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2025年6月6日金曜日

保守分裂の危機:トランプ敗北から日本保守党の対立まで、外部勢力が狙う日本の未来

まとめ
  • 米国の保守分裂:2015~2016年、トランプの「アメリカ・ファースト」で保守派が分裂。予備選は17人で泥沼化。ロシアのIRAとブティナが分断を煽り、2020年トランプ敗北に間接的に影響。コロナ対応が主因だが、分裂は結束を弱めた(Senate Intelligence Committee, 2020)。
  • 日本の保守分裂:自民党の岸田・石破のリベラル路線(LGBT法、移民)が、高市や安倍派を冷遇。2023年LGBT法で保守無視(『産経新聞』, 2023年6月17日)。日本保守党は2024年衆院選で3議席獲得。自民は過半数喪失(191議席)。
  • 飯山と保守党の対立:飯山陽は2024年補選敗北後、日本保守党を批判。2025年『日本保守党との死闘』出版。党は名誉毀損訴訟(2025年5月19日)。『Hanada』『WiLL』(2025年4月号)が対立を煽り、藤岡信勝、猫組長、井川意高、城之内みな、長谷川幸洋が批判に加担。
  • 外部勢力の脅威:日本にロシアのような工作の証拠はないが、中国や左翼が分裂を悪用する恐れ。中国は台湾で工作強化。保守の亀裂は外部勢力に付け入られる。
  • 団結の必要:米国の分裂は2020年敗北を招いた。日本は飯山と保守党の争いを修復し、外部の脅威に立ち向かうべきだ。内輪もめはリベラルと中国を喜ばせるだけだ。
米国の保守分裂とロシアの暗躍

2016年、共和党大統領候補指名に出馬したトランプ氏

2015~2016年、米国保守派はトランプの登場で大きく割れた。「アメリカ・ファースト」の叫び、国境の壁、ムスリム入国制限、保護主義。これらは草の根保守の心を掴んだが、自由貿易や国際協調を重んじる伝統派と真っ向衝突した。共和党予備選は、クルーズ、ブッシュ、ルビオら17人が火花を散らす戦場と化した。価値観の違いがむき出しになったのだ。

クルーズはキリスト教保守を掲げ、ブッシュは穏健派の旗手だった。だが、トランプの過激な言葉がすべてを飲み込んだ。党内は「反トランプ」と「親トランプ」に分裂。『ナショナル・レビュー』(2016年1月22日)はトランプを「保守ではない」と断じ、FOXニュースの一部は熱烈支持。草の根の怒りは党エリートへの不信を爆発させ、予備選は罵倒と陰謀論の泥沼と化した。この分裂は、保守の力を削ぎ、2016年本選の戦略を乱した。

2020年以降、衝撃の事実が明らかになった。ロシアの工作機関IRAマリア・ブティナが、この分裂を意図的に煽ったのだ。IRAは偽アカウントでSNSを埋め尽くし、トランプ支持や反エスタブリッシュメントの投稿を拡散。愛国主義や反移民感情を煽り、伝統派を「裏切り者」と攻撃した(Senate Intelligence Committee Report, August 2020)。ブティナはNRAや保守イベントに潜入し、共和党員の不信を増幅。これらの工作は、保守の団結をズタズタにした。

この分裂は、2020年のトランプ敗北に間接的に響いた。予備選の傷は、伝統派の一部を「反トランプ」に固執させた。リンカーン・プロジェクトはバイデン支持に回り、穏健派の票を奪った(『The Atlantic』, October 2020)。IRAの偽情報も2020年まで続き、保守の分断を維持(FBI and CISA Advisory, September 2020)。だが、トランプは共和党支持者の9割以上を確保(Edison Research, 2020年11月)。敗北の主因はコロナ対応への批判(Gallup, 2020年10月:不支持率58%)やバイデンの組織力だ。それでも、初期の分裂が保守の結束を弱め、スイングステートでの敗北を招いた側面は否めない(『New York Times』, November 4, 2020)。

日本の保守分裂の実態

日本でも、保守派の分裂が加速している。米国の2015~2016年を思わせる。自民党では、岸田文雄や石破茂のリベラル寄り政権が、LGBT理解増進法、移民改革、グローバル経済を推し進める。一方、高市早苗や旧安倍派は憲法改正、対中強硬、国家主権を訴える。だが、両者は明確に対立する段階に至っていない。政権は保守派を冷遇し、不満を溜めさせている。
2023年のLGBT法成立では、岸田政権が保守派の声を無視。『産経新聞』(2023年6月17日)は、高市が党内議論の不足を批判したと報じた。2024年の自民党総裁選でも、高市は保守の支持を集めたが、主流派に冷たく扱われた(『読売新聞』, 2024年9月28日)。旧安倍派は政治資金スキャンダルで弱体化。憲法改正や安全保障の声は、政権のグローバル路線に埋もれている。


2023年、百田尚樹と有本香が日本保守党を設立。伝統文化の尊重、反LGBT、反移民を掲げ、勢力を伸ばした。2024年10月の衆院選で3議席を獲得。得票率2%超で国政政党に躍進した。自民党のリベラル路線は保守層の怒りを買い、2024年選挙で単独過半数を失った(191議席、従来247議席)。公明党との連立も過半数に届かず、他党の協力が必要となった。

日本保守党と飯山陽の対立は、分裂の象徴だ。飯山は2024年4月の東京15区補選で4位に終わり、PTSDを理由に支部長を退任。10月の衆院選で比例候補から外され、党のガバナンスと資金透明性を批判。YouTubeで12本の動画を公開したが、資金負担の主張を「交通費や食事代」と訂正し、矛盾を突かれた。百田は飯山を猛非難。支持者が攻撃をエスカレートさせた。飯山は2025年5月、『日本保守党との死闘』を出版し、党を批判。対立は東京地裁の名誉毀損訴訟に発展した(2025年5月19日)。党は1000万円以上の賠償を求め、飯山は訴訟を報復と反論。

かつての百田尚樹氏と飯山陽氏

この対立を、保守系メディアが煽った。「WiLL」は、日本保守党に対し「LGBTQ問題への対応が不十分」との主張を展開。特に、党が保守層の期待に応える具体的な政策を打ち出せていない点を問題視している一方、「月刊Hanada」は、日本保守党の元候補者・飯山あかり氏による批判記事を掲載これが論争の火種となった。保守の足並みは乱れる一方である。

外部勢力の脅威と保守の団結

外部勢力の影がちらつく。米国では、2020年以降、IRAやブティナの工作が保守の分断を狙ったと判明。日本では証拠はないが、危険は潜む。中国は台湾や豪州で影響工作を強化。SNSやロビー活動で日本を狙う可能性がある。左翼も保守の亀裂を巧みに利用する。米国でロシアが保守を弱らせたように、日本でも外部勢力が分裂を悪用する恐れがある。

2019年04月26日、ブティナに対し、ワシントンの連邦地裁は、禁錮1年6月の実刑判決を言い渡した。 

2016年の米国大統領選挙の共和党予備選挙で、ドナルド・トランプの最大のライバルはテキサス州の上院議員テッド・クルーズだった。クルーズは保守派、特にキリスト教福音派やティーパーティー運動の支持を集め、インディアナ州予備選挙で敗れるまでトランプと激しく争った。クルーズはトランプを「道徳的に無責任」「完全に不道徳」と批判し、女性への不適切な発言、過去の不倫疑惑、トランプ大学の詐欺疑惑といったスキャンダルや、保守派らしくない政策、過激な言動を問題視した。トランプもクルーズを「ライイン・テッド」と呼び、クルーズの妻や父親への個人攻撃で応酬し、対立は激化した。

その後、クルーズは2016年の共和党全国大会でトランプを支持せず物議を醸したが、党の結束のため最終的に支持を表明。トランプが大統領就任後、クルーズは税制改革や規制緩和で協力し、2018年の中間選挙ではトランプの応援を受けて上院議員に再選。2020年にはトランプの再選を支持し、2024年のトランプの大統領復帰後も協力関係を維持。クルーズは2024年予備選挙に出馬せず、党内での地位を保ちつつ保守派の政策を推進している。このように、両者は当初の激しい対立から現実的な同盟関係に移行した。

