またシー・シェパードにやられっ放し? 捕鯨妨害対策の新法“難航” (この内容をご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)
薬入り瓶などを投げつけるシーシェパード
暴力的な調査捕鯨妨害を繰り返している米国の環境保護団体「シー・シェパード」(SS)を取り締まる新法の法案提出・制定が、困難な情勢となっている。今シーズンの南極海での調査捕鯨開始が月内に迫っているにもかかわらず、政府内で異論が出ており、意見統一ができていないためだ。このままでは、法的な対策が講じられないまま、捕鯨船団は出港することになり、捕鯨関係者は「犯罪行為をしているのはSSなのに、われわれは今シーズンも逃げることしかできないのか」とあきらめ顔だ。
政府関係者によると、新法では、公海上でSS抗議船から暴力的な妨害を受けた際、抗議船への捜査権のある海上保安官の乗り込みや、活動家の逮捕を可能にするほか、「正当防衛」の範囲内で武器使用も認めることが検討されている。
SS抗議船はオランダ船籍で、現行法制では日本側から乗り込んで取り締まることはできないと解釈されてきたが、国連海洋法条約でも、公海上の外国船籍の海賊行為に対して逮捕などが認められていることなどから、内閣官房や外務省、水産庁、海上保安庁などで協議を進め、水面下で法案の骨子も作成した。
しかし、ここにきて外務省などから「捕鯨妨害は『海賊』とはいえない」といった強い慎重論が出たため、結論は先延ばしにされる見通しになった。
政府は今年3月、今シーズンの調査捕鯨までにSS対策の法整備について結論を出す方針だったが、政権が交代。臨時国会の審議状況などを考慮しても、新法制定は極めて難しい状況だ。
SSは昨シーズンも捕鯨船に衝突するなど、暴力的な妨害を繰り返したが、日本側の捕鯨船に乗り込んでこなかったため、取り締まることができなかった。
法整備をめぐる議論については、水面下で行われており、対策をとりまとめている内閣官房は「政治決定する内容なので、官僚がお話しすべきではない」と、民主党政権の方針を理由に説明を拒んでいる。
捕鯨船団側は、抗議船の妨害から回避するための装備強化なども進めているが、関係者は「法的な対策には期待できないとすれば、また、同じことが繰り返され、逃げるしかない。おかしな話だ」と話している。
民主党自らひき起こした社会不安によるブーメランで壊滅か!?
これに先立つ、先月31日産経新聞は、鳩山由紀夫首相がクジラ肉を嫌いだと発言したと伝えました。産経新聞によれば、鳩山首相は26日、首相官邸でオランダのヤンペーター・バルケネンデ(Jan Peter Balkenende)首相と会談した際に「わたしはクジラ肉は大嫌いだ」と発言したといいます。欧米各国の捕鯨批判に反対する立場をとる日本の首相としては異例の発言です。政府高官によると、鳩山首相はクジラ肉を嫌いと言ったものの、バルケネンデ首相に対し、南極での日本の調査捕鯨船へのシー・シェパードの攻撃に対処するよう要請したといいます。
鳩山さんの矛盾した発言が続くことと、この程度の法案すら提出するのに躊躇する民主党を見ているとは、以前このブログで書いたように、民主党はやはりブーメラン効果で壊滅するのではないかという気がします。明らかな違法行為に、断固たる処置を取ろうとしない政府に国民は、どう評価するというのでしょうか?もし、次回に南氷洋でけが人など出たら、大変なことになります。
考えてみれば、民主党、野党の時代には、政権奪取のために、自民党に対して重箱の隅をつつくように、あれこれ糾弾していました。その糾弾の中には、自民党をつつくだけではなく、日本という国そのものに対する糾弾もあったと思います。それによって、民主党は、日本国内で社会不安を煽ったという面は否定できないと思います。
たとえば、年金問題に関しても、不安を煽りに煽って、社会不安を増長しました。この年金問題アメリカでは、年に3万件ほど年金に関する事務手続きの誤りが発生しているそうです。アメリカでは、これに対処するため、誤りが発生したときにどうすべきか決めて、これによる混乱を回避しています。簡単にいうと、経理に詳しい方ならわかるでしょうが、いわゆる経理の損金勘定のようなものを定めています。人間がやることですから、誤りはつきものです。それが発生したとしても、それを回避するシステムを構築しておけば、混乱することもないと思います。これに関しては、自民党も対応を誤ったと思います。最後の一人まで、誤りを是正するなどという考えは愚の骨頂といわざるをえません。そのために人件費をかけていたら、本末転倒です。
また、赤字国債を発行すれば、子々孫々まで借金を残してしまうというようなものもありました。発行高にもよりますが、100兆円くらいなら発効しても、子々孫々まで借金を残すなどということは、日本ではあり得ないことです。もし、この程度で財政破綻をするなら、アメリカなどとっくに破綻しています。何か、日本という国があっという間に財政破綻をおこすように、糾弾していたのを思い出します。これだけ、国内に金余りの国はないというのに・・・・・・。糾弾するのであれば、日本国内にこれだけ余剰の金がギッシリと詰まっているのに、それが市場に出回らない状況を糾弾するべきでした。
