2016年7月12日火曜日

【緊迫・南シナ海】中国の南シナ海支配を否定 仲裁裁判所「歴史的権利なし」と判断―【私の論評】南シナ海の本当の危機は、中国の核戦略による聖域化だ(゚д゚)!



南シナ海をめぐる中国の主張や行動は国連海洋法条約違反などとしてフィリピンが申し立てた仲裁手続きで、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表した。南シナ海のほぼ全域の主権を主張して強引に進出する中国に対し、初めて国際法に基づく判断が下された。

裁定は、南シナ海で実効支配の拡大を目指す中国側の主張を退ける内容。中国は一貫して裁定を無視する姿勢だ。罰則など強制的に裁定に従わせる手段はないが、国際社会が司法判断の尊重を求める圧力を高めるのは必至。中国の立場は苦しくなる一方、南シナ海情勢は一段と緊迫化する可能性がある。

中国が「歴史的権利」として南シナ海のほぼ全域を取り囲む形で主張する「九段線」については、仲裁裁判所は管轄権を留保していたが、今回の裁定で中国の主張を退けた。

今回の仲裁は2013年1月、フィリピンの申し立てを受けて開始。中国は参加を拒否したが、仲裁裁判所は昨年10月、15項目の訴えのうち7項目で管轄を認め、同11月に中国抜きで口頭弁論を開いていた。

仲裁は海洋法条約で海洋紛争を解決する手段の一つとして指定されており、全当事者が受け入れなくても手続きを進めることができる。裁定は最終的な判断のため、上訴はできない。

【私の論評】南シナ海の本当の危機は、中国の核戦略による聖域化だ(゚д゚)!

この裁定、先ほど出たばかりなので、いろいろな報道が乱れ飛んでいます。その典型的なものを以下に掲載します。
 仲裁裁判所は12日、南シナ海をめぐる裁定で、「中国は、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の珊瑚礁の生態系に恒久的かつ取り返しの付かない害を与えた」と指摘した。ロイター通信が伝えた。
この裁定は当然といえば、当然です。中国はこの海域の珊瑚礁を徹底的に破壊しつくしました。こんな傍若無人なことが許されて良いはずがあります。

それにしても、このような自然破壊に対しては、シーシェパードもグリーンピースもなぜか反対運動をしません。日本の捕鯨に対して行う妨害活動まではしなくても、少なくとも抗議声明くらい出すべきだと思うのですが、一切そのようなことはしていません。

これに対して、金にならないからやっていないと言う人がいます。しかし、私はそうではないと思います。シーシェパードや、グリーンピースなどは、おそらく中国から金をもらっているのだと思います。だから、抗議活動など一切しないのだと思います。

環礁を埋め立てるには、まずはダイナマイトで大量のサンゴ礁を破壊するという、想像するだけでも恐ろしい、信じられないようなことが行われていました。しかし、グリーンピース・ジャパンのHPで「南シナ海」と検索しても、何もヒットしません。シーシェパードも同じです。特にグリーンピースは、辺野古で自然破壊だと大騒ぎしている同じ人たちとは思えません。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対を訴えるため、那覇新港に
到着した環境保護団体グリーンピースの帆船=昨年11月2日
所詮、ダブルスタンダード・二枚舌の偽善者団体と思われて仕方ないと思います。
そうして、日本の環境保護団体なども右へならえで、金か何らかの便益を供与されているとしか思えません。もし、私のこの推理が外れているのだとすれば、シーシェパードやグリンピース、それに日本の環境保護団体も、中国に対して抗議声明くらいは発表すべきです。
南シナ海の南沙諸島で警備する中国人民解放軍の海軍兵士=1月
 ロイター通信は12日、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について、中国国営新華社通信が「事実に基づかない決定だ」と報じたと伝えた。
2月、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島を巡回する中国軍の兵士。
手前の柱には「南沙は我が国土。神聖にして侵すべからず」と書かれている

さらに、中国国営新華社は以下のように伝えています。
 南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について、中国外務省は12日、「この裁定は無効で、拘束力がない。中国は受け入れないし、承認しない」とする声明を発表した。 
 声明は、「中国は南シナ海の領土主権と海洋権益はいかなる状況においても仲裁裁の裁定の影響を受けない」と強調。「中国は、この裁定に基づくいかなる主張や行動にも反対し、受け入れない」と裁定を無視する姿勢を示した。(新華社)
中国が今回の仲裁裁判所の裁定を無視することは、前々から公表していました。そのため、今回の中国の態度には、驚きも何もしませんが、それにしても、この裁定がくだされた後でも、中国はこれを無視するのですから、国際社会からの風当たりはますます強くなるばかりです。

それにしても、中国がなぜここまで、南シナ海にこだわるかということについては、未だ日本のマスコミなどでは納得のいく報道がなされていません。

日本のマスコミなどが報道するのは、南シナ海がエネルギーの生命線であるということと、この地域の海洋資源についてのみです。

エネルギーの生命線であるとは、南シナ海は原油や天然ガスの海上輸送路(シーレーン)であるということです。

米エネルギー情報局(EIA)によると、2011年時点で南シナ海とタイランド湾を通る原油は1日平均約1400万バレル。世界の原油輸送量の約3分の1を占めます。このうち90%以上がアフリカや湾岸諸国からアジア市場への最短コースであるマラッカ海峡を経由しています。まさに南シナ海は原油輸送の戦略的に重要となる海上水路(チョークポイント)なのです。
出典:米エネルギー情報局
日本へは日量320万バレル、韓国への同240万バレル、台湾や香港へは540万バレルとなっています。日本は原油の99.7%を輸入しており、その約83%を中東に依存しています。南シナ海で有事が発生した場合、マラッカ海峡を迂回してインドネシア中部のロンボク海峡を抜けなければならなくなります。


液化天然ガス(LNG)は11年に、世界のLNG輸送量の半分以上に相当する6兆立法フィートが南シナ海を通過しました。このうち56%が日本へ、24%が韓国へ、19%が中国や台湾に運ばれました。東日本大震災の福島第1原発事故で日本のLNG輸入量が増え、12年上半期には世界のLNG輸送量の58%が南シナ海を通過しました。

日本にとって南シナ海はまさに生命線になっているのです。

次に、南シナ海の海洋資源というと、南シナ海の原油埋蔵量は推定で112億バレル、天然ガスの埋蔵量は推定で190兆立法フィートです。中国は「九段線」で囲った南シナ海ほぼ全域の島嶼部や人工島の領有権、その周囲の「排他的権利」を主張、南シナ海の海底資源を独占する野望を隠していません。


日本のマスコミが報道する中国の南シナ海進出の理由は以上の二つくらいです。

しかし、中国にとって南シナ海に進出する理由は他にあります。そうして、この二つよりもはるかに、重大理由です。

それについては、以前このブログにも詳細を掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結局のところ、中国による南シナ海での人工島造成の狙いは、南シナ海から米軍を追い払うことです。

南シナ海の平均深度は1200メートル以上。海盆の平均水深は3500メートル、最深部は約5600メートルに及びます。中国は戦略ミサイル原潜を4隻配備し、潜水艦発弾道ミサイル(SLBM)を核抑止力の重要な柱にしています。

