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まとめ
- ドナルド・トランプ氏が第47代大統領に就任し、迅速な施策実行のために100本の大統領令に署名した。
- 就任演説では「米国の完全な復活」と「常識の革命」を宣言し、国境での国家非常事態宣言や不法移民対策を強調する。
- 経済政策においては、米国民を豊かにするために関税を課し、記録的なインフレの終息を約束する。
- 中国との関係においては、貿易赤字是正や中国製品の排除を進める考えを示す。
- 日本の石破政権は、トランプ政権と協力関係を強化する意向を示しつつ、中国との関係において難しい選択を迫られる可能性がある。
ドナルド・トランプ氏は20日(日本時間21日未明)に米ワシントンで第47代大統領に就任し、就任演説で「米国の完全な復活」と「常識の革命」を宣言した。就任初日から彼は、前任のジョー・バイデン大統領の政策を覆すことを目的とした多数の大統領令に矢継ぎ早に署名した。その数は100本にも上り、特にバイデン政権下で策定された大統領令の撤回を目指している。
トランプ氏は、演説の中で不法移民の流入を阻止するために国境地帯で「国家非常事態」を宣言し、南部国境に米軍を派遣する意向を明らかにした。具体的には、国境関連の大統領令を10本署名し、軍や国境警備隊を派遣して「壁」の建設を推進する方針である。また、移民に関する犯罪組織を国際テロ組織に指定する考えも示した。
経済面でも、トランプ氏は「米国民を豊かにするために関税を課す」と宣言し、記録的なインフレを終わらせることを約束した。エネルギー分野では「国家非常事態宣言」を行い、化石燃料の増産を図るとともに、地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」からの再離脱を表明した。電気自動車(EV)普及策の見直しも行う意向である。
トランプ氏が大統領令を多用する背景には、環境、気候変動対策、関税、移民問題などを法律を変更せずに大統領レベルでの解釈を通じて取り組む狙いがある。上智大学の前嶋和弘教授は、トランプ氏が大統領令を頻繁に発出することで分断した米国を率いる姿勢を示そうとしていると分析している。
さらに、トランプ氏は中国との関係についても強い姿勢を示しており、貿易赤字の是正に取り組む考えを示している。彼は関税を課すことで長引く貿易赤字の問題に対処し、中国やカナダ、メキシコを特に名指しして是正を迫る狙いがあると見られている。早稲田大学の渡瀬裕哉氏は、トランプ政権が中国製品の排除を進める中で、米国のハイブリッド車などにとっては競争優位を得る機会が生まれる可能性がある。
日本の石破政権はトランプ政権との協力を強調し、「自由で開かれたインド太平洋」という共通の目標を追求する意向を示しているが、トランプ氏との対面会談はまだ実現していない。石破首相は、中国に対しても戦略的互恵関係の推進を確認しているが、トランプ政権の対中政策が今後の日本に与える影響については不透明な部分も多く、困難な選択を迫られる可能性があるとされている。
全体として、トランプ政権の政策変更は、米国のみならず、国際的な関係や経済にも大きな影響を及ぼすことが予想され、特に日本はその中で重要な役割を果たすことが求められるだろう。
【私の論評】戦略なき親中姿勢により、米・中から信頼を失いつつある石破政権
- トランプ大統領の大統領令多用の背景には、任期制限(最長8年)と高齢(78歳)により、迅速な政策実行が必要不可欠であり、大統領令は最も効果的な手段となっている。
- 「米国第一主義」という明確なグランドデザインを実現するため、大統領令を戦略的に活用し、自身のビジョンを迅速に推進している。
- 安倍政権が構築したインド太平洋戦略は、トランプ、バイデン政権を通じて継承され、日米同盟の重要な基盤となっている。
- 現在の石破政権は、明確な戦略なき親中姿勢により、米国からも中国からも信頼を失いつつある。
トランプ氏は日本を重要な同盟国と認識しており、日米関係を損なう動きには容赦なく対応する可能性が高い。
トランプ氏の大統領令乱発には、深い理由がある。その背景を紐解くと、米国の政治システムと彼の個人的な状況が浮かび上がってくる。