日本の保守はただでさえ自民党内の保守派の動きが封じられ、保守政党は未だ微弱勢力にすぎない今こそ、党派を超えて団結せねばならない。保守派ならば、党派など異なっても、基本的な部分では一致できるはずだ。米国の教訓は明快だ。内部対立は外部に利用され、国家と伝統を守る力を奪う。2015~2016年の分裂は、2020年のトランプ敗北に響いた。日本の保守も、同じ轍を踏むのか。飯山と日本保守党の争いは、感情と訴訟で溝を深めた。無論互いに批判するなとは言わない、批判すべきことは批判しながらも、協力すべきは協力すべきだ。保守派は事実に基づく対話で亀裂を埋め、外国勢力や左翼の介入を防ぐべきだ。国益と伝統を守る戦いは、内部の争いではなく、外部の脅威に立ち向かうことで勝ち取る。内輪もめに溺れれば、リベラル左翼や中国共産党を喜ばせるだけだ。団結こそ、保守の未来を切り開く。

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2025年1月22日水曜日

「大統領令」100本署名〝移民やEV〟大転換 トランプ氏、第47代大統領に就任 中国の息の根を止める?融和姿勢目立つ日本は大丈夫か―【私の論評】戦略なき親中姿勢により、米・中から信頼を失いつつある石破政権

「大統領令」100本署名〝移民やEV〟大転換 トランプ氏、第47代大統領に就任 中国の息の根を止める?融和姿勢目立つ日本は大丈夫か

まとめ
  • ドナルド・トランプ氏が第47代大統領に就任し、迅速な施策実行のために100本の大統領令に署名した。
  • 就任演説では「米国の完全な復活」と「常識の革命」を宣言し、国境での国家非常事態宣言や不法移民対策を強調する。
  • 経済政策においては、米国民を豊かにするために関税を課し、記録的なインフレの終息を約束する。
  • 中国との関係においては、貿易赤字是正や中国製品の排除を進める考えを示す。
  • 日本の石破政権は、トランプ政権と協力関係を強化する意向を示しつつ、中国との関係において難しい選択を迫られる可能性がある。
大統領令にサインするトンランプ大統領

 ドナルド・トランプ氏は20日(日本時間21日未明)に米ワシントンで第47代大統領に就任し、就任演説で「米国の完全な復活」と「常識の革命」を宣言した。就任初日から彼は、前任のジョー・バイデン大統領の政策を覆すことを目的とした多数の大統領令に矢継ぎ早に署名した。その数は100本にも上り、特にバイデン政権下で策定された大統領令の撤回を目指している。

 トランプ氏は、演説の中で不法移民の流入を阻止するために国境地帯で「国家非常事態」を宣言し、南部国境に米軍を派遣する意向を明らかにした。具体的には、国境関連の大統領令を10本署名し、軍や国境警備隊を派遣して「壁」の建設を推進する方針である。また、移民に関する犯罪組織を国際テロ組織に指定する考えも示した。

 経済面でも、トランプ氏は「米国民を豊かにするために関税を課す」と宣言し、記録的なインフレを終わらせることを約束した。エネルギー分野では「国家非常事態宣言」を行い、化石燃料の増産を図るとともに、地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」からの再離脱を表明した。電気自動車(EV)普及策の見直しも行う意向である。

 トランプ氏が大統領令を多用する背景には、環境、気候変動対策、関税、移民問題などを法律を変更せずに大統領レベルでの解釈を通じて取り組む狙いがある。上智大学の前嶋和弘教授は、トランプ氏が大統領令を頻繁に発出することで分断した米国を率いる姿勢を示そうとしていると分析している。

 さらに、トランプ氏は中国との関係についても強い姿勢を示しており、貿易赤字の是正に取り組む考えを示している。彼は関税を課すことで長引く貿易赤字の問題に対処し、中国やカナダ、メキシコを特に名指しして是正を迫る狙いがあると見られている。早稲田大学の渡瀬裕哉氏は、トランプ政権が中国製品の排除を進める中で、米国のハイブリッド車などにとっては競争優位を得る機会が生まれる可能性がある。

 日本の石破政権はトランプ政権との協力を強調し、「自由で開かれたインド太平洋」という共通の目標を追求する意向を示しているが、トランプ氏との対面会談はまだ実現していない。石破首相は、中国に対しても戦略的互恵関係の推進を確認しているが、トランプ政権の対中政策が今後の日本に与える影響については不透明な部分も多く、困難な選択を迫られる可能性があるとされている。

 全体として、トランプ政権の政策変更は、米国のみならず、国際的な関係や経済にも大きな影響を及ぼすことが予想され、特に日本はその中で重要な役割を果たすことが求められるだろう。 

 この記事は、元記事の要約です、詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】戦略なき親中姿勢により、米・中から信頼を失いつつある石破政権

まとめ
  • トランプ大統領の大統領令多用の背景には、任期制限(最長8年)と高齢(78歳)により、迅速な政策実行が必要不可欠であり、大統領令は最も効果的な手段となっている。
  • 「米国第一主義」という明確なグランドデザインを実現するため、大統領令を戦略的に活用し、自身のビジョンを迅速に推進している。
  • 安倍政権が構築したインド太平洋戦略は、トランプ、バイデン政権を通じて継承され、日米同盟の重要な基盤となっている。
  • 現在の石破政権は、明確な戦略なき親中姿勢により、米国からも中国からも信頼を失いつつある。
日米関係は未だ強固だが・・・・・・

トランプ氏は日本を重要な同盟国と認識しており、日米関係を損なう動きには容赦なく対応する可能性が高い。

トランプ氏の大統領令乱発には、深い理由がある。その背景を紐解くと、米国の政治システムと彼の個人的な状況が浮かび上がってくる。

まず、任期制限と年齢が大きな要因だ。米国大統領の任期は最長8年。これは1951年に制定された第22修正憲法によるものだ。フランクリン・D・ルーズベルト大統領の4期にわたる長期政権を受けて設けられた制限だ。78歳のトランプ氏にとって、残された任期の4年という期間は決して長くない。通常の立法プロセスは時間がかかりすぎる。そこで大統領令が、即効性のある政策実行の手段として浮上するのだ。

さらに、トランプ氏には「米国第一主義」という明確なビジョンがある。これは単なるスローガンではない。米国の将来を描くグランドデザインだ。日本のマスコミが報道するような矮小化されたものでもない。大統領令の多用は、このビジョンを迅速に実現するための手段なのだ。

星条旗とトランプ大統領 Ai生成画像

トランプ氏の大統領令は、後継者や支持者へのメッセージでもある。彼の描く米国の理想形を示し、その政策を法律化する使命を後継者に託す。短期間で重要な政策や改革を実現し、支持者に成果やビジョンを示すことができるのだ。

日本の立ち位置も、この文脈で重要な意味を持つ。安倍政権が推進したインド太平洋戦略は、トランプ政権、バイデン政権と引き継がれてきた。日本は米国と地域諸国をつなぐ重要な役割を果たしてきたのだ。

安倍晋三氏のインド太平洋戦略は、地域の安全保障と経済発展を促進するためのグランドデザインだった。自由で開かれた秩序の確立、法の支配や人権の尊重を重視し、アメリカとの同盟関係を深め、地域のパートナーシップを強化した。インフラ整備や投資支援にも力を入れ、経済の相互依存を促進した。

この戦略は、トランプ政権に受け継がれ、その理念が強化された。特に中国の影響力拡大に対抗するため、インド太平洋地域での安全保障の重要性が認識され、米国の同盟国との協力が推進された。日本との防衛協力が深まり、自由で開かれたインド太平洋の維持が強調されたのだ。

バイデン政権でも、このインド太平洋戦略は継承された。地域の安定と繁栄を確保するために、同盟関係の強化や多国間協力が重視されている。ASEAN諸国やオーストラリア、インドとの連携を深め、自由貿易や法の支配を基盤にした秩序の維持を目指している。