中国の戦略型原潜については、以下の動画をご覧下さい。



台湾南部から南沙へ掛けての広大な南シナ海の海域は、深さ3000メートル級の、戦略原潜が潜むには絶好の海域です。戦略ミサイル原潜の整備を急ぐ中国は、実はそれを隠す深い海を自国周辺に持っていません。

黄海は、それこそ潜航すら危険ほど浅すぎ、東シナ海も浅い大陸棚のため、ミサイル原潜が潜むには適しません。巨大なミサイル原潜が浅い海を航行すると、様々な痕跡を水面に残し、それは軍事衛星から丸見えになります。南シナ海の広大で深い海は、アメリカ本土を狙うミサイル原潜を潜ませるために、中国がどうしても内海化したい場所なのです。その遠大な計画の第一歩として、中国は長年、南シナ海に突き出た海南島の海軍基地を整備してきました。


南シナ海から米軍を追い払えば、冷戦時にソ連が戦略ミサイル原潜をオホーツク海に潜ませてソ連のSLBMの聖域にしたのと同じように、中国は南シナ海に戦略ミサイル原潜を自由に展開し、南シナ海を戦略型原潜の聖域にすることができます。海南島を出発した最新型の戦略型原子力潜水艦が深く潜航し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って西太平洋に抜けることが可能になります。

中国のSLBMは現状では、南シナ海からは米国全土を射程に収めることはできません。しかし、南シナ海から西太平洋に抜け、アメリカ本土に近づけば、アメリカ全土を射程に収めることができます。

それから、いうまでもないことですが、日本は現状でも射程距離内に入っています。

日本のマスコミが報じる資源問題等は、こうした中国の核戦略の隠れミノに過ぎません。この戦略を成就するためには、中国は今回の仲裁裁判所の裁定に従うはずもありません。

そうなると、中国と米国、南シナ海周辺諸国との対立が激しくなるのは当然のことです。対立が激しくなれば、中国は通常兵力、特に海軍力では日本よりも低いといわているくらいですから、到底米軍には勝てません。

日米印豪などの連合軍には、到底勝つどころか、守備することもままなりません。しかし、これらの国々の軍隊が南シナ海を自由往来されると、中国は、南シナ海を戦略型原潜の聖域にはできなくなります。

それでは、中国の核戦略は成就できません。そうなると、通常戦力の劣勢を補うために、いずれこの海域に戦術核を装備することも考えられます。埋め立てた島に、戦術核ミサイルを配備するとか、南シナ海に戦略型原潜の他に、戦術核を装備した攻撃型原潜を配備するようになるかもしれません。

なぜ中国がそこまでするかといえば、中国は本気で冷戦時代のソ連のようになろうとしているからです。この世界を米中二つの国で覇権の及ぶ範囲を分け合おうとしているのです。まさに、身の程知らずとはこのことです。

このような危機があるからこそ、米国は、「航行の自由作戦」を展開し、この海域に艦艇を派遣したりしているのです。艦艇を派遣して、必要なときにこの海域にいつでも自由に米軍の艦艇等派遣する用意があることを中国に見せつけているのです。

その目的は、中国の戦略型原潜がこの海域を自由に航行することを阻止することです。中国がそれでも、戦略型原潜をこの海域で航行させるというなら、米国もいずれは武力を行使することもあり得ます。

この事態が進行すれば、いますぐどうこうのということはないにしても、いずれPoint of No Return (帰還不能点、もはや後に引けない段階)は、いずれ必ずやってきます。これについては、日本も関係ないなどとはいえません。それなりの覚悟を決めておく必要があります。

このような、事実を政府も公表しません。そうして、マスコミも報道しません。くだらないスキャンダルなど報道するくらいなら、このような南シナ海での本当の危機について報道すべきです。政府もこれを国民に直截に知らせるべきです。すべての国民には、「知る権利」があるはずです。

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2016年7月11日月曜日

参院選で民進党が犯した「二つの致命的なミス」―【私の論評】経済も、改憲も岡田民進党代表は安倍首相の強力な助っ人で在り続ける(゚д゚)!

参院選で民進党が犯した「二つの致命的なミス」

参院選で大勝利を収めた安倍首相 満面の笑み
 民進党が失った貴重な人材

おおかたの予想どおり、参院選は自民が勝った。

選挙直前の各紙の予想は、自民56~60、公明14、民進27~30、共産7~10、おおさか維新6~8というところだったが、実際には自民55、公明14、民進32、共産6、おおさか維新7。共産はやや期待外れ。そして、改憲4党の議席数が参議院の3分の2を超えた。

野党はアベノミクス失敗と叫んだが、説得力を持てなかった。多少景気はよくないが、それでも民主党政権時代には、いまよりもっと円高、株安だったことを国民はよく覚えている。

そして、自公政権になってから雇用がよくなったことも事実である。野党が「アベノミクス失敗」といっても、民主党政権の時にはもっと悪かった。どれだけ失敗といい立てても、野党の経済政策には自公よりも信頼が置けないということだった。

本コラムで何回も強調してきたように、野党がダメなのは、アベノミクスの第一の矢である金融政策をわかっていないところに、根本原因がある。

世界標準の金融政策は、雇用政策である。欧州の左派政党が最も重視する政策であるが、日本の左派政党はここがわからない。海外から著名人を招いて講演してもらっても、わからない人ばかりが今の日本の左派政党の幹部になっている。

もちろん民進の中にも、金融政策が雇用政策であることをよくわかっている人もいる。神奈川の金子洋一氏である。彼は元内閣府官僚であり、国際経験も豊かなエコノミストだ。左派政党に必要な希有な人材を、今回の選挙で失ってしまった。ますます民進が復活する可能性は少なくなったにちがいない。

 さっそく経済立て直しに臨む安倍首相

一方、安倍政権はアベノミクス第一の矢(金融政策)を放つことで、左派政党よりまともな雇用環境を創りだした。全国の都道府県で有効求人倍率が1を超える成果だったと安倍首相に言われて、民進党は「雇用政策」というお株を奪われてしまった。

ただ、安倍政権は、アベノミクスが不十分であることも認識している。第一の矢の金融政策でも、まだ失業率の底といえる構造失業率(筆者の試算では2.7%程度)まで失業率は下がっていない。

第二の矢の財政政策では、2014年4月からの消費増税が大失敗であった。このため、消費は低迷し、現在でも需要不足になってGDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差)はまだ10兆円ほどもあり、景気不透明感がある。こうした現状認識は、5月30日の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48779)を参照してほしい。

世界経済の不透明感を含めて考えると、アベノミクスをさらに進めるモノとして、筆者は政府が行うべき金融緩和と積極財政を含む5つの経済対策を、6月27日付けの本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49016)で示している。これらのいくつかは、これから実現するだろう。

なお、安倍首相は野党党首とは異なり、海外の著名な学者の意見をよく聞き、それを経済政策にうまく生かしている。今週も、バーナンキ氏が来日する予定である。同氏は、筆者のプリンストン大時代の恩師であるが、ヘリコプターマネーの理論化などを、象牙の塔にこもらずに実践的な経済政策として打ち出してきた。

アメリカをリーマンショックから救った氏だが、かつては日本のデフレ対策でも優れたアイディアを出してくれた。おそらく今回も日本経済にとってベストなアドバイスをするのではないだろうか。

