた。日本は飯山と保守党の争いを修復し、外部の脅威に立ち向かうべきだ。内輪もめはリベラルと中国を喜ばせるだけだ。
2020年以降、衝撃の事実が明らかになった。ロシアの工作機関IRAとマリア・ブティナが、この分裂を意図的に煽ったのだ。IRAは偽アカウントでSNSを埋め尽くし、トランプ支持や反エスタブリッシュメントの投稿を拡散。愛国主義や反移民感情を煽り、伝統派を「裏切り者」と攻撃した(Senate Intelligence Committee Report, August 2020)。ブティナはNRAや保守イベントに潜入し、共和党員の不信を増幅。これらの工作は、保守の団結をズタズタにした。
この分裂は、2020年のトランプ敗北に間接的に響いた。予備選の傷は、伝統派の一部を「反トランプ」に固執させた。リンカーン・プロジェクトはバイデン支持に回り、穏健派の票を奪った(『The Atlantic』, October 2020)。IRAの偽情報も2020年まで続き、保守の分断を維持(FBI and CISA Advisory, September 2020)。だが、トランプは共和党支持者の9割以上を確保(Edison Research, 2020年11月)。敗北の主因はコロナ対応への批判(Gallup, 2020年10月:不支持率58%)やバイデンの組織力だ。それでも、初期の分裂が保守の結束を弱め、スイングステートでの敗北を招いた側面は否めない(『New York Times』, November 4, 2020)。
日本の保守分裂の実態
日本でも、保守派の分裂が加速している。米国の2015~2016年を思わせる。自民党では、岸田文雄や石破茂のリベラル寄り政権が、LGBT理解増進法、移民改革、グローバル経済を推し進める。一方、高市早苗や旧安倍派は憲法改正、対中強硬、国家主権を訴える。だが、両者は明確に対立する段階に至っていない。政権は保守派を冷遇し、不満を溜めさせている。
2023年のLGBT法成立では、岸田政権が保守派の声を無視。『産経新聞』(2023年6月17日)は、高市が党内議論の不足を批判したと報じた。2024年の自民党総裁選でも、高市は保守の支持を集めたが、主流派に冷たく扱われた(『読売新聞』, 2024年9月28日)。旧安倍派は政治資金スキャンダルで弱体化。憲法改正や安全保障の声は、政権のグローバル路線に埋もれている。
日本保守党と飯山陽の対立は、分裂の象徴だ。飯山は2024年4月の東京15区補選で4位に終わり、PTSDを理由に支部長を退任。10月の衆院選で比例候補から外され、党のガバナンスと資金透明性を批判。YouTubeで12本の動画を公開したが、資金負担の主張を「交通費や食事代」と訂正し、矛盾を突かれた。百田は飯山を猛非難。支持者が攻撃をエスカレートさせた。飯山は2025年5月、『日本保守党との死闘』を出版し、党を批判。対立は東京地裁の名誉毀損訴訟に発展した(2025年5月19日)。党は1000万円以上の賠償を求め、飯山は訴訟を報復と反論。
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かつての百田尚樹氏と飯山陽氏 |
外部勢力の脅威と保守の団結
外部勢力の影がちらつく。米国では、2020年以降、IRAやブティナの工作が保守の分断を狙ったと判明。日本では証拠はないが、危険は潜む。中国は台湾や豪州で影響工作を強化。SNSやロビー活動で日本を狙う可能性がある。左翼も保守の亀裂を巧みに利用する。米国でロシアが保守を弱らせたように、日本でも外部勢力が分裂を悪用する恐れがある。
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2019年04月26日、ブティナに対し、ワシントンの連邦地裁は、禁錮1年6月の実刑判決を言い渡した。 |
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