岸田政権も、この枠組みを継承した。海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」の台湾海峡通過は、その証左だ。これは石破政権への置き土産であり、インド太平洋戦略を後戻りできないようにする布石だった。

しかし、現在の石破政権は方向性を見失っている。親中的姿勢を示しつつも、明確な戦略がない。閣僚レベルでは親中的だが、日米合同軍事演習への参加は続けている、一方中国軍代表団の来日を許可するなど、一貫性に欠ける行動が目立つ。

石破政権には、インド太平洋戦略に匹敵するグランドデザインがない。アジア版NATOの提唱も思いつきレベルだ。中国とのパートナーシップ強化も具体性に欠ける。親中姿勢も、安倍派への対抗心の裏返しくらいのものでしかない。

結局のところ、米国からも中国からも舐められ、近い将来崩壊する運命だろう。トランプはこれを見透かしているが、日本を重要な同盟国と認識している。日本の軍事力や経済力は、中国と対峙する上で欠くことのできない存在なのだ。

談笑するトランプ大統領と、安倍首相 AI生成画像

トランプ氏は、日米同盟を損なう動きには容赦なく対応するだろう。グリーンランド買収提案のような大胆な行動も辞さない。残された時間が少ないため、遠慮会釈のない行動をとる可能性が高い。バイデン流の裏工作ではなく、誰の目にも見える顕な動きをするかもしれない。

日本は、インド太平洋地域における重要な同盟国としての役割を再認識し、明確な戦略を持って対応する必要がある。そうしなければ、米中両国から軽視され、国際的影響力を失う危険性がある。

トランプ氏の大統領令多用は、限られた時間で自身のビジョンを実現するための戦略的手段なのだ。それは単なる政治手法ではなく、米国の将来と国際秩序を左右する重要な動きなのである。日本は、この動きを正確に読み取り、自国の立ち位置を慎重に定める必要がある。そうすることで初めて、激動する国際情勢の中で、日本の国益を守り、世界の平和と安定に貢献できるのだ。

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2025年1月21日火曜日

トランプ氏「黄金時代」誓う、不法移民対策など優先 米大統領就任―【私の論評】トランプ氏の就任演説を徹底解説!英語学習者向け語彙・表現のポイントも紹介

トランプ氏「黄金時代」誓う、不法移民対策など優先 米大統領就任

まとめ
  • ドナルド・トランプ氏が米国の第47代大統領に就任し、不法移民取り締まりを優先課題とし、「米国の黄金時代が今始まる」と宣言した。
  • 演説で彼は自らの復帰を「歴史的な政治的復活」とし、2025年1月20日を「解放の日」と位置付け、前政権の政策を批判した。
  • トランプ氏は78歳で史上最年長の大統領として就任し、暗殺未遂を振り返りながら「神によって救われた」と述べた。


米国の第47代大統領にドナルド・トランプ氏が就任した。米東部時間20日正午(日本時間21日未明)に連邦議会議事堂で行われた就任式で、トランプ氏は不法移民取り締まりを優先課題として挙げ、「米国の黄金時代が今始まる」と宣言した。彼は78歳で、史上最年長の大統領として就任した。

約30分に及んだ演説では、「2025年1月20日は米国民にとって解放の日になる」と述べ、昨年の暗殺未遂を振り返りながら、「米国を再び偉大にするため、私は神によって救われた」と語った。トランプ氏は、2020年の大統領選を巡る起訴や有罪判決を経て4年ぶりにホワイトハウスに復帰した。「このような歴史的な政治的復活は不可能だと多くの人は考えていた」と強調し、「今、米国では何事も不可能ではないことの証としてここに立っている。不可能とされることこそ、われわれが最も得意とすることだ」と述べた。

さらに、彼は自らを和平の実現者として印象付けようとし、他の国が犯罪者を米国に送り込んでいるという選挙活動中の主張を繰り返した。また、自身に対する訴追への不満も表明した。前大統領のバイデン氏も就任式に出席する中、移民対応や外交に至るまで前政権の政策を痛烈に批判した。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】トランプ氏の就任演説を徹底解説!英語学習者向け語彙・表現のポイントも紹介

宣誓をするトランプ大統領

全体として、トランプ大統領の就任演説は、これまでの彼の政治的立場や発言と一致しており、大きなサプライズはなかった。しかし、その内容は極めて具体的かつ大胆なものであり、アメリカ国内外に大きな影響を与えるだろう。アメリカ第一主義を前面に押し出し、国内経済の活性化と国際舞台でのアメリカの影響力拡大を目指す姿勢が鮮明に表れた演説であったと言えるだろう。

以下に、トランプ氏の就任演説の全文、翻訳、英語学習者向けの語彙、表現などの要点を掲載します。是非参考にしてください。

元文

Vice President Vance, Speaker Johnson, Senator Thune, Chief Justice Roberts, justices of the United States Supreme Court, President Clinton, President Bush, President Obama, President Biden, Vice President Harris and my fellow citizens:

The golden age of America begins right now. From this day forward, our country will flourish and be respected again all over the world. We will be the envy of every nation. And we will not allow ourselves to be taken advantage of any longer.

During every single day of the Trump administration, I will, very simply, put America first. Our sovereignty will be reclaimed. Our safety will be restored. The scales of justice will be rebalanced. The vicious, violent and unfair weaponization of the Justice Department and our government will end. And our top priority will be to create a nation that is proud and prosperous and free.

America will soon be greater, stronger, and far more exceptional than ever before. I return to the presidency confident and optimistic that we are at the start of a thrilling new era of national success. A tide of change is sweeping the country. Sunlight is pouring over the entire world, and America has the chance to seize this opportunity like never before.

But first, we must be honest about the challenges we face. While they are plentiful, they will be annihilated by this great momentum that the world is now witnessing and the United States of America. As we gather today, our government confronts a crisis of trust. For many years, the radical and corrupt establishment has extracted power and wealth from our citizens. While the pillars of our society lay broken and seemingly in complete disrepair, we now have a government that cannot manage even a simple crisis at home while at the same time stumbling into a continuing catalog of catastrophic events abroad.

It fails to protect our magnificent, law-abiding American citizens but provides sanctuary and protection for dangerous criminals, many from prisons and mental institutions that have illegally entered our country from all over the world. We have a government that has given unlimited funding to the defense of foreign borders but refuses to defend American borders, or more importantly, its own people.

Our country can no longer deliver basic services in times of emergency, as recently shown by the wonderful people of North Carolina, who've been treated so badly. And other states who are still suffering from a hurricane that took place many months ago. Or more recently, Los Angeles, where we are watching fires still tragically burn from weeks ago without even a token of defense. They're raging through the houses and communities, even affecting some of the wealthiest and most powerful individuals in our country, some of whom are sitting here right now. They don't have a home any longer. That's interesting.

But we can't let this happen. Everyone is unable to do anything about it. That's going to change. We have a public health system that does not deliver in times of disaster, yet more money is spent on it than any country anywhere in the world. And we have an education system that teaches our children to be ashamed of themselves, in many cases to hate our country despite the love that we try so desperately to provide to them. All of this will change starting today and will change very quickly.

Our recent election is a mandate to completely and totally reverse a horrible betrayal, and all of these many betrayals that have taken place, and to give the people back their faith, their wealth, their democracy and indeed their freedom. From this moment on, America's decline is over.

Our liberties and our nation's glorious destiny will no longer be denied and we will immediately restore the integrity, competency and loyalty of America's government. Over the past eight years, I have been tested and challenged more than any president in our 250-year history, and I've learned a lot along the way. The journey to reclaim our Republic has not been an easy one, that I can tell you. Those who wish to stop our cause have tried to take my freedom and indeed to take my life. Just a few months ago, in a beautiful Pennsylvania field, an assassin's bullet ripped through my ear. But I felt then, and believe even more so now, that my life was saved for a reason. I was saved by God to make America great again.