 「改憲」ホントのところ

経済政策のところで、野党はダメだった。金融政策は雇用政策を理解しないと、何回選挙をやっても勝てないだろう。これに加えて、今回はさらにミスをした。

それは野党共闘だ。共産は自衛隊が違憲という主張だ。これは時代錯誤も甚だしい。今の若者に聞いたらわかるが、自衛隊を違憲という意見はまったく少数意見である。共産と共闘した野党も同類と見なされて困った。

共産は、与党から「自衛隊は違憲」姿勢をつかれて防戦一方だった。それに、選挙戦の最中に、共産の藤野政策委員長が、NHK全国放送で「防衛予算は人殺し予算」と失言してしまった。その後、発言取り消しで政策委員長は更迭されたが、駟も舌に及ばずである。共産が予想外に不振だったことの原因は、自衛隊違憲と選挙期間中の失言だろう。

改憲勢力が3分の2をとるかという論点も、マスコミから流された。改憲勢力が3分の2以上になると、あたかも改憲が実現するような言いぶりだった、実際に筆者が出演したテレビでマスコミの人に聞いたが、多くの場合、憲法改正に必要な、国民投票制度を知らなかった。

この制度は、日本国憲法の改正手続に関する法律に基づいて行われる。同法は2007年に成立している(筆者は当時官邸勤務だったのでよく覚えている)。同法では、憲法改正原案について、両院それぞれの本会議にて3分の2以上の賛成で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案するものとされる。

その上で、憲法改正案に対する賛成の投票の数が投票総数(賛成の投票数と反対の投票数を合計した数)の2分の1を超えた場合、国民の承認があったものとなる。

ここでポイントは、国会では発議、国民投票で改憲、という二つのステップが必要、ということだ。しかも、憲法改正原案は、内容において関連する事項ごとに区分して個別に発議するものとするとされている。

例えば、安全保障に関わる条文改正案と、環境権を新しく創設するという条文案が、一括して投票に付された場合、一方につき賛成、他方には反対という意思を、一つの記号で示すことはできないので、別々にやらなければいけないのだ。

今回、「改憲勢力」とひとくくりにされているが、憲法改正内容はまったく各党で異なっている。公明党は(新たに条項をくわえる)「加憲」を主張しており、おおさか維新は教育無償化、憲法裁判所、地方分権の3点を改憲項目とし、第9条は対象でないとしている。

改憲については、憲法審査会で審査されるだろうが、なかなかハードルは高いだろうし、その改正項目では、公明とおおさか維新がキャスティングボートを握るだろうから、憲法9条の改正にはなりそうもない。

 都知事選。増田氏の「評判」

さて、参院選は予想どおり自民が勝ったので、東京都知事選(告示14日、31日投開票)に話題が移るだろう。10日夜に増田寛也氏が出馬表明した。

自民都連は増田氏を推薦するので、小池氏は推薦願いを取り下げた。自民は、増田氏と小池百合子氏の間で1999年以来の分裂選挙になった。

増田氏は、岩手県知事、総務大臣と歴任してきた。もともと建設省官僚であったので手堅い。ただし、リーダーシップを発揮するというより、官僚の提案に乗るタイプだ。総務大臣時代、地方法人税という地方税を国税化する政策を進めた。これは地方税を中央集権で配分する仕組みだ。

地方への再配分が必要として、地方間で行うのが地方分権であるが、総務省官僚はそれが嫌いで、地方法人税を好む。それを進めた増田氏は総務省官僚の評判がよかった。ただし、東京都は地方分権に反すると反対であった。こういう感じなので、思い切った都議会改革などは決して行わないだろう。

一方、小池氏はどうだろうか。

 ここでも野党は存在感ナシ

小池氏が掲げた公約は三つ。①冒頭解散、②利権追及チーム創設、③舛添問題の第三者委員会設置。なかでも度肝を抜いたのが、都議会の冒頭解散だ。

今の制度では、総理には国会の解散権があるが、都知事には都議会の解散権はない。都議会の解散は、都民からのリコール、自主解散、都知事不信任に対する対抗としての都知事によるものの3つしかない。都知事としてできるのは、都民にリコールを起こさせること、都議会改革をして都議会を締め上げること、都知事支持の都議会議員をつくって議会解散への流れを作ることだ。

もちろん、小池氏も都知事に都議会の解散権がないことは承知していると、会見で明言している。無理筋を承知で、先手を撃つために、意図的に話題になるような言い方をしたのだろう。このあたりは、かつて小泉純一郎元総理が「自民党をぶっ壊せ」といったのによく似ている。

都知事選は、これまで知名度を生かした後出しが有利とされてきたが、知名度のある小池氏はそれと違う「先手」できた。相当の勝負師である。しかも、環境大臣や防衛大臣を経験しているので、政策実務にも精通している。

注目はこの二人となるのだろうか。自民党が分裂したというのに、野党候補がかすんでいるとはもの悲しい。野党の存在感が、ここでも薄くなっている。

民進党の行方だが、獲得議席は30を超えたし、岡田代表のお膝元である三重県でも民進党候補が勝った。岡田代表の辞任問題はただちには発生せず、9月の代表戦までは代表を務めるだろう。

おそらく安倍政権にとっては、岡田代表が辞めないほうが、今回やらなかった次の総選挙を戦いやすいので、代表継続を望んでいるだろう。情けない限りだ。

■高橋洋一

【私の論評】経済も、改憲も岡田民進党代表は安倍首相の強力な助っ人で在り続ける(゚д゚)!

上の記事で、金子洋一参議院議員が落選したということが掲載されていました。これは、民進党の幹部連中はほとんど意識していないでしょうが、民進党にとってかなりの痛手です。
金子洋一氏 自身のツイッターのプロフィー写真
上の記事でも高橋洋一氏が「民進の中にも、金融政策が雇用政策であることをよくわかっている人もいる。神奈川の金子洋一氏である。彼は元内閣府官僚であり、国際経験も豊かなエコノミストだ。左派政党に必要な希有な人材を、今回の選挙で失ってしまった。指摘しているように、金子洋一氏は、おそらく現在の民進党内では、マクロ経済に関して一番まともな考えを持った人だと思います。

このブログでは、何度か金子洋一氏について掲載しています。その代表的なもののリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済予測をことごとく外してきた面々は合理的な推測をしているのか―【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!
この記事は、昨年の4月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、この記事から一部以下に引用します。

 民主党の金子洋一参院議員はツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。彼の行動を知る筆者としても同感だ。
民進党幹部は、この優秀な議員の落選をあまり重要なものと捉えていないようです。岡田代表は、三重で「ここで負けたら、代表戦に出馬しない」などとして、三重にかなり力をいれていましたが、本来なら三重など放置して、金子氏が出馬していた神奈川で金子氏を徹底的に応援すべきでした。

民進党では、馬淵澄夫氏も経済には詳しいです。私としては、民進党幹部は、一度で良いから、この二人に、経済に関してはフリーハンドでやらせみるくらいの度量が欲しかったです。特に政権を担っているときに、そうしたらその後の民進党も随分変わったものになったものと思います。