まず、任期制限と年齢が大きな要因だ。米国大統領の任期は最長8年。これは1951年に制定された第22修正憲法によるものだ。フランクリン・D・ルーズベルト大統領の4期にわたる長期政権を受けて設けられた制限だ。78歳のトランプ氏にとって、この8年という期間は決して長くない。通常の立法プロセスは時間がかかりすぎる。そこで大統領令が、即効性のある政策実行の手段として浮上するのだ。
さらに、トランプ氏には「米国第一主義」という明確なビジョンがある。これは単なるスローガンではない。米国の将来を描くグランドデザインだ。日本のマスコミが報道するような矮小化されたものでもない。大統領令の多用は、このビジョンを迅速に実現するための手段なのだ。
トランプ氏の大統領令は、後継者や支持者へのメッセージでもある。彼の描く米国の理想形を示し、その政策を法律化する使命を後継者に託す。短期間で重要な政策や改革を実現し、支持者に成果を示すことができるのだ。
日本の立ち位置も、この文脈で重要な意味を持つ。安倍政権が推進したインド太平洋戦略は、トランプ政権、バイデン政権と引き継がれてきた。日本は米国と地域諸国をつなぐ重要な役割を果たしてきたのだ。
安倍晋三氏のインド太平洋戦略は、地域の安全保障と経済発展を促進するためのグランドデザインだった。自由で開かれた秩序の確立、法の支配や人権の尊重を重視し、アメリカとの同盟関係を深め、地域のパートナーシップを強化した。インフラ整備や投資支援にも力を入れ、経済の相互依存を促進した。
この戦略は、トランプ政権に受け継がれ、その理念が強化された。特に中国の影響力拡大に対抗するため、インド太平洋地域での安全保障の重要性が認識され、米国の同盟国との協力が推進された。日本との防衛協力が深まり、自由で開かれたインド太平洋の維持が強調されたのだ。
バイデン政権でも、このインド太平洋戦略は継承された。地域の安定と繁栄を確保するために、同盟関係の強化や多国間協力が重視されている。ASEAN諸国やオーストラリア、インドとの連携を深め、自由貿易や法の支配を基盤にした秩序の維持を目指している。
岸田政権も、この枠組みを継承した。海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」の台湾海峡通過は、その証左だ。これは石破政権への置き土産であり、インド太平洋戦略を後戻りできないようにする布石だった。
しかし、現在の石破政権は方向性を見失っている。親中的姿勢を示しつつも、明確な戦略がない。閣僚レベルでは親中的だが、日米合同軍事演習への参加は続けている。中国軍代表団の来日を許可するなど、一貫性に欠ける行動が目立つ。
石破政権には、インド太平洋戦略に匹敵するグランドデザインがない。アジア版NATOの提唱も思いつきレベルだ。中国とのパートナーシップ強化も具体性に欠ける。親中姿勢も、安倍派への対抗心の裏返しくらいのものでしかない。
結局のところ、米国からも中国からも舐められ、近い将来崩壊する運命だろう。トランプはこれを見透かしているが、日本を重要な同盟国と認識している。日本の軍事力や経済力は、中国と対峙する上で欠くことのできない存在なのだ。
トランプ氏は、日米同盟を損なう動きには容赦なく対応するだろう。グリーンランド買収提案のような大胆な行動も辞さない。残された時間が少ないため、遠慮会釈のない行動をとる可能性が高い。バイデン流の裏工作ではなく、誰の目にも見える露骨な動きをするかもしれない。
日本は、インド太平洋地域における重要な同盟国としての役割を再認識し、明確な戦略を持って対応する必要がある。そうしなければ、米中両国から軽視され、国際的影響力を失う危険性がある。
トランプ氏の大統領令多用は、限られた時間で自身のビジョンを実現するための戦略的手段なのだ。それは単なる政治手法ではなく、米国の将来と国際秩序を左右する重要な動きなのである。日本は、この動きを正確に読み取り、自国の立ち位置を慎重に定める必要がある。そうすることで初めて、激動する国際情勢の中で、日本の国益を守り、世界の平和と安定に貢献できるのだ。
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