That is why each day under our administration of American patriots, we will be working to meet every crisis with dignity and power and strength. We will move with purpose and speed to bring back hope, prosperity, safety and peace for citizens of every race, religion, color and creed. For American citizens, Jan. 20, 2025, is Liberation Day.

It is my hope that our recent presidential election will be remembered as the greatest and most consequential election in the history of our country. As our victory showed, the entire nation is rapidly unifying behind our agenda with dramatic increases in support from virtually every element of our society. Young and old, men and women, African Americans, Hispanic Americans, Asian Americans, urban, suburban and rural. And, very importantly, we had a powerful win in all seven swing states and the popular vote. We won by millions of people.

To the Black and Hispanic communities, I want to thank you for the tremendous outpouring of love and trust that you have shown me with your vote. We set records, and I will not forget it. I've heard your voices in the campaign, and I look forward to working with you in the years to come.

Today is Martin Luther King Day and his honor — this will be a great honor — but in his honor, we will strive together to make his dream a reality. We will make his dream come true.

National unity is now returning to America and confidence and pride is soaring like never before. In everything we do my administration will be inspired by a strong pursuit of excellence and unrelenting success. We will not forget our country. We will not forget our Constitution. And we will not forget our God.

Today, I will sign a series of historic executive orders. With these actions, we will begin the complete restoration of America and the revolution of common sense. It's all about common sense. First, I will declare a national emergency at our southern border. All illegal entry will immediately be halted. And we will begin the process of returning millions and millions of criminal aliens back to the places from which they came. We will reinstate my remain in Mexico policy. I will end the practice of catch and release. And I will send troops to the southern border to repel the disastrous invasion of our country. Under the orders I sign today we will also be designating the cartels as foreign terrorist organizations. And by invoking the Alien Enemies Act of 1798, I will direct our government to use the full and immense power of federal and state law enforcement to eliminate the presence of all foreign gangs and criminal networks bringing devastating crime to U.S. soil, including our cities and inner cities.

As commander in chief, I have no higher responsibility than to defend our country from threats and invasions. And that is exactly what I am going to do. We will do it at a level that nobody has ever seen before. Next, I will direct all members of my cabinet to marshal the vast powers at their disposal to defeat what was record inflation and rapidly bring down costs and prices. The inflation crisis was caused by massive overspending and escalating energy prices. And that is why today I will also declare a national energy emergency. We will drill, baby, drill.

America will be a manufacturing nation once again, and we have something that no other manufacturing nation will ever have: the largest amount of oil and gas of any country on Earth. And we are going to use it. We will bring prices down, fill our strategic reserves up again, right to the top, and export American energy all over the world. We will be a rich nation again. And it is that liquid gold under our feet that will help to do it.

With my actions today, we will end the Green New Deal and we will revoke the electric vehicle mandate, saving our auto industry and keeping my sacred pledge to our great American autoworkers. In other words, you'll be able to buy the car of your choice. We will build automobiles in America again at a rate that nobody could have dreamt possible just a few years ago. And thank you to the auto workers of our nation for your inspiring vote of confidence. We did tremendously with their vote.

I will immediately begin the overhaul of our trade system to protect American workers and families. Instead of taxing our citizens to enrich other countries, we will tariff and tax foreign countries to enrich our citizens. For this purpose, we are establishing the External Revenue Service to collect all tariffs, duties and revenues. It will be massive amounts of money pouring into our treasury coming from foreign sources.

The American Dream will soon be back and thriving like never before. To restore confidence and effectiveness to our federal government, my administration will establish the brand new Department of Government Efficiency.

After years and years of illegal and unconstitutional federal efforts to restrict free expression, I will also sign an executive order to immediately stop all government censorship and bring back free speech to America. Never again will the immense power of the state be weaponized to persecute political opponents. Something I know something about. We will not allow that to happen. It will not happen again. Under my leadership, we will restore fair, equal and impartial justice under the Constitution and the rule of law. And we are going to bring law and order back to our cities.

This week, I will also end the government policy of trying to socially engineer race and gender into every aspect of public and private life. We will forge a society that is colorblind and merit based. As of today, it will henceforth be the official policy of the United States government that there are only two genders, male and female. This week I will reinstate any service members who were unjustly expelled from the military for objecting to the Covid vaccine mandate with full back pay. And I will sign an order to stop our warriors from being subjected to radical political theories and social experiments while on duty. It's going to end immediately. Our armed forces will be free to focus on their sole mission—defeating America's enemies. Like in 2017, we will again build the strongest military the world has ever seen.

We will measure our success not only by the battles we win but also by the wars that we end. And, perhaps most importantly, the wars we never get into. My proudest legacy will be that of a peacemaker and unifier. That's what I want to be. A peacemaker and a unifier. I'm pleased to say that, as of yesterday, one day before I assumed office, the hostages in the Middle East are coming back home to their families.

America will reclaim its rightful place as the greatest, most powerful, most respected nation on earth, inspiring the awe and admiration of the entire world. A short time from now, we are going to be changing the name of the Gulf of Mexico to the Gulf of America. And we will restore the name of the great President William McKinley to Mount McKinley, where it should be and where it belongs. President McKinley made our country very rich through tariffs and through talent.

He was a natural businessman and gave Teddy Roosevelt the money for many of the great things he did, including the Panama Canal, which has foolishly been given to the country of Panama after the United States — the United States, I mean, think of this, spent more money than ever spent on a project before and lost 38,000 lives in the building of the Panama Canal. We have been treated very badly from this foolish gift that should have never been made. And Panama's promise to us has been broken. The purpose of our deal and the spirit of our treaty has been totally violated. American ships are being severely overcharged and not treated fairly in any way, shape or form, and that includes the United States Navy. And above all, China is operating the Panama Canal. And we didn't give it to China, we gave it to Panama, and we're taking it back.

Above all, my message to Americans today is that it is time for us to once again act with courage, vigor and the vitality of history's greatest civilization. So as we liberate our nation, we will lead it to new heights of victory and success. We will not be deterred. Together, we will end the chronic disease epidemic and keep our children safe, healthy and disease free. The United States will once again consider itself a growing nation, one that increases our wealth, expands our territory, builds our cities, raises our expectations and carries our flag into new and beautiful horizons. And we will pursue our manifest destiny into the stars, launching American astronauts to plant the Stars and Stripes on the planet Mars.

And it's the lifeblood of a great nation. And, right now, our nation is more ambitious than any other. There's no nation like our nation. Americans are explorers, builders, innovators, entrepreneurs and pioneers. The spirit of the frontier is written into our hearts. The call of the next great adventure resounds from within our souls. Our American ancestors turned a small group of colonies on the edge of a vast continent into a mighty republic of the most extraordinary citizens on Earth. No one comes close. Americans pushed thousands of miles through a rugged land of untamed wilderness. They crossed deserts, scaled mountains, braved untold dangers, won the Wild West, ended slavery, rescued millions from tyranny, lifted millions from poverty, harnessed electricity, split the atom, launched mankind into the heavens and put the universe of human knowledge into the palm of the human hand. If we work together, there is nothing we cannot do and no dream we cannot achieve.

Many people thought it was impossible for me to stage such a historic political comeback. But as you see today, here I am. The American people have spoken. I stand before you now as proof that you should never believe that something is impossible to do. In America, the impossible is what we do best. From New York to Los Angeles, from Philadelphia to Phoenix, from Chicago to Miami, from Houston to right here in Washington, D.C., our country was forged and built by the generations of patriots who gave everything they had for our rights and for our freedom. They were farmers and soldiers, cowboys and factory workers, steel workers and coal miners, police officers and pioneers who pushed onward, marched forward and let no obstacle defeat their spirit or their pride. Together they laid down the railroads, raised up the skyscrapers, built great highways, won two world wars, defeated fascism and communism, and triumphed over every single challenge that they faced.

After all we have been through together, we stand on the verge of the four greatest years in American history. With your help, we will restore an American promise and we will rebuild the nation that we love. And we love it so much. We are one people, one family and one glorious nation under God. So to every parent who dreams for their child and every child to dreams for their future: I am with you, I will fight for you and I will win for you. And we're going to win like never before.