このような人材をむざむざと落選させてしまうのですから、やはり民進党はもう二度と政権を担う機会は訪れないことでしょう。これを機に、さらに没落していくことになるでしょう。それに、金子洋一氏ほどの経済政策の理解者が世間ではいまいち評価されないことに、いまの日本の限界を見る思いがします。

こんなことでは、安倍総理の経済政策である"アベノミクス"が多くの人々になかなか理解されないのも、無理はないです。とはいいながら、今回の選挙は国民による"アベノミクス"の審判でもあつたわけですから、意外と国民は理解しているのかもしれません。

さて、上の記事では、高橋洋一氏が、これから政府の実行すべき政策について、リンクを掲載していました。そのリンクを見ると、以下の政策が提言されていしました。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。 
2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円 
3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。 
4. 事実上無制限の為替介入。そのために、今の介入枠を参院選後の補正予算で引き上げる。 
5. 1と2、1と3はセット。前者がヘリコプターマネー、後者は非不胎化介入となって効果がある。
これを政府が実行すれば、英国のEU離脱の悪影響や、中国の経済の低迷が深刻になったにしても、日本経済はさほど影響を受けることなく、ふたたび成長軌道にのるものと思います。そうして、上で掲載した金子洋一氏の頭の中にも、これと似たような経済対策があるものと思います。

この政策については、以前このブログでも解説をしたことがありますので、それを以下に再掲します。

"
以下の2つの政策を合わせて、高橋洋一氏はヘリコプターマネーとしています。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。
2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円

ヘリコプターマネーとは、あたかもヘリコプターから現金をばらまくように、中央銀行あるいは政府が、対価を取らずに大量の貨幣を市中に供給する政策のことをいいます。米国の経済学者フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた寓話に由来しています。中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣の発行などがこれにあります。


中央銀行は通常、市場に資金を供給する際、対価として民間金融機関が保有する国債や手形などの資産を買い入れます(買いオペレーション)。ヘリコプターマネーの場合、そうした対価を取らずに貨幣を発行するため、中央銀行のバランスシートは債務だけが増え、それに見合う資産は計上されず、債務超過の状態になります。その結果、中央銀行や貨幣に対する信認が損なわれる可能性があるため、平時には行われません。

ただし、現在の日本は8%増税の悪影響で、個人消費が落ち込み、GDPの伸び率が低い状況にあります。インフレ率もかなり低いです。さらに、英国のEU離脱などの悪影響も見込まれるため、とても平時といえるような状況ではありません。であれば、当然のことながら、ヘリコプターマネーを実施すべきです。

日本がデフレから完全脱却を目指し、しかももう20年近くデフレ傾向なのですから、そこから完璧にしかも素早く脱却することを目指すなら、今こそがヘリコプターマネーの実施どきです。しかも、国債の信任はあつく、ほとんど金利がゼロです。今をのがして一体いつ実行するというのでしょうか。

以下の2つの政策を高橋洋一氏は、"非不胎化介入となって効果がある"としていますが、これについての説明がないので以下に解説しておきます。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。
3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。

そもそも「非不胎化」という日本語は、「非」と「不」の二重否定が「胎化」に被さっており、こなれていません。もともと「不胎化」は、sterilizeの経済学での訳語です。sterilizeとは、無力化するとか無効化するという意味である。「非不胎化」は、その否定でunsterilizeの訳です。

これらの英語で議論されていたころは、固定相場制が当たり前であり、いずこの政府も中央銀行の資金を使って、為替介入をしていました。




何やらこの解説だと消化不良をおこしてしまう方もいらっしゃるかもしれません、結局どういうことかといえば、ざっくり言えば1.3.の政策を実行することにより、政府や日銀は特段為替介入など何もしなくても、円安傾向にもっていけるということです。

"
高橋洋一氏は、政府はこれらのうちいくつかを実行することになるだろうとしていましたが、これを全部実行していただきたいものです。これをすべて実行すれば、"アベノミクスは失敗"などという批判を跳ね除け、"アベノミクスはまだ途上にある"という政府の主張が正しかったことが早期に実証されることになるでしょう。

参院選で、改憲勢力が3分の2をう回ったことを伝えた報道番組
改憲についてですが、これはいくら改憲勢力が2/3を上回ったからといって、すぐに憲法9条や、憲法自体を根本的に作りなおすなどということにはなりません。それは、上の高橋洋一氏の述べています。私も、そう思います。

それに憲法改正を実施するというなら、まずやるべきことがあります。それに関しても、以前このブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
自民、27年ぶり単独過半数獲得も 参院選議席予測 浅川博忠氏 ―【私の論評】実は、岡田民進党代表こそ安倍政権の真の救世主だ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から改憲をするなら、七条四もしくは、五十三条からすべきという内容を引用します。


"
《その一》

まずは、七条の誤植は改正する。

七条四  
国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 
国会議員の選挙の施行を公示すること。

天皇の国事行為を列挙した七条の四号には、誤植があります。「国会議員の総選挙」など日本国憲法下では存在しません。今回は夏に衆参同日選挙があるかもしれないといわれいましたが、そうなった時でも参議院の半分は非改選なので、「国会議員の総選挙」ではありません。

この「総」の一文字が誤植なのです。まず憲法改正でこの一文字を削れなくて何ができるでしょうか。そのようなことを言い出すと、また岡田さんには反対することでしょう「安倍首相は、戦争をする気だ」だとまた声高に叫ぶに違いありません。

誤植一文字を削れば戦争になると絶叫する護憲派を見て、まともな日本人がどう思うことでしょうか。岡田さんの絶叫は、護憲派の正体を国民の前に炙り出すことになり、岡田さんがまた安倍首相に大きな味方をすることになります。

《その二》

五十三条の不備を修正する
五十三条

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。 
     自民党案に変える。
 自民党改憲案五十三条
内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。 いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。
昨年、野党が日本国憲法五十三条の規定に従って臨時国会の召集を要求したにもかかわらず、政府は外交日程を理由に開催しませんでした。日本国憲法では、日程の制限がないので憲法違反にはならないとの解釈が有権解釈になっています。

これに対し先の国会で、民主党の岡田克也代表が「なぜ臨時国会を開かなかったのだ!憲法を無視するな」と要求しています。しかもご丁寧に「自民党案では二十日以内と謳っているではないか」とまで付け加えていました。


それでは、岡田さんの要求に従い、五十三条改正を訴えればいかがでしょうか。これには、岡田さんは反対のしようもないわけです。なぜ最初に、七条四号と五十三条を変えるべきなのか。その理由の一つが、変えても誰も困らないし誰も影響を受けないということです。九条にしろ他の条にしても、野党と対立的な条文を変えると、改正どころか改悪になる可能性が大きいです。そもそも、国会の三分の二と国民の過半数の支持を得るのは難しいです。

いきなり対立的な条文を変えようとして、玉砕して二度と変えられないより、明らかな誤植と、野党第一党の代表である岡田氏が与党に不備の改正を要求している条文から入るべきではないかと思います。

とくに、五十三条では、またまた岡田氏が強力な助っ人になることは間違いありません。本当に、岡田さんは安倍政権の力強い助っ人ですから、参院選にたとえ惨敗しても、是非とも代表を続けていただきたいものです。たとえ、代表を辞めたにしても、民進党の幹部であり続け、引き続き安倍政権の強力な助っ人であり続けて欲しいです。
"
こう考えると、参院選では金子洋一参議院議員という、実務的マクロ経済のブレーンを失い、民進党をさらに経済オンチに追い込み、どう考えても与党には全く及ばない状況に追い込み、改憲でも、安倍総理に格好の憲法改正の緒を提供するということで、岡田代表は与党にとって強力な助っ人です。

代表今回の、参院選で敗北の責任をとるつもりはさらさらないようで、続投するということです。9月の民進党代表選にも出馬するかもしれません。また、代表に再選されて、安倍総理を助けて、日本のために貢献して頂きたいです。

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2016年7月10日日曜日

【参院選】「右翼勢力が改憲と軍事化画策」警戒強める中国メディア…背景に南シナ海で米との軍事行動恐れる?―【私の論評】選挙の争点は中国封じ込めの是非も大きい(゚д゚)!


