まとめ
- 日銀の追加利上げにより、「金利のある世界」が進展し、家計と企業への影響が拡大する
- 預金金利の引き上げで年間約6000億円のプラス効果が期待される一方、住宅ローンや企業向け融資の金利上昇による負担増も懸念される
- 若年層(29歳以下)は特に影響が大きく、年平均4.3万円の負担増が見込まれる
- 主要銀行は短期プライムレートを引き上げ、ローン金利のさらなる上昇が予想される
- 中小企業は金利上昇により資金繰りが悪化し、「息切れ倒産」の増加が懸念される
みずほリサーチの試算によれば、政策金利が0.5%に引き上げられると、家計全体で年間約6000億円のプラス効果が生じる。しかし、多額の負債を抱える世帯においては、1世帯当たり年平均1.5万円の負担増が見込まれ、特に資産形成や住宅ローンの返済が途上にある若年層の影響が顕著である。
また、昨年の前回利上げ後、多くの銀行が基準金利を引き上げており、今後のローン金利のさらなる上昇が予想される。中小企業にとって、金利上昇は資金繰りを圧迫する要因となり、東京商工リサーチの調査では、金利引き上げを打診された中小企業の約58.3%が他行への調達を検討するか借り入れを断念する意向を示している。
このような状況から、2024年の企業倒産は1万6件に達する見込みであり、11年ぶりに1万件の大台を超えるとされている。「金利のある世界」の本格到来に伴い、債務削減や価格転嫁が進まない企業の資金繰りが悪化し、「息切れ倒産」が増える懸念も高まっているのである。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。
【私の論評】日本経済の危機!日銀の悪手が引き起こす最悪のシナリオ!
まとめ
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まとめ
- 2024年の日本経済は、実質GDP成長率が+0.2%とわずかにプラスが見込まれるが、暦年では▲0.3%と厳しい結果が予想されている。
- 個人消費は一時的に増加したものの、実質賃金の伸び悩みが影響し、設備投資も減少している。
- 日銀の利上げが経済や金融市場に与える影響は大きく、企業の資金調達コストが増加し、経済成長が妨げられるリスクがある。
- 円高傾向による輸出減少が懸念され、特にトランプ政権の政策によるリスクが高まっている。
- 日銀は経済実態を見極めた適切な政策運営を行うべきであり、早急に利下げを検討する必要がある。
昨年5月OECDは、日本の24年経済成長率はマイナスと予測。マイナス成長G7で日本だけとした。 |
日本経済は2024年、当初の予想を大きく下回ることになった。最新の予測によれば、2024年度の実質GDP成長率は+0.2%とわずかなプラスが見込まれているが、暦年(1月〜12月)では▲0.3%という厳しい結果が待ち受けている。この成長率は当初の期待を裏切り、経済の脆弱性を如実に示しているのだ。
2024年後半、個人消費は一時的に堅調さを見せた。具体的には、2024年7-9月期の実質個人消費が前期比+0.7%と増加した。しかし、この増加は主に定額減税の影響によるもので、その持続性には疑問が残る。実質賃金の伸び悩みは、消費者の購買意欲を冷やし続けているのだ。設備投資も予想に反して弱く、2024年7-9月期には前期比▲0.2%と減少に転じた。
実質民間内需は、コロナ前(2019年平均)の水準に戻り切れていないが、徐々に改善の兆しが見える。2024年度の個人消費は前年比+0.6%程度と予測されており、緩やかな回復が期待されている。しかし、住宅投資については、2024年7-9月期の新設住宅着工戸数が年率78.3万戸(前期比-4.4%)と減少しており、この分野でも弱さが見られる。
一方、ネットの資金供給は過去最大のプラスとなり、空前のカネ余り状態が続いている。大企業を中心に、多くの企業が潤沢な手元資金を保有しており、日銀の短観調査では銀行の貸出態度は依然として緩和的だ。長期にわたる低金利政策の影響で、金融機関の資金余剰が続き、資金需給によって金利が上昇する状況には至っていない。