In recent years, our nation has suffered greatly. But we are going to bring it back and make it great again. Greater than ever before. We will be a nation like no other. Full of compassion, courage and exceptionalism. Our power will stop all wars and bring a new spirit of unity to a world that has been angry, violent, and totally unpredictable.

America will be respected again and admired again, including by people of religion, faith and goodwill. We will be prosperous. We will be proud. We will be strong and we will win like never before. We will not be conquered. We will not be intimidated. We will not be broken. And we will not fail.

From this day on, the United States of America will be a free, sovereign and independent nation. We will stand bravely. We will live proudly. We will dream boldly, and nothing will stand in our way. Because we are Americans. The future is ours. And our golden age has just begun.

Thank you. God bless America. Thank you all. Thank you.


AP通信のフォトグラファー、エバン・ブッチ氏の「奇跡の一枚」。トランプ前大統領は7月13日の選挙集会で銃撃された直後、拳を上げて強さをアピールした


翻訳文

副大統領バンス、スピーカー・ジョンソン、セネター・スーン、ロバーツ最高裁長官、最高裁判所の裁判官、クリントン元大統領、ブッシュ元大統領、オバマ元大統領、バイデン元大統領、ハリス副大統領、そして市民の皆さん:

アメリカの黄金時代は今始まる。これから私たちの国は繁栄し、世界中で再び尊敬される。私たちはすべての国に羨ましがられる存在になる。もはや、他者に利用されることは許さない。

トランプ政権の間、私は常にアメリカを第一に考える。我々の主権を取り戻し、安全を回復し、正義のバランスを再調整する。司法省や政府の不当な武器化を終わらせ、誇り高く繁栄し自由な国を築くことが最優先だ。

アメリカは今よりも大きく、強く、例外的になる。私は国家の成功の新しい時代の始まりを信じている。変化の潮流が国を揺るがしている。だが、まずは直面している課題について正直でなければならない。信頼の危機が政府を襲っている。長年にわたり、腐敗した体制が市民から権力と富を奪ってきた。

我々の国は、緊急時に基本的なサービスを提供できなくなっている。たとえば、ノースカロライナの人々はひどい扱いを受けている。また、ロサンゼルスでは火災が続いている。これらの問題を放置するわけにはいかない。公共の健康システムは機能せず、教育システムは子供たちに国を嫌わせている。これらは今日から変わる。

最近の選挙は、ひどい裏切りを完全に覆すための権限であり、市民に信頼、富、民主主義、自由を取り戻させる。これからアメリカの衰退は終わる。

我々の自由と国の栄光ある運命は再び否定されず、政府の誠実さ、能力、忠誠心をすぐに取り戻す。過去8年間、私は多くの試練に直面したが、それを通じて多くを学んだ。そして、私の人生はアメリカを再び偉大にするために救われた。

私たちは、すべての危機に対して力強く、威厳を持って対応する。我々は、すべての人々の希望、繁栄、安全、平和を取り戻すために行動する。2025年1月20日は解放の日だ。

今後の選挙が国にとって最も重要な選挙として記憶されることを期待している。支持は急速に広がっており、すべての社会層から支持を得ている。黒人やヒスパニックのコミュニティからの愛と信頼に感謝する。

今日、私たちはマーティン・ルーサー・キングの日を祝う。彼の夢を実現するために一緒に努力する。国家の団結が戻り、自信と誇りが高まっている。私の政権は優れた成果を追求し、国を忘れず、憲法を守り、神を忘れない。

今日、私は歴史的な行政命令に署名する。南部国境で国家緊急事態を宣言し、すべての不法入国を即座に停止する。犯罪者を母国に送り返すプロセスを始める。カートルを外国のテロ組織として指定し、連邦と州の法執行機関の力を使って外国のギャングと犯罪ネットワークを排除する。

私は最高司令官として国を守る責任がある。インフレを抑えるために、閣僚にあらゆる力を使わせる。アメリカは再び製造業国となり、他国にない豊富な石油とガスを活用する。グリーンニューディールを終わらせ、自動車産業を守る。

貿易システムを見直し、アメリカ市民を豊かにするために外国に課税する。アメリカンドリームは再び復活する。政府の効率性を高める新しい省を設立する。

政府の検閲を停止し、自由な言論を復活させる。憲法と法の下で公平な正義を回復し、法と秩序を都市に戻す。人種や性別を社会に持ち込む政策を終わらせ、二つの性別、男性と女性のみを公式に認める。

我々は、アメリカを最強の軍事力に再建する。成功は戦争を終わらせることによって測る。我々は最高の国としての地位を取り戻し、世界の尊敬を集める。アメリカは再び偉大な国になる。 


米東部ペンシルベニア州にあるファストフード大手マクドナルドの店舗で、フライドポテトを提供するトランプ前大統領=2024年10月20日


英語学習者に向けて

トランプ氏の演説には、TOEIC学習者にとって重要な単語や表現が多く含まれています。以下にいくつかのポイントを挙げて解説します。

1. Key Vocabulary (重要単語)

  • Mandate (権限) これは「権限」や「委任」という意味で、選挙や政治的な文脈でよく使われます。TOEICでは、ビジネスや政治関連の文書で見かけることがあるため、しっかり理解しておくと良いでしょう。

  • Sovereignty (主権) 国家の独立性や権利を指す言葉です。国際関係や政治の文脈でよく登場します。

  • Prosperity (繁栄) 経済的な成功や豊かさを表す言葉です。ビジネスの文脈で使用されることが多いので、覚えておくと役立ちます。

  • Integrity (誠実さ) 誠実であることや一貫性を意味します。職場やビジネスでの信頼性に関わる重要な概念です。

2. Important Expressions (重要表現)

  • "America First" (アメリカ第一) これはアメリカの利益を最優先するという政策の標語です。TOEICでのビジネス戦略や方針を説明する際に使える表現です。

  • "We will not allow ourselves to be taken advantage of" (利用されることは許さない) これは自己防衛や強い意志を示す表現です。ビジネスシーンでの交渉や契約の際に、自分の立場を明確にする際に使えます。

  • "Reclaim our Republic" (共和国を取り戻す) 政治的な文脈での「取り戻す」という表現は、再建や復興を意味します。ビジネスの文脈でも、失ったものを取り戻す際に使える表現です。

3. Contextual Understanding (文脈の理解)

  • Crisis of trust (信頼の危機) これは政府や組織が市民や顧客の信頼を失っている状況を指します。TOEICでは、顧客サービスやビジネス倫理に関連する問題で登場することがあります。

  • "Unity and pride" (団結と誇り) 組織やチームの団結を強調する表現です。TOEICではチームワークやリーダーシップに関する問題で役立つフレーズです。

4. Listening and Comprehension Skills (リスニングと理解力)

  • トランプ氏の演説では感情や強い意志を表現するために、イントネーションや強調されている部分があります。冒頭に掲載した、動画を参考にして、これらを聴き取りましょう。TOEICのリスニングセクションでは、話者の意図を理解するために、こうした感情のニュアンスを捉えることが求められます。

これらの単語や表現を理解し、使えるようにすることで、TOEICのスコア向上に役立ちます。また、政治やビジネスの文脈での会話や文章理解がスムーズになるでしょう。


保守派に向けて


トランプ氏の就任演説には、保守派がよく用いる英語表現やフレーズが多く含まれています。以下にいくつかの重要な表現を挙げ、それに関連する用い方や例文を示します。

1. "America First" (アメリカ第一)

  • 用い方: 自国の利益を優先する姿勢を示すフレーズです。保守派の政策や意見を表現する際に頻繁に使用されます。

  • 例文: "In our trade negotiations, we must always remember the principle of America First to protect our workers and industries." (私たちの貿易交渉では、常にアメリカ第一の原則を忘れず、労働者と産業を守る必要があります。)

2. "Restore Law and Order" (法と秩序を回復する)

  • 用い方: 社会の安全や治安を重視し、犯罪を抑制する方針を強調する際に使われます。

  • 例文: "We need to take strong action to restore law and order in our cities to ensure the safety of all citizens." (私たちは、すべての市民の安全を確保するために、都市で法と秩序を回復するために強力な行動を取る必要があります。)