南シナ海に設置された新空港には中国南方航空の
エアバスA319型機が着陸した(新華社通信ウェブサイトより)
中国国営新華社通信は10日、参院選の投票開始後に「自民党と公明党をはじめとする改憲勢力が(憲法改正の国会発議の要件となる)3分の2以上の議席を獲得できるかが焦点となる」との記事を配信し、高い関心を示した。

新華社は、多くの日本メディアが、参院で改憲勢力が3分の2を確保できる可能性があると報じていることにも触れた。

中国の通信社、中国新聞社は10日、「安倍(晋三首相)をはじめとする日本の右翼勢力は“平和憲法”の9条改正を画策し、日本の軍事化を進めようとしてきた。自民党は民意の反発を恐れ、まず緊急事態条項を創設して改憲の先鞭(せんべん)をつけようとしている」と報じた。世論には改憲への反対意見も強いとして、「自民党は選挙期間中、改憲の議論を避けて経済や暮らしの問題を重点的に訴えた」とも指摘した。


北京の日本研究者は、中国が参院選に高い関心を示している理由について「日本で憲法が改正されれば、南シナ海などで米国と一緒に自由に軍事行動を取れるようになり、中国に対する軍事的脅威が一挙に高まると認識しているためだ」と分析した。

【私の論評】選挙の争点は中国封じ込めの是非も大きい(゚д゚)!

中国は相変わらず、頓珍漢で奇妙奇天烈な報道を繰り返すばかりです。改憲勢力が(憲法改正の国会発議の要件となる)3分の2以上なろうがなるまいが、これは日本の選挙であり、日本の選挙に関して嘴をはさむのは、単なる内政干渉に過ぎません。

しかし、それにしてもなぜこのような報道をするかといえば、やはり、選挙によって日本が変わって、中国にさらに強力に対峙することになるかもしれないことを極度に恐れているということです。

しかし、日本の選挙がどのような結果になろうと、中国には直接関係のないことです。それに、中国は日本のことを心配するよりも自国内の心配をするべきです。

本日も以下のようなニュースがありました。
中国 5年間で党政府幹部120人が自殺・異常死
7月2日に自殺した劉小華・広東省党委副書記
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国では習近平のいわゆる「腐敗撲滅運動」が始まってから、確かに自殺者が多いです。それについては、このブログでも以前から掲載していることです。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国、高官ら40人超不審死 事実上「粛清」との声も 汚職撲滅キャンペーンで―【私の論評】二種類の亡霊が示す、中国の政治権力闘争は命がけであることと出鱈目さ加減!こんな国に将来はない(゚д゚)!
当時自殺した遼寧省高級人民法院(高裁)の女性副裁判長、徐安生氏(55)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は2014年11月5日のものです。あれから、すでにもう二年目に入っているというのに、中国では未だ高官の不審死が相次いでいるということです。

最近の舛添元東京都知事の辞任をみるまでもなく、日本ではたとえ腐敗があったにしても、自殺したり、不審死に至ることは稀で、それなりの手続きを経て辞任ということになります。

それだけ中国の権力闘争は激烈だということです。そうして、なぜ激烈になるかといえば、そもそも習近平など中国の為政者の統治の正当性が低いからです。

そもそも、中国では建国以来選挙は一度も行われたことがありません。あくまで、指名で要職が決まります。その意味では、中国には国民の付託を得た、政治家は一人も存在しません。全部が、官僚です。

日本では、議会制民主主義という制度によって、正当な手続き経て、政治家が誕生します。選挙という手続きを経た議員による政府や国会によって、政治が行われるので、統治の正当性は中国などよりはるかに強固です。そんな制度が運用されているような国では、中国のような激烈な権力闘争など起こることはありません。

中国のような国では、どこのだれともわからない統治の正当性の低い、馬の骨が何らかの手段で権力を得て、より強い権力のものが要職についているので、その権力が揺らげば、激烈な権力闘争が始まるのです。

このような中国に、日本の選挙がどうのこうのと言う資格など全くありません。日本人としては、中国には、この件に関しては「おととい来やがれ」と言ってもさしつかえないと思います。

それにしても、中国が内政干渉まがいの批判さえするほど、改憲勢力が3分の2を確保できる可能性を恐れているということです。そうして、それは、上の記事にもあるように、南シナ海での日米による集団的自衛権の行使を脅威に感じているということです。

そうして、なぜそれを恐れるかといえば、昨日もこのブログに掲載したように、中国は南シナ海を戦略型原潜の聖地にし、ここに戦略原潜を潜ませ、ここから原潜のSLBM(潜水艦発射型核弾頭)の米国までの射程距離内に原潜を定期的に航行させ、常時米国をSLBMの標的にすることを狙っているからです。

このことによって、中国は将来米国と対等の核戦略を実現することを目論んでいます。そのためには、中国は南シナ海を実効支配し、自分たちの内海にする必要があります。

しかし、日本が南シナ海で、米国とともに集団的自衛権を行使すれば、この目論見は限りなく実現不可能になります。

実際、このブログでは以下の様な記事を掲載したことがあります。
海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
防衛省・自衛隊は、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処活動に参加したP3C哨戒機が日本に帰還する際の飛行ルートを見直し、フィリピンやベトナムなど南シナ海に面する国の基地を優先的に経由させる方針を固めた。
高度な監視能力を持つP3Cの飛行範囲が、中国が「領海」と主張する南シナ海で拡大する見通しだ。「上空飛行の自由」の保護にもつながり、米軍が中国の人工島周辺で実施している巡視活動を日本が独自に支援する活動といえる。
日本の憲法が改正されたりすれば、このような活動がさらに強化され、日本が南シナ海で常時対潜哨戒活動をすることになるかもしれません。

そうなることを中国は一番恐れているのです。なぜなら、日本の対潜哨戒能力は、世界一の水準だからです。なぜそうなったかといえば、日本は米ソ冷戦の最中で、ソ連の戦略型原潜の哨戒活動により、かなりの経験を積むことができたからです。

当時のソ連は、オホーツク海を原潜の聖域としました。この海域は比較的深いところが、多くそこに戦略型原潜を潜ませれば、米国などに発見されることなく、隠密裏に行動することができたからです。