脱官僚政治も大きなブーメランの一つだと思います。日銀の総裁を決定するときにあれほど、官僚出身者を忌避したというのに、日本郵政株式会社の社長をはじめとする取締役の中に3人もの元官僚が含まれていたということは、民主党にもどうにも、説明のつけられないことだと思います。
官僚のなかにもいろいろ種類があって、無能でどうしようもない官僚もいれば、有能で誠実な人もいます。私は、天下りなどの問題は、官僚という人自体の問題ではなく、システムの問題だと思います。民主党のいう「脱官僚」は、どちらかというと、官僚という人に問題の重きを置いているのだと思います。しかし、現実にはやはり、人ではなくシステムが問題なので、このような矛盾が生じたのだと思います。
9月3日には、米国のカート・キャンベル(Kurt Campbell)国務次官補(東アジア・太平洋担当)は2日、日本の官僚に対する風当たりが民主党(Democratic Party of Japan、DPJ)の衆院選圧勝で高まっている風潮について、「衆院選後、最も懸念している問題の1つ」だと述べています。
キャンベル氏はワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies、CSIS)で行った講演で、米政府の政策ではなく個人的意見だと強調。その上で、「個人的経験から助言すると、わたしが日本でともに仕事をした中で最も素晴らしかった専門家の何人かは官僚だった」「官僚たちが敵視され追いやられる様は見たくない」などと語りました。
また、あの経営学大家ドラッカー氏も、彼の最後の著作「ネクスト・ソサエティー(2002年刊行)」で特に日本の官僚に関して、以下のような仮説を掲載しています。
-------------------------------------------------------------------------------
第一が、日本の官僚の優位性はほとんどあらゆる先進国で見られるとの仮説である。アメリカといくつかのあまり人口の多くない英語圏の国、すなわち、オーストラリア、ニュージーランド、カナダのほうが例外である。日本の官僚の優位性は、他の先進国、特にフランスに比べるならまだまだ劣っている。
第二が、日本の官僚は、われわれが考えるよりもはるかに耐久力があるというものである。日本の官僚は、長年の不祥事と無能の暴露にもかかわらず権力を維持してきた。
第三が、先進国では、アメリカを別として、社会の維持にはエリートの指導力が必要されているというものである。後を継ぐべき者が現れないかぎり、既存の指導層に頼らざるを得ない。今日の日本には、官僚の後を継ぐものは現れそうにない。
第四が、日本では先送り戦略が有効であるというものである。日本は、この40年間、解決不能とされていた社会的な問題を、問題の解決よりもむしろ先送りによって二度までも解決してきた。もちろん今日の金融システムにおける構造上の脆弱さと資金的な余力を考えれば、今度ばかりは先送り戦略はうまくいかない。しかし経験的には、日本の先送り戦略には一概に不合理とはいえないものがある。
第五が、日本の政治家、官僚、経済界などの政策形成者にとっては、大事なのは経済よりも社会であって、先送りこそ合理的な戦略であるというものである。
--------------------------------------------------------------------------------
これに限らず、民主党は、政権交代を実現するためだけに、いろいろな社会不安を引き起こすような糾弾を平気で行っていました。それをさらに、拡大拡張して、煽ったのがマスコミです。今年の8月の選挙戦にいたるまでの1~2年、そうして選挙まで、民主党が先頭にたちこうした社会不安をあおってきましたが、国民の中にはなんとかなかるもしれないという意識がありました。なぜなら、社会不安は、自民党がひきおこしているのであり、政権交代だけさえすればすぐに収まり、薔薇色の世界がすぐそこに待っていると、民主党は主張し続けてきたからです。
しかし、来年の春の高卒の新卒は、まともに就職できないとか、さまざまな社会不安が現実に存在します。さらに、民主党が過去に精力的に意図して、意識して煽ってきた社会不安が渦巻いています。現在、日本は、こうした社会不安などにより、多くの人々が焦燥感、閉塞感にさいなまされています。民主党がこれを本当に、解消できたり、すぐに解消できないまでも、解消の目鼻をつけることができなければ、民主党は壊滅します。今回の些細なとでもいえるような捕鯨妨害対策問題にも、迅速に対処できないこの有様では、早晩そうなってしまいます。私たちとしては、ポスト鳩山、ポスト民主党を考えておいたほうが良いのではないかと思います。
【関連記事】