3. "Protect our Borders" (国境を守る)

  • 用い方: 移民政策や国防に関連する文脈で、自国の国境を守ることの重要性を訴える際に使用されます。

  • 例文: "It is essential that we implement strict measures to protect our borders and prevent illegal immigration." (我々の国境を守り、不法移民を防ぐために厳格な措置を講じることが不可欠です。)

4. "Defend our Values" (我々の価値を守る)

  • 用い方: 自国の文化や伝統的な価値観を守ることの重要性を訴える際に使われます。

  • 例文: "As a nation, we must unite to defend our values and ensure that future generations inherit a free and prosperous society." (国として、我々の価値を守り、将来の世代が自由で繁栄した社会を受け継ぐことを確保するために団結しなければなりません。)

5. "Economic Prosperity" (経済的繁栄)

  • 用い方: 経済の成長や繁栄を強調する際に用いられ、特に仕事の創出や産業の復興に関連します。

  • 例文: "Our policies will focus on fostering economic prosperity for all Americans through job creation and support for small businesses." (我々の政策は、雇用創出と中小企業支援を通じて、すべてのアメリカ人の経済的繁栄を促進することに焦点を当てます。)

6. "Patriotism" (愛国心)

  • 用い方: 国家への誇りや愛国心を強調する際に使われ、特に保守派の演説でよく見られます。

  • 例文: "We must instill a sense of patriotism in our youth, teaching them the importance of serving and protecting our country." (私たちは若者に愛国心を植え付け、国を守り、奉仕することの重要性を教える必要があります。)

これらの表現は、保守派の政治的立場や価値観を伝えるための重要な手段です。演説や文章でこれらのフレーズを効果的に使用することで、メッセージを強調し、聴衆に影響を与えることができます。



トランプ氏のシンプルで力強い話し方は、ビジネスにおいても非常に参考になります。理解しやすさ、力強さ、自信、感情の訴えを意識することで、コミュニケーションの効果を高め、より良い関係を築くことができるでしょう。これらの要素を取り入れることで、ビジネスシーンでの成功を促進することが可能です。

日本の保守派にとって、他国の保守派とのコミュニケーションに英語は不可欠です。トランプ氏の演説は、共通の価値観を共有するための参考になります。彼のシンプルで力強い表現は、国際的な場での効果的なコミュニケーションに役立ちます。また、感情に訴える要素を取り入れることで、聴衆とのつながりを強化することができます。さらに、トランプ氏が示した明確な立場は、国際問題に対する一貫した姿勢を持つ重要性を教えてくれます。これらの要素を学ぶことで、日本の保守派は他国との連携を強化し、国際社会での影響力を高めることができるでしょう。

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アングル:トランプ次期米政権、LGBTQなど「政府用語」も変更か―【私の論評】アイデンティティー政治の弊害とトランプ政権の政策変更   2025年1月12日

2025年1月15日水曜日

「多様性」メタ、マクドナルド、アマゾンが後ろ向きに パリ五輪でも波紋、日本への影響は―【私の論評】個性を尊重しながらも、共通の価値を見出し、連帯感を育む社会を目指せ

 「多様性」メタ、マクドナルド、アマゾンが後ろ向きに パリ五輪でも波紋、日本への影響は

まとめ
  • 米主要企業が多様性を尊重するDEI(多様性、公平性、包摂性)に関する取り組みを廃止または縮小している。
  • トランプ次期大統領の影響を受けて、企業がこれまでの施策見直しを進めているとみられる。
  • 米国での動きが日本企業にも影響を及ぼし、トヨタや日産はDEIの取り組みを継続するが、特定の評価基準への参加を取りやめる意向を示している。
  • 昨夏のパリ五輪では、多様性をテーマにした演出が批判を受け、社会での対立を引き起こしている。
  • DEI施策が「逆差別」との批判を浴び、保守系活動家がDEIを掲げる企業へのボイコットを訴える動きが見られる。
DEIは一見いいことずくめのようにも見えるが、現実はそうではない

米主要企業が多様性を尊重する活動を後退させる動きを見せている。特に、IT大手メタがDEI(Diversity, Equity, Inclusion:多様性、公平性、包摂性)に関する社内の取り組みを廃止すると従業員に伝えたことが報じられた。アマゾンやマイクロソフトも同様に、多様性に配慮した取り組みを縮小する意向を示している。例えば、マイクロソフトは2024年7月にDEIチームを解散したとされている。

さらに、マクドナルドは2025年1月6日にDEIに関する方針を変更すると発表したが、同社は「DEIへの取り組みは揺るがない」としつつも、多様性確保の目標を廃止することを明言している。ウォルマートやフォード・モーターもDEI施策の見直しを行っているとのことだ。これらの動きは、トランプ次期大統領の影響を受けているとの見方もあり、アメリカ国内での事業活動を行う日本企業も影響を受ける可能性がある。実際、トヨタ自動車や日産自動車はDEIの取り組みは継続するものの、LGBTQの人権団体が実施する「企業平等指数」への参加を取りやめる意向を示している。

また、近年の多様性をテーマにした出来事として、昨夏のパリ五輪が挙げられる。開会式で、派手なメイクをしたドラァグクイーンや性的少数者が並ぶ演出が波紋を呼び、一部ではキリスト教を揶揄するものと受け取られるなど、批判が集まった。この演出に参加した者は、インターネット上で誹謗中傷を受けたという報道もある。一般社団法人「LGBT理解増進会」の代表理事は、「多様性が暴走している」とのコメントを寄せ、分断をあおるような内容は開会式にふさわしくないと指摘している。

さらに、DEIに関連する問題が競技の場にも影響を及ぼしている。ボクシング女子66キロ級に出場したアルジェリアの選手をめぐり、性別適格検査に不合格となったにもかかわらず五輪で女性として出場が認められたことで、激しい批判を受ける事例も発生している。

このように、多様性を実現するための施策が進む一方で、DEIそのものが「逆差別」との批判を浴びる事態も生じている。保守系活動家らはDEIを掲げる企業の商品ボイコットを訴えるなど、社会における対立が見られる。

今後、米国の有力企業でのDEIに関する揺り戻しが、日本や世界にどのように影響していくかが注目される。企業の多様性への取り組みがどのように変化し、社会全体にどのような影響を及ぼすのか、引き続き観察が必要だ。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】個性を尊重しながらも、共通の価値を見出し、連帯感を育む社会を目指せ

まとめ
  1. DEI(多様性、公平性、包摂性)の取り組みには成功と失敗の事例があり、特にエンターテインメント業界でその影響が顕著である。
  2. ゲーム「Concord」は、DEIの理念を過剰に取り入れた結果、キャラクターの魅力が損なわれ、わずか2週間でサービス終了に至った。
  3. ハリウッド映画や音楽業界でも、DEIを強調するあまりストーリーやキャラクターが薄くなり、観客からの支持を失った事例が多い。
  4. 一方で、DEIを意識しない成功事例も存在し、映画「トップガン:マーヴェリック」やゲーム「黒神話:悟空」などが高い評価を得ている。
  5. DEIとアイデンティティ政治は関連しているが、共通の権利と責任を重視する市民としての視点が重要であり、特定のグループに偏りすぎることなく、全体の調和を考えたアプローチが求められる。この視点を持つことで、未来の社会はより調和の取れたものとなるだろう。
企業におけるDEI(多様性、公平性、包摂性)の取り組みには、近年では失敗事例が顕著になってきた。特に、ゲーム、映画、音楽、アニメといったエンターテインメント業界では、その影響が顕著に表れている。

失敗の代表作となったゲーム「CONCORD」

まず、ゲーム業界の代表的な失敗事例として「Concord」が挙げられる。このゲームは、DEIの理念を過剰に取り入れた結果、キャラクターの魅力が損なわれてしまった。開発に8年をかけながら、発売からわずか2週間でサービス終了が決定するという悲劇を迎えた。プレイヤーが魅力を感じられないキャラクターが多く存在し、興味を失ったことが要因である。特に、キャラクターのデザインが「政治的正しさ」を追求するあまり、個性が薄れてしまったことが問題視された。