そうなると、核戦争で、ソ連内のICBM基地がことごとく米国に破壊されたとしても、戦略原潜のSLBMは生き残り、米国に報復することができるからでした。

ロシアの戦略型原潜
しかし、こうしたソ連の原潜に対して、日本は独自で対潜哨戒活動を実施し、それでかなりの経験を積んだため日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力は世界一の水準となったのです。

ちなみに、海軍戦略における聖域(せいいき、英語:bastion)とは、友軍の海軍部隊が安全に活動できるよう堅固に防備された海域のことです。典型的には、そうした海域は友好国の海岸線によって部分的に閉ざされ、機雷による防護、センサーによる監視、さらに水上艦艇、潜水艦、哨戒機によって厳重な哨戒が実施されています。

冷戦期を通じて、ソビエト海軍の弾道ミサイル潜水艦隊にとって、聖域戦略は重要な戦略となっていました。北方艦隊によってバレンツ海が、太平洋艦隊によってオホーツク海がそれぞれ聖域化されました。両方の海域は今日のロシア海軍にとっても重要であり続けています。

中国の新型戦略原潜「晋級」(094 SSBN)
この日本の自衛隊が南シナ海で中国潜水艦の対潜哨戒活動にあたれば、中国にとっては非常に脅威です。中国の核戦略が水の泡のとなって消えてしまう可能性すらあります。

それを中国は、極度に恐れているのです。

それにして、日本の正しい進路は、中国を観察していると良くわかります。中国が本当に嫌がることこそ、日本の正しい道です。中国が大喜びして絶賛するような選挙結果であれば、日本にとっては良くないということです。今回の選挙の結果は、正しい進路を国民が選ぶことになって欲しいです。選挙の開票結果など、現在テレビで徐々に報道されつつありますが、なにやらそちらの方向性にいくような気配です。

そうなれば、日本国民は正しい選択をしたということになると思います。今回の選挙の争点は、中国封じ込めの是非を国民問うということでもあったといって過言ではないと思います。

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【7・10参院選 私はこれで投票する】国防に無知な政党・個人には投票しない KAZUYA氏―【私の論評】明日の選挙では、中国の顕な野望を無視する政党、個人には投票するな(゚д゚)!




2016年7月9日土曜日

【7・10参院選 私はこれで投票する】国防に無知な政党・個人には投票しない KAZUYA氏―【私の論評】明日の選挙では、中国の顕な野望を無視する政党、個人には投票するな(゚д゚)!

【7・10参院選 私はこれで投票する】国防に無知な政党・個人には投票しない KAZUYA氏

京本和也氏
これまでは20歳以上だった選挙権が、今回の参院選から18歳以上に引き下げられる。新たに有権者になる約240万人の票の行方が注目されているところだ。

最近の若者は新聞を読まないと揶揄(やゆ)される。確かに、その通りなのだろう。だが、裏を返せば、必死に「雰囲気」で世論を誘導しようとする新聞の影響をあまり受けないと見ることもできる。読まないことがプラスに働くこともあるのではないかと思う。

日本は危機の時代を迎えている。その原因の1つとして挙げられるのが、中国の膨張である。

中国海軍の軍艦が、鹿児島県・口永良部島(くちのえらぶじま)沖の領海を侵犯したとの話題も記憶に新しい。今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)の回数が、昨年の同時期に比べて80回以上増え、過去最多の約200回となった。

ネットでは中国の行き過ぎた行動が盛んにシェアされている。新聞を読まなくても、こうした情報は入ってくる。

虎視眈々と沖縄県・尖閣諸島を狙い、領海・領空への揺さぶりをかけて着実に侵略の歩みを進める中国。しっかりと、わが国の領土・領海・領空を守りぬく気概が求められているのだ。

しかし、今回の参院選において、民進党や共産党、社民党、生活の党などは徒党を組んで、まったく真逆の方向のことを訴えている。4党といっても、実際の主力は民進党と共産党だろう。岡田克也代表と志位和夫委員長をもじって、ネットでは「岡志位(おかしい)コンビ」などと揶揄(やゆ)されることもある。

岡志位コンビ
共産党は「自衛隊を段階的に解消していく」などと公言し、国防に対する無知からか「防衛費=人を殺すための予算」などと共産党特有の本音が飛び出している。この危機の時代にあって、いや危機の時代でなくても時代にそぐわないのは間違いない。

「戦争になる」などと扇動家が煽り、安全保障法制にしても反対の論調を多くとる一部メディアにだまされることなく、私たちは現実的な視点で判断しなければいけない。

国防は国家の根幹だ。まず外敵から身を守ることができなければ、私たちの安心な生活も何もない。家もまず雨風をしのぎ、防犯をしっかりやってこそ、インテリアをどうするという話になるのは当然だ。

しかし、野党連合の国防観は、雨風・防犯を無視してインテリアをどうするか議論するようなものではないのか。吹きっさらしで泥棒が自分の資産を狙って侵入するような状態では、インテリアも何もない。

国防に対し、まったくの無知をさらす政党、個人には投票しない。これが基本だろう。国防観・国家観がある上で、どういった政策をするかに注目する。自分はこういう基準で投票したい。 =おわり

KAZUYA(かずや)

【私の論評】明日の選挙では、中国の顕な野望を無視する政党、個人には投票するな(゚д゚)!

京本和也氏といえば、youTuber として有名な若者です。私も、時折その動画を視聴させていただいています。このブログにも動画を何度か掲載させていただいたこてともあります。彼の動画は視聴者が35万人ともいわれているので、その意味では、上の記事は、多くの若者に受け入れられるものと思います。登録者が35万人なのですから、時々見るひともあわせると莫大な数になると思います。

私自身は、一度倉山満氏と京本和也氏の二人の講演会に行ったことがあります。京本氏は、保守的な内容とともに、自らの動画の運営の仕方などについて熱心に語っていました、自ら開拓してきたノウハウをいろいろと開陳していました。その中で自分は、いろいろな保守的な内容のうち入門的なものを専門に扱っているしていました。

しかしこれをそのまま真似たとしても、京本氏のように35万人もの視聴者が登録するようなチャンネルなどなかなかできないと思います。

そもそも、京本氏の選んだ保守的なテーマが多くの人に注目を浴びたことと、その内容がかなり平易で噛み砕いたもので、誰にでも理解できるものであったこと、そうしてタイミングもあったことでしょう。まさに、彼の動画は、多くの人の疑問に応えるものであったし、それに視覚・聴覚に訴える動画でありながら、既存のテレビとは全く違う媒体ということが、何よりも革新的でした。彼は、既存のテレビ・新聞・雑誌などのメデイアとは異なる媒体であるインターネットの動画がこれだけ多くの人にアピールをするということを実証した、一人ということもできます。

若者こそ、これからの日本を担っていくわけですから、若者である和也氏がこのような記事を書いているのですから、和也氏以外の日本の若者の多くも日本の将来についてしっかり考えているのだと思います。SEALDsやそれに同調する若者など、ごく一部なのでしょうが、マスコミが喧伝するので、いかにも影響力があるようにみえるだけで、とても京本和也氏ほどの影響力はないでしょう。

私は、SEALDsは若いころ、新左翼運動をしたか、しないまでもそのシンパであった老人たちのアイドルにすぎないと思っています。明日選挙に初めて行く若者の中にも、京本氏の動画を日常的に視聴している若者も結構いるものと思います。