銀行の金庫の金余り状態 AI生成画像 |
日銀の金融政策には大きな懸念がある。利上げの実施による政策変更が経済や金融市場に与える影響は計り知れない。経済見通しでは、2025年度の実質GDP成長率が+1.1%、暦年でも+1.1%と、2024年より高い成長が予測されている。しかし、物価上昇率の動向やそれに対する日銀の政策対応次第では、経済への影響は不可避である。
直近のコアコアCPIは、前年同月比で2.4%(令和6年度12月分)上昇であり、24年1月の完全失業率は2.4%(前月2.5%)に低下し、コロナ前(20年2月)以来の低水準となっている。これは景気は、悪くない状態であり、これを敢えて崩す必要性はまったくない。様子をみながら、経済が明らかに毀損される状態が見えた場合対処すべきだ。現在利上げするのは明らかに時期尚早だ。
直近のコアコアCPIは、前年同月比で2.4%(令和6年度12月分)上昇であり、24年1月の完全失業率は2.4%(前月2.5%)に低下し、コロナ前(20年2月)以来の低水準となっている。これは景気は、悪くない状態であり、これを敢えて崩す必要性はまったくない。様子をみながら、経済が明らかに毀損される状態が見えた場合対処すべきだ。現在利上げするのは明らかに時期尚早だ。
にもかかわらず、日銀の2025年1月の追加利上げは、経済実態を無視した政策運営であり、完全な失敗と言わざるを得ない。付利の上昇は、確かに金融機関にとっての利息収入を増やす要因となるが、経済全体にとってのバランスが崩れる危険性がある。企業の資金調達コストが増加する一方で、金融機関が優遇されることで、経済の健全な成長が妨げられる可能性がある。
さらに、利上げは円高傾向になる可能性が高く、これにより輸出削減の可能性も考えられる。ただ、利上げの幅がさほど大きくはないので、あまり影響がないようにもみえるが、トランプ政権の政策によるリスクが高まる中で、日本からの輸出減少が懸念される。
変動型住宅ローン金利の引き上げは、多くの家計に重い負担を強いることが予想され、個人消費をさらに冷え込ませる要因となる。加えて、日銀は昨年12月の会合で利上げを見送ったにもかかわらず、わずか1ヶ月後に利上げに踏み切った。このような政策の一貫性の欠如は、市場の信頼を損なう行為である。
実際、私の知り合いのある中小企業の経営者は、「利上げの影響で融資条件が厳しくなり、資金繰りが苦しくなった」と語る。こうした声は、経済全体に波及する不安感を映し出している。日銀の政策が企業の経営に与える影響は深刻であり、今後の経済運営に対する信頼を揺るがしかねない。
日銀は経済の実態と市場の機能を無視した政策運営を続けており、その判断は完全に誤っていると言わざるを得ない。今後の経済悪化や金融市場の混乱の責任は大部分が日銀にあると言える。しかも、今年の通常国会の招集日は1月26日であり、その直前の1月24日に利上げを公表している。このようなことは、国会開催中に経済対策などが変わるということもあるので、通常はありえない。敢えてこのようなことをしたのは、来年度にも、さらに金利をあげることを示唆している可能性が高い。
このような状況下で、日銀には経済の実態を十分に見極めた上での適切な政策運営が求められている。特に、企業の投資計画や中小企業の資金調達環境に配慮しつつ、長期的な経済成長を支援する政策が必要だ。日銀は透明性の高い政策運営を行い、経済実態に即した柔軟な対応を心がけるべきである。今後さらに段階的利上げということになれば、まさに日本経済の危機を招く。
経済の脆弱性と金融政策の影響を慎重に見極めながら、適切な政策対応が求められる状況が続いている。日銀は早急に政策の見直しを行い、経済実態に即した柔軟な対応に転換すべきである。 まずは、早急に利下げをすべきである。
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