次に、ハリウッド映画でも同様の傾向が見られる。DEIを強調した作品が増える中、一部の映画はその影響でストーリーやキャラクターの深みが失われたとの批判を受けている。具体的には、映画「ウィッチャー」や「アラジン」がその例であり、特にキャスティングが多様性を重視するあまり、オリジナルの魅力が損なわれたという意見がある。また、「チャーリーズ・エンジェル」のリブート版も、DEIを意識した結果、ストーリーが薄くなり、観客からの支持を得られなかった。

音楽業界でも、DEIの取り組みが影響を及ぼしている。特定のアーティストやジャンルに焦点を当てることで、他の才能を見過ごす事例が増えている。米国の音楽祭や受賞式において、DEIを意識したプログラムが批判を受けることがあり、「多様性のための多様性」が逆に質を低下させる結果となることもある。具体的には、グラミー賞における選考過程が挙げられ、「DEIを重視しすぎるあまり、実力あるアーティストが評価されない」との声が上がっている。

一方で、DEIを取り入れなかった成功事例も存在する。「黒神話:悟空」はその代表例である。このゲームは、DEIの理念を意識せず、魅力的なキャラクターとストーリーに焦点を当てたことで成功を収めた。特に、中国市場での売上が好調であり、多様性を狙った作品が必ずしも成功するわけではないことを示している。

映画「トップガン:マーヴェリック」も、DEIを過度に意識せず、ストーリーとキャラクターの魅力を重視することで大ヒットを記録した。観客は、伝統的なテーマやキャラクターに共感し、興行収入も成功を収めた。これにより、必ずしもDEIを強調する必要がないことが示された。「Disney」は、DEI施策を強化した結果、特定の作品が興行収入で期待を下回る事態が発生した。「スターウォーズ」シリーズの最新作「スカイウォーカーの夜明け」は、キャラクターの多様性を強調しすぎたため、従来のファン層からの支持を失ったとの評価がある。

一方、日本の「ゴジラ-1.0」は従来のゴジラシリーズの魅力を維持しつつ、新しいストーリーを展開することで観客を引きつけた。この作品は、過去のキャラクターやテーマを尊重しながらも、新しい視点を取り入れることで成功を収めた。また、「進撃の巨人」や「東京リベンジャーズ」といったアニメ作品も、キャラクターの個性やストーリーの深みを重視し、多様性を強調しすぎないことで高い評価を得ている。


さらに、DEI導入により企業経営に悪影響を受けた具体的な事例も存在する。たとえば米国の飲料メーカー「Coca-Cola」は、DEIに基づく研修プログラムを導入した結果、社内の対立が激化し、従業員の士気が低下したとの報告がある。一部の従業員は、研修内容が「逆差別」と感じられるものであったと述べており、企業文化に悪影響を及ぼしているとの指摘がなされている。

さらに、DEIは企業業績だけではなく、社会に大きな影響を及ぼすことも忘れてはならない。DEIとアイデンティティ政治は密接に関連している。DEIは、さまざまな背景を持つ人々が平等に参加できる環境を整えることを目指し、特定のアイデンティティを尊重する。一方で、アイデンティティ政治は特定のグループの権利や利益を擁護する政治的アプローチであり、歴史的に抑圧されてきたコミュニティの権利を主張する。

両者は共通して多様性の尊重と平等を求めているが、DEIはより広範な多様性を促進することを重視している。また、DEIの施策はアイデンティティ政治の影響を受けることが多く、特定のグループのニーズが考慮される場合もある。しかし、アイデンティティ政治の影響を受けすぎると、逆に分断を生むという批判も存在する。

このように、DEIとアイデンティティ政治は互いに関連しながらも、実施方法やアプローチに関してはさまざまな議論がある。その対極に位置するのが、米国市民としての権利・義務や市民としての連帯感である。この市民としての視点は、すべての市民が共通して持つ権利と責任を重視し、国の一員としての連帯感を育むことを目的としている。

特に、アメリカの建国理念に根ざした「すべての人は平等に創られている」という考え方は、アイデンティティ政治とは異なる市民としての連帯感を強調している。この具体的な事例として、アメリカの公民権運動が挙げられる。この運動は、人種や性別に関係なく、すべての市民が平等に扱われるべきだという理念に基づいており、個々のアイデンティティを超えた共通の権利を主張した。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの有名な「I Have a Dream」スピーチでは、「人種の違いを超えて、すべての人が共に生きる社会」を目指す姿勢が示されている。このように、共通の権利と責任を重視する視点は、社会の調和や発展に寄与する。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの有名な「I Have a Dream」スピーチ

無論公民権運動が時には暴力的な手段を取ったことで、その正当性について疑問を呈す人も存在するが、少なくても「人種の違いを超えて、すべての人が共に生きる社会」という理念を否定はできないだろう

近年の米国の社会運動においては、特定のグループに偏らない普遍的な価値観である米国市民としての視点が失われ、過度に暴力的となり、社会全体の調和や発展が妨げられるようになった。DEIやアイデンティティ政治の議論が続く中で、共通の権利と責任を重視する視点を忘れずに、より包括的で調和の取れた社会を築くことが重要である。これは単なる揺り戻しではなく、社会の再構築である。これに対して、トランプ政権がどの程度切り込むことができるか、注目が集まっている。

日本でも、日本国民としての共通の権利と責任を重視する視点を忘れずに、より包括的で調和の取れた社会を築くべきである。無節操なDEIやアイデンティティ政治を拙速に進めるべきではない。多様性を尊重しつつも、国民全体が共有する価値観を大切にすることで、より健全な社会を目指すことが可能になるのだ。これこそが、未来の社会に必要な視点であり、すべての人々が共に生きる道を切り開く鍵となる。

結局のところ、DEIやアイデンティティ政治は、適切にバランスを取らなければ、逆に社会の分断を招く危険性がある。特定のグループに偏りすぎることなく、全体の調和を考えたアプローチが求められている。私たちが目指すべきは、個々の違いである個性を尊重しながらも、古から存在する日本の共通の価値や文化、美意識を再認識し、我々の先達がそうだったように、新しい価値観は十分に吟味し、咀嚼したうえで受け入れられるものは受け入れつつ、現代社会に適応しつつ、連帯感を育む社会である。この道を選ぶことで、私たちの未来はより明るいものとなるだろう。 

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2025年1月12日日曜日

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アングル:トランプ次期米政権、LGBTQなど「政府用語」も変更か

まとめ
  • トランプ次期政権では、気候変動やLGBTQ+に関する文言が削除される可能性が高い。
  • 移民問題では「不法在留外国人」という用語が復活し、「書類のない移民」や「非市民」という表現が廃止される見込み。
  • トランプ氏の政権下で、気候変動に関する情報が削除され、環境正義が軽視されることが予想される。
  • LGBTQ+の権利に関しても、政府の言及が減少し、トランスジェンダー問題が抹消される危険性がある。
  • トランプ氏は「常識的な政策」を掲げ、教育やトランスジェンダー手術に関する方針を変更する意向を示している。
トランプ新大統領

トランプ次期大統領の政権下で、アメリカの政策や政府の文言が大幅に変更される見込みである。特に、気候変動やLGBTQ+の権利に関する記載が政府の公式ウェブサイトや文書から削除される可能性が高いとされている。専門家は、移民問題においても、従来の「書類のない移民」や「非市民」といった表現が廃止され、「不法在留外国人(illegal alien)」という用語が復活する見込みである。

トランプ政権の初回就任時にも、気候変動に関する情報が削除される事例が見られた。環境データ&ガバナンス・イニシアチブのグレッチェン・ゲルケ氏は、今回の政権でも同様の「ストレートな削除」が行われる可能性が高いと指摘している。特に、「正義」に関する文言は全て削除されると予想されており、気候変動や「多様性、公平性、包摂(DEI)」に関する政策が重大な変化をもたらすことが懸念されている。