以下に、京本和也氏の明日の選挙がらみの本日の動画を掲載します。


上の記事で、京本和也氏は、「国防に対し、まったくの無知をさらす政党、個人には投票しない。これが基本だろう。国防観・国家観がある上で、どういった政策をするかに注目する。自分はこういう基準で投票したい」と結んでいますが、まさにその通りです。

この記事は、夕刊フジのサイトであるZAKZAKに掲載されているものですが、本日は、以下のような記事もありました。
【緊迫・南シナ海】中国が南シナ海でミサイル・魚雷の実弾演習 仲裁裁定前に実効支配を誇示 100隻の軍艦と数十機の航空機が参加
南シナ海の西沙諸島付近の海域で実弾演習する中国海軍=8日
 中国海軍は8日、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島付近の海域で、約100隻の軍艦と数十機の航空機、ミサイル部隊が参加して実弾演習を行った。新華社電などが9日、伝えた。ミサイルや魚雷数十発を発射したという。
南シナ海の西沙諸島付近の海域で実弾演習する中国海軍=8日
 中国による南シナ海の大半の管轄権主張を巡り、フィリピンが申し立てた国連海洋法条約に基づく仲裁手続きの判断が12日に示されるのを前に、軍事力を誇示して実効支配をアピールする狙いとみられる。 
南シナ海の西沙諸島付近の海域で演習する中国海軍兵士=8日
 演習は、赤と青のチームに艦船などが分かれて対抗する形で行われ、制空権確保や海上作戦、対潜水艦作戦に重点が置かれたという。中国海事局は軍事演習のため南シナ海の一部海域で5~11日、船舶の進入を禁止している。
それに本日は、午前中には、北朝鮮がSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験を行ったことも伝えています。最近では、北朝鮮がしょっちゅうミサイルを発射するので、多くの人は麻痺してしまったようでもありますが、これも脅威であることには変わりありません。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信が配信した、SLBMの発射実験の写真(2016年4月24日配信)

 中国がここまでして、南シナ海の実効支配に拘りつづけ、さらに強めるのはなぜでしょうか。それには、いろいろな見方ができますが、私は中国の核戦略のためであるという記事をこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
中国によるスプラトリー諸島にあるファイアリー・
クロス礁の完成した飛行場(昨年9月20日撮影)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、趣旨のみ元記事を再構成して以下に掲載します。

ICBM(大陸間弾道弾)と、SLBM(潜水艦発射弾道弾)を比較すると、ICBMは地上あるいは、サイロに格納されているものですので、最近では衛星写真などから、その位置を比較的容易に敵に察知されやすく、いざ核戦争になった場合、先に敵に破壊される可能性が高いです。

しかし、SLBMの場合は、深海に深く潜行すると、敵からは容易には発見されません。そのため、最近ではSLBMが各戦略において重要な役目を担うようになってきています。

そうして、中国も当然のことながら、SLBMに力を入れています。ところが、中国大陸の近くの海域は比較的水深が浅いので、中国の潜水艦は日本や米国などの対潜哨戒機にたやすく捕捉されてしまいます。

これでは、SLBMを有効に使うことはできないわけです。しかし、南シナ海の海域では、水深が深いので、ここに戦略型原潜を深く潜行させることができれば、ここから比較的アメリカの近くまで深く潜行したまま航行し、いざという場合核攻撃ができるわけです。

中国としては、南シナ海に複数の戦略型原潜を潜行させておき、交代でアメリカの射程距離内まで定期的に航行させることができれば、常時アメリカ全土を中国のSLBMの標的にすることができるわけです。

中国が、南シナ海にこだわるのは、こうした核戦略を成就させるという狙いがあるということです。

そうして、最初中国は、戦略型原潜を中国本土から南シナ海まで航行させ、そこからさらにアメリカへの射程距離内に航行させ、そこにしばらく滞在して、次の戦略型潜水艦と交代して、南シナ海に戻り、さらに中国に帰還するという方式をとるのだろうと思います。

しかし、わざわざ南シナ海を毎回経由するというのでは、いろいろと不都合も生じると思います。原潜を修理したり、補給するのに、わざわざ南シナ海を毎回通過するのはいかにも不経済です。それに、中国大陸の基地に戻るということは、中国の戦略型原潜の行動をその都度日本や、米国に知られてしまうことになります。さらに、大陸付近の東シナ海などは比較敵水深が浅いので、簡単に敵に捕捉され、撃沈されることになります。

であれば、中国はいずれ、南シナ海の環礁埋立地に原潜基地を移すことが考えられます。ただし、中国本土であれば、中国が戦略型原潜の基地を置いても、どこの国もクレームをつけることはないですが、南シナ海だとそういうわけにはいきません。だからこそ、中国は

それに、さらに恐ろしいシナリオもあります。南シナ海に中国が原潜基地を設置した場合、残念ながら中国は通常兵力では、とても米国や日本などには勝つことができません。これにインドや、オーストラリア場合によっては、タヒチに駐屯するフランス海軍もくわわることになれば、全く勝ち目はなく、原潜基地を守ることはできません。

そうなると、中国が是が非でも、南シナ海の戦略型原潜の基地を守ろうとした場合、通常兵力ではかなわないので、戦術核を配備する可能性もあります。

そうなると、南シナ海の中国の実効支配はより強固になります。そうなってからでは、これを翻すことはかなり困難になります。

そうなる前に、日米や南シナ海の近隣諸国はこれを阻止する必要があります。

このような状況のなか、明日の選挙では、京本和也氏のように"国防に対し、まったくの無知をさらす政党、個人には投票しない。これが基本だろう。国防観・国家観がある上で、どういった政策をするかに注目する"というのが当然のことと思います。

実はわたしは、昨日期日前投票をしてきました。私は、当然国防に対して、まったく無知をさらす政党、個人には投票しませんでした。また、マクロ経済に関しても無知をさらす政党、個人には投票しませんでした。真逆の政党、個人に投票しました。

明日投票に行かれる方は、是非ともこの京本和也氏の基準も考慮に入れて投票していただきたいものです。

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2016年7月8日金曜日

【お金は知っている】下落続く人民元 中国不動産バブル崩壊と同時に暴落が起きる―【私の論評】日本は、必ず起こる人民元暴落に備えよ(゚д゚)!