移民に関する表現の変更については、「不法」という用語が使用されることにより、犯罪性を連想させるとの指摘がある。非営利団体の米移民評議会の政策ディレクター、ネイナ・グプタ氏は、不法移民が経済や地域社会に貢献しているという現実が軽視されることを懸念している。

また、トランスジェンダーに関する問題についても、トランプ氏の前回の政権時に言及が減少したことがあり、今回も同様の措置が取られる可能性が高いとされている。保守派の活動家たちは、「性的指向」や「性自認」といった用語を連邦規則や法律から削除するよう求めている。LGBTQ+の権利を擁護する団体のデービッド・ステイシー氏は、トランスジェンダーを社会から抹消しようとする動きが強まる危険性があると述べている。

トランプ氏の政権移行チームの報道官は、具体的な計画について明確には答えていないが、教育現場での性に関する議論の廃止や、連邦刑務所の受刑者に対する税金によるトランスジェンダー手術の廃止が政策に含まれるとされている。また、調査によると、LGBTQ+コミュニティーの保護に対する国民の支持は依然として強いが、今後の政策変更がその状況にどのように影響を与えるかが注目されている。

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【私の論評】アイデンティティー政治の弊害とトランプ政権の政策変更

まとめ
  • トランプ政権は、バイデン政権によるアイデンティティー政治の弊害を取り除くための文言の変更や政策見直しを行っている。特定のグループの権利を強調するアイデンティティー政治は、社会全体の統一感を損ない、分断を深める危険がある。
  • アイデンティティー政治の対極として、米国市民としての権利・義務や連帯感が重要であり、全体の利益を考慮した政策形成が求められている。
  • バイデン政権は国境の安全を強化しながらも、移民問題に対して柔軟な姿勢を取るなど、アイデンティティー政治の限界を示した。
  • バイデン政権のアプローチが多くの有権者に受け入れられず、昨年の大統領選ではトランプ氏の政策が再び支持を集める結果となった。

ホワイトハウスに掲げられたLGBTQの権利を主張するレインボー旗

トランプ政権が実施しようとする、文章の文言の変更などは、バイデン政権によって推し進められてきた、アイデンティティー政治の弊害を取り除こうとする正当な試みの一環である。

アイデンティティー政治とは、特定の人種、性別、性的指向、宗教などの社会的アイデンティティに基づいて政治的な立場や政策が形成されることを指す。このアプローチは、特定のグループの権利や利益を強調する一方で、社会全体の統一感を損なう可能性がある。この手法における、政策は政策というより、社会工学実験に近いものになりがちだ。民主党政権下では、アイデンティティー政治が強調されることで対立が深まり、社会的な分断が進行したとの批判が多く見られる。例えば、バーニー・サンダースやヒラリー・クリントンの選挙キャンペーンでは、特定のマイノリティグループの権利が強調される一方で、白人労働者層の不満が無視され、結果として彼らの支持を失ったという事例がある。 トランプ政権が実施しようとしている文言の変更や政策の見直しは、こうしたアイデンティティー政治の弊害を取り除こうとする試みと捉えられる。気候変動やLGBTQ+の権利に関する表現の見直しは、特定のグループの利益を優先するのではなく、全体の利益を考慮した政策形成を目指すものである。

気候変動に関しては、現実には温暖化はゆっくりとしか進んでいないし、その影響で災害が増加しているとは断言できない。温暖化の理由の一部はCO2だが、それ以外の要因も大きく、CO2の大幅排出削減は「待ったなし」ではないという見方もある。気候変動の複雑さと不確実性を考慮すると、多様な視点を持つことは重要である。多様な視点を完全否定することこそ、危険である。それこそ、ファシズムになりかねない。
移民問題において「不法在留外国人」という用語を使用することは、法の遵守を重視し、国民全体の安全や秩序を守るための措置と見なされる。例えば、トランプ氏は国境の安全を強化するために壁の建設を公約として掲げ、多くの支持を集めた。
アイデンティティー政治の対極にあるのは、米国市民としての権利・義務や市民としての連帯感である。米国市民としての視点は、すべての市民が共通して持つ権利と責任を重視し、国の一員としての連帯感を育むことを目的としている。この視点は、特定のグループに偏らない普遍的な価値観に基づいており、社会全体の調和や発展に寄与する。例えば、アメリカの建国理念である「すべての人は平等に創られている」という考え方は、アイデンティティー政治とは異なる市民としての連帯感を強調している。

米国独立宣言 クリックすると拡大します
トランプ政権の政策変更は、市民としての連帯感を再強調し、アイデンティティー政治の弊害を克服する正当な試みである。これにより、特定のグループの利益を優先するのではなく、すべての市民が共通して享受する権利を重視した政策形成が進むことが期待されている。これに関連するエピソードとして、トランプ氏の支持者の多くが「アメリカファースト」を掲げ、国民全体の利益を考慮した政策を求めていることが挙げられる。実際、彼の政権下では、低所得層や中間層の税負担を軽減する税制改革が実施された。 こうした背景の中、トランプ政権が成立したのは、アイデンティティー政治に対する反発とともに、米国市民としての連帯を重視する声が高まった結果でもある。多くの有権者は、国民全体の利益を考慮した政策を求め、特定のグループに偏らないアプローチを支持するようになった。この流れが、トランプ氏の支持基盤を形成し、彼の政権成立に寄与したと考えられる。特に、2016年の選挙では、経済的に困窮していた地域の白人労働者層がトランプ氏に票を投じたことが、彼の勝利に大きく寄与したとされている。このような選挙結果は、アイデンティティー政治からの脱却を求める国民の声を反映している。 2024年の選挙では、トランプ氏の支持基盤は依然として強固であり、アイデンティティー政治に対する反発が彼の支持を支える要因となった。特に経済的に困窮している地域の有権者が彼を支持し、彼の政策がその地域における経済的利益を代表するものとして受け入れられた。全体として、2024年の選挙は、アイデンティティー政治と市民としての連帯感の対立が再び浮き彫りになる重要な場面となり、トランプ氏の政策が国民に受け入れられる一因となった。 バイデン政権は、トランプ政権の政策を一部引き継ぐ形で国境の安全を強化する方針を示し、壁の建設に関する計画を継続した。このことは、アイデンティティー政治を重視する民主党が、実際には国民の安全や秩序を守るための現実的な政策に頼らざるを得ないことを示している。バイデン氏は、移民問題に対して柔軟な姿勢を取ると公言しながらも、国境の安全を強化する必要性を認めている。この矛盾は、彼の政権がアイデンティティー政治に基づくアプローチの限界を示している。 また、バイデン政権は、経済政策においてもアイデンティティー政治の影響を強く受けており、その結果として中間層や低所得層への具体的な支援が不足しているとの批判がある。特に、インフレや生活費の高騰に対する具体的な対策が不十分であるとされ、多くの有権者が不満を抱いている。バイデン政権は、特定のグループの利益を優先するあまり、全体の利益を考慮した政策形成ができていないという指摘が多くなされていた。結局バイデンは、選挙戦に出馬することすら叶わなかった。 アイデンティティー政治の行き着く先は、社会の分断や対立を助長し、最悪のケースでは旧ユーゴスラビアにおけるジェノサイドのような危険な結果をもたらす可能性がある。旧ユーゴスラビアでは、民族や宗教に基づく分断が深まり、最終的にはボスニア・ヘルツェゴビナにおけるジェノサイドなど悲惨な事件が発生した。このような状況を回避するためには、個々のアイデンティティではなく、共通の市民としての連帯感や責任を強調することが重要である。

がれきの山と化した商店街を歩くコソボ解放軍の兵士=1999年、コソボ自治州
これらの要因を踏まえ、2024年の選挙結果は、バイデン政権のアプローチが多くの有権者に受け入れられず、トランプ氏の政策が再び支持を集める結果となったことを示している。バイデン政権のアイデンティティー政治を重視したアプローチは、国民全体の利益を考慮した政策を欠如させ、最終的には政権の支持基盤を揺るがす要因となったのである。

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