【お金は知っている】下落続く人民元 中国不動産バブル崩壊と同時に暴落が起きる

中国の通貨、人民元の下落が続いている。7月5日時点では1年前に比べて対ドルで8・8%安くなっている。円に対してはさらに下落幅が大きく、20%安である。

グラフは過去1年間の元の対ドル相場と中国の外貨準備高の推移である。元安トレンドは外貨準備の減少と密接に連動している。


中国は中央銀行である中国人民銀行が外貨を集中管理する制度をとっている。人民銀行は流入する外貨の大半を買い上げるかわりに元資金を供給するし、大量の元売り、外貨買いを引き起こす資本逃避が起きると、人民銀行は外準を取り崩して外貨を売って元を買い取る。

人民銀行は原則として前日の元相場の終値を基準にして、当日の元の交換基準レートを決め、その基準値の上下各2%の幅で変動させる管理変動相場制をとっている。人民銀行は昨年8月13日、同10日に比べて4・57%基準値を下げたが、前日比で2%以内の幅での切り下げを繰り返した結果だった。

人民銀行は既存の管理変動制度の枠内での操作であり、大幅切り下げではないと説明したが、中国内外の投資家は元安政策への転換だとみた。元安を恐れた中国国内の投資家や富裕層は海外の不動産に投資し、消費者は元の価値が高いうちに日本など海外で爆買いに走った。

爆買いの担い手は、主婦など個人が周囲の知り合い向けに日本製品などをまとめ買いし、手数料を稼ぐ代行業者だ。上海などの空港税関は今年初めから、何個も同じ日本製品を抱えた帰国者に対し規則通りの高い関税率を適用するようになった。その途端、爆買いブームが吹っ飛んだ。

他方で、習近平政権は元安を必要としている。国内では鉄鋼など設備過剰が深刻化しているため、輸出に頼らざるをえない。

習政権はいつまで元安路線を続けられるだろうか。その鍵は外貨準備にある。豊富な外準がある限り、元売り投機のチャンスをうかがっているジョージ・ソロス氏らヘッジファンドの攻勢をかわすことができるからだ。

その外準は年間で5000億ドル(約51兆円)以上も減っている。資本逃避が収まらない。それでもまだ外準は3兆ドル(約306兆円)以上もあり、世界ダントツだと当局者は言い張るが、実は虚勢でしかない。

外準というのは帳簿上、資産だが、外からカネを借り入れてもそのまま外準に参入できる。中国の場合、対外負債は3月末現在で外準を1・3兆ドル上回っている。いわば、借金によって外準の落ち込みを何とか食い止めている。中国にカネを持ち込むのは主として中国資本である。

上海など沿海部の大都市では不動産バブルが再発している。香港経由でタックスヘイブン(租税回避地)に資産を移した党幹部一族など特権層が不動産市場に投資する。そこで名義上だけは「外資」のカネが流入するのだが、これらチャイナマネーの逃げ足は速い。バブル崩壊と人民元暴落は同時に起きるだろう。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】日本は、必ず起こる人民元暴落に備えよ(゚д゚)!

結局のところ、あの中国人による爆買いブームは、元安を恐れた消費者の一時的な消費に過ぎなかったということです。

どうりで、「爆買い」は2015年には流行語大賞も受賞するほど大きな注目を集めたにもかかわらず、今年になってからは影を潜めつつあります。

そうして、15年に見られた「大型バスで乗り付けて列をなして店に入り、買い物をするような光景」は16年は見られませんでした。

いずれ、元安が一層すすめば、爆買いどころから、中国人旅行者の数そのものが激減したり、中国人旅行者の消費そのものが萎んでしまうことになります。

ひところの日本では、中国人の爆買いをあてこんだ、商売などが盛んだったようですが、そもそも爆買いはたいしたものではなかったことがはっきりしています。それに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【国内】爆買いやインフラ特需のはずが…東京のGDPなぜマイナス?―【私の論評】官邸は徹底的に財務省を追撃し、殲滅し、財務省を他省庁なみの官庁に叩き落とすべき(゚д゚)!
この記事は、昨年12月27日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より以下に一部を引用します。

昨年まで中国人の爆買いが目立っていた銀座
 クビをかしげた人も多かったんじゃないのか。東京都が公表した2015年度の都内の実質経済成長率(見込み)。中国人の「爆買い」や、2020年の東京五輪に向けた施設建設やインフラ整備による“特需”でウハウハと思ったら、ナント! 「マイナス0.6%」だったからだ。 
 都がGDP(国内総生産)の都内分を推計したもので、マイナス成長は14年度(2.8%減=速報値)に続いて2年連続。「製造業」(5.6%減)や「卸売・小売業」(1.8%減)、「サービス業」(1.4%減)が主な要因とみられるが、内閣府が7月に公表した全国の経済成長率見通し(1.5%増)よりも大幅に下回っているとは驚きだ。 
 都内では今も、あちこちで高層マンション建設が見られるし、銀座や秋葉原には大型スーツケースを持った中国人の団体客がウジャウジャいる。それに何といっても、東京五輪だ。過去に五輪招致委員会と都スポーツ振興局が試算した五輪開催に伴う「需要増加額」は、東京だけで約9600億円。GDPを押し上げるプラス要素ばかりなのに、全国よりも“冷え込んでいる”のは不思議だ。
これは、今から振り返ると不思議でも何でもありません。結局のところ、平成14年4月からの8%増税がかなり響いて、東京都内でも個人消費が低迷したからです。

そうして、東京都民等の個人消費の低迷によるマイナスは、中国人の爆買いがあっても、その他、高層マンションの建設があったり、東京五輪による需要増があったにしても、個人消費のマイナスを補うまでにはいかなかったということです。

なぜそのようなことになるかといえば、大まかにいうと日本では、GDPの約6割が個人消費によるものだからです。個人消費が8%増税で冷え込めば、東京ですらこのような状況になるのです。

これが、日本全国ということになれば、それはさらに、はっきりします。消費税増税など平気で言い出す人たちは、このような実体を知らないのでしょう。

8%消費税増税は誰がみても失敗したのは明白
中国に関しても、実体を知らない人たちが、いずれ近いうちに回復するなどと甘い期待を持っているようです。しかし、その期待はことごとく裏切られることになるでしょう。

今年の1月7日、中国の中央銀行である人民銀行が公式に外貨準備高の減少を発表しました。2014年末の外貨準備は3兆8400億ドルでした。2015年末の外貨準備高は3兆3300億ドルになっていまし。マイナス5127億ドルです。これは「公式」数字ですから、実態はおそらく倍以上でしょう。

元安に振れようとするマーケットに対して通貨当局が元買い(ドル売り)介入をした結果外貨準備は減り、さらなる元安観測や資本逃避懸念が高まるというスパイラルに陥った可能性が大です。

そうして、中国人民銀行の為替操作が、もはや厳重に管理できず、実勢市場では機能しなくなって、外圧と逃亡資金のメカニズムが当局の意図とは異なる方向へ暴走を始めているようです。

すでに昨夏の株暴落と人民元下落により、海外華僑が中国から一斉に資金を引き揚げており、年明けとともに株式市場で導入された「7%のサーキットブレーカー」が年初から連日発動され、4日連続、しかも7日は開始後わずか30分で取引停止しました。

人民元のオフショア市場ではすでに当時から10%、崩落していました。人民元のオフォショアは香港、シンガポール、倫敦、そしてフランクフルトでも崩落しました。

人民元暴落はもはや避けられない
日本の株式市場は人民元安と上海株の暴落への連鎖で年初の時点で2・9%程度下げたましたが、もっとも無惨な崩落はウォール街でした。

人民元の暴落は、このように年初から明らかてでした。これから、未曾有の人民元暴落がおこることが予想されます。その悪影響は、甚大です。リーマンショック級のショックが日本を襲うかもしれません。

現在の日本は、消費税増税を見送るのは当然のこととして、中国の人民元の暴落、英国のEU離脱の悪影響なども織り込み済みで、政府は、消費税増税の見送りは当然のこととして、そこから一歩進んで、消費税減税(5%に戻す)、追加金融緩和などを実行して、備えるべきです。

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